(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104712
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ファインダユニット、撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 13/06 20210101AFI20230721BHJP
G03B 17/04 20210101ALI20230721BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230721BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230721BHJP
H04N 23/53 20230101ALI20230721BHJP
【FI】
G03B13/06
G03B17/04
G03B17/56 J
G03B17/02
H04N5/225 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005873
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 貴純
(72)【発明者】
【氏名】神藤 亮平
【テーマコード(参考)】
2H018
2H100
2H101
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H018AA32
2H018BB01
2H018BE01
2H018BE04
2H100AA11
2H100AA31
2H100BB09
2H100CC07
2H101BB14
2H101EE08
2H105EE22
5C122DA04
5C122EA47
5C122EA54
5C122FB03
5C122FK09
5C122GE04
5C122GE07
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】ファインダ部の回動角度を大きく確保しつつ、電子機器の大型化を抑制する。
【解決手段】ファインダ部12は、支持機構部50によって、収納状態と引出状態と回動状態とに可動可能に支持される。支持機構部50は、固定板51と、固定板51に対して引き出し方向に移動可能な直進板52と、ファインダ部12を保持し直進板52に対して回動可能な回動板53とを有する。固定板51に対して直進板52が直進移動する際、板バネ部52gの凸部52fと固定板51の凹部51eとの摩擦によって移動に対する反力が発生し、直進板52に対して回動板53が回動する際、回動軸部Aにおける皿バネ53gを介した直進板52と回動板53との摩擦によって回動に対する反力が発生する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部および接眼窓を有するファインダ部と、
電子機器本体に保持され、前記ファインダ部を、前記電子機器本体に収納された収納状態と、前記電子機器本体から引き出し方向へ引き出された引き出し状態と、前記引き出し状態において前記引き出し方向と直交する回動軸部を中心として回動した回動状態と、に可動可能に支持する支持機構部と、を有し、
前記支持機構部は、
固定部と、
前記固定部に対して前記引き出し方向に移動可能に前記固定部に保持される直進部と、
前記ファインダ部を保持すると共に、前記直進部に対して前記回動軸部を中心として回動可能に前記直進部に保持される回動部と、を含み、
前記固定部に対して前記直進部が移動する際、前記固定部と前記直進部との係合によって移動に対する反力が発生し、
前記直進部に対して前記回動部が回動する際、前記回動軸部における前記直進部と前記回動部との係合によって、回動に対する反力が発生することを特徴とするファインダユニット。
【請求項2】
前記固定部、前記直進部および前記回動部は各々、前記回動軸部の軸線方向に平行な方向における両側に一対の側壁部を有し、
前記固定部の前記一対の側壁部の内側に前記直進部の前記一対の側壁部が配置され、
前記直進部の前記一対の側壁部の内側に前記回動部の前記一対の側壁部が配置されることを特徴とする請求項1に記載のファインダユニット。
【請求項3】
前記固定部の前記一対の側壁部のうち少なくとも一方には、前記引き出し方向に延びた直進レールと、前記直進レールの途中から前記回動軸部を中心とする円周方向に沿って円弧状に延びた円弧レールと、が形成され、
前記直進部の前記一対の側壁部には、前記直進レールに沿って直進移動するガイド軸部が設けられ、
前記回動部には、前記円弧レールに対応し、前記直進レールに沿って直進移動すると共に前記円弧レールに沿って移動する規制軸が設けられたことを特徴とする請求項2に記載のファインダユニット。
【請求項4】
前記ガイド軸部は、第1のガイド軸部と第2のガイド軸部とを含み、
前記収納状態において、前記レンズ部の光軸方向に沿って、前記ファインダ部の前記接眼窓の側から、前記回動軸部、前記第1のガイド軸部、規制軸、前記第2のガイド軸部の順序で配置されていることを特徴とする請求項3に記載のファインダユニット。
【請求項5】
視度を調整するための視度調整操作部を有し、
前記円弧レールは、前記固定部の前記一対の側壁部のうち、前記収納状態における前記レンズ部の光軸を含み上下方向に平行な仮想面に対して、前記視度調整操作部の反対側に対応する側壁部にだけ設けられることを特徴とする請求項3または4に記載のファインダユニット。
【請求項6】
前記ファインダ部は、前記収納状態において前記電子機器本体から露出する外観領域を有し、
前記円弧レールの少なくとも一部は、前記外観領域に形成されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のファインダユニット。
【請求項7】
前記直進部の前記一対の側壁部は、前記収納状態における前記レンズ部の光軸より低い位置で第1の連結部によって互いに連結され、
前記回動部の前記一対の側壁部は、前記収納状態における前記レンズ部の光軸より高い位置で第2の連結部によって互いに連結されることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のファインダユニット。
【請求項8】
前記レンズ部は複数のレンズ群から構成され、
前記第2の連結部は、前記回動軸部の軸線方向から見て、前記接眼窓に最も近いレンズと重ならない位置に配置されることを特徴とする請求項7に記載のファインダユニット。
【請求項9】
前記ファインダ部は、前記レンズ部の光軸方向から見て一対の円弧状の外郭を有し、
