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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104796
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】コイル
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
H02K3/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005998
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】517221310
【氏名又は名称】コアレスモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】白木 学
(72)【発明者】
【氏名】麻田 務
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA07
5H603AA09
5H603CA01
5H603CB02
5H603CC01
5H603CD02
5H603CE03
(57)【要約】
【課題】回転電機の回転軸に対して同心円状に配置される、線材を巻回してなる円筒状のコイルにおいて、製造が容易で、循環電流の発生を抑制できる円筒状コイル。
【解決手段】 回転電機の回転軸が伸びる軸方向に対して同心円状に、前記軸方向に対して周方向になる円周方向で前記軸方向を囲んで配置される、複数の位相を備えている円筒状コイル。複数の前記位相の中の一つ一つの前記位相を構成し、一つ一つがそれぞれ位相コイル入力端と位相コイル出力端とを有する複数の位相コイルが、一の前記位相コイルに対して他の前記位相コイルが前記円周方向にそれぞれズレて配置されることで前記円筒状コイルが構成される。一本一本がそれぞれ線材入力端と線材出力端とを有し、前記位相コイル入力端に位置する前記線材入力端から前記位相コイル出力端に位置する前記線材出力端へと伸びる複数本の導電性の線材が束ねられて一つ一つの前記位相コイルが構成される。前記位相コイルのそれぞれは、波状に前記軸方向で上下する湾曲を繰り返しながら前記円周方向に伸びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の回転軸が伸びる軸方向に対して同心円状に、前記軸方向に対して周方向になる円周方向で前記軸方向を囲んで配置される、複数の位相を備えている円筒状コイルであって、
複数の前記位相の中の一つ一つの前記位相を構成し、一つ一つがそれぞれ位相コイル入力端と位相コイル出力端とを有する複数の位相コイルが、一の前記位相コイルに対して他の前記位相コイルが前記円周方向にそれぞれズレて配置されることで前記円筒状コイルが構成され、
一本一本がそれぞれ線材入力端と線材出力端とを有し、前記位相コイル入力端に位置する前記線材入力端から前記位相コイル出力端に位置する前記線材出力端へと伸びる複数本の導電性の線材が束ねられて一つ一つの前記位相コイルが構成され、
前記位相コイルのそれぞれは、波状に前記軸方向で上下する湾曲を繰り返しながら前記円周方向に伸びている
円筒状コイル。
【請求項2】
一の前記位相コイルにおける前記位相コイル入力端から前記位相コイル出力端に向かう順方向で前記軸方向に伸びる当該一の前記位相コイルにおける順側軸方向部分と、
当該一の前記位相コイルにおける前記位相コイル出力端から前記位相コイル入力端に向かう逆方向で前記軸方向に伸びる当該一の前記位相コイルにおける逆側軸方向部分とが、
前記軸方向に直交する半径方向で互いに重なり合うように交差して当該一の前記位相コイルが前記円周方向に伸びていることで、
複数の前記位相コイルのそれぞれにおける前記位相コイル入力端と前記位相コイル出力端とは近接した位置に存在し、
前記順側軸方向部分と、前記逆側軸方向部分との間の互いに重なり合う前記交差では、前記円周方向に隣接する交差位置ごとに、前記順側軸方向部分と、前記逆側軸方向部分との位置が前記半径方向で内外に入れ替わる
請求項1記載の円筒状コイル。
【請求項3】
前記順側軸方向部分と、前記逆側軸方向部分との間の互いに重なり合う前記交差は一つ一つの前記位相コイルにおける前記順側軸方向部分と前記逆側軸方向部分との間でのみ行われ、
一の前記位相コイルにおける前記円周方向で隣接している前記順側軸方向部分と前記逆側軸方向部分との間の前記交差位置同士の間で、一又は複数の他の前記位相コイルにおける前記順側軸方向部分と前記逆側軸方向部分との間の前記交差が行われる
請求項2記載の円筒状コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータや発電機に使用される中空の円筒型のコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
モータや発電機などに使用される中空の円筒型のコイルに関しては従来から種々の提案が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、導電性の板状体(例えば、銅板)をエッチングすることによって導電帯がパターン形成された2枚の薄い金属板をそれぞれ円筒体とし、2つの円筒体を内側円筒体及び外側円筒体として同心に重ねて配置することによって形成するコイル体が提案されている。各々の円筒体は、端部同士が互いに接続されることによって電気回路を構成する相補的なパターンの導電帯を有している。各々の円筒体の間には非導電性繊維撚線の層が形成されており、この層によって、内側円筒体の導電帯と外側円筒体の導電帯とが絶縁されている。コイル体は、導電帯の部分と非導電性繊維撚線とを充填する材料、具体的にはポリイミドによって被包されている。
【0004】
特許文献2には、複数の導電帯を有する導電シートを折り曲げ、折り曲げられた導電シートを円筒形状にすることによって形成されたコイル体が提案されている。
【0005】
本願出願人による特許文献3、4では、回転電機の回転軸に対して同心円状に配置される、線材を巻回してなる円筒状のコイルを提案している。このコイルは、回転軸に直交する径方向に伸びる巻回軸の周りに線材が、螺旋状に複数回巻回されてなる平板状のコイル体が、円筒状コイル体の円周方向に複数個連続的に配置されて回転電機の回転軸を取り囲むものである。前記の線材は、例えば、外周がエナメル層などで覆われている導電線が複数本で束にされた上でガラス繊維のような繊維状物で覆われてなるものである。
【0006】
また、中空円筒状のコイルではないが、特許文献5には、円筒状のコア基準面の周方向に分散配置された複数のスロットを有するコアに巻装されると共に、複数のスター結線を有するコイルにおいて、コイル巻装工程のための時間や設備費用の増大を抑制しつつ循環電流の発生を抑制するというコイルが提案されている。特許文献6にはステータコアの巻線に発生する渦電流及び循環電流を低減するとしているモータの巻き線構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3704044号公報
