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特開2023-104630電源遮断保護回路、電源遮断保護コントローラ、データ記憶装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104630
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】電源遮断保護回路、電源遮断保護コントローラ、データ記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230721BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02J1/00 309C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005749
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】坂本 忠之
【テーマコード(参考)】
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165CA01
5G165CA05
5G165DA04
5G165EA01
5G165GA04
5G165GA06
5G165HA06
5G165MA09
5G165NA01
5G165NA03
5G165NA05
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB86
5H730BB98
5H730CC22
5H730DD04
5H730EE13
5H730EE59
5H730EE62
5H730EE65
5H730FD01
(57)【要約】
【課題】消費電力を削減した電源遮断保護回路を提供する。
【解決手段】第1スイッチング電源110は、昇圧モードと降圧モードが切りかえ可能であり、昇圧モードにおいて、第1出力ライン108のバス電圧VBUSを昇圧してバックアップキャパシタ102を充電するとともに、降圧モードにおいて、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRを降圧し、第1出力ライン108に供給する。電子ヒューズ回路220は、第1入力ライン104と第1出力ライン108との間に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能である。第2スイッチング電源120は、第1入力電圧VINを5Vより低い電源電圧VDDに降圧し、第2負荷22に供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力電圧を受けるべき第1入力ラインと、
第1負荷と接続されるべき第1出力ラインと、
第2負荷と接続されるべき第2出力ラインと、
バックアップキャパシタと、
昇圧モードと降圧モードが切りかえ可能であり、前記第1出力ラインおよび前記バックアップキャパシタと接続され、前記昇圧モードにおいて、前記第1出力ラインのバス電圧を昇圧して前記バックアップキャパシタを充電するとともに、前記降圧モードにおいて、前記バックアップキャパシタの電圧を降圧し、前記第1出力ラインに供給する第1スイッチング電源と、
前記第1入力ラインと前記第1出力ラインとの間に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、
前記第1入力電圧を5Vより低い電源電圧に降圧し、前記第2負荷に供給する第2スイッチング電源と、
を備え、
前記第1スイッチング電源のドライバ回路は、前記電源電圧を受けて動作可能である、電源遮断保護回路。
【請求項2】
前記第2スイッチング電源のドライバ回路は、前記電源電圧を受けて動作可能である、請求項1に記載の電源遮断保護回路。
【請求項3】
前記第2負荷は電源管理回路である、請求項1に記載の電源遮断保護回路。
【請求項4】
前記電源電圧は3.3Vである、請求項1から3のいずれかに記載の電源遮断保護回路。
【請求項5】
5Vの第2入力電圧を受けるとともに、第3負荷と接続されるべき第2入力ラインと、
前記第2入力ラインの経路上に設けられたロードスイッチと、
をさらに備え、前記第1入力電圧が喪失したときに、前記第2負荷に、前記第2入力電圧が供給可能である、請求項1から4のいずれかに記載の電源遮断保護回路。
【請求項6】
前記第1スイッチング電源は、前記昇圧モードと前記降圧モードとで、電力伝送の方向が反転可能な昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータを含む、請求項1から5のいずれかに記載の電源遮断保護回路。
【請求項7】
昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータのインダクタと前記第1出力ラインとの間に接続される保護スイッチをさらに備える、請求項6に記載の電源遮断保護回路。
【請求項8】
前記第1スイッチング電源は、
前記昇圧モードにおいてアクティブとなり、前記第1出力ラインと接続される入力ノードと、前記バックアップキャパシタと接続される出力ノードを有する昇圧コンバータと、
前記昇圧モードおよび前記降圧モードにおいてアクティブとなり、前記第1出力ラインと接続される入力ノードと、前記バックアップキャパシタと接続される出力ノードを有する降圧コンバータと、
を含む、請求項1から5のいずれかに記載の電源遮断保護回路。
【請求項9】
前記昇圧コンバータおよび前記降圧コンバータそれぞれのインダクタと前記第1出力ラインとの間に接続される保護スイッチをさらに備える、請求項8に記載の電源遮断保護回路。
【請求項10】
前記第1負荷および前記第2負荷は、SSD(Solid State Drive)の部品である、請求項1から9のいずれかに記載の電源遮断保護回路。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の電源遮断保護回路を備える、データ記憶装置。
【請求項12】
入力電圧を受けるべき入力ピンと、
第1負荷と接続されるべき出力ピンと、
バックアップキャパシタが接続されるべきキャパシタ接続ピンと、
外付けの第1インダクタを介して前記出力ピンと接続されるべき第1スイッチングピンと、
外付けの第2インダクタを介して第2負荷と接続されるべき第2スイッチングピンと、
前記第2負荷と接続されるべき電源ピンと、
前記第1スイッチングピン、前記出力ピンおよび前記キャパシタ接続ピンと接続され、前記第1インダクタとともに電力伝送の方向が反転可能な昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータを構成し、昇圧モードにおいて、前記バックアップキャパシタの電圧を第1目標レベルに安定化し、降圧モードにおいて、前記出力ピンの電圧を第2目標レベルに安定化する第1コンバータブロックと、
