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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010456
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】折り畳み傘
(51)【国際特許分類】
   A45B 11/00 20060101AFI20230113BHJP
   A45B 25/02 20060101ALI20230113BHJP
   A45B 19/04 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A45B11/00 A
A45B25/02 A
A45B19/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114610
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】521305882
【氏名又は名称】劉 高之
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 高之
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104AA02
3B104AA06
3B104EA02
3B104NA01
(57)【要約】
【課題】ユーザから傘布の左右前後の外縁までの距離を均等に大きく確保することができ、より多くの面積を雨除けのために使用し、確実に雨水から身を守ることができる。
【解決手段】中棒2と、先端部材3と、把持部4と、スライダー5と、先端部材3を中心に放射状に延びるように配置される複数の親骨6と、複数の支持骨7と、傘布8とを有し、複数の親骨6は、骨の伸長方向に沿った延設長さの合計が互いに異なる複数種類の親骨6を含み、傘広げ状態において各親骨6の他端を結んだ第1中心位置Xが先端部材よりもユーザから見て前方側にオフセットするように配置され、傘布8は、傘広げ状態において、ユーザから見て左右方向かつ前後方向における第2中心位置Yが、先端部材3への固定位置14よりも前方側にオフセットするように配置されている折り畳み傘1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に伸縮可能に構成された中棒と、
前記中棒の先端に固定された先端部材と、
前記中棒の基端に取り付けられた把持部と、
前記中棒のうち前記先端部材と前記把持部との間の中間部に、前記軸方向に移動可能に挿通されたスライダーと、
一端がそれぞれ前記先端部材に接続されるとともに、当該先端部材を中心に放射状に延びるように配置される複数の親骨と、
一端がそれぞれ前記スライダーに接続されるとともに、前記複数の親骨にそれぞれ対応して設けられた複数の支持骨と、
前記先端部材に対応する部位が当該先端部材に固定され、前記複数の親骨に係合されつつ展開可能な傘布と、
を有し、
前記複数の親骨のそれぞれが、
一端が前記先端部材に対し回動自在にヒンジ接続された第1骨と、
一端が前記第1骨の他端に対し回動自在にヒンジ接続された第2骨と、
一端が前記第2骨の他端に対し回動自在にヒンジ接続された第3骨と、
を少なくとも含む多関節構造を備え、
前記複数の支持骨それぞれの前記一端よりも他端側の部位が、前記第1骨、前記第2骨、前記第3骨のうち少なくとも1つと回動可能にヒンジ接続され、
ユーザの操作により前記スライダーが前記軸方向に沿って移動するのに伴った前記支持骨と前記中棒の軸心との角度変化によって、対応する前記親骨の前記多関節構造を伸長させた傘広げ状態と、対応する前記親骨の前記多関節構造を折り畳んだ傘折畳み状態と、を切替駆動可能な折り畳み傘であって、
前記複数の親骨は、
骨の伸長方向に沿った延設長さの合計が互いに異なる複数種類の親骨を含み、かつ、
前記傘広げ状態において前記放射状に延びた各親骨の他端を結んだ楕円形状又は多角形形状の第1中心位置が、前記先端部材よりも前記ユーザから見て前方側にオフセットするように配置されており、
前記傘布は、
前記傘広げ状態において、前記ユーザから見て左右方向かつ前後方向における第2中心位置が、前記先端部材への固定位置よりも前記前方側にオフセットするように配置されている、
ことを特徴とする折り畳み傘。
【請求項2】
請求項1記載の折り畳み傘において、
前記複数種類を含む前記複数の親骨は、
前記傘広げ状態において、互いに隣接する2つの親骨どうしの間の角度間隔が、前記前方側になるほど小さくなるように、構成されている
ことを特徴とする折り畳み傘。
【請求項3】
請求項2記載の折り畳み傘において、
前記傘広げ状態において、前記傘布のうち、前記先端部材への固定位置よりも前記前方側にオフセットした特定部位の前記軸方向に沿った高さ方向の位置が、他の部位の前記高さ方向の位置よりも高くなるように、構成されている
