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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010455
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】丁合包装システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 39/042 20060101AFI20230113BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20230113BHJP
   B65B 11/08 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B65H39/042
B65B57/00 C
B65B11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114609
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】坂本 利浩
(72)【発明者】
【氏名】八高 辰朗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【テーマコード(参考)】
3E051
3F050
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051AB06
3E051AB09
3E051BA02
3E051DA05
3E051DB07
3E051EA03
3E051EB06
3E051FB02
3E051FD03
3E051KA03
3E051KA05
3E051KA07
3E051KB01
3E051LA04
3E051LB05
3F050AA04
3F050BB02
3F050BD03
3F050BD05
3F050BD07
3F050LA16
3F050LB01
(57)【要約】
【課題】包装材の無駄な消費となる抑制できる丁合包装システムを提供する。
【解決手段】複数の給送部から給送された複数枚のシート材を重ねてシート束を作成して排出する丁合手段1と、丁合手段1から排出されたシート束を包装材で包装する包装処理を行う包装手段3と、を備えた丁合包装システム500において、丁合手段1から排出されたシート材またはシート束に包装処理を行う排出シート材包装制御と、丁合手段1から排出されたシート材またはシート束に包装処理を行わない排出シート材非包装制御と、を実行する制御手段140を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給送部から給送された複数枚のシート材を重ねてシート束を作成して排出する丁合手段と、
前記丁合手段から排出された前記シート束を包装材で包装する包装処理を行う包装手段と、を備えた丁合包装システムにおいて、
前記丁合手段から排出された前記シート材または前記シート束に前記包装処理を行う排出シート材包装制御と、
前記丁合手段から排出された前記シート材または前記シート束に前記包装処理を行わない排出シート材非包装制御と、を実行する制御手段を備えることを特徴とする丁合包装システム。
【請求項2】
請求項1の丁合包装システムにおいて、
使用者による所定の入力によって前記丁合手段の複数の前記給送部のうちの一つからのみ前記シート材の給送を行い前記丁合手段から排出する所定入力単独給送を行うことができ、
前記所定入力単独給送を行うときには、前記制御手段は、前記排出シート材非包装制御を実行することを特徴とする丁合包装システム。
【請求項3】
請求項2の丁合包装システムにおいて、
複数の前記給送部にそれぞれ対応する複数の単独給送入力部を備え、
複数の前記単独給送入力部の一つに対して入力操作が行われると、対応する前記給送部から前記シート材を給送する前記所定入力単独給送を行うことを特徴とする丁合包装システム。
【請求項4】
請求項2または3の丁合包装システムにおいて、
複数の前記給送部に対する設定を入力できる入力部を備え、
前記入力部で、一つの前記給送部を選択する操作と、前記所定の入力の操作とを行うことで、選択した前記給送部から前記シート材を給送する前記所定入力単独給送を行うことを特徴とする丁合包装システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の丁合包装システムにおいて、
前記排出シート材非包装制御を実行する命令を入力する非包装制御入力部を備え、
前記制御手段は、前記非包装制御入力部からの入力に基づいて、前記排出シート材非包装制御を実行することを特徴とする丁合包装システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の丁合包装システムにおいて、
前記丁合手段と前記包装手段との間に、前記シート束を形成する前記シート同士の縁を揃える揃え部材を備える揃え手段を備え、
前記排出シート材非包装制御の実行時に、前記丁合手段から排出された前記シート材を前記揃え手段で留めることを特徴とする丁合包装システム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の丁合包装システムにおいて、
前記丁合手段で丁合した前記シート束を前記包装手段とは異なる搬送先である非包装シート材受取部に搬送する非包装搬送経路を備え、
前記排出シート材非包装制御の実行時には、前記丁合手段から排出される前記シート材または前記シート束を前記非包装シート材受取部に搬送することを特徴とする丁合包装システム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の丁合包装システムにおいて、
前記丁合手段は、前記給送部を高さ方向に複数段備えることを特徴とする丁合包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁合包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の広告等のシート材を丁合しシート束を作成する丁合装置が知られている。また、丁合装置で作成されたシート束を包装フィルム等の包装材で包装する包装装置も知られている。
特許文献1には、丁合装置と包装装置とを備え、丁合装置での丁合処理で作成したシート束を包装装置に搬送し、包装フィルムで包装する包装処理を行う丁合包装システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-173774号公報
【特許文献2】特開2018-150179号公報
【特許文献3】特開2019-038631号公報
【特許文献4】特開2017-074975号公報
【特許文献5】特開2016-037302号公報
【特許文献6】特開2008-100710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
丁合装置では、丁合する複数種類のシート材の束をそれぞれ収容し、収容するシート材を一枚ずつまたは一部ずつ給送する複数の給送棚を備え、それぞれの給送棚が重送等の不具合が発生することなく適切な給送を行えるように、サバキ圧等の給送条件を変更できるものがある。このような丁合装置では、調整した給送条件の適否を確認するために、一つの給送棚からのみの給送を行い、丁合装置の排出部に排出するテスト給送を行うことがある。
このような丁合装置を備える丁合包装システムでは、テスト給送で丁合装置の排出部に排出されたシート材は包装対象ではなく、テスト給紙のシート材に包装処理を施すことは包装フィルム等の包装材の無駄な消費となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の給送部から給送された複数枚のシート材を重ねてシート束を作成して排出する丁合手段と、前記丁合手段から排出された前記シート束を包装材で包装する包装処理を行う包装手段と、を備えた丁合包装システムにおいて、前記丁合手段から排出された前記シート材または前記シート束に前記包装処理を行う排出シート材包装制御と、前記丁合手段から排出された前記シート材または前記シート束に前記包装処理を行わない排出シート材非包装制御と、を実行する制御手段を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排出シート材非包装制御を実行することで、包装材の無駄な消費を防止できる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】丁合包装システムの斜視図。
図2】丁合包装システムの平面図。
図3】丁合包装システムの正面図。
図4】丁合装置と揃え装置との概略図。
図5】丁合装置の斜視説明図。
図6】丁合セットの外観図。
図7】丁合セットが収容された揃え装置を三方向から見た概略説明図。
図8】丁合セットを包装装置に向けて搬送する揃え装置の概略説明図。
図9】包装装置の斜視図。
図10】包装装置の概略説明図。
図11】包装装置を移動させた状態の丁合包装システムの平面図。
図12】丁合包装システムの制御系を示すブロック図。
図13】サブ操作パネルを示す拡大図。
図14】変形例1の揃え装置の説明図。
図15】変形例2の揃え装置の説明図。
図16】変形例3の揃え装置の斜視説明図。
図17】変形例3の揃え装置の概略説明図。
図18】丁合包装システムの第二の実施形態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0009】
以下、本発明に係る丁合包装システムの一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る丁合包装システム500を模式的に示した斜視図であり、図2は、図1に示す丁合包装システム500を模式的に示した平面図である。図3は、丁合包装システム500を図1及び図2中の矢印「α」方向から見た、丁合包装システム500の正面図である。
【0011】
図1図3に示す丁合包装システム500は、丁合装置1と、揃え装置2と、包装装置3とを備える。丁合装置1は、複数枚のチラシ紙等のシート材を丁合してシート束を作成し、揃え装置2に受け渡す。揃え装置2は、丁合装置1で作成されたシート束を形成するシート同士の縁の位置を揃えて、シート束の幅(図中X軸方向の長さ)とシート束の長さ(図中Y軸方向の長さ)とが所定の範囲内ように収まるように揃え処理を行い、揃えたシート束を包装装置3に受け渡す。包装装置3は、揃え装置2から受け渡されたシート束を樹脂フィルムで包装して包装物を作成し、包装物トレイ4に排出する。
以下、丁合装置1、揃え装置2及び包装装置3のそれぞれについて説明する。
【0012】
まず、丁合装置1について説明する。
図4は、丁合装置1と揃え装置2とを右側方から見た概略図である。図5は、丁合装置1を斜め情報から見た斜視説明図である。図6は丁合装置1で作成される丁合セットSを示す外観図である。図6に示すように、丁合セットSは、複数枚の用紙S1の束を一枚の折られた用紙(挟み用紙S2)の内側に挟んだ形態である。
【0013】
丁合装置1は、筐体112、給紙部102(102a~102u)、挟み用紙給紙部103、搬送機構130、挟み用紙搬送路8、挟み用紙ストッパ9、折りナイフ10、折りローラ対11、排紙搬送路12、排紙口13、メイン操作パネル116及び丁合制御部140等を備える。
【0014】
