(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104602
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】打込み状況判定システム、及び打込み状況判定方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20230721BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230721BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E04G21/02 ESW
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005697
(22)【出願日】2022-01-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(令和3年12月23日)
(71)【出願人】
【識別番号】390023249
【氏名又は名称】国際航業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】田端 謙一
(72)【発明者】
【氏名】西山 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】上田 智広
(72)【発明者】
【氏名】向原 健
(72)【発明者】
【氏名】出口 幸治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 涼
(72)【発明者】
【氏名】王 嘉宇
【テーマコード(参考)】
2E172
5L049
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DB11
2E172DB13
2E172DE00
2E172HA03
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、現場に張り付いている者に情報の入力作業(特に手入力)を強いることなく、しかも分割領域ごとにコンクリートの打込み状況を判定することができる技術を提供することである。
【解決手段】本願発明のチェックイン式打込み状況判定システムは、コンクリートの打込み状況を施工領域内やその周辺に設置される複数の「固定型送信手段」と、移動可能な「可搬型送信手段」、そして分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する「状況判定手段」を備えたものである。可搬型送信手段と固定型送信手段との間で信号の伝授が行われると、その信号の信号強度が状況判定手段に送信される。そして、信号強度を受信した状況判定手段は、その信号強度に応じてコンクリートの打込みが行われている分割領域を特定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの打込みが計画された施工領域を複数に分割した分割領域ごとに、コンクリートの打込み状況を判定するシステムであって、
前記施工領域内及び/又は前記施工領域周辺に設置される複数の固定型送信手段と、
移動可能な可搬型送信手段と、
前記分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する状況判定手段と、を備え、
前記可搬型送信手段と前記固定型送信手段との間で信号の伝授が行われると、該信号の信号強度が前記状況判定手段に送信され、
前記信号強度を受信した前記状況判定手段は、該信号強度に応じてコンクリートの打込みが行われている前記分割領域を特定する、
ことを特徴とするチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項2】
それぞれの前記固定型送信手段は、前記分割領域に関連付けられるとともに、該分割領域を特定する識別情報を送信し、
前記可搬型送信手段と前記固定型送信手段との間で信号の伝授が行われると、前記信号強度と前記識別情報とを含む状況情報が前記状況判定手段に送信され、
前記状況情報を受信した前記状況判定手段は、該状況情報の前記信号強度があらかじめ定めた開始閾値強度を上回るときに、該状況情報の前記識別情報に係る前記分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたとして開始判定を出力する、
ことを特徴とする請求項1記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項3】
作業者が前記可搬型送信手段を前記固定型送信手段に接近させると、該可搬型送信手段が該固定型送信手段から前記識別情報を受信するとともに、該可搬型送信手段が前記状況情報を前記状況判定手段に送信する、
ことを特徴とする請求項2記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項4】
前記可搬型送信手段が取り付けられる可搬支柱と、
それぞれの前記固定型送信手段の近傍に設置される支柱台と、をさらに備え、
前記可搬支柱は、前記支柱台に設置可能であり、
前記可搬支柱が前記支柱台に設置されると、前記可搬型送信手段が前記固定型送信手段に接近して配置される、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項5】
前記状況判定手段は、あらかじめ定めた開始判定期間に受信した複数回の前記状況情報の前記信号強度を統計処理することによって統計強度を求めるとともに、該統計強度が前記開始閾値強度を上回るときに、受信した前記識別情報に係る前記分割領域について前記開始判定を出力する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項6】
前記状況判定手段は、前記分割領域に係る前記開始判定が出力された後に、あらかじめ定めた終了判定期間に受信した複数回の前記信号強度に基づいて前記統計強度を求めるとともに、該統計強度があらかじめ定めた終了閾値強度を下回るときに、該分割領域においてコンクリートの打込みが終了したとして終了判定を出力する、
ことを特徴とする請求項5記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項7】
前記状況判定手段は、第1の前記分割領域に係る前記開始判定が出力された後に、あらかじめ定めた閾値回数だけ連続して第2の前記分割領域に係る前記開始判定が出力されたときは、第2の該分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたと判定する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項8】
前記状況判定手段は、第2の前記分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたと判定した後、あらかじめ定めた継続判定期間において前記閾値回数だけ連続して第1の前記分割領域に係る前記開始判定が出力されたときは、第1の該分割領域においてコンクリートの打込みが継続しているとして判定する、
ことを特徴とする請求項7記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項9】
前記可搬型送信手段が2以上の前記固定型送信手段から受信した前記信号強度と、既知である前記固定型送信手段の位置座標と、に基づいて該可搬型送信手段の現在位置である打込み位置を求める打込み位置算出手段を、さらに備え、
前記可搬型送信手段は、コンクリートポンプ車のホースに固定され、