【特許文献2】特開2017-70140号公報
【特許文献3】特許第6948748号公報
【特許文献4】国際公開公報WO2021/152662A1
【特許文献5】特許第5858145号公報
【特許文献6】特開2008-136300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
回転電機の回転軸に対して同心円状に配置される、線材を巻回してなる円筒状のコイルにおいて、製造が容易で、循環電流の発生を抑制できる円筒状コイルを提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
回転電機の回転軸が伸びる軸方向に対して同心円状に、前記軸方向に対して周方向になる円周方向で前記軸方向を囲んで配置される、複数の位相を備えている円筒状コイルである。
【0010】
複数の前記位相の中の一つ一つの前記位相を構成し、一つ一つがそれぞれ位相コイル入力端と位相コイル出力端とを有する複数の位相コイルが、一の前記位相コイルに対して他の前記位相コイルが前記円周方向にそれぞれズレて配置されることで前記円筒状コイルが構成されている。
【0011】
一本一本がそれぞれ線材入力端と線材出力端とを有し、前記位相コイル入力端に位置する前記線材入力端から前記位相コイル出力端に位置する前記線材出力端へと伸びる複数本の導電性の線材が束ねられて一つ一つの前記位相コイルが構成されている。
【0012】
前記位相コイルのそれぞれは、波状に前記軸方向で上下する湾曲を繰り返しながら前記円周方向に伸びている構成とすることで課題を解決した。
【0013】
前記において、
一の前記位相コイルにおける前記位相コイル入力端から前記位相コイル出力端に向かう順方向で前記軸方向に伸びる当該一の前記位相コイルにおける順側軸方向部分と、
当該一の前記位相コイルにおける前記位相コイル出力端から前記位相コイル入力端に向かう逆方向で前記軸方向に伸びる当該一の前記位相コイルにおける逆側軸方向部分とが、
前記軸方向に直交する半径方向で互いに重なり合うように交差して当該一の前記位相コイルが前記円周方向に伸びている構成にすることができる。
【0014】
これにより、
複数の前記位相コイルのそれぞれにおける前記位相コイル入力端と前記位相コイル出力端とは近接した位置に存在し、
前記順側軸方向部分と、前記逆側軸方向部分との間の互いに重なり合う前記交差では、前記円周方向に隣接する交差位置ごとに、前記順側軸方向部分と、前記逆側軸方向部分との位置が前記半径方向で内外に入れ替わる
構成にすることができる。
【0015】
前記において、
前記順側軸方向部分と、前記逆側軸方向部分との間の互いに重なり合う前記交差は一つ一つの前記位相コイルにおける前記順側軸方向部分と前記逆側軸方向部分との間でのみ行われ、
一の前記位相コイルにおける前記円周方向で隣接している前記順側軸方向部分と前記逆側軸方向部分との間の前記交差位置同士の間で、一又は複数の他の前記位相コイルにおける前記順側軸方向部分と前記逆側軸方向部分との間の前記交差が行われる構成にすることができる。
【0016】
例えば、U相、V相、W相のような複数相に対応するように、使用するコイルを、例えば、3つ以上の複数とし、複数の各コイルは、それぞれ複数本の長尺の導線を絶縁処理して1本に束ね、その1本に束ねた線材を入力端から出力端に伸びる間で同じパターンで繰り返して巻回若しくは蛇行させることにより帯状のコイル素材とする。このような帯状のコイル素材を、使用する相の数(例えば、U相、V相、W相の3相)用意し、各相ごとに帯状コイル素材の入力端と出力端とが円周方向で近接した位置になるように円環とすることで課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、回転電機の回転軸に対して同心円状に配置される、線材を巻回してなる円筒状のコイルにおいて、製造が容易で、循環電流の発生を抑制できる円筒状コイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明に係る円筒状コイルがU相、V相、W相の複数相の円筒状コイルである場合の一実施形態を表す斜視図。
図2図1図示の円筒状コイルを回転電機の回転軸が伸びる軸方向から見た平面図。
図3】(a)は図1の側面図、(b)は一部を省略した図2のA-A線部断面図。
図4】円筒状に湾曲させることで図1図示の円筒状コイルが形成される平板状コイルの一例を表す平面図。
図5】(a)は図4図示の平板状コイルの図4における左側を拡大して表した図、(b)は図4図示の平板状コイルの図4における右側を拡大して表した図。
図6図1図示の円筒状コイルで互いに接近して配置される各位相コイルそれぞれの位相コイル入力端及び位相コイル出力端の部分の一例を拡大して表す斜視図。
図7図6で位相コイル入力端、位相コイル出力端のそれぞれにおける束ねられている複数本の線材の線材入力端、線材出力端の状態を拡大して表す斜視図。
図8図4図示の状態の平板状コイルで図4の右端部分における各相コイルの配置形式の一例を表す一部を省略した斜視図。
図9図8図示の状態から各位相コイルが図4の上下方向における波状の湾曲を繰り返しながら上下方向に直交する左右方向に伸びてゆく一例を表す一部を省略した斜視図。
図10図9図示の状態から各位相コイルが図4の上下方向における波状の湾曲を繰り返しながら上下方向に直交する左右方向に伸びてゆく一例を表す一部を省略した斜視図。
図11図4図示の平面状コイルの図4における左端部分を拡大して表す一部を省略した斜視図。
図12図4図示の平板状コイルから図1図示の円筒状コイルを形成したときの回転軸が伸びる方向に図4図示の平板状コイルの上下方向を対応させたときの図4の左端部分における各位相コイルの配置形式の一例を表す一部を省略した平面図。
図13】内周面に磁石が配備されている円筒状のヨークが図1図示の円筒状コイルの径方向で外側に配備されている状態を表す斜視図。
図14図13図示の状態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図12を参照してこの実施形態の円筒状コイル1を説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る円筒状コイル1を表す斜視図である。図1図示の円筒状コイル1は、図1に仮想線100で示す回転電機の回転軸が伸びる軸方向に対して同心円状に、軸方向100に対して周方向になる円周方向で軸方向100を囲んで配置される。円筒状コイル1は複数の位相を備えている。この実施形態ではU相、V相、W相の三相からなる円筒状コイル1を説明する。
【0021】
円筒状コイル1は、複数の位相の中の一つ一つの位相を構成し、一つ一つがそれぞれ位相コイル入力端と位相コイル出力端とを有する複数の位相コイルから構成されている。
