(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010484
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】灰を使わない線香立てワイヤースタンド
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A47G33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021132468
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】513222049
【氏名又は名称】河野 憲一
(72)【発明者】
【氏名】河野 憲一
(57)【要約】
【課題】 灰の中に次々と潜り溜る線香の燃えカス除去掃除の苦痛から解放される、灰を使わない線香立てワイヤースタンドを提供する。
【解決手段】 不燃性材で成る受け皿に線香立てワイヤースタンドをセットして使用され、ワイヤースタンドは、前後壁と左右壁の四方壁面に囲まれて上下面が抜けた内側空間に複数平行なワイヤー列面を4段に形成されて段違いワイヤー格子状の線香立てスタンドと成し、点火された線香は、途中四点でワイヤーと接触しつつも消えることなく、受け皿のマット面には燃え残った灰のみで掃除の面倒さもないことを特徴とする灰を使わない線香立てワイヤースタンド。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不燃材製の受け皿と、その上に簡単に載せ置くワイヤースタンドから成り、
受け皿において、
ワイヤースタンドの縦・横幅よりもわずかに幅広の底面の外周縁から浅く立ちあがった外壁即ち皿壁が備わり、底面は不燃・断熱性のマットで形成され、このマット面上に、ワイヤースタンドが脚を接地させてセットされ、使用されるのであるが、
ワイヤースタンドにおいて、
薄板状の四方壁を有し、上下面が抜けた箱型になっており、四方壁の対向する一組の壁面を前後壁と称し、もう一組の対向する壁面を左右壁と称するが、
左右壁の上端は前後壁の上端より少し下方位置に、下端は前後壁の下端より少し上方位置になる形で形成されており、
前後壁も左右壁も共に、それぞれの薄厚壁の上端面と下端面に、数mm幅の等間隔で対向対称的に、複数の小さな浅い溝即ちワイヤー設置溝が設けてあり、
この対向対称的なワイヤー設置溝同士に、不燃性の細いワイヤーを渡し架け、複数平行のワイヤー列で成るワイヤー列面が上下に間隔を置いて4段に分かれ、
上から1段目と2段目、3段目と4段目という二組の上下に隣接する段のワイヤー列が相互に直交し、
これを真上から見た時に、上から1段目と4段目、2段目と3段目という二組の各組内においてワイヤー列は各々ピタッと重なり合いつつ、組相互において交差して、きれいな格子状即ち段違いワイヤー格子として現れ、
四方壁の四隅角において前後壁下端から垂下してマット面接地に至る脚の長さ、即ち4段目ワイヤー列面とマット面との間隔は、凡そ10数mmが適当であり、
以上を特徴とする、灰を使わない線香立てワイヤースタンド。
【請求項2】
4段に分かれたワイヤー列面におけるワイヤー列が、各段毎に順次交互に交差する形で形成されたことを特徴とする、請求項1における、灰を使わない線香立てワイヤースタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に仏壇用に使われている香炉の中の灰などに線香を差し込んで焼香する方法の弊害を除去する線香立て具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、香炉に線香を立てる場合は、香炉の中の灰などの中に線香を差し込んで焼香するのであるが、差し込んだ線香の部分は燃え残りその数量が多くなると後で差しにくくなるので、適当な時期に灰などの中の燃えカスをきれいに取り除いていた。
最近では海外からのそれらの問題点を多少解消する器具も知られている。