前記第2スイッチングピンおよび前記出力ピンと接続され、前記第2インダクタとともに降圧コンバータを構成し、前記第2負荷に供給される電圧を、5Vより低い第3目標レベルに安定化する第2コンバータブロックと、
前記入力ピンと前記出力ピンを結ぶ電源ライン上に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、
を備え、
前記第1コンバータブロックのドライバ回路は、前記電源ピンの電圧を電源として動作する、電源遮断保護コントローラ。
【請求項13】
前記第2コンバータブロックのドライバ回路は、前記電源ピンの電圧を電源として動作する、請求項12に記載の電源遮断保護コントローラ。
【請求項14】
前記第1インダクタの一端と接続されるべきインダクタ接続ピンと、
前記出力ピンと前記インダクタ接続ピンの間に接続される保護スイッチと、
をさらに備える、請求項12または13に記載の電源遮断保護コントローラ。
【請求項15】
入力電圧を受けるべき入力ピンと、
第1負荷と接続されるべき出力ピンと、
バックアップキャパシタが接続されるべきキャパシタ接続ピンと、
外付けの第1インダクタを介して前記出力ピンと接続されるべき第1スイッチングピンと、
外付けの第2インダクタを介して前記出力ピンと接続されるべき第2スイッチングピンと、
外付けの第3インダクタを介して第2負荷と接続されるべき第3スイッチングピンと、
前記第2負荷と接続されるべき電源ピンと、
前記第1スイッチングピンおよび前記キャパシタ接続ピンと接続され、前記第1インダクタとともに昇圧コンバータを構成し、昇圧モードにおいてアクティブとなり、前記バックアップキャパシタの電圧を第1目標レベルに安定化する第1コンバータブロックと、
前記第2スイッチングピンおよび前記キャパシタ接続ピンと接続され、前記第2インダクタとともに第1降圧コンバータを構成し、前記出力ピンの電圧を第2目標レベルに安定化する第2コンバータブロックと、
前記第3スイッチングピンおよび前記出力ピンと接続され、前記第3インダクタとともに第2降圧コンバータを構成し、前記第2負荷に供給される電圧を、5Vより低い第3目標レベルに安定化する第3コンバータブロックと、
前記入力ピンと前記出力ピンを結ぶ電源ライン上に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、
を備え、
前記第1コンバータブロックおよび前記第2コンバータブロックのドライバ回路は、前記電源ピンの電圧を電源として動作する、電源遮断保護コントローラ。
【請求項16】
前記第3コンバータブロックのドライバ回路は、前記電源ピンの電圧を電源として動作する、請求項15に記載の電源遮断保護コントローラ。
【請求項17】
前記第1インダクタの一端および前記第2インダクタの一端と接続されるべきインダクタ接続ピンと、
前記出力ピンと前記インダクタ接続ピンの間に接続される保護スイッチと、
をさらに備える、請求項15または16に記載の電源遮断保護コントローラ。
【請求項18】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項12から17のいずれかに記載の電源遮断保護コントローラ。
【請求項19】
前記第1負荷および前記第2負荷は、SSD(Solid State Drive)の部品である、請求項12から18のいずれかに記載の電源遮断保護コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源遮断保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品には、安定した電源電圧の供給が欠かせない。ソリッドステートドライブやハードディスクなどの記憶装置は、電源電圧が瞬断されると、記憶中のデータの破壊、消失のおそれがある。入力電圧が遮断された後も、負荷がデータ待避などの必要な保護処理を実行する期間、電源電圧を維持することが求められる。このような機能は、電源遮断保護、PLP(Power Loss Protection)、PLI(Power Loss Imminent)、PFP(Power Failure Protection)などと称される。
【0003】
図1は、PLP機能を備えるシステムのブロック図である。システム2は、主電源10、負荷20および電源遮断保護回路30を備える。主電源10は、12V程度の入力電圧VINを生成する。
【0004】
電源遮断保護回路30は、主電源10と負荷20の間に設けられる。電源遮断保護回路30は、スイッチ32、バックアップキャパシタ34、昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータ36を備える。
【0005】
スイッチ32は、電子ヒューズとも称され、主電源10と負荷20を結ぶ電源ライン38上に設けられる。有効な入力電圧VINが供給される間、スイッチ32はオンとなり、入力電圧VINが電源電圧VDDとして負荷20に供給される。DC/DCコンバータ36の入力端子INは、電源ライン38と接続され、出力端子OUTは、バックアップキャパシタ34と接続される。DC/DCコンバータ36は、入力電圧VINが供給されている間、入力電圧VINを昇圧し、バックアップキャパシタ34を充電する。バックアップキャパシタ34の容量をC、バックアップキャパシタ34に発生する電圧をVSTRとすると、バックアップキャパシタ34に蓄えられる電荷QおよびエネルギーEは、以下の式で表される。
Q=C・VSTR
Eは、E=C・VSTR /2
【0006】
入力電圧VINが喪失すると、DC/DCコンバータ36が降圧モードに切り替わり、電源遮断保護回路30は、バックアップキャパシタ34に蓄えた電力を、負荷20に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-5924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年の低消費電力化の要請は、電源遮断保護回路30も例外ではない。
【0009】
図1の電源遮断保護回路30において、電源喪失状態においては、電源遮断保護回路30自身の電力も、バックアップキャパシタ34に蓄えられた電力からまかなわれる。SSD(Solid State Drive)のアプリケーションは熱に弱いため、発熱を減らすために、回路全体の消費電力を低減することが要求され、電源遮断保護回路30の消費電力を減らすことが求められる。また、電源遮断保護回路30の消費電力を減らすほど、電源喪失状態において、負荷20に電力を供給できる時間が長くなる。
【0010】