【0022】
実施の形態に係るU相、V相、W相の三相の円筒状コイル1は、U相コイル2、V相コイル3、W相コイル4から構成されている。U相コイル2は、一端にU相コイル入力端U21、他端にU相コイル出力端U22を備えている位相コイルである。V相コイル3は、一端にV相コイル入力端V31、他端にV相コイル出力端V32を有する位相コイルである。W相コイル4は、一端にW相コイル入力端W41、他端にW相コイル出力端W42を有する位相コイルである。
【0023】
このような複数の位相コイルが、一の位相コイルに対して他の位相コイルが、図1図示のように、軸方向100に対して周方向になる円周方向に、それぞれズレて配置されることで円筒状コイル1が構成されている。
【0024】
実施の形態に係るU相、V相、W相の三相の円筒状コイル1は、図1に示すように、U相コイル2に対してV相コイル3が円周方向にズレて配置され、V相コイル3に対してW相コイル4が円周方向にズレて配置されている。
【0025】
図4は、図1図示の円筒状コイル1が形成される前の扁平な状態の平板状コイル11を示すものである。図4における右端と、左端とが、図1における、軸方向100に対して周方向になる円周方向で近接するように、図4図示の平板状コイル11を円筒状に湾曲させることで、図1図示の円筒状コイル1が形成される。図4図示の平板状コイル11を円筒状に湾曲させて図1図示のような円筒状コイル1にしたときに、図4において、U相コイル入力端U21、V相コイル入力端V31、W相コイル入力端W41、W相コイル出力端W42が存在している平板状コイル11の左側と、図4における平板状コイル11の右側とが、図1図示のように、円周方向で近接する位置になる。このように、図4図示の状態の平板状コイル11を円筒状に湾曲させることで図1図示の円筒状コイル1が形成される。
【0026】
図1図示の状態で、U相コイル2に対してV相コイル3が円周方向にズレて配置され、V相コイル3に対してW相コイル4が円周方向にズレて配置されるようになる。そこで、円筒状に湾曲される前の平板状コイル11の時点でも、U相コイル2に対してV相コイル3が、図4において、右側にズレて配置され、V相コイル3に対してW相コイル4が、図4において、右側にズレて配置されている。
【0027】
各位相コイルは、一本一本がそれぞれ線材入力端と線材出力端とを有し、位相コイル入力端に位置する線材入力端から位相コイル出力端に位置する線材出力端へと伸びる複数本の長尺な導電性の線材が束ねられて構成されている。
【0028】
図示の実施形態では、U相コイル2、V相コイル3、W相コイル4のそれぞれは、いずれも6本の導電性の長尺な線材が束ねられて構成されていて、同一の構成、構造になっている。
【0029】
そこで、以下では、U相コイル2について説明し、V相コイル3、W相コイル4の説明を省略する。
【0030】
U相コイル2は6本の導電性の長尺な線材U5-1、U5-2、U5-3、U5-4、U5-5、U5-6が束ねられて構成されている(図6図7)。
【0031】
線材U5-1は、線材入力端U5-1-1と線材出力端U5-1-2とを備えていて、線材入力端U5-1-1から線材出力端U5-1-2へと延びている。線材U5-2は、線材入力端U5-2-1と線材出力端U5-2-2とを備えていて、線材入力端U5-2-1から線材出力端U5-2-2へと延びている。線材U5-3は、線材入力端U5-3-1と線材出力端U5-3-2とを備えていて、線材入力端U5-3-1から線材出力端U5-3-2へと延びている。線材U5-4は、線材入力端U5-4-1と線材出力端U5-4-2とを備えていて、線材入力端U5-4-1から線材出力端U5-4-2へと延びている。線材U5-5は、線材材入力端U5-5-1と線材出力端U5-5-2とを備えていて、線材入力端U5-5-1から線材出力端U5-5-2へと延びている。線材U5-6は、線材入力端U5-6-1と線材出力端U5-6-2とを備えていて、線材入力端U5-6-1から線材出力端U5-6-2へと延びている。
【0032】
図6図7図示のように、線材U5-1、U5-2、U5-3、U5-4、U5-5、U5-6の線材入力端U5-1-1、線材入力端U5-2-1、線材入力端U5-3-1、線材入力端U5-4-1、線材入力端U5-5-1、線材入力端U5-6-1は、いずれも、位相コイル入力端であるU相コイル入力端U21に位置している。
【0033】
また、線材U5-1、U5-2、U5-3、U5-4、U5-5、U5-6の線材出力端U5-1-2、線材出力端U5-2-2、線材出力端U5-3-2、線材出力端U5-4-2、線材出力端U5-5-2、線材出力端U5-6-2は、いずれも、位相コイル出力端であるU相コイル出力端U22に位置している。
【0034】
こうして、一本一本がそれぞれ線材入力端U5-1-1、線材入力端U5-2-1、線材入力端U5-3-1、線材入力端U5-4-1、線材入力端U5-5-1、線材入力端U5-6-1と、線材出力端U5-1-2、線材出力端U5-2-2、線材出力端U5-3-2、線材出力端U5-4-2、線材出力端U5-5-2、線材出力端U5-6-2とを有し、位相コイル入力端であるU相コイル入力端U21に位置する線材入力端U5-1-1、線材入力端U5-2-1、線材入力端U5-3-1、線材入力端U5-4-1、線材入力端U5-5-1、線材入力端U5-6-1から、位相コイル出力端であるU相コイル出力端U22に位置する線材出力端U5-1-2、線材出力端U5-2-2、線材出力端U5-3-2、線材出力端U5-4-2、線材出力端U5-5-2、線材出力端U5-6-2へと伸びる6本の長尺な導電性の線材U5-1、U5-2、U5-3、U5-4、U5-5、U5-6が束ねられて位相コイルとしてのU相コイル2が構成されている。
【0035】
長尺の導電性の線材U5-1、U5-2、U5-3、U5-4、U5-5、U5-6は、例えば、銅製で、それぞれその外周がエナメル層などで覆われている極細線である。線径は、例えば、0.05~0.2mmの範囲から選ばれる。束ねられた6本の線材U5-1、U5-2、U5-3、U5-4、U5-5、U5-6の全体は、ガラス繊維などからなる繊維状物で覆われている。
【0036】
このように長尺の導電性の線材が複数本で束ねられてなることから、各位相コイルも長尺なものとなり、U相コイル2は一端のU相コイル入力端U21から他端のU相コイル出力端U22へ伸びる長尺な位相コイル、V相コイル3は一端のV相コイル入力端V31から他端のV相コイル出力端V32へ伸びる長尺な位相コイル、W相コイル4は、一端のW相コイル入力端W41から他端のW相コイル出力端W42に伸びる長尺な位相コイルである。
【0037】
長尺なU相コイル2、長尺なV相コイル3、長尺なW相コイル4のそれぞれは、図1図示のように、軸方向100において波状に上下する湾曲を繰り返しながら円周方向に伸びている。図1図示のような円筒状に湾曲される前の扁平な状態の平板状コイル11では、長尺なU相コイル2、長尺なV相コイル3、長尺なW相コイル4のそれぞれが、図4で上下する波状に湾曲を繰り返しながら、円筒状に湾曲された際の円周方向に相当する、図4の左右方向に伸びている。