丁合装置1には、図4に示す左側に十個の給紙部(給紙装置)102(102a~102j)が、右側にも十個の給紙部(給紙装置)102(102k~102t)が各々上下方向に積み重ねるように並べて配置されている。左側の給紙部102(102a~102j)と、右側の給紙部102(102k~102t)は同一構造のものが逆向きに取り付けられているため、図4では向きが逆になっている。左側の給紙部102(102a~102j)の一番下に位置する第一給紙部102aのさらに下方には、挟み用紙給紙部103が配置されている。
【0015】
第一給紙部102a~第十給紙部102uは、筐体112への取付位置や取付方向が異なるが、同一構造を有する。以下、これらをまとめて説明するときや、特に区別しないときには単に「給紙部102」とよぶ。
給紙部102は、筐体112に取り外し可能に装着されている。具体的には、給紙部102は、ユーザーによって不図示のロック機構が解除されると、筐体112との係合が解除され、筐体112から取り外すことができる。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。
【0016】
各給紙部102はそれぞれ、給紙トレイ104と、不図示の用紙検知センサと、分離給送機構105と、サブ操作パネル120と、を含む。給紙トレイ104には、複数枚の用紙(例えば広告チラシ等)が重ねられた状態で積載される。挟み用紙給紙部103は、搬送機構130により搬送されてくる用紙の束を挟むための用紙が積載される。給紙トレイ104は、分離給送機構105に近づくにしたがって下がるよう傾斜している。用紙検知センサは、本実施の形態では反射型光学センサであり、給紙トレイ104に用紙が積載されているか否かを検出する。
【0017】
分離給送機構105は丁合制御部140からの信号に基づいて、給紙トレイ104に積載された用紙束の最上位の一枚を用紙束から分離して、搬送機構130に送り出す。搬送機構130は、各給紙部102から送り出された用紙を横方向に搬送する横搬送路106と、丁合装置1の中央に上下方向に設けられた縦搬送路107とを備える。各々の給紙部102から丁合装置1の中央部に向けて延びる横搬送路106はすべて縦搬送路107に合流するようになっている。各々の給紙部102は、送り出した用紙S1が縦搬送路107で合流したときに、互いの先端が揃うようなタイミングで用紙S1を送り出す。各々の給紙部102から一枚ずつ送り出されてきた用紙S1は、縦搬送路107を上方から下方に向かって移動しながら互いに重ねられていく。
【0018】
挟み用紙給紙部103の挟み用紙トレイ103aに積載された複数の挟み用紙S2を束ねた用紙束の最上位の一枚は、挟み用紙分離給送機構103bによって用紙束から分離して挟み用紙搬送路8を図示右方へ搬送され、挟み用紙ストッパ9に先端が当接する。挟み用紙搬送路8の上方には縦搬送路107の下端が面しており、挟み用紙ストッパ9に当接した挟み用紙S2は縦搬送路107の下端をふさぐように停止する。その後、折りナイフ10が駆動して、挟み用紙ストッパ9に当接して停止している挟み用紙S2を折りローラ対11に巻き込んで二つ折りするとともに、その二つ折りの内側に、縦搬送路107を下降してきた用紙束が入って丁合セットSが作成される。丁合セットSはさらに、排紙搬送路12を経由して排紙口13から装置外へ排出され、揃え装置2の揃え受入口213から揃え装置2内に入り、スタック部210に収容される。
【0019】
丁合装置1では、複数の給紙部102の全部または一部から給紙された用紙S1を縦搬送路107内で重ねて、用紙束を形成し、挟み用紙S2で挟んで丁合セットSを形成する。
【0020】
横搬送路106には、それぞれ給紙エラー検知部108が設けられている。給紙エラー検知部108は、重送検知センサと、用紙搬送検知センサとが設けられている。重送検知センサは、本来は各々の給紙部102から一枚ずつ給紙されるところ、二枚以上給紙された場合に、これを検知して、重送エラー信号を発生させる。用紙搬送検知センサは、横搬送路106を通過する用紙を検知する光学センサである。用紙搬送検知センサよりも上流側に配置された用紙検知センサで用紙が検知されたにもかかわらず、給紙動作を行っていても、所定時間内に用紙搬送検知センサの検知位置を用紙が通過しなかった場合、空送りエラー信号を発生させる。また、用紙搬送検知センサが用紙の給紙方向前端を検知したまま後端を検知しない場合や、後端を検知するまでに時間がかかりすぎる場合には、紙詰まりエラー信号を発生させる。
【0021】
丁合装置1や、丁合装置1が備える給紙部102としては、公知のものを使用することができ、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のものを用いることができるが、これらに限るものではない。
【0022】
次に、揃え装置2について説明する。
図7は、スタック部210に丁合セットSが収容された状態の揃え装置2を三方向から見た概略説明図である。図7(a)は、図4と同じ方向の側面側から見た揃え装置2の概略図、図7(b)は、上方から見た揃え装置2の平面図、図7(c)は、正面側から見た揃え装置2の概略図である。
図7に示すように、揃え装置2のスタック部210は、側方揃え爪201、底板202、正面突き当て板203、後方揃え板204及び下流側突き当て板205に囲まれた空間である。
また、図7(b)及び図7(c)に示すように、揃え装置2は、下流側突き当て板205に対して、丁合セットSの移動方向下流側に揃え物排出ローラ対206を備える。
【0023】
下流側突き当て板205は、スタック部210内の丁合セットSが突き当たる突き当て位置(図7(c)中の実線で示す位置)と、スタック部210内の丁合セットSが下流側の包装装置3に移動する際の移動経路から退避した退避位置(図7(c)中の破線で示す位置)との間を不図示の駆動機構により移動可能となっている。そして、スタック部210内に丁合セットSが到達していない状態では、下流側突き当て板205は、突き当て位置(図7(c)中の実線で示す位置)で待機する。
【0024】
丁合装置1の排紙口13から装置外へ排出された丁合セットSは、図7(a)中の矢印「A」で示すように、揃え受入口213から揃え装置2内に進入し、側方揃え爪201の上方を通過して、スタック部210に到達する。
スタック部210に丁合セットSが到達すると、後方揃え板204が図7(a)及び図7(b)中の矢印「B」で示すようにX軸に沿った方向に往復運動し、側方揃え爪201が図7(b)及び図7(c)中の矢印「C」で示すようにY軸に沿った方向に往復運動する。
【0025】
後方揃え板204の往復運動によって後方揃え板204に押された丁合セットSが正面突き当て板203に突き当たり、丁合セットSを形成する用紙S1同士の幅方向(図中X軸方向)両端の縁の位置を揃えることができる。また、後方揃え板204の往復運動によって、丁合セットSの幅(図中X軸方向の長さ)が、往復運動の際に後方揃え板204が正面突き当て板203に最も近づいた位置での後方揃え板204から正面突き当て板203までの距離の範囲に収まるように、丁合セットSを揃えることができる。
【0026】
側方揃え爪201の往復運動によって側方揃え爪201に押された丁合セットSが突き当て位置にある下流側突き当て板205に突き当たり、丁合セットSを形成する用紙S1同士の長さ方向(図中Y軸方向)両端の縁の位置を揃えることができる。また、側方揃え爪201の往復運動によって、丁合セットSの長さ(図中Y軸方向の長さ)が、往復運動の際に側方揃え爪201が下流側突き当て板205に最も近づいた位置での側方揃え爪201から下流側突き当て板205までの距離の範囲に収まるように、丁合セットSを揃えることができる。
【0027】
側方揃え爪201及び後方揃え板204を、所定回数また所定時間、往復運動させて、丁合セットSに対する揃え処理が終わると、揃え装置2は、丁合セットSを包装装置3に向けて搬送する。
図8は、揃え処理を終えた丁合セットSを包装装置3に向けて搬送する揃え装置2を正面側から見た概略図である。
【0028】
側方揃え爪201及び後方揃え板204の往復運動を停止させて、揃え処理が終わると、揃え装置2は、下流側突き当て板205を、突き当て位置(図7(c)中の実線で示す位置)から退避位置(図7(c)中の破線で示す位置、図8中の実線で示す位置)へと移動させる。次に、不図示の駆動源を駆動して揃え物排出ローラ対206を図8中の矢印で示す方向に回転させるとともに、側方揃え爪201を図8中の矢印「D」で示す方向に移動させる。このときの、側方揃え爪201は、揃え処理の往復移動の際に、下流側突き当て板205に最も近づいた位置よりもさらに包装装置3側(図8中の左側)に移動する。
【0029】
この移動により、丁合セットSにおける包装装置3とは反対側(図8中に右側)の縁を側方揃え爪201が包装装置3に向けて押圧する。押圧された丁合セットSは退避位置に移動した下流側突き当て板205の上方を通過して、揃え物排出ローラ対206のニップに挟持される位置まで移動する。揃え物排出ローラ対206のニップに挟持された丁合セットSは、回転する揃え物排出ローラ対206によって図8中の矢印「E」で示す方向に搬送され、包装装置3に向けて搬送される。
上述した構成の揃え装置2により、丁合装置1で作成された丁合セットSは、スタック部210で一旦停止し、側方揃え爪201及び後方揃え板204の往復運動によって前後左右の縁の位置が所定の範囲となるように揃えられ、包装装置3に向けて搬送される。
【0030】
次に、包装装置3について説明する。
図9は、包装装置3の斜視図であり、図10は、包装装置3を正面側(図8と同じ方向側)から見た概略構成図である。
揃え装置2から搬送されてきた丁合セットSは、挿入口32から包装装置3内に挿入される。挿入口32には、挿入する丁合セットSの下面と幅方向の両サイドをガイドするガイド板32aが設けられ、揃え装置2の揃え物排出ローラ対206によって搬送される丁合セットSを装置内に案内する構造である。詳細は後述するが包装装置3を単独で用いる場合は、作業者が丁合セットS等の被包装物を挿入口32に挿入する際には、ガイド板32aによって作業者が手で挿入し易い構造となっている。
【0031】
挿入された丁合セットSは、その上側の上フィルムロールR1と、下側の下フィルムロールR2から引き出された各々のフィルムに、上面側と下面側とを挟まれた状態で装置内を図9中の矢印「F」方向に搬送されるとともに、丁合セットSの周囲のフィルムが熱溶着されて包装され、包装物排出口43から排出されて包装物トレイ4に順次積載される。
【0032】
包装装置3の上面の正面側に、包装操作パネル45が設けられている。包装操作パネル45は包装装置3を操作するためのユーザーの各種入力を受付ける入力部として機能し、かつ包装装置3内の各種情報を表示する表示部として機能する。包装装置3の挿入口32側の面の正面側の端部には、包装装置3に電源を投入する電源スイッチ46が設けられている。
【0033】
図10では、挿入口32が包装装置3の右側形成されている。挿入口32は通常シャッター33で塞がれている。シャッター33は支点33aを中心に回動可能であり、不図示の付勢手段により図10中の反時計方向に付勢されているため、シャッター33の下端はその下方に設けられた前後端溶着受台34に圧接した状態となっている(付勢手段を設けず、自重により圧接するようにしてもよい)。このシャッター33は丁合セットSが挿入されるとき、丁合セットSの先端によって図10中の時計方向に回転し、前後端溶着受台34との間に隙間ができる。丁合セットSはその隙間に入って図10中の左方向にさらに挿入される。