本開示は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、消費電力を削減した電源遮断保護回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のある態様の電源遮断保護回路は、第1入力電圧を受けるべき第1入力ラインと、第1負荷と接続されるべき第1出力ラインと、第2負荷と接続されるべき第2出力ラインと、バックアップキャパシタと、昇圧モードと降圧モードが切りかえ可能であり、第1出力ラインおよびバックアップキャパシタと接続され、昇圧モードにおいて、第1出力ラインのバス電圧を昇圧してバックアップキャパシタを充電するとともに、降圧モードにおいて、バックアップキャパシタの電圧を降圧し、第1出力ラインに供給する第1スイッチング電源と、第1入力ラインと第1出力ラインとの間に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、第1入力電圧を5Vより低い電源電圧に降圧し、第2負荷に供給する第2スイッチング電源と、を備える。第1スイッチング電源のドライバ回路は、電源電圧を受けて動作可能である。
【0012】
本開示の別の態様は、電源遮断保護コントローラである。この電源遮断保護コントローラは、入力電圧を受けるべき入力ピンと、第1負荷と接続されるべき出力ピンと、バックアップキャパシタが接続されるべきキャパシタ接続ピンと、外付けの第1インダクタを介して出力ピンと接続されるべき第1スイッチングピンと、外付けの第2インダクタを介して第2負荷と接続されるべき第2スイッチングピンと、第2負荷と接続されるべき電源ピンと、第1スイッチングピン、出力ピンおよびキャパシタ接続ピンと接続され、第1インダクタとともに電力伝送の方向が反転可能な昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータを構成し、昇圧モードにおいて、バックアップキャパシタの電圧を第1目標レベルに安定化し、降圧モードにおいて、出力ピンの電圧を第2目標レベルに安定化する第1コンバータブロックと、第2スイッチングピンおよび出力ピンと接続され、第2インダクタとともに降圧コンバータを構成し、第2負荷に供給される電圧を、5Vより低い第3目標レベルに安定化する第2コンバータブロックと、入力ピンと出力ピンを結ぶ電源ライン上に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、を備える。第1コンバータブロックのドライバ回路は、電源ピンの電圧を電源として動作する。
【0013】
本開示のさらに別の態様もまた、電源遮断保護コントローラである。この電源遮断保護コントローラは、入力電圧を受けるべき入力ピンと、第1負荷と接続されるべき出力ピンと、バックアップキャパシタが接続されるべきキャパシタ接続ピンと、外付けの第1インダクタを介して出力ピンと接続されるべき第1スイッチングピンと、外付けの第2インダクタを介して出力ピンと接続されるべき第2スイッチングピンと、外付けの第3インダクタを介して第2負荷と接続されるべき第3スイッチングピンと、第2負荷と接続されるべき電源ピンと、第1スイッチングピンおよびキャパシタ接続ピンと接続され、第1インダクタとともに昇圧コンバータを構成し、昇圧モードにおいてアクティブとなり、バックアップキャパシタの電圧を第1目標レベルに安定化する第1コンバータブロックと、第2スイッチングピンおよびキャパシタ接続ピンと接続され、第2インダクタとともに第1降圧コンバータを構成し、出力ピンの電圧を第2目標レベルに安定化する第2コンバータブロックと、第3スイッチングピンおよび出力ピンと接続され、第3インダクタとともに第2降圧コンバータを構成し、第2負荷に供給される電圧を、5Vより低い第3目標レベルに安定化する第3コンバータブロックと、入力ピンと出力ピンを結ぶ電源ライン上に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、を備える。第1コンバータブロックおよび第2コンバータブロックのドライバ回路は、電源ピンの電圧を電源として動作する。
【0014】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0015】
本開示のある態様によれば、消費電力を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、PLP機能を備えるシステムのブロック図である。
図2図2は、実施形態1に係る電源遮断保護回路を備えるシステムのブロック図である。
図3図3は、図2の電源遮断保護回路の動作を説明する波形図である。
図4図4は、第1スイッチング電源のスイッチング素子のゲートソース間電圧を示す図である。
図5図5は、実施例1に係る電源遮断保護回路の回路図である。
図6図6は、実施例2に係る電源遮断保護回路の回路図である。
図7図7は、実施例3に係る電源遮断保護回路の回路図である。
図8図8は、実施例4に係る電源遮断保護回路の回路図である。
図9図9は、実施形態2に係る電源遮断保護回路を備えるシステムのブロック図である。
図10図10は、PLP機能付きのデータ記憶装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0018】
一実施形態に係る電源遮断保護回路は、第1入力電圧を受けるべき第1入力ラインと、第1負荷と接続されるべき第1出力ラインと、第2負荷と接続されるべき第2出力ラインと、バックアップキャパシタと、昇圧モードと降圧モードが切りかえ可能であり、第1出力ラインおよびバックアップキャパシタと接続され、昇圧モードにおいて、第1出力ラインのバス電圧を昇圧してバックアップキャパシタを充電するとともに、降圧モードにおいて、バックアップキャパシタの電圧を降圧し、第1出力ラインに供給する第1スイッチング電源と、第1入力ラインと第1出力ラインとの間に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、第1入力電圧を5Vより低い電源電圧に降圧し、第2負荷に供給する第2スイッチング電源と、を備える。第1スイッチング電源のドライバ回路は、電源電圧を受けて動作可能である。
【0019】
この構成では、第2スイッチング電源によって第2負荷のために生成した電源電圧が、第1スイッチング電源の駆動に利用される。これにより、第1スイッチング電源を構成するスイッチング素子が、5Vより低い電源電圧でスイッチングされることとなり、5Vでスイッチングさせた場合に比べて、第1スイッチング電源の消費電力を削減できる。
【0020】
第1スイッチング電源の消費電力が削減されることにより、電源喪失時において負荷の動作時間を延ばすことができ、あるいは同じ負荷の動作時間を与えるバックアップキャパシタの容量を小さくできる。
【0021】
一実施形態において、第2スイッチング電源のドライバ回路は、電源電圧を受けて動作可能であってもよい。これにより、第2スイッチング電源のドライバ回路を5Vで動作させた場合に比べて、消費電力も削減できる。
【0022】
一実施形態において、第2負荷は電源管理回路であってもよい。
【0023】
一実施形態において、電源電圧は3.3Vであってもよい。
【0024】
