(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104696
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】生体情報検出用マット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/08 20060101AFI20230721BHJP
A47C 27/10 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
A47C27/08 F
A47C27/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005844
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513302477
【氏名又は名称】エコナビスタ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】清 文乃
(72)【発明者】
【氏名】安田 輝訓
(72)【発明者】
【氏名】川又 大祐
(72)【発明者】
【氏名】梅田 一徳
(72)【発明者】
【氏名】久家 毅
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB04
3B096AC05
3B096AD03
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】複数のエアパッドが位置ズレせずに外装袋内に配置された、製造が容易な生体情報検出用マットと、その製造方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性合成樹脂製の外装袋2内にエアパッド10,20が配置された生体情報検出用マット1。エアパッド10,20内に空気圧力導圧用チューブ30、40の一端側が差し込まれている。エアパッド10、20内にクッション材14、24が配置されている。エアパッド10の小パッド部11同士の間の部分と外装袋2とが融着されている。外装袋2の1対のシート3,4が線状の融着部51~53で融着されてエアパッド収容部50が形成されており、エアパッド収容部50にエアパッド20が収容されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂製の外装袋内にエアパッドが配置された生体情報検出用マットであって、該エアパッドは、熱可塑性合成樹脂製シートで囲まれた室内にクッション材が配置され、該室内に空気圧力導圧用チューブの一端側が差し込まれた小パッド部が複数個、一体化されたものであり、1対の熱可塑性合成樹脂製シートと、該シート同士を、前記小パッド部を囲むように融着している線状融着部を有しており、複数個の前記小パッド部が一方向に間隔をおいて配列されている生体情報検出用マット。
【請求項2】
前記エアパッドの気密性のある小パッド部同士の間でありパッドの気密性に影響のない部分において外装袋とエアパッドとが一体で融着されている請求項1の生体情報検出用マット。
【請求項3】
前記外層袋とエアパッドが一体で融着されている部分が、小パッド部と平行に直線状に設けられており、この融着部分が直線方向を軸として、折り畳み可能な可撓性を有したヒンジ部となっている請求項1又は2の生体情報検出用マット。
【請求項4】
熱可塑性合成樹脂製外装袋内にエアパッドが配置された生体情報検出用マットであって、該エアパッドは熱可塑性合成樹脂製シートで囲まれた室内にクッション材が配置され、該室内に空気圧力導圧用チューブの一端側が差し込まれたものであり、該外装袋は、周縁部が融着された1対の熱可塑性合成樹脂製シートで構成されており、外装袋の該1対のシートが前記周縁部以外の箇所で融着されてエアパッド収容部が形成されており、前記エアパッド収容部は、一方向に長い形状であり、該エアパッド収容部を形成している融着部は、該エアパッド収容部の長手方向に延在する第1及び第2の融着部と、該第1及び第2の融着部の長手方向一端側同士を結ぶように延在する第3の融着部とを有している生体情報検出用マット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかの生体情報検出用マットを製造する方法であって、外装袋を構成するシートの周縁部の一部同士が融着された外装袋半完成品を用い、該外装袋半完成品内に前記エアパッドを配置した後、外装袋半完成品の周縁部の残部同士をウェルダー融着もしくはヒートシールをする生体情報検出用マットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の横臥姿勢の変化(寝返り等)、人の心拍、呼吸などの生体情報を検出するために人体の下側に敷かれるマットに係り、特にエアパッドを内蔵した生体情報検出用マットに関する。