【0034】
前後端溶着受台34の上方には溶着切断ヒータ35が配置されている。溶着切断ヒータ35は不図示の駆動機構により、図10に示す待機位置と、下端が前後端溶着受台34に到達した溶着位置との間を移動可能に構成されている。溶着切断ヒータ35は熱伝導率が良好で軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、下端形状が鋭角に形成されている。溶着切断ヒータ35には不図示のラバーヒータが焼き付け固着されており、このラバーヒータに通電することにより溶着切断ヒータ35を加熱することができる。また、溶着切断ヒータ35の温度を計測するためのサーミスタが取り付けられている。
【0035】
図10に示すように、溶着切断ヒータ35の上方には上フィルムロールR1が、下方には下フィルムロールR2が配置されている。以下、上フィルムロールR1について説明するが、下フィルムロールR2の構成とその支持構造も上フィルムロールR1と同様である。
【0036】
上フィルムロールR1は上紙管R1aに長尺のフィルム(上フィルムF1)を巻回したものである。上紙管軸36Aは上紙管R1aを内面側から同軸に支持している。上フィルムF1は図示手前側から奥側に向かう方向(以下幅方向という)に幅を有し、上紙管R1aも上フィルムF1と同一の幅を有する。その幅は、揃え装置2から搬送される丁合セットSの幅よりも若干大きく形成されている。
【0037】
上フィルムロールR1の端面に幅方向に隣接して、上フィルムロールR1の端面と平行な板状に形成された上紙管ガイド37Aが立設されている。上紙管ガイド37Aには上端から下方に向かって延びる上ガイドスリット37aAが形成され、この上ガイドスリット37aAに上紙管軸36Aが挿通されている。さらに上フィルムロールR1を下方から支持する上フィルム支持ローラ38Aが設けられている。
【0038】
上紙管ガイド37Aは上フィルムロールR1の幅方向の両サイドに同形状のものが立設している。上紙管軸36Aの支持輪が上紙管R1aの内周面を支持することにより、上紙管軸36Aと上フィルムロールR1とが同軸となるように支持している。上紙管軸36Aは、二枚の上紙管ガイド37Aの間隔よりも幅方向に長く形成され、その両端部が上ガイドスリット37aAに挿通されている。上フィルムロールR1の残量が減少してロール径が小さくなると、上紙管軸36Aの位置が下降する。上フィルム支持ローラ38Aの一端には円筒形状の上支持ローラ制動輪38aAが同軸に固定支持されている。
【0039】
図10に示すように、包装装置3は、上支持ローラ制動輪38aAに対して接離可能なブレーキシューを有する上フィルムブレーキ機構39Aを備える。さらに、上フィルムロールR1の残量を検出するための上フィルム残量検出機構315Aを備える。
【0040】
包装装置3は、下フィルムロールR2においても上フィルムロールR1における上紙管軸36A、上紙管ガイド37A、上フィルム支持ローラ38A、上フィルムブレーキ機構39A及び上フィルム残量検出機構315Aと同様の構成として、下紙管軸36B、下紙管ガイド37B、下フィルム支持ローラ38B、下フィルムブレーキ機構39B及び下フィルム残量検出機構315Bを備える。
【0041】
上フィルムロールR1からは上フィルムF1が引き出され、上第一フィルムガイド331及び上第二フィルムガイド332に掛けられて、その先端が溶着切断ヒータ35の下方に位置している。下フィルムロールR2からは下フィルムF2が引き出され、下フィルムガイド333に掛けられて、その先端が溶着切断ヒータ35の下方に位置している。そして上下二つのフィルム(F1、F2)は先端同士が予め前回の包装処理で溶着され、溶着ラインFxを形成した状態になっている。
【0042】
溶着切断ヒータ35及び前後端溶着受台34の図示左方には、挿入口32から挿入された丁合セットSをフィルム(F1、F2)とともに搬送する上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335を備える。上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335はともに幅方向に二本ずつ配置され、その間隔は、丁合セットSの幅(図中X軸方向の長さ)よりも短く構成されているので、上搬送ベルト334は丁合セットSを上方から、下搬送ベルト335は丁合セットSを下方から挟み、図10中の左方に搬送できるようになっている(以下、この丁合セットSが搬送される方向を「包装時搬送方向」という)。下搬送ベルト335が掛けられている一方のプーリである下搬送下流側プーリ336には、歯付ベルト、歯付プーリ、ギヤ等で構成された包装装置下ベルト駆動伝達機構337を介して包装装置モータM1から駆動力が付与されている。また、上搬送ベルト334が掛けられている一方のプーリである上搬送下流側プーリ338にも、包装装置上ベルト駆動伝達機構(図示省略)を介して包装装置モータM1から駆動力が付与されている。すなわち包装装置モータM1が回転すると、上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335の両方に駆動力が付与され、各搬送ベルトが無端移動する。
【0043】
上搬送ベルト334の幅方向の両サイド(幅方向の外側)にそれぞれ一個ずつ、計二個のサイド溶着ヒータ341を備える。また、下搬送ベルト335の幅方向の両サイド(幅方向の外側)でサイド溶着ヒータ341のそれぞれと対向する位置に、それぞれ一個ずつ、計二個のサイド溶着受台342を備える。サイド溶着ヒータ341及びサイド溶着受台342は、それぞれ、上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335の搬送方向(包装時搬送方向)に沿って長く形成されている。
【0044】
二つのサイド溶着ヒータ341の各々も溶着切断ヒータ35と同様に、ラバーヒータが焼き付け固定された軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、下端形状が鋭角に形成されている。また、温度を計測するためのサーミスタも取り付けられている。
【0045】
二つのサイド溶着ヒータ341の幅方向の間隔は、丁合セットSの幅よりも長く、且つ、二つのフィルム(F1、F2)の幅よりも短く構成されている。そして二つのサイド溶着ヒータ341はともに、不図示の駆動機構により、下端がサイド溶着受台342に到達するまで下降することができる。このような構成により、丁合セットSの幅方向の両サイドで、フィルム(F1、F2)を溶着できる。
【0046】
サイド溶着ヒータ341及びサイド溶着受台342の図10中の左方には、包装済みの丁合セットSを排出する包装物排出口43が形成されている。挿入口32から包装物排出口43までの丁合セットSの搬送経路には、丁合セットSの先端または後端を検知できるように、溶着切断ヒータ35の包装時搬送方向の上流側(以下単に「包装時上流側」という)に第一センサD1を備え、溶着切断ヒータ35の包装時搬送方向の下流側(以下単に「包装時下流側」という)に第二センサD2を備える。さらに、包装物排出口43の近傍に第三センサD3を備える。
【0047】
包装装置3では、三個所のセンサ(D1、D2、D3)によって、被包装物である丁合セットSが検知された検知信号に基づいて、溶着切断ヒータ35及びサイド溶着ヒータ341を上下動させるヒータアクチェータと、包装装置モータM1と、二つのブレーキ機構39(39A、39B)とを、所定のタイミングに基づいて駆動制御する。
【0048】
丁合セットSが挿入口32から挿入され、第一センサD1が丁合セットSの先端を検知すると、二つのブレーキ機構39(39A、39B)のブレーキを解除するとともに、包装装置モータM1の駆動を開始する。これにより、挿入された丁合セットSによって溶着ラインFxが押された二つのフィルム(F1、F2)が、それぞれのフィルムロール(R1、R2)から巻き出される。溶着ラインFxを押しながら装置内に進入した丁合セットSは、二つのフィルム(F1、F2)に挟まれた状態で、上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335によって搬送される。この搬送力によって、二つのフィルム(F1、F2)が引っ張られ、それぞれのフィルムロール(R1、R2)からさらに巻き出される。
【0049】
二つのフィルムに挟まれた状態の丁合セットSが、上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335によって図10の左方へ搬送され、第二センサD2が丁合セットSの後端を検知してから所定時間後に、包装装置モータM1を停止することで上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335を停止させ、その後、二つのブレーキ機構39(39A、39B)のブレーキをONにする。次に、ヒータアクチェータを駆動させることで溶着切断ヒータ35及びサイド溶着ヒータ341を下降する。溶着切断ヒータ35及びサイド溶着ヒータ341を下降して待機位置から溶着位置に移動し、溶着切断ヒータ35と前後端溶着受台34との間、及び、サイド溶着ヒータ341とサイド溶着受台342との間に、二つのフィルム(F1、F2)を挟み、二つのフィルム(F1、F2)を熱溶着する。
【0050】
その後、サイド溶着ヒータ341を待機位置まで上昇させ、包装装置モータM1の駆動を再開して上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335の無端移動を再開し、上搬送ベルト334及び下搬送ベルト335により、丁合セットSの搬送が再開される。このとき、丁合セットSの上流側では溶着切断ヒータ35が溶着位置にあるため、この溶着位置で二つのフィルム(F1、F2)が切断される。これらの動作により、丁合セットSの後端側と両サイドでフィルム(F1、F2)が溶着され、後端側はその溶着位置で切断された包装物が作成される。丁合セットSの前端側は前回の包装処理の際に予め二つのフィルム(F1、F2)が溶着されて溶着ラインFxを形成しているため、これと合わせて丁合セットSの周囲が溶着密閉された包装物が作成される。
【0051】
包装物が作成された後も、包装装置モータM1は駆動を継続し、包装物を形成する丁合セットSの後端の通過を第三センサD3が検知すると、包装装置モータM1の駆動を停止するとともに、溶着切断ヒータ35を待機位置まで上昇させる。後端が第三センサD3の検知位置を通過した丁合セットSは包装物の状態で包装物排出口43から排出され、包装物トレイ4に積載される。
【0052】
次に、包装装置3を単独で用いる場合について説明する。
図2に示すように、包装装置3は装置回動軸301を備え、装置回動軸301を中心に回動可能となっている。
図11は、包装装置3を単独で用いる状態の丁合包装システム500を模式的に示した平面図であり、図2に対して、装置回動軸301を中心に包装装置3を時計回り方向に90[°]回転させた状態である。
図11に示す状態とすることで、包装装置3の挿入口32が露出し、作業者が丁合セットS以外の被包装物を手で挿入口32に挿入して、包装処理を行うことができる。
【0053】