一実施形態において、第1負荷は、降圧コンバータを含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、電源遮断保護回路は、5Vの第2入力電圧を受けるとともに、第3負荷と接続されるべき第2入力ラインと、第2入力ラインの経路上に設けられたロードスイッチと、をさらに備えてもよい。電源遮断保護回路は、第1入力電圧が喪失したときに、第2負荷に、第2入力電圧が供給可能であってもよい。これにより、よりロバストな電源遮断保護回路を提供できる。
【0026】
一実施形態において、第1スイッチング電源は、昇圧モードと降圧モードとで、電力伝送の方向が反転可能な昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータを含んでもよい。
【0027】
一実施形態において、電源遮断保護回路は、昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータのインダクタと第1出力ラインとの間に接続される保護スイッチをさらに備えてもよい。バックアップキャパシタがショートモードで故障した場合に、保護スイッチをオフすることで、負荷への給電を継続することができる。
【0028】
一実施形態において、第1スイッチング電源は、昇圧モードにおいてアクティブとなり、第1出力ラインと接続される入力ノードと、バックアップキャパシタと接続される出力ノードを有する昇圧コンバータと、昇圧モードおよび降圧モードにおいてアクティブとなり、第1出力ラインと接続される入力ノードと、バックアップキャパシタと接続される出力ノードを有する降圧コンバータと、を含んでもよい。双方向DC/DCコンバータを用いる構成では、双方向DC/DCコンバータの動作モードの切りかえにともなう制御遅延が生じるため、電源電圧が低下する場合がある。これに対して、第1スイッチング電源が昇圧コンバータと降圧コンバータを含む構成では、降圧コンバータを常時動作させておくことにより、電源喪失が発生したときに、降圧コンバータの起動を待つ必要がないため、バックアップキャパシタに蓄えておいた電力を、速やかに負荷に供給することができる。
【0029】
一実施形態において、電源遮断保護回路は、昇圧コンバータおよび降圧コンバータそれぞれのインダクタと第1出力ラインとの間に接続される保護スイッチをさらに備えてもよい。バックアップキャパシタがショートモードで故障した場合に、保護スイッチをオフすることで、負荷への給電を継続することができる。
【0030】
一実施形態において、第1負荷および第2負荷は、SSD(Solid State Drive)の部品であってもよい。SSD(Solid State Drive)のアプリケーションは熱に弱いため、発熱を減らすために、回路全体の消費電力を低減することが要求される。上記の電源遮断保護回路では、その消費電力を減らすことができるため、SSDアプリケーションに好適である。
【0031】
一実施形態に係るデータ記憶装置は、上述のいずれかの電源遮断保護回路を備えてもよい。
【0032】
一実施形態に係る電源遮断保護コントローラは、入力電圧を受けるべき入力ピンと、第1負荷と接続されるべき出力ピンと、バックアップキャパシタが接続されるべきキャパシタ接続ピンと、外付けの第1インダクタを介して出力ピンと接続されるべき第1スイッチングピンと、外付けの第2インダクタを介して第2負荷と接続されるべき第2スイッチングピンと、第2負荷と接続されるべき電源ピンと、第1スイッチングピン、出力ピンおよびキャパシタ接続ピンと接続され、第1インダクタとともに電力伝送の方向が反転可能な昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータを構成し、昇圧モードにおいて、バックアップキャパシタの電圧を第1目標レベルに安定化し、降圧モードにおいて、出力ピンの電圧を第2目標レベルに安定化する第1コンバータブロックと、第2スイッチングピンおよび出力ピンと接続され、第2インダクタとともに降圧コンバータを構成し、第2負荷に供給される電圧を、5Vより低い第3目標レベルに安定化する第2コンバータブロックと、入力ピンと出力ピンを結ぶ電源ライン上に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、を備える。第1コンバータブロックのドライバ回路は、電源ピンの電圧を電源として動作する。
【0033】
一実施形態において、第2コンバータブロックのドライバ回路は、電源ピンの電圧を電源として動作してもよい。
【0034】
一実施形態において、電源遮断保護コントローラは、第1インダクタの一端と接続されるべきインダクタ接続ピンと、出力ピンとインダクタ接続ピンの間に接続される保護スイッチと、をさらに備えてもよい。バックアップキャパシタがショートモードで故障した場合に、保護スイッチをオフすることで、負荷への給電を継続することができる。
【0035】
一実施形態に係る電源遮断保護コントローラは、入力電圧を受けるべき入力ピンと、第1負荷と接続されるべき出力ピンと、バックアップキャパシタが接続されるべきキャパシタ接続ピンと、外付けの第1インダクタを介して出力ピンと接続されるべき第1スイッチングピンと、外付けの第2インダクタを介して出力ピンと接続されるべき第2スイッチングピンと、外付けの第3インダクタを介して第2負荷と接続されるべき第3スイッチングピンと、第2負荷と接続されるべき電源ピンと、第1スイッチングピンおよびキャパシタ接続ピンと接続され、第1インダクタとともに昇圧コンバータを構成し、昇圧モードにおいてアクティブとなり、バックアップキャパシタの電圧を第1目標レベルに安定化する第1コンバータブロックと、第2スイッチングピンおよびキャパシタ接続ピンと接続され、第2インダクタとともに第1降圧コンバータを構成し、出力ピンの電圧を第2目標レベルに安定化する第2コンバータブロックと、第3スイッチングピンおよび出力ピンと接続され、第3インダクタとともに第2降圧コンバータを構成し、第2負荷に供給される電圧を、5Vより低い第3目標レベルに安定化する第3コンバータブロックと、入力ピンと出力ピンを結ぶ電源ライン上に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能な電子ヒューズ回路と、を備える。第1コンバータブロックおよび第2コンバータブロックのドライバ回路は、電源ピンの電圧を電源として動作する。
【0036】
一実施形態において、第3コンバータブロックのドライバ回路は、電源ピンの電圧を電源として動作してもよい。
【0037】
一実施形態において、第1インダクタの一端および第2インダクタの一端と接続されるべきインダクタ接続ピンと、出力ピンとインダクタ接続ピンの間に接続される保護スイッチと、をさらに備えてもよい。
【0038】
一実施形態において、電源遮断保護コントローラひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0039】
第1負荷および第2負荷は、SSD(Solid State Drive)の部品であってもよい。
【0040】
(実施形態)