前記一対の円弧状の外郭の外側のスペースに、前記回動部の前記一対の側壁部が配置されることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載のファインダユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の前記ファインダユニットと、
撮像光学系により形成された被写体像を撮像する撮像素子と、を有し、
前記ファインダ部には、前記撮像素子により撮像された画像が表示されることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記ファインダ部は、前記収納状態において前記電子機器本体から露出しない収納領域を有し、
前記収納領域には、前記レンズ部の光軸方向における領域のうち、前記レンズ部が可動する領域と前記レンズ部が可動しない領域とがあり、
前記電子機器本体は主基板を有し、
前記収納状態において、前記回動軸部の軸線方向から見て、前記主基板は、前記レンズ部が可動する前記領域とは重ならず、前記レンズ部が可動しない前記領域に位置することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
請求項2に記載の前記ファインダユニットと、撮像光学系により形成された被写体像を撮像する撮像素子と、を有する撮像装置であって、
前記ファインダ部には、前記撮像素子により撮像された画像が表示され、
さらに、前記ファインダ部の一部を覆うと共に前記電子機器本体の外観の一部を構成する外装部を有し、
前記外装部には、アクセサリを装着可能な係合部材が設けられ、
前記固定部は前記外装部に固定され、
前記固定部の前記一対の側壁部は、前記回動軸部の軸線方向と前記引き出し方向とに平行であり、
前記固定部は、前記収納状態における前記レンズ部の光軸より低い位置で前記一対の側壁部を連結する第3の連結部を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインダユニット、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置等の電子機器に設けられるファインダユニットが知られている。例えば、電子ビューファインダなどのファインダユニットを備えた電子機器では、電子機器本体の背面側の上部にファインダユニットが配置されている。ファインダユニットにおけるファインダ部を、電子機器本体に対してスライドして引き出し可能で且つ、ファインダ部を引き出した状態から上方向にチルト回動可能とすることで、撮影姿勢の自由度を拡大した装置も知られている。
【0003】
特許文献1において、ファインダ部を引き出し且つ回動可能に支持する支持構造は、撮像装置に固定されたベースプレートとベースプレートに対して摺動可能に連結されたホルダの2つの板金部材で構成されている。また、ホルダに設けられた一対の板バネ部がベースプレートを付勢することで、ファインダ部の引出時および回動時での操作感を与えるための反力を摩擦により発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ベースプレートに対する一対の板バネ部の当接位置とホルダの回転軸との距離が長いため、上記当接位置は回動時に大きな円弧軌跡を描くように移動する。仮に、ファインダ部が過大に回動すると板バネ部が固定板から外れてしまうため、ファインダ部の回動角度には制約がある。一方、回動角度が大きくなるように設計しようとすると、固定板を拡大する必要があり、撮像装置本体の大型化に繋がる。
【0006】
本発明は、ファインダ部の回動角度を大きく確保しつつ、電子機器の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、レンズ部および接眼窓を有するファインダ部と、電子機器本体に保持され、前記ファインダ部を、前記電子機器本体に収納された収納状態と、前記電子機器本体から引き出し方向へ引き出された引き出し状態と、前記引き出し状態において前記引き出し方向と直交する回動軸部を中心として回動した回動状態と、に可動可能に支持する支持機構部と、を有し、前記支持機構部は、固定部と、前記固定部に対して前記引き出し方向に移動可能に前記固定部に保持される直進部と、前記ファインダ部を保持すると共に、前記直進部に対して前記回動軸部を中心として回動可能に前記直進部に保持される回動部と、を含み、前記固定部に対して前記直進部が移動する際、前記固定部と前記直進部との係合によって移動に対する反力が発生し、前記直進部に対して前記回動部が回動する際、前記回動軸部における前記直進部と前記回動部との係合によって、回動に対する反力が発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファインダ部の回動角度を大きく確保しつつ、電子機器の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電子機器の前側斜視図、背面側斜視図である。
【
図2】ファインダ部が収納状態、引き出し状態、回動状態であるカメラ本体の背面斜視図である。
【
図3】カメラ本体、上面カバーユニット、アクセサリシューおよびファインダユニットの分解斜視図である。
【
図4】ファインダ部の分解斜視図、カム部材の拡大斜視図である。
【
図5】レンズホルダおよび固定筒の断面図、-Z方向視図である。
【
図7】収納状態、引出状態、回動状態に対応する支持機構部を+X側からみた側面図である。
【
図9】ファインダユニットを+Z側、+X側から見た図、AA-AA線、BB-BB線に沿う断面図である。
【
図10】ファインダユニットを-Z側からみた図、DD-DD線、CC-CC線に沿う断面図である。
【
図11】ファインダユニットを-Z側からみた図、EE-EE線、FF-FF線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係るファインダユニットが適用される電子機器の前側斜視図である。この電子機器は、一例として撮像装置100として構成される。撮像装置100は、カメラ本体1(電子機器本体)と交換レンズ2とから構成される。すなわち、カメラ本体1は、交換レンズ2を着脱可能なレンズ交換式デジタルカメラである。
【0012】
図1(b)は、カメラ本体1の背面側斜視図である。以降、各部の方向を、
図1(a)、(b)等に示したX、Y、Z座標軸を基準として呼称する。ここでは便宜上、撮像光軸C1(交換レンズ2の光軸)と略平行な方向において、被写体側を前方と称し、表示部10側を後方と称する。従って、
