(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104727
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005894
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】渥美 俊之
(72)【発明者】
【氏名】河合 祐
(72)【発明者】
【氏名】北木 宏
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA16
4B055BA54
4B055CA21
4B055CA81
4B055CB30
(57)【要約】
【課題】米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明に係る炊飯器は、鍋と、鍋を加熱する加熱部と、上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて鍋を収容する筐体と、上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、米を収容する米容器と、鍋内に米容器内の米を供給する米供給部と、蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部とを備える。米供給部は、一端部が米容器の内部と連通し、他端部が蓋体の内部を貫通して米投入口に向けて開口する筒状の送米管を備える。米投入蓋部は、米投入口を閉鎖する閉鎖位置と、米投入口を開放する開放位置とに移動可能である。米投入蓋部は、開放位置に位置するとき、送米管の開口および米投入口を通じて鍋内に投入される米が通過する通過領域から離れて位置している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて前記鍋を収容する筐体と、
前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、
米を収容する米容器と、
前記鍋内に前記米容器内の米を供給する米供給部と、
前記蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部と
を備え、
前記米供給部は、一端部が前記米容器の内部と連通し、他端部が前記蓋体の内部を貫通して前記米投入口に向けて開口する筒状の送米管を備え、
前記米投入蓋部は、前記米投入口を閉鎖する閉鎖位置と、前記米投入口を開放する開放位置とに移動可能であり、
前記米投入蓋部は、前記開放位置に位置するとき、前記送米管の開口および前記米投入口を通じて前記鍋内に投入される米が通過する通過領域から離れて位置している、炊飯器。
【請求項2】
前記通過領域は、前記送米管の開口の鉛直下方の領域である、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記米投入蓋部の開閉を検知する検知部を備え、
前記米供給部は、前記米投入蓋部が前記開放位置に位置することを前記検知部が検知しているとき、前記送米管内の米を前記米投入口を通じて前記鍋内に供給するように構成されている、請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記米投入蓋部の開閉を検知する検知部を備え、
前記加熱部は、前記米投入蓋部が前記閉鎖位置に位置することを前記検知部が検知しているときに動作するとともに、前記米投入蓋部が前記開放位置に位置することを前記検知部が検知しているときに動作しないように構成されている、請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記米投入口の周囲に配置され、前記米投入蓋部と前記蓋体との隙間をシールする、弾性を有する環状のシール部材を備え、
前記シール部材は、
前記蓋体に取り付けられる基部と、
前記基部に屈曲部を介して接続され、下方に向かって前記シール部材の径方向の一方側に傾斜した傾斜部と
を備え、
前記シール部材は、前記米投入蓋部が前記閉鎖位置に位置するとき、前記傾斜部が前記米投入蓋部と接触して、前記屈曲部を基点に屈曲するように弾性変形する、請求項1から4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
一端部に前記米投入蓋部が接続され、前記送米管の前記他端部の側方に配置された回動軸を中心として回動するアーム部を備え、
前記アーム部は、前記回動軸を中心として回動することにより、前記米投入蓋部を前記閉鎖位置と前記開放位置とに移動させるように構成されている、請求項5に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記加熱部が動作しているときの前記閉鎖位置に位置する前記米投入蓋部との接触による前記シール部材の変形量は、前記加熱部が動作していないときの前記閉鎖位置に位置する前記米投入蓋部との接触による前記シール部材の変形量よりも大きい、請求項5または6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記米供給部は、前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させ、前記送米管内の米を前記米投入口を通じて前記鍋内に押し出す送米ファンを備え、
前記米投入蓋部は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間に位置し、前記米投入口を開くとともに、前記米投入蓋部の少なくとも一部が前記通過領域に位置する半開位置で停止可能であり、
前記送米ファンは、前記鍋内へ米を供給するために駆動される前に、前記米投入蓋部が前記半開位置に位置した状態で、前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させるように駆動される、請求項1から7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて前記鍋を収容する筐体と、
前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、
米を収容する米容器と、
前記鍋内に前記米容器内の米を供給する米供給部と、
前記蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部と、
前記米投入蓋部の開閉を検知する検知部と
を備え、
前記米供給部は、一端部が前記米容器の内部と連通し、他端部が前記蓋体の内部を貫通して前記米投入口に向けて開口する筒状の送米管を備える、炊飯器。
【請求項10】
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて前記鍋を収容する筐体と、
前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、
米を収容する米容器と、
前記鍋内に前記米容器内の米を供給する米供給部と、
前記蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部と
を備え、
前記米供給部は、
一端部が前記米容器の内部と連通し、他端部が前記蓋体の内部を貫通して前記米投入口に向けて開口する筒状の送米管と、
前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させ、前記送米管内の米を前記米投入口を通じて前記鍋内に押し出す送米ファンと
