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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104678
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】試料保持具
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/06 20060101AFI20230721BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H05B3/06 B
H05B3/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005815
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴野 伸嘉
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092QB02
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF22
3K092RF27
3K092VV22
(57)【要約】
【課題】 試料保持具の均熱性を高める。
【解決手段】 セラミック基板と、発熱抵抗体と、第1金属板と、固定部材と、を備えている。前記セラミック基板は、第1面および該第1面の反対に位置する第2面を有し、前記発熱抵抗体は、前記セラミック基板の内部または前記第2面に位置し、前記第1金属板は、前記第2面に対向する第3面および該第3面の反対に位置する第4面を有し、前記固定部材は、第1端および該第1端の反対に位置する第2端を有し、前記第1端が前記セラミック基板に接続され、前記セラミック基板と前記第1金属板とを固定している。また、前記固定部材は、前記第1端を含み、前記セラミック基板から前記第1金属板に向かって延びる第1部位と、前記第2端を含み、前記第1金属板から前記セラミック基板に向かって延びる複数の第2部位と、前記第1部位と前記複数の第2部位とを連結する第3部位とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、
発熱抵抗体と、
第1金属板と、
固定部材と、を備え、
前記セラミック基板は、第1面および該第1面の反対に位置する第2面を有し、
前記発熱抵抗体は、前記セラミック基板の内部または前記第2面に位置し、
前記第1金属板は、前記第2面に対向する第3面および該第3面の反対に位置する第4面を有し、
前記固定部材は、第1端および該第1端の反対に位置する第2端を有し、
前記第1端が前記セラミック基板に接続され、
前記セラミック基板と前記第1金属板とを固定しており、
前記固定部材は、
前記第1端を含み、前記セラミック基板から前記第1金属板に向かって延びる第1部位と、
前記第2端を含み、前記第1金属板から前記セラミック基板に向かって延びる複数の第2部位と、
前記第1部位と前記複数の第2部位とをつなぐ第3部位とを有する、試料保持具。
【請求項2】
前記セラミック基板が、第1貫通孔を有し、
前記第1部位が、第2貫通孔を有し、
前記第3部位が、第3貫通孔を有し、
前記第1貫通孔、前記第2貫通孔および前記第3貫通孔のそれぞれを挿通する第1締結部材と、前記セラミック基板と前記固定部材とを前記第1締結部材とともに締結する第2締結部材とを備え、
該第2締結部材と前記第3部位との間にさらに第1弾性部材を備える、請求項1に記載の試料保持具。
【請求項3】
前記第3部位が、複数の第4貫通孔を有し、
前記複数の第2部位が、それぞれ第1凹部を有し、
前記第4貫通孔と前記第1凹部のそれぞれを挿通し、前記第3部位と前記第2部位とを締結する第3締結部材を備え、
前記第3部位における前記第2面との対向面と前記第3締結部材との間にさらに第2弾性部材を備える、請求項1または請求項2に記載の試料保持具。
【請求項4】
前記第1金属板は、第2凹部を有し、
該第2凹部内に、前記第2端が位置する、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の試料保持具。
【請求項5】
前記固定部材は、前記セラミック基板の前記第1面に向かって視た平面透視において、前記第1部位と複数の前記第2部位との距離がそれぞれ等しい、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の試料保持具。
【請求項6】
前記固定部材は、前記第1金属板の同心円状に等間隔で複数位置している、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の試料保持具。
【請求項7】
セラミック基板と、
発熱抵抗体と、
第1金属板と、
固定部材と、を備え、
前記セラミック基板は、第1面および該第1面の反対に位置する第2面を有し、
前記発熱抵抗体は、前記セラミック基板の内部または前記第2面に位置し、
前記第1金属板は、前記第2面に対向する第3面および該第3面の反対に位置する第4面を有し、
前記固定部材は、第1端および該第1端の反対に位置する第2端を有し、
前記第1端が前記セラミック基板に接続され、
前記第2端が、前記第1金属板の前記第3面と前記第4面との間に位置している、試料保持具。
