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  • 特開-パネル体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104744
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】パネル体
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005923
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 辰雄
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB01
2E002NC03
2E002PA01
2E002QA08
2E002QC03
2E002UB04
2E002WA17
2E002XA12
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上可能なパネル体を提供する。
【解決手段】パネル体は11、枠21と、押縁52と、板状の外壁材22と、ガスケット53とを備える。枠21は、見付壁42と、見付壁42から室外側へ延びる見込壁43と、を有する。押縁52は、見付壁42から室外側へ離間した位置で見込壁43に取り付けられ、室内側へ向く内面62aと、内面62aの反対側に位置して室外側へ向く外面62bと、を有する。外壁材22は、見付壁42よりも室外側に位置するとともに内面62aよりも室内側に位置し、室内側に向く内壁面22aと、内壁面22aの反対側に位置して内面62aに向く外壁面22bと、を有する。ガスケット53は、外面62b及び内面62aを覆って押縁52に取り付けられ、押縁52と外壁材22との間で弾性変形し、当該弾性変形の復元力により外壁面22bを見付壁42に向かって押して外壁材22を保持する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見付壁と、前記見付壁から室外側へ延びる見込壁と、を有する枠と、
前記見付壁から室外側へ離間した位置で前記見込壁に取り付けられ、室内側へ向く内面と、前記内面の反対側に位置して室外側へ向く外面と、を有する、押縁と、
前記見付壁よりも室外側に位置するとともに前記内面よりも室内側に位置し、室内側に向く内壁面と、前記内壁面の反対側に位置して前記内面に向く外壁面と、を有する、板状の外壁材と、
前記外面及び前記内面を覆って前記押縁に取り付けられ、前記押縁と前記外壁材との間で弾性変形し、当該弾性変形の復元力により前記外壁面を前記見付壁に向かって押して前記外壁材を保持する、ガスケットと、
を具備するパネル体。
【請求項2】
前記枠は、前記見込壁から突出した第1の突出部と、前記見込壁から離間した位置で前記第1の突出部から室内側に突出した第1の係止部と、前記第1の突出部から室内側に離間した位置で前記見込壁から突出した第2の突出部と、前記見込壁から離間した位置で前記第2の突出部から室内側に突出した第2の係止部と、を有し、
前記押縁は、前記第1の係止部と前記見込壁との間に嵌められた第3の係止部と、前記第2の係止部と前記見込壁との間に嵌められた第4の係止部と、を有する、
請求項1のパネル体。
【請求項3】
前記外面及び前記内面のうち少なくとも一方に溝が設けられ、
前記ガスケットは、前記溝に嵌められた嵌合部を有する、
請求項1又は請求項2のパネル体。
【請求項4】
前記ガスケットは、前記外壁面に向く対向面と、前記対向面から前記外壁面に向かって突出するとともに当該外壁面に接触する突起と、前記突起よりも前記外壁面の縁から離間した位置で前記対向面から前記外壁材に向かって突出するとともに弾性変形の復元力により前記外壁面を前記見付壁に向かって押すリップと、を有し、
前記突起は、前記リップが前記外壁面を押す力よりも小さい力で前記外壁面を押す、
請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つのパネル体。
【請求項5】
前記ガスケットは、前記外面を覆う室外側部分と、前記内面を覆うとともに当該内面と前記外壁面との間に位置する室内側部分と、を有し、