を備え、
前記米投入蓋部は、前記米投入口を閉鎖する閉鎖位置と、前記米投入口を開放する開放位置と、前記閉鎖位置と前記開放位置との間に位置する半開位置とに移動可能であり、
前記送米ファンは、前記鍋内へ米を供給するために駆動される前に、前記米投入蓋部が前記開放位置または前記半開位置に位置した状態で、前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させるように駆動される、炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍋内への米および水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる、いわゆる全自動炊飯器が知られている。この種の全自動炊飯器の一例として、特許文献1には、米を保存する米びつ部と、米をとぐ米とぎ部と、米とぎ部でとがれた米を炊飯する炊飯部とを備える全自動炊飯器が開示されている。特許文献1の全自動炊飯器では、米とぎ部でとがれた米は給米経路に供給され、給米経路から米投入口を通じて炊飯部に投入される。米投入口は、上下に移動して米投入口を開閉する開閉手段により覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の全自動炊飯器においては、米投入口におけるシール性の観点から改善の余地がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、鍋内に米を投入するための米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部を有する炊飯器において、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成する。
本発明の一態様に係る炊飯器は、
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて前記鍋を収容する筐体と、
前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、
米を収容する米容器と、
前記鍋内に前記米容器内の米を供給する米供給部と、
前記蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部と
を備え、
前記米供給部は、一端部が前記米容器の内部と連通し、他端部が前記蓋体の内部を貫通して前記米投入口に向けて開口する筒状の送米管を備え、
前記米投入蓋部は、前記米投入口を閉鎖する閉鎖位置と、前記米投入口を開放する開放位置とに移動可能であり、
前記米投入蓋部は、前記開放位置に位置するとき、前記送米管の開口から出て、前記米投入口を通り、前記鍋内に投入される米が通過する通過領域から離れて位置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鍋内に米を投入するための米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部を有する炊飯器において、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る炊飯器の斜視図である。
【
図2】
図1の炊飯器において、外蓋を開放した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の炊飯器の炊飯器の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】米収容部と米供給部とに関連する部品の構成を斜め上方から見た斜視図である。
【
図7】米投入蓋部が閉鎖位置に位置する状態を示している。
【
図8】米投入蓋部が半開位置に位置する状態を示している。
【
図10】外蓋に内蓋を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】
図1の炊飯器を奥行方向に切った断面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る米投入蓋部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、米投入口におけるシール性の低下を抑えるために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0010】
従来の全自動炊飯器においては、通常、蓋体に設けられた米投入口を通じて、鍋の上方から米を自重によって落下させることで、米を鍋内に供給するように構成されている。この構成において、上下に移動して米投入口を開閉自在に覆う開閉手段を用いた場合に、鍋内に供給された米が米投入口の下方に位置する開閉手段に付着することがある。開閉手段に米が付着していると、開閉手段と蓋体との間に米が挟まり、開閉手段と蓋体との間に隙間が生じる。その結果として、米投入口におけるシール性が低下することがある。
【0011】
そこで、本発明者らは、米投入蓋部が米投入口を開放する開放位置に位置するとき、米投入蓋部を送米管の開口および米投入口を通じて鍋内に投入される米が通過する通過領域から離れて位置させる構成を見出した。この構成によれば、米投入蓋部が開放位置に位置するときに鍋内に米を投入した場合に、米投入蓋部が通過領域から離れて位置するので、米が米投入蓋部に付着することが抑えられる。その結果として、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。この新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
【0012】
本発明の一態様によれば、
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて前記鍋を収容する筐体と、
前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、
米を収容する米容器と、
前記鍋内に前記米容器内の米を供給する米供給部と、
前記蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部と
を備え、
前記米供給部は、一端部が前記米容器の内部と連通し、他端部が前記蓋体の内部を貫通して前記米投入口に向けて開口する筒状の送米管を備え、
前記米投入蓋部は、前記米投入口を閉鎖する閉鎖位置と、前記米投入口を開放する開放位置とに移動可能であり、
前記米投入蓋部は、前記開放位置に位置するとき、前記送米管の開口および前記米投入口を通じて前記鍋内に投入される米が通過する通過領域から離れて位置している、炊飯器を提供する。
【0013】
この構成によれば、米投入蓋部が開放位置に位置するときに鍋内に米を投入した場合に、米投入蓋部が、送米管の開口および米投入口を通じて鍋内に投入される米が通過する通過領域から離れて位置している。これにより、米が米投入蓋部に付着することが抑えられ、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。
【0014】
前記通過領域は、前記送米管の開口の鉛直下方の領域であってもよい。
【0015】
この構成によれば、送米管の開口から米を自重により落下させることで米を鍋内に供給する場合に、米が米投入蓋部に付着することが抑えられ、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。