【請求項8】
前記固定部材は、
前記第1端を含み、前記セラミック基板から前記第1金属板に向かって延びる第1部位と、
前記第2端を含み、前記第1金属板から前記セラミック基板に向かって延びる前記複数の第2部位と、
前記第1部位と前記複数の第2部位とをつなぐ前記第3部位とを有する、請求項7に記載の試料保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェハー加熱装置などの試料保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料保持具として、例えば、特許文献1に記載のヒータユニットが知られている。特許文献1に記載されているヒータユニットは、発熱体と、発熱体を内部に備えて上面に加熱面を有するヒータ基板と、ヒータ基板の下面に離れて位置し、発熱体の熱を反射する金属の容器と、ヒータ基板と金属の容器とを固定するヒータ基板支持体と、金属の容器と装置架台とを固定する容器支持体と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-235672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなヒータユニットにおいて、発熱体の熱は、ヒータ基板、ヒータ基板支持基板、金属の容器、さらに容器支持体へと熱が伝わる。このとき、ヒータ基板支持体が単に直線状に延びた形状であるときには、ヒータ基板と金属の容器の間に熱が留まりにくい。また、ヒータ基板支持体が存在する箇所と存在しない箇所とで温度差が大きいため、ヒータ基板と金属の容器の間において温度差が生じていた。今般の試料保持具には、熱引けが少なく、ヒータ基板と金属の容器の間において均熱性に優れていることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の試料保持具は、セラミック基板と、発熱抵抗体と、第1金属板と、固定部材と、を備えている。前記セラミック基板は、第1面および該第1面の反対に位置する第2面を有する。前記発熱抵抗体は、前記セラミック基板の内部または前記第2面に位置する。前記第1金属板は、前記第2面に対向する第3面および該第3面の反対に位置する第4面を有する。前記固定部材は、第1端および該第1端の反対に位置する第2端を有し、前記第1端が前記セラミック基板に接続され、前記セラミック基板と前記第1金属板とを固定している。また、前記固定部材は、前記第1端を含み、前記セラミック基板から前記第1金属板に向かって延びる第1部位と、前記第2端を含み、前記第1金属板から前記セラミック基板に向かって延びる複数の第2部位と、前記第1部位と前記複数の第2部位とを連結する第3部位とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一形態の試料保持具は、熱引けが少なく、優れた均熱性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】試料保持具の一例を示す断面図である。
図2図1に示す試料保持具のA部分の拡大断面図である。
図3】試料保持具の他の例を示す拡大断面図である。
図4】試料保持具の他の例を示す拡大断面図である。
図5】試料保持具の他の例を示す拡大断面図である。
図6図5に示す試料保持具のB部分の拡大断面図である。
図7】試料保持具の他の例を示す平面透視図である。
図8】試料保持具の他の例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
試料保持具100について詳細に説明する。
【0009】
図1は、試料保持具100の一例を示す断面図である。試料保持具100は、図1に示すように、セラミック基板1と、発熱抵抗体2と、第1金属板3と、固定部材4と、を備えている。
【0010】
セラミック基板1は、試料保持具100において、試料を保持するための部材である。セラミック基板1は、第1面11および第1面11の反対に位置する第2面12を有する。図1において、第1面11が試料保持面である。セラミック基板1の形状は、例えば円板状である。セラミック基板1の材質としては、例えば、炭化ケイ素が挙げられる。セラミック基板1の寸法としては、例えば、厚みが0.5~10mm、直径が100~450mmである。セラミック基板1は、例えば、内部に静電吸着用の電極を有していてもよい。
【0011】
発熱抵抗体2は、試料保持具100において試料を加熱するための部材である。発熱抵抗体2は、図示においてセラミック基板1の第2面12に位置しているが、発熱抵抗体2は、セラミック基板1の内部に位置するものであってもよい。発熱抵抗体2は、例えば、セラミック基板1の周方向に延びる線状の部材であってもよい。発熱抵抗体2は、複数の領域に分かれて位置していてもよく、これにより、発熱抵抗体2を領域ごとに温度調節をすることができる。また、例えば、発熱抵抗体2は、セラミック基板1の周方向に沿いつつ、折返しが繰り返されるものであってもよい。
【0012】
発熱抵抗体2は、例えば、銀、銅、金、パラジウムまたは銀パラジウム等の金属材料であってもよい。発熱抵抗体2は、上記の金属材料に加えて、例えば、ガラス成分を含んでいてもよい。発熱抵抗体2は、例えば、厚みが0.01~3mm、幅が0.5~30mm、長さが100~5000mmである。
