(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104582
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/30 20060101AFI20230721BHJP
B65H 3/08 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B65H1/30 320
B65H3/08 342A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005669
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石本 諒
(72)【発明者】
【氏名】加納 孝朗
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FA06
3F343FA09
3F343FA17
3F343FC26
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC02
3F343GD04
3F343GE02
3F343GE04
3F343GE09
3F343GE12
3F343GE14
3F343JB02
3F343KB02
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA13
(57)【要約】
【課題】積層体を構成する被搬送物の払出しの時間間隔を維持させつつ、積層体を装置に補充する作業者の安全性をより確実に確保する。
【解決手段】搬送装置1は、払出部20と、第1搬送部30と、第2搬送部40とを備える。払出部20は、第1の位置P1に配置された積層体9から、所定の時間間隔tで被搬送物90を1枚ずつ払出位置P0に払い出す。第1の位置P1に配置された積層体9から払出部20によって被搬送物90が全て取り出された後、第1搬送部30が第2の位置P2から第1の位置P1へ積層体9を搬送することにより、払出部20による被搬送物90の払出しの時間間隔tが維持される。第2搬送部40は、第1搬送部30によって第2の位置P2から第1の位置P1に搬送された積層体9の被搬送物90が払出部20によって全て払い出される前に、充填位置P3から第2の位置P2へ積層体9を搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被搬送物が互いに積み重ねられた積層体を搬送した後、前記積層体から前記被搬送物を1つずつ払い出す、搬送装置であって、
第1の位置に配置された積層体から、所定の時間間隔で被搬送物を1枚ずつ払出位置に払い出す、払出部と、
前記第1の位置に配置される積層体の積層方向である第1積層方向から見て、前記第1の位置とは異なる第2の位置に配置された積層体を、前記第1の位置に搬送する第1搬送部と、
前記第1積層方向から見て前記第2の位置とは異なる充填位置に充填された積層体を、前記第2の位置に搬送する第2搬送部とを備え、
前記第1の位置に配置された積層体から前記払出部によって被搬送物が全て取り出された後、前記第1搬送部が前記第2の位置から前記第1の位置へ積層体を搬送することにより、前記払出部による被搬送物払出しの前記時間間隔が維持され、
前記第2搬送部は、前記第1搬送部によって前記第2の位置から前記第1の位置に搬送された積層体の被搬送物が前記払出部によって全て払い出される前に、前記充填位置から前記第2の位置へ積層体を搬送する、搬送装置。
【請求項2】
前記払出部は、
積層体の最も上部に位置する被搬送物を持ち上げることができる保持部と、
前記保持部を支持し、前記保持部を前記第1の位置に配置された積層体の上方から下降させる下降動作と、前記第1の位置に配置された積層体の被搬送物を保持した前記保持部を上昇させる上昇動作と、前記上昇動作の後、前記保持部に保持された被搬送物を前記払出位置に払い出し、かつ、前記保持部を再び前記第1の位置に配置された積層体の上方に戻すための往復動作とを実施する、アーム部とを有し、
前記第1搬送部は、前記第1の位置に配置された積層体の最後の被搬送物を払い出す際の前記往復動作の間に、前記第2の位置に配置された積層体を、前記第1の位置に搬送する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送部は、前記第2の位置に積層体を載置可能な第1搬送台を有し、
前記第2搬送部は、
前記充填位置に配置される積層体の積層方向である第2積層方向から見て前記第1搬送台と隣り合い、かつ、前記充填位置に積層体を載置可能な第2搬送台と、
前記第2積層方向から見て、前記第2搬送台上に載置された積層体を前記第1搬送台上に向かって押し出す押出部とを有し、
前記第2積層方向に直交する方向から見て、前記第2搬送台は、前記第1搬送台より上方に位置している、請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第2搬送台は、前記第2積層方向から見て、前記充填位置から前記第2の位置に向かって延び、かつ、前記押出部の押出方向から見て互いに離間する複数のレールを有しており、