前記室外側部分は、前記室内側部分よりも薄い、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つのパネル体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンウォールのようなパネル体は、枠と、当該枠に嵌められるパネルと、当該パネルを保持する金属製の押縁とを有する。押縁は、当該押縁と枠の見付壁との間にパネルを保持するため、室外側から視認される位置にあり、目立ってしまう。
【0003】
一方、押縁を省略し、ガスケットによりパネルを保持するパネル体も知られている(例えば、特許文献1を参照)。当該パネル体では、枠の見込壁に取り付けられたガスケットが、パネルを保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-184714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パネルを保持するガスケットは、パネルを保持するのに十分な力で当該パネルを押すために、比較的厚く形成される。このため、上述のパネル体では、押縁が省略されるもののガスケットが目立ち、意匠性が低下してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、意匠性を向上可能なパネル体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るパネル体は、枠と、押縁と、板状の外壁材と、ガスケットとを備える。前記枠は、見付壁と、前記見付壁から室外側へ延びる見込壁と、を有する。前記押縁は、前記見付壁から室外側へ離間した位置で前記見込壁に取り付けられ、室内側へ向く内面と、前記内面の反対側に位置して室外側へ向く外面と、を有する。前記外壁材は、前記見付壁よりも室外側に位置するとともに前記内面よりも室内側に位置し、室内側に向く内壁面と、前記内壁面の反対側に位置して前記内面に向く外壁面と、を有する。前記ガスケットは、前記外面及び前記内面を覆って前記押縁に取り付けられ、前記押縁と前記外壁材との間で弾性変形し、当該弾性変形の復元力により前記外壁面を前記見付壁に向かって押して前記外壁材を保持する。
【0008】
また、本発明に係るパネル体では、上述した発明において、前記枠は、前記見込壁から突出した第1の突出部と、前記見込壁から離間した位置で前記第1の突出部から室内側に突出した第1の係止部と、前記第1の突出部から室内側に離間した位置で前記見込壁から突出した第2の突出部と、前記見込壁から離間した位置で前記第2の突出部から室内側に突出した第2の係止部と、を有する。前記押縁は、前記第1の係止部と前記見込壁との間に嵌められた第3の係止部と、前記第2の係止部と前記見込壁との間に嵌められた第4の係止部と、を有する。
【0009】
また、本発明に係るパネル体では、上述した発明において、前記外面及び前記内面のうち少なくとも一方に溝が設けられる。前記ガスケットは、前記溝に嵌められた嵌合部を有する。
【0010】
また、本発明に係るパネル体では、上述した発明において、前記ガスケットは、前記外壁面に向く対向面と、前記対向面から前記外壁面に向かって突出するとともに当該外壁面に接触する突起と、前記突起よりも前記外壁面の縁から離間した位置で前記対向面から前記外壁材に向かって突出するとともに弾性変形の復元力により前記外壁面を前記見付壁に向かって押すリップと、を有する。前記突起は、前記リップが前記外壁面を押す力よりも小さい力で前記外壁面を押す。
【0011】
また、本発明に係るパネル体では、上述した発明において、前記ガスケットは、前記外面を覆う室外側部分と、前記内面を覆うとともに当該内面と前記外壁面との間に位置する室内側部分と、を有する。前記室外側部分は、前記室内側部分よりも薄い。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパネル体によれば、ガスケットは、押縁の外面及び内面を覆って当該押縁に取り付けられる。このため、ガスケットは、押縁が目立つことを抑制し、パネル体の意匠性(外観)を向上させることができる。また、ガスケットは、押縁と外壁材との間で弾性変形している。ガスケットは、当該弾性変形の復元力により外壁面を見付壁に向かって押して、外壁材を保持する。すなわち、外壁材を押すガスケットは、押縁に支持される。このため、外壁材を保持する押縁及びガスケットは、外壁材を押す力を保ちながら、薄くされることができる。従って、本発明のパネル体は、押縁が目立つことを抑制するとともに、当該押縁及びガスケットを薄くすることで、意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一つの実施形態に係るカーテンウォールを概略的に示す正面図である。