図1(a)、(b)において、+Y方向が上方、+Z方向が前方である。+X方向は、被写体側から見て右方である。
【0013】
カメラ本体1の前面には、ユーザによって把持されるフロントグリップ3が前方に突出して設けられている。カメラ本体1の前面中央には、交換レンズ2を装着可能とするマウント部4が設けられている。マウント部4には、電気接点群5が設けられている。カメラ本体1は、マウント部4に装着された交換レンズ2との通信や電源供給を、電気接点群5を介して行う。
【0014】
カメラ本体1の上面には、電源レバー6、モードダイヤル7、レリーズボタン8、アクセサリシュー9が設けられる。電源レバー6は、ユーザ操作によりカメラ本体1の電源オン/オフを切り替える操作部である。モードダイヤル7は、ユーザによる回転操作により各種撮影モードを切り替える操作部である。レリーズボタン8は、ユーザによる押圧操作により撮影を開始する撮影開始部である。アクセサリシュー9は、交換レンズ2の光軸C1中心上でファインダ部12の上方に配置される。アクセサリシュー9には様々な外付けアクセサリが装着可能である。
【0015】
カメラ本体1の背面には、表示部10と、背面操作部11と、ファインダ部12とが設けられている。撮像素子13は、撮像光学系である交換レンズ2により形成された被写体像を撮像する。カメラ本体1が電源オン状態であり、静止画または動画モードが設定されているとき、表示部10には、撮像素子13に撮像されている被写体像の画像信号(スルー画像)が表示される。また、表示部10には、シャッタ速度や絞り値等の撮影条件を示す撮影パラメータが表示される。
【0016】
背面操作部11は、記録された撮影画像の再生を指示するための再生ボタンを含み、この再生ボタンをユーザが操作することで、撮影画像が表示部10に再生表示される。また、背面操作部11は、動画撮影を指示する動画ボタンを含み、この動画ボタンをユーザが操作することで、動画撮影が開始または停止される。背面操作部11の横には、ユーザがカメラ本体1を把持した際に親指を置く親指スペース14が設けられている。
【0017】
ファインダ部12は、ファインダユニット26に含まれる。ファインダ部12には、センサ窓15と、接眼窓16と、視度を調整するための視度調整操作部である視度調整ダイヤル17とが設けられている。センサ窓15は、接眼窓16の下方に配置され、内部の接眼センサ44a(
図4参照)の光路を確保するのために設けられている。ユーザが接眼窓16を覗いたことを接眼センサ44aが検知すると、スルー画像の表示は、表示部10への表示から、ファインダ部12の内部に設けられた表示パネル35(
図4参照)への表示へと切り替わる。ファインダ部12において、視度調整ダイヤル17は、フロントグリップ3や親指スペース14が設けられている側に配置される。視度調整ダイヤル17をユーザが操作することで視度が合い、ファインダ部12で表示画像をぼやけることなく確認することができる。
【0018】
詳細は後述するが、ファインダ部12は、カメラ本体1に対して、収納状態と、引き出し状態(引出状態とも記す)と、回動状態と、に可動可能である。収納状態は、ファインダ部12がカメラ本体1に収納された状態である。引出状態は、ファインダ部12がカメラ本体1から引き出し方向(-Z方向)へ引き出された状態である。回動状態は、ファインダ部12がカメラ本体1に対して回動軸部A(
図7で後述)を中心として回動した状態であり、詳細には、ファインダ部12の-Z側端部が上方へチルトした状態である。なお、後述するように、回動軸部Aの軸線方向は、ファインダ部12の光軸(後述するレンズ群36a(
図4)の光軸F)と引き出し方向とに対して略直交する。
【0019】
図2(a)、(b)、(c)はそれぞれ、ファインダ部12が収納状態、引き出し状態、回動状態であるカメラ本体1の背面斜視図である。
【0020】
ファインダ部12は、接眼窓16がアクセサリシュー9と略平行となる回動角度まで回動することができる(
図2(c))。ファインダ部12は、収納状態/引出状態/回動状態の各状態において、ユーザは接眼窓16を覗くことで表示内容を視認することができる。例えば、ファインダ部12が収納状態であれば、従来通りの使い勝手や携帯性を維持した使用を実現できる。
【0021】
また、従来のカメラにおいては、アクセサリシューに大型な外付けアクセサリを装着した状態で接眼窓を覗きながら撮影することは、外付けアクセサリが邪魔となって困難であった。しかし、本実施の形態では、ファインダ部12を引出状態にすることで、アクセサリシュー9に大型な外付けアクセサリを装着した状態でも、アクセサリシュー9とファインダ部12の距離が確保されるので、接眼窓16を覗きながらの撮影が容易となる。
【0022】
また、ファインダ部12を交換レンズ2の撮像光軸C1とファインダ部12の光軸Fとに略平行な状態(収納状態または引出状態)から、撮像光軸C1と光軸Fとが略直交する状態(回動状態)までファインダ角度をシームレスに変更できる。しかもそのファインダ角度を保持可能である。従って、ユーザの撮影姿勢の自由度を拡大することが可能となる。
【0023】
図3(a)は、カメラ本体1の分解斜視図である。カメラ本体1のユニット構成について説明する。
【0024】
内部構造部材20に対して各ユニットが組み付けられることでカメラ本体1が構成される。各ユニットとして、前面カバーユニット21、上面カバーユニット22、側面カバーユニット23、主基板24、後面カバーユニット25がある。上面カバーユニット22には、ファインダユニット26が内側から組み付けられる。上面カバーユニット22とファインダユニット26とは、一体となった状態で内部構造部材20に対して固定される。上面カバーユニット22は、ファインダ部12の一部を覆うと共にカメラ本体1の外観の一部を構成する外装部である。
【0025】
図3(b)は、上面カバーユニット22、アクセサリシュー9およびファインダユニット26の分解斜視図である。アクセサリシュー9は、係合部材30と、信号端子ステージ31と、アクセサリシュー用フレキシブル基板32と、アクセサリシュー保持部材33と、アクセサリシュースプリング34とを含む。係合部材30は、外付けのアクセサリを係合保持するための部材であり、アクセサリを装着可能である。信号端子ステージ31は、樹脂材料で形成されるベース部材に外付けアクセサリ用の接点部材31aが保持されて構成されている。アクセサリシュー用フレキシブル基板32は、接点部材31aと電気的に接合され、カメラ本体1においては主基板24に接続される。アクセサリシュー用フレキシブル基板32は、カメラ本体1と外付けアクセサリと電気的に接続可能にする。その結果、様々な外付けアクセサリはカメラ本体1と通信して機能する。