【0016】
炊飯器は、前記米投入蓋部の開閉を検知する検知部を備え、前記米供給部は、前記米投入蓋部が前記開放位置に位置することを前記検知部が検知しているとき、前記送米管内の米を前記米投入口を通じて前記鍋内に供給するように構成されてもよい。
【0017】
この構成によれば、米投入口を通じて鍋内に米を投入するときに、米投入蓋部が開放位置に位置するので、米が米投入蓋部に付着することが抑えられる。その結果として、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。
【0018】
炊飯器は、前記米投入蓋部の開閉を検知する検知部を備え、前記加熱部は、前記米投入蓋部が前記閉鎖位置に位置することを前記検知部が検知しているときに動作するとともに、前記米投入蓋部が前記開放位置に位置することを前記検知部が検知しているときに動作しないように構成されてもよい。
【0019】
加熱部が動作することにより発生する蒸気が送米管内に流入すると、鍋内に投入される前の米が吸湿して米の計量精度が低下することがある。また、加熱部が動作することにより発生するおねば(米のうまみ成分である粘性のある煮汁)が送米管内に流入すると、送米異常が発生することがある。これに対して、この構成によれば、米投入蓋部が閉鎖位置に位置するときに加熱部が動作し、米投入蓋部が開放位置に位置するときに加熱部が動作しないので、加熱部が鍋を加熱することにより発生する蒸気またはおねばが米投入口を通じて送米管内に流入することを抑えられる。その結果として、計量精度の低下または送米異常の発生を抑えることができる。
【0020】
炊飯器は、前記米投入口の周囲に配置され、前記米投入蓋部と前記蓋体との隙間をシールする、弾性を有する環状のシール部材を備えてもよく、前記シール部材は、前記蓋体に取り付けられる基部と、前記基部に屈曲部を介して接続され、下方に向かって前記シール部材の径方向の一方側に傾斜した傾斜部とを備えてもよく、前記シール部材は、前記米投入蓋部が前記閉鎖位置に位置するとき、前記傾斜部が前記米投入蓋部と接触して、前記屈曲部を基点に屈曲するように弾性変形してもよい。
【0021】
この構成によれば、米投入蓋部が閉鎖位置に位置するときに、シール部材が屈曲部を基点に屈曲するように弾性変形するので、傾斜部と米投入蓋部との接触部分に圧力が作用した状態で、シール部材と米投入蓋部とは接触する。その結果として、米投入口におけるシール性を向上することができる。
【0022】
また、この構成によれば、傾斜部が下方に向かってシール部材の径方向の一方側に傾斜しているので、傾斜部に米が付着している場合であっても、米が自重により落下しやすい。さらに、米投入蓋部が閉鎖位置に位置するときに米投入蓋部とシール部材の傾斜部との間に米が存在する場合であっても、米投入蓋部が閉鎖位置から開放位置に移動すると、シール部材の元の形状に戻ろうとする力により、米を傾斜部から落下させやすい。これらの結果として、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。
【0023】
炊飯器は、一端部に前記米投入蓋部が接続され、前記送米管の前記他端部の側方に配置された回動軸を中心として回動するアーム部を備えてもよく、前記アーム部は、前記回動軸を中心として回動することにより、前記米投入蓋部を前記閉鎖位置と前記開放位置とに移動させるように構成されていてもよい。
【0024】
米投入蓋部を開放位置と閉鎖位置とに移動させる方法としては、米投入蓋部を上下方向に交差する方向にスライドさせることも考えられる。しかし、この方法では、米投入蓋部とシール部材との接触部分に圧力が作用した状態で米投入口を閉めようとすると、開放位置にある米投入蓋部を上記方向にスライドさせて米投入口の下方に位置させた後に、米投入蓋部を上方に移動させてシール部材に押し付ける必要がある。このため、この方法では、米投入蓋部を上記方向にスライドさせる機構と上下方向に移動させる機構とが必要となり、米投入蓋部を移動させる機構が複雑になる。これに対して、この構成によれば、米投入蓋部を開放位置から閉鎖位置に移動させるとき、アームの回動軸を中心とした回動により、米投入蓋部をシール部材に押し付けることができる。その結果として、米投入蓋部を上記方向にスライドさせる方法と比較して簡単な構成で米投入蓋部とシール部材との接触部分に圧力が作用した状態で米投入口を閉めることができる。
【0025】
前記加熱部が動作しているときの前記閉鎖位置に位置する前記米投入蓋部との接触による前記シール部材の変形量は、前記加熱部が動作していないときの前記閉鎖位置に位置する前記米投入蓋部との接触による前記シール部材の変形量よりも大きくてもよい。
【0026】
この構成によれば、加熱部が動作しているときに米投入蓋部とシール部材との接触部分に作用する圧力は、加熱部が動作していないときに米投入蓋部とシール部材との接触部分に作用する圧力よりも大きくなる。これにより、加熱部が動作しているときの米投入口におけるシール性を向上することができ、加熱部が鍋を加熱することにより発生する蒸気またはおねばが米投入口を通じて送米管内に流入することを抑えられる。その結果として、計量精度の低下または送米異常の発生を抑えることができる。
【0027】
前記米供給部は、前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させ、前記送米管内の米を前記米投入口を通じて前記鍋内に押し出す送米ファンを備えてもよく、前記米投入蓋部は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間に位置し、前記米投入口を開くとともに、前記米投入蓋部の少なくとも一部が前記通過領域に位置する半開位置で停止可能であってもよく、前記送米ファンは、前記鍋内へ米を供給するために駆動される前に、前記米投入蓋部が前記半開位置に位置した状態で、前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させるように駆動されてもよい。
【0028】
米投入蓋部が濡れていると、米投入蓋部に米が付着しやすくなる。米投入蓋部に米が付着している状態では、米投入蓋部を閉じたときに、米投入蓋部と蓋体との間に米が挟まることで、米投入蓋部と蓋体との間に隙間が生じ、米投入口におけるシール性が低下することがある。これに対して、この構成によれば、送米ファンが鍋内へ米を供給するために駆動される前に、米投入蓋部が半開位置に位置した状態で、送米管内に米容器側から米投入口に向かう空気流を発生させるように送米ファンが駆動される。これにより、米投入蓋部に空気流が当たり、米投入蓋部を乾燥させることができる。その結果として、鍋内への米の投入前に米投入蓋部が濡れている場合であっても、米を投入するときには米投入蓋部が乾燥しているので、米投入蓋部への米の付着を抑えられ、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。
【0029】
本発明の他の態様によれば、
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて前記鍋を収容する筐体と、
前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、
米を収容する米容器と、
前記鍋内に前記米容器内の米を供給する米供給部と、