前記状況判定手段は、既知である前記分割領域の平面配置と、前記打込み位置算出手段によって求められた前記打込み位置と、に基づいてコンクリートの打込みが行われている該分割領域を特定する、
ことを特徴とする請求項1記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項10】
隣接する前記分割領域どうしの境界線には、該境界線を拡幅する不明ゾーンが設定され、
前記状況判定手段は、前記打込み位置が前記不明ゾーンを除く前記分割領域内にあるときは該打込み位置に関する確定判定を出力するとともに、該打込み位置が該不明ゾーン内にあるときは該打込み位置に関する不確定判定を出力し、
さらに前記状況判定手段は、前記打込み位置が第1の前記分割領域内にあると前記確定判定を出力した後に、該打込み位置が第2の前記分割領域内にあると前記不確定判定をあらかじめ定めた閾値回数未満だけ連続して出力したときは、該打込み位置が第1の該分割領域内にあると判定する、
ことを特徴とする請求項9記載のチェックイン式打込み状況判定システム。
【請求項11】
コンクリートの打込みが計画された施工領域を複数に分割した分割領域ごとに、チェックイン式打込み状況判定システムを用いてコンクリートの打込み状況を判定する方法であって、
前記チェックイン式打込み状況判定システムは、前記施工領域内及び/又は前記施工領域周辺に設置される複数の固定型送信手段と、作業者が携帯する可搬型送信手段と、状況判定手段と、を含んで構成され、
前記分割領域に対してコンクリートの打込みが開始されると、該分割領域に対応する前記固定型送信手段に、作業者が前記可搬型送信手段を接近させる情報送信工程と、
前記状況判定手段によって、前記分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する状況判定工程と、を備え、
それぞれの前記固定型送信手段は、前記分割領域に関連付けられるとともに、該分割領域を特定する識別情報を含む信号を送信し、
前記情報送信工程では前記可搬型送信手段が、前記固定型送信手段から前記信号を受信するとともに、該信号の信号強度と前記識別情報とを含む状況情報を前記状況判定手段に送信し、
前記状況判定工程では前記状況判定手段が、前記状況情報を受信するとともに、該状況情報の前記信号強度があらかじめ定めた開始閾値強度を上回るときに、該状況情報の前記識別情報に係る前記分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたとして開始判定を出力する、
ことを特徴とする打込み状況判定方法。
【請求項12】
前記チェックイン式打込み状況判定システムは、前記可搬型送信手段が取り付けられる可搬支柱と、それぞれの前記固定型送信手段の近傍に設置される支柱台と、をさらに含んで構成され、
前記情報送信工程では前記作業者が、前記可搬支柱を、コンクリートの打込みが開始された前記分割領域に対応する前記支柱台に設置することによって、該可搬型送信手段を前記固定型送信手段に接近して配置する、
ことを特徴とする請求項11記載の打込み状況判定方法。
【請求項13】
コンクリートポンプ車によるコンクリートの打込みが計画された施工領域を複数に分割した分割領域ごとに、チェックイン式打込み状況判定システムを用いてコンクリートの打込み状況を判定する方法であって、
前記チェックイン式打込み状況判定システムは、前記分割領域ごとに設けられる打込み口の周辺に設置される固定型送信手段と、前記コンクリートポンプ車のホースに固定された可搬型送信手段と、状況判定手段と、を含んで構成され、
前記打込み口に前記ホースを挿入することによって、該分割領域に対応する前記固定型送信手段に前記可搬型送信手段を接近させる情報送信工程と、
前記状況判定手段によって、前記分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する状況判定工程と、を備え、
それぞれの前記固定型送信手段は、前記分割領域に関連付けられるとともに、該分割領域を特定する識別情報を含む信号を送信し、
前記情報送信工程では前記可搬型送信手段が、前記固定型送信手段から前記信号を受信するとともに、該信号の信号強度と前記識別情報とを含む状況情報を前記状況判定手段に送信し、
前記状況判定工程では前記状況判定手段が、前記状況情報を受信するとともに、該状況情報の前記信号強度があらかじめ定めた開始閾値強度を上回るときに、該状況情報の前記識別情報に係る前記分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたとして開始判定を出力する、
ことを特徴とする打込み状況判定方法。
【請求項14】
コンクリートポンプ車によるコンクリートの打込みが計画された施工領域を複数に分割した分割領域ごとに、チェックイン式打込み状況判定システムを用いてコンクリートの打込み状況を判定する方法であって、
前記チェックイン式打込み状況判定システムは、前記施工領域内及び/又は前記施工領域周辺に設置される複数の固定型送信手段と、前記コンクリートポンプ車のホースに固定された可搬型送信手段と、打込み位置算出手段と、状況判定手段と、を含んで構成され、
前記打込み位置算出手段によって、前記可搬型送信手段が2以上の前記固定型送信手段から受信した信号に係る信号強度と、既知である前記固定型送信手段の位置座標と、に基づいて該可搬型送信手段の現在位置である打込み位置を求める打込み位置算出工程と、
前記状況判定手段によって、既知である前記分割領域の平面配置と、前記打込み位置算出工程で求められた前記打込み位置と、に基づいてコンクリートの打込みが行われている該分割領域を特定する状況判定工程と、を備えた、
ことを特徴とする打込み状況判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、コンクリートの打込み作業を管理する技術に関するものであり、より具体的には、施工区画を識別する情報を送受信することによって施工区画ごとにコンクリートの打込みの開始を判定することができる打込み状況判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは鋼材とともに最も重要な建設材料のひとつであり、ダム、トンネル、橋梁といった土木構造物や、集合住宅、オフィスビルなどの建築構造物をはじめ、様々な構造物に用いられている。このコンクリート構造物は、あらかじめ工場等で製作されて所定の場所まで運搬されることもあるが、土木構造物や建築構造物の場合、所定の場所(現場)で直接構築されることが多い。いずれにしろ、セメントと水、骨材、混和剤等を練り混ぜた状態のコンクリート(フレッシュコンクリート)を型枠の中に投入し、コンクリートの硬化を待って型枠を外すことでコンクリート構造物は構築される。
【0003】
フレッシュコンクリートは、アジテータ車からシュートを介して流し込んだり、コンクリートポンプ車によってホースから落下させたり、事前に設置された配管を通じて所定位置に流し込んだり、場合によっては作業者がスコップではねたりすることによって型枠内に投入される。型枠内に投入されたフレッシュコンクリートは、振動機(振動バイブレータ)を利用した振動が与えられ、この振動に伴って液状化が進行するとコンクリート内の気泡が上昇して外部に抜けだすとともに内部の骨材とモルタルが再配置される結果、コンクリートは締め固められる。
【0004】