【0026】
アクセサリシュー保持部材33は、係合部材30を保持する構造躯体となり、上面カバーユニット22の中で高剛性かつ高強度を有する部材である。4本のビス33aは、アクセサリシュー保持部材33、アクセサリシュー用フレキシブル基板32、上面カバーユニット22を貫通し、係合部材30に螺合される。これにより、アクセサリシュー保持部材33および係合部材30は強固に保持される。信号端子ステージ31は、係合部材30と上面カバーユニット22とに挟持される。アクセサリシュースプリング34は、導電性を有する金属材料から成り、装着された外付けアクセサリを+Y方向に付勢するための弾性変形部を有している。ファインダユニット26は、上面カバーユニット22の内側から組み付けられ、2本のビス27でアクセサリシュー保持部材33に締結されて強固に保持される。その際、ファインダユニット26の一部である固定板51(
図6)は、アクセサリシュー保持部材33を介して上面カバーユニット22に固定される。
【0027】
図4(a)は、ファインダ部12の分解斜視図である。ファインダ部12の光学ユニット12aは、表示パネル35と、レンズホルダ36と、固定筒37と、レンズ前カバー38、ファインダ用フレキシブル基板39とを有する。レンズホルダ36は、表示パネル35から発した光束を接眼窓16に導光するレンズ群36aを保持する。
【0028】
ガイドシャフト40は、レンズホルダ36の軸受36bを貫通し、ガイドシャフト40の端は、固定筒37とレンズ前カバー38とに軸支される。ガイドシャフト40は、レンズホルダ36を、レンズ群36aの光軸F方向(レンズ部の光軸方向)に移動可能にガイドする。バネ41は、ガイドシャフト40と同軸上に配置され、レンズホルダ36と固定筒37とに挟持されることで、レンズホルダ36を-Z方向に付勢する。また、ファインダ部12はカム部材42を有する。
【0029】
以降、ファインダユニット26を説明するときに用いるZ方向は、収納状態または引き出し状態におけるZ方向(つまり光軸F方向)であるとする。
【0030】
図4(b)は、カム部材42の拡大斜視図である。カム部材42は、軸受部42aと、カム42bと、周方向に一定のピッチで形成されたギア部42cとを有している。カム部材42の軸受部42aが固定筒37の軸部(不図示)を貫通した状態で、カム部材42は固定筒37とレンズ前カバー38とにより挟持される。これによりカム部材42は固定筒37に対して回転可能に保持される。
【0031】
図5(a)、(b)はそれぞれ、レンズホルダ36および固定筒37の断面図、-Z方向視図である。
【0032】
図4(a)に示すように、レンズホルダ36は、バネ41により-Z方向に付勢され、カム部材42のカム42bにレンズホルダ36の凸部36c(
図5(b))が常に当接する。カム部材42は、視度調整ダイヤル17(
図4(a))と一体に回転可能で、カム42bの形状に沿って、レンズホルダ36はZ方向に進退可能となる。板バネ43は、カム部材42のギア部42cに弾性的に係合し、カム部材42をギア部42cのピッチ毎にクリックストップ可能としている。つまり、ユーザが視度調整ダイヤル17を回転操作し、レンズホルダ36をユーザの視度に合わせた位置に移動することで、ファインダ部12の視度調整を行うことができる。
【0033】
表示パネル35は、固定筒37に両面テープ(不図示)で接着固定されている。ファインダ用フレキシブル基板39は、主基板24(
図3(a))からの画像信号等を伝達するための基板である。ファインダ用フレキシブル基板39には、表示パネル基板35aと検出センサ用フレキシブル基板44(
図4(a))とを接続するコネクタが実装されている。ファインダ用フレキシブル基板39は、表示パネル35の背面を覆うように、固定筒37に位置決めされてビスで締結される。
【0034】
検出センサ用フレキシブル基板44には、ユーザが接眼窓16を覗いたことを検知する接眼センサ44aが実装されている。ユーザが接眼窓16を覗いたことが検知されると、表示部10から表示パネル35への表示に切り替わる。検出センサ用フレキシブル基板44は、アウターカバー45に接着固定されたセンサ窓15の裏面に押し当てるように配置されてビスで締結される。レンズ前カバー38には、周方向にフランジ部38aが形成され、このフランジ部38aをアウターカバー45とインナーカバー46とで挟持するように組み付けられてビスで締結される。これにより、光学ユニット12aは、外観部品であるアウターカバー45とインナーカバー46とにより覆われる。
【0035】
インナーカバー46の+Z側には、ファインダ部12の回動状態時に外観となる円弧部46aと、円弧部46aの内側近傍にファインダ用フレキシブル基板39を配線するための開口部46bとが設けられている。アウターカバー45には、ユーザがファインダを覗き込んだ際のクッション部材となるゴム製のアイピースカバー47がビスで固定される。
【0036】
図5(a)に示すように、レンズ群36aは複数のレンズから構成さる。レンズ群36aのうち、表示パネル35に最も近い側のレンズの外径をD1とし、接眼窓16に最も近い側のレンズの外径をD2とする。表示パネル35の表示を拡大するために、表示パネル35に対してレンズ外形D1、D2は大きい。レンズ外形D2はレンズ外形D1よりも大きい。従って、表示パネル35側のレンズの上方(+Y側)には、レンズ外形の差分(D2-D1)の半分だけのスペースが空く。さらに、レンズホルダ36を覆う固定筒37にも、表示パネル35側のレンズの上方に略長方形のスペース37aが空くように構成されている。なお、このようなスペースを設ける構成は、+Y側だけでなく、-Y側、+X側、-X側にも適用される。
【0037】
図5(b)における破線は、レンズ群36aの最大外形となる接眼窓側のレンズ外形D2を示している。レンズホルダ36は円弧部R2を有する。円弧部R2は、光軸Fより+Y側で、且つ光軸Fに対して左右対称の一対の円弧状の外郭である。光軸F方向からみて、上面37dの延長線と、側面に外接する上下方向の仮想直線37bと、円弧部R2とによって、略三角形のスペース37cが形成される。スペース37cは、上記一対の円弧状の外郭の外側のスペースである。
【0038】
次に、
図6、
図7で、ファインダ部12を支持する支持機構部50について説明する。支持機構部50はカメラ本体1に保持され、ファインダ部12を、収納状態と引出状態と回動状態とに可動可能に支持する。