図2図2は、上記実施形態のカーテンウォールの一部を図1のF2-F2線に沿って示す断面図である。
図3図3は、上記実施形態の一つのパネルユニットの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一つの実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、本実施形態に係るカーテンウォール10を概略的に示す正面図である。カーテンウォール10は、パネル体の一例である。カーテンウォール10は、例えば、ビルの外壁を形成する。
【0016】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、カーテンウォール10の幅(見付)に沿って設けられる。Y軸は、カーテンウォール10の奥行(見込)に沿って設けられる。Z軸は、カーテンウォール10の高さに沿って設けられる。
【0017】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向(見付方向)は、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向(見込方向)は、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。また、以下の説明において、+Y方向は、ビルの室内から室外に向かう方向であり、室外側とも称され得る。-Y方向は、ビルの室外から室内に向かう方向であり、室内側とも称され得る。
【0018】
カーテンウォール10は、複数のパネルユニット11を有する。複数のパネルユニット11はそれぞれ、枠21と、複数のパネル22,23とを有する。パネル22は、外壁材の一例である。
【0019】
枠21は、上枠31と、下枠32と、二つの縦枠33と、中間横枠34と、中間縦枠35とを有する。なお、枠21は、中間横枠34及び中間縦枠35を省略しても良い。上枠31、下枠32、縦枠33、中間横枠34、及び中間縦枠35は、例えば、アルミのような金属によって作られる。
【0020】
上枠31、下枠32、及び中間横枠34は、略X方向に延びている。下枠32は、上枠31から略-Z方向に離間している。中間横枠34は、上枠31と下枠32との間に位置する。二つの縦枠33は、上枠31の両端と下枠32の両端との間で略Z方向に延びている。中間縦枠35は、二つの縦枠33の間に位置し、上枠31と下枠32との間で略Z方向に延びている。
【0021】
枠21に、複数の開口部37,38が設けられる。開口部37は、下枠32、縦枠33、中間横枠34、及び中間縦枠35に囲まれる。開口部38は、上枠31、縦枠33、中間横枠34、及び中間縦枠35に囲まれる。
【0022】
パネル22,23は、例えば、複層ガラスの板である。なお、パネル22,23は、この例に限られない。パネル22,23は、対応する開口部37,38に嵌められる。なお、パネル22,23は、開口部37,38の縁(内周面)から離間していても良い。
【0023】
複数のパネルユニット11は、Z方向及びX方向に並べられる。複数のパネルユニット11は、互いに組み合わされることで、カーテンウォール10を形成する。例えば、隣り合う二つのパネルユニット11の縦枠33は、方立を形成する。複数のパネルユニット11はそれぞれ、ファスナにより、ビルの躯体に取り付けられる。
【0024】
図2は、本実施形態のカーテンウォール10の一部を図1のF2-F2線に沿って示す断面図である。図2に示すように、枠21は、室内側見込壁41と、見付壁42と、室外側見込壁43と、ガスケット取付部44と、第1の押縁取付部45と、第2の押縁取付部46とを有する。室外側見込壁43は、見込壁の一例である。
【0025】
図2の例において、室内側見込壁41、見付壁42、室外側見込壁43、ガスケット取付部44、第1の押縁取付部45、及び第2の押縁取付部46は、縦枠33に設けられる。しかし、本実施形態において、室内側見込壁41、見付壁42、室外側見込壁43、ガスケット取付部44、第1の押縁取付部45、及び第2の押縁取付部46は、上枠31、下枠32、中間横枠34、及び中間縦枠35のいずれにも設けられる。