ことを特徴とする折り畳み傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み傘に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、親骨40、上ロクロ20及び中棒10を備える折り畳み傘が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3171063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の折り畳み傘では、折り畳み傘の中心位置に上ロクロや中棒が位置しているため、開いた傘の中心位置にユーザが位置することができない。その結果、傘を広げた状態において、ユーザから傘布の外縁までの距離が小さくなり十分な雨除け機能を確保できない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、ユーザから傘布の左右前後の外縁までの距離を均等に大きく確保することができ、より多くの面積を雨除けのために使用し、確実に雨水から身を守ることができる折り畳み傘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の折り畳み傘は、軸方向に伸縮可能に構成された中棒と、前記中棒の先端に固定された先端部材と、前記中棒の基端に取り付けられた把持部と、前記中棒のうち前記先端部材と前記把持部との間の中間部に、前記軸方向に移動可能に挿通されたスライダーと、一端がそれぞれ前記先端部材に接続されるとともに、当該先端部材を中心に放射状に延びるように配置される複数の親骨と、一端がそれぞれ前記スライダーに接続されるとともに、前記複数の親骨にそれぞれ対応して設けられた複数の支持骨と、前記先端部材に対応する部位が当該先端部材に固定され、前記複数の親骨に係合されつつ展開可能な傘布と、を有し、前記複数の親骨のそれぞれが、一端が前記先端部材に対し回動自在にヒンジ接続された第1骨と、一端が前記第1骨の他端に対し回動自在にヒンジ接続された第2骨と、一端が前記第2骨の他端に対し回動自在にヒンジ接続された第3骨と、を少なくとも含む多関節構造を備え、前記複数の支持骨それぞれの前記一端よりも他端側の部位が、前記第1骨、前記第2骨、前記第3骨のうち少なくとも1つと回動可能にヒンジ接続され、ユーザの操作により前記スライダーが前記軸方向に沿って移動するのに伴った前記支持骨と前記中棒の軸心との角度変化によって、対応する前記親骨の前記多関節構造を伸長させた傘広げ状態と、対応する前記親骨の前記多関節構造を折り畳んだ傘折畳み状態と、を切替駆動可能な折り畳み傘であって、前記複数の親骨は、骨の伸長方向に沿った延設長さの合計が互いに異なる複数種類の親骨を含み、かつ、前記傘広げ状態において前記放射状に延びた各親骨の他端を結んだ楕円形状又は多角形形状の第1中心位置が、前記先端部材よりも前記ユーザから見て前方側にオフセットするように配置されており、前記傘布は、前記傘広げ状態において、前記ユーザから見て左右方向かつ前後方向における第2中心位置が、前記先端部材への固定位置よりも前記前方側にオフセットするように配置されていることを特徴としている。
【0007】
本願発明の折り畳み傘において、傘広げ状態では、複数の親骨の中心や傘布の中心が、先端部材の位置よりも前方側にオフセットされている。言い換えれば、傘の中心位置よりも後方側にオフセットした状態で先端部材や中棒が位置していることになる。これらが後方にオフセットしていることにより、開いた傘の中心位置にユーザが位置することができる。つまり傘広げ状態において、ユーザから傘布の左右前後の外縁までの距離を均等に大きく確保することができるので、より多くの面積を雨除けのために使用し、確実に雨水から身を守ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り畳み傘によれば、ユーザから傘布の左右前後の外縁までの距離を均等に大きく確保することができ、より多くの面積を雨除けのために使用し、確実に雨水から身を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の折り畳み傘の斜視図である。
図2】傘開き状態の折り畳み傘を上方向から見た正面図である。
図3】中棒と親骨との構成を表す構造概念図である。
図4】後方に配置される親骨と支持骨との詳細な構造を表す斜視図である。
図5】前方に配置される親骨と支持骨との詳細な構造を表す斜視図である。
図6】先端部材の構造概念図である。
図7】折り畳み傘の効果を説明する概念図である。
図8】親骨と先端部材の軸方向と角度及び支持骨との距離との相関関係を説明する概念図である。