【0039】
図6は、支持機構部50の分解斜視図である。
図7(a)、(b)、(c)はそれぞれ、収納状態、引出状態、回動状態に対応する支持機構部50を+X側からみた側面図である。以降、特に言及しない限り、支持機構部50の方向を述べる際は収納状態を基準とする。
【0040】
図6に示すように、支持機構部50は、主に、固定板51(固定部)、直進板52(直進部)、回動板53(回動部)、フリップ部材54を有する。固定板51は、金属板をプレス加工して製造され、支持機構部50の構造躯体となる部品である。固定板51は、第一の面51a、第二の面51b、第三の面51cを備えている。第一の面51a、第二の面51bは、Z方向に略平行で且つX方向と略直交する一対の側壁部である。第三の面51cは、光軸F(
図7(a)等)より-Y側に位置し、X方向とZ方向とに略平行である。第一の面51aおよび第二の面51bは、第三の面51cにより接続される。
【0041】
固定板51の一対の側壁部(面51a、51b)は、収納状態における光軸Fより低い位置で第3の連結部としての第三の面51cによって互いに連結されている。従って、固定板51は、面51a、51b、51cにより略コの字形状(U字形状)を成している。
【0042】
上面カバーユニット22とファインダユニット26とが締結された状態においては、固定板51はアクセサリシュー保持部材33(
図3(b))とビス締結される。従って、固定板51とアクセサリシュー保持部材33とによって略ロの字形状(環状の矩形形状)を成すことで剛性が高まっている。さらに、係合部材30(
図3(b))と面51a、51b、51cとで略ロの字形状が形成されるので、剛性向上に寄与する。
【0043】
第一の面51aおよび第二の面51bには、直進板52の引き出し方向(Z方向)に直線状に延びる直進レール51dが形成されている。また、第一の面51aおよび第二の面51bには、引き出し方向に直線状に延びる凹部51eが形成され、凹部51eの先端と後端とにクリック穴51fが形成されている。
【0044】
第一の面51aは、光軸Fに対して、X方向における視度調整ダイヤル17(
図1参照)側に配置された側壁部であり、第二の面51bは、光軸Fに対して、X方向における視度調整ダイヤル17とは反対側に配置された側壁部である。言い換えると、第二の面51bは、収納状態における光軸Fを含み上下方向に略平行な仮想面S1(
図9(a)、
図10(a))に対して、視度調整ダイヤル17とは反対側に配置された側壁部である。
【0045】
第一の面51aの-Z側端部には切り欠き形状51gが形成されている。ファインダ部12が収納状態に位置するときに、切り欠き形状51gは、視度調整ダイヤル17を収納するスペースとして利用される。第二の面51bには、直進レール51dの途中で-Y側に円弧上に分岐する円弧レール51hが、直進レール51dに連続して形成されている。すなわち、円弧レール51hは、直進レール51dの途中から回動軸部Aを中心とする円周方向に沿って円弧状に延びる。円弧レール51hは、固定板51の一対の側壁部(面51a、51b)のうち第二の面51bにだけ形成されている。
【0046】
直進板52は、金属板をプレス加工して製造され、固定板51の内側に配置される部品である。直進板52は、固定板51に対して相対的に引出方向(Z方向)にのみ直進移動可能に固定板51に保持される。直進板52は、第一の面52a、第二の面52b、第三の面52cを備えている。第一の面52aおよび第二の面52bは、Z方向と略平行で且つX方向と略直交する一対の側壁部である。第三の面52cはZ方向とX方向とに略平行である。
【0047】
第一の面52aおよび第二の面52bは、光軸Fより-Y側に位置する。第一の面52aおよび第二の面52bが第三の面52cによって接続されている。すなわち、直進板52の一対の側壁部(面52a、52b)は、収納状態における光軸Fより低い位置で第1の連結部としての第三の面52cによって互いに連結されている。従って、直進板52は、面52a、52b、52cにより略コの字形状を成している。
【0048】
第一の面52aは、光軸Fに対して、X方向における視度調整ダイヤル17(
図1参照)側に配置された側壁部であり、第二の面52bは、光軸Fに対して、X方向における視度調整ダイヤル17とは反対側に配置された側壁部である。
【0049】
第一の面52aと第二の面52bとには、回動板53の回動軸部A(
図7(a)等)の軸受けとなる孔部52dが設けられる。第二の面52bには、固定板51の円弧レール51hに対応して円弧レール52eが形成されている。第一の面52aと第二の面52bとからは、板バネ部52gが+Z側へ突出している。板バネ部52gの先端部に設けられた凸部52fは、固定板51の凹部51eおよびクリック穴51fと弾性的に係合する。
【0050】
第一の面52aと第二の面52bとには、直進ガイド軸52h、52i(ガイド軸部)が1組ずつ設けられる。直進ガイド軸52h、52iは、固定板51に直進板52が組み込まれた状態で直進レール51dを貫通している。直進ガイド軸52h、52iの第1の組が直進板52の第一の面52aに加締められ、第2の組が第二の面52bに加締められている。
【0051】
直進ガイド軸52h、52iの第1の組と第2の組とは、X方向において光軸Fに対して対称に配置されている。直進ガイド軸52hと直進ガイド軸52iとは、引き出し方向において一定の間隔を持って配置されている。直進ガイド軸52h、52iは、対応する直進レール51dに沿って直進移動する。これにより、直進板52は、固定板51に対して引き出し方向に直進可能となる。凸部52fと凹部51eとの摺動によって、直進板52が直進移動する際の操作感が得られる。すなわち、固定板51に対して直進板52が移動する際、固定板51の凹部51eと直進板52の凸部52fとの係合による摩擦によって、移動に対する反力が発生し、操作感を生じさせる。さらに、凸部52fとクリック穴51fとの係合によって、収納位置や引出位置でのクリックストップ感が得られる。
【0052】
回動板53は、金属板をプレス加工して製造され、直進板52の内側に配置される。回動板53は、ファインダ部12を保持すると共に、直進板52に対して回動軸部A(
図7(a)等)を中心に回動可能に直進板52に保持される。回動板53は、第一の面53a、第二の面53b、第三の面53cを備えている。第一の面53aおよび第二の面53bは、Z方向と略平行で且つX方向と略直交する一対の側壁部である。第三の面53cは、Z方向とX方向とに略平行である。
【0053】
