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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104671
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】管拡径工具
(51)【国際特許分類】
   B29C 57/04 20060101AFI20230721BHJP
   B25F 5/00 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
B29C57/04
B25F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005807
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢加部 晃一
【テーマコード(参考)】
3C064
4F209
【Fターム(参考)】
3C064AA20
3C064AB03
3C064AC02
3C064BA02
3C064BA13
3C064BA33
3C064BA34
3C064BB01
3C064BB21
3C064BB23
3C064BB71
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA29
3C064CA44
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB03
3C064CB05
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB62
3C064CB74
4F209AG08
4F209NA22
4F209NB01
4F209NG03
4F209NH06
4F209NM07
4F209NN02
(57)【要約】
【課題】安定した状態で保持でき、操作性が良好である管拡径工具が必要とされている。
【解決手段】合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具1は、本体ハウジング11に収容された電動モータ21を有する。管拡径工具1は、電動モータ21の出力軸21aと平行あるいはその軸線上に前後方向に移動可能に本体ハウジング11に設けられたねじ軸28を有する。管拡径工具1は、ねじ軸28に螺合され、ねじ軸28の軸回りに回転することでねじ軸28を前後動させる雌ねじ部材27を有する。管拡径工具1は、雌ねじ部材27にかみ合って電動モータ21の出力軸21aの回転を伝えるギヤ26を有する。管拡径工具1は、ねじ軸28から前方に延出する楔3を有する。管拡径工具1は、楔3がねじ軸28とともに前進した際に楔3に押されて径方向外方に相互に開くように本体ハウジング11に開閉可能に連結された複数のジョー4を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具であって、
本体ハウジングに収容された電動モータと、
前記電動モータの出力軸と平行あるいはその軸線上に前後方向に移動可能に前記本体ハウジングに設けられたねじ軸と、
前記ねじ軸に螺合され、前記ねじ軸の軸回りに回転することで前記ねじ軸を前後動させる雌ねじ部材と、
前記雌ねじ部材にかみ合って前記電動モータの前記出力軸の回転を伝えるギヤと、
前記ねじ軸から前方に延出する楔と、
前記楔が前記ねじ軸とともに前進した際に前記楔に押されて径方向外方に相互に開くように前記本体ハウジングに開閉可能に連結された複数のジョーを有する管拡径工具。
【請求項2】
請求項1に記載の管拡径工具であって、
前記本体ハウジングから下方に延出するグリップを有し、
前記グリップは、前記電動モータと前記複数のジョーの前後方向の間に設けられ、
前記電動モータが前記ねじ軸の下方に配置される管拡径工具。
【請求項3】
請求項2に記載の管拡径工具であって、
前記ねじ軸の少なくとも一部と前記グリップが前後方向にオーバーラップする管拡径工具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記電動モータの前記出力軸と前記ねじ軸の間には、前記出力軸の出力を減速させる遊星減速機構が設けられる管拡径工具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記複数のジョーの後部と連結される回転駆動リングと、
前記回転駆動リングを前記電動モータの出力によって回転させて前記複数のジョーを周方向に回転させるジョー回転機構を有し、
前記回転駆動リングが前記雌ねじ部材の前方に設けられる管拡径工具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記複数のジョーを開閉可能に支持しかつ前記複数のジョーの前後動を規制するキャップと、
前記本体ハウジング内において、前側から後方に順に配置された前側機構ハウジングと中央機構ハウジングと後側機構ハウジングと、
前記前側機構ハウジングと後側機構ハウジングを連結するボルトを有し、
前記前側機構ハウジングが鉄製であり、かつ前記キャップを支持し、
前記後側機構ハウジングが鉄製であり、かつ前記雌ねじ部材の後端を支持し、
前記中央機構ハウジングが鉄よりも軽量の材料で形成された管拡径工具。
【請求項7】
請求項6に記載の管拡径工具であって、
前記中央機構ハウジングと前記後側機構ハウジングの間に第2中央機構ハウジングを有し、
前記前側機構ハウジングと前記中央機構ハウジングと前記第2中央機構ハウジングと前記後側機構ハウジングは、隣接する各端部が相互に前後方向にオーバーラップする係合部を前記各端部に有する管拡径工具。
【請求項8】
請求項7に記載の管拡径工具であって、
前記出力軸の前方には、前記ギヤと一体になって回転するスピンドルが設けられ、
前記中央機構ハウジングと前記第2中央機構ハウジングは、前記スピンドルを回転可能に支持するスピンドル軸受と前記雌ねじ部材を回転可能に支持する雌ねじ部材軸受を支持する管拡径工具。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記後側機構ハウジングは、前記雌ねじ部材の後端と当接するスラスト軸受を支持する管拡径工具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記ねじ軸と前記雌ねじ部材の螺合部分にボールが介装される管拡径工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば合成樹脂製の流体管の端部を被接続体に接続するために拡径する管拡径工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばPEX(Crоss-linked pоlyethylene:架橋ポリエチレン)を材料とする流体管を金属製のパイプ等の被接続体に接続する場合がある。PEX管の端部の内径を拡げる管拡径工具が従来提供されている。PEX管の端部を、管拡径工具を用いて拡径して被接続体に装着する。PEX管の端部は、弾性変形によって次第に元の径に戻るように縮径する。端部が縮径したPEX管は、被接続体に対して密に接続される。接続されたPEX管は、自身の弾性を利用して被接続体に強固に保持される。
【0003】