図9】変形例に係る折り畳み傘を上方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1に本実施形態の折り畳み傘1を左下方から見た斜視図を示す。図1に示す方角は、折り畳み傘1を使用するユーザから見た前後方向、左右方向及びユーザが立っている地面に垂直に向かう下方向と下方向と逆の上方向からなる上下方向である。同様の方角が適宜図2図9にも適宜適用される。
【0012】
折り畳み傘1は中棒2、先端部材3、把持部4、スライダー5、複数の親骨6、複数の支持骨7、傘布8を有する。中棒2は軸心Kの軸方向に伸縮可能に構成されている。先端部材3は中棒2の先端(この図の上方向端部)に固定されている。把持部4は中棒2の基端(この図の下方向端部)に取り付けられている。ユーザは把持部4を折り畳み傘1のハンドル(持ち手)として使用する。スライダー5は中棒2のうち先端部材3と把持部4との間の中間部に、軸心Kの軸方向に移動可能に挿通されている。
【0013】
複数の親骨6は、一端(この図の前後方向において、中棒2に近い側の端部)がそれぞれ先端部材3に接続されるとともに、先端部材3を中心に放射状に延びるように配置されている。折り畳み傘1は、複数の親骨6のそれぞれが、少なくとも第1骨9と、第2骨10と、第3骨11とを含む多関節構造を備える。
【0014】
第1骨9は一端(この図の前後方向において中棒2に近い側の端部)が先端部材3に対し回動自在にヒンジ接続され、第2骨10は一端(この図の前後方向において中棒2に近い側の端部)が第1骨9の他端(この図の前後方向において中棒2に遠い側の端部)に対し回動自在にヒンジ接続され、第3骨11は一端(この図の前後方向において中棒2に近い側の端部)が第2骨10の他端(この図の前後方向において中棒2に遠い側の端部)に対し回動自在にヒンジ接続されている。
【0015】
支持骨7は、一端(この図の前後方向において中棒2に近い側の端部)がそれぞれスライダー5に接続されるとともに、複数の親骨6にそれぞれ対応して設けられている。すなわち複数の支持骨7は複数の親骨6と同数となるように設けられている。
【0016】
傘布8は、先端部材3に対応する部位14が先端部材3に固定され、複数の親骨6に係合され展開されている。この図では、図示の煩雑を避けるため、4本の親骨6及び支持骨7と傘布8の一部のみを図示しているが、実際には親骨6及び支持骨7は5本以上の所定本数が配置されており、傘布8は全ての親骨6の上方向表面をカバーするように配置される。傘布8は雨除け用の防水加工されたものや日よけ用の布などを用いることができる。
【0017】
折り畳み傘1は、複数の支持骨7それぞれの一端(この図の前後方向において中棒2に近い側の端部)よりも他端(この図の前後方向において中棒2に遠い側の端部)側の部位が、第1骨9、第2骨10、第3骨11のうち少なくとも1つと回動可能にヒンジ接続され、ユーザの操作によりスライダー5が軸心Kの軸方向に沿って移動するのに伴った支持骨7と中棒2の軸心Kの軸方向との角度θの変化によって、対応する親骨6の多関節構造を伸長させた傘広げ状態と、対応する親骨6の多関節構造を折り畳んだ傘折畳み状態とを切替駆動可能となっている。
【0018】
前記部位としては、例えば複数の支持骨7の前記他端側の端部およびその近傍、前記一端と前記他端との中間部等を指す。
【0019】
親骨6のうち、先端部材3の中心(前後方向における中心位置)よりも前方向に配置される親骨6′は、さらに、第4骨12と第5骨13とを含む。第4骨12の一端(この図の前後方向において中棒2に近い側の端部)は第3骨11の他端(この図の前後方向において中棒2に遠い側の端部)に対して回動自在にヒンジ接続され、第5骨13の一端(この図の前後方向において中棒2に近い側の端部)は第4骨12の他端(この図の前後方向において中棒2に遠い側の端部)に対して回動自在にヒンジ接続されている。
【0020】
親骨6のうち、先端部材3の中心よりも後方向に配置される親骨6″は、第1骨9、第2骨10、第3骨11のみから構成される。
【0021】
すなわち、親骨6′と親骨6″は骨の伸長方向に沿った延設長さの合計が互いに異なり、かつ先端部材3の前方に配置される親骨6′のほうが前記延設長さが長くなるようになっている。
【0022】
この図において、折り畳み傘1は傘開き状態にあり、ユーザは、傘開き状態において前記延設長さが長い親骨6′が配置されている側が前方向となり、前記延設長さが短い親骨6″が配置されている側が後方向となるように、折り畳み傘1の把持部4を把持して使用する。
【0023】
折り畳み傘1は、傘広げ状態において、傘布8のうち、先端部材3への固定位置よりも前方側にオフセットした特定部位15の前記軸方向に沿った高さ方向の位置が、他の部位の前記高さ方向の位置よりも高くなるように、構成されている。
【0024】
すなわち、折り畳み傘1は、傘広げ状態において、展開された折り畳み傘1の傘布8の上下方向における頂点位置が先端部材3よりも前方にオフセットされている。
【0025】