現場でコンクリートを打込むにあたっては、施工計画書を作成するなど事前に作業に関する計画が策定される。例えば、コンクリートの打込みが計画された平面範囲(以下、「施工領域」という。)が比較的大きな面積となる場合、この施工領域を複数のブロック(以下、「分割領域」という。)に分割することがある。「コンクリート標準示方書-施工編-(以下、単に「標準示方書」という。)」では、打込み区画全体が水平に打ち上がるようにするとしたうえで、打込み箇所が少ないと振動バイブレータによってコンクリ―トを横移動させることになって望ましくないと指摘している。そこで、分割領域ごとにコンクリートを打込むこととし、これによりコンクリ―トを横移動させることなく分割領域全体が水平に打ち上がるとともに、打込み箇所あたりの対象範囲が限定的となるため振動バイブレータによる締固めを綿密に行うことができるわけである。また、分割領域を設定した場合は、アジテータ車やコンクリートポンプ車の計画配置位置などを考慮したうえで、コンクリートの打込みを行う分割領域の順序も計画される。
【0005】
さらに標準示方書では、コンクリート打込みの1層の高さは40~50cm以下を標準とするとしたうえで、2層以上に分けてコンクリートを打込む(打重ねを行う)ときは上層と下層が一体となるように、すなわち上下層の境界面にコールドジョイントが発生しないように施工しなければならないと規定している。具体的には、施工区画(つまり、施工領域)の面積、コンクリートの供給能力、打重ね時間間隔などを定めることとしており、場合によっては遅延形の混和剤等を用いてコンクリートが凝結するまで時間を延長させる対策なども提示している。そして、あくまで一般のコンクリートの場合としたうえで、外気温が25℃以下のケースでは2.5時間、外気温が25℃を超えるケースでは2.0時間を、それぞれ許容打重ね時間間隔として例示している。
【0006】
このように、事前に施工計画を策定したうえで実際のコンクリート打込み作業に臨むわけであるが、当然ながら当該施工計画どおりに実行されていることを確認しながらコンクリートの打込みを行う必要がある。例えば、分割領域の作業順序が正しいか、コンクリートの打込みが見逃された分割領域はないか、あるいは許容打重ね時間間隔が経過していないか、といったことを確認しながらコンクリートの打込みを実施していく。従来、このような施工計画と実作業との照合、すなわち施工管理は監督員など人によって行われていた。そのため、監督員の経験や知見などによって施工管理の良否が定まるといった側面があり、適切なコンクリート打込み作業を実施するには、換言すれば高品質のコンクリートを得るには、監督員のいわば技量に依存していたわけである。
【0007】
そこで、監督員の技量に頼ることなくコンクリート打込み作業を管理する種々の技術がこれまで提案されている。例えば特許文献1では、ブロックごとに作業状況を表示することができる「コンクリート打設管理システム」について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示される技術は、刻々と変化するコンクリートの打込み状況がブロックごとに示されることから、監督員はこれを確認しながら施工管理を行うことができて好適である。しかしながら、刻々と変化するコンクリートの打込み状況は、現地でその状況を確認している者(打設現場の筒先担当者)が入力しなければならず、入力操作が遅れたり、誤った情報を入力したりすると、かえって現場は混乱することになる。特に、コンクリートの打込み現場では多くの者が種々の作業を行っており、しかも手戻りが許されないことから全体的に緊張感が漂っているため、落ち着いた状態で正確に情報を入力することは想像以上に困難な作業であり、つまり入力ミスが生じやすい環境にあるといえる。
【0010】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、現場に張り付いている者に情報の入力作業(特に手入力)を強いることなく、しかも分割領域ごとにコンクリートの打込み状況を判定することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、固定型送信手段と可搬型送信手段を利用することによって、すなわち固定型送信手段と可搬型送信手段が通信することによって分割領域における打込み状況を判定する、という点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
【0012】
本願発明の打込み状況判定システムは、コンクリートの打込み状況を施工領域内やその周辺に設置される複数の「固定型送信手段」と、移動可能な「可搬型送信手段」、そして分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する「状況判定手段」を備えたものである。可搬型送信手段と固定型送信手段との間で信号の伝授が行われると、その信号の信号強度が状況判定手段に送信される。そして、信号強度を受信した状況判定手段は、その信号強度に応じてコンクリートの打込みが行われている分割領域を特定する。
【0013】
本願発明の打込み状況判定システムは、固定型送信手段が識別情報(分割領域を特定する情報)を送信するものとすることもできる。なお固定型送信手段は、分割領域に関連付けられたうえで設置される。この場合、可搬型送信手段と固定型送信手段との間で信号の伝授が行われると、状況情報(信号強度と識別情報とを含む)が状況判定手段に送信される。そして、状況情報を受信した状況判定手段は、状況情報の信号強度があらかじめ定めた開始閾値強度を上回るときに、状況情報の識別情報に係る分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたとして開始判定を出力する。
【0014】
本願発明の打込み状況判定システムは、作業者が可搬型送信手段を固定型送信手段に接近させると、可搬型送信手段が固定型送信手段から識別情報を受信し、さらに可搬型送信手段がその識別情報を含む状況情報を状況判定手段に送信するものとすることもできる。
【0015】
本願発明の打込み状況判定システムは、可搬型送信手段が取り付けられる「可搬支柱」と、それぞれの固定型送信手段の近傍に設置される「支柱台」をさらに備えたものとすることもできる。なお、可搬支柱は支柱台に設置可能であり、可搬支柱が支柱台に設置されると可搬型送信手段が固定型送信手段に接近して配置される。
【0016】
本願発明の打込み状況判定システムは、あらかじめ定めた期間(開始判定期間)に受信した複数回の状況情報に基づいて開始判定を出力するものとすることもできる。より詳しくは、状況判定手段が開始判定期間に受信した複数回の状況情報に含まれる信号強度を統計処理することによって統計強度を求め、その統計強度が開始閾値強度を上回るときに受信した識別信号に係る分割領域について開始判定を出力する。
【0017】
本願発明の打込み状況判定システムは、あらかじめ定めた期間(終了判定期間)に受信した複数回状況情報に基づいて終了判定を出力するものとすることもできる。より詳しくは、状況判定手段が終了判定期間に受信した複数回の信号強度を統計処理することによって統計強度を求め、その統計強度があらかじめ定めた終了閾値強度を下回るときに分割領域においてコンクリートの打込みが終了したとして終了判定を出力する。
【0018】
本願発明の打込み状況判定システムは、第1の分割領域に係る開始判定が出力された後に、あらかじめ定めた回数(閾値回数)だけ連続して第2の分割領域に係る開始判定が出力されたときは、第2の分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたと判定するものとすることもできる。
【0019】
本願発明の打込み状況判定システムは、第2の分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたと判定した後、あらかじめ定めた期間(継続判定期間)において閾値回数だけ連続して第1の分割領域に係る開始判定が出力されたときは、第2の分割領域における開始判定を取り消したうえで、第1の分割領域においてコンクリートの打込みが継続しているとして判定するものとすることもできる。
【0020】