特許文献1には、電動モータを駆動源としてPEX管を拡径する管拡径工具が記載されている。管拡径工具の前部には、PEX管の端部に対して前進または後退する略円錐状の楔と、楔の前方で楔の周方向に並ぶ複数のジョーが設けられる。複数のジョーは、前進する楔に押されて楔の径方向外方に相互に開く。複数のジョーをPEX管の端部開口に進入させた状態で径方向外方に開くことで、PEX管の端部を拡げることができる。
【0004】
管拡径工具の工具本体には、電動モータと、電動モータの出力を減速する遊星減速機構が設けられる。また、管拡径工具には、工具本体から下方に延出する略柱状のグリップが設けられる。使用者は、グリップを把持して管拡径工具を保持する。特許文献1において重量の大きい電動モータがグリップの前方に配置されている。そのため工具本体の重心が前方に寄っており、グリップを把持する際の工具本体の安定性が低くなる。また、比較的径が大きくかつ軸方向長さが長い遊星減速機構が、グリップと電動モータの上下方向の間に配置されている。そのため管拡径工具の上下方向の長さが長くなり、工具本体の安定性がさらに低くなり易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2020/0261959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用者が管拡径工具を安定した状態で保持できるようにするために、管拡径工具には種々改良の余地があった。したがって安定した状態で保持でき、操作性が良好である管拡径工具が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つの特徴によると合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具は、本体ハウジングに収容された電動モータを有する。管拡径工具は、電動モータの出力軸と平行あるいはその軸線上に前後方向に移動可能に本体ハウジングに設けられたねじ軸を有する。管拡径工具は、ねじ軸に螺合され、ねじ軸の軸回りに回転することでねじ軸を前後動させる雌ねじ部材を有する。管拡径工具は、雌ねじ部材にかみ合って電動モータの出力軸の回転を伝えるギヤを有する。管拡径工具は、ねじ軸から前方に延出する楔を有する。管拡径工具は、楔がねじ軸とともに前進した際に楔に押されて径方向外方に相互に開くように本体ハウジングに開閉可能に連結された複数のジョーを有する。
【0008】
したがって電動モータを、出力軸がねじ軸と平行に延出する姿勢で配置する。これにより電動モータは、ねじ軸に沿って前後方向に延びる姿勢でかつねじ軸に近い位置で配置される。あるいは電動モータを、出力軸がねじ軸と同軸上に延出する姿勢で配置する。これにより電動モータは、ねじ軸の近くに配置される。かくして重量が大きい電動モータをねじ軸が位置する本体ハウジングの中心に近づけることができる。そのため重量バランスが良くなり、管拡径工具を安定した状態で保持できる。これにより管拡径工具の操作性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施例に係る管拡径工具の斜視図である。
図2】工具本体の本体ハウジングを取り外した状態の斜視図である。
図3】工具本体の本体ハウジングを取り外した状態の右側面図である。
図4】工具本体の分解斜視図である。
図5】楔が初期位置に位置する状態の管拡径工具の縦断面図である。
図6】ジョーの回転が終了した状態の工具本体の縦断面図である。
図7】楔が終端位置に位置する状態の工具本体の縦断面図である。
図8図5中のVIII-VIII線断面矢視図である。
図9】動力変換リングの下面図である。
図10】楔が初期位置に位置する状態のジョー回転機構を左側下方から見た図である。
図11】ジョーの回転が終了した状態のジョー回転機構を左側下方から見た図である。
図12】楔が終端位置に位置する状態のジョー回転機構を左側下方から見た図である。
図13】ジョーを後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、本体ハウジングから下方に延出するグリップを有する。グリップは、電動モータと複数のジョーの前後方向の間に設けられる。電動モータがねじ軸の下方に配置される。したがって電動モータと複数のジョーをグリップに対して重量バランスが良好になるように配置する。これにより使用者がグリップを把持した時の管拡径工具の操作性を高めることができる。
【0011】
本開示の他の特徴によると、ねじ軸の少なくとも一部とグリップが前後方向にオーバーラップする。したがって管拡径工具を前後方向に短くすることができる。そのため管拡径工具の重心回りのモーメントが小さくなり操作性をさらに高めることができる。
【0012】
本開示の他の特徴によると電動モータの出力軸とねじ軸の間には、出力軸の出力を減速させる遊星減速機構が設けられる。したがって電動モータからねじ軸までの動力伝達経路上に遊星減速機構をコンパクトに配置できる。また、電動モータからねじ軸までの動力伝達経路を最小限にすることにより動力の伝達ロスを抑制できる。
【0013】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、複数のジョーの後部と連結される回転駆動リングを有する。管拡径工具は、回転駆動リングを電動モータの出力によって回転させて複数のジョーを周方向に回転させるジョー回転機構を有する。回転駆動リングが雌ねじ部材の前方に設けられる。したがって雌ねじ部材と回転駆動リングと複数のジョーをねじ軸が延出する前後方向に並べて配置する。そのため管拡径工具の重心をねじ軸に近づけることができる。これにより管拡径工具を保持する際の安定性を高めることができる。
【0014】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、複数のジョーを開閉可能に支持しかつ複数のジョーの前後動を規制するキャップを有する。管拡径工具は、本体ハウジング内において、前側から後方に順に配置された前側機構ハウジングと中央機構ハウジングと後側機構ハウジングを有する。管拡径工具は、前側機構ハウジングと後側機構ハウジングを連結するボルトを有する。前側機構ハウジングが鉄製であり、かつキャップを支持する。後側機構ハウジングが鉄製であり、かつ雌ねじ部材の後端を支持する。中央機構ハウジングが鉄よりも軽量の材料で形成される。
【0015】
したがって前側機構ハウジングと中央機構ハウジングと後側機構ハウジングで前後方向に分割された構造を有する。キャップと、キャップを支持する前側機構ハウジングは、複数のジョーを開く際に複数のジョーによって前方に向けて強い力で押される。雌ねじ部材は、ねじ軸を前動させる反作用で後方に向けて強い力で押される。例えば前側機構ハウジングと中央機構ハウジングと後側機構ハウジングが一部材で一体の機構ハウジングとして設けられる場合、ジョーの拡径時に前端と後端で前後方向に強い引張力が生じる。そのため機構ハウジング全体を高い強度で設ける必要がある。前側機構ハウジングと中央機構ハウジングと後側機構ハウジングを前後方向に分割し、しかも前側機構ハウジングと後側機構ハウジングを鉄製に設ける。これにより前後方向の引張力を強度の高い前側機構ハウジングと後側機構ハウジングそれぞれで分散できる。さらに中央機構ハウジングを軽量な材料で設けることにより管拡径工具を軽量化できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、中央機構ハウジングと後側機構ハウジングの間に第2中央機構ハウジングを有する。前側機構ハウジングと中央機構ハウジングと第2中央機構ハウジングと後側機構ハウジングは、隣接する各端部が相互に前後方向にオーバーラップする係合部を各端部に有する。したがって各係合部を前後方向にオーバーラップさせることにより、前側機構ハウジングと中央機構ハウジングを互いに精度良く位置決めできる。また、中央機構ハウジングと第2中央機構ハウジングの係合部、第2中央機構ハウジングと後側機構ハウジングの係合部においても精度良く位置決めできる。そのため各機構ハウジングの組み付け性を良好にでき、かつ内部に収容される雌ねじ部材等のガタツキを抑制できる。
