IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンデン株式会社の特許一覧

特開2023-104642リレー制御装置、電子制御装置およびリレー温度検出方法
<>
  • 特開-リレー制御装置、電子制御装置およびリレー温度検出方法 図1
  • 特開-リレー制御装置、電子制御装置およびリレー温度検出方法 図2
  • 特開-リレー制御装置、電子制御装置およびリレー温度検出方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104642
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】リレー制御装置、電子制御装置およびリレー温度検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/26 20060101AFI20230721BHJP
   H01H 47/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H01H47/26
H01H47/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005767
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 義雄
(72)【発明者】
【氏名】小澤 知史
(72)【発明者】
【氏名】小野 仁
(72)【発明者】
【氏名】杉本 恵一
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 晃
(57)【要約】
【課題】部品点数を増加することなく、リレー内部の温度を直接モニタすることの可能なリレー制御装置を提供する。
【解決手段】リレー制御装置1は、コイル3への通電により接点7、8を開閉するリレー2の駆動を制御するものであり、コイル3への通電量により検出したコイル温度に応じてコイル3への通電を制御するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル(3)への通電により接点(7、8)を開閉するリレー(2)の駆動を制御するリレー制御装置において、
前記コイルへの通電量により検出したコイル温度に応じて前記コイルへの通電を制御するように構成されている、リレー制御装置。
【請求項2】
前記リレーに設けられた前記コイルの抵抗値に対する抵抗温度係数を記憶しており、
前記コイルへの前記通電量と前記抵抗温度係数によりコイル温度を演算するように構成されている請求項1に記載のリレー制御装置。
【請求項3】
前記コイルに通電する際の電圧値と電流値と前記抵抗温度係数により前記コイル温度を演算するように構成されている請求項2に記載のリレー制御装置。
【請求項4】
前記リレーに応じて前記抵抗温度係数を補正できるように構成されている請求項2または3に記載のリレー制御装置。
【請求項5】
前記リレーと共にプリント基板(4)に実装されており、前記プリント基板に設けられた配線を経由して前記コイルに通電するように構成されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載のリレー制御装置。
【請求項6】
配線が設けられたプリント基板(4)と、
前記プリント基板に実装され、前記コイル(3)への通電により前記接点(7、8)を開閉する前記リレー(2)と、
前記リレーの駆動を制御する請求項1~4のいずれか1つに記載の前記リレー制御装置(1)と、を備える電子制御装置。
【請求項7】
コイル(3)への通電により接点(7、8)を開閉するリレー(2)の内部の温度をマイクロコンピュータとして構成されたリレー制御装置(1)により検出するリレー温度検出方法において、
前記コイルに通電する際の電圧値と電流値からコイル抵抗を演算すること(S10)と、
前記コイル抵抗と前記リレー制御装置に予め記憶された抵抗温度係数によりコイル温度を演算すること(S20)を含む、リレー温度検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式リレー(以下、単に「リレー」という)の駆動を制御するリレー制御装置、そのリレー制御装置を備えた電子制御装置、および、リレーの内部温度を検出するリレー温度検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リレーの駆動を制御するリレー制御装置が知られている。リレーは、コイルへの通電により接点を開閉し、負荷への通電を切り替えるものである。リレー制御装置は、リレーの温度が0℃以下の所定の温度になると、コイルへの通電量を下げる制御を実行する。これにより、リレーケース内の水分の蒸発が抑制されるので、コイルへの通電を停止した後、接点に対して結露および氷結が発生することが防がれる。
【0003】