前記蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部と、
前記米投入蓋部の開閉を検知する検知部と
を備え、
前記米供給部は、一端部が前記米容器の内部と連通し、他端部が前記蓋体の内部を貫通して前記米投入口に向けて開口する筒状の送米管を備える、炊飯器を提供する。
【0030】
この構成によれば、米投入蓋部の開閉を検知する検知部を有するので、例えば、米投入蓋部が閉まっていることを検知部が検知した状態で加熱部を動作させることで、加熱部の鍋の加熱により発生する蒸気またはおねばが送米管内に流入することが抑えられる。その結果として、計量精度の低下または送米異常の発生を抑えることができる。
【0031】
本発明のさらに他の態様によれば、
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
上面開口部を有し、当該上面開口部を通じて前記鍋を収容する筐体と、
前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、
米を収容する米容器と、
前記鍋内に前記米容器内の米を供給する米供給部と、
前記蓋体に設けられた米投入口を開閉自在に覆う米投入蓋部と
を備え、
前記米供給部は、
一端部が前記米容器の内部と連通し、他端部が前記蓋体の内部を貫通して前記米投入口に向けて開口する筒状の送米管と、
前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させ、前記送米管内の米を前記米投入口を通じて前記鍋内に押し出す送米ファンと
を備え、
前記米投入蓋部は、前記米投入口を閉鎖する閉鎖位置と、前記米投入口を開放する開放位置と、前記閉鎖位置と前記開放位置との間に位置する半開位置とに移動可能であり、
前記送米ファンは、前記鍋内へ米を供給するために駆動される前に、前記米投入蓋部が前記開放位置または前記半開位置に位置した状態で、前記送米管内に前記米容器側から前記米投入口に向かう空気流を発生させるように駆動される、炊飯器を提供する。
【0032】
この構成によれば、送米ファンが鍋内へ米を供給するために駆動される前に、米投入蓋部が開放位置または半開位置に位置した状態で、送米管内に米容器側から米投入口に向かう空気流を発生させるように送米ファンが駆動される。これにより、米投入蓋部に空気流が当たり、米投入蓋部を乾燥させることができる。その結果として、鍋内への米の投入前に米投入蓋部が濡れている場合であっても、米を投入するときには米投入蓋部が乾燥しているので、米投入蓋部への米の付着を抑えられ、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができる。
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0034】
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「前」、「後」、「横」等の方向を示す用語を用いるが、本発明に係る炊飯器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
【0035】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る炊飯器の斜視図である。本実施形態に係る炊飯器は、鍋内への米および水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる、いわゆる全自動炊飯器である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態に係る炊飯器は、筐体1と、筐体1の上部を覆う外蓋2と、筐体1の下部に設けられた水容器3と、筐体1の一側面に沿うように設けられた米容器4と、米容器4の上部を覆う米容器蓋5とを備えている。
【0037】
図2は、
図1の炊飯器において、外蓋2を開放した状態を示す斜視図である。本実施形態において、筐体1は、直方体または略直方体形状を有している。
図2に示すように、筐体1の上面には、上面開口部1aが設けられている。上面開口部1aを通じて鍋6が挿入されることで、筐体1内に鍋6が収容される。筐体1の後方上部には、外蓋ヒンジ部1bが設けられている。外蓋ヒンジ部1bは、横方向Xに延在するように設けられている。
【0038】
外蓋2は、外蓋ヒンジ部1bを中心として回動することにより、筐体1の上面開口部1aを開閉自在に覆うように構成されている。本実施形態において、外蓋2は、直方体または略直方体形状を有している。上面視において、外蓋2と筐体1とは、同一または略同一形状を有している。すなわち、外蓋2と筐体1とは、横方向Xの寸法、および横方向Xに対して直交する奥行方向Yの寸法が同一または略同一である。
【0039】
図2に示すように、外蓋2には、内蓋7が着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、内蓋7は、円盤または略円盤形状を有している。内蓋7は、外蓋2の回動に伴って鍋6の開口部を開閉自在に覆うように構成されている。内蓋7には、鍋6内に米を投入するための米投入口7aと、鍋6内の空気または蒸気などの流体を排出するための排気口7bが設けられている。本実施形態においては、外蓋2と内蓋7とで、筐体1の上部開口部を開閉自在に覆う蓋体が構成されている。
【0040】
筐体1の下部には、水を収容する水容器3が設けられている。本実施形態において、水容器3は、奥行方向Yに摺動することにより、筐体1に対して着脱可能に構成されている。
【0041】
図3は、
図1の炊飯器の内部構造を示す斜視図である。
【0042】
図3に示すように、米容器4は、米を収容するものである。本実施形態において、米容器4内に収容される米は、洗米を行う必要がない米、いわゆる無洗米である。米容器4の上方には、米容器4の内部に米を入れるための米容器開口部4aが設けられている。米容器4の後方上部には、米容器ヒンジ部4bが設けられている。米容器蓋5(
図1に示す)は、米容器ヒンジ部4bを中心として回動することにより、米容器開口部4aを開閉自在に覆うように構成されている。
【0043】
米容器4は、米を収容する米収容部41を備えている。米収容部41は、下方に向かうに従い断面積が小さくなるように、奥行方向Yおよび高さ方向Zに対して傾斜する傾斜面41aを有している。米収容部41内に収容された米は、自重により傾斜面41aに沿って下方に移動し、傾斜面41aの下方に集約される。高さ方向Zは、横方向Xおよび奥行方向Yに対して直交する。
【0044】
図4は、米収容部41と米供給部とに関連する部品の構成を斜め上方から見た斜視図である。
【0045】
図4に示すように、米収容部41の下部には、筒状の送米管42の一端部が連通している。送米管42の他端部は、外蓋2の内部を貫通して内蓋7の米投入口7a(
図2参照)に向けて開口している。本実施形態において、送米管42内を通過した米は、送米管42他端部に設けられた開口O1(
図10に示す)を通じて米を自重により落下させることで鍋6(
図2に示す)内に供給される。本実施形態において、送米管42は、長手方向にわたって一様または略一様な断面積の内部流路を有している。送米管42の内部流路は、米が詰まる突起部や凹部がないように直線状または滑らかな曲線状に形成されている。
【0046】
傾斜面41aの下方には、送米装置43が設けられている。送米装置43は、後述する表示操作部8(