図2に、傘開き状態の折り畳み傘1を上方向から見た正面図を示す。
【0026】
複数の親骨6は、骨の伸長方向に沿った延設長さの合計が互いに異なる複数種類の親骨6を含み、かつ、傘広げ状態において放射状に延びた各親骨6の他端(先端部材3に遠い方の端部)を結んだ楕円形状の第1中心位置Xが、先端部材3よりもユーザから見て前方側にオフセットするように配置されている。この図では各親骨6の前記他端を結んだ楕円形状の中心位置を第1中心位置Xとしているが、各親骨6の前記他端を結んだ多角形形状の中心位置を第1中心位置Xとしてもよい。
【0027】
この図では、それぞれ長さの異なる4種類の親骨6a、6b、6c、6d(以下適宜、親骨6と称する)が2本ずつ、計8本配置されている。親骨6の前記延設長さは、図1の親骨6′にて説明したように、親骨6に第4骨12、第5骨13等を含めることで異ならせてもよいし、親骨1~親骨3の少なくともいずれかの部品の長さそのものを異ならせてもよい。
【0028】
傘布8は、前記傘広げ状態において、ユーザから見て左右方向かつ前後方向における第2中心位置Yが、先端部材3への固定位置14よりも前方側にオフセットするように配置されている。
【0029】
折り畳み傘1において、前記複数種類を含む複数の親骨6は、傘広げ状態において、互いに隣接する2つの親骨6どうしの間の角度間隔が、前方側になるほど小さくなるように、構成されている。
【0030】
この図では、親骨6d同士のなす角θe、親骨6cと親骨6dとのなす角θd、親骨6bと親骨6cとのなす角θc、親骨6aと親骨6bとのなす角θb、親骨6a同士のなす角θaのそれぞれが以下の式を満たすようになっている。
θe<θd<θc<θb<θa
【0031】
すなわち、前後方向において、先端部材3と遠い側の端部が最も前方向に配置される親骨6d同士が最も角度間隔が小さく、先端部材3と遠い側の端部が最も後方向に配置される親骨6a同士が最も角度間隔が大きくなっている。
【0032】
図3に中棒2と親骨6との構成を示す構造概念図を示す。中棒2は中棒部材2a、2b、2cを含み、これらが把持部4に順番にはめこまれ伸縮可能に連結されている。
【0033】
第1骨9の一端(前後方向において中棒2に近い側の端部)は先端部材3に対して回動自在に連結され、先端部材3を介して中棒2と相互に連結される。
【0034】
支持骨7の一端(前後方向において中棒2に近い側の端部)はスライダー5に接続され、スライダー5を介して中棒2と相互に連結される。折り畳み傘1を開くときには、ユーザは中棒部材2a~2cを伸ばしつつ、スライダー5を上方向に移動させ、先端部材3及びスライダー5を介して中棒2に接続される親骨6の多関節構造及び支持骨7のそれぞれが連動し、折り畳み傘1が開く。
【0035】
図4に親骨6″と支持骨7との詳細構造について示す。親骨6″は第1骨9と第2骨10と第3骨11とから構成される。
【0036】
第1骨9の、第2骨10と接続されている側の端部は二股状の分岐片16を有し、第2骨10の、第1骨9と接続されている側の端部はそれら二つの分岐片16の間に挿入されて、第1骨9の二つの分岐片16とヒンジ接続されている。支持骨7は第1骨9の二股状の分岐片16を通過し、かつ第1骨9とヒンジ接続されている。また、第2骨10及び支持骨7とは二股状に分岐した接続部品17を介して、第2骨11と、それぞれヒンジ接続されている。この構造については親骨6′についても同様である。
【0037】
支持骨7、第3骨11の間は補助紐Aより接続されている。補助紐Aは折り畳み傘1を開く時にこれらを押し広げる動きを補助し、完全に折り畳み傘1を開かせる。
【0038】
図5に親骨6′と支持骨7との詳細構造について示す。
【0039】
親骨6′は第1骨9、第2骨10、第3骨11、第4骨12、第5骨13を含む。
【0040】
第3骨11及び第4骨12とは二股状に分岐した接続部品17′を介してヒンジ接続されている。第4骨12及び第5骨13とは二股状に分岐した接続部品17″を介してヒンジ接続されている。
【0041】
支持骨7、第3骨11、第5骨13の間は補助紐A、B、Cにより接続されている。補助紐A、B、Cは折り畳み傘1を開く時にこれらを押し広げる動きを補助し、完全に折り畳み傘1を開かせる。
【0042】
図6に先端部材3の構造概念図を示す。図5(a)は先端部材3を左方向から見た構造概念図であり、図5(b)は図5(a)のP―P線における断面図である。
【0043】
図1で説明したように、折り畳み傘1の上下方向高さの頂点は、先端部材3よりも前方向にあるので、先端部材3の上端は、水平ではなく、ユーザから見た前方向のほうが上下方向の高さが高くなり、後方向のほうが高さが低くなるように構成されている。
【0044】
先端部材3の骨ピット18は例えば複数の開口であり、複数の第1骨9の一端が差し込まれている。ワイヤーピット19には金属製ワイヤーが通されて環状に巻き付けられており、複数の第1骨9を先端部材3に固定している。
