IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社進日本工業の特許一覧 ▶ 株式会社大進工業の特許一覧 ▶ 株式会社三和工業の特許一覧 ▶ 株式会社水研の特許一覧

<>
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図1
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図2
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図3
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図4
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図5
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図6
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図7
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図8
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図9
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図10
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図11
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図12
  • 特開-漏洩補修装置及び漏洩補修工法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104843
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】漏洩補修装置及び漏洩補修工法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/17 20060101AFI20230721BHJP
   F16L 55/18 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
F16L55/17
F16L55/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077616
(22)【出願日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2022006033
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504371147
【氏名又は名称】株式会社進日本工業
(71)【出願人】
【識別番号】504398568
【氏名又は名称】株式会社大進工業
(71)【出願人】
【識別番号】504398786
【氏名又は名称】株式会社三和工業
(71)【出願人】
【識別番号】399130348
【氏名又は名称】株式会社水研
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 大介
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025EA01
3H025EB06
3H025EC05
3H025EC16
3H025ED01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構造で、確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる漏洩補修装置を提供する。
【解決手段】流体管6の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修装置10であり、流体管6に対して管径方向外方から外装固定可能な複数の分割支持体20と、流体管6に対して流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯30と、複数の分割支持体20に組み付けられ、複数の分割止水帯30を、流体管6の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修する押付体40と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修装置であり、
前記流体管に対して管径方向外方から外装固定可能な複数の分割支持体と、
前記流体管に対して前記流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯と、
前記複数の分割支持体に組み付けられ、前記複数の分割止水帯を、前記流体管の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修する押付体と、
を含むことを特徴とする漏洩補修装置。
【請求項2】
前記複数の分割支持体は、
前記流体管に対して管径方向外方から固定される管固定部と、
前記流体漏洩部位の外方に位置し、前記分割止水帯と前記押付体を組み付け可能な支持部と、
前記管固定部と前記支持部を複数の位置で連結する連結部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の漏洩補修装置。
【請求項3】
前記複数の分割止水帯は、
前記流体管の外側に沿う帯部と、
前記帯部に設けられ、前記流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修するシール部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の漏洩補修装置。
【請求項4】
前記帯部は、
前記流体管の外側に沿う位置に複数のナット部を有し、
前記押付体は、複数のボルトを含み、
前記ボルトの回動により前記ナット部を介して前記シール部を、前記流体管の外周面に押し付けることを特徴とする請求項3に記載の漏洩補修装置。
【請求項5】
前記シール部は、ゴムシールを含み、