また、本発明は、生体情報検出用マットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を検出するための生体情報検出システムとして、空気が封入されたエアパッド(空気袋)と、この空気袋に一端側が差し込まれた空気管と、空気袋内に配置されたクッション材(スポンジ)とを有するものがある。空気袋内に空気が封入され、空気管の他端が圧力検出用センサ装置に接続される。複数個の空気袋が、ベッド(寝具)と人体との間に配置され、空気袋内の空気圧の変化から人体の横臥姿勢の変化を検出することができる。また、空気圧の検出信号に基づいて心拍や呼吸を検出することができる(特許文献1,2)。
【0003】
特許文献2の
図1には、細幅長尺状のエアパッドを、身長方向に間隔をおいて複数個配列して生体信号を検出する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5887676号公報
【特許文献2】特許4423481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアパッドの装飾性や耐久性を向上させるために、複数のエアパッドを、規定位置に配置した相互位置関係にて外装袋(袋状カバー)内に配置することが行われている。
【0006】
この場合、各エアパッドが外装袋内で位置ズレしないように構成することが必要である。そのために、各エアパッドを外装袋の内面に接着剤等によって固定することが行われているが、製造に手間がかかる。
【0007】
本発明は、複数のエアパッドが位置ズレせずに外装袋内に配置された、製造が容易な生体情報検出用マットと、その製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 熱可塑性合成樹脂製の外装袋内にエアパッドが配置された生体情報検出用マットであって、該エアパッドは、熱可塑性合成樹脂製シートで囲まれた室内にクッション材が配置され、該室内に空気圧力導圧用チューブの一端側が差し込まれた小パッド部が複数個、一体化されたものであり、1対の熱可塑性合成樹脂製シートと、該シート同士を、前記小パッド部を囲むように融着している線状融着部を有しており、複数個の前記小パッド部が一方向に間隔をおいて配列されている生体情報検出用マット。
【0009】
[2] 前記エアパッドの気密性能ある小パッド部同士の間でありパッドの気密性に影響のない部分において外装袋とエアパッドとが一体で融着されている[1]の生体情報検出用マット。
【0010】
[3] 前記外層袋とエアパッドが一体で融着されている部分が、小パッド部と平行に直線状に設けられており、この融着部分が、直線方向を軸として折り畳み可能な可撓性を有したヒンジ部となっている[1]又は[2]の生体情報検出用マット。
【0011】
[4] 熱可塑性合成樹脂製外装袋内にエアパッドが配置された生体情報検出用マットであって、該エアパッドは熱可塑性合成樹脂製シートで囲まれた室内にクッション材が配置され、該室内に空気圧力導圧用チューブの一端側が差し込まれたものであり、該外装袋は、周縁部が融着された1対の熱可塑性合成樹脂製シートで構成されており、外装袋の該1対のシートが前記周縁部以外の箇所で融着されてエアパッド収容部が形成されており、前記エアパッド収容部は、一方向に長い形状であり、該エアパッド収容部を形成している融着部は、該エアパッド収容部の長手方向に延在する第1及び第2の融着部と、該第1及び第2の融着部の長手方向一端側同士を結ぶように延在する第3の融着部とを有している生体情報検出用マット。
【0012】
[5] [1]~[4]のいずれかの生体情報検出用マットを製造する方法であって、外装袋を構成するシートの周縁部の一部同士が融着された外装袋半完成品を用い、該外装袋半完成品内に前記エアパッドを配置した後、外装袋半完成品の周縁部の残部同士をウェルダー融着もしくはヒートシールをする生体情報検出用マットの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様の生体情報検出用マットにあっては、エアパッドが外装袋に融着されており、外装袋内で位置ズレすることがない。
【0014】
本発明の別の一態様の生体情報検出用マットにあっては、外装袋に設けられた収容部内にエアパッドが収容されているので、外装袋内でエアパッドが位置ズレしない。
【0015】