第一の面53aは、光軸Fに対して、X方向における視度調整ダイヤル17(
図1参照)側に配置された側壁部であり、第二の面53bは、光軸Fに対して、X方向における視度調整ダイヤル17とは反対側に配置された側壁部である。
【0054】
第一の面53aおよび第二の面53bは、光軸Fより+Y側に位置する。第一の面53aおよび第二の面53bが、第三の面53cによって接続されている。すなわち、回動板53一対の側壁部(53a、53b)は、収納状態における光軸Fより高い位置で第2の連結部としての第三の面53cによって互いに連結されている。従って、回動板53は、面53a、53b、53cにより略コの字形状を成している。さらには、直進板52の面52a、52b、52cと回動板53の面53a、53b、53cとが協働して、略ロの字形状(環状の矩形)が形成されるので、剛性が高まる。
【0055】
このように、固定板51、直進板52、回動板53は各々、回動軸部Aの軸線方向に略平行な方向における両側に一対の側壁部を有する。そして、固定板51の一対の側壁部(面51a、51b)の内側に直進板52の一対の側壁部(面52a、52b)が配置され、直進板52の一対の側壁部(面52a、52b)の内側に回動板53の一対の側壁部(面53a、53b)が配置される。
【0056】
ここで、第一の面53aおよび第二の面53bは、ファインダ部12に形成された略三角形のスペース37c(
図5(b)参照)に配置されることで、回動板53を追加したことによるX方向のサイズアップを抑えることが可能となる。また、回動板53の第三の面53cは、ファインダ部12に形成された略長方形のスペース37a(
図5(a)参照)に配置されることで、回動板53を追加したことによるY方向のサイズアップを抑えることが可能となる。
【0057】
第一の面53aおよび第二の面53bには、回動板53の回動軸部A(
図7(a)等)の軸受けとなる孔部53dが設けられる。直進板52の孔部52dと回動板53の孔部53dとは同軸上に配置される。また、各孔部53dの近傍には、回動軸部Aの軸線方向に屈曲した立曲部53e(
図7(b)、(c))が形成されている。面53a、53bのそれぞれに対応して、回動軸ピン53f(
図6)が、皿バネ53gおよび孔部52d、53dを貫通した状態で加締められる。これにより、回動板53の回動中心となる回動軸部Aが形成される。
【0058】
皿バネ53gは、回動軸部Aの軸線方向に圧縮され撓んだ状態で固定されることで、回動板53を回動させる際の回転トルクを付与する。従って、これにより、直進板52と回動板53は、回動軸部Aを中心に回動可能に連結されると共に、任意の回動位置で保持されることが可能となる。従って、直進板52に対して回動板53が回動する際、回動軸部Aにおける皿バネ53gを介した直進板52と回動板53との係合による摩擦によって、回動に対する反力が発生し、操作感を生じさせる。
【0059】
回動板53が上方または下方へ回動するとき、立曲部53eが直進板52の回転規制部52j、52k(
図7(b)、(c)参照)に当接することで、回動板53の上方または下方への回転角度が規制される。
【0060】
なお、X方向における回動軸ピン53fの両側に皿バネ53gを配置したが、皿バネ53gは片側にのみ配置してもよい。また、回動板53の回動範囲において一定の回転トルクを発生させる構成を示したが、ある一定の回動角度においてクリック感が発生するように、回転軸部Aの近傍に皿バネ53gが係合する凹部を設けてもよい。
【0061】
回動板53の第二の面53bには、直進板52の円弧レール52eに対応して直進規制軸53hが設けられている。直進規制軸53hは、固定板51と直進板52と回動板53とが組み付けられた状態で、固定板51の直進レール51dと直進板52の円弧レール52eとを貫通して、回動板53の第二の面53bに加締められている。直進規制軸53hは直進レール51d沿って直進移動すると共に円弧レール52eに沿って円弧状に移動する。これにより、回動板53が回動する行程においては、直進規制軸53hが固定板51の円弧レール51hと係合することで、回動状態において直進板52の直進動作を規制すると共に、回動板53の回動動作をガイドすることができる。
【0062】
フリップ部材54は、固定板51の第3の面51cよりも-Y側に配置される。フリップ部材54は、シャフト54aを介して固定板51に軸支され、トーションスプリング54bによって直進板52を+Y側へ付勢するように構成されている。
【0063】
直進板52は、直進ガイド軸52h、52iが固定板51の直進レール51dに沿って移動することで収納状態から引出状態まで引き出される。
図7(a)、(b)に示すように、直進板52の板バネ部52gの凸部52fが固定板51の凹部51eと弾性的に係脱可能に係合する。凸部52fと凹部51eとの摺動により、収納状態と引出状態との間において反力による操作感が得られる。引出状態(
図7(b))では、直進ガイド軸52hは直進レール51dの-Z側の端部に位置し、回動板53の直進規制軸53hは、固定板51の円弧レール51hへの分岐点に位置している。
【0064】
次に、引出状態から回動状態までは、回動軸部Aを中心として、直進規制軸53hが固定板51の円弧レール51hに沿って円弧レール51hの端部まで移動する。その際、回動軸部A周りに配置された皿バネ53gのフリクションによって操作感が得られる。
【0065】
ここで、固定板51の凹部51eは、円弧レール51hを避けた位置に配置する必要があり、凹部51eは回動軸部Aから離れた位置に設けられる。つまり、直進板52の板バネ部52gの凸部52fと回動軸部Aとは離れた位置関係であるので、仮に引出状態から回動状態の間の操作感を板バネ部52gで得ようとすると、板バネ部52gの回動軌跡が大きくなる。すると、それに対応した凹部51eも大きくなり、固定板51の大型化に繋がる。
【0066】
しかし、本実施の形態では、支持機構部50を固定板51、直進板52および回動板53の3体構成とし、収納状態から引出状態の間と、引出状態から回動状態の間とで、操作感を発生させる箇所を分けた。これにより、支持機構部50の土台となる固定板51のサイズアップを抑えることが可能となる。
【0067】
直進ガイド軸52h、52iの軸径は、固定板51の直進レール51dに対して、夫々の部品の製造誤差を加味して、干渉しない程度のクリアランスを設けることでスームズに直進可能となっている。直進ガイド軸52h、52iの間隔L52(
図7(a))が短すぎると直進板52のがたつきが大きくなるため、間隔L52は適切な値に設定されている。また、ファインダ部12の回動角度を拡大する観点では、ファインダ部12が上面カバーユニット22と干渉しないようにするため、回動軸部Aは、なるべく-Z側寄りに配置するのがよい。