本願発明の打込み状況判定システムは、打込み位置(可搬型送信手段の現在位置)を求める打込み位置算出手段をさらに備えたものとすることもできる。この打込み位置算出手段は、可搬型送信手段が2以上の固定型送信手段から受信した信号強度と、既知である固定型送信手段の位置座標とに基づいて、打込み位置を求めることができる。この場合の可搬型送信手段は、コンクリートポンプ車のホースに固定され、また状況判定手段は、既知である分割領域の平面配置と、打込み位置算出手段によって求められた打込み位置とに基づいてコンクリートの打込みが行われている分割領域を特定する。
【0021】
本願発明の打込み状況判定システムは、隣接する分割領域どうしの境界線に境界線を拡幅する「不明ゾーン」が設定されたものとすることもできる。この場合の状況判定手段は、打込み位置が不明ゾーンを除く分割領域内にあるときはその打込み位置に関する「確定判定」を出力し、一方、打込み位置が不明ゾーン内にあるときは打込み位置に関する「不確定判定」を出力する。そして、状況判定手段は、打込み位置が第1の分割領域内にあると確定判定を出力した後に、打込み位置が第2の分割領域内にあると不確定判定をあらかじめ定めた閾値回数未満だけ連続して出力したときは、その打込み位置が第1の分割領域内にあると判定する。
【0022】
本願発明の打込み状況判定方法は、本願発明の打込み状況判定システムを用いてコンクリートの打込み状況を判定する方法であって、情報送信工程と状況判定工程を備えた方法である。このうち情報送信工程では、分割領域に対してコンクリートの打込みが開始されると、その分割領域に対応する固定型送信手段に、作業者が可搬型送信手段を接近させる。また状況判定工程では、状況判定手段によって分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する。
【0023】
本願発明の打込み状況判定方法は、可搬型送信手段が取り付けられる「可搬支柱」とそれぞれの固定型送信手段の近傍に設置される「支柱台」を有する打込み状況判定システムを用いた方法とすることもできる。この場合、情報送信工程では、コンクリートの打込みが開始された分割領域に対応する支柱台に、作業者が可搬支柱を設置することによって、可搬型送信手段を固定型送信手段に接近して配置する。
【0024】
本願発明の打込み状況判定方法は、コンクリートポンプ車によるコンクリートの打込みが計画された施工領域で実施する方法とすることもできる。この場合、打込み状況判定システムの固定型送信手段は、分割領域ごとに設けられる「打込み口」の周辺に設置され、また可搬型送信手段は、コンクリートポンプ車のホースに固定される。また、情報送信工程では、打込み口にホースを挿入することによって、分割領域に対応する固定型送信手段に可搬型送信手段を接近させる。
【0025】
本願発明の打込み状況判定方法は、打込み位置算出工程を備えた方法とすることもできる。この打込み位置算出工程では、可搬型送信手段が2以上の固定型送信手段から受信した信号に係る信号強度と、既知である固定型送信手段の位置座標とに基づいて打込み位置を求める。なおこの場合の可搬型送信手段は、コンクリートポンプ車のホースに固定される。また状況判定工程では、既知である分割領域の平面配置と、打込み位置算出工程で求められた打込み位置とに基づいて、コンクリートの打込みが行われている分割領域を特定する。
【発明の効果】
【0026】
本願発明の打込み状況判定システム、及び打込み状況判定方法には、次のような効果がある。
(1)現場に張り付いている者に情報の入力作業を強いることなく、分割領域ごとにコンクリートの打込み状況を判定することができる。
(2)分割領域ごとにコンクリートの打込み状況を判定することができるため、施工計画どおりにコンクリート打込み作業を実行することが容易となり、その結果、高品質のコンクリートを得ることができる。
(3)機械的(自動的)に打込み状況を判定することができるため、豊富な経験や知見を有する監督員を確保する困難さから解放される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】チェックイン式打込み状況判定システムの主な構成を示すブロック図。
【
図2】対応する分割領域付近に配置された複数の固定型送信手段を模式的に示す平面図。
【
図3】対応する分割領域とは関係ない位置に配置された複数の固定型送信手段を模式的に示す平面図。
【
図4】固定型送信手段に近づいた可搬型送信手段が識別情報を受信するとともに、その情報を状況判定手段に送信する状況を模式的に示すモデル図。
【
図5】可搬型送信手段と画像取得手段が取り付けられた可搬支柱と、支柱台を模式的に示す側面図。開始判定期間と終了判定期間、そして受信した状況情報との関係を模式的に示すモデル図。
【
図6】コンクリートポンプ車のホースに固定された可搬型送信手段が、打込み口周辺に設置された固定型送信手段に接近する状況を模式的に示すモデル図。
【
図7】開始判定期間と終了判定期間、そして受信した状況情報との関係を模式的に示すモデル図。
【
図8】異なる分割領域に関する状況情報を交互に受信するケースを模式的に示すモデル図。
【
図9】異なる分割領域に関する状況情報を交互に受信するケースであって、他の分割領域について開始判定とされた後に最初に開始判定とした分割領域について連続して開始判定が出力されたケースを模式的に示すモデル図。
【
図10】警告手段が警告情報を出力する要件を模式的に示すモデル図。
【
図11】測位式打込み状況判定システムの主な構成を示すブロック図。
【
図12】隣接する分割領域どうしの境界線に設定された不明ゾーンを模式的に示すモデル図。
【
図13】(a)はチェックイン式打込み状況判定システムを用いた本願発明の打込み状況判定方法の主な工程の流れを示すフロー図、(b)は測位式打込み状況判定システムを用いた本願発明の打込み状況判定方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願発明の打込み状況判定システム、及び打込み状況判定方法の実施の一例を図に基づいて説明する。なお、本願発明の打込み状況判定方法は、本願発明の打込み状況判定システムを用いてコンクリートの打込み状況を判定する方法であり、したがってまずは本願発明の打込み状況判定システムについて説明し、その後に本願発明の打込み状況判定方法について説明することとする。
【0029】
1.打込み状況判定システム
本願発明の打込み状況判定システム100は、固定型送信手段と可搬型送信手段が分割領域を特定する情報(以下、「識別情報」という。)を送受信する方式と、可搬型送信手段の位置を測位する方式に大別することができる。そこで、識別情報を送受信する打込み状況判定システムを「チェックイン式打込み状況判定システム100a」と、可搬型送信手段の位置を測位する打込み状況判定システムを「測位式打込み状況判定システム100b」としたうえで、順に説明することとする。
【0030】
―チェックイン式打込み状況判定システム―
図1は、チェックイン式打込み状況判定システム100aの主な構成を示すブロック図である。この図に示すようにチェックイン式打込み状況判定システム100aは、固定型送信手段101と可搬型送信手段102、状況判定手段103を含んで構成され、さらに可搬支柱104や支柱台105、警告手段106、ディスプレイやプリンタといった出力手段107、分割領域記憶手段108などを含んで構成することもできる。
【0031】
チェックイン式打込み状況判定システム100aを構成する状況判定手段103と警告手段106は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイ(つまり、出力手段107)を含むものもあり、例えばパーソナルコンピュータ(PC)やサーバなどによって構成することができる。
【0032】