【0026】
以下の記載は、図2に示されるパネル22及び縦枠33について主に説明する。パネル23及び中間縦枠35は、以下の記載におけるパネル22及び縦枠33をパネル23及び中間縦枠35と読み替えることで理解され得る。また、上枠31、下枠32、及び中間横枠34は、以下の記載における縦枠33を上枠31、下枠32、又は中間横枠34と読み替えるとともに、以下の記載におけるX方向とY方向とを入れ替えることで、理解され得る。
【0027】
図3は、本実施形態の一つのパネルユニット11の一部を示す断面図である。以下の記載において、便宜上、X方向のうち、対応するパネル22の中心に向かう方向が、内周側と称され得る。また、X方向のうち、対応するパネル22の外側に向かう方向が、外周側と称され得る。図3の例では、-X方向が内周側であり、+X方向が外周側である。
【0028】
図2に示すように、室内側見込壁41は、Y-Z平面に沿って広がる板状に形成される。見付壁42は、+Y方向における室内側見込壁41の端に接続され、略外周側に延びている。図3に示すように、見付壁42は、外向面42aを有する。外向面42aは、略平坦に形成され、室外側に向く。
【0029】
室外側見込壁43は、外周側における見付壁42の端から、+Y方向へ延びている。このため、室内側見込壁41、見付壁42、及び室外側見込壁43は、略階段状に互いに接続されている。なお、見付壁42は、室内側見込壁41と異なる部材であって、+Y方向における室内側見込壁41の端から略内周側に延びた部分を含んでも良い。
【0030】
室外側見込壁43は、内周面43aと、外周面43bとを有する。内周面43aは、略平坦に形成され、内周側に向く。外周面43bは、内周面43aの反対側に位置する。外周面43bは、略平坦に形成され、外周側に向く。
【0031】
ガスケット取付部44は、見付壁42の外向面42aから突出している。ガスケット取付部44は、例えば、略T字状に形成された突起である。なお、ガスケット取付部44は、この例に限られない。
【0032】
第1の押縁取付部45は、略L字状に形成された突起であり、第1の突出部45aと、第1の係止部45bとを有する。第1の突出部45aは、例えば+Y方向における室外側見込壁43の内周面43aの端部から、内周側に突出する。第1の係止部45bは、室外側見込壁43から離間した位置で、第1の突出部45aから略-Y方向に突出する。
【0033】
第2の押縁取付部46は、第1の押縁取付部45から-Y方向に離間している。第2の押縁取付部46は、略L字状に形成された突起であり、第2の突出部46aと、第2の係止部46bとを有する。
【0034】
第2の突出部46aは、第1の突出部45aから-Y方向(室内側)に離間した位置で、室外側見込壁43の内周面43aから内周側に突出する。第2の係止部46bは、室外側見込壁43から離間した位置で、第2の突出部46aから略-Y方向に突出する。室外側見込壁43と第2の係止部46bとの間の距離は、室外側見込壁43と第1の係止部45bとの間の距離よりも短い。
【0035】
複数のパネルユニット11はそれぞれ、室内側ガスケット51と、押縁52と、室外側ガスケット53とをさらに有する。室外側ガスケット53は、ガスケットの一例である。
【0036】
室内側ガスケット51は、例えば、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴムのような弾性体により作られる。室内側ガスケット51は、見付壁42とパネル22との間に介在する。
【0037】
図3に示すように、例えば、室内側ガスケット51に設けられた取付溝51aに、ガスケット取付部44が嵌る。これにより、室内側ガスケット51は、見付壁42に取り付けられ、外向面42aに支持される。
【0038】
押縁52は、アルミニウムのような金属によって作られる。なお、押縁52は、他の材料によって作られても良い。押縁52は、取付部61と、支持部62とを有する。取付部61は、基部70と、第1の爪71と、第2の爪72とを有する。第1の爪71は、第3の係合部の一例である。第2の爪72は、第4の係合部の一例である。
【0039】