【0017】
本開示の他の特徴によると出力軸の前方には、ギヤと一体になって回転するスピンドルが設けられる。中央機構ハウジングと第2中央機構ハウジングは、スピンドルを回転可能に支持するスピンドル軸受と雌ねじ部材を回転可能に支持する雌ねじ部材軸受を支持する。したがってスピンドル軸受と雌ねじ部材軸受は、前後方向の力をほとんど受けない。そのため前側機構ハウジングと後側機構ハウジングよりも強度の低い中央機構ハウジングと第2中央機構ハウジングで、スピンドルと雌ねじ部材を十分に支持できる。これにより鉄製で設ける必要がある箇所を少なくでき、管拡径工具を軽量化できる。
【0018】
本開示の他の特徴によると後側機構ハウジングは、雌ねじ部材の後端と当接するスラスト軸受を支持する。したがって雌ねじ部材は、ねじ軸が前動する際に後方に向けて強い力で押される。後側機構ハウジングは、雌ねじ部材が後方へ押される力をスラスト軸受を介して受けることができる。そのため雌ねじ部材は、ねじ軸の軸回りに精度良く回転可能である。これによりねじ軸は、前後方向に精度良く移動できる。
【0019】
本開示の他の特徴によるとねじ軸と雌ねじ部材の螺合部分にボールが介装される。したがって螺合部分に介装されたボールによって駆動力の伝達効率が良くなる。そのためねじ軸に対する雌ねじ部材の回転駆動を、効率良くねじ軸の前後動に変換できる。
【0020】
次に本開示の一つの実施例を図1~13に基づいて説明する。図1に示すように本実施例の管拡径工具1は、略円筒形状の本体ハウジング11に収容される工具本体10と、工具本体10の前後方向の中央から下方に延出するグリップ5を有する。使用者は、管拡径工具1の概ね後方(図1において左方奥側)に位置してグリップ5を把持する。以下の説明において、使用者の手前側を後方、使用者の手前側と反対側を前方とする。上下左右方向については使用者を基準とする。
【0021】
図1,4に示すようにグリップ5よりも前方の本体ハウジング11の前部には、リング状のキャップ2が装着される。キャップ2の内周面の内側には、前後方向に延出する略円錐状の楔3が設けられる。楔3は、本体ハウジング11の中心で前後方向に延出する円柱状のねじ軸28の前端に装着される。ねじ軸28は、楔3は、ねじ軸28とともに前後方向に移動可能である。楔3の径方向外方かつキャップ2の径方向内方には、前後方向に延出する複数のジョー4が設けられる。複数のジョー4は、楔3の周方向に等間隔に並ぶ。例えば6つのジョー4が設けられ、各ジョー4が楔3の周方向に60°間隔で配置される。複数のジョー4は、周方向に互いに密接して楔3を覆う閉じ位置と、径方向外方に相互に開いて楔3の先端を露出する開き位置の間で径方向に開閉可能である。
【0022】
図1に示すようにグリップ5の前面には、トリガ式のスイッチレバー6が設けられる。使用者は、グリップ5を把持した状態でスイッチレバー6を引いて操作することができる。グリップ5の内部には、スイッチレバー6の操作と連動してオンオフが切り替えられるスイッチ本体6aが設けられる。スイッチ本体6aは、スイッチレバー6を引いていない場合にオフ状態であり、スイッチレバー6を引いた場合にオン状態になる。グリップ5の下端には、グリップ5に対して前後方向および左右方向に拡径する略矩形箱形の拡径部7が設けられる。拡径部7には、コントローラ45が収容される。コントローラ45は、底浅の矩形箱形のケースと、ケース内に収容されかつ樹脂モールドされた制御基板を有する。コントローラ45は、厚み方向(ケースの最短辺が延びる方向)が上下方向に沿った姿勢で拡径部7に収容される。コントローラ45は、主として後述する電動モータ21の駆動を制御する。
【0023】
図1に示すように拡径部7の下面には、矩形箱形のバッテリ8を取り外し可能に装着できるバッテリ取付部7aが設けられる。バッテリ8は、バッテリ取付部7aに対して前方に向けてスライドさせることでバッテリ取付部7aから取り外すことができる。バッテリ8は、バッテリ取付部7aの前方から後方に向けてスライドさせることでバッテリ取付部7aに装着できる。バッテリ8は、バッテリ取付部7aから取り外して別途用意した充電器で繰り返し充電して使用できる。バッテリ8は、他の電動工具の電源として流用することができる。バッテリ8は、電動モータ21に電力を供給する電源として動作する。
【0024】
図4に示すように本体ハウジング11には、前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15が前側から後方に順に収容される。前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14は、前後方向に貫通する挿通孔を中央に有する略円筒形状である。後側機構ハウジング15は、前後方向を板厚方向とする板状に設けられる。前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15は、協働して後述するスピンドル24と雌ねじ部材27を収容する機構ハウジングを形成する。前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15は、鉄を材料にして設けられる。第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14は、アルミニウムを材料にして設けられる。
【0025】
図2,4に示すように前側機構ハウジング12の前部外周面には、雄ねじ12aが設けられる。キャップ2の内周面には、雄ねじ12aと螺合する雌ねじ2bが設けられる。雄ねじ12aと雌ねじ2bを螺合させることで、キャップ2が前側機構ハウジング12の前部に連結される。前側機構ハウジング12の後部には、径方向外方に張り出した略矩形の板状の矩形張出部12cが設けられる。矩形張出部12cの4つの角部には、前後方向に貫通する透孔12eが形成される。
【0026】
図2,4に示すように第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15は、径方向外方に張り出す4つのボス部13c,14c,15cをそれぞれ有する。各ボス部13c,14c,15cは、前後方向に延出する略円筒形状に形成される。各ボス部13c,14cの中央には、前後方向に貫通する透孔13f,14fが設けられる。各ボス部15cの中央には、前後方向に延出するねじ孔15dが設けられる。
【0027】
図2,4に示すように矩形張出部12cとボス部13c,14c,15cを前後方向に並べることにより、透孔12e,13f,14fとねじ孔15dが前後方向に連通する。4本のボルト16を、連通した各透孔12e,13f,14fに前方から後方へ挿通させ、ねじ孔15dに締結させる。これにより前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15は、第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14を前後方向の間に挟んだ状態でボルト16で連結される。