【0013】
第1金属板3は、固定部材4を介してセラミック基板1を支持するための部材である。第1金属板3は、セラミック基板1の第2面12に対向する第3面31と、第3面31の反対に位置する第4面32とを有している。第1金属板3は、セラミック基板1と離れて位置している。図1に示すように、第4面32には、試料保持具100と外部の装置と固定するための支持部材が位置している。第1金属板3の形状は、例えば円板状の部材である。静電チャックの場合、第2面12と第3面31の間は真空領域であり、第4面32は大気に曝される部分である。
【0014】
第1金属板3は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料で構成されていてもよい。第1金属板3の寸法は、例えば第1金属板3が円板状のときは、直径は100~450mm、厚みは0.5~20mmである。セラミック基板1の第2面12と第1金属板3の第3面31との間隔は、例えば5~150mmである。
【0015】
固定部材4は、セラミック基板1と第1金属板3とを固定するための部材である。固定部材4は、セラミック基板1と第1金属板3との間に位置している。固定部材4は、例えば、円棒状や角棒状の部材である。固定部材4は、第1端401と第2端402を有している。固定部材4の第1端401は、セラミック基板1に接続されている。固定部材4の第2端402は、第1端401の反対に位置しており、第1金属板3に接続されている。図2で上方に位置しているのが第1端401、下方に位置しているのが第2端402である。
【0016】
固定部材4は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料であってもよい。固定部材4は、例えば、円棒状のとき、径の長さが1~10mm、長さが5~150mmである。
【0017】
固定部材4は、第1部位41と、第2部位42および第3部位43の3つの部位を有している。第1部位41は、セラミック基板1から第1金属板3に向かって延びている。第2部位42は、第1金属板3からセラミック基板1に向かって延びている。なお、この記載は、第1部位41と、第2部位42は、固定する部材であるが故に、接続されている側を基準にそこから離れる方向に延びると記載しているにすぎない。また、図1に示すように、第2部位42は、複数ある。図2では、第2部位42が2つある場合を記載している。第3部位43は、第1部位41と複数の第2部位42とをつなぐ部材である。固定部材4は、第1部位41、複数の第2部位42、これらをつなぐ第3部位43を有する、すなわち、固定部材4は、分岐している。これにより、セラミック基板1と第1金属板3との間の領域内で、固定部材4の熱の伝わる経路が長くなり、発熱抵抗体2の熱が固定部材4および固定部材4の周辺に留まりやすくなる。また、本実施形態の構成は、セラミック基板1と第1金属板3とが第1部位41のような直線状の部材のみで固定されているときよりも、発熱抵抗体2の熱が固定部材4を介して第1金属板3に伝わって外部に逃げてしまうことが少なくなる。また、第1部位41のみのような直線状の部材のみで固定されているときよりも、部材の存在する箇所と存在しない箇所との温度差が小さくなる。その結果、試料保持具100は、熱引けが少なく、均熱性に優れる。
【0018】
固定部材4は、「第1部位41、第2部位42および第3部位43を有し」、「それぞれをつなぐ」と記載しているが、第1部位41と第3部位43、第2部位42と第3部位43、第1部位41、第2部位42および第3部位43のすべてが一体の部材で構成されていてもよい。
【0019】
固定部材4とセラミック基板1との固定には、例えばネジを用いることができる。第1金属板3にネジ穴が空いており、固定部材4の第2端402の先端がネジのような形状をしており、嵌められていてもよい。また、他の接合方法としては、例えば、接合材を用いた方法がある。接合材として用いられる材料としては、例えば、銀ろうまたは銀銅ろう等が挙げられる。
【0020】
また、図3に示すように、セラミック基板1は、第1貫通孔13を有し、第1部位41が第2貫通孔411を有し、第3部位43が、第3貫通孔433を有しており、第1貫通孔13、第2貫通孔411および第3貫通孔433のそれぞれを挿通する第1締結部材5を備えていてもよい。ここでいう「挿通する」とは、第1部位41および第3部位43では、第1締結部材5が貫通し、第2貫通孔411および第3貫通孔433のそれぞれを通過していることを意味する。
【0021】
第1締結部材5は、棒状の部材である。第1締結部材5は、例えば、円棒である。第1締結部材5のセラミック基板1の近くに位置する端部は、例えばセラミック基板1の第1面11まで延びている。第1締結部材5は、セラミック基板1と固定部材4の第1部位41とを固定するための部材である。また、第1締結部材5のセラミック基板1の近くに位置する端部は、セラミック基板1の第1面11に対向する板状の構造を有していてもよい。このときの形状は、例えば、円板状である。第1締結部材5は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料であってもよい。第1締結部材5の寸法は、例えば棒状のときは、直径は1~10mm、長さは5~150mmである。第1締結部材5のセラミック基板1の近くに位置する端部の形状は、円板状のとき、直径は1~20mm、厚みは0.5~10mmである。