2段式の金属プレートに特殊内面加工をして開けた穴に線香を差し込む方式を用い、燃え残りしない線香立ての器具も知られている(特許文献1参照)。
又、筒状部の中に不燃性繊維を充填させた状態の下、線香支持孔を備えた構造で線香を完全に燃焼しきる器具も知られ(特許文献2参照)、火のついた線香の転倒を防ぎ自然消火する線香立ても知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2016-059750号公報
【特許文献2】特許公開2005-131270号公報
【特許文献3】特許公開2006-204846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、香炉の中の灰などに線香を差し込んで焼香するのが一般的であるが、灰などに線香を差し込むと灰の中の部分は燃え残り、その数が多くなれば以後の線香の差し込みを妨げるようになり、よって時折は燃えカスを取り除く手作業が必ず必要であった。
しかし、それらの問題と面倒さを解決する為には、香炉の中の灰などを一切使わずに従来のように焼香が出来て且つ燃えカスが残らない香炉用の焼香の器具が必要であるけれども、容易には解決が出来ず現在に至っており、灰を使わない香炉用の線香立てが輸入されてはいるが、線香の燃え残りが生じ単なる灰を使わないだけの香炉用の器具のようで、問題解決のためには更なる努力が必要である。
参照文献1に示される先行技術は、2段の金属プレートに開ける特殊な内面加工の孔で線香を直立させ、線香の熱を奪わないために線香との接点を点のようにする孔加工は画期的案ではあるが、線香を特殊加工の孔に挿入する時に引っ掛かり易く取り扱いの面で不便がある。
参照文献2に示される先行技術は、筒状容器に不燃性繊維を充填し線香挿入用の開口部も設けているが、焼香によって次第に灰が線香挿入路を塞ぐこと、線香挿入路内で線香が立ち消えた場合など燃えカスや灰の処理をする手作業の面倒がある。
又、参照文献3に示される先行技術は、器具の下部に灰などを使い上部金網の部分で線香が消え下部の線香は燃え残りとなるため、従来の問題点などを解決が出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
陶器や金属等の不燃材製の受け皿と、その上に簡単に載せ置くワイヤースタンドから成り、これまで使ってきた香炉の中の灰の上に受け皿ごと簡単に据え置いて使用されるものであって、受け皿にワイヤースタンドを載せ置いた状態において以下説明する。
受け皿において、ワイヤースタンドの縦・横幅よりもわずかに幅広の底面の外周縁から浅く立ちあがった外壁即ち皿壁が備わり、底面は不燃・断熱性のマットで形成され、このマット面上に、ワイヤースタンドが脚を接地させてセットされる。
ワイヤースタンドにおいて、薄板状の四方壁を有し、上下面が抜けた箱型になっており、四方壁の対向する一組の壁面の高さ幅は約18mm~25mmで、これを前後壁と称し、もう一組の対向する壁面の高さ幅は約10mm~15mmで、こちらを左右壁と称するが、左右壁の上端は前後壁の上端より約4mm~5mm下方位置に、下端は前後壁の下端より約4mm~5mm上方位置になる形で形成されており、前後壁も左右壁も共に、それぞれの薄厚壁の上端面と下端面に、数mm幅の等間隔で対向対称的に、複数の小さな浅い溝即ちワイヤー設置溝が設けてあり、この対向対称的なワイヤー設置溝同士に、不燃性の細いワイヤーを渡し架け、複数平行のワイヤー列で成るワイヤー列面が上下に間隔を置いて4段に分かれ、上から1段目と2段目、3段目と4段目という二組の上下に隣接する段のワイヤー列が相互に直交する形で形成されており、これを真上から見た時に、上から1段目と4段目、2段目と3段目という二組の各組内においてワイヤー列は各々ピタッと重なり合いつつ、組相互において交差して、きれいな格子状即ち段違いワイヤー格子として現れる。
四方壁の四隅角において前後壁下端から垂下してマット面接地に至る脚の長さ、即ち4段目ワイヤー列面とマット面との間隔は約10mm~15mmが適当である。