前記押出部は、前記押出方向から見て、前記第2搬送台と離間しており、かつ、前記複数のレールの間から上方に向かって延びている、請求項3に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の被搬送物が互いに積み重ねられた積層体を搬送する搬送装置を開示した文献として、特開2020-175999号公報(特許文献1)がある。特許文献1に開示された移送装置は、移送対象のシート積重体をシートが積み重ねられたままの状態で所望の位置に移送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被搬送物が互いに積み重ねられた積層体が搬送部により搬送された後、さらに、払出部により、積層体から被搬送物を1つずつ所定の時間間隔で払い出す場合がある。この場合、第1の積層体から最後の被搬送物が払い出される過程のなか、搬送部により第2の積層体が上記時間間隔より短い時間内で払出部へ搬送される。これにより、被搬送物の払出しにおける上記時間間隔が維持される。
【0005】
しかしながら、上記時間間隔が短い場合には、搬送部による被搬送物の搬送速度が比較的速くなる。そうすると、搬送速度の速い搬送部に対して、作業者がさらに第3の積層体を補充する際には、作業者の安全性確保が困難となる場合がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、積層体を構成する被搬送物の払出しの時間間隔を維持させつつ、積層体を装置に補充する作業者の安全性をより確実に確保できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づく搬送装置は、複数の被搬送物が互いに積み重ねられた積層体を搬送した後、積層体から被搬送物を1つずつ払い出す。当該搬送装置は、払出部と、第1搬送部と、第2搬送部とを備える。払出部は、第1の位置に配置された積層体から、所定の時間間隔で被搬送物を1つずつ払出位置に払い出す。第1搬送部は、第1の位置に配置される積層体の積層方向である第1積層方向から見て、第1の位置とは異なる第2の位置に配置された積層体を、第1の位置に搬送する。第2搬送部は、第1積層方向から見て第2の位置とは異なる充填位置に充填された積層体を、第2の位置に搬送する。第1の位置に配置された積層体から払出部によって被搬送物が全て取り出された後、第1搬送部が第2の位置から第1の位置へ積層体を搬送することにより、払出部による被搬送物払出しの時間間隔が維持される。第2搬送部は、第1搬送部によって第2の位置から第1の位置に搬送された積層体の被搬送物が払出部によって全て払い出される前に、充填位置から第2の位置へ積層体を搬送する。
【0008】
本発明の一形態において、払出部は、保持部と、アーム部とを有する。保持部は、積層体の最も上部に位置する被搬送物を持ち上げることができる。アーム部は、保持部を支持し、保持部を第1の位置に配置された積層体の上方から下降させる下降動作と、第1の位置に配置された積層体の被搬送物を保持した保持部を上方に上昇させる上昇動作と、上昇動作の後、保持部に保持された被搬送物を払出位置に払い出し、かつ、保持部を再び第1の位置に配置された積層体の上方に戻すための往復動作とを実施する。第1搬送部は、第1の位置に配置された積層体の最後の被搬送物を払い出す際の往復動作の間に、第2の位置に配置された積層体を、第1の位置に搬送する。
【0009】
本発明の一形態において、第1搬送部は、第2の位置に積層体を載置可能な第1搬送台を有する。第2搬送部は、第2搬送台と、押出部とを有する。第2搬送台は、充填位置に配置される積層体の積層方向である第2積層方向から見て、第1搬送台と隣り合い、かつ、充填位置に積層体を載置可能である。押出部は、第2積層方向から見て、第2搬送台上に載置された積層体を、第1搬送台上に向かって押し出す。第2積層方向に直交する方向から見て、第2搬送台は、第1搬送台より上方に位置している。
【0010】
本発明の一形態において、第2搬送台は、複数のレールを有している。複数のレールは、第2積層方向から見て充填位置から第2の位置に向かって延び、かつ、押出部の押出方向から見て互いに離間している。押出部は、押出方向から見て、第2搬送台と離間しており、かつ、複数のレールの間から上方に向かって延びている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、払出部による第1の位置からの被搬送物の払出しの時間間隔を維持させる場合に、第1搬送部による第2の位置から第1の位置への積層体の搬送にかけられる時間は上記時間間隔より短くなる。一方で、第2搬送部による補充位置から第2の位置への積層体の搬送にかけられる時間は上記時間間隔より長くできる。このため、第1搬送部の積層体の搬送速度より、第2搬送部の充填位置から第2の位置への積層体の搬送速度を容易に遅くできる。したがって、被搬送物の払出しの時間間隔を維持させつつ、搬送部に係る充填位置に積層体を補充する作業者の安全性をより確実に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1の搬送装置を矢印II方向から見た部分側面図である。
【
図3】
図1の搬送装置の一部の構成を矢印III方向から見た部分正面図である。
【
図4】
図1の搬送装置の一部の構成を矢印IV方向から見た部分正面図である。
【
図5】本実施形態に係る搬送装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が下降動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
【
図7】本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が上昇動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
【