本発明の生体情報検出用マットの一態様の製造方法では、外装袋の半完成品内にエアパッドを挿入した後、エアパッドと外装袋のシートをウェルダー融着もしくはヒートシールをし、またシートの周縁部同士をウェルダー融着もしくはヒートシールをすることにより容易に製造することができる。
【0016】
本発明の生体情報検出用マットの製造方法の別の一態様にあっては、収容部を有した外装袋半完成品の該収容部内にエアパッドを差し込んだ後、外装袋半完成品のシートの周縁部をウェルダー融着もしくはヒートシールをすることにより容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係る生体情報検出用マットの斜視図である。
【
図2】生体情報検出用マット内の第1エアパッドの斜視図である。
【
図5】生体情報検出用マット内の第2エアパッドの斜視図である。
【
図8】実施の形態に係る生体情報検出用マットの製造途中の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~10を参照して実施の形態について説明する。
【0019】
図1の通り、この実施の形態に係る生体情報検出用マット1は、外装袋2と、外装袋2内に配置された第1エアパッド10及び第2エアパッド20と、第1エアパッド10に連なるチューブ30と、第2エアパッド20に連なるチューブ40等を有する。
【0020】
外装袋2は、熱可塑性合成樹脂製の上面シート3及び下面シート4(
図1,8,9)がウェルダー融着もしくはヒートシールにより結合された平たい袋状である。上面シート3、下面シート4同士は、少なくともその周縁部同士がウェルダー融着もしくはヒートシールがされている。
【0021】
外装袋2は、略方形状であるが、一隅から延出部2aが延出しており、この延出部2a内にチューブ30,40が引き通されている。
【0022】
第1エアパッド10は、
図2~4の通り、熱可塑性合成樹脂製のシート12,13をシール部H(
図3,4)で結合することにより形成した複数個(この実施の形態では6個)の小パッド部11を有している。各小パッド部11の室内にウレタンスポンジ等よりなる平たいシート状のクッション材14が配置されている。
【0023】
この小パッド部11内にチューブ30の一端の分岐チューブ32が差し込まれている。チューブ30は、基端側が1本のメインチューブ31であり、該メインチューブ31の末端側が圧力測定センサ(図示略)に接続されている。メインチューブ31の先端側は、6本の分岐チューブ32に分岐しており、各分岐チューブ32の先端側が小パッド部11内に差し込まれている。分岐チューブ32は、シート12,13の合わせ面を通って小パッド部11内に差し込まれている。
【0024】
小パッド部11を形成するための線状のシール部Hは、小パッド部11の周囲を周回している。なお、分岐チューブ32の外周面もシート12,13にウェルダー融着もしくはヒートシールされており、分岐チューブ32とシート12,13とは気密に融着している。
【0025】
この第1エアパッド10は、外装袋2のシート3,4間に配置されている。そして、
図8,9のH’で示す小パッド部11,11の中間位置にて、外装袋2のシート3、第1エアパッド10のシート12,13及び外装袋2のシート4を重ねた状態でウェルダー融着もしくはヒートシールして融着させる。この実施の形態では、第1エアパッド10のX方向の両側辺部に沿う位置(
図8,9でH”で示す位置)でもシート3,4同士をウェルダー融着もしくはヒートシールして融着させる。このように第1エアパッド10はシール部H’によって外装袋2に固定されているので、外装袋2内で位置ズレすることがない。
【0026】
第2エアパッド20は、
図1,5の通り、細長い長方形状である。第2エアパッド20は、熱可塑性合成樹脂製の長方形状のシート22,23の周縁部をシール部hで融着して長方形状の室21を形成し、この室21内に平たいシート状のクッション材24を配置したものである。この室21内にチューブ40の一端側が差し込まれている。
【0027】
チューブ40は、基端側が圧力測定センサ(図示略)に接続されている。チューブ40の先端側は、シート22,23の合わせ面を通って室21内に差し込まれている。チューブ40の外周面もシート22,23にウェルダー融着もしくはヒートシールされており、チューブ40とシート22,23とは気密に融着している。
【0028】
図8の通り、外装袋2は、第2エアパッド20を収容するための収容部50を有している。収容部50は、外装袋のシート3,4を生体情報検出用マット1の幅方向(
図1のX方向)に延在する略平行な一対の線状の融着部51,52と、該融着部51,52の一端側同士を結ぶ線状の融着部53とによってコ字形に構成されている。