また分割領域記憶手段108は、汎用的コンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)の記憶装置を利用することもできるし、データベースサーバに構築することもできる。データベースサーバに構築する場合、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由で保存するクラウドサーバを利用することもできる。
【0033】
以下、チェックイン式打込み状況判定システム100aを構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0034】
(固定型送信手段と可搬型送信手段)
固定型送信手段101と可搬型送信手段102のうち、いずれか一方は信号を送信(発信)することができる装置(以下、便宜上ここでは「発信装置」という。)であり、また他方は送信された信号を受信するとともに送信することができる装置(以下、便宜上ここでは「送受信装置」という。)である。発信装置としては、例えばBeacon(ビーコン)や、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)など電波信号を発信するもの、可視光や赤外線といった光信号を発信するもの、そのほか超音波などの音波信号を発信するものを挙げることができる。これに対して送受信装置としては、スマートフォンに代表される携帯型端末、あるいはiPad(登録商標)といったタブレット型端末などを挙げることができる。
【0035】
図2に示すように固定型送信手段101は、「分割領域」に対応するように、つまり分割領域と同数だけ配置される。例えば
図2では、コンクリートの打込みが計画された「施工領域」を分割することで12の分割領域(分割領域A01~分割領域D03)が設定されており、図中のかっこ内に示されるようにそれぞれの分割領域に対応するように12個の固定型送信手段101が配置されている。なお、
図2の例では固定型送信手段101が、対応する分割領域の近傍(施工領域の外側)、あるいは対応する分割領域内(固定型送信手段101(B02)や固定型送信手段101(C02))に配置されているが、これに限らず
図3に示すように対応する分割領域とは関係ない位置に固定型送信手段101を配置することもできる。ただし
図3の例であっても、固定型送信手段101はそれぞれの分割領域に対応付けられる(紐づけられる)。
【0036】
上記したとおり固定型送信手段101と可搬型送信手段102のうち、いずれか一方が発信装置とされ、他方が送受信装置とされる。すなわち、固定型送信手段101を発信装置とした場合は可搬型送信手段102が送受信装置とされ、逆に固定型送信手段101を送受信装置とした場合は可搬型送信手段102が発信装置とされる。例えば、ビーコンを利用した固定型送信手段101を複数(
図2では12個)配置したときは可搬型送信手段102としてスマートフォンを利用し、スマートフォンを利用した固定型送信手段101を複数(
図2では12個)配置したときは可搬型送信手段102としてビーコンを利用するわけである。便宜上ここでは、固定型送信手段101を発信装置(例えば、ビーコン)、可搬型送信手段102を送受信装置(例えば、スマートフォン)としたケースで説明することとする。
【0037】
固定型送信手段101は、所定の間隔(例えば、1ms~数万msごと)で信号を発信し、この信号には他の固定型送信手段101と識別可能な(つまり、ユニークな)情報が含まれている。既述したとおり固定型送信手段101を特定する情報のことを「識別情報(ID:IDentifier)」と、この識別情報が含まれる信号のことを「識別信号」ということとする。一方、可搬型送信手段102は、作業者によって携帯され、したがって作業者とともに移動する。そして
図4に示すように、可搬型送信手段102が固定型送信手段101に近づくと(射程範囲に入ると)、この可搬型送信手段102は固定型送信手段101から送信された識別信号を受信する。また可搬型送信手段102が固定型送信手段101から識別信号を受信すると、受信した時刻と、受信したときの信号強度(例えば、電波の振幅など)、固定型送信手段101の識別情報(ID)などを含む情報(以下、「状況情報」という。)を状況判定手段103に送信する。
【0038】
可搬型送信手段102は、作業者によって携帯されると説明したが、作業者が可搬型送信手段102を直接手に持つことで携帯することもできるし、
図5に示すように可搬支柱104に取り付けたうえでいわば間接的に可搬型送信手段102を携帯することもできる。この可搬支柱104は、断面寸法に比して軸方向(図では上下)の寸法が卓越した管状あるいは棒状の部材であり、その一部に可搬型送信手段102を取り付けることができるもので、図に示すように頂部にデジタルカメラやデジタルビデオといった画像取得手段CMを装着することもできる。このように可搬支柱104に可搬型送信手段102を取り付けるケースでは、作業者は可搬支柱104を把持して可搬型送信手段102を移動させることができ、また可搬支柱104の下端を接地させることで可搬型送信手段102の配置高さを安定させることができる。
【0039】
さらに
図5に示すように、可搬支柱104を支持することができる支柱台105を、それぞれの固定型送信手段101の近傍に設置することもできる。この場合、可搬支柱104が支柱台105に設置されたときに、可搬型送信手段102が固定型送信手段101に接近するように、より詳しくは可搬型送信手段102が所定の信号強度(後述する開始閾値強度を上回る強度)で識別信号を受信し得る程度に接近するように、その位置を調整したうえで支柱台105を配置するとよい。なお
図5では、管状の支柱台105内に可搬支柱104を挿入する構造としているが、逆に管状の可搬支柱104内に棒状の支柱台105を挿入する構造とするなど、可搬支柱104を支持することができれば様々な構造を採用することができる。
【0040】
また、コンクリートポンプ車によるコンクリートの打込みが計画された施工領域においてチェックイン式打込み状況判定システム100aを使用する場合、コンクリートポンプ車のホースに、可搬型送信手段102を固定することもできる。例えば
図6に示すように、分割領域ごとにコンクリートを打込む位置、つまりホースHSの挿入口(以下、「打込み口DP」という。)を設置するとともに、この打込み口DPの周辺に固定型送信手段101を設置しておく。これにより、打込み口DPにホースHSを挿入すると、そのホースHSに固定された可搬型送信手段102に接近し、可搬型送信手段102が所定の信号強度(後述する開始閾値強度を上回る強度)で識別信号を受信することができるわけである。
【0041】
(状況判定手段)
状況判定手段103は、受信した状況情報に基づいて分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する手段である。より詳しくは、状況判定手段103が状況情報を受信すると、その状況情報に含まれる信号強度とあらかじめ定めた閾値(以下、「開始閾値強度」という。)を照らし合わせ、その信号強度が開始閾値強度を上回る強度(以下、「開始強度」という。)と認められたときは、その分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたとの判定(以下、「開始判定」という。)をくだす。この開始判定は、可搬型送信手段102が具備する出力手段107に、文字や音声として出力され、あるいは
図2に示すようなマップを表示したうえで開始判定とされた分割領域に特殊な色を付して示すこともできる。いずれにしろ状況判定手段103は、分割領域単位で信号強度と開始閾値強度を照らし合わせ、そして分割領域ごとに開始判定を出力する。
【0042】