前記ゴムシールは、前記流体管の外周面に押し付けされる凹凸面を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の漏洩補修装置。
【請求項6】
流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修工法であり、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の漏洩補修装置を用い、
前記流体管に対して前記流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯と、この分割止水帯を前記流体管の外周面に押し付ける押付体と、を、複数の分割支持体に組み付ける組付工程と、
前記複数の分割支持体は、前記流体管に対して管径方向外方から外装固定可能であり、
前記複数の分割支持体を組み付けて前記流体管に外装固定する設置工程と、
前記複数の分割止水帯を、前記押付体により前記流体管の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修工程と、
を含むことを特徴とする漏洩補修工法。
【請求項7】
流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修工法であり、
前記流体管に対して前記流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な止水帯を用い、
前記止水帯を、前記流体漏洩部位にあてがい、
押付体により前記止水帯を、前記流体管の外周面に押し付けて前記流体漏洩部位からの漏水を補修することを特徴とする漏洩補修工法。
【請求項8】
前記止水帯は、前記シール部を有し、
前記シール部は、ゴムシールを含み、
前記ゴムシールは、前記流体管の外周面に押し付けされる凹凸面を有することを特徴とする請求項7に記載の漏洩補修工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修装置及び漏洩補修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道管のような既設の流体管において、接合不良や亀裂の発生など諸般の事情により流体が漏洩した場合には、筒状のケース体を備えた漏洩補修装置により、漏洩箇所の補修を行っている。
【0003】
例えば、漏洩補修装置として、特許文献1,2に記載のように、水道管などの既設の流体管の漏洩箇所を補修するものが知られており、この漏洩補修装置は、筒状のケース体で漏洩箇所の周囲を密封し、それによって流体の漏出を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-124853号公報
【特許文献2】特開平10-073190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の漏洩補修装置では、筒状のケース体が、一対の分割片により構成され、この分割片の端部同士を連結して周方向に沿った環状の密閉空間が水道管の周囲に形成され、それによって流体の漏出を防止するものである。このような漏洩補修装置では、一対の分割片間の密閉構造が複雑であり、また、一対の分割片を、簡単かつ確実に閉じることが困難であるなどの不都合がある。
【0006】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造で、確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる漏洩補修装置及び漏洩補修工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0008】
請求項1に記載の発明は、
流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修装置であり、
前記流体管に対して管径方向外方から外装固定可能な複数の分割支持体と、
前記流体管に対して前記流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯と、
前記複数の分割支持体に組み付けられ、前記複数の分割止水帯を、前記流体管の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修する押付体と、
を含むことを特徴とする漏洩補修装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
前記複数の分割支持体は、
前記流体管に対して管径方向外方から固定される管固定部と、
前記流体漏洩部位の外方に位置し、前記分割止水帯と前記押付体を組み付け可能な支持部と、
前記管固定部と前記支持部を複数の位置で連結する連結部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の漏洩補修装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
前記複数の分割止水帯は、
前記流体管の外側に沿う帯部と、
前記帯部に設けられ、前記流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修するシール部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の漏洩補修装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
前記帯部は、
前記流体管の外側に沿う位置に複数のナット部を有し、
前記押付体は、複数のボルトを含み、
前記ボルトの回動により前記ナット部を介して前記シール部を、前記流体管の外周面に押し付けることを特徴とする請求項3に記載の漏洩補修装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、
前記シール部は、ゴムシールを含み、
前記ゴムシールは、前記流体管の外周面に押し付けされる凹凸面を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の漏洩補修装置。
【0013】
請求項6に記載の発明は、