特許文献1に記載のリレー制御装置は、アルミニウム製基板に実装されたリレーと、その基板に実装された温度センサとしてのサーミスタを備えている。このリレー制御装置は、リレーの周辺の温度を温度センサでモニタし、その温度が-5℃以下になると、コイルへの通電量を下げる制御を実行するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-18927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のリレー制御装置は、リレー周辺の温度をモニタするために、温度センサと、リレーから温度センサに熱を伝えるアルミニウム製基板などを必要とする。そのため、このリレー制御装置は、部品点数の増加と共に、体格の大型化、製造コストの増加などの問題がある。さらに、温度センサは、リレーの周辺の温度をモニタするものであり、リレー内部の温度をモニタするものではないので、コイルへの通電制御の精度が悪化するといった問題もある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、部品点数を増加することなく、リレー内部の温度を直接検出することの可能なリレー制御装置、電子制御装置およびリレー温度検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によると、コイル(3)への通電により接点(7、8)を開閉するリレー(2)の駆動を制御するリレー制御装置は、コイルへの通電量により検出したコイル温度に応じてコイルへの通電を制御するように構成されている。
【0008】
これによれば、リレー制御装置は、従来のリレーの構成をそのまま利用して、リレーの有するコイルへの通電量によりコイル温度を検出する。コイル温度は、リレー内部の温度に相当する。したがって、このリレー制御装置は、リレー内部の温度を検出するために、特許文献1に記載されている温度センサや、リレーからその温度センサに熱を伝えるためのアルミニウム製の基板構造などを必要としないので、部品点数の増加を防ぐことができる。さらに、このリレー制御装置は、リレー内部の温度を直接モニタできるので、コイルへの通電制御を精度良く行うことができる。
【0009】
また、請求項6に係る発明は、請求項1等に記載のリレー制御装置を備える電子制御装置に関する。電子制御装置は、配線が設けられたプリント基板(4)と、そのプリント基板に実装され、コイル(3)への通電により接点(7、8)を開閉するリレー(2)と、そのリレーの駆動を制御するリレー制御装置(1)を備えている。
【0010】
これによれば、この電子制御装置も、請求項1等に係る発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、コイル(3)への通電により接点(7、8)を開閉するリレー(2)の内部の温度をマイクロコンピュータとして構成されたリレー制御装置(1)により検出するリレー温度検出方法に関する。このリレー温度検出方法は、次の内容を含んでいる。コイルに通電する際の電圧値と電流値からコイル抵抗を演算すること(S10)。コイル抵抗とリレー制御装置に予め記憶された抵抗温度係数によりコイル温度を演算すること(S20)。
【0012】
このリレー温度検出方法によれば、従来のリレーの構成をそのまま利用して、リレーの有するコイルへの通電量によりコイル温度を検出することが可能である。コイル温度は、リレー内部の温度に相当する。そのため、リレーの内部の温度を検出するために温度センサや、リレーからその温度センサに熱を伝えるための基板構造などを必要としないので、部品点数の増加を防ぐことができる。さらに、このリレー温度検出方法によれば、リレー内部の温度を直接モニタすることができる。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るリレー制御装置等を備える電子制御装置の断面図である。
図2】複数のリレーにおいてコイル抵抗とコイル温度との関係を示すグラフである。
図3】リレー制御装置が実行するコイルへの通電制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態のリレー制御装置1は、マイクロコンピュータとして構成された集積回路(IC)であり、リレー2の有するコイル3への通電により、リレー2の駆動を制御するものである。リレー制御装置1とリレー2は共にプリント基板4に実装され、電子制御装置5を構成している。電子制御装置5は、例えば、車両等に搭載され、その車両に設置された不図示のモータなどの電気部品の駆動に用いられる。
【0016】
リレー制御装置1は、制御処理や演算処理を行うプロセッサ、プログラムやデータ等を記憶するメモリーを備えている。プロセッサは、CPUやMPUにより構成されている。メモリーは、ROM、RAM、不揮発性リライタブルメモリ等の各種の非遷移的実体的記憶媒体を備えている。リレー制御装置1は、プロセッサがメモリーに記憶されたプログラムを実行することで、リレー2の有するコイル3への通電を制御するように構成されている。リレー制御装置1が実行するコイル3への通電制御については後述する。