【0038】
図1のように、U相コイル2に対してV相コイル3が円周方向にズレて配置され、V相コイル3に対してW相コイル4が円周方向にズレて配置されているこの実施形態の円筒状コイル1では、図1図6図7に図示している形態で、長尺なU相コイル2、長尺なV相コイル3、長尺なW相コイル4のそれぞれが図1図示のように軸方向100において波状に上下する湾曲を繰り返しながら円周方向に伸びている。
【0039】
すなわち、U相コイル2、V相コイル3、W相コイル4のそれぞれにおいて、U相コイル入力端U21とU相コイル出力端U22とが円周方向において近接した位置に存在し、V相コイル入力端V31とV相コイル出力端V32とが円周方向において近接した位置に存在し、W相コイル入力端W41とW相コイル出力端W42とが円周方向において近接した位置に存在する。また、U相コイル入力端U21、U相コイル出力端U22、V相コイル入力端V31、V相コイル出力端V32、W相コイル入力端W41、W相コイル出力端W42の全体が円周方向において近接した位置に存在するように、長尺なU相コイル2、長尺なV相コイル3、長尺なW相コイル4のそれぞれが図1図示のように軸方向100において波状に上下する湾曲を繰り返しながら円周方向に伸びている。
【0040】
いずれもコイル入力端からコイル出力端へ伸びる長尺の位相コイルであって、図4の扁平な状態では図4において上下する波状に湾曲を繰り返しながら上下方向に直交する左右方向に伸び、図1の円筒状の状態では軸方向100で上下する波状の湾曲を繰り返しながら円周方向に伸びているU相コイル2、V相コイル3、W相コイル4それぞれの入力端、出力端が、円筒状コイル1の状態で、上述したように近接した位置に存在する実施形態の一例を図8図12を参照して説明する。
【0041】
図8は、図4図示の状態の平板状コイル11で図4の右端部分(図5(b))における各位相相コイルの配置形式の一例を表す一部を省略した斜視図である。図4の右側部分で各位相コイルがどのようにして図4の上下方向で波状に湾曲しつつ、図4の左右方向に伸びていくのかを説明する。
【0042】
W相コイル4では、図4の右側部分における下側の湾曲部W71から、コイル部分W4-2と、コイル部分W4-1とが伸びている。コイル部分W4-2は、W相コイル出力端W42からW相コイル入力端W41に向かう逆方向で伸びるコイル部分である。コイル部分W4-1は、W相コイル入力端W41からW相コイル出力端W42に向かう順方向で伸びるコイル部分である。
【0043】
V相コイル3では、図4の右側部分における下側の湾曲部V71から、コイル部分V3-2と、コイル部分V3-1とが伸びている。コイル部分V3-2は、V相コイル出力端V32からV相コイル入力端V31に向かう逆方向で伸びるコイル部分である。コイル部分V3-1は、V相コイル入力端V31からV相コイル出力端V32に向かう順方向で伸びるコイル部分である。
【0044】
U相コイル2では、図4の右側部分における下側の湾曲部U71から、コイル部分U2-2と、コイル部分U2-1とが伸びている。コイル部分U2-2は、U相コイル出力端U22からU相コイル入力端U21に向かう逆方向で伸びるコイル部分である。コイル部分U2-1は、U相コイル入力端U21からU相コイル出力端U22に向かう順方向で伸びるコイル部分である。
【0045】
図8では、W相コイル4に対してV相コイル3が図面の右側にズレて配置されている。また、V相コイル3に対してU相コイル2が図面の右側にズレて配置されている。
【0046】
図9は、図8図示の状態から各位相コイルが図4の上下方向における波状の湾曲を繰り返しながら上下方向に直交する左右方向に伸びてゆく一例を表す一部を省略した斜視図である。
【0047】
コイル部分W4-2は、湾曲部W71に対して上下方向で対向する側になる湾曲部W72で湾曲して再び湾曲部W71が存在する方向に向かい、湾曲部W71が存在する側で湾曲部W71が存在していた位置から図8において右方向にズレている次位の湾曲部W73で湾曲して再び湾曲部W72が存在する方向に向かう。こうして、W相コイル4を構成するコイル部分W4-2は、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図9の右方向に伸びていく。
【0048】
コイル部分V3-2は、湾曲部V71に対して上下方向で対向する側になる湾曲部V72で湾曲して再び湾曲部V71が存在する方向に向かい、湾曲部V71が存在する側で湾曲部V71が存在していた位置から図9において右方向にズレている次位の湾曲部V73で湾曲して再び湾曲部V72が存在する方向に向かう。こうして、V相コイル3を構成するコイル部分V3-2は、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図9の右方向に伸びていく。
【0049】
コイル部分U2-2は、湾曲部U71に対して上下方向で対向する側になる湾曲部U72で湾曲して再び湾曲部U71が存在する方向に向かい、湾曲部U71が存在する側で湾曲部U71が存在していた位置から図8において右方向にズレている次位の湾曲部U73で湾曲して再び湾曲部U72が存在する方向に向かう。こうして、U相コイル2を構成するコイル部分U2-2は、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図9の右方向に伸びていく。
【0050】
図9図示の実施形態では、W相コイル4の湾曲部W71に対してV相コイル3の湾曲部V71が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W71の上側(図面の正面側)にV相コイル3の湾曲部V71が配置されている。また、V相コイル3の湾曲部V71に対してU相コイル2の湾曲部U71が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V71の上側(図面の正面側)にU相コイル2の湾曲部U71が配置されている。
【0051】
また、図9図示の実施形態では、W相コイル4の湾曲部W72に対してV相コイル3の湾曲部V72が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W72の下側(図面の背面側)にV相コイル3の湾曲部V72が配置されている。また、V相コイル3の湾曲部V72に対してU相コイル2の湾曲部U72が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V72の下側(図面の背面側)にU相コイル2の湾曲部U72が配置されている。
【0052】