【0045】
図7に折り畳み傘1の効果を説明する概念図を示す。図7(a)に示す従来構造の折り畳み傘20では、従来構造の先端部材21が傘広げ状態における従来構造の傘布22の前後方向及び左右方向の中心に配置される。一方本実施形態の折り畳み傘1では図2でも説明したように傘布8の中心が先端部材3よりも前方に来るので、使用者Mは折り畳み傘1の中心に位置することができ、使用者Mの使用エリアSは図7(a)よりも図7(b)の方が広くなる。
【0046】
図8に、親骨6′と親骨6″が先端部材3の軸心Kの軸方向との間になす角度及び支持骨7との距離との相関関係を説明する概念図を示す。
【0047】
折り畳み傘1に含まれる親骨6′、親骨6″、支持骨7は以下の式を満たすように配置することができる。
+b=a+b
【0048】
また、軸心Kの軸方向に対する親骨6′及び親骨6″の角度が以下の式に略対応するように配置することができる。
θ:θ=a:a
【0049】
この図では親骨6′と親骨6″のみについて説明したが上記式は複数の親骨6のそれぞれに適応することができる。
【0050】
<実施形態の効果>
本実施形態の折り畳み傘1において、傘広げ状態では、複数の親骨6の中心や傘布8の中心が、先端部材3の位置よりも前方側にオフセットされている。言い換えれば、傘の中心位置よりも後方側にオフセットした状態で先端部材3や中棒2が位置していることになる。これらが後方にオフセットしていることにより、開いた傘の中心位置にユーザが位置することができる。つまり傘広げ状態において、ユーザから傘布8の左右前後の外縁までの距離を均等に大きく確保することができるので、より多くの面積を雨除けのために使用し、確実に雨水から身を守ることができる。
【0051】
また、本実施形態では特に、上記偏心構造により、親骨6は、前方側に位置する親骨6ほど後方側に位置する親骨6よりも長くなる。そのため、隣接する親骨6どうしの角度間隔をすべて均等にすると、前方側の長い親骨6の強度が後方側の短い親骨6の強度よりも弱くなる。これを補うために、後方側から前方側になるほど、親骨6の角度間隔を順次小さくなるように配置する。これにより、上記のような前方側の強度不足を補い、全体的に均一な親骨強度を実現することができる。
【0052】
また、本実施形態では特に、前述の偏心構造に対応し、傘布8を、先端部材3や中棒2の位置よりも前方側の特定部位15で最も高くなるような形状・配置とする。これにより、実際に傘広げ状態とするときにユーザの頭上付近を頂点とする略逆向きお椀状の防水構造を実現できるので、ユーザはさらに確実に雨水から身を守ることができる。
【0053】
また、折り畳めない通常構造の傘の場合には、把持部4から先端部材3までの長さは決まっているため、前方向の親骨6の長さをそれ以上長くすると持ち運びの邪魔となってしまうが、本実施形態においては、親骨6の長さが長くなっても収納する際には折り畳むので前記長さに設計上の制限が生じることはない。
【0054】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について説明する。
【0055】
(1)一番長い親骨6が一本だけのもの
図9に変形例の折り畳み傘1′を傘開き状態において上方向から見たときの正面図を示す。
【0056】
図2では、折り畳み傘1の前方向に、延設長さが最も長い親骨6dが2本配置されていたが、この変形例では最も長い親骨6d′が1本のみ配置されている。この他に延設長さがそれぞれ異なる親骨6a′、6b′、6c′が2本ずつ配置されている。
【0057】
この変形例においても、傘広げ状態において、複数の親骨6の中心や傘布8の中心が、先端部材3の位置よりも前方側にオフセットされ、言い換えれば、傘の中心位置よりも後方側にオフセットした状態で先端部材3や中棒2が位置していることになる。これによりユーザから傘布8の左右前後の外縁までの距離を均等に大きく確保することができ、より多くの面積を雨除けのために使用し、確実に雨水から身を守ることができる。
【0058】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0059】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0060】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1、1′ 折り畳み傘
2 中棒
3 先端部材
4 把持部
5 スライダー
6、6′、6″ 親骨
7 支持骨
8 傘布
9 第1骨
10 第2骨
11 第3骨
12 第4骨
13 第5骨
14 先端部材に対応する部位
15 特定部位
16 分岐片
17、17′、17″ 接続部品
18 骨ピット
19 ワイヤーピット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9