図8】本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が払出位置への旋回動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
【
図9】本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が払出位置への旋回動作を実施した状態を示す平面図である。
【
図10】本実施形態に係る搬送装置において、第2下降動作を実施した直後の状態を示す側面図である。
【
図11】本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が第2上昇動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
【
図12】本実施形態に係る搬送装置において、払出部が第1の位置から最後の被搬送物を払い出す動作の途中の状態を示す平面図である。
【
図13】本実施形態に係る搬送装置において、第2の位置から第1の位置へ積層体を搬送した直後の状態を示す図である。
【
図14】本実施形態に係る搬送装置について、充填位置から第2の位置に積層体を搬送させている途中の状態を示す平面図である。
【
図15】
図14の搬送装置の一部をXV-XV線矢印方向から見た断面図である。
【
図16】本実施形態に係る搬送装置において、充填位置から第2の位置へ積層体を搬送した直後の状態を示す平面図である。
【
図17】本実施形態に係る搬送装置において、補充位置から充填位置へ積層体を搬送した直後の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る搬送装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0014】
図1は、本実施形態に係る搬送装置の平面図である。
図2は、
図1の搬送装置を矢印II方向から見た部分側面図である。
図3は、
図1の搬送装置の一部の構成を矢印III方向から見た部分正面図である。
図4は、
図1の搬送装置の一部の構成を矢印IV方向から見た部分正面図である。
図5は、本実施形態に係る搬送装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1から
図5に示すように、搬送装置1は、送出部10と、払出部20と、第1搬送部30と、第2搬送部40と、これらのそれぞれと通信可能に接続された制御部50とを備える。搬送装置1は、第2搬送部40によって、複数の被搬送物90が互いに積み重ねられた積層体9を第1搬送部30へ搬送した後、払出部20により、積層体9から被搬送物90を送出部10へ1つずつ払い出す。送出部10は、被搬送物90を搬送装置1外に送り出す。
【0016】
なお、本実施形態に係る搬送装置1にて搬送される複数の被搬送物90は、積層体9として互いに積み重ねられている際、互いに接着されていないが、粘着剤で互いに接着されつつ容易に離間可能に積層されていてもよい。複数の被搬送物90は、互いに同一の物品であるが、互いに異なる物品であってもよい。また、本実施形態の説明において、被搬送物90は、具体的には、シート状の物品である。シート状の物品としては、パウチ等に用いられる袋体が平坦状に折り畳まれたもの、または、紙、段ボール、フィルムなどが挙げられる。積層体9の積層方向から見て、被搬送物90は矩形状の外形を有しているが、当該積層方向から見たときの被搬送物90の外形は特に限定されない。
【0017】
まず、送出部10について説明する。
図1および
図2に示すように、送出部10は、払出部20によって払出位置P0に払い出された被搬送物90を、搬送装置1外、すなわち、第1搬送部30から離れるように送出する。
【0018】
送出部10は、送出ローラ11と、送出ベルト12とを有している。送出ローラ11はたとえばモータなどの駆動機構により回動可能に設けられている。送出ローラ11の軸方向は、水平方向に伸びている。送出ベルト12は、送出ローラ11と係合している。送出ローラ11が回動することで、送出ベルト12は送出方向に摺動し、送出ベルト12上の被搬送物90が搬送される。すなわち、払出位置P0は送出ベルト12上である。
【0019】
送出ベルト12は、常に送出ローラ11が回動していることで常に摺動していてもよいし、払出位置P0に被搬送物が載置されることを図示しない検知器が検知した後、検知器から検知信号を受信した制御部50が送出部10の送出ローラ11を所定時間駆動させてもよい。
【0020】
また、本実施形態に係る搬送装置1は、払出位置P0を2つ備えている。それぞれの払出位置P0に対応するように、送出部10は2つの送出ローラ11および2つの送出ベルト12を有している。このように払出位置P0が複数ある場合には、送出部10は払出位置P0の数に対応するように複数の送出ローラ11および複数の送出ベルト12を有していればよい。複数の送出ローラ11は、被搬送物90の送出方向に交差する方向、すなわち、複数の送出ローラ11の軸方向に沿う方向に並んでいる。および複数の送出ベルト12も複数の送出ローラ11のそれぞれに対応するように並んでいる。
【0021】
次に、払出部20について説明する。
図1から
図3に示すように、払出部20は、払出位置P0上の被搬送物90が送出されるたびに、第1の位置P1に位置する積層体9から被搬送物90を1つ取り出して払出位置P0に払い出し、この払出しを所定の時間間隔tで、繰り返し行う。
【0022】
払出部20は、保持部21と、保持部21に接続されたアーム部22とを有している。保持部21は、積層体9の最も上部に位置する被搬送物90を1つのみ持ち上げることができる。具体的には、保持部21は、アーム部22から下方に向かって延びる軸部211と、軸部211の先端に位置する吸着部212とを有している。