【0017】
本実施形態のリレー制御装置1が駆動制御するリレー2は、リレーケース6、コイル3、固定接点7、可動接点8などを備えた機械式リレーである。なお、リレー2は、電磁継電器とも呼ばれる。
【0018】
リレーケース6は、上ケース10とベース11を有している。上ケース10は、有底筒状に形成されている。ベース11は、上ケース10の基板4側に設けられる開口部を塞ぐように設けられている。リレーケース6の内側には、コイル3、固定接点7、可動接点8などを収容するための収容空間が設けられている。
【0019】
コイル3は、皮膜により覆われた線状の導体(即ち、コイルワイヤ)をボビン12に巻きつけた電磁コイルである。ボビン12の中心には固定鉄心13が設けられている。コイルワイヤの一端と他端はそれぞれ2本のコイル端子14に電気的に接続されている。2本のコイル端子14は、ベース11に固定され、リレーケース6の内側から外側に突出している。なお、図1では、2本のコイル端子14のうち一方のコイル端子の図示が省略されている。
【0020】
固定接点7は、第1負荷端子15に固定されている。第1負荷端子15は、ベース11に固定され、リレーケース6の内側から外側に突出している。
【0021】
可動接点8は、固定接点7に対向する位置に配置され、金属製の板ばね16に固定されている。板ばね16は、ヨーク17に固定されており、可動接点8が固定接点7から離れる向きの弾性力を有している。板ばね16のうち固定鉄心13の端部13aに対向する箇所には可動鉄片18が設けられている。板ばね16は、第2負荷端子19に電気的に接続されている。第2負荷端子19は、ベース11に固定され、リレーケース6の外側に突出している。
【0022】
2本のコイル端子14と第1負荷端子15と第2負荷端子19はそれぞれプリント基板4に設けられたスルーホール20、21、22に挿通され、はんだにより固定されている。2本のコイル端子14は、プリント基板4に設けられた不図示の配線を経由してリレー制御装置1に電気的に接続されている。一方、第1負荷端子15と第2負荷端子19は、大電流が流れる不図示の配線またはバスバーなどに電気的に接続されている。なお、第1負荷端子15と第2負荷端子19は、配線またはバスバーなどを経由して、不図示の電池およびモータなどの電気部品に電気的に接続されている。
【0023】
上述した構成において、リレー制御装置1の制御によりプリント基板4の配線を経由してコイル端子14からコイル3に通電されると、コイル3に磁界が発生し、コイル3と固定鉄心13が磁化されて電磁石となる。そのため、板ばね16の弾性力に抗して可動鉄片18が固定鉄心13側に磁気吸引され、可動接点8と固定接点7とが接する(即ち、接点が閉じる)。これにより、第1負荷端子15、固定接点7、可動接点8、板ばね16、第2負荷端子19、および、第1負荷端子15と第2負荷端子19に電気的に接続された不図示の電気部品を含む電気回路に大電流が流れる。したがって、その不図示の電気部品が駆動する。
【0024】
一方、リレー制御装置1の制御によりコイル3への通電が停止されると、コイル3の磁界が消滅し、板ばね16の弾性力により可動接点8と固定接点7とが離れる(即ち、接点が開く)。これにより、第1負荷端子15、固定接点7、可動接点8、板ばね16、第2負荷端子19、および不図示の電気部品を含む電気回路に流れていた大電流が遮断される。したがって、その不図示の電気部品の駆動が停止する。
【0025】
ところで、リレー2の有するコイル3への通電により接点(即ち、固定接点7と可動接点8)が閉じると、リレー2の各部品に電流が流れ、リレーケース6内の温度が上昇する。リレーケース6内の温度が上昇すると、水分が蒸発し、リレーケース6内の湿度が上昇することがある。
【0026】
その後、コイル3への通電を停止すると、接点7、8が開き、リレー2の各部品に流れていた電流も遮断され、リレーケース6内の温度も次第に低下する。ここで、固定接点7と可動接点8はそれぞれ第1負荷端子15、第2負荷端子19などを経由してリレーケース6の外部の配線やバスバーなど熱容量の大きい金属材料に接続されている。そのため、コイル3への通電を停止すると、その第1負荷端子15、第2負荷端子19に接続されている金属材料の熱引きにより、リレーケース6内の温度よりも、固定接点7及び可動接点8の少なくとも一方の温度の方が短時間で低下する。これにより、固定接点7及び可動接点8の少なくとも一方の温度と、リレーケース6内の温度との差によって、固定接点7及び可動接点8の少なくとも一方に結露が生じることがある。
【0027】