以下、好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0041】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。また、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0042】
(実施形態1)
図2は、実施形態1に係る電源遮断保護回路100を備えるシステム2のブロック図である。システム2は、主電源10、第1負荷21、第2負荷22および電源遮断保護回路100を備える。
【0043】
主電源10は、たとえばAC/DCコンバータやUSB(Universal Serial Bus)バスであり、所定の第1電圧レベル(以下、12Vとする)の直流の入力電圧VINを電源遮断保護回路100に供給する。
【0044】
電源遮断保護回路100は、入力電圧VINを受け、第1負荷21に対してバス電圧VBUSを供給し、第2負荷22に対して電源電圧VDDを供給する。第2負荷22は、5Vよりも低電圧で動作する回路であり、したがって電源電圧VDDは、5Vより低く、たとえば3.3Vである。たとえば第2負荷22は、3.3Vを入力電圧として動作するPMIC(Power Management IC)であってもよい。
【0045】
電源遮断保護回路100は、入力ライン104、第1出力ライン108、第2出力ライン109、電子ヒューズ回路220、バックアップキャパシタ102、第1スイッチング電源110、第2スイッチング電源120を備える。
【0046】
主電源10と第1負荷21の間は、バスラインで接続される。バスライン上には、電子ヒューズ回路220が設けられる。バスラインのうち、電子ヒューズ回路220より主電源10側を入力ライン104と称し、電子ヒューズ回路220より第1負荷21側を第1出力ライン108と称する。入力ライン104には、入力電圧VINが供給される。第1出力ライン108には、第1負荷21が接続される。第2出力ライン109には、第2負荷22が接続される。
【0047】
電子ヒューズ回路220は、入力ライン104と出力ライン108の間に設けられ、オン状態とオフ状態が電気的に切りかえ可能である。
【0048】
バックアップキャパシタ102は、バックラップライン106と接続されている。
【0049】
第1スイッチング電源110は、出力ライン108およびバックアップキャパシタ102と接続されている。第1スイッチング電源110は、昇圧モードと降圧モードが切りかえ可能であり、昇圧モードにおいて、出力ライン108のバス電圧VBUSを昇圧してバックアップキャパシタ102を充電する。この充電によって、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRは、所定の目標レベルVREF(BOOST)に安定化される。昇圧モードの目標レベルVREF(BOOST)は、入力電圧VINより高く定められる。以下では、VREF(BOOST)=48Vとすることができる。
【0050】
第1スイッチング電源110は、降圧モードにおいて、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRを降圧し、出力ライン108に供給する。降圧モードにおいて、バス電圧VBUSは所定の目標レベルVREF(BUCK)に安定化される。降圧モードの目標レベルVREF(BUCK)は、入力電圧VINと同程度に定められる。以下では、VREF(BUCK)=12Vとする。
【0051】
第2スイッチング電源120は、入力電圧VINを5Vより低い電源電圧VDDに降圧し、第2負荷22に供給する。電源電圧VDDの目標レベルVREFVDD)は、5Vより低く、以下では3.3Vとする。
【0052】
第1スイッチング電源110は、昇圧コンバータおよび降圧コンバータの組み合わせであってもよいし、双方向DC/DCコンバータであってもよい。いずれの場合であっても、第1スイッチング電源110が、少なくとも、インダクタL1、スイッチング素子M1、ドライバ回路DR1などを含むことが理解される。
【0053】
ドライバ回路DR1の電源端子には、第2スイッチング電源120が生成する電源電圧VDDが供給されており、ドライバ回路DR1の出力電圧、すなわちスイッチング素子M1のゲートソース間電圧VGS1のハイレベルは、電源電圧VDDにもとづいている。
【0054】
第2スイッチング電源120も、少なくとも、インダクタL2、スイッチング素子M2、ドライバ回路DR2などを含む。ドライバ回路DR2の電源端子には、第2スイッチング電源120が生成する電源電圧VDDが供給されており、ドライバ回路DR2の出力電圧、すなわちスイッチング素子M2のゲートソース間電圧VGS2のハイレベルは、電源電圧VDDにもとづいている。
【0055】
なお、ドライバ回路DR1、DR2の電源端子には、電源電圧VDDに代えて、入力電圧VINまたはバス電圧VBUSが供給可能となっている。これにより、第2スイッチング電源120の起動完了前、すなわち電源電圧VDDが3.3Vより低い状態において、ドライバ回路DR1、DR2を、入力電圧VIN(VBUS)を利用して動作させることができる。
【0056】
以上が電源遮断保護回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0057】
図3は、図2の電源遮断保護回路100の動作を説明する波形図である。時刻tより前は、正常動作期間であり、電源遮断保護回路100には、主電源10から12Vの入力電圧VINが供給されている。正常動作期間では、電子ヒューズ回路220がオン状態とされ、第1スイッチング電源110が昇圧モードに設定される。
【0058】
昇圧モードの第1スイッチング電源110によって、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRは目標レベルVREF(BOOST)に安定化され、バックアップキャパシタ102には、エネルギーE=1/2×C・VSTR が蓄えられている。
【0059】
第2スイッチング電源120は、バス電圧VBUSを受け、それを降圧して、所定電圧レベルVREF(VDD)の電源電圧VDDを生成し、第2負荷22に供給する。
【0060】
第1スイッチング電源110のスイッチング素子M1のゲートソース間電圧VGS1は、電源電圧VDDをハイ電圧としてスイッチングする。同様に、第2スイッチング電源120のスイッチング素子M2のゲートソース間電圧VGS2も、電源電圧VDDをハイ電圧としてスイッチングする。
【0061】
時刻tに、入力電圧VINが喪失したとする。入力電圧VINの喪失が検出されると、電子ヒューズ回路220がオフとなり、第1スイッチング電源110が昇圧モードから降圧モードに切りかえられる。第1スイッチング電源110が降圧モードとなると、第1スイッチング電源110は、バスラインの電圧VBUSを、降圧モードの目標レベルVREF(BUCK)に安定化する。これにより、入力電圧VINが喪失した後も、第1負荷21には、バス電圧VBUSが供給されつづける。