そして、図9図示の実施形態では、W相コイル4の湾曲部W73に対してV相コイル3の湾曲部V73が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W73の上側(図面の正面側)にV相コイル3の湾曲部V73が配置されている。また、V相コイル3の湾曲部V73に対してU相コイル2の湾曲部U73が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V73の上側(図面の正面側)にU相コイル2の湾曲部U73が配置されている。
【0053】
W相コイル4のコイル部分W4-2と、コイル部分W4-1とが、図9において重なる部分Dでは、コイル部分W4-2がコイル部分W4-1の上側(図面の正面側)に重なる配置になっている。
【0054】
V相コイル3のコイル部分V3-2と、コイル部分V3-1とが、図9において重なる部分Dでは、コイル部分V3-2がコイル部分V3-1の上側(図面の正面側)に重なる配置になっている。
【0055】
U相コイル2のコイル部分U2-2と、コイル部分U2-1とが、図98において重なる部分Dでは、コイル部分V2-2がコイル部分V2-1の上側(図面の正面側)に重なる配置になっている。
【0056】
図9において符号D、D、Dで示されている箇所は、各位相コイル2、3、4における位相コイル入力端U21、V21、W21からそれぞれの位相コイル出力端U22、V22、W22に向かう順方向で軸方向100に伸びる各位相コイルにおける順側軸方向部分になるコイル部分U2-1、V3-1、W4-1と、各位相コイル2、3、4における位相コイル出力端U22、V22、W22からそれぞれの位相コイル入力端U21、V21、W21に向かう逆方向で軸方向100に伸びる各位相コイルにおける逆側軸方向部分になるコイル部分U2-2、V3-2、W4-2とが、図1図示の状態の円筒状に形成された際に軸方向100に直交する半径方向で互いに重なり合うように交差する箇所になる。
【0057】
図10は、図9図示の状態に引き続いて、各位相コイルが図4の上下方向における波状の湾曲を繰り返しながら上下方向に直交する左右方向に伸びてゆく一例を表す一部を省略した斜視図である。
【0058】
図9図示のように、湾曲部W73で湾曲して再び湾曲部W72が存在する方向に向かうコイル部分W4-2は、湾曲部W72が存在する側で湾曲部W72が存在していた位置から図10において右方向にズレている次位の湾曲部W74で湾曲して再び湾曲部W71、W73が存在する方向に向かう。
【0059】
一方、コイル部分W4-1は、湾曲部W71から湾曲部W72が存在している側に向かって伸びて、湾曲部W72が存在している側において、湾曲部W72が存在していた位置から図10において右方向にズレていて、なおかつ、上述した湾曲部W74よりは、図10において左方向にズレている湾曲部W75で湾曲して再び湾曲部W71、W73が存在する方向に向かい、湾曲部W73が存在していた位置から図10において右方向にズレている次位の湾曲部W76で湾曲して再び湾曲部W72、W75、W74が存在する方向に向かう。
【0060】
図9図示のように、湾曲部V73で湾曲して再び湾曲部V72が存在する方向に向かうコイル部分V3-2は、湾曲部V72が存在する側で湾曲部V72が存在していた位置から図10において右方向にズレている次位の湾曲部V74で湾曲して再び湾曲部V71、V73が存在する方向に向かう。
【0061】
一方、コイル部分V3-1は、湾曲部V71から湾曲部V72が存在している側に向かって伸びて、湾曲部V72が存在している側において、湾曲部V72が存在していた位置から図10において右方向にズレていて、なおかつ、上述した湾曲部V74よりは、図10において左方向にズレている湾曲部V75で湾曲して再び湾曲部V71、V73が存在する方向に向かい、湾曲部V73が存在していた位置から図10において右方向にズレている次位の湾曲部V76で湾曲して再び湾曲部V72、V75、V74が存在する方向に向かう。
【0062】
図9図示のように、湾曲部U73で湾曲して再び湾曲部U72が存在する方向に向かうコイル部分U2-2は、湾曲部U72が存在する側で湾曲部U72が存在していた位置から図10において右方向にズレている次位の湾曲部U74で湾曲して再び湾曲部U71、U73が存在する方向に向かう。
【0063】
一方、コイル部分U2-1は、湾曲部U71から湾曲部U72が存在している側に向かって伸びて、湾曲部U72が存在している側において、湾曲部U72が存在していた位置から図10において右方向にズレていて、なおかつ、上述した湾曲部U74よりは、図10において左方向にズレている湾曲部U75で湾曲して再び湾曲部U71、U73が存在する方向に向かい、湾曲部U73が存在していた位置から図10において右方向にズレている次位の湾曲部U76で湾曲して再び湾曲部U72、U75、U74が存在する方向に向かう。
【0064】
図10図示の実施形態では、U相コイル2の湾曲部U71に対してW相コイル4の湾曲部W73が図面の右側にズレて、U相コイル2の湾曲部U71の上側(図面の正面側)にW相コイル4の湾曲部W73が配置されている。また、W相コイル4の湾曲部W73に対してV相コイル3の湾曲部V73が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W73の上側(図面の正面側)にV相コイル3の湾曲部V73が配置されている。V相コイル3の湾曲部V73に対してU相コイル2の湾曲部U73が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V73の上側(図面の正面側)にU相コイル2の湾曲部U73が配置されている。
【0065】
更に、U相コイル2の湾曲部U73に対してW相コイル4の湾曲部W76が図面の右側にズレて、U相コイル2の湾曲部U73の上側(図面の正面側)にW相コイル4の湾曲部W76が配置されている。W相コイル4の湾曲部W76に対してV相コイル3の湾曲部V76が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W76の上側(図面の正面側)にV相コイル3の湾曲部V76が配置されている。V相コイル3の湾曲部V76に対してU相コイル2の湾曲部U76が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V76の上側(図面の正面側)にU相コイル2の湾曲部U76が配置されている。
【0066】
また、図10図示の実施形態では、U相コイル2の湾曲部U72に対してW相コイル4の湾曲部W75が図面の右側にズレて、U相コイル2の湾曲部U72の下側(図面の背面側)にW相コイル4の湾曲部W75が配置されている。また、W相コイル4の湾曲部W75に対してV相コイル3の湾曲部V75が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W75の下側(図面の背面側)にV相コイル3の湾曲部V75が配置されている。V相コイル3の湾曲部V75に対してU相コイル2の湾曲部U75が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V75の下側(図面の背面側)にU相コイル2の湾曲部U75が配置されている。
