(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104851
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】床暖房マット及び暖房床
(51)【国際特許分類】
F24D 3/16 20060101AFI20230721BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20230721BHJP
F24D 11/00 20220101ALI20230721BHJP
【FI】
F24D3/16 A
E04F15/18 X
F24D11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107835
(22)【出願日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2022005842
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 一範
(72)【発明者】
【氏名】山林 芳昭
(72)【発明者】
【氏名】久家 毅
【テーマコード(参考)】
2E220
3L070
3L071
【Fターム(参考)】
2E220AA04
2E220AB09
2E220AC01
2E220CA07
2E220EA11
2E220GA02Y
2E220GA25Y
2E220GA27Y
2E220GA28Y
2E220GB11Y
2E220GB12Y
2E220GB18Y
2E220GB25Y
2E220GB28Y
2E220GB33Y
2E220GB35Y
2E220GB43Y
2E220GB45Y
2E220GB48Y
2E220GB50Y
3L070AA02
3L070BD02
3L070BD06
3L070BD22
3L071CC05
3L071CD01
3L071CE02
3L071CF06
(57)【要約】
【課題】上下方向の熱伝導性に優れた床暖房マットと、この床暖房マットを備えた暖房床を提供する。
【解決手段】床暖房マット1は、厚み方向に貫通する溝4を有している。溝4内に伝熱部材6及び温水パイプ3が配置されている。小根太7を覆うように伝熱シート8が設けられている。基板2の上面及び下面に均熱シート5a,5bが設けられている。伝熱部材6及び伝熱シート8が熱橋となっている。この床暖房マット1と、蓄熱板13及び床仕上げ材14等を用いて暖房床が構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水パイプ収容用の溝が設けられた基板と、
該基板の上面に設けられた第1の均熱シートと、
該基板の下面に設けられた第2の均熱シートと
を有する床暖房マットであって、
該第1の均熱シートと第2の均熱シートとの間に設けられた熱橋を有することを特徴とする床暖房マット。
【請求項2】
前記床暖房マットは小根太を有しており、
前記熱橋は該小根太に設けられた伝熱シートである
請求項1の床暖房マット。
【請求項3】
前記伝熱シートは、前記小根太の上面から下面まで連続して延在している請求項2の床暖房マット。
【請求項4】
前記伝熱シートは、前記小根太の上面、下面及び長手方向の側面を覆っている請求項3の床暖房マット。
【請求項5】
前記溝は前記基板を厚み方向に貫通しており、前記熱橋として、さらに、該溝に配置され、前記温水パイプに接する伝熱部材を有する請求項2の床暖房マット。
【請求項6】
蓄熱部材の上側に温水パイプを有した床暖房マットが敷設され、その上側に床仕上げ材が敷設された暖房床であって、該床暖房マットが請求項1~5のいずれかの床暖房マットである暖房床。
【請求項7】
前記蓄熱部材の下側に下地合板が設けられ、該下地合板の下側に断熱材が設けられている請求項6の暖房床。
【請求項8】
前記蓄熱部材は、蓄熱材料封入体を有する請求項6の暖房床。
【請求項9】
前記蓄熱部材は、蓄熱材料封入体を保持するベースを有する請求項8の暖房床。
【請求項10】
前記ベースは、蓄熱材料封入体を収容した凹所を有する請求項9の暖房床。
【請求項11】
前記蓄熱部材は、小根太を有する請求項10の暖房床。
【請求項12】
前記蓄熱部材は、上面側に配置された金属板又は合板を有する請求項11の暖房床。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水によって建物の床の暖房を行うための床暖房マットに係り、特に上下方向の熱伝導性が高い床暖房マットに関する。また、本発明は、この床暖房マットを備えた暖房床に係り、特に蓄熱部材と該床暖房マットとを有する暖房床に関する。
【0002】