図2に示すように、本実施形態の丁合包装システム500は、X-Y平面(水平面)に平行な方向について、丁合装置1から揃え装置2に向かう丁合セットSの移動方向(図2中の矢印「A」で示すX軸に沿った方向)に対して、揃え装置2から包装装置3に向かう丁合セットSの移動方向(図2中の矢印「B」で示すY軸に沿った方向等)が、直交する配置となっている。そして、図11に示すように、包装装置3における丁合装置1側の回転軸である装置回動軸301を中心に回転させることで、揃え装置2の排出部に対して包装装置3の挿入口32が対向する位置から対向しない位置に移動させる構成である。仮に、本実施形態と異なり、図2に示す状態から包装装置3をY軸に平行に図2中の左方向にスライドさせることで、挿入口32に挿入可能とする構成を考えると、包装装置3の移動によって丁合包装システム500の設置に必要な領域がY軸方向に長くなる。これに対して、本実施形態のように、包装装置3を丁合装置1側の回転軸で回転させる構成では、移動の前後で、丁合包装システム500全体のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さの増減が少なく、包装装置3を移動可能とするために設置に必要な領域が広くなることを防止できる。
【0054】
丁合装置1で丁合された丁合物以外の被包装物を包装装置3で包装処理を可能とする構成としては、図11に示すように、包装装置3を回転させて挿入口32を露出させる構成に限らず、揃え装置2と包装装置3との間や揃え装置2の上部に、手差し部を配置し、手差し部に載置または挿入された被包装物を包装装置3の挿入口32に搬送して包装処理を行う構成としてもよい。
丁合装置1で丁合された丁合物以外の被包装物を包装装置3で包装処理を可能とする構成としては、丁合装置1の排紙口13以外から揃え装置2に被包装物を受入可能な構成としてもよい。例えば、揃え装置2の上部または側部にカバーを設けず、スタック部210を露出した構成、または、上部また側部に開閉カバーを設け、この開閉カバーを開放することでスタック部210を露出させる構成としてもよい。これらの構成では、露出したスタック部210に対して外部から被包装物を作業者が手で入れることができる。さらに、例えば、被包装物をスタック部210に案内する手差し給紙装置や手差し給紙ガイドを設けてもよい。
このように、丁合装置1の排紙口13以外から揃え装置2に被包装物を受入可能な構成であれば、丁合装置1と包装装置3とを備えた丁合包装システム500であって、丁合装置1で丁合された丁合物以外の被包装物を、揃え装置2で揃えた状態で、包装装置3で包装することが可能となる。
【0055】
図12は、本実施形態の丁合包装システム500の制御系を示すブロック図である。
図12に示すように、丁合装置1の制御手段である丁合制御部140と、揃え装置2の制御手段である揃え制御部240とは第一通信回線CL1を介して通信可能となっている。また、包装装置3の制御手段である包装制御部340と、揃え制御部240とは第二通信回線CL2を介して通信可能となっている。
【0056】
包装制御部340は、包装操作パネル45からの入力や包装各部センサの検出結果に基づいて包装各部駆動機構の駆動機構を制御し、挿入口32に挿入された被包装物に対して包装処理を行う。また、包装制御部340は、上述したサーミスタ等の包装各部センサからの検出結果に基づいて、包装処理を行うことができる状態であると判断すると、第二通信回線CL2を介して揃え制御部240に包装処理可能信号を送信する。
【0057】
揃え制御部240は、丁合制御部140から第一通信回線CL1を介して伝達される揃え制御に関する情報、揃え操作パネル26からの入力及び揃え各部センサの検出結果に基づいて、揃え各部駆動機構の駆動を制御し、スタック部210内に収容された揃え対象物に対して揃え処理を行う。揃え操作パネル26は、揃え装置2からの強制排紙、揃え動作を行う各部の微調整、ユーザーへのエラー通知、サービスマンによるメンテナンス作業等にも使用する。
また、揃え制御部240は、包装制御部340から包装処理可能信号を受信したときには、第一通信回線CL1を介して丁合制御部140に包装処理可能信号を送信する。さらに、揃え制御部240は、揃え各部センサの検出結果に基づいて揃え装置2の状態を判断し、第一通信回線CL1を介して丁合制御部140に揃え装置2の状態を伝達する。揃え装置2の状態としては、スタック部210や包装装置3に向かう搬送路内のシートの有無の状態やスタック部210の上方の揃え上面カバー260の開閉状態などを挙げることができる。
【0058】
丁合制御部140は、メイン操作パネル116及びサブ操作パネル120からの入力、丁合各部センサの検出結果に基づいて、丁合各部駆動機構を制御して丁合処理を実行する。また、丁合制御部140は、第一通信回線CL1を介して揃え制御部240から送信される包装処理可能信号や揃え装置2の状態を示す信号に基づいて、丁合処理の実行の可否を判断する。さらに、丁合制御部140は、メイン操作パネル116及びサブ操作パネル120からの入力に基づいて、揃え処理を実行するか否か、実行する際の揃え処理の条件、揃え処理後に揃え対象物である丁合セットSを包装装置3に搬送するか否か、等の処理信号を第一通信回線CL1を介して揃え制御部240に送信する。
【0059】
包装制御部340は、包装各部センサの検出結果等に基づいて包装装置3に異常が生じていることを検知した場合は、異常が生じていることを丁合制御部140に伝達する。揃え制御部240は、揃え各部センサの検出結果等に基づいて揃え装置2に異常が生じていることを検知した場合は、異常が生じていることを丁合制御部140に伝達する。丁合制御部140は、包装装置3または揃え装置2に異常が生じていることを伝達されると丁合処理を停止する。また、丁合制御部140は、丁合各部センサの検出結果等に基づいて丁合装置1に異常が生じていることを検知した場合は、丁合処理を停止する。
【0060】
本実施形態の包装装置3の包装制御部340は、包装処理が可能な状態のときに、包装処理可能信号を送信する。丁合制御部140は、包装処理可能信号を受信していない状態では、包装処理ができない何らかの異常が生じている状態と判断し、丁合処理を停止する。すなわち、包装装置3に異常が発生したときには、包装制御部340が、包装処理可能信号の送信を停止することで、包装装置3に異常が生じていることを丁合制御部140に伝達することができる。
丁合包装処理中に、包装処理可能信号の受信が途絶えると、丁合制御部140は丁合処理を止め、アイドリング状態となる。アイドリング状態から所定時間経過後、または、メイン操作パネル116での停止操作が行われると、丁合装置1の丁合各部駆動機構を停止する。
【0061】
図2及び図11に示すように、包装装置3は包装物トレイ4が満載に近い状態であることを検知する満載検知センサ48を備える。包装物トレイ4が満載に近い状態となると、満載検知センサ48はその検知範囲に包装物が存在することを検知し、包装制御部340は丁合制御部140に向けて発する信号を包装処理可能信号から満載信号に切り替える。丁合制御部140は、満載信号を受信すると、給紙部102から給紙された用紙S1を含む丁合セットSの丁合処理までは実行し、丁合処理した丁合セットSを排紙口13から排紙後、丁合各部駆動機構を停止し、丁合装置1をアイドリング状態とする。
丁合装置1がアイドリング状態となった後、包装物トレイ4から包装物が取り除かれ、満載検知センサ48がその検知範囲に包装物が存在しないことを検知すると、包装制御部340は丁合制御部140に向けて発する信号を満載信号から包装処理可能信号に切り替える。丁合制御部140は、包装処理可能信号を受信すると、丁合各部駆動機構の駆動を再開してアイドリング状態を解除し、丁合処理を再開する。
このように、包装物トレイ4の満載を検知すると、丁合装置1はアイドリング状態に移行し、その後、満載が解除されたことを検知すると、丁合装置1はアイドリング状態を解除し、丁合処理を自動的に再開する。
【0062】
満載検知センサ48による包装物の検知機能をON/OFF可能としてもよい。ユーザーによっては、包装装置3の下流側に包装物トレイ4の代わりとして、さらに搬送する搬送機構を配置することが考えられる。この場合、満載検知センサ48による包装物の検知機能は不要であるため、OFFにできることが望ましい。
【0063】
丁合装置1は包装装置3に比べて最大処理セット数が多い。このため、丁合装置1は、丁合したシート材を包装装置3に搬送するときには、包装装置3の処理速度に合わせて処理速度を制限する。
揃え装置2は、丁合装置1で選択された処理速度に応じてジョグ回数を自動で切り替える。例えば、丁合装置1の処理速度が速い場合は0回または一回とし、丁合装置1の処理速度が遅く、処理時間に余裕がある場合は、ジョグ回数を三回とする。
【0064】
丁合包装システム500は、丁合装置1の排紙口13から排出された用紙S1または丁合セットSに包装処理を行う排出用紙包装制御と、排紙口13から排出された用紙S1または丁合セットSに包装処理を行わない排出用紙非包装制御と、を実行する制御手段として、丁合制御部140を備える。
【0065】
丁合包装システム500の排出用紙包装制御は、上述したように、丁合装置1で丁合セットSを作成し、揃え装置2で丁合セットSを揃え、包装装置3で丁合セットSをフィルムで覆って包装物を作成する。丁合セットSを作成するものに限らず、丁合装置1の給紙部102の一つから給紙した一枚の用紙S1を包装装置3に送って包装処理を行ってもよい。
【0066】
丁合包装システム500の排出用紙非包装制御は、丁合装置1の排紙口13から排出されるシート材(一枚の用紙S1や丁合セットS)のうち、包装処理が不要なシート材を揃え装置2のスタック部210で留める。包装処理が不要なシート材を排紙口13から排出する制御としては、丁合装置1でのテスト給紙がある。
【0067】
ここで丁合装置1のテスト給紙について説明する。
丁合装置1で丁合する広告チラシは多種の紙があり、各給紙部102は、給紙トレイ104に載置された用紙の種類に応じて適切な給紙を行えるように、サバキ圧等の給送条件を調整可能となっている。丁合装置1では、給紙部102で調整した給送条件の適否を確認するために、一つの給紙部102からのみ給紙を行い、排紙口13から排出するテスト給紙を行うことができる。
【0068】
図13は、テスト給紙を行うときに押下されるテスト給紙ボタン178を備えるサブ操作パネル120を示す拡大図である。サブ操作パネル120は、表示装置162と、使用設定ボタン164と、連段設定ボタン168と、初期調整ボタン166と、タイミングボタン(170,172)と、正転ボタン174と、逆転ボタン176と、テスト給紙ボタン178と、を含む。
【0069】
複数の給紙部102のそれぞれに配置されテスト給紙ボタン178の一つが押下されると、テスト給紙ボタン178が押下された給紙部102の給紙トレイ104に載置された用紙S1が給送され、縦搬送路107を通過して排紙口13から排出される。排紙口13から排出された用紙S1は、揃え装置2のスタック部210に到達する。テスト給紙ではスタック部210に到達した用紙S1は、包装装置3に搬送されず、スタック部210に蓄積される。
【0070】
本実施形態の丁合装置1では、テスト給紙ボタン178が押下されている間は、一つの給紙部102から連続して給紙を行う構成となっている。このような構成に限らず、テスト給紙ボタン178の一回の押下で一枚の給紙を行う構成としてもよい。
【0071】
テスト給紙後、ユーザーは、揃え上面カバー260を開放することで、スタック部210内の用紙S1を回収することができる。揃え装置2で揃え処理や包装装置3への搬送処理を行う場合は、揃え上面カバー260の開閉状態をセンサで検出し、開放状態のときには、丁合装置1の用紙の給送は行わないことが望ましい。テスト給紙の際に、スタック部210内の用紙S1に対して揃え処理を行わない場合は、揃え上面カバー260が解放か否かに関わらず、丁合装置1のテスト給紙を実行可能としてもよい。