この段違い格子状の穴に上から線香を差し通せば、線香の下端は受け皿のマットに接地して、そこに灰層が全くなくても、線香は、段違いワイヤー格子によって上下4点で支えられて直立を保持し、且つ格子との接触も細いワイヤーとの点接触にとどまるので、上から下方へ燃え移っていく際に途中で火が消えたり倒れたりすることはなく、火が一番下の4段目のワイヤー列面を過ぎて線香が倒れる時の残り線香の長さは約10mm~15mmであり、マット面に倒れても火はしばらくくすぶり、火が消えて最終的にマット上にカス灰として残るだけなので、除去も簡単至極である。
以上を特徴とする、灰を使わない線香立てワイヤースタンド。
【発明の効果】
【0006】
1、本発明において、線香が燃焼している時に燃焼帯域(燃焼をしている部分+燃焼の継続に必要な熱量を保持している部分)内では、当該の細い不燃性のワイヤー1本とだけの点接触で燃焼の継続に必要な熱量が確保されて、線香の火が途中で消えることなくスムーズに下方に燃え移ることが出来る。
2、段違いワイヤー格子により線香の直立安定と燃焼の持続性が得られ、受け皿のマット面上に線香が倒れても火は消えずに燃え続け、唯カス灰が残るだけ。
3、線香を差す場合に灰などを使わない、線香を立てて差し込む、燃焼の途中で火は消えない、燃えカスは全く無くてカス灰だけになる、以上の懸案の総てを一括して解決することは、本発明によって十分に達成されたので、受け皿のカス灰を処分するだけで良くなりとても簡単になった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の一部であるワイヤースタンドの平面図
【
図3】本発明の一部であるワイヤースタンドの底面図
【
図4】本発明の一部であるワイヤースタンドの正面図
【
図5】本発明の一部であるワイヤースタンドの側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。
陶器や金属等の不燃材製の受け皿(1)と、その上に簡単に載せ置くワイヤースタンド(4)から成り、これまで使ってきた香炉の中の灰の上に受け皿(1)ごと簡単に据え置いて使用されるものであって、受け皿(1)にワイヤースタンド(4)を載せ置いた状態において以下説明する。
受け皿(1)において、ワイヤースタンド(4)の縦・横幅よりもわずかに幅広の底面の外周縁から浅く立ちあがった外壁即ち皿壁(2)が備わり、底面は不燃・断熱性のマットで形成され、このマット面(3)上に、ワイヤースタンド(4)が脚(13)を接地させてセットされる。
ワイヤースタンド(4)において、薄板状の四方壁を有し、上下面が抜けた箱型になっており、四方壁の対向する一組の壁面の高さ幅は約18mm~25mmで、これを前後壁(5)と称し、もう一組の対向する壁面の高さ幅は約10mm~15mmで、こちらを左右壁(6)と称するが、左右壁(6)の上端は前後壁(5)の上端より約4mm~5mm下方位置に、下端は前後壁(5)の下端より約4mm~5mm上方位置になる形で形成されており、前後壁(5)も左右壁(6)も共に、それぞれの薄厚壁の上端面(7)と下端面(8)に、数mm幅の等間隔で対向対称的に、複数の小さな浅い溝即ちワイヤー設置溝(9)が設けてあり、この対向対称的なワイヤー設置溝(9)同士に、不燃性の細いワイヤー(10)を渡し架け、複数平行のワイヤー列で成るワイヤー列面(11)が上下に間隔を置いて4段に分かれ、上から1段目と2段目、3段目と4段目という二組の上下に隣接する段のワイヤー列が相互に直交する形で形成されており、これを真上から見た時に、上から1段目と4段目、2段目と3段目という二組の各組内においてワイヤー列は各々ピタッと重なり合いつつ、組相互において交差して、きれいな格子状即ち段違いワイヤー格子(12)として現れる。
四方壁の四隅角において前後壁(5)下端から垂下してマット面(3)接地に至る脚(13)の長さ、即ち4段目ワイヤー列面(11)とマット面(3)との間隔は約10mm~15mmが適当である。