【0067】
そして、U相コイル2の湾曲部U75に対してW相コイル4の湾曲部W74が図面の右側にズレて、U相コイル2の湾曲部U75の下側(図面の背面側)にW相コイル4の湾曲部W74が配置されている。W相コイル4の湾曲部W74に対してV相コイル3の湾曲部V74が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W74の下側(図面の背面側)にV相コイル3の湾曲部V74が配置されている。V相コイル3の湾曲部V74に対してU相コイル2の湾曲部U74が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V74の下側(図面の背面側)にU相コイル2の湾曲部U74が配置されている。
【0068】
図11図12は、図4図示の状態の平板状コイル11で図4の左端部分(図5(a))における各位相相コイルの配置形式の一例を表す一部を省略した斜視図である。図4の左側部分で各位相コイルがどのようにして図4の上下方向で波状に湾曲しつつ、図4の左右方向に伸びてきたのかを説明する。
【0069】
図11図12では、U相コイル2に対してV相コイル3が図面の右側にズレて配置されている。また、V相コイル3に対してW相コイル4が図面の右側にズレて配置されている。
【0070】
図11図12は、各位相コイルが図4の上下方向における波状の湾曲を繰り返しながら上下方向に直交する左右方向に伸びて、図1図示のように、長尺なU相コイル2、V相コイル3、W相コイル4のそれぞれが図1図示の軸方向100において波状に上下する湾曲を繰り返しながら円周方向に伸びることで、U相コイル2、V相コイル3、W相コイル4のそれぞれにおいて、図1図示のように、U相コイル入力端U21、U相コイル出力端U22、V相コイル入力端V31、V相コイル出力端V32、W相コイル入力端W41、W相コイル出力端W42の全体が円周方向において近接した位置に存在するようになる一例を表す一部を省略した斜視図である。
【0071】
U相コイル2では、U相コイル入力端U21からU相コイル出力端U22に向かう順方向で伸びるコイル部分であるコイル部分U2-1は、図4の左側部分における上側の湾曲部U7nで湾曲して湾曲部U7nに対して上下方向で対向する側になる湾曲部U7(n-1)が存在する方向に向かい、湾曲部U7(n-1)で湾曲して再び湾曲部W7nが存在する方向に向かい、湾曲部W7nが存在する側で湾曲部W7nが存在していた位置から図11図12において右方向にズレている次位の湾曲部W7(n-2)で湾曲して再び湾曲部W7(n-1)が存在する方向に向かう。こうして、U相コイル2を構成するコイル部分U2-1は、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図11図12の左右方向に伸びている。
【0072】
また、U相コイル出力端U22からU相コイル入力端U21に向かう逆方向で伸びるコイル部分であるコイル部分U2-2は、湾曲部U7n、湾曲部U7(n-2)が存在する側において、湾曲部U7nより図面において右側で、湾曲部U7(n-2)より図面において左側に位置する湾曲部U7(n-3)で湾曲して湾曲部U7(n-1)が存在する方向に向かい、湾曲部U7(n-4)で湾曲して再び湾曲部U7n、U7(n-3)が存在する方向に向かう。こうして、U相コイル2を構成するコイル部分U2-2も、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図11図12の左右方向に伸びている。
【0073】
V相コイル3では、V相コイル入力端V31からV相コイル出力端U32に向かう順方向で伸びるコイル部分であるコイル部分V3-1は、図4の左側部分における上側の湾曲部V7nで湾曲して湾曲部V7nに対して上下方向で対向する側になる湾曲部V7(n-1)が存在する方向に向かい、湾曲部V7(n-1)で湾曲して再び湾曲部V7nが存在する方向に向かい、湾曲部V7nが存在する側で湾曲部V7nが存在していた位置から図11図12において右方向にズレている次位の湾曲部V7(n-2)で湾曲して再び湾曲部V7(n-1)が存在する方向に向かう。こうして、V相コイル3を構成するコイル部分V2-1は、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図11図12の左右方向に伸びている。
【0074】
また、V相コイル出力端V22からV相コイル入力端V21に向かう逆方向で伸びるコイル部分であるコイル部分V2-2は、湾曲部V7n、湾曲部V7(n-2)が存在する側において、湾曲部V7nより図面において右側で、湾曲部V7(n-2)より図面において左側に位置する湾曲部V7(n-3)で湾曲して湾曲部V7(n-1)が存在する方向に向かい、湾曲部V7(n-4)で湾曲して再び湾曲部V7n、V7(n-3)が存在する方向に向かう。こうして、V相コイル3を構成するコイル部分V2-2も、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図11図12の左右方向に伸びている。
【0075】
W相コイル4では、W相コイル入力端W41からW相コイル出力端W42に向かう順方向で伸びるコイル部分であるコイル部分W3-1は、図4の左側部分における上側の湾曲部W7nで湾曲して湾曲部W7nに対して上下方向で対向する側になる湾曲部W7(n-1)が存在する方向に向かい、湾曲部W7(n-1)で湾曲して再び湾曲部W7nが存在する方向に向かい、湾曲部W7nが存在する側で湾曲部W7nが存在していた位置から図11図12において右方向にズレている次位の湾曲部W7(n-2)で湾曲して再び湾曲部W7(n-1)が存在する方向に向かう。こうして、W相コイル4を構成するコイル部分W2-1は、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図11図12の左右方向に伸びている。
【0076】
また、W相コイル出力端W42からW相コイル入力端W41に向かう逆方向で伸びるコイル部分であるコイル部分W4-2は、湾曲部W7n、湾曲部W7(n-2)が存在する側において、湾曲部W7nより図面において右側で、湾曲部W7(n-2)より図面において左側に位置する湾曲部W7(n-3)で湾曲して湾曲部W7(n-1)が存在する方向に向かい、そこで湾曲して再び湾曲部W7(n-3)が存在する方向に向かう。こうして、V相コイル3を構成するコイル部分V2-2も、円筒状コイル1が構成されたときの軸方向100で波状に上下する湾曲を繰り返しながら、円筒状コイル1が構成されたときの円周方向である図11図12の左右方向に伸びている。
【0077】
図11図12図示の実施形態では、U相コイル2の湾曲部U7nに対してV相コイル3の湾曲部V7nが図面の右側にズレて、U相コイル2の湾曲部U7nの下側(図面の背面側)にV相コイル3の湾曲部V7nが配置されている。