【0062】
時刻t以降も、第2スイッチング電源120は動作し続け、したがって第2負荷22にも、3.3Vの電源電圧VDDが供給され続ける。
【0063】
時刻t以降、第1負荷21および第2負荷22に電力を供給すると、バックアップキャパシタ102に蓄えたエネルギーが減少していく。したがってバックアップキャパシタ102の電圧VSTRは時間とともに低下していく。
【0064】
図4は、第1スイッチング電源110のスイッチング素子M1のゲートソース間電圧VGS1を示す図である。スイッチング素子M1のゲートソース間電圧VGS1は、3.3Vの電源電圧VDDをハイ、0Vをローとして駆動される。
【0065】
以上が電源遮断保護回路100の動作である。続いてその利点を説明する。電源遮断保護回路100の利点は比較技術との対比によって明確となる。
【0066】
比較技術に係る電源遮断保護回路は、図1の構成から、第2スイッチング電源120を省略したものである。比較技術では、第1スイッチング電源110のドライバ回路DR1には、5Vの電源電圧が供給されている。比較技術では、スイッチング素子M1のゲートソース間電圧VGS1は、5Vをハイレベルとしてスイッチングする。つまり比較技術では、スイッチング損失が大きい。
【0067】
これに対して、本実施形態では、スイッチング素子M1のゲートソース間電圧VGS1は、3.3Vをハイレベルとしてスイッチングする。つまり比較技術に比べてスイッチング損失を低減することができ、電源遮断保護回路100の消費電力を削減できる。
【0068】
比較技術において、5Vの電源電圧を、バス電圧VBUSを降圧して生成したとする。この場合のバックアップキャパシタ102の電圧VSTRが、図3に一点鎖線で示される。比較技術では、第1スイッチング電源110のスイッチング損失が大きいため、電源喪失後において、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRが実施形態に比べて速く低下する。言い換えると、実施形態では、スイッチング損失が低減されているため、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRの低下速度が遅くなっている。つまり、電源喪失時において負荷21,22の動作時間を延ばすことができる。あるいは同じ負荷の動作時間を与えるバックアップキャパシタ102の容量を小さくできる。
【0069】
本開示は、図2のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本開示の範囲を狭めるためではなく、本開示や本発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0070】
(実施例1)
図5は、実施例1に係る電源遮断保護回路100Aの回路図である。実施例1において、電源遮断保護回路100Aの主要部は、PLPコントローラ200Aに集積化されている。
【0071】
第1スイッチング電源110Aは、電力伝送の方向が反転可能な昇圧/降圧双方向DC/DCコンバータである。第1スイッチング電源110Aは、第1コンバータブロック270、第1インダクタL1、ブートストラップキャパシタCbs1を含む。
【0072】
第2スイッチング電源120は、第2コンバータブロック272、インダクタL2、出力キャパシタC2、ブートストラップキャパシタCbs2を含む。
【0073】
第1コンバータブロック270および第2コンバータブロック272は、PLPコントローラ200Aに集積化される。
【0074】
PLPコントローラ200Aの入力ピンVINには、入力電圧VINが供給される。出力ピンVBUSには、第1負荷21が接続される。キャパシタ接続ピンSTRには、バックアップキャパシタ102が接続される。第1スイッチングピンLX1は、第1インダクタL1を介して、出力ピンVBUSおよび第1負荷21と接続される。
【0075】
第2スイッチングピンLX2は、第2インダクタL2を介して、第2負荷22と接続される。
【0076】
電源ピンVDDは、第2スイッチング電源120の出力ノード、すなわち第2負荷22と接続される。
【0077】
PLPコントローラ200Aは、電子ヒューズ回路220、コントロールロジック240A、第1コンバータブロック270、第2コンバータブロック272、内部電源回路290を備える。
【0078】
内部電源回路290は、たとえばLDO(Low Drop Output)である。入力電圧VINとバス電圧VBUSをダイオードOR回路を介して受け、2つの電圧のうち、高い一方を入力として動作し、内部電源電圧VREGを生成する。内部電源電圧VREGは、コントロールロジック240AをはじめとするPLPコントローラ200Aの各ブロックに供給される。
【0079】
第1コンバータブロック270は、第1スイッチングピンLX1、出力ピンVBUSおよびキャパシタ接続ピンSTRと接続され、第1インダクタL1、ブートストラップキャパシタCbs1とともに双方向DC/DCコンバータである第1スイッチング電源110Aを構成する。
【0080】
第1コンバータブロック270は、フィードバックコントローラ271、ドライバ回路DR1H,DR1L、ハイサイドトランジスタM1H、ローサイドトランジスタM1Lを含む。
【0081】
第1フィードバックピンFB1xには、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRに応じた第1フィードバック電圧VFB1xがフィードバックされる。フィードバックコントローラ271は、昇圧モードにおいて、第1フィードバック電圧VFB1xが基準電圧VREFに近づくようにフィードバック制御を行い、その結果、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRが第1目標レベルVREF(BOOST)に安定化される。
【0082】
第2フィードバックピンFB1yには、バス電圧VBUSに応じた第2フィードバック電圧VFB1yがフィードバックされる。フィードバックコントローラ271は、降圧モードにおいて、第2フィードバック電圧VFB1yが基準電圧VREFに近づくようにフィードバック制御を行い、その結果、出力ピンVBUSの電圧VBUSが第2目標レベルVREF(BUCK)に安定化される。
【0083】
ダイオードD1、ブートストラップキャパシタCbs1は、ブートストラップ回路を構成している。ダイオードD1のアノードには、第2スイッチング電源120が生成した電源電圧VDDが供給される。これにより、BST1ピンには、LX1ピンよりも、VDDだけ高い電圧が発生する。ハイサイドドライバ回路DR1Hの電源端子は、BST1ピンと接続される。これにより、ハイサイドトランジスタM1Hのゲートソース間電圧は、0Vをロー電圧、VDDをハイ電圧として駆動される。
【0084】