図1に示す)にて選択された炊飯量に応じた量の米を計量して米容器4内から送米管42内に供給する。つまり、本実施形態の送米装置43は、鍋6(
図2に示す)に投入する米の量を計量する米計量部としての機能を有する。
【0047】
送米管42には、送米ファン44が取り付けられている。送米ファン44は、送米管42内に米容器4側から米投入口7aに向かう空気流を発生させ、送米管42内の米を米投入口7aを通じて鍋6内に押し出すように構成されている。
【0048】
送米ファン44の下方には、フィルタ45が設けられている。本実施形態において、フィルタ45は、横方向Xに摺動することにより、米容器4に対して着脱可能に構成されている。フィルタ45は、送米ファン44に米容器4の外部から塵埃等が流入するのを抑えるものである。
【0049】
米収容部41と送米管42との間には、米収容部41から送米管42への米の供給路を開閉する米供給路開閉弁46が設けられている。詳細には、米供給路開閉弁46は、送米装置43と送米管42との間に設けられている。
【0050】
本実施形態においては、送米管42と送米装置43と送米ファン44と米供給路開閉弁46とで、鍋6内に米容器4(米収容部41)内の米を供給する米供給部が構成されている。
【0051】
【0052】
図5に示すように、送米管42の直管部42aは、外蓋ヒンジ部1bと同軸に配置され且つ外蓋2の側壁2aを貫通するように設けられている。直管部42aの外蓋側の端部42aaは、環状の摺動パッキン42bを介して継手部42cの一端部42caに回動可能に接続されている。本実施形態において、継手部42cは、略L字状に形成されている。継手部42cは、直管部42aを回動軸として回動するように構成されている。すなわち、継手部42cは、外蓋2の回動動作に伴って回動するように構成されている。直管部42aおよび継手部42cは、プラスチックなどの剛性部材で構成されている。
【0053】
送米管42は、柔軟性を有するチューブ42dを備えている。本実施形態において、チューブ42dは、ゴム製のチューブである。チューブ42dの一端部42daは、継手部42cの他端部42cbに接続されている。チューブ42dの他端部42dbは、米投入ユニット21の外郭部材22を貫通して外蓋2の下方に露出するように外郭部材22に接続される。米投入ユニット21は、送米管42から吐出される米を鍋6内に投入するためのユニットである。チューブ42dの外形は、一端部42daから他端部42dbに向かうに従い、扁平な形状から略正方形に変化している。但し、チューブ42dの内部流路は、長手方向にわたって一様または略一様な断面積を有し、米が詰まる突起部や凹部がないように直線状または滑らかな曲線状に形成されている。本実施形態のチューブ42dの他端部42dbで、送米管42の他端部が構成されている。
【0054】
【0055】
図6に示すように、外郭部材22は、外蓋2の内壁(鍋6側の壁)の一部を構成するものであり、外蓋2の上壁に向けて凹んだ部分である。チューブ42dの他端部42dbは、外郭部材22を貫通して内蓋7の米投入口7a(
図10参照)に向けて開口するように設けられている。
【0056】
米投入ユニット21は、外郭部材22と、米投入蓋部23と、環状のシール部材24と、アーム部25とを備えている。
【0057】
米投入蓋部23は、米投入口7a(
図10に示す)を開閉自在に覆うように構成されている。本実施形態において、米投入蓋部23は、円盤または略円盤形状を有する。米投入蓋部23は、米投入口7aよりも小さく且つシール部材24の内径よりも大きい直径を有している。米投入蓋部23は、アーム部25の一端部に接続されている。
【0058】
米投入蓋部23は、シール部材24に接触して米投入口7aを閉鎖する閉鎖位置と、シール部材24から離れて米投入口7aを開放する開放位置とに移動可能である。また、米投入蓋部23は、閉鎖位置と開放位置との間に位置し、米投入口7aを開放する半開位置で停止可能である。
図6は、米投入蓋部23が開放位置に位置する状態を示している。
図7は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置する状態を示している。
図8は、米投入蓋部23が半開位置に位置する状態を示している。
【0059】
図6に示すように、米投入蓋部23が開放位置に位置するとき、米投入蓋部23は、送米管42の開口O1(
図10に示す)の鉛直下方の領域である通過領域R1から離れて位置している。一方で、
図8に示すように、米投入蓋部23が半開位置に位置するとき、米投入蓋部23の一部が通過領域R1に位置している。通過領域R1は、送米管42の開口O1および米投入口7aを通じて鍋6に投入される米が通過する領域をいう。本実施形態では、送米管42他端部に設けられた開口O1を通じて米を自重により落下させることで米が鍋6内に供給されるため、通過領域R1は、送米管42の開口O1の鉛直下方の領域である。通過領域R1は、これに限定されず、例えば送米管42の開口O1から斜め下方に向かって米が鍋6内に投入される場合、送米管42の開口O1から斜め下方に形成される領域であってもよい。
【0060】
本実施形態において、アーム部25は、チューブ42dの他端部42dbの側方に配置された回動軸25aを中心として回動することにより、米投入蓋部23を閉鎖位置と開放位置と半開位置とに移動させるように構成されている。また、
図7に示すように、アーム部25は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置するとき、外蓋2と内蓋7との間であって送米管42の他端部42dbを除いて密閉された密閉空間E1内に位置する。密閉空間E1は、外郭部材22と米投入蓋部23とシール部材24とで形成される。
【0061】
回動軸25aは、高さ方向Zに対して交差(本実施形態では直交)する方向に延びている。回動軸25aは、ステッピングモータ26に接続されている。回動軸25aは、アーム部25によって覆われ、密閉空間E1には露出しないように構成されている。ステッピングモータ26は、密閉空間E1の外側に配置されている。ステッピングモータ26が駆動されることにより、回動軸25aが回動し、アーム部25が回動する。本実施形態においてステッピングモータ26は、駆動源の一例である。本発明に係る駆動源は、ステッピングモータに限定されず、他の駆動機構であってもよい。
【0062】
シール部材24は、内蓋7(
図10に示す)に対向する外蓋2の底壁に設けられている。
図10に示すように内蓋7が外蓋2に装着されたとき、シール部材24は、米投入口7aの周囲に配置され、外蓋2と内蓋7との隙間をシールするように構成されている。また、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置するとき、シール部材24は、米投入蓋部23と内蓋7との隙間をシールするように構成されている。すなわち、シール部材24は、単一の部品で2箇所の隙間をシールする機能を有している。
【0063】
図6に示すように、シール部材24は、外蓋2の底壁に取り付けられる基部24aと、傾斜部24bとを備える。基部24aと傾斜部24bとは、屈曲部24cを介して接続されている。基部24aは、屈曲部24cから上方、つまり底壁2側に向かってシール部材24の径方向の内側に向かって傾斜して延びている。傾斜部24bは、屈曲部24cから下方、つまり鍋6側に向かってシール部材24の径方向の内側に傾斜して延びている。傾斜部24bは、屈曲部24cから下方に向かってシール部材24の径方向の外側に傾斜して延びていてもよい。この場合、基部24aは、屈曲部24cから上方に向かってシール部材24の径方向の外側に向かって傾斜して延びていると好ましい。