流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修工法であり、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の漏洩補修装置を用い、
前記流体管に対して前記流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯と、この分割止水帯を前記流体管の外周面に押し付ける押付体と、を、複数の分割支持体に組み付ける組付工程と、
前記複数の分割支持体は、前記流体管に対して管径方向外方から外装固定可能であり、前記複数の分割支持体を組み付けて前記流体管に外装固定する設置工程と、
前記複数の分割止水帯を、前記押付体により前記流体管の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修工程と、
を含むことを特徴とする漏洩補修工法である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、
流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修工法であり、
前記流体管に対して前記流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な止水帯を用い、
前記止水帯を、前記流体漏洩部位にあてがい、
押付体により前記止水帯を、前記流体管の外周面に押し付けて前記流体漏洩部位からの漏水を補修することを特徴とする漏洩補修工法である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、
前記止水帯は、前記シール部を有し、
前記シール部は、ゴムシールを含み、
前記ゴムシールは、前記流体管の外周面に押し付けされる凹凸面を有することを特徴とする請求項7に記載の漏洩補修工法である。
【発明の効果】
【0016】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0017】
請求項1乃至請求項5に記載の発明では、流体管に対して流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯と、流体管に対して管径方向外方から外装固定可能な複数の分割支持体と、複数の分割支持体に備えられ、複数の分割止水帯を、流体管の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修する押付体と、を含み、簡単な構造で、確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、流体管に対して流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯と、この分割止水帯を流体管の外周面に押し付ける押付体と、を、複数の分割支持体に組み付ける組付工程と、複数の分割支持体は、流体管に対して管径方向外方から外装固定可能であり、複数の分割支持体を組み付けて流体管に外装固定する設置工程と、複数の分割止水帯を、押付体により流体管の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修工程と、を含み、簡単な構造で、確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる。
【0019】
請求項7及び請求項8に記載の発明では、流体管に対して前記流体漏洩部位に管径方向外方から押し付け可能な止水帯を用い、止水帯を、流体漏洩部位にあてがい、押付体により止水帯を、流体管の外周面に押し付けて流体漏洩部位からの漏水を補修することで、簡単かつ確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】管路構造を示す側面図である。
図2】漏洩補修装置の側面図である。
図3】漏洩補修装置の平面図である。
図4図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図2のV-V線に沿う断面図である。
図6】分割支持体を示す図である。
図7】分割止水帯を示す図である。
図8】ゴムシールを示す図である。
図9】ゴムシールの他の実施形態を示す図である。
図10】ボルトを示す図である。
図11】漏洩補修部の断面図である
図12】第1の漏洩補修工法の工程図である。
図13】第2の漏洩補修工法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の漏洩補修装置及び漏洩補修工法の実施の形態について説明する。この実施の形態は、漏洩補修装置及び漏洩補修工法の好ましい形態を示すものであるが、この発明はこれに限定されない。
【0022】
[管路構造]
この漏洩補修装置を設置する管路構造を、図1に基づいて説明する。図1は管路構造を示す側面図である。
【0023】
この実施の形態の管路構造においては、流体本管1から上方に延出された分岐用管1aの上端部のフランジ2に、配管機材3の一例で、流体管6の管端開口を密封状態で閉塞する金属製のフランジ板4が配設されている。このフランジ板4は、管周方向の所定間隔をおいて配置される複数組のボルト・ナット5により分岐用管1aのフランジ2に固定連結されている。配管機材3において、フランジ板4と流体管6の側面との間に、複数の補強リブ7が設けられている。
【0024】
この実施の形態の流体管6は、流体の一例である水道水(上水)を輸送するための水道管を構成するダクタイル鋳鉄管であるが、その他の鋳鉄管や鋼管、樹脂管等を使用することができる。また、流体としても、水道水以外に工業用水やガス等の気体を挙げることができる。
【0025】
この管路構造において、流体管6の補強リブ7の間の位置が腐食等によって流体の漏洩が発生した場合、この流体管6の流体漏洩部位Xを密封状態で覆う漏洩補修が実行される。この実施の形態の漏洩補修装置及び漏洩補修工法は、簡単な構造で、確実に流体管6の流体漏洩部位Xからの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができるものである。この漏洩補修装置及び漏洩補修工法について詳述する。
【0026】
[漏洩補修装置]