ローサイドドライバ回路DR1Lの電源端子にも、電源電圧VDDが供給される。これにより、ローサイドトランジスタM1Lのゲートソース間電圧は、0Vをロー電圧、VDDをハイ電圧として駆動される。
【0085】
第2コンバータブロック272は、第2スイッチングピンLX2および出力ピンVBUSと接続され、第2インダクタL2、ブートストラップキャパシタCbs2とともに第2スイッチング電源120を構成する。
【0086】
第2コンバータブロック272は、フィードバックコントローラ273、ドライバ回路DR2H,DR2L、ハイサイドトランジスタM2H、ローサイドトランジスタM2Lを含む。
【0087】
第3フィードバックピンFB2には、第2スイッチング電源120が生成する電源電圧VDDに応じた第3フィードバック電圧VFB2がフィードバックされる。フィードバックコントローラ273は、第3フィードバック電圧VFB2が基準電圧VREFに近づくようにフィードバック制御を行い、その結果、電源電圧VDDが第3目標レベルVREF(VDD)に安定化される。
【0088】
ダイオードD2、ブートストラップキャパシタCbs2は、ブートストラップ回路を構成している。ダイオードD2には、電源電圧VDDが供給される。これにより、BST2ピンには、LX2ピンよりも、VDDだけ高い電圧が発生する。ハイサイドドライバ回路DR2Hの電源端子は、BST2ピンと接続される。これにより、ハイサイドトランジスタM2Hのゲートソース間電圧は、0Vをロー電圧、VDDをハイ電圧として駆動される。
【0089】
ローサイドドライバ回路DR2Lの電源端子にも、電源電圧VDDが供給される。これにより、ローサイドトランジスタM2Lのゲートソース間電圧は、0Vをロー電圧、VDDをハイ電圧として駆動される。
【0090】
コントロールロジック240Aは、電子ヒューズ回路220のオン、オフを制御するともに、第1スイッチング電源110Aの動作モードを制御する。
【0091】
以上がPLPコントローラ200Aの構成である。
【0092】
(実施例2)
図6は、実施例2に係る電源遮断保護回路100Bの回路図である。実施例2において、電源遮断保護回路100Bの主要部は、PLPコントローラ200Bに集積化されている。
【0093】
PLPコントローラ200Bには、保護スイッチ260およびインダクタ接続ピンVBが追加されている。第1インダクタL1は、保護スイッチ260を介して、VBUSピンと接続される。つまり、インダクタL1とVBUSピンが電気的に分離可能となっている。
【0094】
具体的には、第1インダクタL1は、VBピンとLX1ピンの間に外付けされる。保護スイッチ260は、VBUSピンとVBピンの間に接続される。
【0095】
コントロールロジック240Bは、保護スイッチ260を制御する。コントロールロジック240Bは、昇圧モードおよび降圧モードにおいて、保護スイッチ260をオン状態とする。たとえばコントロールロジック240Bは、バックアップキャパシタ102のショートモードの故障(STRピンの地絡)を検出すると、保護スイッチ260をオフする。さらにコントロールロジック240Bは、LXピンの地絡を検出すると、保護スイッチ260をオフしてもよい。
【0096】
実施例2によれば、バックアップキャパシタ102がショートモードで故障した状況において、VBUSピンを故障点と切り離すことができ、主電源10から第1負荷21への給電を継続できる。
【0097】
(実施例3)
図7は、実施例3に係る電源遮断保護回路100Cの回路図である。実施例3において、電源遮断保護回路100Cの主要部は、PLPコントローラ200Cに集積化されている。実施例3では、第1スイッチング電源110Cは、昇圧コンバータ112と降圧コンバータ114を含む。
【0098】
昇圧コンバータ112は、降圧モードにおいて停止状態(ディセーブル)であり、昇圧モードにおいてアクティブ(イネーブル)となる。昇圧コンバータ112の入力ノードは出力ライン108と接続され、その出力ノードはバックラップライン106と接続される。昇圧コンバータ112は、第1コンバータブロック270x、第1インダクタL1xを含む。
【0099】
降圧コンバータ114は、昇圧モード、降圧モードの両方においてアクティブであり、その入力ノードはバックアップキャパシタ102と接続され、その出力ノードは出力ライン108と接続される。降圧コンバータ114は、第2コンバータブロック270y、第2インダクタL1y、ブートストラップキャパシタCbs1を含む。
【0100】
好ましくは、降圧コンバータ114の出力電圧の目標電圧VREF(BUCK)は、入力電圧VINの正常レベル(たとえば12V)より低く定めるとよい。より好ましくは、負荷20の正常電圧範囲の下限VMINよりも低く定めるとよい。
REF(BUCK)<VMIN
【0101】
たとえば降圧コンバータ114の目標電圧VREF(BUCK)は、8Vに設定される。本実施形態において、降圧コンバータ114は、電流ソース能力のみを有し、電流シンク能力を有しない。したがって、バス電圧VBUSが目標電圧VREF(BUCK)より高い状態では、降圧コンバータ114は、動作はしているが、バス電圧VBUSに影響を与えることはない。
【0102】
第2スイッチング電源120は、第3コンバータブロック272、第3インダクタL2、出力キャパシタC2、ブートストラップキャパシタCbs2を含む。
【0103】
第1コンバータブロック270x、第2コンバータブロック270yおよび第3コンバータブロック272はPLPコントローラ200Cに集積化される。
【0104】
PLPコントローラ200Cは、3個のスイッチングピンLX1x、L1y、L2、3個のフィードバックピンFB1x、FB1y,FB2を有する。第1スイッチングピンLX1xには、第1インダクタL1xが接続され、第2スイッチングピンLX1yには、第2インダクタL1yが接続され、第3スイッチングピンLX2には、第3インダクタL2が接続される。
【0105】
第1コンバータブロック270xは、フィードバックコントローラ271x、ドライバ回路DR1x、整流ダイオードD1Hx、ローサイドトランジスタM1Lxを含む。
【0106】
第1フィードバックピンFB1xには、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRに応じた第1フィードバック電圧VFB1xがフィードバックされる。フィードバックコントローラ271xは、昇圧モードにおいて、第1フィードバック電圧VFB1xが基準電圧VREFに近づくようにフィードバック制御を行い、その結果、バックアップキャパシタ102の電圧VSTRが第1目標レベルVREF(BOOST)に安定化される。
【0107】
第2コンバータブロック270yは、フィードバックコントローラ271y、ドライバ回路DR1Hy、DR1Ly、ハイサイドトランジスタM1Hy、ローサイドトランジスタM1Lyを含む。
【0108】