既述したとおり固定型送信手段101は所定間隔で識別信号を発信しており、そのため可搬型送信手段102も所定間隔で状況情報を状況判定手段103に送信することもある。つまり状況判定手段103は、所定間隔で状況情報を受信し、所定間隔で信号強度と開始閾値強度とを照合することとなり、開始強度として認定されたり認定されなかったりという結果が繰り返されることもある。この場合、状況判定手段103は、一度でも開始強度として認定されると開始判定を決定する仕様とすることもできるし、あらかじめ定めた回数だけ連続して開始強度が認定されたときに開始判定を決定する仕様とすることもできるし、あらかじめ定めた期間(以下、「開始判定期間」という。)内に所定回数だけ開始強度が認定されたときに開始判定を決定する仕様とすることもできる。
【0043】
あるいは、開始判定期間に受信した複数回の状況情報に含まれる信号強度を統計処理して得られる値(以下、「統計強度」という。)に基づいて開始判定を決定する仕様とすることもできる。例えば
図7では、状況判定手段103が開始判定期間に分割領域A01に関する27回分の信号強度(S01~S27)を受信しており、この27回分の信号強度を統計処理することによって統計強度を求め、そしてこの統計強度が開始閾値強度を上回るときに開始判定を決定するわけである。ここでの統計処理としては、中央値を求めたり、単純平均値や加重平均値を求めたり、最頻値を求めるなど、種々の統計手法を採用することができる。なお、状況判定手段103によって開始判定が決定されると、開始判定期間のうち開始時刻(
図7では受信時刻T01)を実際のコンクリート打込み開始時期とすることもできるし、開始判定期間のうち終了時刻(
図7では受信時刻T27)をコンクリート打込み開始時期とすることもできるし、開始判定期間の中央時刻(
図7では受信時刻T14)をコンクリート打込み開始時期とすることもできる。
【0044】
また状況判定手段103は、分割領域に係る開始判定を決定した後、その分割領域においてコンクリートの打込みが終了したとの判定(以下、「終了判定」という。)を出力することもできる。この終了判定は、開始判定と同様、可搬型送信手段102が具備する出力手段107に、文字や音声として、あるいは
図2に示すようなマップ形式で表示される。
【0045】
状況判定手段103が、分割領域について終了判定を決定するにあたっては、その分割領域とは異なる分割領域について開始判定が決定されたことを要件とすることができる。仮にコンクリートの打込み箇所(例えば、ホースの筒先)が1箇所であれば(例えば、
図6のケース)、他の分割領域でコンクリートの打込みが開始されたことをもって、当該分割領域ではコンクリートの打込みが終了したと判定することができる。あるいは、状況判定手段103が分割領域に係る開始判定を決定した後、その分割領域に係る識別信号を受信しなくなったことをもって、当該分割領域ではコンクリートの打込みが終了したと判定することもできる。より詳しくは、状況判定手段103が状況情報を受信すると、その状況情報に含まれる信号強度とあらかじめ定めた閾値(以下、「終了閾値強度」という。)を照らし合わせ、その信号強度が終了閾値強度を下回る強度(以下、「終了強度」という。)と認められたときは、その分割領域において終了判定を決定するわけである。なおこの終了閾値強度は、開始判定に用いられる開始閾値強度と同じ値で設定することもできるし、もちろん異なる値で設定することもできる。
【0046】
信号強度と終了閾値強度を照らし合わせたうえで終了判定を決定する場合、状況判定手段103は、一度でも終了強度として認定されると終了判定を決定する仕様とすることもできるし、あらかじめ定めた回数だけ連続して終了強度が認定されたときに終了判定を決定する仕様とすることもできるし、あらかじめ定めた期間(以下、「終了判定期間」という。)内に所定回数だけ終了強度が認定されたときに終了判定を決定する仕様とすることもできる。なおこの終了判定期間は、開始判定に用いられる開始判定期間と同じ期間で設定することもできるし、もちろん異なる期間で設定することもできる。
【0047】
あるいは、終了判定期間に受信した複数回の状況情報に含まれる信号強度による統計強度に基づいて終了判定を決定する仕様とすることもできる。例えば
図7では、状況判定手段103が終了判定期間に分割領域A01に関する25回分の信号強度(S26~S50)を受信しており、この25回分の信号強度を統計処理することによって統計強度を求め、そしてこの統計強度が終了閾値強度を下回るときに開始判定を決定するわけである。なお、状況判定手段103によって終了判定が決定されると、終了判定期間のうち終了時刻(
図7では受信時刻T50)を実際のコンクリート打込み終了時期とすることもできるし、終了判定期間のうち開始時刻(
図7では受信時刻T26)をコンクリート打込み終了時期とすることもできるし、終了判定期間の中央時刻(
図7では受信時刻T38)をコンクリート打込み終了時期とすることもできる。
【0048】
ところで、
図7に示すように同じ分割領域(図では分割領域A01)に関する状況情報を継続して受信するケースでは、迷いなく当該分割領域に対して開始判定や終了判定を決定することができるが、
図8に示すように異なる分割領域(図では分割領域A03と分割領域B03)に関する状況情報を交互に受信するケースでは、いずれの分割領域に対して開始判定や終了判定を決定するべきか、すなわち同じ分割領域でコンクリート打込みが継続しているのか他の分割領域に移動したのか迷うこともある。そこで状況判定手段103は、ある分割領域(以下、「第1の分割領域」という。)に係る開始判定が出力された後に、その分割領域とは異なる分割領域(以下、「第2の分割領域」という。)に係る開始強度が認定されると、その第2の分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたと判定する仕様とすることができる。
【0049】
例えば、第1の分割領域に係る開始判定が出力された後、1回でも第2の分割領域に係る開始強度が認定されると第2の分割領域における開始判定を決定することもできるし、あらかじめ定めた閾値回数だけ連続して第2の分割領域に係る開始強度が認定されたときに第2の分割領域における開始判定を決定することもできる。
図8のケースではこの閾値回数が「2回」で設定されており、したがって第1の分割領域(図では分割領域A03)に係る開始判定が出力された後、2回(閾値回数)連続して第2の分割領域(図では分割領域B03)に係る開始強度が認定されている(受信時刻T43と受信時刻T44)ことから、このときに第2の分割領域における開始判定を決定するわけである。なお、第2の分割領域における実際のコンクリート打込み開始時期は、第2の分割領域に係る開始強度が連続して認定されたうち最初の認定時期(
図8では受信時刻T43)とすることもできるし、最終の認定時期(
図8では受信時刻T44)とすることもできるし、連続認定における中間の時期とすることもできる。
【0050】
図8に示すように、例えば2回連続して第2の分割領域に係る開始判定が出力されることをもって、第2の分割領域における開始判定を決定する場合、この開始判定が誤っていることも考えられる。すなわち、第2の分割領域に係る開始判定がたまたま2回連続した結果、実際にはまだ第1の分割領域におけるコンクリート打込みが継続しているにもかかわらず、第2の分割領域においてコンクリート打込みが開始されたと判定してしまうわけである。このような不都合を解消するため、状況判定手段103は、第2の分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたと判定した後、あらかじめ定めた期間(以下、「継続判定期間」という。)において閾値回数だけ連続して第1の分割領域に係る開始強度が認定されたときは、第1の分割領域においてコンクリートの打込みが継続しているとして判定する仕様とすることができる。なおこの継続判定期間は、開始判定や終了判定と同じ期間で設定することもできるし、もちろん異なる期間で設定することもできる。