【0022】
第1貫通孔13、第2貫通孔411および第3貫通孔433の形状は、円形や四角形などである。第1貫通孔13、第2貫通孔411および第3貫通孔433の寸法は、それぞれが円形の場合は、直径は1~10mmである。
【0023】
第2締結部材6は、固定部材4とセラミック基板1とを締結するための部材である。第2締結部材6は、図3に示すように、第3部位43の下方に位置しており、第1締結部材5と接続している。第2締結部材6は、例えば、カップの形状をしており、第1締結部材5が貫通していてもよい。また、第2締結部材6は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料であってもよい。第2締結部材6は、例えば、カップ形状のときは、直径の長さが1~20mm、長さが1~10mmである。
【0024】
第1弾性部材7は、第1締結部材5とセラミック基板1との固定において、第1締結部材5の軸力を分散したり、緩みを止めたりするなど固定を調節する部材である。図3に示すように、第1弾性部材7は、第2締結部材6と固定部材4の第3部位43との間に位置している。第1弾性部材7の形状は、例えばバネのような形状をしている。第1弾性部材7は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料であってもよい。第1弾性部材7の寸法は、バネの形状を採用している場合は、径の長さが1~20mm、長さが1~20mmである。第1弾性部材7を有することで、セラミック基板1が発熱抵抗体2によって熱膨張したときに、弾性力の分だけ固定部材4が動くことができることから、第1部位41にかかる応力を緩和できる。その結果、試料保持具100は耐久性に優れる。
【0025】
第1締結部材5と第2締結部材6との固定方法としては、例えば、ネジを用いて固定する方法がある。第1締結部材5および第2締結部材6の一部をそれぞれネジおよびネジ穴の形状にして固定する方法がある。
【0026】
また、図4に示すように、第3部位43が複数の第4貫通孔434を有しており、複数の第2部位42がそれぞれ第1凹部421を有していてもよい。また、第4貫通孔434と第1凹部421のそれぞれを挿通し、第3部位43と第2部位42とを締結する第3締結部材8を備えていてもよい。また、第3部位43と第2部位42との間に第2弾性部材9を備えていてもよい。
【0027】
第4貫通孔434の形状は、円形や四角形などである。また、第4貫通孔434の寸法は、第4貫通孔434が円形であるときは、直径は1~10mmである。
【0028】
また、図4に示すように、第1凹部421は、固定部材4の有する2つの端部のうち、第2部位42に近い端部に位置している。第1凹部421は、セラミック基板1から平面透視したときに、例えば、円形、四角形である。第1凹部421の寸法は、円形のときは、直径が1~10mm、深さが1~20mmである。
【0029】
第3締結部材8は、第2部位42と第3部位43とを固定するための部材である。図4に示すように、第3締結部材8は、第4貫通孔434と第1凹部421のそれぞれを挿通している。ここでいう「挿通する」とは、第3部位43は、第3締結部材8が貫通しており、第1凹部421に位置していることを意味する。第3締結部材8は、例えばネジのような形状をしている。第3締結部材8は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料であってもよい。第3締結部材8の寸法は、ネジの形状を採用している場合は、径の長さが1~10mm、長さが1~20mmである。
【0030】
第2弾性部材9は、第3部位43と第3締結部材8との固定を強固にする部材である。図4に示すように、第2弾性部材9は、第3部位43における第2面12との対向面と第3締結部材8との間に位置している。第2弾性部材9の形状は、例えばスプリングワッシ
ャーのような形状をしている。第2弾性部材9は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料であってもよい。第2弾性部材9の寸法は、スプリングワッシャーの形状を採用している場合は、径の長さが1~10mm、厚みが1~10mmである。第2弾性部材9を備えることで、加熱と冷却のサイクルを長期間の繰り返すことによる第2部位42と第3部位43との固定の緩みを防げる。その結果、試料保持具100は耐久性に優れる。
【0031】
また、第1金属板3は、第2凹部33を有していてもよい。図5および図6に示すように、第3面31は、第2凹部33を有している。第2凹部33は、固定部材4の第2端402が入り込むように設けられている。
【0032】
第2凹部33の形状は、円形や四角形などである。また、第2凹部33の寸法は、第2凹部33が円形であるときは、直径は1~20mmである。また、第2凹部33は、ネジ穴のような形状をしていてもよい。第2凹部33内に、第2端402が位置することで、固定部材4を第1金属板3にはめ込むことができる。これにより、固定部材4と第1金属板3とが離れてしまうおそれを低減できる。その結果、試料保持具100は耐久性に優れる。これに応じて、例えば第2凹部33が雌ネジ、第3締結部材8が雄ネジの形状をしていることで第3締結部材8と第2部位42とをさらに強固に固定することができる。