【0072】
丁合装置1におけるテスト給紙の具体的な構成は、公知の構成を用いることができ、例えば、特許文献3に記載されたテスト給紙の構成を適用できる。
テスト給紙を実行する構成として、それぞれの給紙部102のサブ操作パネル120のテスト給紙ボタン178を押下する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、メイン操作パネル116での操作によってそれぞれの給紙部102毎のテスト給紙を行う構成としてもよい。また、ネットワークを通じ丁合制御部140と通信可能な外部コンピューターでの操作によってそれぞれの給紙部102毎のテスト給紙を行う構成としてもよい。
【0073】
丁合包装システム500でテスト給紙の際には、包装装置3での包装処理は行わない。そのため、包装装置3が包装処理を行うことができる状態でなくても、テスト給紙を実行できる。すなわち、丁合制御部140は、揃え制御部240を介して包装制御部340からの包装処理可能信号を受信していない状態であってもテスト給紙を実行できる。
包装処理を行う場合には包装装置3のヒータが所定の温度に到達する必要がある。このため、丁合包装システム500で丁合物を包装する丁合包装処理を実行する場合には、包装装置3のヒータが所定の温度に到達した後、包装制御部340から送信される包装処理可能信号を受信した後に、丁合制御部140は丁合のための各給紙部102からの給紙を開始する。これに対して、テスト給紙の際には、包装装置3のヒータが所定の温度に到達する時間(予熱時間)を待つことなく、テスト給紙を実行できる。
このため、丁合包装を実行する前に行うテスト給紙を、包装装置3の予熱時間の間に行うことができ、丁合包装処理を開始するまでの準備時間の短縮を図ることができる。
【0074】
丁合包装システム500の排出用紙非包装制御は、丁合装置1でテスト給紙を行う場合に限らない。同じ内容の丁合セットSを複数連続して作成する場合等に行うプリセット給紙の場合にも排出用紙非包装制御を実行してもよい。プリセット給紙は、ユーザーが丁合セットSに所望の用紙S1が全て含まれているか確認するために行う丁合処理である。プリセット給紙で作成された丁合セットSを包装すると、ユーザーは包装材を開放して被包装物である丁合セットSを取り出す作業が必要になる。これに対して、プリセット給紙の場合も排出用紙非包装制御としてスタック部210で留めることで、ユーザーは包装材から取り出すことなく丁合セットSの内容を確認でき、さらに、包装材(フィルムF)の無駄な消費を抑制することもできる。
【0075】
また、丁合処理中に、重送や空送りが生じた場合も、排出用紙非包装制御を実行することが望ましい。重送によって用紙S1の数が多い丁合セットSや、空送りによって用紙S1の数が足りない丁合セットSは、排紙口13からスタック部210に排出された後、スタック部210に留めて包装装置3に搬送しない制御を行う。
【0076】
本実施形態の丁合包装システム500は、排出用紙非包装制御の際には、丁合装置1から包装装置3までのシート材の搬送経路の途中であるスタック部210で包装しないシート材を留める構成である。これに対して、丁合装置1の丁合搬送路である縦搬送路107を通過したシート材の包装装置3とは異なる搬送先であるリジェクトトレイを備え、排出用紙非包装制御の際には、このリジェクトトレイにシート材を搬送する構成としてもよい。
【0077】
丁合包装システム500としては、本実施形態のように、丁合装置1と包装装置3との間に揃え装置2を備える構成に限るものではない。揃え装置2を備えない構成では、排出用紙非包装制御の際には、丁合装置1から排出されたシート材を丁合装置1と包装装置3との間のシート材の搬送経路で、停止させることで、包装処理が不要なシート材に対して包装処理を施さない構成が実現できる。また、丁合装置1に包装装置3に向けて排出する排出部とは別の排出部と、その排出部に接続されたリジェクトトレイとを設け、排出用紙非包装制御の際には、リジェクトトレイにシート材を搬送する構成としてもよい。
【0078】
本実施形態の丁合包装システム500では、包装制御部340は、包装装置3の状態を丁合制御部140に伝達するが、丁合制御部140は丁合装置1の状態を包装制御部340に伝達しない。すなわち、第二通信回線CL2は、包装制御部340側から丁合制御部140側に向けてのみ情報を伝達し、丁合制御部140側から包装制御部340側には情報を伝達しない単方向通信の構成となっている。
【0079】
これは以下の理由による。
すなわち、包装装置3で包装処理を行なえない状態で、丁合装置1で作成された丁合セットSが(本実施形態では揃え装置2を介して)包装装置3に受け渡されると、包装装置3で詰まりが生じてしまう。このため、包装処理を行なえない状態のときは、丁合装置1での丁合動作を停止するために、包装制御部340から丁合制御部140に包装装置3で問題が生じていることを伝達する必要がある。一方、丁合装置1側(丁合装置1や揃え装置2)で問題が生じて装置が停止した場合、丁合セットSが包装装置3に受け渡されなくなるだけで、包装装置3は包装処理が可能な状態のままでもよく、丁合装置1側の問題を包装制御部340に伝達しなくても問題は生じない。よって、本実施形態の第二通信回線CL2は、単方向通信を採用している。
【0080】
第二通信回線CL2としては、単方向通信に限らず双方向通信でもよい。双方向通信を用いることで、丁合装置1や揃え装置2の状態や、丁合装置1の操作部で入力された情報を包装制御部340に伝達し、丁合装置1側の状態や入力情報に基づいた包装装置3の制御が可能となる。
例えば、丁合装置1側の装置が停止した情報に基づいて、ヒータの設定温度を下げたり、ヒータをOFFにしたりすることで、丁合装置1の丁合動作再開までの消費電力の抑制を図ることができる。
また、包装装置3のサイド溶着ヒータ341とサイド溶着受台342との包装装置3における幅方向(図中X方向)の位置を自動で変更可能な構成の場合、丁合制御部140から丁合セットSのサイズ情報を送信して、このサイズ情報に基づいてサイド溶着ヒータ341とサイド溶着受台342との幅方向の位置を自動で変更可能としてもよい。包装装置3での丁合セットSの幅は、丁合装置1から排出される丁合セットSの排出方向の長さで決まる。すなわち、各給紙部102に積載された用紙S1うち、給紙方向の長さが最大の用紙S1の長さによって包装装置3での丁合セットSの幅が決まる。よって、丁合制御部140が給紙方向の長さが最大となる用紙S1の長さの情報を包装制御部340に送信することで、丁合セットSの幅に応じてサイド溶着ヒータ341とサイド溶着受台342との幅方向の位置を自動で変更する構成を実現できる。
【0081】
また、丁合セットSの幅を取得する方法としては、丁合包装処理を行なう前のプリセット給紙で、用紙S1が載置された全ての給紙部102から給紙を行い、用紙センサの検知結果に基づいて、各給紙部102に載置された用紙S1の給紙方向の長さを算出する。そして、用紙S1が載置された全ての給紙部102のうち、選択された給紙部102から給紙を行うときに、選択された給紙部102に積載された用紙S1の中で給紙方向の長さが最も長い用紙S1の長さに基づいて、丁合セットSの幅を取得する。取得した丁合セットSの幅に基づいて、サイド溶着ヒータ341とサイド溶着受台342との幅方向の位置を自動で変更することで、丁合セットSを構成する用紙S1の種類が頻繁に変わる選択丁合で作成された丁合セットSであってもその大きさに適した包装を行うことができる。
【0082】
なお、本実施形態のように単方向通信を採用することにより、通信回線の簡易化を図ることができる。
【0083】
本実施形態の丁合包装システム500は、丁合手段側と包装手段側との間での情報を受け渡す丁合包装間通信手段として、包装手段側の発光部と丁合手段側の受光部とを備える光無線通信手段を備えている。本実施形態では、丁合包装間通信手段の一部を構成する第二通信回線CL2として、図2及び図11に示すように、発光器47と受光器25とを備える。
【0084】
包装制御部340は、包装装置3の状態によって発光器47の発光パターン(光の明滅)を制御する。
包装装置3の状態と発光器47の発光パターンとの組合せは以下の通りである。
・点灯:準備ができた状態(包装処理可能信号)
・消灯:準備ができていない状態(電源が入っていない、予熱中、ロール交換中、エラー発生中等)
・点滅:満載検知センサ48が満載検知。
【0085】
受光器25が受信した発光パターンと丁合制御部140による制御との組合せは以下の通りある。
・点灯:丁合装置1及び揃え装置2の準備が整えば丁合処理及び揃え処理を実行。
・受光無し:すぐに装置停止。
・点滅:給紙済みの用紙S1を含む丁合セットSを作成する丁合動作は継続して、それ以降の丁合動作は停止し、作成した丁合セットSを揃え装置2及び包装装置3に搬送して装置停止。
【0086】
受光器25が、点灯の発光パターンを受光したときには、包装装置3での包装処理の準備が完了した状態であるため、丁合装置1及び揃え装置2の準備が整えば丁合処理及び揃え処理を実行する。
受光器25が、発光パターンを受光していないときは、包装装置3の準備ができていない状態で消灯している状態に限らない。発光器47が点灯や点滅していても、発光器47と受光器25とが対向しておらず、位置がずれているときには受光器25は受光無しとなる。
例えば、図11に示すように、包装装置3を単独で用いるときには、丁合装置1が作成した丁合セットSを包装するときの位置に対して、装置回動軸301を中心に包装装置3を図1及び図11中の時計回り方向に90[°]回転させた状態となる。この状態でも受光器25は受光無しとなる。
【0087】
図11に示す状態では、仮に、揃え装置2から丁合セットSが排出されると、包装装置3で受け入れることができない。これに対して、本実施形態では、図11の状態では、発光器47からの発光パターンを受光器25が受光できず、受光無しとして丁合装置1及び揃え装置2を停止させる。このため、包装装置3で受け入れることができない丁合セットSが排出されることを防止できる。また、図11に示す状態に限らず、揃え装置2から包装装置3への丁合セットSの受け渡しができないほどに、揃え装置2と包装装置3との位置がずれていると、受光器25が発光器47からの発光パターンを受光できず、受光無しとして丁合装置1及び揃え装置2を停止できる。
【0088】
受光器25が、点滅の発光パターンを受光したときには、包装物トレイ4が満載に近い状態であるが、すぐに包装物トレイ4への包装物の排出を止めるべき状態ではないので、丁合中のものを最後にして丁合動作を停止する。受光器25が、点滅の発光パターンを受光し始めてから所定部数の丁合セットSを排出した後に、丁合動作を停止する構成でもよい。
【0089】
本実施形態の丁合包装システム500のように、丁合装置1等に対して包装装置3が移動可能な構成で、包装装置3と他の構成とを有線回線等によって物理的に接続していると、包装装置3を移動させたときに通信回線が断線するおそれがある。これに対して、第二通信回線CL2として、発光器47と受光器25とによる光無線通信回線を用いることで、有線回線等によって物理的に接続する構成に比べて、包装装置3を移動させたときに通信回線が断線することを抑制できる。
【0090】