【0064】
図9は、
図7の要部拡大図である。
図9に示すように、シール部材24は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置するとき、傾斜部24bが米投入蓋部23と接触して、屈曲部24cを基点に屈曲するように弾性変形している。これにより、シール部材24と米投入蓋部23とは、シール部材24と米投入蓋部23との接触部分に圧力が作用した状態で接触している。
【0065】
図6から
図8に示すように、米投入ユニット21は、米投入蓋部23の開閉を検知する検知部21aを備える。本実施形態における検知部21aは、米投入蓋部23が開放位置、閉鎖位置、または半開位置のいずれの位置に位置するのかを検知する。本実施形態の検知部21aは、透過型フォトセンサである。
【0066】
図10は、外蓋2に内蓋7を取り付けた状態を示す斜視図である。
図10に示すように、内蓋7には、前述したように、鍋6内の空気または蒸気などの流体を排出するための排気口7bが設けられている。外蓋2には、排気通路27が設けられている。排気通路27は、排気口7bに対向する位置に設けられている。外蓋2の排気通路27の周囲には、内蓋7が外蓋2に装着されたときに、内蓋7と外蓋2との隙間をシールする環状のパッキン(図示せず)が設けられている。鍋6内の流体は、排気口7bを通じて排気通路27内に流入する。
【0067】
内蓋7には、蒸気取込口7cと、水投入口7dとが設けられている。外蓋2には、蒸気センサ28と、水投入通路29とが設けられている。蒸気センサ28は、蒸気取込口7cに対応する位置に設けられている。水投入通路29は、水投入口7dに対応する位置に設けられている。本実施形態において、蒸気センサ28は、鍋6内で発生した蒸気の温度を測定するものである
【0068】
図3に示すように、水投入通路29には、筒状の送水管31の一端部が連通している。送水管31の他端部は、外蓋ヒンジ部1bを通じて、水容器3の内部に連通している。送水管31には、送水ポンプ(図示せず)が設けられている。送水ポンプが駆動されることで、水容器3内の水が、送水管31、水投入通路29、および水投入口7dを通じて鍋6内に供給される。本実施形態においては、送水管31と送水ポンプとで、鍋6内に水容器3内の水を供給する水供給部が構成されている。
【0069】
図11は、
図1の炊飯器を奥行方向Yに切った断面図である。
図11に示すように、外蓋2の上壁には、排気穴2bが設けられている。排気穴2bは、排気通路27に連通している。排気通路27内に流入した鍋6内の流体は、排気穴2bを通じて外部に放出される。本実施形態において、排気穴2bは、
図1に示すように、横方向Xに延在するように形成されている。
【0070】
米投入口7a(
図10に示す)の大きさ、つまり開口面積は、例えば、215mm
2である。排気口7b(
図10に示す)の大きさ、つまり開口面積は、例えば、80.0mm
2である。なお、上面視において、米投入口7aは、鍋6の中心に近いことが好ましい。これにより、米投入口7aから吐出された米によって鍋6内に形成される米の山がより均一な形状になる。また、排気口7bは、米投入口7aから離れて配置されることが好ましい。これにより、米投入口7aから吐出された米が排気口7bを通じて排気通路27に流入することを抑えることができる。本実施形態において、鍋6の中心から米投入口7aの中心までの距離L1は、鍋6の中心から排気通路27の中心までの距離L2よりも小さく設定されている(L1<L2)。上面視において、米投入口7aの中心と排気口7bの中心とは、鍋6の中心を介して対向する位置に位置する。距離L1は、例えば、22.5mmである。距離L2は、例えば、44.9mmである。
【0071】
また、
図1に示すように、外蓋2の上壁には、炊飯量、炊飯コース(白米コース、玄米コースなど)などの各種炊飯情報を表示するとともに、当該各種炊飯情報の中から特定の炊飯情報を選択可能な表示操作部8が設けられている。表示操作部8は、各種炊飯情報を表示するとともに、炊飯量、炊飯コースの選択の他、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を指示するように構成されている。
【0072】
また、
図11に示すように、筐体1は、鍋6を収容する鍋収容部1cを有している。筐体1の鍋収容部1cの外周面には、鍋6に対向する位置に鍋加熱装置9が設けられている。鍋加熱装置9は、鍋6を加熱する加熱部の一例である。鍋加熱装置9は、例えば、通電されることにより、鍋6を誘導加熱する誘導加熱コイルである。筐体1の鍋収容部1cの中央底部には、貫通穴が設けられ、当該貫通穴を通じて鍋6の中央底部に接触するように温度検知部の一例である鍋温度センサ10が設けられている。
【0073】
また、筐体1の内部には、制御部11が設けられている。制御部11は、送水ポンプ、ステッピングモータ26、送米装置43、および送米ファン44を制御して鍋6内に米および水を供給するとともに、鍋加熱装置9を制御して炊飯工程を行う。制御部11は、米を炊飯するための炊飯シーケンスを複数記憶する記憶部を備えている。ここで、「炊飯シーケンス」とは、予熱、昇温、沸騰維持、蒸らしの主として4つの工程を順に実行するにあたって、各工程において通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等が予め決められている炊飯の手順をいう。制御部11は、表示操作部8にて選択された炊飯情報、鍋温度センサ10および蒸気センサ28の検知温度、並びに検知部21aにより検知された米投入蓋部23の位置に基づいて、鍋加熱装置9を制御し、炊飯工程を実行する。本実施形態において、制御部11は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置することを検知部21aが検知しているときに、炊飯工程および炊飯工程に続く保温工程を実行するように、鍋加熱装置9を制御する。一方で、米投入蓋部23が開放位置または半開位置に位置することを検知部21aが検知しているときには、鍋加熱装置9が動作しないように、鍋加熱装置9を制御する。言い換えれば、鍋加熱装置9は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置することを検知部21aが検知しているときに動作するとともに、米投入蓋部23が開放位置または半開位置に位置することを検知部21aが検知しているときに動作しないように構成されている。
【0074】
また、制御部11は、炊飯工程の開始前に行う準備シーケンスを複数記憶する記憶部を備えている。ここで、「準備シーケンス」とは、送米および送水を含む各工程を実行するにあたって、各工程において各ポンプまたはファンの駆動時間等が予め決められている手順をいう。制御部11は、表示操作部8にて選択された炊飯情報に基づいて、送水ポンプ、ステッピングモータ26、送米装置43、および送米ファン44を制御し、各工程を実行する。
【0075】