【0068】
また、直進板52と回動板53とは、皿バネ53gが回動軸部Aの軸線方向に撓んだ状態で固定されているため、回動板53の回動動作に伴って直進板52も一緒に回動しようとする動きが発生する。その動きを抑制する(つまり、直進板52に作用する回転モーメントを小さくする)観点からは、回動軸部Aと直進ガイド軸52hとは、なるべく近傍に配置するのが好ましい。
【0069】
また、直進規制軸53hは、回動軸部Aを中心に回動板53と一体的に回動するため、固定板51、直進板52には、直進規制軸53hの回動軌跡に対応した円弧レール51h、52eが形成されている。ここで、回動軸部Aと直進規制軸53hとの間隔L53が長すぎると、円弧レール51h、52eを形成するための大きなスペースが必要になってしまう。間隔L53は回転半径に相当するからである。省スペースの観点から間隔L53は適切な値に設定されている。
【0070】
以上のことを考慮して、収納状態において、光軸F方向に沿って、-Z側から(接眼窓16の側から)、回動軸部A、直進ガイド軸52h(第1のガイド軸部)、直進規制軸53h、直進ガイド軸52i(第2のガイド軸部)の順序で配置されている。これにより、所望の機能を果たしつつ、Z方向の軸間隔を抑制することが可能となる。例えば、仮に、直進規制軸53hが直進ガイド軸52hよりも-Z側にあると、回動軸部Aと直進ガイド軸52hとの距離を短くするのが困難になるからである。また、仮に、直進規制軸53hが直進ガイド軸52iよりも+Z側にあると、間隔L53が長くなりすぎ、円弧レール51h、52eを形成するための必要スペースが大きくなるからである。
【0071】
図8は、ファインダユニット26の分解斜視図である。ファインダユニット26は、ファインダ部12と、支持機構部50と、支持機構部ホルダ55とを有する。支持機構部ホルダ55と、支持機構部50の固定板51とアクセサリシュー9のアクセサリシュー保持部材33とは、ビスで固定される。
【0072】
回動板53は、上述した第一の面53a、第二の面53b、第三の面53cのほか、第四の面53hと第五の面53iとを有する(
図6も参照)。面53h、53iは、第三の面53cのX方向の両端部が下方に屈曲した部分であり、いずれもZ方向に略直交する。第四の面53hおよび第五の面53iがビス50aによりファインダ部12に締結される。これと共に、第一の面53aおよび第二の面53bがビス50bによりファインダ部12に締結される。これらにより、回動板53はファインダ部12に固定される。
【0073】
図9(a)は、固定板51と支持機構部ホルダ55とを非表示にしたファインダユニット26を+Z側から見た図である。
図9(b)は、
図9(a)のAA-AA線に沿う断面図である。AA-AA線はビス50aの中心を通る。
図9(c)は、支持機構部ホルダ55と固定板51とを非表示にしたファインダユニット26を+X側からみた側面図である。
図9(d)は、
図9(c)のBB-BB線に沿う断面図である。BB-BB線はビス50bの中心を通る。
【0074】
図9(b)、(c)に示すように、X方向におけるファインダユニット26の領域を次のように定義する。まず、収納状態において、ファインダユニット26におけるカメラ本体1の外観となる(カメラ本体1から露出する)領域を収納時外観領域26aとし、カメラ本体1に収納される(カメラ本体1から露出しない)領域を収納領域26bとする。また、レンズホルダ36が可動する領域をレンズ部領域26cとし、レンズ部領域26cより+Z側の領域を表示パネル領域26dとする。
【0075】
図9(a)に示すように、ビス50aは、X方向からみて、ファインダ用フレキシブル基板39と投影上重ならない位置に配置される。また、ビス50aは、収納状態における光軸Fを含み上下方向に略平行な仮想面S1に対して、対称に配置される。さらに、
図9(b)に示すように、ビス50aは、光軸Fより+Y側で且つ、Z方向において表示パネル領域26dに配置される。
【0076】
図9(c)に示すように、直進板52は、収納領域26bで且つ表示パネル領域26dに配置される。直進板52をレンズ部領域26cに配置することと比較してX方向の外形を小さくでき、支持機構部50の小型化に寄与する。
【0077】
また、直進板52の板バネ部52gは、X方向から見て、インナーカバー46の円弧部46aに重なる位置に配置される。このように構成することで、板バネ部52gに対応した固定板51の凹部51e(
図6)もインナーカバー46の円弧部46a内に収めることが可能となる。従って、円弧部46aの-Y側の領域を、内部構造部材20を配置する領域として使用可能となるので、カメラ本体1のサイズアップを抑えることができる。
【0078】
ここで、接眼窓16に元も近いレンズ36a1はレンズ部領域26c内にある(
図9(b))。第三の面53cは、回動軸部Aの軸線方向から見て、レンズ36a1と重ならない位置に位置する。
【0079】
図9(d)に示すように、ビス50bは、Z方向においてレンズ部領域26cに位置し、且つ、略三角形のスペース37c(
図5(b)参照)内に位置する。
【0080】
このように、ファインダユニット26は、Z方向において回動軸部Aの両側位置でビス締結されるため、支持機構部50の回動板53に対して強固に保持される。ビス50aとビス50bとを上記のような位置に配置することで、支持機構部50のサイズアップを抑えることができる。
【0081】
図10(a)は、ファインダユニット26を-Z側からみた図である。
図10(b)、(c)はそれぞれ、
図10(a)のDD-DD線、CC-CC線に沿う断面図である。
【0082】
図10(b)に示すように、固定板51の第一の面51aには、直進レール51dと切り欠き形状51gとが形成されている(
図6も参照)。収納状態における収納時外観領域26aに突出するファインダ部12の量をファインダ突出量L26とする。ファインダ突出量L26を大きく設定すると、ユーザが携帯する際に邪魔になる。つまり、ファインダ突出量L26を従来のカメラと同等に抑えようとすると、視度調整ダイヤル17の構成部品を収納領域26bへ侵入させる必要がある。
【0083】
これに対し、本実施の形態では、直進レール51dより-Y側に切り欠き形状51gを有することで、X方向における視度調整ダイヤル17の配置の自由度が高まる。従って、Z方向から見て第一の面51aと重なる領域に視度調整ダイヤル17を配置することが可能である。このように構成することで、視度調整ダイヤル17によるファインダユニット26のX方向のサイズアップを抑えることが可能となる。