【0023】
吸着部212は、積層体9に上方から接触したときに、積層体9の最も上部に位置する被搬送物90に吸着することで被搬送物90を保持できる。具体的には、吸着部212は、たとえば吸排気機構による吸気で被搬送物90との間の空間を負圧にすることで被搬送物90に吸着できる。また、吸着部212は、吸着した被搬送物90を吸着部212から離脱させることができる。具体的には、吸着部212は、たとえば吸排気機構による排気で被搬送物90との間の空間を正圧にすることで被搬送物90を離脱させることができる。
【0024】
本実施形態において、払出部20は、複数の保持部21を有している。払出部20は、少なくとも払出位置P0の数と同じ数の保持部21を有していればよいが、本実施形態においては、1つの払出位置P0に対して2つの保持部21を有している。すなわち、本実施形態において払出部20は4つの保持部21を有しており、2つの払出位置P0の各々に2つの保持部21が対応する。
【0025】
アーム部22は、複数の保持部21を支持している。具体的には、アーム部22は、本体部221と旋回部222と摺動部223とを有している。第1の位置P1に配置される積層体9の積層方向である第1積層方向D1から見て、本体部221は、払出位置P0および第1の位置P1と重ならないように位置している。
【0026】
旋回部222は、第1積層方向D1から見て本体部221から延びている。旋回部222は、モータなどの駆動機構により、本体部221を中心に旋回可能に構成されている。旋回部222における本体部221側とは反対側の端部は、第1積層方向D1から見て、第1の位置P1と払出位置P0との間を往復するように旋回可能に構成されている。また、第1積層方向D1から見て、旋回部222は、そのリンク機構により、本体部221側とは反対側の端部が、第1の位置P1と払出位置P0との間を略直線的に移動可能に構成されている。
【0027】
摺動部223は、旋回部222の本体部221側とは反対側の端部に接続されており、旋回部222から下方に向かって延びている。摺動部223は、保持部21を支持しており、より具体的には複数の軸部211を支持している。摺動部223は、アクチュエータなどの機構により旋回部222に対して上下方向に摺動可能である。このため、摺動部223は、払出位置P0および第1の位置P1のそれぞれにおいて、保持部21を上昇および下降させることができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、払出位置P0の数に対応するように第1搬送部30に第1の位置P1が設けられ、具体的には第1の位置P1が2つ設けられている。2つの第1の位置P1のそれぞれに位置する2つの積層体9からの払出しは、払出部20によって、2つの払出位置P0のそれぞれに対応するように、同時に行われる。
【0029】
次に、払出部20の動作について説明する。
図6は、本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が下降動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
図2、
図3および
図6に示すように、保持部21が、第1の位置P1に配置された積層体9の上方に位置する状態から、アーム部22の摺動部223が、第1の位置P1に対して相対的に下方に摺動する。これにより、保持部21の軸部211が下方に変位するとともに、吸着部212が、積層体9の最も上部に位置する被搬送物90に当接する。このようにして、アーム部22は、保持部21を第1の位置P1に配置された積層体9の上方から下降させる(第1)下降動作M1を実施する。
【0030】
下降動作M1の後、保持部21は、吸排気機構による吸気で吸着部212に接触した被搬送物90との間の空間を負圧にすることで吸着部212に被搬送物90を吸着させる。このようにして、保持部21は、アーム部22の下降動作M1の後、積層体9の最も上部に位置する被搬送物90を保持する保持動作を実施する。
【0031】
図7は、本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が上昇動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
図6および
図7に示すように、保持部21が被搬送物90を保持した状態、すなわち、吸着部212が被搬送物90に吸着した状態で、アーム部22の摺動部223が、第1の位置P1に対して相対的に上方に摺動する。このようにして、アーム部22は、第1の位置P1に配置された積層体9の被搬送物90を保持した保持部21を上昇させる(第1)上昇動作M2を実施する。
【0032】
図8は、本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が払出位置への旋回動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
図9は、本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が払出位置への旋回動作を実施した直後の状態を示す平面図である。
図7から
図9に示すように、吸着部212が被搬送物90に吸着した状態で、アーム部22の旋回部222が、その被搬送物90が第1の位置P1の上方から払出位置P0の上方に移動するように、本体部221側を中心に旋回する第1旋回動作を実施する。