リレー2が使用される環境温度が氷点下以下の場合、固定接点7及び可動接点8の少なくとも一方に生じた結露が凍ることで氷結が生じると、次回、コイル3に通電したときに、固定接点7と可動接点8とが接触しない(即ち、導通しない)といった不具合が生じるおそれがある。
【0028】
そこで、本実施形態のリレー制御装置1は、リレーケース6内の温度を直接検出(モニタ)し、その検出した温度に応じてコイル3への通電量を調整する制御を実行するものである。
【0029】
まず、リレー制御装置1がリレーケース6内の温度を検出する方法について、図2のグラフを参照しつつ説明する。
【0030】
図2のグラフにおいて、横軸はコイル3の抵抗(以下、「コイル抵抗」という)を示し、縦軸はコイル3の温度(以下、「コイル温度」という)を示している。図2の実線Aと実線Bは、コイル3の巻数、線径、体格、形状などが異なる構成の2種のリレー2について、コイル抵抗とコイル温度との関係を示している。コイル抵抗とコイル温度は、次の式1の関係を示している。
【0031】
コイル温度=コイル抵抗×抵抗温度係数 ・・・(式1)
即ち、コイル温度は、コイル抵抗と線的な関係を有している。なお、上記式1の抵抗温度係数は、リレー2の種類または個体に応じて異なる値である。
【0032】
ここで、リレーケース6内に設けられるコイル3の温度は、リレーケース6内の温度と略同一と言える。そのため、リレー制御装置1は、コイル3への通電時に測定されるコイル抵抗に基づき、コイル3を測温抵抗体として利用して、リレーケース6内の温度を直接検出することが可能である。
【0033】
なお、コイル抵抗は、次の式2の関係を有している。
コイル抵抗=コイル電圧/コイル電流 ・・・(式2)
【0034】
即ち、上記式2に基づき、リレー制御装置1は、コイル3への通電を定電流制御する場合、コイル電圧値をモニタしてコイル抵抗を導出することが可能である。一方、リレー制御装置1は、コイル3への通電を定電圧制御する場合、コイル電流値をモニタしてコイル抵抗を導出することが可能である。
【0035】
本実施形態のリレー制御装置1は、上記の方法で検出したコイル3の温度(すなわち、リレーケース6内の温度)に応じてコイル3への通電量を制御する。
【0036】
続いて、本実施形態のリレー制御装置1が実行するコイル3への通電制御処理について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0037】
この通電制御処理は、リレー制御装置1からコイル3への通電と同時に実行される。
まず、ステップS10でリレー制御装置1は、コイル3に通電する際の電圧値と電流値から、上記式2に基づいてコイル抵抗を演算する。
【0038】
次に、ステップS20でリレー制御装置1は、上記ステップS10で演算されたコイル抵抗と、リレー制御装置1のメモリーに予め記憶された抵抗温度係数から、上記式1に基づいてコイル温度を演算する。なお、コイル3の抵抗温度係数は、各リレー2に対して実験などにより求められ、リレー制御装置1のメモリーに予め記憶されたものである。
【0039】
続いて、ステップS30でリレー制御装置1は、コイル温度に応じてコイル3への通電を制御する。例えば、リレー制御装置1は、リレーケース6内の温度が0℃以下の所定の温度のとき、コイル3への通電量を下げる制御を実行してもよい。これにより、リレーケース6内で氷結が懸念される0℃以下の所定温度環境下において、コイル3の皮膜に含まれる水分の蒸発が抑制されるので、コイル3への通電を停止した後、接点7、8に対して結露および氷結が発生することが防がれる。
【0040】
なお、上述した通電制御処理のうち、ステップS10とステップS20の処理は、特許請求の範囲に記載の「リレー温度検出方法」に相当するものである。
【0041】
以上説明した本実施形態のリレー制御装置1、電子制御装置5、及びリレー温度検出方法は、次の作用効果を奏する。
(1)本実施形態のリレー制御装置1は、コイル3への通電量により検出したコイル温度に応じてコイル3への通電を制御するように構成されている。
これによれば、リレー制御装置1は、従来のリレーの構成をそのまま利用して、リレー2の有するコイル3への通電量によりコイル温度を検出する。コイル温度は、リレーケース6内の温度に相当する。したがって、本実施形態のリレー制御装置1は、上記特許文献1に記載されている温度センサや、リレーからその温度センサに熱を伝えるためのアルミニウム製の基板構造などを必要としないので、部品点数の増加を防ぐことができる。さらに、本実施形態のリレー制御装置1は、リレーケース6の内部の温度を直接モニタできるので、コイル3への通電制御を精度良く行うことができる。
【0042】
(2)本実施形態のリレー制御装置1は、リレー2に設けられたコイル3の抵抗温度係数を記憶しており、コイル3への通電量と抵抗温度係数によりコイル温度を演算する。
これによれば、リレー制御装置1は、各リレー2の有するコイル3の抵抗温度係数を予め記憶しておくことで、コイル3への通電量により演算されるコイル抵抗と、抵抗温度係数に基づきコイル温度を演算することができる。