また、丁合包装処理を行なう丁合包装システム500で、丁合装置1と包装装置3との通信として光無線通信回線を用いる構成としては、丁合装置1と包装装置3との間に揃え装置2を備えるものに限らない。丁合装置1の排出部に直接、包装装置3を接続させる構成でもよく、この場合は、丁合装置1に受光器25を配置する。
【0091】
光無線通信回線を用いる構成としては、発光パターンの点滅の組み合わせによって、満載信号以外の情報も送信できるようにしてもよい。
以下、包装装置3の動作モードの情報を発光パターンで伝達する構成例について説明する。
本構成例では、包装装置3では、溶着切断ヒータ35とサイド溶着ヒータ341とを同時に下降させる半シールモードと、溶着切断ヒータ35を下降させた後、所定時間、包装装置モータM1を駆動させ、再度停止して、サイド溶着ヒータ341を下降させる全シールモードと、の二つの動作モードを選択することができる。半シールモードの制御としては、特許文献5に記載された「第1の制御」と同様の制御を用いることができ、全シールモードの制御例としては、特許文献5に記載された「第2の制御」と同様の制御を用いることができる。
包装装置3では、半シールモードと全シールモードとでは処理速度が異なる(例えば、半シールモードでは60[セット/分]、全シールモードでは50[セット/分])。このため、包装装置3の動作モードに応じて、丁合装置1の丁合処理の処理速度も変更する必要がある。
また、本構成例では、包装装置3でフィルムFが無くなった状態であるフィルム無しの状態についても丁合装置1に伝達する。
【0092】
本構成例での包装装置3の状態と発光器47の発光パターンとの組合せは以下の通りである。
・点灯:半シールモードで準備ができた状態。
・消灯:準備ができていない状態(電源が入っていない、予熱中、ロール交換中、エラー発生中等)。
・点滅1(ON/OFF=20[sec]/10[sec]):全シールモードで準備ができた状態。
・点滅2(ON/OFF=30[sec]/30[sec]):満載検知センサ48が満載検知。
・点滅3(ON/OFF=40[sec]/40[sec]):フィルム無し。
点滅1では、発光器47が20[sec]の「ON」と、10[sec]の「OFF」とを繰り返す。同様に、点滅2では30[sec]の「ON」と30[sec]の「OFF」とを繰り返し、点滅2では40[sec]の「ON」と40[sec]の「OFF」とを繰り返す。
【0093】
受光器25が受信した発光パターンと丁合制御部140による制御との組合せは以下の通りある。
・点灯:丁合装置1及び揃え装置2の準備が整えば半シールモードに応じた処理速度で丁合処理及び揃え処理を実行。
・受光無し:すぐに装置停止。
・点滅1(ON/OFF=20[sec]/10[sec]):丁合装置1及び揃え装置2の準備が整えば全シールモードに応じた処理速度で丁合処理及び揃え処理を実行。
・点滅2(ON/OFF=30[sec]/30[sec]):給紙済みの用紙S1を含む丁合セットSを作成する丁合動作は継続して、それ以降の丁合動作は停止し、作成した丁合セットSを揃え装置2及び包装装置3に搬送して装置停止。
・点滅3(ON/OFF=40[sec]/40[sec]):給紙済みの用紙S1を含む丁合セットSを作成する丁合動作は継続して、それ以降の丁合動作は停止し、作成した丁合セットSを揃え装置2及び包装装置3に搬送して装置停止。
【0094】
受光器25が、受光した発光パターンが点灯のときは、包装処理の準備が完了した状態であり、設定された動作モードが半シールモードであるため、丁合装置1及び揃え装置2の準備が整えば半シールモードに応じた処理速度で丁合処理及び揃え処理を実行する。
受光器25が、発光パターンを受光しないときは、上述した実施形態と同様に丁合装置1及び揃え装置2を停止する。
受光器25が、受光した発光パターンが点滅1のときは、包装処理の準備が完了した状態であり、設定された動作モードが全シールモードであるため、丁合装置1及び揃え装置2の準備が整えば全シールモードに応じた処理速度で丁合処理及び揃え処理を実行する。
受光器25が、受光した発光パターンが点滅2のときは、上述した実施形態の点滅のときと同様に丁合中のものを最後にして丁合動作及び揃え動作を停止する。
受光器25が、受光した発光パターンが点滅3のときは、丁合中のものを最後にして丁合動作及び揃え動作を停止する。包装装置3のフィルムFが無くなり包装処理が行えない状態であるが、すぐに丁合装置1や揃え装置2を停止させると、丁合処理中、揃え処理中または搬送中のシート材が装置内部でとどまり、除去処理の手間が必要となる。一方、フィルムFがなくなった状態の包装装置3に丁合セットSを受け渡しても、包装されていない丁合セットSが包装物排出口43から排出されるだけである。このため、この構成例では、包装装置3でフィルムFが無くなったときには、丁合装置1及び揃え装置2は、上述した実施形態の点滅のときと同様に丁合中のものを最後にして丁合動作及び揃え動作を停止する。
光無線通信回線としては、本実施形態では可視光線を用いているがIRDA等の赤外線通信を採用してもよい。
【0095】
本実施形態の丁合包装システム500は、包装装置3の準備期間中は、丁合装置1を待機させる、「包装ウォームアップ待機機能」を備える構成である。
包装装置3は、準備期間は、発光器47を消灯とし、丁合装置1は受光器25による受光無しの状態であるため、丁合動作を開始せず、待機の状態となる。そして、包装装置3は、準備期間が終了すると包装処理可能信号として発光器47を点灯させ、丁合装置1は受光器25によって点灯した光を受光したことを検出することで、丁合動作を自動で開始し、丁合セットSを作成する。
このような「包装ウォームアップ待機機能」を備えることで、丁合装置1の丁合動作を開始させる操作を行う際に、ユーザーは包装装置3のウォーミングアップが終わるのを待つ必要がなくなる。
【0096】
上述した丁合包装システム500の説明では、丁合装置1で作成された一つのシート束(丁合セットS)に対して、揃え装置2によって揃え処理を行い、包装装置3でフィルムによる包装を行って一つの包装物を作成する丁合包装処理について説明した。一つの包装物に内包する被包装物としては、一つのシート束に限らない。複数のシート束を内包したり、折紙(挟み用紙S2)によって挟まれたシート束(丁合セットS)に一枚のシートを重ねたものを内包したりしてもよい。これらの場合、一つのシート束が揃え装置2に排出された状態で、他のシート束や一枚のシートを丁合装置1から供給し、揃え装置2内のシート束に重ねて排出し、揃え装置2で揃え処理を行い、包装装置3に受け渡す。
【0097】
ここで、丁合セットSに挟み用紙S2を重ねて包装する丁合包装処理について説明する。
図4に示すように、丁合装置1は、挟み用紙給紙部103に、挟み用紙S2の表面に形成されたバーコードを読み込むバーコードリーダ1031を備える。
丁合装置1で選択丁合を行うときには、バーコードリーダ1031で挟み用紙S2のバーコードを読み込み、丁合する用紙S1の情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて対応する給紙部102から給紙を行い、バーコードを読み込んだ挟み用紙S2で挟んで丁合セットSを作成する。作成した丁合セットを揃え装置2で揃えて、包装装置3で包装することで、選択丁合された丁合セットSを収容する包装物を作成する。
【0098】
丁合セットSに挟み用紙S2を重ねる場合、先行する挟み用紙S2のバーコードに基づいて丁合セットSを作成し、揃え装置2のスタック部210にスタックする。先行する挟み用紙S2を給紙した後、後続の挟み用紙S2のバーコードを読み込み、そのバーコードに基づいて、後続の挟み用紙S2のみの給紙を行い、一枚のみで折り処理を行なって、スタック部210にスタックする。これにより、スタック部210内に丁合セットSの上に折られた挟み用紙S2が重ねられた用紙束が作成される。必要に応じて、さらに後続の挟み用紙S2に対して一枚のみで折処理を行なってスタック部210にスタックすることで、丁合セットSの上に挟み用紙S2が重なった用紙束を作成することができる。作成した用紙束を揃え装置2で揃えて包装装置3に搬送し包装処理を行なうことで、丁合セットSの上に挟み用紙S2を重ねた用紙束を内包する包装物を作成できる。
このような制御の具体例としては、挟み用紙S2が納品書で、同じ宛先の納品書が複数枚ある場合、同じ宛先にチラシの束を複数セット送付する必要はない。このため、最初に、チラシを納品書(S2)で挟んだ丁合セットSを作成した上に、同じ宛先の納品書(S2)を折って重ねる。このように、宛先が同じとなる丁合セットSと納品書(挟み用紙S2)との組み合わせを、一つの包装物とする制御を行うことができる。
【0099】
<変形例1>
次に、本発明に係る丁合包装システム500に適用可能な揃え装置2の一つ目の変形例(以下、「変形例1」と呼ぶ)について説明する。
図14は、変形例1の揃え装置2の説明図である。図14(a)は、スタック部210が空の状態(丁合セットSが載置されていない状態)の平面図であり、図14(b)は、スタック部210に丁合セットSが載置された状態を正面側から見た概略図であり、図14(c)は、揃え処理を終えた丁合セットSを包装装置3に向けて搬送する状態を正面側から見た概略図である。
【0100】
図7及び図8に示す実施形態に係る揃え装置2では、側方揃え爪201が丁合セットSの縁を包装装置3に向けて押圧する際、丁合セットSを形成する複数枚の用紙S1の束の縁を押圧するため、用紙S1の束を挟んだ挟み用紙S2に対して用紙S1の束が滑り、挟み用紙S2に搬送力が伝わらず、挟み用紙S2がスタック部210に取り残されるおそれがある。
これに対して、変形例1の揃え装置2は、スタック部210における搬送方向下流側端部近傍(下流側突き当て板205のすぐ上流側の位置)に丁合セット搬送ベルト207を備える。丁合セット搬送ベルト207を備える点以外は、実施形態の揃え装置2と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0101】
変形例1の揃え装置2では、スタック部210に丁合セットSが到達すると、後方揃え板204が図中の矢印「B」で示すようにX軸に沿った方向に往復運動し、側方揃え爪201が図中の矢印「C」で示すようにY軸に沿った方向に往復運動する。これにより、上述した実施形態と同様に丁合セットSの幅及び長さが所定の範囲に収まるように、丁合セットSを揃えることができる。
丁合セットSに対する揃え処理が終わると、揃え装置2は、下流側突き当て板205を、突き当て位置(図14(b)で示す位置)から退避位置(図14(c)で示す位置)へと移動させる。次に、揃え物排出ローラ対206を図14中の矢印で示す方向に回転させ、側方揃え爪201を図14中の矢印「D」で示す方向に移動させる。このときの、側方揃え爪201は、揃え処理の往復移動の際に、下流側突き当て板205に最も近づいた位置よりもさらに包装装置3側(図14中の左側)に移動する。このとき、矢印「D」方向に移動する側方揃え爪201が丁合セットSの縁部に接触するタイミングに合わせて、丁合セット搬送ベルト207の駆動を開始し、ベルト上面が図14(c)中の矢印「G」方向に移動するように無端移動させる。
【0102】
これらの移動により、側方揃え爪201によって丁合セットSの用紙S1の束の縁を包装装置3に向けて押圧されるとともに、丁合セット搬送ベルト207によって丁合セットSの挟み用紙S2が包装装置3に向かう搬送力が付与される。その後、揃え物排出ローラ対206のニップに挟持された丁合セットSは、回転する揃え物排出ローラ対206によって図14(c)中の矢印「E」で示す方向に搬送され、包装装置3に向けて搬送される。