【0033】
図10は、本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が第2下降動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
図10に示すように、吸着部212が被搬送物90に吸着した状態で、アーム部22の摺動部223が、払出位置P0に対して相対的に下方に摺動する第2下降動作を実施する。そして、吸着部212に吸着した被搬送物90は、払出位置P0に配置される。
【0034】
第2下降動作の後、保持部21は、吸排気機構による排気で吸着部212に接触している被搬送物90との間の空間を正圧にすることで吸着部212から被搬送物90を離脱させる。このようにして、保持部21は、第2の下降動作の後、保持していた被搬送物90の保持解除動作を実施する。
【0035】
図11は、本実施形態に係る搬送装置において、アーム部が第2上昇動作を実施した直後の状態を示す部分側面図である。
図10および
図11に示すように、保持部21の保持解除動作の後、アーム部22の摺動部223が、払出位置P0に対して相対的に上方に摺動する。このようにして、アーム部22は、払出位置P0に被搬送物90を載置した後に払出位置P0から保持部21を上昇させる第2上昇動作を実施する。
【0036】
さらに、
図1に示すように、保持部21が被搬送物90を保持していない状態、すなわち、吸着部212が被搬送物90に吸着していない状態において、保持部21が払出位置P0の上方から第1の位置P1の上方に移動するように、アーム部22の旋回部222が、本体部221側を中心に旋回する第2旋回動作を実施する。
【0037】
このように、アーム部22は、上昇動作M2の後、保持部21に保持された被搬送物90を払出位置P0に払い出し、かつ、保持部21を再び第1の位置P1に配置された積層体9の上方に戻すための往復動作M3を実施する。すなわち、本実施形態において、アーム部22の往復動作M3は、第1旋回動作、第2下降動作、第2上昇動作、第2旋回動作を含む動作である。
【0038】
上記のとおり、払出部20は、保持部21およびアーム部22の上記動作により、払出部20は、第1の位置P1に配置された積層体9から、所定の時間間隔tで被搬送物90を1枚ずつ払出位置P0に払い出す。なお、アーム部22の下降動作M1にかかる時間をt1、上昇動作M2にかかる時間をt2、往復動作M3にかかる時間をt3、保持部21の保持動作をta、保持解除動作をtbとすると、上記時間間隔tは、t1、t2、t3、taおよびtbの合計時間となる。
【0039】
次に、第1搬送部30について説明する。
図1から
図3に示すように、第1搬送部30は、第1の位置P1および第2の位置P2のそれぞれに積層体9を載置可能な第1搬送台31を有する。第1搬送台31は、第2の位置P2に載置された積層体9を、第1の位置P1に移動可能に構成されている。
【0040】
具体的には、第1搬送台31は、一対の搬出プーリ311と、第1搬出ベルト312と、複数の支持部313とを有する(
図1などの平面図においては第1搬出ベルトは見やすさのため図示していない)。一対の搬出プーリ311は、少なくとも一方がモータなどの駆動機構により回動可能に設けられている。一対の搬出プーリ311は、これらの軸方向が互いに平行になるように位置している。また、一対の搬出プーリ311は、水平方向に並んでいる。具体的には、一対の搬出プーリ311は、第2の位置P2から第1の位置P1への搬送方向DCに沿って並んでいる。
【0041】
第1搬出ベルト312は、一対の搬出プーリ311と係合している。このため、第1搬出ベルト312は、搬送方向DCに沿って延びている。なお、本実施形態において、第1積層方向D1から見て、搬送方向DCは、第1の位置P1から払出位置P0への払出方向に直交しているが、払出方向に対して単に交差していてもよいし、払出方向と互いに平行であってもよい。
【0042】
複数の支持部313は、第1搬出ベルト312上に設けられている。複数の支持部313は、搬送方向DCに沿って並んでいる。複数の支持部313は互いに離間して設けられている。搬出プーリ311が駆動していない状態においては、第1の位置P1および第2の位置P2のそれぞれに位置する積層体9に対して、2つの支持部313が1つの積層体9に対応して積層体9を支持している。
【0043】
なお、本実施形態において、第1搬送部30には、第1の位置P1の数に対応するように第2の位置P2が設けられ、具体的には、第2の位置P2が2つ設けられている。2つの第1の位置P1および2つの第2の位置P2は、搬送方向DCに沿って並んでいる。
【0044】
次に、第1搬送部30の動作について説明する。
図12は、本実施形態に係る搬送装置において、払出部が第1の位置から最後の被搬送物を払い出す動作の途中の状態を示す平面図である。なお、
図12においては、具体的には、払出部20の動作のうちアーム部22の旋回部222が上記第1旋回動作を実施した直後の状態の搬送装置1を示している。
図12に示すように、第1の位置P1に位置していた積層体から最後の被搬送物90が払出位置P0に払い出されると、第1の位置P1には積層体9が位置しなくなる。
【0045】
図13は、本実施形態に係る搬送装置において、第2の位置から第1の位置へ積層体を搬送した直後の状態を示す図である。
図12および
図13に示すように、第1搬送部30は、第1積層方向D1から見て、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2に配置された積層体9を、第1の位置P1に搬送する。