【0028】
図3~5に示すように前側機構ハウジング12の後端と第1中央機構ハウジング13の前端には、略円筒形状の係合部12bと係合部13aがそれぞれ設けられる。係合部12bの内周面と係合部13aの外周面は略同じ径である。係合部12bと係合部13aは、前後方向にオーバーラップしかつ係合部12bの内周面と係合部13aの外周面が密接したいわゆるインロー構造で係合する。
【0029】
図3~5に示すように第1中央機構ハウジング13の後端と第2中央機構ハウジング14の前端には、略円筒形状の係合部13bと係合部14aがそれぞれ設けられる。係合部13bの内周面と係合部14aの外周面は略同じ径である。係合部13bと係合部14aは、前後方向にオーバーラップしかつ係合部13bの内周面と係合部14aの外周面が密接したインロー構造で係合する。
【0030】
図3~5に示すように第2中央機構ハウジング14の後端には、略円筒形状の係合部14bが設けられる。後側機構ハウジング15の前面には、前方へ突出した略円筒形状の係合部15bが設けられる。係合部14bの内周面と係合部15bの外周面は略同じ径である。係合部14bと係合部15bは、前後方向にオーバーラップしかつ係合部14bの内周面と係合部15bの外周面が密接したインロー構造で係合する。
【0031】
図1,5に示すように本体ハウジング11の後部には、電動モータ21を収容する略円筒形状のモータハウジング20が設けられる。モータハウジング20は、ねじ軸28の下方かつグリップ5の上方後側に位置する。電動モータ21には、例えばDCブラシレスモータと称されるモータが用いられる。電動モータ21の出力軸21aは、モータ軸線Jに沿ってねじ軸28と平行に前後方向に延出する。出力軸21aは、モータハウジング20に取り付けられた軸受21e,21fによってモータ軸線Jを中心に回転可能に支持される。
【0032】
図5に示すようにモータハウジング20の内周面には、電動モータ21の固定子21bが回転不能に支持される。電動モータ21の回転子21cは、固定子21bの内周側で出力軸21aと一体に回転可能に出力軸21aに取り付けられる。回転子21cの前方には、回転数検知センサ21dが設けられる。回転数検知センサ21dは、回転子21cの回転角度を検知することで出力軸21aの回転数を検知する。回転子21cと後方の軸受21fの前後方向の間には、モータハウジング20内に冷却風を導入するためのファン22が出力軸21aに一体に取り付けられる。出力軸21aとともにファン22が回転すると、冷却風がモータハウジング20の前方から後方に向けて流れる。
【0033】
図5に示すように電動モータ21の前方には、出力軸21aの出力を減速するための遊星減速機構23が設けられる。遊星減速機構23は、モータ軸線Jを中心としかつ電動モータ21と略同じ径の略円柱状である。遊星減速機構23の後端には、第1サンギヤ23aが出力軸21aの前端と一体に設けられる。第1サンギヤ23aの径方向外方には、モータ軸線Jを中心とするリング状の第1インターナルギヤ23bが設けられる。第1サンギヤ23aと第1インターナルギヤ23bの間に複数の第1遊星ギヤ23cが噛み合う。第1遊星ギヤ23cは、第1サンギヤ23aの前方の第1キャリヤ23dと連結される。出力軸21aの回転駆動は、第1サンギヤ23aと第1遊星ギヤ23cを介して第1キャリヤ23dに減速して伝達される。
【0034】
図5に示すように第1キャリヤ23dは、前方の第2サンギヤ23eと一体に設けられ、かつ第2サンギヤ23eとともにモータ軸線Jを中心に回転可能である。第2サンギヤ23eの径方向外方には、モータ軸線Jを中心とするリング状の第2インターナルギヤ23fが設けられる。第2サンギヤ23eと第2インターナルギヤ23fの間に複数の第2遊星ギヤ23gが噛み合う。第2遊星ギヤ23gは、第2サンギヤ23eの前方に配置された第2キャリヤ23hと連結される。第2キャリヤ23hは、前方のスピンドル24と一体に設けられ、モータ軸線Jを中心に回転可能である。したがって第1キャリヤ23dの回転駆動は、第2サンギヤ23e、第2遊星ギヤ23g、第2キャリヤ23hを介してスピンドル24に減速して伝達される。かくして出力軸21aの回転駆動が遊星減速機構23を介してスピンドル24に減速して伝達される。
【0035】
図5に示すようにスピンドル24は、スピンドル軸受24b,24cによってモータ軸線Jを中心に回転可能に支持される。前方のスピンドル軸受24bは、第1中央機構ハウジング13の下部に凹設された凹部13dに圧入される。後方のスピンドル軸受24cは、第2中央機構ハウジング14の下部に凹設された凹部14dに圧入される。スピンドル軸受24b,24cは、第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14が協働して形成するスペース内に収容される。スピンドル24には、ねじ軸28に動力を伝達するためのギヤ26が一体に回転可能に設けられる。ギヤ26は、スピンドル軸受24b,24cの前後の間に設けられる。スピンドル24の外周面には、スピンドル軸受24bの前方において雄ねじ24aが形成される。
【0036】
図4,5に示すように工具本体10には、ボールねじ機構と称される送りねじ機構25が設けられる。送りねじ機構25は、ねじ軸28と雌ねじ部材27とギヤ26を有する。ねじ軸28は、本体ハウジング11の中心で前後方向に延出するねじ軸軸線K上に配置される。ねじ軸28は、ねじ軸軸線Kに沿って前後方向に移動可能である。ねじ軸28は、移動範囲の後端から前端までのいずれの位置でも、少なくとも一部がグリップ5と前後方向にオーバーラップする。ねじ軸28は、移動範囲の最後端に位置する際に出力軸21aと前後方向にオーバーラップする。雌ねじ部材27は、ねじ軸28と螺合しかつギヤ26と噛み合う略円筒形状に形成される。雌ねじ部材27の内周面には雌ねじ27bが設けられる。雌ねじ27bは、ねじ軸28の雄ねじ28aとの間に複数のボール28bを介して雄ねじ28aに螺合される。雌ねじ部材27の前後方向の中央には、径方向外方に突出してギヤ26と噛み合うギヤ27aが設けられる。ギヤ27aとギヤ26の噛み合いによってスピンドル24の回転駆動が雌ねじ部材27に減速して伝達される。
【0037】
図4,5に示すように雌ねじ部材27は、前後の雌ねじ部材軸受27c,27dによってねじ軸軸線Kを中心にして回転可能に支持される。ギヤ27aの前方の雌ねじ部材軸受27cは、第1中央機構ハウジング13の内周面13eに圧入される。ギヤ27aの後方の雌ねじ部材軸受27dは、第2中央機構ハウジング14の内周面14eに圧入される。雌ねじ部材軸受27c,27dは、第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14が協働して形成するスペース内に収容される。雌ねじ部材27の後面と後側機構ハウジング15の前面15aとの間には、雌ねじ部材27を後方に押すスラスト荷重を受けるためのスラスト軸受27eが設けられる。雌ねじ部材27の前面と後述する動力変換リング32の後面との間には、ワッシャ27fが設けられる。
【0038】