変形例1では、丁合セット搬送ベルト207によって挟み用紙S2に対して包装装置3に向かう搬送力を付与しているため、丁合セットSを形成する挟み用紙S2がスタック部210に取り残されることを防止できる。
【0103】
<変形例2>
次に、本発明に係る丁合包装システム500に適用可能な揃え装置2の二つ目の変形例(以下、「変形例2」と呼ぶ)について説明する。
図15は、変形例2の揃え装置2の説明図である。図15(a)は、スタック部210に丁合セットSが載置された状態を正面側から見た概略図であり、図15(a)は、揃え処理を終えた丁合セットSを包装装置3に向けて搬送する状態を正面側から見た概略図である。
【0104】
図15に示すように、変形例2の揃え装置2は、上述した実施形態の下流側突き当て板205の代わりに、下流側突き当てレジストローラ対208を備える。他の点は共通するため、説明を省略する。
変形例2の揃え装置2のスタック部210に丁合セットSが到達すると、実施形態と同様に、後方揃え板204と側方揃え爪201と往復運動する。後方揃え板204の往復運動によって、往復運動の際に後方揃え板204が正面突き当て板203に最も近づいた位置での後方揃え板204から正面突き当て板203までの距離の範囲に収まるように、丁合セットSを揃えることができる。
【0105】
図15(a)に示すように、揃え処理の際には、下流側突き当てレジストローラ対208は回転しておらず、二つのローラでレジストニップを形成する。側方揃え爪201の往復運動によって側方揃え爪201に押された丁合セットSが下流側突き当てレジストローラ対208に突き当たり、丁合セットSを形成する用紙S1同士の長さ方向(図中Y軸方向)両端の縁の位置を揃えることができる。また、側方揃え爪201の往復運動によって、丁合セットSの長さ(図中Y軸方向の長さ)が、往復運動の際に側方揃え爪201が下流側突き当てレジストローラ対208に最も近づいた位置での側方揃え爪201から下流側突き当てレジストローラ対208のレジストニップまでの距離の範囲に収まるように、丁合セットSを揃えることができる。
【0106】
側方揃え爪201及び後方揃え板204を所定回数また所定時間、往復運動させて、丁合セットSに対する揃え処理が終わると、揃え装置2は、丁合セットSを包装装置3に向けて搬送する。
側方揃え爪201及び後方揃え板204の往復運動を停止させて、揃え処理が終わると、揃え装置2は、下流側突き当てレジストローラ対208と揃え物排出ローラ対206とを図15(b)中の矢印で示す方向に回転させ、側方揃え爪201を図8中の矢印「D」で示す方向に移動させる。この移動により、側方揃え爪201が丁合セットSの縁を包装装置3に向けて押圧し、押圧された丁合セットSは、回転する下流側突き当てレジストローラ対208に挟持・搬送され、さらに、揃え物排出ローラ対206に挟持・搬送されて図15(b)中の矢印「E」で示す方向に搬送され、包装装置3に向けて搬送される。
【0107】
<変形例3>
次に、本発明に係る丁合包装システム500に適用可能な揃え装置2の三つ目の変形例(以下、「変形例3」と呼ぶ)について説明する。
図16は、変形例3の揃え装置2の斜視説明図であり、図17は、変形例3の揃え装置2を正面側から見た概略図である。
【0108】
図16及び図17に示す揃え装置2で、上述した実施形態と同一の符号を付した部材は、同様の機能を有する。
変形例3の揃え装置2は、スタック部210の上方にX軸方向に延在するように、三本のスタックガイド棒241を備える。スタックガイド棒241は、揃え受入口213から受け入れた丁合セットSをスタック部210に案内するように、揃え受入口213の上方の壁面から正面突き当て板203の壁面まで延在する。
【0109】
上述した実施形態の揃え装置2では、側方揃え爪201が揃え処理済みの丁合セットSをスタック部210から揃え物排出ローラ対206のニップに挟持される位置まで押し出す押し出し部材としての機能を備えている。これに対して、変形例3の揃え装置2では、側方揃え爪201とは別に押し出し部材としての押し出し爪220を備える。
押し出し爪220は底板202よりも下方に位置する押し出しベルト221に固定されており、押し出しベルト221の上部張架面に位置するときに、押し出し爪220は底板202の開口部からスタック部210内に突き出る状態となる。
【0110】
上述した実施形態の揃え装置2の揃え物排出ローラ対206の代わりに、変形例3の揃え装置2は、第一揃え物排出ローラ対231と第二揃え物排出ローラ対232とを備える。図16では、第一揃え物排出ローラ対231及び第二揃え物排出ローラ対232の図示を省略し、これらのローラ対の下部ローラを搬送経路上に突き出すために底板202に設けられた開口部である第一ローラ開口部231aと第二ローラ開口部232aとを図示している。
【0111】
変形例3の揃え装置2では、丁合装置1の排紙口13から装置外へ排出された丁合セットSを、揃え受入口213から受入れ、スタックガイド棒241によってスタック部210に案内する。
丁合セットSがスタック部210に到達すると、後方揃え板204が図16中の矢印「B」で示すようにX軸に沿った方向に往復運動し、側方揃え爪201が図16及び図17中の矢印「C」で示すようにY軸に沿った方向に往復運動する(図17中の実線で示す範囲と破線で示す範囲で往復する)。
【0112】
後方揃え板204の往復運動によって後方揃え板204に押された丁合セットSが正面突き当て板203に突き当たり、丁合セットSを形成する用紙S1同士の幅方向(図中X軸方向)両端の縁の位置を揃えることができる。また、後方揃え板204の往復運動によって、丁合セットSの幅(図中X軸方向の長さ)が、往復運動の際に後方揃え板204が正面突き当て板203に最も近づいた位置での後方揃え板204から正面突き当て板203までの距離の範囲に収まるように、丁合セットSを揃えることができる。
【0113】
側方揃え爪201の往復運動によって側方揃え爪201に押された丁合セットSが突き当て位置にある下流側突き当て板205に突き当たり、丁合セットSを形成する用紙S1同士の長さ方向(図中Y軸方向)両端の縁の位置を揃えることができる。また、側方揃え爪201の往復運動によって、丁合セットSの長さ(図中Y軸方向の長さ)が、往復運動の際に側方揃え爪201が下流側突き当て板205に最も近づいた位置での側方揃え爪201から下流側突き当て板205までの距離の範囲に収まるように、丁合セットSを揃えることができる。
揃え処理の際には、押し出し爪220は、側方揃え爪201よりも上流側または底板202よりも下方に位置する。
【0114】
側方揃え爪201及び後方揃え板204を、所定回数また所定時間、往復運動させて、丁合セットSに対する揃え処理が終わると、揃え装置2は、丁合セットSを包装装置3に向けて搬送する。
側方揃え爪201及び後方揃え板204の往復運動を停止させて、揃え処理が終わると、揃え装置2は、下流側突き当て板205を、突き当て位置(図16に示す位置、及び、図17中の実線で示す位置)から退避位置(図17(c)中の破線で示す位置)へと移動させる。次に、不図示の駆動源を駆動して、第一揃え物排出ローラ対231及び第二揃え物排出ローラ対232と、押し出しベルト221とを回転させる。押し出しベルト221の回転によって押し出し爪220が丁合セットSの縁を包装装置3の方向(図17中の矢印「D」方向)に押圧し、押圧された丁合セットSは退避位置に移動した下流側突き当て板205の上方を通過して、第一揃え物排出ローラ対231のニップに挟持される位置まで移動する。揃え物排出ローラ対206のニップに挟持された丁合セットSは、回転する第一揃え物排出ローラ対231及び第二揃え物排出ローラ対232によって図16及び図17中の矢印「E」で示す方向に搬送され、包装装置3に向けて搬送される。
【0115】
<第二の実施形態>
次に、本発明に係る丁合包装システム500の第二の実施形態について説明する。
図18は、第二の実施形態の丁合包装システム500を模式的に示した平面図であり、図18(a)は、丁合装置1で作成した丁合セットSを包装装置3で包装するときの配置であり、図18(b)及び図18(c)は、包装装置3を単独で用いる状態の丁合包装システム500を模式的に示した平面図である。図18(b)は、装置回動軸301を中心に包装装置3を時計回り方向に90[°]回転させた状態の説明図であり、図18(c)は、装置回動軸301を備えず、包装装置3を搬送方向に平行な方向(X軸方向)で、揃え装置2から離れる方向にスライドさせた状態の説明図である。
【0116】
図18に示す第二の実施形態の丁合包装システム500は、丁合装置1、揃え装置2及び包装装置3の配置が異なる点以外は上述した実施形態と同様である。そして、丁合装置1、揃え装置2及び包装装置3のそれぞれの具体的な構成としては、上述した実施形態の丁合包装システム500を構成する各装置と同様のものを用いることができる。
【0117】
第二の実施形態の丁合包装システム500は、水平面であるX-Y平面に平行な方向について、丁合装置1、揃え装置2及び包装装置3をX軸方向に沿って直線状に配置している。このような配置とすることによって、搬送方向に直交する幅方向(図18中のY軸方向)への大型化を防止し、長尺な設置環境に設置し易いシステムを実現できる。
【0118】
第二の実施形態の丁合包装システム500においても、包装装置3を移動可能とし、包装装置3を単独で用いることが可能な構成としてもよい。包装装置3を移動可能とする構成としては、図18(b)に示すように、上述した実施形態と同様に装置回動軸301を中心に包装装置3を回転させる構成としてもよい。しかし、包装装置3を回転させると、図18(a)の状態に比べて、搬送方向に直交する幅方向(Y軸方向)に包装装置3が突き出してしまい、丁合包装システム500の設置に必要なスペースが幅方向に大きくなってしまう。これに対して、図18(c)に示すように、包装装置3を搬送方向に平行な方向にスライドさせる構成であれば、設置スペースが幅方向に広がることを防止し、長尺な設置環境に設置し易いシステムを実現できる。
【0119】
上述した丁合包装システム500では、丁合後、綴じ処理が施されていないシート同士からなるシート束に対して揃え処理を行い、包装処理を行っている。綴じ処理が行われていないシート同士からなるシート束をそのまま包装しようとすると、シート同士の厚み方向に直交する方向(以下、「面方向」という)の位置がばらついて、シートが包装装置3に入らなくなるおそれがある。また、シート同士の面方向の位置のばらつきを考慮して、包装装置3の挿入口32を大きくし、面方向に余裕をもった包装処理を行うと、包装したフィルム内でシートが移動可能となり、フィルム内でシートの位置がばらついて、見た目の品質が低下する恐れがある。さらに、包装装置3内でのシート束の後端の通過を検知して、後端側の溶着を行う構成では、シート束の先端から後端までの距離にバラつきがあると、先端側の溶着位置から後端側の溶着位置までの距離にバラつきが生じ、包装物の大きさにバラつきが生じる恐れがある。
【0120】
これらの問題に対して、本実施形態の丁合包装システム500では、丁合後、綴じ処理が施されていないシート同士からなるシート束に対して揃え処理を行い、包装処理を行っているため、シート同士の縁の位置を揃えた状態のシート束を包装装置3で包装することができる。揃え装置2によって縁の位置を揃えることで、シート束の縦・横方向の大きさがシートに比べて大きくなることを抑制できる。これにより、シート束が縦・横方向に大きくなることに起因して生じる、シート束が包装装置3に入らない不具合やシート束の包装状態の品質や大きさにバラつきが生じる不具合を抑制できる。