この段違い格子状の穴に上から線香を差し通せば、線香の下端は受け皿(1)のマットに接地して、そこに灰層が全くなくても、線香は、段違いワイヤー格子(12)によって上下4点で支えられて直立を保持し、且つ格子との接触も細いワイヤー(10)との点接触にとどまるので、上から下方へ燃え移っていく際に途中で火が消えたり倒れたりすることはなく、火が一番下の4段目のワイヤー列面(11)を過ぎて線香が倒れる時の残り線香の長さは約10mm~15mmであり、マット面(3)に倒れても火はしばらくくすぶり、火が消えて最終的にマット上にカス灰として残るだけなので、除去も簡単至極である。
本発明は以上のような構成であり、以下これを実際に使う場合の具体的な形態を説明する。
1、従来使っている香炉に灰などが入っている状態の上に、受け皿(1)ごと本発明を載せ置くのであるが、ワイヤースタンド(4)の格子に線香を差し通し易くする為に、灰の分量を加減して、格子面の高さを調整する。
2、4段あるワイヤー列面(11)の各々の相対間隔は、線香の直立を保持して燃焼の継続を阻害しないように最適な間隔で設定してあり、その為に線香と当該のワイヤー(10)とは点接触になるようにしてあるが、ワイヤー列面(11)の変形・破損などの有無、マット面(3)の状態・マット面(3)と接地するワイヤースタンド(4)下部の脚(13)の状態など、線香を点火する前には、目視でも簡単に確認が出来るので、必ず異常がないことを確認してから使用することができる。
3、線香を点火して、上下2組ある段違いワイヤー格子(12)の上部の格子から約10mm~15mm真下にある下部の段違いワイヤー格子(12)に向かって線香を差し通すのであるが、線香を格子面に対し斜めにして降下すると隣りの格子に外れて入れてしまうので、線香は格子面に対して出来るだけ直立させて、必ず1ケの格子には1本だけの線香を差し通し、受け皿(1)のマット面(3)に、線香の下端が確実に接地した状態にセットすれば、線香は直立し安定して燃焼が継続することが出来る。
4、線香の下端や指などで無理に格子を押し曲げたりせず、格子面の中央部を差す目安にして、特定の格子に拘らないで、多数ある空き格子に分散して線香を差し通すようにする。
傍に火の着いた線香が有っても少し離して線香を差せば、接触して火傷をする心配もなく安全で差し通し易い。
5、格子1ケの収容面積内で占める一般的な線香1本分の面積は約1/4程なので、1本の線香に対して格子1ケの収容力には十分に余裕があり、線香を格子にスムーズに差し通すように慣れるのも早い。
6、本発明の上下2組の無接点の段違いワイヤー格子(12)は、隣接のワイヤー列面(11)同士の上下の2本間に約4mm~5mmの間隔があり、線香が下方へ燃え移ても、線香の燃焼帯域(燃焼している部分+燃焼の継続に必要な熱量を保持している部分)の約3mm以内では、当該の細い不燃性のワイヤー(10)1本とだけの点接触となり、線香の燃焼帯域の熱の流出が極めて抑制され、燃焼の継続性も確保され、カス灰まで全て燃えきることが出来る。
改めて同じ格子に線香を差し通す場合にも、障害となる燃えカスが、当該の格子内には全くないので簡便に焼香が出来る。
7、線香の燃焼が最下位4段目のワイヤー列面(11)の位置から少し下方へ移動してから、多くは線香の支えが失われてマット面(3)に倒れ込むが、受け皿(1)とマットとの組み合わせで、線香が完全に燃えきる為に、燃焼熱の流出を最少限度に抑えられる最適な組み合わせを実証で割り出して、受け皿(1)とマットを選定し設置してあるので、燃えきるには何ら問題がなく、ただマット面(3)の僅かなカス灰だけを処理すればよい。
8、本発明の洗浄は、焼香する回数にもよるが、2カ月~3カ月に1回ぐらい、適当な時期に線香から燃え出た汚れが付着したワイヤー列を洗剤などで除去し、受け皿(1)のマット面(3)上の燃え残りの少量の灰も状態を見て処理する程度でよい。
線香立てワイヤースタンド(4)を持ち上げて、受け皿(1)を取り出してパタパタと軽く叩くだけでも十分である。
【符号の説明】
【0009】
1 受け皿、 2 皿壁、 3 マット面、 4 ワイヤースタンド、 5 前後壁、 6 左右壁、 7 上端面、 8 下端面、 9 ワイヤー設置溝、 10 ワイヤー、11 ワイヤー列面、 12 段違いワイヤー格子、 13 脚。