図2,3に示すようにねじ軸28の後部には、本体ハウジング11に対するねじ軸28の前後動をガイドするねじ軸ガイド29が設けられる。ねじ軸ガイド29は、ねじ軸28に連結されかつ左右方向に延出する支持部材29aと、支持部材29aの左右両端に設けられるローラ29bを有する。本体ハウジング11の左右の内周面には、前後方向に延出するループ形状の一対のレール29cが設けられる。ローラ29bは、レール29cと係合してレール29cに沿って前後方向に移動可能である。ねじ軸28は、ローラ29bに案内されて前後方向に移動可能である。
【0039】
図4,5に示すように工具本体10には、複数のジョー4を回転させるジョー回転機構30が設けられる。ジョー回転機構30は、直線移動部材31と動力変換リング32を有する。直線移動部材31は、前後方向を軸方向とする略円筒形状に形成される。直線移動部材31は、内周面に設けられた雌ねじ31aと、略円筒形状の軸方向と直交して延出する円柱状の凸部31bを有する。凸部31bの上端には、凸部31bを周方向に覆いかつ凸部31bの軸回りに回転可能なローラ31cが設けられる。直線移動部材31の雌ねじ31aは、スピンドル24の雄ねじ24aと螺合される。前側機構ハウジング12の下部には、直線移動部材31の回転を規制する回転規制部12dが設けられる。回転規制部12dは、前側機構ハウジング12を径方向に貫通しかつ前後方向に直線状に延出する溝形状に形成される。
【0040】
図4,9に示すように動力変換リング32は、前後方向に貫通する挿通孔32dを中央に有する略円筒形状である。動力変換リング32の下部の外周面には、溝32a,32bが凹設される。溝32aは、動力変換リング32の周方向に延出し、例えば動力変換リング32の軸方向(前後方向)と45°の傾斜角度で交差する方向に延出する。溝32aの傾斜方向は、前側から見て前方に向けて反時計回り方向である。溝32bは、動力変換リング32の軸方向と平行に延出する。溝32aと溝32bには、ローラ31cを装着した凸部31bが挿通される。溝32aの前端と溝32bの後端は、凸部31bがスムーズに移動できるように連通されている。
【0041】
図5~8に示すように動力変換リング32は、前側機構ハウジング12に収容される。直線移動部材31は、前側機構ハウジング12の下方でスピンドル24の雄ねじ24aに螺合される。凸部31bは、回転規制部12dを貫通して上方に延出し、溝32aまたは溝32bに挿通される。ローラ31cは、溝32a,32bの壁面と回転規制部12dの壁面の両方に当接する。直線移動部材31は、凸部31bと回転規制部12dの係合によってスピンドル24の軸回りの回転が規制されている。
【0042】
図10~12に示すようにスピンドル24が軸回りに回転すると、雄ねじ24aと雌ねじ31aの螺合および直線移動部材31の軸回りの回転の規制によって、直線移動部材31が前後方向に移動する。直線移動部材31が移動範囲の最後端に位置する際、凸部31bは溝32aの後端に位置する。直線移動部材31が最後端から前方に移動すると、凸部31bが溝32a内を前方へ移動する。直線移動部材31の回転が規制されているため、凸部31bは左右方向に移動しない。そのため前進する凸部31bが溝32aの壁面を押す。これにより動力変換リング32は、ねじ軸軸線Kを中心にして前側から見て時計回り方向に回転する。直線移動部材31がさらに前方へ移動すると、凸部31bが溝32aから溝32bに進入する。溝32bは前後方向に対して傾斜していないため、凸部31bが溝32bの壁面を押す力は発生しない。そのため動力変換リング32は回転しない。
【0043】
図10~12に示すように直線移動部材31が移動範囲の最前端から後方へ移動する際には、先ず凸部31bが溝32b内を移動する。この時、凸部31bが溝32bの壁面を押す力は発生しないため、動力変換リング32は回転しない。凸部31bが溝32a内を後方へ移動する際には、凸部31bが溝32aの壁面を押すことにより、動力変換リング32が前側から見て反時計回り方向に回転する。
【0044】
図4,5に示すように動力変換リング32の径方向内方には、円筒形状のワンウェイクラッチ33と略円筒形状の第1回転駆動リング34が設けられる。ワンウェイクラッチ33は、動力変換リング32の内周面に装着される。第1回転駆動リング34は、ワンウェイクラッチ33の径方向内方かつねじ軸28の径方向外方に配置される。ワンウェイクラッチ33は、前側から見て時計回り方向の回転駆動のみを許容して動力変換リング32から第1回転駆動リング34へ伝達する。一方、前側から見て反時計回り方向の回転駆動は、動力変換リング32からワンウェイクラッチ33を介して第1回転駆動リング34には伝達しない。
【0045】
図4,5に示すように第1回転駆動リング34は、前後方向に貫通する挿通孔34dを中央に有する略円筒形状である。挿通孔34dには、ねじ軸28が前後方向に移動可能に挿通される。第1回転駆動リング34は、ねじ軸軸線Kを中心とする円筒形状の小径部34aと大径部34bを有する。小径部34aは、大径部34bの後方に配置される。小径部34aは、ワンウェイクラッチ33の内周面に圧入される。大径部34bの外周面には、前後方向に延出する複数の凹溝34cが凹設される。複数の凹溝34cは、周方向に所定の間隔で配置され、例えば大径部34bの周方向に90°間隔で設けられる。
【0046】
図4,5に示すように第1回転駆動リング34の前方には、第1回転駆動リング34と係合する第2回転駆動リング35が設けられる。第2回転駆動リング35は、前後方向に貫通する挿通孔35eを中央に有する略円筒形状である。挿通孔35eには、ねじ軸28と第1回転駆動リング34が挿通される。第2回転駆動リング35の内周面には、径方向内方へ突出する複数の係合凸部35aが設けられる。第1回転駆動リング34を挿通孔35eに挿通することにより、複数の係合凸部35aが複数の凹溝34cと係合する。そのため第2回転駆動リング35は、第1回転駆動リング34と一体になってねじ軸軸線Kを中心に回転可能であり、かつ第1回転駆動リング34に対して前後方向にスライド可能である。
【0047】
図4,5に示すように第2回転駆動リング35の外周面の前部には、径方向外方に張り出したばね受け部35dが設けられる。動力変換リング32の前面の前方には、ワッシャ32cが設けられる。ばね受け部35dとワッシャ32cの間に圧縮ばね35cが介装される。第2回転駆動リング35は、圧縮ばね35cによって前方に向けて付勢される。第2回転駆動リング35の前面には、前後方向の凹凸を周方向に繰り返した形状の複数の噛み合い歯35bが設けられる。
【0048】
図4,5に示すように第2回転駆動リング35の前方には、第2回転駆動リング35および複数のジョー4と係合する第3回転駆動リング36が設けられる。第3回転駆動リング36は、前後方向に貫通する挿通孔36cを中央に有する略円筒形状である。挿通孔36cにはねじ軸28が挿通される。第3回転駆動リング36の後面には、前後方向の凹凸を周方向に繰り返した形状の複数の噛み合い歯36aが設けられる。噛み合い歯36aは、第2回転駆動リング35の噛み合い歯35bと係合する。第3回転駆動リング36は、噛み合い歯35bと噛み合い歯36aの噛み合いによって第2回転駆動リング35と一体になってねじ軸軸線Kを中心に回転可能である。第3回転駆動リング36の前端面には、前方に向けて突出する複数の係合凸部36bが設けられる。各係合凸部36bは、ジョー4の後端面に設けられた係合凹部4b(図13参照)と係合する。これにより複数のジョー4は、第3回転駆動リング36と一体になってねじ軸軸線Kを中心に回転可能である。