【0121】
丁合したシート束を包装する構成としては、丁合後、綴じ処理を施して製本して冊子とした後に包装する構成が考えられる。このように製本した冊子を包装するものであれば、被包装物の大きさがばらつくことはない。これに対して、広告束や、複数の冊子を重ねた冊子束等、互いに綴じ処理等の固定処理を行うことなく、丁合束のまま包装することが求められることがある。この場合、丁合束を形成する紙や冊子の縁の位置にバラつきがあると、丁合束の投影面積が大きくなり、包装装置に入れることができなかったり、包装品質や包装物の大きさにバラつきが生じたりすることがある。このような問題に対して、本発明に係る丁合包装システムであれば、丁合束を揃えて包装装置に受け渡すため、丁合束を包装装置に入れることができない不具合や、包装品質や包装物の大きさにバラつきが生じる不具合の発生を防止できる。
【0122】
包装装置3としては、公知のものを使用することができ、例えば、特許文献4に記載のものを用いることができるが、これに限るものではない。
また、上述した包装装置3は、被包装物である丁合セットSを横方向に搬送する間に包装材である樹脂フィルムで包装する横型搬送の構成であるが、本発明に係る丁合システムで用いることができる包装手段は、これに限るものではない。例えば、特許文献5に記載の包装装置のように、被包装物を上方から下方に向けて搬送する間に、包装する縦型搬送の構成でもよい。
本発明に係る丁合包装システムで用いる包装手段としては、上述した実施形態の包装装置3のように、被包装体を二枚のフィルムで挟んで、二枚のフィルムシートを溶着するものに限らない。例えば、特許文献6に記載された包装装置のように一枚のフィルムシートを折り合わせて包装するものであってもよい。また、三枚以上の樹脂フィルムを用いて包装する包装装置にも適用可能である。
被包装物を包装する包装材としては、樹脂フィルムに限るものではない。
【0123】
上述した実施形態の丁合包装システム500では、包装装置3は、二つのフィルムシートの溶着ラインFxをシート束で押し込んで、二つのフィルムシートによって丁合セットSを挟み込む構成である。このような構成で、丁合セットSを形成する用紙S1の先端の位置にバラつきが生じていると、先端方向に突き出した一枚の用紙S1のみで溶着ラインFxを押し込もうとする状態となって、溶着ラインFxに最初に接触した用紙S1の先端が折れて、包装物の品質の低下に繋がるおそれがある。これに対して、本実施形態では、揃え装置2で用紙S1同士の先端位置を揃えた丁合セットSによって溶着ラインFxを押し込むため、用紙S1の先端が折れる不具合を防止できる。
【0124】
本実施形態の丁合包装システム500では、丁合装置1が丁合動作中に、揃え装置2や包装装置3の異常を検知すると、丁合動作を停止する。また、包装装置3の包装物トレイ4の満載を検知した際には、処理中の丁合セットSを作成する処理を行なって装置を停止する制御(ソフト停止)を行い、丁合装置1はすぐに丁合動作を再開できるアイドリング状態で待機する。ソフト停止の後、包装物トレイ4の満載が解除されたことを検知すると、丁合制御部140は丁合装置1での丁合動作を自動で再開する。
また、丁合装置1で、空送りが生じてチラシが足りない丁合セットSや重送が生じてチラシが多い丁合セットSは、包装装置3で包装処理を行なわないように、揃え装置2のスタック部210で停止させる制御を行う。
また、テスト給紙で丁合装置1から排出された用紙S1も同様に、包装処理を行なわないように、揃え装置2のスタック部210で停止させる。
揃え装置2から強制排紙する操作を行う場合、揃え処理をおこなってから排出し、包装装置3で包装する。
また、包装装置3を薄紙モードにすると、包装装置3での丁合セットSの搬送速度が落ちるため、それに合わせて揃え装置2の搬送速度も遅くすることが望ましい。
【0125】
包装装置3の下流側には、ユーザーが独自のベルトコンベアを接続する可能があるため、満載検知センサ48を用いた満載通知機能を無効にできる切替手段を備える構成としてもよい。
【0126】
また、ユーザーの操作によって、丁合装置1の下流側に配置する装置を、シート材を揃えて包装装置3に搬送する揃え装置2を取り外し可能な構成としてもよい。この構成では、揃え装置2の代わりに、複数部の丁合セットSを載置させ揃え処理を行なうジョグ部と、これを持ち上げる上昇装置とを有する揃え上昇装置を付け替え可能とする。
【0127】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0128】
〔態様1〕
給紙部102及び挟み用紙給紙部103等の複数の給送部から給送された用紙S1及び挟み用紙S2等の複数枚のシートを重ねて丁合セットS等のシート束を作成して排出する丁合装置1等の丁合手段と、丁合手段から排出されたシート束を樹脂フィルム(F1、F2)等の包装材で包装する包装処理を行う包装装置3等の包装手段と、を備えた丁合包装システム500等の丁合包装システムにおいて、丁合手段から排出されたシート材またはシート束に包装処理を行う排出用紙包装制御等の排出シート材包装制御と、丁合手段から排出されたシート材またはシート束に包装処理を行わない排出用紙非包装制御等の排出シート材非包装制御と、を実行する丁合制御部140等の制御手段を備えることを特徴とするものである。
これによれば、テスト給紙で排出された用紙S1やプリセット給紙で排出された丁合セットSといった包装処理が不要なシート材またはシート束に対して包装処理を行なわない排出シート材非包装制御を行うことができる。これにより、包装材の無駄な消費を抑制することができる。
【0129】
〔態様2〕
態様1に係る丁合包装システムにおいて、ユーザー等の使用者による所定の入力(テスト給紙ボタン178の押下等)によって丁合手段の複数の給送部のうちの一つからのみシート材の給送を行い丁合手段から排出するテスト給紙等の所定入力単独給送を行うことができ、所定入力単独給送を行うときには、制御手段は、排出シート材非包装制御を実行することを特徴とするものである。
これによれば、テスト給紙のように、包装処理が不要なシート材を一枚のみ排出するときに、排出シート材非包装制御を行い、包装材の無駄な消費を抑制することができる。
また、一つの給送部のみから給紙される単独給送であっても、所定の入力がない場合は、包装処理を施す排出シート材包装制御を行うことができる。
なお、所定の入力の有無に関わらず、単独給送の場合は、制御部が、常に、排出シート材非包装制御を選択する構成としてもよい。
【0130】
〔態様3〕
態様2に係る丁合包装システムにおいて、複数の給送部にそれぞれ対応する複数のテスト給紙ボタン178等の単独給送入力部を備え、複数の単独給送入力部の一つに対して入力操作が行われると、対応する給送部からシート材を給送する所定入力単独給送を行うことを特徴とするものである。
これによれば、使用者は、包装処理を行なわない給送を行いたいシート材を収容する給送部の単独給送入力部に入力操作を行うという簡易な操作を行うことで、排出シート材非包装制御を選択できるという利点がある。
【0131】
〔態様4〕
態様2または3に係る丁合包装システムにおいて、複数の前記給送部に対する設定を入力できるメイン操作パネル116または外部PC等の入力部を備え、入力部で、一つの給送部を選択する操作と、所定の入力の操作とを行うことで、選択した給送部からシート材を給送する所定入力単独給送を行うことを特徴とするものである。
これによれば、使用者は、包装処理を行なわない給送を複数の給紙部について行いたい場合に、一つの入力部の操作で行うことができ、利便性の向上を図れる。
【0132】
〔態様5〕
態様1乃至4の何れかの態様に係る丁合包装システムにおいて、排出シート材非包装制御を実行する命令を入力するメイン操作パネル116または外部PC等の非包装制御入力部を備え、制御手段は、非包装制御入力部からの入力に基づいて、プリセット給紙等の排出シート材非包装制御を実行することを特徴とするものである。
これによれば、一枚のシート材が排出された場合のみに限らず、シート束が排出された場合も排出シート材非包装制御を行うことができる。この場合、例えば、包装材からシート束を取り出す作業を行うことなく、シート束を構成するシート材の内容を確認することもできる。
【0133】
〔態様6〕
態様1乃至5の何れかに係る丁合包装システムにおいて、丁合手段と包装手段との間に、シート束を形成するシート同士の縁を揃える側方揃え爪201及び後方揃え板201等の揃え部材を備える揃え装置2等の揃え手段を備え、排出シート材非包装制御の実行時に、丁合手段から排出されたシート材を揃え手段で留めることを特徴とするものである。
これによれば、丁合包装処理を行なう際にシート束が通過する経路とは別に、包装処理を行なわなかったシート材またはシート束を収容するスペースを設ける必要がなく、丁合包装システム全体の簡略化を図ることができる。
また、揃え手段で留める構成に限らず、丁合手段から包装手段までのシート束の搬送経路のどこかで搬送を停止してシート材を留める構成でもよい。
特に揃え手段で留めることで包装処理を行なわなかったシート材またはシート束を容易に回収することができる。
【0134】
〔態様7〕
態様1乃至6の何れかに係る丁合包装システムにおいて、丁合手段で丁合したシート束を包装手段とは異なる搬送先であるリジェクトトレイ等の非包装シート材受取部に搬送する非包装搬送経路を備え、排出シート材非包装制御の実行時には、丁合手段から排出されるシート材またはシート束を非包装シート材受取部に搬送することを特徴とするものである。
これによれば、包装処理を行なわなかったシート材またはシート束を非包装シート材受取部から回収し易く、さらに、包装処理を行なうときの搬送経路外なので、包装処理を行なわなかったシート材またはシート束を回収しなくても丁合包装処理が可能となる。
【0135】
〔態様8〕
態様1乃至7の何れかに係る丁合包装システムにおいて、丁合手段は、図4等に示すように、シート材を供給する給紙部102等の給送部を高さ方向に複数段(102a~102j、102k~102t)備えることを特徴とするものである。
これによれば、丁合包装システムを構成する丁合手段の水平方向の専有面積が小さくなり、丁合包装システム全体での専有面積も小さくすることができ、丁合包装システムの設置に必要な面積が小さくなり、設置環境の自由度が向上する。
【符号の説明】
【0136】
1 :丁合装置
2 :揃え装置
3 :包装装置
4 :包装物トレイ
32 :挿入口
34 :前後端溶着受台
35 :溶着切断ヒータ
43 :包装物排出口
102 :給紙部
103 :挟み用紙給紙部
140 :丁合制御部
201 :側方揃え爪
203 :正面突き当て板
204 :後方揃え板
205 :下流側突き当て板
206 :揃え物排出ローラ対
210 :スタック部
220 :押し出し爪
231 :第一揃え物排出ローラ対
232 :第二揃え物排出ローラ対
240 :揃え制御部
301 :装置回動軸
334 :上搬送ベルト
335 :下搬送ベルト
340 :包装制御部
341 :サイド溶着ヒータ
342 :サイド溶着受台
500 :丁合包装システム
F1 :上フィルム
F2 :下フィルム
S :丁合セット
図1
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