制御部11によって送水ポンプが駆動されると、水容器3内の水が、送水管31、水投入通路29、および水投入口7dを通じて鍋6内に供給される。制御部11によってステッピングモータ26が駆動されると、アーム部25が回動軸25aを中心として回動して、米投入蓋部23が閉鎖位置から開放位置に移動する。制御部11によって送米装置43および送米ファン44が駆動されると、送米装置43によって米容器4内の米が送米管42内に供給され、送米ファン44によって送米管42内の米が米投入口7aを通じて鍋6内に供給される。本実施形態において、制御部11は、米投入蓋部23が開放位置に位置することを検知部21aが検知しているときに、送米ファン44を駆動する。言い換えれば、送米ファン44は、米投入蓋部23が開放位置に位置することを検知部21aが検知しているときに動作して、送米管42内の米を米投入口7aを通じて鍋6内に供給するように構成されている。
【0076】
制御部11は、送米装置43および送米ファン44が駆動されて送米管42内の米が米投入口7aを通じて鍋6内に供給される前に、米投入蓋部23が半開位置に位置した状態で、送米装置43を駆動させずに送米ファン44を駆動して、送米管42内に米容器4側から米投入口7aに向かう空気流を発生させる。言い換えれば、送米ファン44は、鍋6内へ米を供給するために駆動される前に、米投入蓋部23が半開位置に位置した状態で、送米管42内に米容器4側から米投入口7aに向かう空気流を発生させるように駆動される。このとき、米供給路開閉弁46は閉じられている。
【0077】
また、制御部11は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置することを検知部21aが検知しているときに、鍋加熱装置9を駆動可能にし、米投入蓋部23が開放位置に位置することを検知部21aが検知しているときに、鍋加熱装置9を駆動できないように制御する。言い換えれば、鍋加熱装置9は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置することを検知部21aが検知しているときに動作するとともに、米投入蓋部23が開放位置に位置することを検知部21aが検知しているときに動作しないように構成されている。つまり、鍋加熱装置9が動作しているとき(例えば炊飯工程または保温工程)、米投入蓋部23は、閉鎖位置に位置している。
【0078】
制御部11は、鍋加熱装置9が動作する前(つまり、炊飯工程または保温工程の開始前)のステッピングモータ26の回転量が、通常時(鍋加熱装置9を動作させることが予定されていないとき)のステッピングモータ26の回転量よりも大きくなるように、ステッピングモータ26を制御する。ここで、本明細書における回転量とは、米投入蓋部23を開放位置から閉鎖位置に移動させるときのステッピングモータ26の回転量である。これにより、鍋加熱装置9が動作しているときにおける米投入蓋部23との接触によるシール部材24の変形量は、鍋加熱装置9が動作していないときにおける米投入蓋部23との接触によるシール部材24の変形量よりも大きくなる。
【0079】
本実施形態に係る炊飯器によれば、米投入蓋部23は、開放位置に位置するとき、送米管42の開口O1および米投入口7aを通じて鍋6内に投入される米が通過する通過領域R1から離れて位置している。この構成によれば、米投入蓋部23が開放位置に位置するときに鍋6内に米を投入した場合に、米が米投入蓋部23に付着することが抑えられ、米投入口7aにおけるシール性の低下を抑えることができる。
【0080】
本実施形態に係る炊飯器によれば、通過領域R1は、送米管42の開口O1の鉛直下方の領域である。この構成によれば、送米管42の開口O1から米を自重により落下させることで米を鍋6内に供給するときに、米が米投入蓋部23に付着することが抑えられ、米投入口7aにおけるシール性の低下を抑えることができる。
【0081】
本実施形態に係る炊飯器は、米投入蓋部23の開閉を検知する検知部21aを備える。米供給部は、米投入蓋部23が開放位置に位置することを検知部21aが検知しているとき、送米管42内の米を米投入口7aを通じて鍋6内に供給するように構成されている。この構成によれば、米投入口7aを通じて鍋6内に米を投入するときに、米投入蓋部23が開放位置に位置するので、米が米投入蓋部23に付着することが抑えられる。その結果として、米投入口7aにおけるシール性の低下を抑えることができる。
【0082】
本実施形態に係る炊飯器は、米投入蓋部23の開閉を検知する検知部21aを備える。鍋加熱装置9は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置することを検知部21aが検知しているときに動作するとともに、米投入蓋部23が開放位置に位置することを検知部21aが検知しているときに動作しないように構成されている。この構成によれば、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置するときに鍋加熱装置9が動作し、米投入蓋部23が開放位置に位置するときに鍋加熱装置9が動作しないので、鍋加熱装置9が鍋6を加熱することにより発生する蒸気またはおねばが米投入口7aを通じて送米管42内に流入することを抑えられる。その結果として、計量精度の低下または送米異常の発生を抑えることができる。
【0083】
本実施形態に係る炊飯器は、米投入口7aの周囲に配置され、米投入蓋部23と内蓋7との隙間をシールする、弾性を有する環状のシール部材24を備えている。シール部材24は、蓋体に取り付けられる基部24aと、基部24aに屈曲部24cを介して接続され、下方に向かってシール部材24の径方向の一方側に傾斜した傾斜部24bとを備えている。シール部材24は、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置するとき、傾斜部24bが米投入蓋部23と接触して、屈曲部24cを基点に屈曲するように弾性変形する。この構成によれば、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置するときに、シール部材24が屈曲部24cを基点に屈曲するように弾性変形するので、傾斜部24bと米投入蓋部23との接触部分に圧力が作用した状態で、シール部材24と米投入蓋部23とは接触する。その結果として、米投入口7aにおけるシール性を向上することができる。
【0084】
また、この構成によれば、傾斜部24bが下方に向かってシール部材24の径方向の一方側に傾斜しているので、傾斜部24bに米が付着している場合であっても、米が自重により落下しやすい。さらに、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置するときに米投入蓋部23とシール部材24の傾斜部24bとの間に米が存在する場合であっても、米投入蓋部23が閉鎖位置から開放位置に移動すると、シール部材24の元の形状に戻ろうとする力により、米が傾斜部24bから落下しやすい。これらの結果として、米投入口7aにおけるシール性の低下を抑えることができる。
【0085】
本実施形態に係る炊飯器は、一端部に米投入蓋部23が接続され、送米管42の他端部の側方に配置された回動軸25aを中心として回動するアーム部25を備える。アーム部25は、回動軸25aを中心として回動することにより、米投入蓋部23を閉鎖位置と開放位置とに移動させるように構成されている。この構成によれば、米投入蓋部23を開放位置から閉鎖位置に移動させるとき、アームの回動軸25aを中心とした回動により、米投入蓋部23をシール部材24に押し付けることができる。その結果として、簡単な構成で米投入蓋部23とシール部材24との接触部分に圧力が作用した状態で米投入口7aを閉めることができる。