この実施の形態の漏洩補修装置を、図2乃至図11に基づいて説明する。図2は漏洩補修装置の側面図、図3は漏洩補修装置の平面図、図4図2のIV-IV線に沿う断面図、図5図2のV-V線に沿う断面図、図6は分割支持体を示す図、図7は分割止水帯を示す図、図8はゴムシールを示す図、図9はゴムシールの他の実施形態を示す図、図10はボルトを示す図、図11は漏洩補修部の断面図である。
【0027】
この漏洩補修装置10は、流体管6の流体漏洩部位Xからの漏水を補修するものであり、流体管6に対して管径方向外方から外装固定可能な複数の分割支持体20と、流体管6に対して流体漏洩部位Xに管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯30と、複数の分割支持体20に組み付けられ、複数の分割止水帯30を、流体管2の外周面に押し付けて流体漏洩部位Xからの漏水を補修する押付体40と、を含む構成である。
【0028】
この実施の形態では、漏水している流体管6が、補強リブ7を有する鋼製フランジ短管であり、複数の分割支持体20は、二つ割りフレームで構成される。複数の分割支持体20の二つ割りフレームは、流体管6に補強リブ7と干渉しないようにして環状するようにセットし、二つ割りフレームの4方向に取り付けられた分割止水帯30を、押付体40により管周方向から管軸心方向に集まるように流体管2の外周面に押し付けて流体漏洩部位Xからの漏水を補修する構造である。
【0029】
(複数の分割支持体)
この実施の形態の複数の分割支持体20は、図6に示しており、図6(a)は分割支持体の平面図、図6(b)は図6(a)において矢印b方向から見た図、図6(c)は図6(a)において矢印c方向から見た図、図6(d)は図6(a)において矢印d方向から見た図、図6(e)は図6(a)において矢印e方向から見た図である。
【0030】
複数の分割支持体20は、流体管6に対して管径方向外方から固定される管固定部21と、流体漏洩部位Xの外方に位置し、分割止水帯30と押付体40を組み付け可能な支持部22と、管固定部21と支持部22を複数の位置で連結する連結部23と、を含む構成である。
【0031】
複数の分割支持体20は、二つ割りフレームで形成されており、管固定部21及び支持部22は、芯出しフレームとし、連結部23は、L型の縦リブで構成する。この連結部23のL型の縦リブは、管径方向外方に沿って配置し、管固定部21及び支持部22に2か所で連結した構造となっており、分割支持体20は、精度よく、かつ強固な構造である。
【0032】
支持部22には、平面から見て5か所の管周方向の位置に、管軸方向に沿って3個のナット24が固定されている。管固定部21の両端には、フランジ21aが形成され、支持部22の両端には、フランジ22aが形成されている。二つ割りフレームで形成された分割支持体20は、一対の管固定部21のフランジ21a同士と、一対の支持部22のフランジ22a同士を合わせてボルト・ナット25,26で締め付け固定され、容易に取り付けることができる。
【0033】
(複数の分割止水帯)
この実施の形態の複数の分割止水帯30は、図7に示しており、図7(a)は分割止水帯の平面図、図7(b)は図7(a)において矢印b方向から見た図、図7(c)は図7(a)において矢印c方向から見た図、図7(d)は図7(a)において矢印d方向から見た図である。
【0034】
複数の分割止水帯30は、流体管6の外側に沿う帯部31と、帯部31に設けられ、流体管6の流体漏洩部位Xからの漏水を補修するシール部32と、を含む構成である。この実施の形態の分割止水帯30は、4分割のリング形状であり、流体管6の外側に沿って4か所に配置される。
【0035】
帯部31は、流体管6の外側に沿う位置に複数のナット部33を有する。この実施の形態では、分割支持体20の管周方向の中央位置に組み付けられる一対の対向する帯部31には、ナット部33が管周方向の3か所の位置に、管軸方向に沿って3個配置され、また分割支持体20の管周方向の両端位置に組み付けられる一対の対向する帯部31には、ナット部33が管周方向の2か所の位置に、管軸方向に沿って3個配置されている。
【0036】
シール部32は、ゴムシール34を含み、ゴムシール34は、接着剤35により、帯部31に固定されている。ゴムシール34は、図8に示すように構成される。図8(a)は平面図、図8(b)は図8(a)のb-b線に沿う断面図、図8(c)は斜視図である。
ゴムシール34は、ゴムシール34の全面に流体管2の外周面に押し付けされる凹凸面34aを有し、この凹凸面34aは、格子状の凹凸によって形成されている。シール部32は、ゴムシールに限定されず、樹脂シール等でもよい。また、凹凸面34aは、平面から見て方形形状の凹凸を格子状に配置しているが、これに限定されず、平面から見て円形形状の凹凸でもよく、また千鳥状等に配置したものでもよい。
【0037】
ゴムシール34の他の実施形態を、図9に示す。図9(a)の形態は、凹凸面34aは、平面から見て方形形状の凹凸を格子状に配置しているが、凹は、図8の実施の形態より大きくした構成であり、図9(b)の形態の凹は、三角形状であり、図9(c)の形態の凹は、六角形状であり、図9(c)の形態の凹は、円形形状である。
【0038】
分割止水帯30は、流体管6の外側の位置に、管径方向に沿って4か所に配置され、ゴムシール34の凹凸面34aを流体管6の外周面に押し付けることで、ゴムシール34の凹凸面34aが流体管6の外側面によって柔軟に変形して密接し、流体管6の腐食による流体漏洩部位Xからの漏水を確実に止めることができる。
【0039】
(押付体)
この実施の形態の複数の押付体40は、図10に示しており、複数個のボルト41とナット42を含む構成である。このボルト41とナット42は、支持部22のナット24に組み付けられて、ナット42はボルト41の抜け止めとして作用する。ボルト41の先端は、帯部31のナット部33に螺着して組付けられ、ボルト41の回動によりナット部33を介して帯部31のシール部32を、流体管6の外周面に押し付け、流体管6の腐食による流体漏洩部位Xからの漏水を確実に止めることができる。
【0040】
図11(a)は、 帯部31のシール部32を流体管6の外周面に押し付け状態を示し、図11(b)は、流体管6の表面に密着した状態を示しており、凹凸面34aによってより確実に密着して流体漏洩部位Xからの漏水を止めることができる。
【0041】