【0046】
具体的には、搬出プーリ311が駆動することにより、第1搬出ベルト312が、搬送方向DCへ摺動する。そうすると、第2の位置P2に位置する積層体9を支持していた複数の支持部313が、第2の位置P2から第1の位置P1へ移動する。これにより、第2の位置P2にて支持部313に支持されていた積層体9は、第1の位置P1に搬送される。
【0047】
また、
図12および
図13においては、見やすさのために、第1搬送部30は、払出部20の動作のうちアーム部22の旋回部222が上記第1旋回動作を実施した直後に第2の位置P2から第1の位置P1へ積層体9を搬送しているが、第1の位置P1に位置する積層体9のうちの最後の被搬送物90を保持部21が保持した状態で、アーム部22が上昇動作M2を実施した後であれば、第2の位置P2から第1の位置P1への積層体9の搬送を実施できる。より具体的には、第1搬送部30は、第1の位置P1に配置された積層体9の最後の被搬送物90を払い出す際の往復動作M3の間に、第2の位置P2に配置された積層体9を、第1の位置P1に搬送する。このようにして、第1の位置P1に配置された積層体9から払出部20によって被搬送物90が全て取り出された後、第1搬送部30が第2の位置P2から第1の位置P1へ積層体9を搬送することにより、払出部20による被搬送物90の払出しの時間間隔tが維持される。
【0048】
また、上述した第1搬出ベルト312の摺動により、第1搬出ベルト312の摺動方向において第2の位置P2から見て第1の位置P1側とは反対側に位置していた複数の支持部313(
図3参照)が、第2の位置P2に対応するように移動する。これにより、第2の位置P2では、新たな積層体9を受け入れ可能な状態となる。
【0049】
なお、制御部50は、たとえば、第1の位置P1に被搬送物90が位置していないことを検知した検知部(不図示)から検知信号を受信した後、所定の時間内に、第1搬送部30に対して、第2の位置P2から第1の位置P1への搬送を実施する搬送信号を送信する。上記の所定の時間は、たとえば、アーム部22の上昇動作M2にかかる時間より長い時間に設定されるが、上昇動作M2、往復動作M3、保持部21の保持解除動作のそれぞれにかかる時間t2、時間t3および時間tbの合計時間より十分短い時間に設定される。これにより、上記時間間隔t維持のための第1搬送部30が実施される。
【0050】
次に、第2搬送部40について説明する。
図1、
図2および
図4に示すように、第2搬送部40は、第2搬送台41と、押出部42と、ガイド部43とを有する。
【0051】
第2搬送台41は、第2の位置P2とは異なる充填位置P3に積層体9を載置可能である。第2搬送台41は、充填位置P3に配置される積層体9の積層方向である第2積層方向D2から見て、第1搬送台31と隣り合っている。なお、本実施形態において、第2積層方向D2は、第1積層方向D1や、第2の位置P2に配置される積層体9の積層方向と同一であるが、異なっていてもよい。また、第2積層方向D2に直交する方向から見て、第2搬送台41は、第1搬送台31より上方に位置している。より具体的には、第2積層方向D2から見たときに、第2搬送台41の一部が、第1搬送台31の一部と重なっている。
【0052】
第2搬送台41は、複数のレール411と、第2搬出ベルト412とを有している。充填位置P3に対応するように位置する複数のレール411は、第2積層方向D2から見て充填位置P3から、第2の位置P2に向かって延びている。
【0053】
複数のレール411は、第2搬出ベルト412上に設けられている。複数のレール411は、互いに平行となるように設けられている。複数のレール411は、互いに離間しており、特に、押出部42の押出方向DPから見て互いに離間している。押出方向DPとは、第2積層方向D2から見たときに、補充位置P4から第2の位置P2に向かう方向である。
【0054】
充填位置P3において、1つの積層体9と対応するように2つのレール411が設けられている。また、複数のレール411は充填位置P3と異なる複数の補充位置P4にも位置している。本実施形態において、複数の補充位置P4は、第1搬送部30における搬送方向DCに沿って、充填位置P3と並んで位置している。複数の補充位置P4の各々においては、作業者または他の装置によって積層体9が載置可能である。複数の補充位置P4の各々でも、1つの積層体9と対応するように2つのレール411が設けられている。
【0055】
第2搬出ベルト412は、第1搬送部30の積層体9の搬送方向DCに沿う方向に少なくとも摺動可能に設けられている。第2搬出ベルト412は、第1搬送部30の第1搬出ベルト312のように、たとえば、複数のプーリ(不図示)と係合し、当該プーリが回動することで摺動してもよい。第2搬出ベルト412が摺動することで、補充位置P4に位置する複数のレール411のうちのいくつかの複数のレール411は、充填位置P3に移動することができる。
【0056】
図4に示すように、押出部42は、押出方向DPから見て、第2搬送台41と離間している。具体的には、押出方向DPから見たときに、押出部42は複数のレール411と離間している。押出部42は、押出方向DPから見て複数のレール411の間から上方に向かって延びており、換言すると、第2積層方向D2に延びている。本実施形態において押出部42は板状である。押出部42は、図示しないエアシリンダなどの駆動機構により、押出方向DPに変位可能に構成されている。
【0057】