基部70は、Y-Z平面に沿って広がる板状に形成される。基部70は、室外側見込壁43から内周側に離間している。基部70は、例えば、第1の押縁取付部45の第1の係止部45bに接触するとともに、第2の押縁取付部46から離間している。
【0040】
第1の爪71及び第2の爪72は、略L字型に形成された突起である。第1の爪71及び第2の爪72はそれぞれ、基部70から外周側に突出した部分と、基部70から離間した位置で略+Y方向に延びている部分とを有する。
【0041】
第1の爪71の先端部は、第1の押縁取付部45の第1の係止部45bと、室外側見込壁43との間の空間に嵌められている。第2の爪72は、第1の爪71から-Y方向に離間している。第2の爪72の先端部は、第2の押縁取付部46の第2の係止部46bと、室外側見込壁43との間の空間に嵌められている。第2の爪72は、第2の係止部46bに引っかかる。
【0042】
以上により、取付部61は、見付壁42から+Y方向へ離間した位置で、室外側見込壁43に取り付けられる。取付部61は、枠21に対して-Y方向に移動することで、室外側見込壁43から取り外し可能である。
【0043】
支持部62は、取付部61の基部70から、内周側に延びている。支持部62は、X-Z平面に沿って広がる板状に形成される。支持部62は、内面62aと、外面62bとを有する。内面62aは、略-Y方向(室内側)に向く。外面62bは、内面62aの反対側に位置し、略+Y方向(室外側)に向く。
【0044】
支持部62に、二つの内溝75と、外溝76とが設けられる。内溝75及び外溝76は、溝の一例である。内溝75は、支持部62の内面62aに設けられている。二つの内溝75は、X方向に互いに離間している。外溝76は、支持部62の外面62bに設けられている。X方向において、内溝75及び外溝76は、互いに異なる位置に設けられる。
【0045】
外溝76は、略L字状の断面を有する。外溝76は、外面62bから略-Y方向に窪んだ部分と、外面62bから離間した位置で内周側に延びている部分とを有する。なお、外溝76は、この例に限られない。
【0046】
パネル22は、室内側ガスケット51と押縁52の支持部62との間に位置する。すなわち、パネル22は、見付壁42よりも室外側に位置するとともに、押縁52の内面62aよりも室内側に位置する。パネル22は、内壁面22aと、外壁面22bとを有する。
【0047】
内壁面22aは、略平坦に形成され、略-Y方向(室内側)に向く。内壁面22aは、室内側ガスケット51に接触する。外壁面22bは、内壁面22aの反対側に位置する。外壁面22bは、略平坦に形成され、略+Y方向(室外側)に向く。外壁面22bは、間隔を介して、押縁52の内面62aに向く。
【0048】
室外側ガスケット53は、例えば、EPDMゴムのような弾性体により作られる。このため、室外側ガスケット53は、押縁52よりも剛性が低い。例えば、室外側ガスケット53は、押縁52よりも曲げ剛性が低い。室外側ガスケット53は、室外側部分81と、室内側部分82とを有する。
【0049】
室外側部分81は、外面62bを覆う。室外側部分81は、嵌合面81aと、露出面81bと、嵌合部81cとを有する。嵌合面81aは、外面62bに接触する。露出面81bは、嵌合面81aの反対側に位置し、略+Y方向に向く。嵌合部81cは、嵌合面81aから突出し、外溝76に嵌められる。嵌合部81cは、外溝76の内面に引っかかり、室外側部分81が押縁52に対して室外側及び内周側へ移動することを制限する。
【0050】
室内側部分82は、内面62aを覆う。これにより、室内側部分82は、内面62aと、パネル23の外壁面22bとの間に位置する。室内側部分82は、嵌合面82aと、対向面82bと、二つの嵌合部82cと、突起82dと、リップ82eとを有する。
【0051】
嵌合面82aは、内面62aに接触する。対向面82bは、嵌合面82aの反対側に位置し、略-Y方向に向く。対向面82bは、間隔を介してパネル23の外壁面22bに向く。なお、対向面82bは、外壁面22bに接触しても良い。
【0052】
二つの嵌合部82cは、嵌合面82aから突出し、二つの内溝75に嵌められる。突起82dは、対向面82bから外壁面22bに向かって突出するとともに、当該外壁面22bに接触する。
【0053】