この実施の形態では、一対の組付けられた分割支持体20には、管周方向に4個の分割止水帯30が配置されている。一対の分割支持体20の管周方向の中央位置には、ナット部33が管周方向の3か所の位置に配置された分割止水帯30が組み付けられ、分割支持体20の管周方向の両端位置には、ナット部33が管周方向の2か所の位置に配置された分割止水帯30が組み付けられる。
【0042】
ナット部33が管周方向の3か所の位置に配置された分割止水帯30は、一対の分割支持体20の管周方向の中央位置において対向している。ナット部33が管周方向の2か所の位置に配置された分割止水帯30は、一対の分割支持体20の管周方向の両端位置において対向している。複数の押付体40のボルト41の回動によりナット部33を介して帯部31のシール部32を、流体管6の外周面に押し付けるが、押し付け力と反対側の反力を受け、それに反力分散の役割を果たし、均等かつ確実に帯部31のシール部32を、流体管2の外周面に押し付け、流体管6の腐食による流体漏洩部位Xからの漏水を確実に止めることができる。
【0043】
また、この実施の形態では、複数の押付体40が、流体管2の管周方向から流体管6の管軸中心方向に集まるように、分割止水帯30のシール部32を、流体管6の外周面にバランスよく押し付けるので、流体管6の腐食による流体漏洩部位Xからの漏水を確実に止めることができる。
【0044】
[第1の漏洩補修工法]
次に、上述の如く構成された漏洩補修装置10を用いて、流体管6の流体漏洩部位を漏洩補修する漏洩補修工法について説明する。図12は漏洩補修工法の工程図である。
【0045】
この実施の形態の漏洩補修工法は、組付工程Aと、設置工程Bと、漏洩補修工程Cと、を含み、簡単な構造で、確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる。
【0046】
(組付工程)
この実施の形態の組付工程Aは、流体管6に対して流体漏洩部位Xに管径方向外方から押し付け可能な複数の分割止水帯30と、この分割止水帯30を流体管6の外周面に押し付ける押付体40と、を、複数の分割支持体20に組み付ける工程である。まず、一対の分割支持体20と、4個の分割止水帯30と、30個の押付体40を準備する。一対の分割支持体20を組み付け、この組み付けた一対の分割支持体20の支持部22に、4個の分割止水帯30と、4個の分割止水帯30に応じた数の押付体40を組み付ける。
【0047】
(設置工程)
この実施の形態の設置工程Bは、複数の分割支持体20は、流体管6に対して管径方向外方から外装固定可能であり、複数の分割支持体20を組み付けて流体管6に外装固定する工程である。一対の分割支持体20を、流体管6の外側に配置し、支持部22を流体管6の流体漏洩部位Xの位置に合わせ、一対の管固定部21のフランジ21a同士と、一対の支持部22のフランジ22a同士を合わせてボルト・ナット25,26で締め付けて固定する。
【0048】
(漏洩補修工程)
この実施の形態の漏洩補修工程Cは、複数の分割止水帯30を、押付体40により流体管6の外周面に押し付けて流体漏洩部位Xからの漏水を補修する工程である。4個の分割止水帯30は、流体管6の外周面に均等に配置され、押付体40の操作によって、流体管6に対して流体漏洩部位Xに管径方向外方から押し付ける構成であり、簡単な構造で、確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる。
【0049】
[第2の漏洩補修工法]
次に、流体管6の流体漏洩部位を漏洩補修する第2の漏洩補修工法について説明する。図13は漏洩補修工法の工程を示すである。
【0050】
この実施の形態の漏洩補修工法は、流体管6の流体漏洩部位Xからの漏水を補修する工法であり、図13(a)において、流体管6に対して流体漏洩部位Xに管径方向外方から押し付け可能な止水帯90を用いる。
【0051】
図13(b)において、止水帯90を、流体漏洩部位Xにあてがい、図13(c)において、押付体91により止水帯90を、流体管6の外周面に押し付けて流体漏洩部位Xからの漏水を補修する。
止水帯90は、シール部32を有する。シール部32は、ゴムシール34を含み、図8及び図9に示すように、構成される。
【0052】
(実施例)
水漏れが生じた水道管は、直径に特に制限されることなく実施可能であり、水道管の水圧の範囲は、0 ~ 1MPaで、漏れる箇所の孔の断面積は、ゴムシールの面積内で取りつけ作業が可能な大きさに実施可能である。
【0053】
ゴムシールは、利用可能な材質は特に限定されないが、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)が好ましく、硬度50゜~硬度80゜が実施可能である。ゴムシールの厚さ:5mm、凹の深さ:2mm、凹の幅:5mm、凹の密度 :分割止水帯1枚当たり(幅105mm×高さ90mm) 約160個、凹の形状:凹みが5mm角の格子状とした。
【0054】
ゴムシールの押し当て圧力:押しつけボルトを均等に順次トルクをあげて行き、最大60N・mまで締め付けた(M16)。ゴムシールが十分に圧縮し、良好な止水が確認された。
【0055】
ゴムシールは、凹凸面を有することで、流体管の外周面に押し付けされるとき、流体管の表面の凹凸に馴染みやすく、簡単かつ確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明は、流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修する漏洩補修装置及び漏洩補修工法に適用され、簡単な構造で、確実に流体管の流体漏洩部位からの漏水を補修することが可能で、漏洩補修作業を能率良く低コストで実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 流体本管
6 流体管
3 配管機材
10 漏洩補修装置
20 分割支持体
21 管固定部
22 支持部
23 連結部
24 ナット
30 分割止水帯
31 帯部
32 シール部
33 ナット部
34 ゴムシール
34a 凹凸面
40 押付体
41 ボルト
42 ナット
X 流体漏洩部位A 組付工程
B 設置工程
C 漏洩補修工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13