第2フィードバックピンFB1yには、バス電圧VBUSに応じた第2フィードバック電圧VFB1yがフィードバックされる。フィードバックコントローラ271yは、降圧モードにおいて、第2フィードバック電圧VFB1yが基準電圧VREFに近づくようにフィードバック制御を行い、その結果、出力ピンVBUSの電圧VBUSが第2目標レベルVREF(BUCK)に安定化される。
【0109】
コントロールロジック240Cは、昇圧モードにおいて、イネーブル信号EN_BOOSTをアサートして、第1コンバータブロック270xをイネーブルとし、降圧モードにおいて、イネーブル信号EN_BOOSTをネゲートして、第1コンバータブロック270xをディセーブルとする。
【0110】
図5の電源遮断保護回路100Aでは、第1スイッチング電源110Aが、ひとつの双方向DC/DCコンバータで構成されており、昇圧モードと降圧モードを切りかえ可能な構成とした。この場合、昇圧モードから降圧モードへの切りかえの遅延が大きいと、この遅延の間に、バス電圧VBUSが低下する可能性がある。これに対して、図7の電源遮断保護回路100Cでは、コンバータの昇圧動作から降圧動作への切りかえが不要となるため、切りかえに伴う遅延が存在しない。したがって、バス電圧VBUSが低下するのを防止できる。
【0111】
具体的には降圧コンバータ114は、入力電圧VINが正常である状況においても、バス電圧VBUSには影響を与えないが、動作し続けている。電子ヒューズ回路220がオフした直後に、直ちにバス電圧VBUSを目標電圧VREF(BUCK)に安定化することができる。
【0112】
(実施例4)
図8は、実施例4に係る電源遮断保護回路100Dの回路図である。実施例4において、電源遮断保護回路100Dの主要部は、PLPコントローラ200Dに集積化されている。
【0113】
PLPコントローラ200Dには、図7のPLPコントローラ200Cに、保護スイッチ260およびインダクタ接続ピンVBが追加された構成を有する。第2インダクタL1yは、保護スイッチ260を介して、VBUSピンと接続される。つまり、第2インダクタL1yとVBUSピンが電気的に分離可能となっている。
【0114】
コントロールロジック240Dは、保護スイッチ260を制御する。コントロールロジック240Dは、昇圧モードおよび降圧モードにおいて、保護スイッチ260をオン状態とする。たとえばコントロールロジック240Dは、バックアップキャパシタ102のショートモードの故障(STRピンの地絡)を検出すると、保護スイッチ260をオフする。さらにコントロールロジック240Dは、LXピンの地絡を検出すると、保護スイッチ260をオフしてもよい。
【0115】
実施例4によれば、バックアップキャパシタ102がショートモードで故障した状況において、VBUSピンを故障点と切り離すことができ、主電源10から第1負荷21への給電を継続できる。
【0116】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る電源遮断保護回路100Eを備えるシステム2Eのブロック図である。システム2Eは、主電源10A、10B、第1負荷21、第2負荷22、第3負荷23および電源遮断保護回路100Eを備える。主電源10Aは、12Vの第1入力電圧VIN1を生成する。主電源10Bは、5Vの第2入力電圧VIN2を生成する。第2入力電圧VIN2は、第2入力ライン105および第3出力ライン107を経由して、第3負荷23に供給される。
【0117】
第2負荷22は、3.3V~5Vで動作可能に構成される。第3負荷23も、第2負荷22と同様に3.3~5Vで動作可能に構成される。
【0118】
電源遮断保護回路100Eは、ロードスイッチSW1,SW2を備える。ロードスイッチSW1は、第2入力ライン105上に設けられており、第3負荷23に対する電力供給のオン、オフを制御するために設けられる。なおロードスイッチSW1は省略してもよい。ロードスイッチSW2は、第2出力ライン109と第3出力ライン107の間に設けられる。
【0119】
実施形態2によれば、よりロバストな電源遮断保護回路100Eを提供できる。実施形態2において、第1スイッチング電源110や第2スイッチング電源120の構成は、実施形態1で説明した通りである。ロードスイッチSW1,SW2は、PLPコントローラ200に集積化することができ、それらのオン、オフは、コントロールロジック240によって制御する構成とすればよい。あるいはロードスイッチSW1,SW2は、ディスクリート素子であり、PLPコントローラ200に外付けされてもよい。
【0120】
(用途)
実施の形態に係る電源遮断保護回路100A~100D(以下、符号100を付して総称する)は、データ記憶装置300に用いることができる。図10は、PLP機能付きのデータ記憶装置300のブロック図である。データ記憶装置300はたとえばSSD(Solid State Drive)であり、電源遮断保護回路100、降圧コンバータ301、PMIC302、コントローラ304やNANDメモリ306、キャッシュメモリ308、インタフェース310を備える。
【0121】
降圧コンバータ301は、PMIC302は、上述の第1負荷21に対応し、降圧コンバータ301は、上述の第2負荷22に対応する。PMIC302は、3.3Vの電源電圧VDDを受け、コントローラ304やNANDメモリ306、キャッシュメモリ308、インタフェース310に、適切な電圧レベルの電源電圧を供給する。降圧コンバータ301は、12Vのバス電圧VBUSを受け、0.8Vに降圧して、負荷に供給する。降圧コンバータ301の負荷は、たとえばコントローラ304であってもよい。
【0122】
データ記憶装置300は、サーバー用であってもよいし、コンピュータに内蔵されてもよいし、ポータブルのSSDであってもよい。
【0123】
なお電源遮断保護回路100の用途はデータ記憶装置300に限定されず、電源遮断後にも、ある時間、電源電圧を維持すべき用途に利用できる。
【0124】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示または本発明の範囲に含まれることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0125】
2 システム
10 主電源
20 負荷
21 第1負荷
22 第2負荷
100 電源遮断保護回路
102 バックアップキャパシタ
104 入力ライン
106 バックラップライン
108 第1出力ライン
109 第2出力ライン
110 第1スイッチング電源
112 昇圧コンバータ
114 降圧コンバータ
120 第2スイッチング電源
200 PLPコントローラ
220 電子ヒューズ回路
240 コントロールロジック
260 保護スイッチ
270 第1コンバータブロック
272 第2コンバータブロック
290 内部電源回路
300 データ記憶装置
302 PMIC
304 コントローラ
306 NANDメモリ
308 キャッシュメモリ
310 インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10