【0051】
例えば
図9のケースでは、第1の分割領域(図では分割領域A03)に係る開始判定が出力された後、第2の分割領域(図では分割領域B03)に係る開始強度が2回連続して(図では受信時刻T38~T39)認定されたため、一旦は第2の分割領域における開始判定が決定される。ところがその後、第1の分割領域に係る開始強度が2回連続して(図では受信時刻T44~T45)認定されており、しかもその出力時期が継続判定期間内であることから、状況判定手段103は、第2の分割領域における開始判定を取り消したうえで、改めて第1の分割領域においてコンクリートの打込みが継続しているとして判定するわけである。なお、継続判定期間の始期は、
図8に示すように第2の分割領域の開始判定が決定したときとすることもできるし、第1の分割領域の開始判定が決定したときとすることもできる。
【0052】
(警告手段)
既述したとおり、2層以上に分けてコンクリートの打重ねを行うときは上下層の境界面にコールドジョイントが発生しないように施工することが望ましく、具体的には打重ね時間間隔を超えないように上層のコンクリートを打込むことが望ましい。警告手段106は、この打重ね時間間隔を超過したときに該当する分割領域に対して「警告情報」を出力する手段である。この警告情報は、可搬型送信手段102が具備する出力手段107に、文字や音声として出力され、あるいは
図2に示すようなマップを表示したうえで警告情報の対象となる分割領域に特殊な色を付して示すこともできる。いずれにしろ警告手段106は、分割領域単位で打重ね時間間隔を監視し、そして分割領域ごとに警告情報を出力する。
【0053】
警告手段106は、開始判定が決定された分割領域について次の開始判定が決定されるまでの時間(以下、「経過時間」という。)を計測するとともに、その経過時間と打重ね時間間隔を照らし合わせ、経過時間が打重ね時間間隔を上回るときに警告情報を出力する。例えば、
図10に示す分割領域C03では、1回目の開始判定が決定されてから打重ね時間間隔を超えることなく2回目の開始判定が決定されているため、警告手段106は警告情報を出力しない。これに対して
図10に示す分割領域D02では、1回目の開始判定が決定されてから打重ね時間間隔を超えてもなお2回目の開始判定が決定されていないため、警告手段106が警告情報を出力するわけである。
【0054】
(その他)
図5に示すように、可搬型送信手段102を取り付ける可搬支柱104の頂部には画像取得手段CM(特に、180~360度の広角カメラ)を装着することができる。これにより、施工領域から離れた管理棟や監督員詰所において現地の状況を把握する「遠隔臨場」を実現することができ、しかも一連のコンクリート打込み作業を動画として記録することもできる。コンクリート打込み作業は、事前に施工計画を策定したうえで実施されるが、記録された動画と施工計画を事後的に照らし合わせて検証することによって、施工計画の良否を検討するとともに、次回の施工計画に反映させることができて好適となる。また、固定型送信手段101(例えば、ビーコン)の設置位置の情報や画像取得手段CMの画角情報などを用いることによって、コンクリート打込み箇所(例えば、ホースの筒先)の位置も算出することができ、その結果、打ち込み位置と施工計画を対比することによって施工計画の良否をより詳しく検討することもできる。さらに、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を活用すれば作業者の行動を抽出することもでき、コンクリート打ち込みにおける一連のPDCA(Plan、Do、Check、Action)を見直すこともできる。
【0055】
本願発明のチェックイン式打込み状況判定システム100aは、打込み量推定手段を備えたものとすることもできる。例えば、コンクリートポンプ車によって吐出される単位時間当たりのコンクリート量が既知であれば、開始判定が出力されたあとの時間を計測するとともに、その時間と単位時間当たりのコンクリート量を乗算することによって、特定の分割領域に対して打ち込まれた実際のコンクリート量を推定することができるわけである。また、可搬支柱104には全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の受信機を装着するとともに、気温や湿度、日射量などを計測するセンサを設置することもできる。さらに、本願発明のチェックイン式打込み状況判定システム100aは、一連の情報を帳票形式で出力する機能を持ったものとすることもできる。打込み開始時間や打込み終了時間、上層を打重ねるまでの経過時間、打込まれたコンクリート量の実績値、気温、湿度、日射量などを、分割領域ごとに整理した帳票を、プリンタ等の出力手段107に出力するわけである。
【0056】
―測位式打込み状況判定システム―
次に、測位式打込み状況判定システム100bについて説明する。この測位式打込み状況判定システム100bは、コンクリートポンプ車によるコンクリートの打込みが計画された施工領域において特に効果的に利用でき、その場合はコンクリートポンプ車のホースHS(特に、筒先)に可搬型送信手段102を固定するとよい。なお、ここではチェックイン式打込み状況判定システム100aで説明した内容と重複する説明は避け、測位式打込み状況判定システム100bに特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、チェックイン式打込み状況判定システム100aで説明したものと同様である。
【0057】
図11は、測位式打込み状況判定システム100bの主な構成を示すブロック図である。この図に示すようにチェックイン式打込み状況判定システム100aは、固定型送信手段101と可搬型送信手段102、状況判定手段103、打込み位置算出手段109を含んで構成され、さらに警告手段106や出力手段107、分割領域記憶手段108などを含んで構成することもできる。このうち打込み位置算出手段109は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。
【0058】
以下、測位式打込み状況判定システム100bを構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0059】
(位置算出手段)
位置算出手段109は、ホースHSに固定された可搬型送信手段102が現在置かれている位置、すなわちホースHSの筒先の位置(以下、「打込み位置」という。)を求める手段である。具体的には、2以上の固定型送信手段101から受信した信号強度と、固定型送信手段101の設置位置(既知)とに基づく空間演算を行うことによって打込み位置を算出する。固定型送信手段101からの信号強度に強弱に応じて、その信号を受信した位置(つまり、打込み位置)と固定型送信手段101との距離(以下、「受信距離」という。)を求めることができることが知られている。そして、固定型送信手段101の設置位置(平面座標)が既知であれば、固定型送信手段101を中心とし、受信距離を半径とする円を描くことができる。したがって、同一平面上に固定型送信手段101と可搬型送信手段102があると仮定すれば、可搬型送信手段102が2以上の固定型送信手段101から信号を受信することによって、打込み位置を求めることができるわけである。なお、同一平面上に固定型送信手段101と可搬型送信手段102があると仮定できない場合、位置算出手段109は、3以上の固定型送信手段101から受信した信号強度に基づいて打込み位置を算出する仕様にするとよい。
【0060】
(状況判定手段)