リップ82eは、突起82dから内周側に離間した位置で、対向面82bから外壁面22bに向かって突出している。言い換えると、リップ82eは、突起82dよりも外壁面22bの縁22cから離間している。リップ82eは、例えば、内周側における対向面82bの端部から突出している。
【0054】
Y方向において、外力が作用していない場合のリップ82eの長さは、突起82dの長さよりも長く、且つ対向面82bと外壁面22bとの間の距離よりも長い。図3は、外力が作用していないリップ82eを二点鎖線で仮想的に示す。このため、リップ82eは、弾性変形した状態で、外壁面22bに接触している。
【0055】
外力が作用していない場合、リップ82eは先細っている。このため、リップ82eの剛性は、リップ82eの先端部に近いほど低くなる。リップ82eの先端部又はその近傍が外壁面22bに接触するため、リップ82eは、容易に弾性変形し得る。
【0056】
少なくともリップ82eを含む室外側ガスケット53の一部は、押縁52とパネル23との間で弾性変形している。リップ82eは、当該弾性変形の復元力により、外壁面22bを見付壁42に向かって押す。
【0057】
リップ82eは、パネル23を室内側ガスケット51に押し付ける。このため、リップ82e及び室内側ガスケット51は、パネル23を、見付壁42と押縁52との間に保持する。また、室外側ガスケット53は、押縁52とパネル22との間の隙間を塞ぐ。
【0058】
リップ82eは、弾性変形の復元力により、押縁52を略+Y方向に押す。第1の押縁取付部45及び第2の押縁取付部46は、第1の爪71及び第2の爪72に引っ掛かることで、押縁52及び室外側ガスケット53が略+Y方向に移動することを制限する。
【0059】
リップ82eは、第1の爪71及び第2の爪72から内周側に離間した位置で、押縁52を略+Y方向に押す。このため、押縁52に、第1の爪71の近傍を支点として回転するモーメントMがかかる。しかし、第1の係止部45bが基部70を支持し、2の係止部46bが第2の爪72に引っかかることで、押縁52及び室外側ガスケット53が回転することが制限される。
【0060】
突起82dも、外壁面22bを押しても良い。この場合、突起82dは、リップ82eが外壁面22bを押す力よりも小さい力で、外壁面22bを押す。突起82dは、外壁面22bから少なくとも部分的に離間していても良い。
【0061】
内周側における室内側部分82の端部は、内周側における室外側部分81の端部に結合される。これにより、室外側ガスケット53は、押縁52の支持部62を覆う略U字型の断面を有する。
【0062】
室外側ガスケット53に、嵌合溝85が設けられる。嵌合溝85は、外周側における室外側ガスケット53の端部に開口する溝である。室外側部分81及び室内側部分82の嵌合面81a,82aは、嵌合溝85の内面である。嵌合溝85に押縁52の支持部62が嵌められる。これにより、室外側ガスケット53は、内面62a及び外面62bを覆って押縁52に取り付けられる。
【0063】
室外側部分81は、室内側部分82よりも薄い。室外側部分81の厚さは、嵌合面81aと露出面81bとの間の距離である。室内側部分82の厚さは、嵌合面82aと対向面82bとの間の距離である。
【0064】
上述のように、リップ82eがパネル22の外壁面22bに圧接する。これにより、リップ82eは、パネル22と押縁52との間の隙間に風雨が侵入することを抑制できる。また、室外側ガスケット53は、押縁52の内面62a及び外面62bを覆う。EPDMゴム製の室外側ガスケット53は、アルミニウム製の押縁52よりも熱伝導率が低い。このため、室外側ガスケット53は、ビルの断熱性を向上し、ビルにおける結露の発生を抑制できる。
【0065】
また、室外側ガスケット53は、押縁52の外面62bを覆うことで、外面62bを隠すことができる。押縁52の色は、例えば、銀色であり、金属光沢を有する。一方、室外側ガスケット53の色は、例えば、黒色である。暗色の室外側ガスケット53は、押縁52の外面62bを覆うことで、押縁52が目立つことを抑制し、カーテンウォール10の意匠性を向上させる。
【0066】
以上のパネルユニット11は、例えば、以下のように製造される。まず、上枠31、下枠32、縦枠33、中間横枠34、及び中間縦枠35が組み合わされ、枠21が組み立てられる。次に、見付壁42に、室内側ガスケット51が取り付けられる。次に、開口部37にパネル22が嵌められ、パネル22の内壁面22aが室内側ガスケット51に当接する。次に、室外側見込壁43に、押縁52が取り付けられる。次に、嵌合溝85に支持部62が挿入されるように、室外側ガスケット53が押縁52に取り付けられる。このとき、室外側ガスケット53の室内側部分82が、パネル22と押縁52との間の隙間に挿入される。以上により、パネルユニット11が製造される。