【0078】
V相コイル3の湾曲部V7nに対してW相コイル4の湾曲部W7nが図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V7nの下側(図面の背面側)にW相コイル4の湾曲部W7nが配置されている。
【0079】
U相コイル2の湾曲部U7(n-1)に対してV相コイル3の湾曲部V7(n-1)が図面の右側にズレて、U相コイル2の湾曲部U7(n-1)の上側(図面の正面側)にV相コイル3の湾曲部V7(n-1)が配置されている。
【0080】
V相コイル3の湾曲部V7(n-1)に対してW相コイル4の湾曲部W7(n-1)が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V7(n-1)の上側(図面の正面側)にW相コイル4の湾曲部W7(n-1)が配置されている。
【0081】
W相コイル4の湾曲部W7nに対してU相コイル2の湾曲部U7(n-3)が図面の右側にズレて、W相コイル4の湾曲部W7nの下側(図面の背面側)にU相コイル2の湾曲部U7(n-3)が配置されている。
【0082】
U相コイル2の湾曲部U7(n-3)に対してV相コイル3の湾曲部V7(n-3)が図面の右側にズレて、U相コイル2の湾曲部U7(n-3)の下側(図面の背面側)にV相コイル3の湾曲部V7(n-3)が配置されている。
【0083】
V相コイル3の湾曲部U7(n-3)に対してW相コイル4の湾曲部W7(n-3)が図面の右側にズレて、V相コイル3の湾曲部V7(n-3)の下側(図面の背面側)にW相コイル4の湾曲部W7(n-3)が配置されている
U相コイル2のコイル部分U2-1と、コイル部分U2-2とが、図11、12において重なる部分Dでは、コイル部分U2-1がコイル部分U2-2の上側(図面の正面側)に重なる配置になっている。
【0084】
V相コイル3のコイル部分V3-1と、コイル部分V3-2とが、図11、12において重なる部分Dn-1では、コイル部分V3-1がコイル部分V3-2の上側(図面の正面側)に重なる配置になっている。
【0085】
W相コイル4のコイル部分W4-1と、コイル部分W4-2とが、図11、12において重なる部分Dn-2では、コイル部分W4-1がコイル部分W4-2の上側(図面の正面側)に重なる配置になっている。
【0086】
W相コイル4のコイル部分W4-1と、コイル部分W4-2とが、図11、12において重なる部分Dn-2の図面において右側になる符号Dn-3で示す箇所において、再度、U相コイル2のコイル部分U2-1と、コイル部分U2-2とが重なり、ここでは、コイル部分U2-2がコイル部分U2-1の上側(図面の正面側)に重なる配置になる。
【0087】
U相コイル2のコイル部分U2-1と、コイル部分U2-2とが、図11、12において重なる部分Dn-3の図面において右側になる符号Dn-4で示す箇所において、再度、V相コイル3のコイル部分V3-1と、コイル部分V3-2とが重なり、ここでは、コイル部分V3-2がコイル部分V3-1の上側(図面の正面側)に重なる配置になる。
【0088】
V相コイル3のコイル部分V3-1と、コイル部分V3-2とが、図11、12において重なる部分Dn-4の図面において右側になる符号Dn-5で示す箇所において、再度、W相コイル4のコイル部分W4-1と、コイル部分W4-2とが重なり、ここでは、コイル部分W4-2がコイル部分W4-1の上側(図面の正面側)に重なる配置になる。
【0089】
図9において符号D、D、Dで示されている箇所は、各位相コイル2、3、4における位相コイル入力端U21、V21、W21からそれぞれの位相コイル出力端U22、V22、W22に向かう順方向で軸方向100に伸びる各位相コイルにおける順側軸方向部分になるコイル部分U2-1、V3-1、W4-1と、各位相コイル2、3、4における位相コイル出力端U22、V22、W22からそれぞれの位相コイル入力端U21、V21、W21に向かう逆方向で軸方向100に伸びる各位相コイルにおける逆側軸方向部分になるコイル部分U2-2、V3-2、W4-2とが、図1図示の状態の円筒状に形成された際に軸方向100に直交する半径方向で互いに重なり合うように交差する箇所になる。
【0090】
同様に、図11、12において符号D、Dn-1、Dn-2、Dn-3、Dn-4、Dn-5で示されている箇所は、各位相コイル2、3、4における位相コイル入力端U21、V21、W21からそれぞれの位相コイル出力端U22、V22、W22に向かう順方向で軸方向100に伸びる各位相コイルにおける順側軸方向部分になるコイル部分U2-1、V3-1、W4-1と、各位相コイル2、3、4における位相コイル出力端U22、V22、W22からそれぞれの位相コイル入力端U21、V21、W21に向かう逆方向で軸方向100に伸びる各位相コイルにおける逆側軸方向部分になるコイル部分U2-2、V3-2、W4-2とが、図1図示の状態の円筒状に形成された際に軸方向100に直交する半径方向で互いに重なり合うように交差する箇所になる。
【0091】
図8図12を用いて以上に説明した配置構成で、長尺なU相コイル2、V相コイル3、W相コイル4のそれぞれが図1図示の軸方向100において波状に上下する湾曲を繰り返しながら円周方向に伸びることで、U相コイル2、V相コイル3、W相コイル4のそれぞれにおいて、図1図示のように、U相コイル入力端U21、U相コイル出力端U22、V相コイル入力端V31、V相コイル出力端V32、W相コイル入力端W41、W相コイル出力端W42の全体が円周方向において近接した位置に存在するようになっている。
【0092】
すなわち、U相コイル2、V相コイル3、W相コイル4のそれぞれにおいて、図1図示のように、U相コイル入力端U21、U相コイル出力端U22、V相コイル入力端V31、V相コイル出力端V32、W相コイル入力端W41、W相コイル出力端W42の全体が円周方向において近接した位置に存在する図8図12を用いて以上に説明した配置構成では、位相コイル2、3、4における位相コイル入力端U21、V31、W41から位相コイル出力端U22、V32、W42に向かう順方向で軸方向100に伸びる位相コイル2、3、4における順側軸方向部分U2-1、V3-1、W4-1と、位相コイル2、3、4における位相コイル出力端U22、V32、W42から位相コイル入力端U21、V31、W41に向かう逆方向で軸方向100に伸びる位相コイル2,3、4における逆側軸方向部分U2-2、V3-2、W4-2とが、軸方向100に直交する半径方向で互いに重なり合うように交差して位相コイル2、3、4が円周方向に伸びている構造になっている。
【0093】
そして、この順側軸方向部分U2-1、V3-1、W4-1と、逆側軸方向部分U2-2、V3-2、W4-2との間の互いに重なり合う交差では、円周方向に隣接する交差位置D、D、D、D、Dn-1、Dn-2、Dn-3、Dn-4、Dn-5ごとに、順側軸方向部分U2-1、V3-1、W4-1と、逆側軸方向部分U2-2、V3-2、W4-2との位置が軸方向100に直交する半径方向で内外に入れ替わる構造になっている。