複数のガイド部43は、第2搬出ベルトの摺動方向に沿って並んでいる。複数のガイド部43は、充填位置P3および補充位置P4のそれぞれにおいて、一対のガイド部43が1つの位置に対応するように配置されており、押出方向DPから見たときに、積層体9の両側面側に位置するように配置されている。各位置において、一対のガイド部43の離間距離は、積層体9の幅に応じて調整可能に構成されている。
【0058】
なお、本実施形態において、第2搬送部40には、第2の位置P2の数に対応するように充填位置P3が設けられ、具体的には、充填位置P3が2つ設けられている。第2積層方向D2から見たときに、2つの充填位置P3は、押出方向DPにおいて、それぞれ2つの第2の位置P2と並んで位置している。また、第2搬送部40には、充填位置P3の数以上の数の複数の補充位置P4が設けられ、具体的には、6つの補充位置が設けられている。2つの充填位置P3および6つの補充位置P4は、搬送方向DCに沿って並んでいる。
【0059】
次に、第2搬送部40の動作について説明する。
図14は、本実施形態に係る搬送装置について、充填位置から第2の位置に積層体を搬送させている途中の状態を示す平面図である。
図15は、
図14の状態の搬送装置の一部をXV-XV線矢印方向から見た断面図である。
図4および
図13から
図15に示すように、第2搬送部40は、第2積層方向D2から見て充填位置P3に充填された積層体9を、第2の位置P2に搬送する。具体的には、押出部42が、第2積層方向D2から見て、第2搬送台41上に載置された積層体9を第1搬送台31上に向かって押し出す。このとき、充填位置P3に位置する一対のレール411上に載置された積層体9が、複数のレール411に摺接しつつ搬送されるが、押出方向DPから見たときに押出部42は一対のレール411の間から第2積層方向D2に延びているため、押し出しの際に積層体9の下部に位置する被搬送物90をより確実に搬送できる。一方で、押出部42はレール411と接触していないため、押出部42がその搬送(押し出し)により摩耗して劣化することを抑制できる。
【0060】
また、第2搬送部40による充填位置P3から第2の位置P2への積層体9の搬送は、第2の位置P2において、新たな積層体9を受け入れ可能な状態のときに実施される。すなわち、
図13に示すように、第1搬送部30が第2の位置P2から第1の位置P1に積層体9を搬送した後である。そして、
図14および
図15に示すように、第2搬送部40は、第1搬送部30によって第2の位置P2から第1の位置P1に搬送された積層体9の被搬送物90が払出部20によって全て払い出される前に、充填位置P3から第2の位置P2へ積層体9を搬送する。これにより、第1の位置P1に搬送された積層体9の被搬送物90が再び全て払い出されても、払出しの時間間隔tを維持するために、第2の位置P2から第1の位置P1への積層体9の搬送を実施できる。
【0061】
また、第1の位置P1に位置する積層体9を構成する被搬送物90の数をNとした場合に、充填位置P3から第2の位置P2への積層体9の搬送は、およそ時間[t×N]の間に実施すればよい。このため、充填位置P3から第2の位置P2への積層体9の搬送は、アーム部22の往復動作M3の間に搬送を実施する第1搬送部30の搬送より時間的余裕がある。このため、第2搬送部40の動作速度(より具体的には押出部42の動作速度)は、第1搬送部30の動作速度より遅くすることができる。したがって、作業者が第2搬送部40に積層体9を補充する場合には、作業者の安全性をより確保できる。
【0062】
また、作業者は、充填位置P3に積層体9を直接に補充してもよいが、第2搬送部40により補充位置P4に位置する積層体9が充填位置P3に搬送された後、さらに作業者が補充位置P4に積層体9を積層してもよい。以下、第2搬送部40による補充位置P4から充填位置P3への積層体9の搬送について説明する。
【0063】
図16は、本実施形態に係る搬送装置において、充填位置から第2の位置へ積層体を搬送した直後の状態を示す平面図である。
図16に示すように、第2の位置P2への積層体9の押し出しを完了した押出部42は、押し出しを実施する前の位置に戻る。すなわち、第2積層方向D2から見たときに、押出部42は、第2搬送部40において、第1搬送部30側とは反対側に位置し、第2搬送台41と重ならないように位置する。また、押出部42は、充填位置P3に積層体9が位置していない状態のまま押出方向DPに沿って移動し、押し出し前の位置に戻る。
【0064】
図17は、本実施形態に係る搬送装置において、補充位置から充填位置へ積層体を搬送した直後の状態を示す平面図である。
図16および
図17に示すように、第2搬出ベルト412が、補充位置P4から充填位置P3に向かう方向に沿って摺動する。これにより、補充位置P4において複数のレール411上に位置していた積層体9が、充填位置P3に移動する。すなわち、補充位置P4から充填位置P3への積層体9の搬送が実施される。
【0065】
補充位置P4から充填位置P3への搬送は、充填位置P3から第2の位置P2への押出部42による押出搬送が完了し、押出部42が押し出し動作前の位置に戻った後、再び押出部42による押出搬送が始まるまでに実施される。これにより、充填位置P3から第2の位置P2への積層体9の押出搬送が適切に行われ、ひいては、第2の位置P2から第1の位置P1への積層体9の搬送、第1の位置P1から払出位置P0への被搬送物90の時間間隔tでの払出が維持される。また、押出部42の動作速度が比較的速い場合には、第2搬出ベルト412による補充位置P4から充填位置P3への積層体9の搬送に関する動作速度を比較的遅くすることができる。これにより、補充位置P4から充填位置P3へ積層体9を搬送した後、作業者が積層体9が位置していない補充位置P4へ積層体9を補充する場合には、作業者の安全性をより確保することができる。