【0029】
第2エアパッド20は、融着部53と反対側の開放部(シート3,4を融着していない部分)54を通って、収容部50内に差し込まれる。融着部51,52の間隔は、第2エアパッド20の幅よりも若干大きい程度となっている。また、融着部51,52の長さは、第2エアパッド20の全長よりも若干小さい長さとなっており、第2エアパッド20の大部分が収容部50に配置される。このため、収容部50内に収容された第2エアパッド20も、外装袋2内において位置ズレしない。
【0030】
図示の通り、第1エアパッド10の各小パッド部11は、
図1のY方向(X方向と直交方向)に延在する長方形状である。6個の小パッド部11は、X方向すなわち生体情報検出用マット1の幅方向に配列されている。1個の小パッド部11の幅(X方向の幅員)は30~150mm、特に40~100mm程度が好適である。小パッド部11のY方向の長さは、160~1000mm、特に200~800mm程度が好適である。小パッド部11のX方向の配列ピッチは、50~200mm、特に70~150mm程度が好適である。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0031】
第2エアパッド20は、前述の通り、X方向に延在している。
【0032】
この生体情報検出用マット1は、Y方向がベッド等の寝具の長手方向となるように寝具と身体との間に配置される。その際、第1エアパッド10が人体の胸部の下側となり、第2エアパッド20が腰部付近の下側となるように配置される。
【0033】
第2エアパッド20の検出圧力データは、人体が寝具上に存在するか否かを検知する用途に好適である。
【0034】
第1エアパッド10の各小パッド部11の圧力データに基づいて、寝返りなどを検知することができる。また、小パッド部11の圧力データより、心拍、呼吸などの生体情報を得ることができる。
【0035】
この生体情報検出用マット1を製造するには、チューブ30又は40を備えたエアパッド10,20を製造しておく。また、シート2,3が所要のウェルダー融着部もしくはヒートシール部で結合された外装袋半完成品2’(
図8)を製造しておく。この外装袋半完成品2’のウェルダー融着部もしくはヒートシール融着部は、シート2,3の周縁部同士を融着する周縁融着部と、収容部50用の融着部51~53を含む。
【0036】
なお、第1エアパッド10を外装袋半完成品2’内に差し込むための部分(例えば、Y方向の先端側となる辺部a)と、第2エアパッド20を外装袋半完成品内に差し込むための部分(収容部50の開放部54と対峙する辺部b)では、シート3,4の周縁部同士は結合されていない。すなわち、これらの部分a,bでは、周縁融着部は形成されていない。
【0037】
外装袋半完成品2’内に第1エアパッド10を挿入し、チューブ30を延出部2aに通した後、小パッド部11,11同士の間において、外装袋2のシート3,4と第1エアパッド10のシート12,13とをウェルダー融着もしくはヒートシールにより融着(シール部H’を形成)する。第1エアパッド10の両側辺に沿う部分及び辺部aに沿う部分において、シート3,4をウェルダー融着もしくはヒートシールする。
【0038】
また、外装袋半完成品2’内にb部分から第2エアパッド20を差し込み、チューブ40を延出部2aに通した後、b部分に沿ってシート3,4同士をウェルダー融着もしくはヒートシールする。
【0039】
このように、エアパッド10,20を外装袋半完成品2’内に差し込み、所定のウェルダー融着もしくはヒートシールを施すことにより、生体情報検出用マット1を製造することができ、生体情報検出用マット1の製造が容易に行うことができる。
【0040】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とされてもよい。
【0041】
例えば、第1エアパッド及び第2エアパッド以外のエアパッドを配置してもよい。また、第1エアパッドの小パッド部の数も6個以外としてもよい。ただし、小パッド部11の数は2~20個、特に3~10個が好適である。また、小パッド部の配列方向をY方向としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 生体情報検出用マット
2 外装袋
2’ 外装袋半完成品
3,4 外装袋のシート
10 第1エアパッド
11 小パッド部
12,13 第1エアパッドのシート
14 クッション材
20 第2エアパッド
22,23 第2エアパッドのシート
30,40 チューブ
50 収容部
51~53 融着部
54 開放部