【0067】
以上説明された実施形態に係るカーテンウォール10において、室外側ガスケット53は、押縁52の外面62b及び内面62aを覆う。また、室外側ガスケット53は、押縁52とパネル22との間で弾性変形している。すなわち、パネル22を押す室外側ガスケット53は、押縁52に支持される。このため、パネル22を保持する押縁52及び室外側ガスケット53は、パネル22を押す力を保ちながら、薄くされることができる。例えば、押縁52が無く室外側ガスケットのみがパネル22を保持する場合、薄い室外側ガスケットは、変形してしまい、パネル22を保持可能な力で当該パネル22を押すことが困難である。このため、室外側ガスケットは、パネル22を保持可能な力で当該パネル22を押すために、一般的に、厚く形成されることになる。この場合に比べ、本実施形態における室外側ガスケット53は、押縁52に支持されるため、薄くされたとしても、十分な力でパネル22を押すことができる。以上より、本実施形態のカーテンウォール10は、押縁52が目立つことを抑制するとともに、室外側ガスケット53を薄くすることで、意匠性(外観)を向上させることができる。
【0068】
枠21は、第1の突出部45aと、第1の係止部45bと、第2の突出部46aと、第2の係止部46bとを有する。押縁52は、第1の爪71と、第2の爪72とを有する。見込方向に並んだ二つの突出部45a,46a及び係止部45b,46bが、押縁52の二つの爪71,72を支持している。第1の突出部45a及び第2の突出部46aは、押縁52が室外側へ移動することを制限する。また、第2の係止部46bは、例えばパネル22に負圧が作用したときに、押縁52が第1の係止部45bを支点として室外側に回転することを制限する。従って、枠21は、押縁52が当該枠21から外れることを抑制できる。
【0069】
室外側ガスケット53は、押縁52の内溝75及び外溝76に嵌められた嵌合部81c,82cを有する。これにより、嵌合部81c,82cは、室外側ガスケット53が押縁52から外れることを抑制できる。また、本実施形態のカーテンウォール10は、溝が室外側ガスケット53に設けられる場合に比べ、押縁52及び室外側ガスケット53を薄くすることができる。
【0070】
室外側ガスケット53は、突起82d及びリップ82eを有する。リップ82eは、弾性変形の復元力により外壁面22bを押す。突起82dは、リップ82eが外壁面22bを押す力よりも小さい力で外壁面22bを押す。これにより、リップ82eは、対向面82bと外壁面22bとの間の隙間を塞ぎ、室内に風雨が侵入することを抑制できる。また、室外側ガスケット53は、突起82d及びリップ82eで外壁面22bに接触するため、リップ82eの復元力により押縁52から外れてしまうことを抑制できる。
【0071】
室外側ガスケット53の室外側部分81は、室内側部分82よりも薄い。室内側部分82の厚さは、室外側ガスケット53がパネル22を保持可能な力を発生させるように設定される。一方、室外側部分81は、室内側部分82よりも、室外側ガスケット53が発生させる力への影響が小さい。従って、室外側部分81が薄くされることで、室外側ガスケット53は、当該室外側ガスケット53が発生させる力を保ちつつ、薄くされることができる。
【0072】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0073】
11…パネルユニット(パネル体)、21…枠、22…パネル(外壁材)、22a…内壁面、22b…外壁面、22c…縁、42…見付壁、43…室外側見込壁(見込壁)、45a…第1の突出部、45b…第1の係止部、46a…第2の突出部、46b…第2の係止部、52…押縁、53…室外側ガスケット(ガスケット)、62a…内面、62b…外面、71…第1の爪(第3の係止部)、72…第2の爪(第4の係止部)、75…内溝(溝)、76…外溝(溝)、81…室外側部分、81c…嵌合部、82…室内側部分、82b…対向面、82c…嵌合部、82d…突起、82e…リップ。
図1
図2
図3