【0033】
また、図5および図6に示すように、前記第1端401がセラミック基板1に接続され、第2端402が、第1金属板3の第3面31と第4面32との間に位置していてもよい。言い換えると、固定部材4が第1金属板3を貫通していなくてもよい。これにより、試料保持具100の使用時に、固定部材4が第1金属板3を貫通している構造と比較して、固定部材4が貫通して第1金属板3から突出している部分からの熱引きをさらに小さくすることができる。
【0034】
また、図6に示すように、固定部材4は、拡大断面視したときに、第1部位41と複数の第2部位42との距離がそれぞれ等しくてもよい。図6では、第1部位41と複数の第2部位42との距離をそれぞれXとYで示している。ここでいう「第1部位41と複数の第2部位42との距離がそれぞれ等しい」とは、XとYが等しい場合を意味している。図6では、第1部位41および第2部位42に理解し易さを優先して、中心線を一点鎖線で記載している。また、ここでいう、第1部位41と第2部位42との距離は、それぞれの中心からの距離である。拡大断面視したときに、第1部位41と複数の第2部位42との距離がそれぞれ等しいことで、固定部材4に伝わる熱を均等に分散することができる。そのため、固定部材4の熱引きが不均一になるおそれを低減できる。その結果、試料保持具100は、均熱性に優れる。第1部位41と複数の第2部位42との距離XおよびYは、例えば1~20mmである。
【0035】
図7は、セラミック基板1の第1面11に向かって視た平面透視である。図7には、理解し易くするために、第1金属板3の同心円状に有する線を破線で示している。
【0036】
また、図7に示すように、平面透視において、固定部材4は、第1部位41と複数の第2部位42との距離がそれぞれ等しくてもよい。ここでいう、第1部位41と第2部位42との距離は、それぞれの中心からの距離である。図7では、理解し易さを優先して、第2部位42を2点鎖線で記載している。第1部位41と複数の第2部位42との距離がそれぞれ等しいことにより、固定部材4に伝わる熱を均等に分散することができる。そのため、固定部材4の熱引きは不均一になるおそれを低減できる。その結果、試料保持具100は、均熱性に優れる。
【0037】
また、固定部材4は、第1金属板3の同心円状に等間隔で複数位置していてもよい。こ
れにより、固定部材4が第1金属板3の同心円状に等間隔で位置していない場合と比較して、セラミック基板1が径方向に熱膨張するときに、セラミック基板1と固定部材4との間に生じる応力を分散できる。その結果、試料保持具100は耐久性に優れる。
【0038】
また、図8に示すように、セラミック基板1と第1金属板3との間に、第2面12に対向する第2金属板10を有していてもよい。第2金属板10は、セラミック基板1の第2面12と第1金属板3の第3面31とにそれぞれ対向する第5面および第6面を有している。第2金属板10は、セラミック基板1と離れて位置している。第2金属板10の形状は、例えば円板状の部材である。
【0039】
第2金属板10は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたは鉄等の金属材料で構成されていてもよい。第2金属板10の寸法は、例えば第2金属板10が円板状のときは、直径は100~450mm、厚みは1~10mmである。セラミック基板1の第2面12と第2金属板10の第5面との間隔は、例えば5~150mmである。
【0040】
第2金属板10を有することにより、発熱抵抗体2の輻射熱を反射させることができる。これにより、発熱抵抗体2の熱を効率よく試料の加熱に使用することができる。
【0041】
また、セラミック基板1の第2面12と第1部位41との間に、さらに、弾性部材を有していてもよい。これにより、弾性部材を有することで、セラミック基板1が発熱抵抗体2によって熱膨張したときに、弾性力の分だけ固定部材4が動くことができることから、第1部位41にかかる応力を緩和できる。その結果、試料保持具100は耐久性に優れる。
【0042】
また、第1部位41と第3部位43とが別部材で固定されているときに、第1部位41と第3部位43との間に、弾性部材を有していてもよい。これにより、固定部材4が熱膨張するときに、第1部位41と第3部位43との熱膨張による応力の集中を緩和できる。
【0043】
その他、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状などの具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状を適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0044】
1:セラミック基板
11:第1面
12:第2面
13:第1貫通孔
2:発熱抵抗体
3:第1金属板
31:第3面
32:第4面
33:第2凹部
4:固定部材
401:第1端
402:第2端
41:第1部位
411:第2貫通孔
42:第2部位
421:第1凹部
43:第3部位
433:第3貫通孔
434:第4貫通孔
5:第1締結部材
6:第2締結部材
7:第1弾性部材
8:第3締結部材
9:第2弾性部材
10:第2金属板
100:試料保持具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8