【0086】
本実施形態に係る炊飯器によれば、鍋加熱装置9が動作しているときにおける閉鎖位置に位置する米投入蓋部23との接触によるシール部材24の変形量は、鍋加熱装置9が動作していないときにおける閉鎖位置に位置する米投入蓋部23との接触によるシール部材24の変形量よりも大きい。この構成によれば、鍋加熱装置9が動作しているときに米投入蓋部23とシール部材24との接触部分に作用する圧力は、鍋加熱装置9が動作していないときに米投入蓋部23とシール部材24との接触部分に作用する圧力よりも大きくなる。その結果として、鍋加熱装置9が動作しているときの米投入口7aにおけるシール性を向上することができ、鍋加熱装置9が鍋を加熱することにより発生する蒸気またはおねばが米投入口7aを通じて送米管42内に流入することを抑えられる。その結果として、計量精度の低下または送米異常の発生を抑えることができる。
【0087】
本実施形態に係る炊飯器によれば、米供給部は、送米管42内に米容器側から米投入口7aに向かう空気流を発生させ、送米管42内の米を米投入口7aを通じて鍋6内に押し出す送米ファン44を備える。米投入蓋部23は、閉鎖位置と開放位置との間に位置し、米投入口7aを開くとともに、米投入蓋部23の少なくとも一部が通過領域R1に位置する半開位置で停止可能である。送米ファン44は、鍋6内へ米を供給するために駆動される前に、米投入蓋部23が半開位置に位置した状態で、送米管42内に米容器側から米投入口7aに向かう空気流を発生させるように駆動されるように構成されている。この構成によれば、送米ファンが鍋6内へ米を供給するために駆動される前に、米投入蓋部23が半開位置に位置した状態で、送米管42内に米容器側から米投入口7aに向かう空気流を発生させるように送米ファンが駆動される。これにより、米投入蓋部23に空気流が当たり、米投入蓋部23を乾燥させることができる。その結果として、鍋6内への米の投入前に米投入蓋部23が濡れている場合であっても、米を投入するときには米投入蓋部23が乾燥しているので、米投入蓋部23への米の付着を抑えられ、米投入口7aにおけるシール性の低下を抑えられる。
【0088】
(他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これらに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。以下、他の実施形態を例示する。
【0089】
上記実施形態では、米投入蓋部23が開放位置に位置するときに、米投入蓋部23が通過領域R1から離れて位置している。他の実施形態の一例として、米投入蓋部23が開放位置に位置するときに、米投入蓋部23の一部が通過領域R1に位置してもよい。この場合であっても、上記他の実施形態に係る炊飯器は、米投入蓋部23の開閉を検知する検知部21aを備えていることが好ましい。この構成によれば、例えば、米投入蓋部23が閉鎖位置に位置することを検知部21aが検知しているときに鍋加熱装置9を動作させるとともに、米投入蓋部23が開放位置に位置することを検知部21aが検知しているときに鍋加熱装置9を動作させないことで、鍋加熱装置9による鍋6の加熱により発生する蒸気またはおねばが送米管42内に流入することを抑えられる。その結果として、計量精度の低下または送米異常の発生を抑えることができる。
【0090】
上記実施形態では、米投入蓋部23は、回動軸25aを中心としてアーム部25が回動することにより、開放位置と閉鎖位置とに移動するように構成されている。他の実施形態一例として、
図12に示すように、米投入蓋部23が上下方向、つまり高さ方向Zに移動することで米投入口7aを開閉自在に覆ってもよい。
図12に示す実施形態に係る炊飯器は、米投入ユニット21の構成を除いて上記実施形態に係る炊飯器と同様の構成を有しており、その詳細な説明を省略する。
【0091】
図12に示す実施形態では、米投入蓋部23は、米投入口7aを閉鎖する閉鎖位置と、米投入口7aを開放する開放位置と、閉鎖位置と開放位置との間に位置する半開位置とに移動可能である。言い換えれば、米投入蓋部23は、米投入口7aを閉鎖する閉鎖位置と、米投入口7aを開放する開放位置と、閉鎖位置と開放位置との間に位置する半開位置とで停止可能である。
図12では、開放位置に位置する米投入蓋部23を実線で示し、閉鎖位置に位置する米投入蓋部23を1点鎖線で示し、半開位置に位置する米投入蓋部23を2点鎖線で示す。
図12に示す実施形態においては、米投入蓋部23が開放位置および半開位置に位置するとき、米投入蓋部23の一部が通過領域R1に位置している。
図12に示す他の実施形態において、送米ファン44は、鍋6内へ米を供給するために駆動される前に、米投入蓋部23が開放位置または半開位置に位置した状態で、送米管42内に米容器4側から米投入口7aに向かう空気流を発生させるように駆動されると好ましい。この構成によれば、送米ファン44が鍋6内へ米を供給するために駆動される前に、米投入蓋部23に空気流が当たり、米投入蓋部23を乾燥させることができる。その結果として、鍋6内への米の投入前に米投入蓋部23が濡れている場合であっても、米を投入するときには米投入蓋部23が乾燥しているので、米投入蓋部23への米の付着を抑えられ、米投入口7aにおけるシール性の低下を抑えることができる。
【0092】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0093】
例えば、上記実施形態では、米投入蓋部23は、回動軸25aを中心としてアーム部25が回動することにより、開放位置と閉鎖位置とに移動するように構成されていたが、米投入蓋部23を開放位置と閉鎖位置との間で移動させる方法は、これに限定されない。例えば、米投入蓋部23を上下方向に交差する方向にスライドさせて、米投入蓋部23を開放位置と閉鎖位置との間で移動させてもよい。
【0094】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明に係る炊飯器は、米投入口におけるシール性の低下を抑えることができるので、例えば、鍋内への米および水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる全自動炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 筐体
1a 上面開口部
1b 外蓋ヒンジ部
1c 鍋収容部
2 外蓋
2a 側壁
2b 排気穴
3 水容器
4 米容器
4a 米容器開口部
4b 米容器ヒンジ部
5 米容器蓋
6 鍋
7 内蓋
7a 米投入口
7b 排気口
7c 蒸気取込口
7d 水投入口
8 表示操作部
9 鍋加熱装置(加熱部)
10 鍋温度センサ
11 制御部
21 米投入ユニット
21a 検知部
22 外郭部材
23 米投入蓋部
24 シール部材
25 アーム部
25a 回動軸
26 ステッピングモータ(駆動源)
27 排気通路
28 蒸気センサ
28a パッキン
29 水投入通路
29a パッキン
31 送水管
32 送水ポンプ
41 米収容部
41a 傾斜面
42 送米管
42a 直管部
42aa 端部
42b 摺動パッキン
42c 継手部
42ca 一端部
42cb 他端部
42d チューブ
42da 一端部
42db 他端部
43 送米装置
44 送米ファン
45 フィルタ
46 米供給路開閉弁
E1 密閉空間
O1 開口
R1 通過領域