【0049】
例えばジョー4が流体管の内周面に食い付く場合がある。この場合に第2回転駆動リング35は、圧縮ばね35cの付勢力に抗して後退し、第3回転駆動リング36から離間する。これにより噛み合い歯35bと噛み合い歯36aの噛み合いが外れる。そのためねじ軸軸線Kを中心に複数のジョー4を回転させる動力の伝達経路が、第2回転駆動リング35と第3回転駆動リング36の間で遮断される。これにより流体管に食い付いたジョー4に回転駆動の過負荷が加わることを抑制し、各部材(例えば動力を伝達する直線移動部材31、動力変換リング32、回転駆動リング34,35,36)の破損を抑制できる。
【0050】
図5~7に示すようにジョー4の後部の径方向外周には、断面円弧状のリング収容溝4aが設けられる。複数のジョー4のリング収容溝4aは、周方向に連なって円環状の溝を形成する。複数のジョー4は、リング収容溝4aに挿入されかつ弾性的に伸縮可能なリング4cによって周方向に連結される。キャップ2の内周面には、リング4cを収容可能なジョー支持溝2aが径方向外方および周方向に延出して設けられる。ジョー支持溝2aは、リング4cの径方向の移動は許容するが、リング4cの前後方向の移動は規制する。複数のジョー4は、ジョー支持溝2aに支持されたリング4cを中心にして径方向に開閉する。
【0051】
図5~7に示すように複数のジョー4は、楔3が前進する際に径方向外方へ相互に開き、キャップ2を前方および径方向外方に向けて押圧する。キャップ2と一体の前側機構ハウジング12は、楔3が前進する際に前方に向かう強い引張力を受ける。雌ねじ部材27は、楔3と一体のねじ軸28が前進する際に反作用で後方へ押される。後側機構ハウジング15は、スラスト軸受27eを介して雌ねじ部材27が後方へ押される力を受ける。そのため前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15の間には、楔3とねじ軸28が前進する際に、前後方向に相互に離間する強い引張力が生じる。
【0052】
図5~7に示すように前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15の間には、前後方向に分離可能な第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14が介装される。そのため前側機構ハウジング12が受ける前方へ向かう力は、後側機構ハウジング15には伝達しない。また、後側機構ハウジング15が受ける後方へ向かう力は、前側機構ハウジング12には伝達しない。さらに前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15は、鉄製である。そのため前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15は、前後方向に相互に離間する引張力に耐える剛性を有する。
【0053】
図5~7に示すように第1中央機構ハウジング13は、スピンドル軸受24bと雌ねじ部材軸受27cを収容して支持する。第2中央機構ハウジング14は、スピンドル軸受24cと雌ねじ部材軸受27dを収容して支持する。スピンドル軸受24b,24cに回転可能に支持されるスピンドル24は、直線移動部材31の前後動の反作用力を受けるものの、雌ねじ部材27が受ける反作用力と比べると十分に小さい。そのためスピンドル軸受24b,24cは、前後方向の力をほとんど受けない。雌ねじ部材軸受27c,27dに回転可能に支持される雌ねじ部材27は、後方へ押される力をスラスト軸受27eが受ける。そのため雌ねじ部材軸受27c,27dは、前後方向の力をほとんど受けない。しかも第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14は、前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15に対して前後方向に分離可能である。かくして第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14は、管拡径工具1の動作時に前後方向の力をほとんど受けない。そのため第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14を軽量なアルミダイキャストで設けることができる。
【0054】
図5~7,10~12を参照して送りねじ機構25とジョー回転機構30の駆動について説明する。先ず電動モータ21の出力軸21aが回転する。出力軸21aの回転駆動が遊星減速機構23で減速されてスピンドル24に伝わる。スピンドル24が回転すると、ギヤ26とギヤ27aの噛み合いによって雌ねじ部材27が回転する。また、雄ねじ24aと雌ねじ31aの螺合および回転規制部12dによる直線移動部材31の回転の規制によって、直線移動部材31が前後方向に移動する。雌ねじ部材27が回転すると、雌ねじ27bと雄ねじ28aの螺合によってねじ軸28が前後方向に移動する。ねじ軸28が前進する際、ねじ軸28の前端に装着された楔3が複数のジョー4とリング4cを径方向外方の開き位置に移動するように押圧する。ねじ軸28が後退する際には、楔3の押圧力が解消されるため、リング4cが収縮して複数のジョー4が径方向内方の閉じ位置に戻る。
【0055】
直線移動部材31が前進し、凸部31bが溝32a内を前進する際、動力変換リング32が前側から見て時計回り方向に回転する。動力変換リング32の回転駆動は、ワンウェイクラッチ33を介して第1回転駆動リング34に伝わる。第1回転駆動リング34と第2回転駆動リング35と第3回転駆動リング36は、前側から見て時計回り方向に回転する。そのため第3回転駆動リング36に支持された複数のジョー4も前側から見て時計回り方向に回転する。凸部31bが溝32b内を前進する際には、動力変換リング32が回転しない。そのため第1回転駆動リング34、第2回転駆動リング35、第3回転駆動リング36、および複数のジョー4は回転しない。
【0056】
直線移動部材31が後退し、凸部31bが溝32b内を後退する際には、動力変換リング32が回転しない。そのため第1回転駆動リング34、第2回転駆動リング35、第3回転駆動リング36、および複数のジョー4は回転しない。凸部31bが溝32a内を後退する際には、動力変換リング32が前側から見て反時計回り方向に回転する。ワンウェイクラッチ33は、前側から見て時計回り方向の回転駆動のみを第1回転駆動リング34に伝達する。そのため第1回転駆動リング34、第2回転駆動リング35、第3回転駆動リング36、および複数のジョー4は回転しない。
【0057】
電動モータ21は、コントローラ45(図1参照)によって正転と逆転が切り替えられる。複数のジョー4は、電動モータ21が正転する際に前進する楔3に押されて径方向外方へ相互に開く。また、複数のジョー4は、電動モータ21が正転する際にジョー回転機構30によって前側から見て時計回り方向に回転する。複数のジョー4は、電動モータ21が逆転する際に楔3の後退に伴って径方向内方へ相互に閉じる。また、複数のジョー4は、電動モータ21が逆転する際にワンウェイクラッチ33の回転規制によって回転しない。
【0058】