【0066】
なお、制御部50は、たとえば、第1搬送部30による第2の位置P2から第1の位置P1への搬送を実施する搬送信号を第1搬送部30に送信した後、所定の時間内に、第2搬送部40に、第2搬送部40の押出部42による押し出しおよび第2搬送台41による搬送を実施するよう搬送信号を送信する。これにより、上記時間間隔t維持のための第2搬送部40による積層体9の搬送が実施される。
【0067】
上記のように、本実施形態に係る搬送装置1は、複数の被搬送物90が互いに積み重ねられた積層体9を搬送した後、積層体9から被搬送物90を1つずつ払い出す。当該搬送装置1は、払出部20と、第1搬送部30と、第2搬送部40とを備える。払出部20は、第1の位置P1に配置された積層体9から、所定の時間間隔tで被搬送物90を1枚ずつ払出位置P0に払い出す。第1搬送部30は、第1の位置P1に配置される積層体9の積層方向である第1積層方向D1から見て、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2に配置された積層体9を、第1の位置P1に搬送する。第2搬送部40は、第1積層方向D1から見て第2の位置P2とは異なる充填位置P3に充填された積層体9を、第2の位置P2に搬送する。第1の位置P1に配置された積層体9から払出部20によって被搬送物90が全て取り出された後、第1搬送部30が第2の位置P2から第1の位置P1へ積層体9を搬送することにより、払出部20による被搬送物90の払出しの時間間隔tが維持される。第2搬送部40は、第1搬送部30によって第2の位置P2から第1の位置P1に搬送された積層体9の被搬送物90が払出部20によって全て払い出される前に、充填位置P3から第2の位置P2へ積層体9を搬送する。
【0068】
これにより、払出部20による被搬送物90の払出しの時間間隔tを維持させる場合に、第1搬送部30による第1の位置P1から第2の位置P2への積層体9の搬送にかけられる時間は上記時間間隔tより短くなるが、第2搬送部40による補充位置から第2の位置P2への積層体9の搬送にかけられる時間は上記時間間隔tより長くなる。このため、第1搬送部30の積層体9の搬送速度より、第2搬送部40の充填位置P3に係る積層体9の搬送速度を容易に遅くできる。したがって、被搬送物90の払出しの時間間隔tを維持させつつ、搬送部に係る充填位置P3に積層体9を補充する作業者の安全性をより確実に確保できる。
【0069】
本実施形態において、払出部20は、保持部21と、アーム部22とを有する。保持部21は、積層体9の最も上部に位置する被搬送物90を持ち上げることができる。アーム部22は、保持部21を支持し、保持部21を第1の位置P1に配置された積層体9の上方から下降させる下降動作M1と、第1の位置P1に配置された積層体9の被搬送物90を保持した保持部21を上方に上昇させる上昇動作M2と、上昇動作M2の後、保持部21に保持された被搬送物90を払出位置P0に払い出し、かつ、保持部21を再び第1の位置P1に配置された積層体9の上方に戻すための往復動作M3とを実施する。第1搬送部30は、第1の位置P1に配置された積層体9の最後の被搬送物90を払い出す際の往復動作M3の間に、第2の位置P2に配置された積層体9を、第1の位置P1に搬送する。
【0070】
これにより、第1搬送部30は、被搬送物90を保持した保持部21と接触することなくより安定的に積層体9を搬送できる。
【0071】
本実施形態において、第1搬送部30は、第2の位置P2に積層体9を載置可能な第1搬送台31を有する。第2搬送部40は、第2搬送台41と、押出部42とを有する。第2搬送台41は、充填位置P3に配置される積層体9の積層方向である第2積層方向D2から見て、第1搬送台31と隣り合い、かつ、充填位置P3に積層体9を載置可能である。押出部42は、第2積層方向D2から見て、第2搬送台41上に載置された積層体9を第1搬送台31上に向かって押し出す。第2積層方向D2に直交する方向から見て、第2搬送台41は、第1搬送台31より上方に位置している。
【0072】
これにより、第2搬送台41上の積層体9が押出部42によって押し出される際に、第1搬送台31に衝突することを抑制できる。
【0073】
本実施形態において、第2搬送台41は、複数のレール411を有している。複数のレール411は、第2積層方向D2から見て充填位置P3から第2の位置P2に向かって延び、かつ、押出部42の押出方向DPから見て互いに離間している。押出部42は、押出方向DPから見て、第2搬送台41と離間しており、かつ、複数のレール411の間から上方に向かって延びている。
【0074】
これにより、複数のレール411上に置かれた積層体9を押し出す際に被搬送物90が取り残されることを抑制しつつ、レール411との接触による押出部42の摩耗が防止されて搬送装置1の耐久性を向上させることができる。
【0075】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 搬送装置、9 積層体、10 送出部、11 送出ローラ、12 送出ベルト、20 払出部、21 保持部、22 アーム部、30 第1搬送部、31 第1搬送台、40 第2搬送部、41 第2搬送台、42 押出部、43 ガイド部、50 制御部、90 被搬送物、211 軸部、212 吸着部、221 本体部、222 旋回部、223 摺動部、311 搬出プーリ、312 第1搬出ベルト、313 支持部、411 レール、412 第2搬出ベルト。