【0094】
また、図10図12の交差位置D、D、D、D、Dn-1、Dn-2、Dn-3、Dn-4、Dn-5に図示されているように、順側軸方向部分U2-1、V3-1、W4-1と、逆側軸方向部分U2-2、V3-2、W4-2との間の互いに重なり合う交差は一つ一つの位相コイル2、3、4における順側軸方向部分U2-1と逆側軸方向部分U2-2との間、順側軸方向部分V3-1と逆側軸方向部分V3-2との間、順側軸方向部分W4-1と逆側軸方向部分W4-2との間でのみ行われる。
【0095】
そして、位相コイル2、3、4における円周方向で隣接している順側軸方向部分U2-1、V3-1、W4-1と逆側軸方向部分U2-2、V3-2、W4-2との間の交差位置同士の間で、一又は複数の他の位相コイル2、3、4における順側軸方向部分U2-1、V3-1、W4-1と逆側軸方向部分U2-2、V3-2、W4-2との間の交差が行われるようになっている。
【0096】
図12では、U相コイル2のコイル部分U2-1と、コイル部分U2-2とが、図11、12において交差する位置であるDとDn-3との間において、Dn-1の交差位置でV相コイル3のコイル部分V3-1と、コイル部分V3-2とが交差し、Dn-2の交差位置でW相コイル4のコイル部分W4-1と、コイル部分W4-2とが交差している。
【0097】
このような構造であることから、図12のように拡大した状態を側面から見ると、円周方向に隣接している交差位置D、Dn-1、Dn-2、Dn-3、Dn-4、Dn-5同士の間には、微小な空隙部が存在することになり、これは、円筒状コイル1を半径方向に貫通する空隙部になる。図8図12で説明した位相コイル2、3、4の構造では、円周方向に隣接している交差位置D、Dn-1、Dn-2、Dn-3、Dn-4、Dn-5同士の間に存在する空隙部は、円筒状コイル1の円周方向において均等に形成される。
【0098】
この空隙部は、円筒状コイル1を半径方向に貫通して流動する流体の通路になる。そこで、この空隙部を利用して円筒状コイル1を半径方向に貫通して冷媒を流動させることが可能になる。
【0099】
図13図14は、内周面に磁石が配備されている円筒状のヨーク102この実施形態の円筒状コイル1の径方向で外側に配備されて回転電機102が構成される場合の一例を説明する概念図である。このように、この実施形態の円筒状コイルをロータと組み合わせて回転電機に使用する場合、円筒状コイルに通電すると円筒状コイルが発熱する。回転電機を構成するハウジング内に液状体などの冷媒を収容し、ロータの回転によって当該冷媒をハウジング内で流動、飛散させて発熱体の冷却を行うことが考えられる。このような場合に、上述したように、円筒状コイル1を構成する周壁に円周方向で均等に形成されている上述した空隙部を前記冷媒の流動通路にすることで、発熱体を効率よく冷却することが可能になる。
【0100】
図1図12を用いて説明した上述の実施形態の円筒状コイル1は、使用するコイルが3つ以上の複数からなっている。複数の各コイルは、それぞれ複数本の長尺の導線を絶縁処理して1本に束ね、その1本に束ねた線材を入力端から出力端に伸びる間で、上述したように、同じパターンで、繰り返して巻回若しくは蛇行させることにより帯状のコイル素材にしている。そして、このように準備した帯状のコイル素材を、使用する相の数(例えば、U相、V相、W相の3相)用意し、各相ごとに帯状コイル素材の入力端と出力端とが円周方向で近接した位置になるように円環としたコイル体である。
【0101】
ここで、上述したように、複数相に対応している複数のコイルのそれぞれは、複数本の長尺の導線を絶縁処理して1本に束ね、その1本に束ねた線材を入力端から出力端に伸びる間で同じパターンで繰り返して巻回若しくは蛇行させることにより帯状のコイル素材にしている。そこで、複数本の線材を一緒に巻くことになり、巻くのが簡単で、巻線製造の自動化が容易になる。
【0102】
この実施形態の円筒状コイル1は、上述した構成、構造であることから循環電流が生じないものになる。また、回生電力が生じないものになる。
【0103】
複数相の円筒状コイルを構成する複数の長尺な位相コイルのそれぞれは、複数本の長尺な導電性の線材が束ねられて形成されているので、位相コイルに採用される線材の本数の選定で色々なコイル数や接続パターンが簡単に仕様変更できる。
【0104】
複数相の円筒状コイルを構成する複数の長尺な位相コイルのそれぞれは、複数本の長尺な導電性の線材が束ねられて形成されているので、導電性の各線材のそれぞれがコイルになる。すなわち、上述した実施形態のように、導線を6本使用している場合には6個のコイルになる。
【0105】
希望するコイル数の線材を一束にして、円筒状コイルの軸方向で、波状に上下する湾曲を繰り返しながら円筒状コイルの円周方向に伸びている。
【0106】
コイル数は線材の本数で決めれる。そこで、コイルのばらつきを少なくし、循環電流の発生を抑制し、容易に製作することができる。
【0107】
製造上のコイル単位体の概念が無いのでコイル単位体ごとの形状や位置のばらつきによる循環電流が生じにくい。
【0108】
所望コイル数と同数本の線材を束にして一緒に蛇行巻回することによって個別にコイルを調整する必要が無い、均質のコイル体ができる、上下端部位の線材料が減るから銅損が減る。
【0109】
この実施形態の円筒状コイルによれば、線材の量が減り、コスト低減だけでなく、銅損が減るのでモータ効率が良くな。
【0110】
従来公知の亀の甲状のコイル単位体を連ねて円筒にする場合、回転軸が伸びる方向である円筒の上下は波型に突出する。この突出部はモータ特性に寄与しない。しかも、このモータ特性に寄与しない部分が銅損としてモータ効率にマイナスとなる。その観点からすれば、上述した実施形態での、同じパターンで、繰り返して巻回若しくは蛇行させることにより形成している帯状のコイル素材によれば、このような不都合を無くすことができる。
【0111】
上述した実施形態での、同じパターンで、繰り返して巻回若しくは蛇行させることにより形成している帯状のコイル素材によれば、上下はみ出し部の厚さも2層で実質的に均等化できる。従来公知の亀の甲状のコイル単位体を連ねて円筒にする場合、上下はみ出し部はモータトルクに寄与しない部分であった。
上述した実施形態での、同じパターンで、繰り返して巻回若しくは蛇行させることにより形成している帯状のコイル素材によれば、全体が2層化されるのではみだし部も或る程度寄与するようになるからコイルの無駄が無くなり、かつ、使用巻き線の量が減るから銅損も減り、厚さの均等化で強度も向上する。厚さの均等化によりコイルのモータ内での設置位置の自由度を高めることができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明したが、本発明は上述した実施形態に限られることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14