ジョー回転機構30による複数のジョー4の回転動作と、送りねじ機構25で楔3が前後動することによる複数のジョー4の開閉動作のタイミングは、各機構の設計によって変更できる。例えば動力変換リング32に設けられる溝32a,32bの形状や、ねじ軸28の前後方向の移動範囲等を変更することで動作のタイミングを変更できる。本実施例においては、複数のジョー4の回転動作が終わった直後に複数のジョー4が開閉するように設定される。
【0059】
図3,5に示すように雌ねじ部材27の後方には、ねじ軸28が移動範囲の最前端の終端位置に移動したことを検知する終端位置センサ42が設けられる。終端位置センサ42の後方には、ねじ軸28が移動範囲の最後端の初期位置に移動したことを検知する初期位置センサ41が設けられる。初期位置センサ41と終端位置センサ42は、ホールICと称される磁界を検知するセンサである。初期位置センサ41は、ねじ軸28の上方において本体ハウジング11に固定される。終端位置センサ42は、ねじ軸28の上方において前後方向に移動可能に本体ハウジング11に支持される。
【0060】
図1,5に示すように本体ハウジング11の上部には、終端位置センサ42を前後方向に移動可能にする位置調整機構44が設けられる。本体ハウジング11の上面には、本体ハウジング11を上下方向に貫通しかつ前後方向に直線状に延出する溝孔11aが設けられる。位置調整機構44は、溝孔11aを貫通して本体ハウジング11の上面から露出する操作部44aを有する。終端位置センサ42は、本体ハウジング11の内側で操作部44aの下端に支持される。終端位置センサ42は、操作部44aとともに溝孔11aに沿って前後方向にスライド可能である。操作部44aを使用者の指でスライド操作することで終端位置センサ42の前後位置を変更できる。
【0061】
図3,5に示すようにねじ軸28の後部上側には、磁石43が取り付けられる。初期位置センサ41は、磁石43と前後方向にオーバーラップした時点のねじ軸28と楔3の位置を初期位置として検知する。終端位置センサ42は、磁石43と前後方向にオーバーラップした時点のねじ軸28と楔3の位置を終端位置として検知する。
【0062】
上述するように合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具1は、図5~7に示すように本体ハウジング11に収容された電動モータ21を有する。管拡径工具1は、電動モータ21の出力軸21aと平行あるいはその軸線上に前後方向に移動可能に本体ハウジング11に設けられたねじ軸28を有する。管拡径工具1は、ねじ軸28に螺合され、ねじ軸28の軸回りに回転することでねじ軸28を前後動させる雌ねじ部材27を有する。管拡径工具1は、雌ねじ部材27にかみ合って電動モータ21の出力軸21aの回転を伝えるギヤ26を有する。管拡径工具1は、ねじ軸28から前方に延出する楔3を有する。管拡径工具1は、楔3がねじ軸28とともに前進した際に楔3に押されて径方向外方に相互に開くように本体ハウジング11に開閉可能に連結された複数のジョー4を有する。
【0063】
したがって電動モータ21を、出力軸21aがねじ軸28と平行に延出する姿勢で配置する。これにより電動モータ21は、ねじ軸28に沿って前後方向に延びる姿勢でかつねじ軸28に近い位置で配置される。あるいは電動モータ21を、出力軸21aがねじ軸28と同軸上に延出する姿勢で配置する。これにより電動モータ21は、ねじ軸28の近くに配置される。かくして重量が大きい電動モータ21をねじ軸28が位置する本体ハウジング11の中心に近づけることができる。そのため重量バランスが良くなり、管拡径工具1を安定した状態で保持できる。これにより管拡径工具1の操作性を良好にすることができる。
【0064】
図5に示すように管拡径工具1は、本体ハウジング11から下方に延出するグリップ5を有する。グリップ5は、電動モータ21と複数のジョー4の前後方向の間に設けられる。電動モータ21がねじ軸28の下方に配置される。したがって電動モータ21と複数のジョー4をグリップ5に対して重量バランスが良好になるように配置する。これにより使用者がグリップ5を把持した時の管拡径工具1の操作性を高めることができる。
【0065】
図5に示すようにねじ軸28の少なくとも一部とグリップ5が前後方向にオーバーラップする。したがって管拡径工具1を前後方向に短くすることができる。そのため管拡径工具1の重心回りのモーメントが小さくなり操作性をさらに高めることができる。
【0066】
図5に示すように電動モータ21の出力軸21aとねじ軸28の間には、出力軸21aの出力を減速させる遊星減速機構23が設けられる。したがって電動モータ21からねじ軸28までの動力伝達経路上に遊星減速機構23をコンパクトに配置できる。また、電動モータ21からねじ軸28までの動力伝達経路を最小限にすることにより動力の伝達ロスを抑制できる。
【0067】
図4,5に示すように管拡径工具1は、複数のジョー4の後部と連結される回転駆動リング34,35,36を有する。管拡径工具1は、回転駆動リング34,35,36を電動モータ21の出力によって回転させて複数のジョー4を周方向に回転させるジョー回転機構30を有する。回転駆動リング34,35,36が雌ねじ部材27の前方に設けられる。したがって雌ねじ部材27と回転駆動リング34,35,36と複数のジョー4をねじ軸28が延出する前後方向に並べて配置する。そのため管拡径工具1の重心をねじ軸28に近づけることができる。これにより管拡径工具1を保持する際の安定性を高めることができる。
【0068】
図4,5に示すように管拡径工具1は、複数のジョー4を開閉可能に支持しかつ複数のジョー4の前後動を規制するキャップ2を有する。管拡径工具1は、本体ハウジング11内において、前側から後方に順に配置された前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と後側機構ハウジング15を有する。管拡径工具1は、前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15を連結するボルト16を有する。前側機構ハウジング12が鉄製であり、かつキャップ2を支持する。後側機構ハウジング15が鉄製であり、かつ雌ねじ部材27の後端を支持する。第1中央機構ハウジング13が鉄よりも軽量の材料で形成される。
【0069】
したがって前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と後側機構ハウジング15で前後方向に分割された構造を有する。キャップ2と、キャップ2を支持する前側機構ハウジング12は、複数のジョー4を開く際に複数のジョー4によって前方に向けて強い力で押される。雌ねじ部材27は、ねじ軸28を前動させる反作用で後方に向けて強い力で押される。例えば前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と後側機構ハウジング15が一部材で一体の機構ハウジングとして設けられる場合、ジョー4の拡径時に前端と後端で前後方向に強い引張力が生じる。そのため機構ハウジング全体を高い強度で設ける必要がある。前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と後側機構ハウジング15を前後方向に分割し、しかも前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15を鉄製に設ける。これにより前後方向の引張力を強度の高い前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15それぞれで分散できる。さらに第1中央機構ハウジング13を軽量な材料で設けることにより管拡径工具1を軽量化できる。