測位式打込み状況判定システム100bの状況判定手段103は、位置算出手段109によって算出された打込み位置に基づいて分割領域におけるコンクリートの打込み状況を判定する手段である。より詳しくは、状況判定手段103が打込み位置を取り込むとともに、打込み位置と分割領域の平面座標(既知)を照らし合わせ、その打込み位置を含む分割領域においてコンクリートが開始されたと判定(つまり、開始判定)する。この開始判定は、可搬型送信手段102が具備する出力手段107に、文字や音声として出力され、あるいは
図2に示すようなマップを表示したうえで開始判定とされた分割領域に特殊な色を付して示すこともできる。いずれにしろ状況判定手段103は、分割領域ごとに開始判定を出力する。
【0061】
また、測位式打込み状況判定システム100bの状況判定手段103は、「不明ゾーン」を利用して開始判定を出力する仕様とすることもできる。この不明ゾーンは、
図12に示すように、隣接する分割領域どうしの境界線に設定され、そして境界線を拡幅するように設定される領域である。この場合の状況判定手段103は、打込み位置が不明ゾー内にあるときと、打込み位置が不明ゾーンを除く分割領域(以下、「確定ゾーン」という。)内にあるときで、異なる開始判定を出力する。すなわち、打込み位置が確定ゾーン内にあるときは、ほぼ確実にその確定ゾーンに係る分割領域内に打込み位置が含まれるとして状況判定手段103は「確定判定」を出し、一方、打込み位置が不明ゾーン内にあるときは、必ずしもその不明ゾーンに係る分割領域内に打込み位置が含まれるとは限らないとして状況判定手段103は「不確定判定」を出するわけである。換言すれば、確定判定を伴う開始判定が出力されたときはその開始判定を確定することができ、不確定判定を伴う開始判定が出力されたときはその開始判定を一旦保留することができる。
【0062】
さらに、測位式打込み状況判定システム100bの状況判定手段103は、あらかじめ定めた閾値回数に基づいて開始判定を出力する仕様とすることもできる。具体的には、打込み位置が第1の分割領域内にあるとして確定判定を出力した後に、打込み位置が第2の分割領域(第1の分割領域とは異なる分割領域)に係る不明ゾーン内にあるとして不確定判定を出力し、さらにその不確定判定の連続出力回数が閾値回数未満であるときは、打込み位置はまだ第1の分割領域内にあるとして開始判定を出力する。逆に、打込み位置が第1の分割領域内にあるとして確定判定を出力した後に、打込み位置が第2の分割領域に係る不明ゾーン内にあるとして不確定判定を出力し、さらにその不確定判定の連続出力回数が閾値回数以上であるときは、打込み位置は第2の分割領域内に移動したとして開始判定を出力する。
【0063】
2.打込み状況判定方法
続いて、本願発明の打込み状況判定方法ついて
図13を参照しながら説明する。なお、本願発明の打込み状況判定方法は、ここまで説明したチェックイン式打込み状況判定システム100aを用いてコンクリートの打込み状況を判定する方法であり、したがってチェックイン式打込み状況判定システム100aで説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の打込み状況判定方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.チェックイン式打込み状況判定システム」で説明したものと同様である。
【0064】
図13(a)は、チェックイン式打込み状況判定システム100aを用いた本願発明の打込み状況判定方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この図に示すように、まずはいずれかの分割領域に対してコンクリートの打込みを開始する(
図13(a)のStep211)。次いで、作業者が可搬型送信手段102を固定型送信手段101に接近させることで、可搬型送信手段102が固定型送信手段101から状況情報を受信するとともに、受信した状況情報を状況判定手段103に送信する(
図13(a)のStep212)。このとき、可搬型送信手段102が取り付けられた可搬支柱104を支柱台105に設置することによって、可搬型送信手段102を固定型送信手段101に接近させることもできる。また、コンクリートポンプ車によってコンクリートの打込みを行う場合、可搬型送信手段102が固定されたホースHSを打込み口DPに挿入する(
図6)ことによって、可搬型送信手段102を固定型送信手段101に接近させることもできる。
【0065】
状況判定手段103が状況情報を受信すると、その状況情報に含まれる信号強度と開始閾値強度を照らし合わせ、その信号強度が開始閾値強度を上回る開始強度と認められたとき、その分割領域においてコンクリートの打込みが開始されたとの開始判定を出力する(
図13(a)のStep213)。そして、その分割領域におけるコンクリートの打込みが完了すると、打込み位置を次の分割領域に移動し(
図13(a)のStep214)、再びコンクリートの打込みを開始する。これら一連の工程(
図13(a)のStep211~Step214)を繰り返しながら、施工領域内にある全ての分割領域に対してコンクリートの打込みを行っていく。
【0066】
図13(b)は、測位式打込み状況判定システム100bを用いた本願発明の打込み状況判定方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この図に示すように、まずはいずれかの分割領域に対してコンクリートポンプ車によるコンクリートの打込みを開始する(
図13(b)のStep221)。次いで、ホースHSに固定された可搬型送信手段102が2以上の固定型送信手段101から信号強度を受信し、位置算出手段109がその信号強度と固定型送信手段101の設置位置に基づいて打込み位置を算出する(
図13(b)のStep222)。
【0067】
位置算出手段109が打込み位置を算出すると、状況判定手段103が打込み位置と分割領域の平面座標を照らし合わせることによって、その打込み位置を含む分割領域においてコンクリートが開始されたとして開始判定を出力する(
図13(b)のStep223)。そして、その分割領域におけるコンクリートの打込みが完了すると、ホースHSの位置(つまり、打込み位置)を次の分割領域に移動し(
図13(b)のStep224)、再びコンクリートの打込みを開始する。これら一連の工程(
図13(b)のStep221~Step224)を繰り返しながら、施工領域内にある全ての分割領域に対してコンクリートの打込みを行っていく。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本願発明のチェックイン式打込み状況判定システム、及び打込み状況判定方法は、ダム、トンネル、橋梁といった土木構造物や、集合住宅、オフィスビルなどの建築構造物のほか、様々なコンクリート構造物で利用することができる。本願発明が、適切な施工管理の下で施工される結果、高品質の社会インフラストラクチャーが提供されることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0069】
100 本願発明の打込み状況判定システム
100a チェックイン式打込み状況判定システム
100b 測位式打込み状況判定システム
101 (打込み状況判定システムの)固定型送信手段
102 (打込み状況判定システムの)可搬型送信手段
103 (打込み状況判定システムの)状況判定手段
104 (打込み状況判定システムの)可搬支柱
105 (打込み状況判定システムの)支柱台
106 (打込み状況判定システムの)警告手段
107 (打込み状況判定システムの)出力手段
108 (打込み状況判定システムの)分割領域記憶手段
CM 画像取得手段
DP 打込み口
HS ホース