【0084】
また、
図10(c)に示すように、X方向において視度調整ダイヤル17と反対側にある固定板51の第二の面51bには、直進レール51dと円弧レール51hとが形成されている(
図6も参照)。特に、円弧レール51hの一部は収納時外観領域26aに形成される。これにより、Z方向の小型化に寄与する。なお、円弧レール51hの少なくとも一部が収納時外観領域26aに形成されてもよい。
【0085】
X方向において視度調整ダイヤル17と反対側に機能部品を配置しないことで、円弧レール51hを収納するための収納部12cを形成可能となる。つまり、X方向における視度調整ダイヤル17とは反対側にある第二の面51bにだけ円弧レール51hを配置した。これにより、円弧レール51hが収納時外観領域26aに侵入するよう設計したとしても、円弧レール51hを収納する収納部12cをファインダ部12に形成することができる。このように構成することで、ファインダユニット26のX方向のサイズアップを抑えることが可能となる。
【0086】
図11(a)、(c)はそれぞれ、収納状態、引出状態のファインダユニット26を-Z側からみた図である。
図11(b)は、
図11(a)のEE-EE線に沿う断面図である。
図11(d)は、
図11(c)のFF-FF線に沿う断面図である。
【0087】
図11(b)に示すように、収納領域26bにおけるファインダユニット26のY方向のサイズについては、表示パネル領域26dのサイズはレンズ部領域26cのサイズと比べて小さい。収納状態において、回動軸部Aの軸線方向(X方向)から見て、主基板24は、レンズ部領域26cとは重ならず、表示パネル領域26dに位置する。収納状態におけるZ方向において、レンズ部領域26cと収納領域26bとの重複領域は、レンズ群36aが可動する領域である。表示パネル領域26dは、レンズ群36aが可動しない領域である。主基板24を、表示パネル領域26dに配置することで、ファインダユニット26を避けるために必要な主基板24の切り欠き形状を小さくでき、実装面積を多くすることが容易となる。
【0088】
図11(b)に示すように、ファインダ部12の収納状態において、フリップ部材54は、ファインダ部12の底面部に当接し、ファインダ部12は+Y側に付勢されている。また、
図11(d)に示すように、ファインダ部12の引出状態において、フリップ部材54は、直進板52の第三の面52cに当接し、ファインダ部12は+Y側に付勢されている。つまり、収納状態から引出状態へと移動する際、ファインダ部12は常にフリップ部材54により+Y側に付勢されている。これにより、ファインダ部12と一体に直進移動する直進ガイド軸52hが直進レール51dと円弧レール51hとの分岐点に位置した状態でも、直進ガイド軸52hが円弧レール51hへ落ち込むことが回避される。従って、直進ガイド軸52hは、円弧レール51hへ落ち込むことなく直進レール51dに沿ってレール端まで移動可能となる。
【0089】
フリップ部材54を、Z方向における収納領域26bで且つレンズ部領域26cに配置することで、主基板24はフリップ部材54を避ける必要がなく、実装面積が減ることが回避される。また、フリップ部材54は、Z方向から見て接眼窓16の-Y側にあるセンサ窓15と投影上重なる位置に配置されることで、フリップ部材54によるY方向のサイズアップを抑えることが可能となる。
【0090】
本実施の形態によれば、支持機構部50は、固定板51と、固定板51に対して引き出し方向に移動可能な直進板52と、ファインダ部12を保持し直進板52に対して回動可能な回動板53とを有する。固定板51に対して直進板52が直進移動する際、板バネ部52gの凸部52fと固定板51の凹部51eとの摩擦によって反力が発生する。また、直進板52に対して回動板53が回動する際、回動軸部Aにおける皿バネ53gを介した直進板52と回動板53との摩擦によって反力が発生する。従って、引き出し時と回動時とで摩擦発生箇所を分けたので、設計の自由度が増す。また、回動時の摩擦が回動軸部Aの周りで発生するので回動角度の制約が小さい。よって、ファインダ部12の回動角度を大きく確保しつつ、電子機器(カメラ本体1)の大型化を抑制することができる。
【0091】
また、収納状態において、光軸F方向に沿って、接眼窓16に近い側から、回動軸部A、直進ガイド軸52h、直進規制軸53h、直進ガイド軸52iの順序で配置された(
図7)。これにより、所望の機能を果たしつつZ方向の軸間隔を抑制し、小型化に寄与する。
【0092】
また、X方向における視度調整ダイヤル17とは反対側にある第二の面51bにだけ円弧レール51hを配置したので、ファインダユニット26のX方向における小型化に寄与する。
【0093】
また、回動板53は、面53a、53b、53cにより略コの字形状を成し、直進板52の面52a、52b、52cと回動板53の面53a、53b、53cとが協働して、略ロの字形状を成す。これらにより、支持機構部50の剛性を高めることができる。
【0094】
また、第一の面53aおよび第二の面53bは、ファインダ部12に形成された略三角形のスペース37c(
図5(b)参照)に配置されたので、X方向の小型化に寄与する。
【0095】
なお、直進レール51dは、第一の面51aおよび第二の面51bの少なくとも一方に設けられてもよい。また、ガイド機能の観点からは、円弧レール51hは、第一の面51aおよび第二の面51bの双方に設けられてもよい。
【0096】
なお、本発明は、ファインダ部を備える各種の電子機器に適用可能である。例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、テレビカメラ等の撮像装置のほか、各種の光学機器にも適用される。本発明を撮像装置に適用する場合でも、その撮像装置はレンズ一体型であってもよい。
【0097】
なお、本発明が適用されるファインダユニットは、電子ビューファインダに限定されない。
【0098】
なお、本実施の形態において、「略」を付したものは完全を除外する趣旨ではない。例えば、略平行、略直交、略三角形、略長方形、略コの字形状、略ロの字形状は、それぞれ完全な平行、直交、三角形、長方形、コの字形状、ロの字形状を含む趣旨である。
【0099】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1 カメラ本体
12 ファインダ部
50 支持機構部
51 固定板
52 直進板
53 回動板
A 回動軸部