【0070】
図2,5に示すように管拡径工具1は、第1中央機構ハウジング13と後側機構ハウジング15の間に第2中央機構ハウジング14を有する。前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15は、隣接する各端部が相互に前後方向にオーバーラップする係合部12b,13a,13b,14a,14b,15bを各端部に有する。したがって係合部12bと係合部13aを前後方向にオーバーラップさせることにより、前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13を互いに精度良く位置決めできる。また、第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14の係合部13b,14a、第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15の係合部14b,15bにおいても精度良く位置決めできる。そのため各機構ハウジングの組み付け性を良好にでき、かつ内部に収容される雌ねじ部材27等のガタツキを抑制できる。
【0071】
図5に示すように出力軸21aの前方には、ギヤ26と一体になって回転するスピンドル24が設けられる。第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14は、スピンドル24を回転可能に支持するスピンドル軸受24b,24cと雌ねじ部材27を回転可能に支持する雌ねじ部材軸受27c,27dを支持する。したがってスピンドル軸受24b,24cと雌ねじ部材軸受27c,27dは、前後方向の力をほとんど受けない。そのため前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15よりも強度の低い第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14で、スピンドル24と雌ねじ部材27を十分に支持できる。これにより鉄製で設ける必要がある箇所を少なくでき、管拡径工具1を軽量化できる。
【0072】
図5に示すように後側機構ハウジング15は、雌ねじ部材27の後端と当接するスラスト軸受27eを支持する。したがって雌ねじ部材27は、ねじ軸28が前動する際に後方に向けて強い力で押される。後側機構ハウジング15は、雌ねじ部材27が後方へ押される力をスラスト軸受27eを介して受けることができる。そのため雌ねじ部材27は、ねじ軸28の軸回りに精度良く回転可能である。これによりねじ軸28は、前後方向に精度良く移動できる。
【0073】
図5に示すようにねじ軸28と雌ねじ部材27の螺合部分にボール28bが介装される。したがって螺合部分に介装されたボール28bによって駆動力の伝達効率が良くなる。そのためねじ軸28に対する雌ねじ部材27の回転駆動を、効率良くねじ軸28の前後動に変換できる。
【0074】
以上説明した本実施例には様々な変更を加えることができる。ジョー4を6つ有する管拡径工具1を例示した。これに代えて、例えば5つ以下または7つ以上のジョー4を有していても良い。電動モータ21をねじ軸28の下方かつグリップ5の後部上方に設ける構成を例示した。これに代えて、例えば電動モータ21をねじ軸28の上方かつグリップ5の後部上方に設けても良い。
【0075】
前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15の前後の間に第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14を介装する構成を例示した。これに代えて、例えば1つまたは3つ以上に分割される中央機構ハウジングを介装する構成としても良い。アルミダイキャスト製の第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14を例示した。これに代えて、例えばマグネダイキャスト製等の軽量材料で第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14を設けても良い。
【0076】
直線移動部材31の側面から径方向外方に突出する凸部31bを設け、動力変換リング32の外周面に凸部31bと係合する溝32a,32bを設ける構成を例示した。これに代えて、例えば直線移動部材31の側面に溝を設け、動力変換リング32の外周面から径方向外方に突出する凸部を設けても良い。
【0077】
ねじ軸28と雌ねじ部材27の間にボール28bが介装される送りねじ機構25を例示した。これに代えて、例えばねじ軸28と雌ねじ部材27が直接螺合してボールが介装されない送りねじ機構であっても良い。
【符号の説明】
【0078】
1…管拡径工具
2…キャップ、2a…ジョー支持溝、2b…雌ねじ
3…楔
4…ジョー、4a…リング収容溝、4b…係合凹部、4c…リング
5…グリップ
6…スイッチレバー、6a…スイッチ本体
7…拡径部、7a…バッテリ取付部
8…バッテリ
10…工具本体
11…本体ハウジング、11a…溝孔
12…前側機構ハウジング、12a…雄ねじ、12b…係合部、12c…矩形張出部
12d…回転規制部、12e…透孔
13…第1中央機構ハウジング、13a,13b…係合部、13c…ボス部
13d…凹部、13e…内周面、13f…透孔
14…第2中央機構ハウジング、14a,14b…係合部、14c…ボス部
14d…凹部、14e…内周面、14f…透孔
15…後側機構ハウジング、15a…前面、15b…係合部、15c…ボス部
15d…ねじ孔
16…ボルト
20…モータハウジング
21…電動モータ、21a…出力軸、21b…固定子、21c…回転子
21d…回転数検知センサ、21e,21f…軸受
22…ファン
23…遊星減速機構、23a…第1サンギヤ、23b…第1インターナルギヤ
23c…第1遊星ギヤ、23d…第1キャリヤ、23e…第2サンギヤ
23f…第2インターナルギヤ、23g…第2遊星ギヤ、23h…第2キャリヤ
24…スピンドル、24a…雄ねじ、24b,24c…スピンドル軸受
25…送りねじ機構(ボールねじ機構)
26…ギヤ
27…雌ねじ部材、27a…ギヤ、27b…雌ねじ、27c,27d…雌ねじ部材軸受
27e…スラスト軸受、27f…ワッシャ
28…ねじ軸、28a…雄ねじ、28b…ボール
29…ねじ軸ガイド、29a…支持部材、29b…ローラ、29c…レール
30…ジョー回転機構
31…直線移動部材、31a…雌ねじ、31b…凸部、31c…ローラ
32…動力変換リング、32a…溝、32b…溝、32c…ワッシャ、32d…挿通孔
33…ワンウェイクラッチ
34…第1回転駆動リング、34a…小径部、34b…大径部、34c…凹溝
34d…挿通孔
35…第2回転駆動リング、35a…係合凸部、35b…噛み合い歯、35c…圧縮ばね
35d…ばね受け部、35e…挿通孔
36…第3回転駆動リング、36a…噛み合い歯、36b…係合凸部、36c…挿通孔
41…初期位置センサ
42…終端位置センサ
43…磁石
44…位置調整機構、44a…操作部
45…コントローラ
J…モータ軸線
K…ねじ軸軸線
図1
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