【0043】
(3)本実施形態のリレー制御装置1は、コイル3に通電する際の電圧値と電流値と抵抗温度係数によりコイル温度を演算する。
これによれば、リレー制御装置1は、コイル3に通電する際の電圧値と電流値に基づきコイル抵抗を演算し、そのコイル抵抗と抵抗温度係数に基づきコイル温度を演算することができる。
【0044】
(4)本実施形態のリレー制御装置1は、リレー2と共にプリント基板4に実装されており、プリント基板4に設けられた配線を経由してコイル3に通電するように構成されている。
これによれば、リレー制御装置1とコイル3とを接続する基板4の配線は短いものとなる。そのため、リレー制御装置1は、温度による配線抵抗の変化の影響を殆ど受けることなく、コイル温度を精度よく検出することが可能である。また、リレー制御装置1は、特許文献1に記載されているようなリレー2から温度センサに熱を伝えるための基板構造(例えば、アルミニウム製基板)を必要としないので、製造コストの増加を防ぐことができる。
【0045】
(5)本実施形態の電子制御装置5は、配線が設けられたプリント基板4と、そのプリント基板4に実装されるリレー2と、そのリレー2の駆動を制御するリレー制御装置1を備えている。
これによれば、本実施形態の電子制御装置5も、上記特許文献1に記載されている温度センサや、リレーからその温度センサに熱を伝えるための基板構造などを必要としないので、部品点数の増加を防ぐことができる。さらに、リレー制御装置1がリレーケース6の内部の温度を直接モニタする構成とされているので、コイル3への通電制御を精度良く行うことができる。
【0046】
(6)本実施形態のリレー温度検出方法は、次の内容を含んでいる。コイル3に通電する際の電圧値と電流値からコイル抵抗を演算すること(S10)。コイル抵抗とリレー制御装置1に予め記憶された抵抗温度係数によりコイル温度を演算すること(S20)。
この方法によれば、従来のリレーの構成をそのまま利用して、リレー2の有するコイル3への通電量によりコイル温度を検出することが可能である。そのため、コイル温度を検出するための温度センサや、リレーからその温度センサに熱を伝えるための基板構造などを必要としないので、部品点数の増加を防ぐことができる。さらに、この方法によれば、リレーケース6の内部の温度を直接モニタすることができる。
【0047】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、リレー制御装置1は、各リレー2に対して実験などにより求められた抵抗温度係数を予めメモリーに記憶しておくことを説明したが、それに限らない。リレー制御装置1は、例えば製品出荷時またはメンテナンス時などにおいて、各リレー2に応じてメモリーに予め記憶された抵抗温度係数を補正できるように構成されていてもよい。これによれば、リレー制御装置1は、各リレー2におけるコイル抵抗とコイル温度の特性のばらつきに応じて抵抗温度係数を補正することで、各リレー2のコイル温度を精度よく検出することが可能となる。
【0048】
(2)上記実施形態では、リレー制御装置1は、コイル温度(即ち、リレーケース6内の温度)に基づいてコイル3への通電を制御することを説明したが、それに限らない。リレー制御装置1は、例えば、自身の電子制御装置5内または別の場所に設けられた温度センサから得られる温度情報も参照しつつ、コイル3への通電を制御してもよい。これによれば、リレーケース6の内部とリレーケース6の外部との温度差に基づいて、リレー2の接点に結露の発生しやすい条件のときにコイル3への通電量を低減し、水蒸気の発生を抑制することができる。
【0049】
(3)上記各実施形態では、リレー制御装置1は、基板に実装されるタイプのリレー2の駆動を制御するものについて説明したが、それに限らない。リレー制御装置1は、例えば、プラグインリレーの駆動を制御するものであってもよい。その場合、リレー制御装置1とプラグインリレーとを接続するワイヤハーネスが設置される環境温度に基づいて演算されるワイヤハーネスの抵抗の影響を除いて、プラグインリレーの有するコイル3の温度を検出すればよい。
【0050】
以上説明したように、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0051】
また、上記実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の温度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
【0052】
本発明に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 リレー制御装置
2 リレー
3 コイル
4 プリント基板
5 電子制御装置
7 固定接点
8 可動接点
図1
図2
図3