なお、以下の説明において、床暖房マットの上面とは、該床暖房マットを床上に敷設したときの上面をいい、床暖房マットの下面とは、該床暖房マットを床上に敷設したときの下面をいう。上下方向とは、該上面と下面とを結ぶ方向をいう。
【背景技術】
【0003】
温水を利用した暖房床として、板状のベースの上面の溝に温水パイプを引き回した床暖房マットが広く用いられている。
【0004】
床暖房マットを用いた暖房床に蓄熱部材を設けることが知られている。
【0005】
特許文献1には、床下地の上に蓄熱マット、木質板材、及び温水パイプを有する床暖房パネルをこの順に積層配置した床暖房構造が記載されている。この床暖房構造では、蓄熱マットが最下層に配置されているため、蓄熱マットに蓄えられた熱が床上面に伝わりにくい。また、日射のエネルギーを蓄熱マットで蓄える効果がほとんど得られない。
【0006】
特許文献2では、床暖房マットとしての発熱マットの上に蓄熱部材としての蓄熱ユニットを重ね、その上にフローリング(床仕上げ材)を配置した暖房床が記載されている。この暖房床では、蓄熱部材が蓄熱するまでは発熱マットの熱が床面に伝わらないので、床暖房の始動性が悪い。即ち、温水パイプに温水を通水開始しても、床面(フローリング面)が十分に昇温するまでに長時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-180004号公報
【特許文献2】特開2016-142432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上下方向の熱伝導性に優れた床暖房マットと、この床暖房マットを備えた暖房床を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の床暖房マットは、温水パイプ収容用の溝が設けられた基板と、該基板の上面に設けられた第1の均熱シートと、該基板の下面に設けられた第2の均熱シートとを有する床暖房マットであって、該第1の均熱シートと第2の均熱シートとの間に設けられた熱橋を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様では、前記床暖房マットは小根太を有しており、前記熱橋は該小根太に設けられた伝熱シートである。
【0011】
本発明の一態様では、伝熱シートは、前記小根太の上面から下面まで連続して延在している。
【0012】
本発明の一態様では、伝熱シートは、小根太の上面、下面及び長手方向の側面を覆っている。
【0013】
本発明の一態様では、前記溝は前記基板を厚み方向に貫通しており、前記熱橋として、さらに、該溝に配置され、前記温水パイプに接する伝熱部材を有する。
【0014】
本発明の暖房床は、蓄熱部材の上側に温水パイプを有した床暖房マットが敷設され、その上側に床仕上げ材が敷設された暖房床であって、該床暖房マットが本発明の床暖房マットである。
【0015】
本発明の暖房床の一態様では、前記蓄熱部材の下側に下地合板が設けられ、該下地合板の下側に断熱材が設けられている。
【0016】
本発明の暖房床の一態様では、前記蓄熱部材は、蓄熱材料封入体を有する。
【0017】
本発明の暖房床の一態様では、前記蓄熱部材は、蓄熱材料封入体を保持するベースを有する。
【0018】
本発明の暖房床の一態様では、前記ベースは、蓄熱材料封入体を収容した凹所を有する。
【0019】
本発明の暖房床の一態様では、前記蓄熱部材は、小根太を有する。
【0020】
本発明の暖房床の一態様では、前記蓄熱部材は、上面側に配置された金属板又は合板を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の床暖房マットでは、上面と下面に均熱シートが設けられ、上下の該均熱シートを熱的に接続するための熱橋が設けられているので、上下の該均熱シート間の熱伝導性に優れる。
【0022】
本発明の暖房床では、かかる床暖房マットの下面に蓄熱部材が設けられ、上側に床仕上げ材が設けられている。したがって、温水パイプからの熱が蓄熱部材に効率よく蓄熱される。また、蓄熱部材の熱が床暖房マットの熱橋を介して床仕上げ材に伝わり易く、暖房効率が高い。また、床に照射された太陽光により床仕上げ材が昇温したときには、床仕上げ材の熱が床暖房マットの熱橋を介して蓄熱部材に効率よく伝わり、蓄熱される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態に係る床暖房マットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、
図1は、床暖房マットの上面に均熱シートを設けない状態の床暖房マットの平面図である。
図2~5は、床暖房マットの上面に均熱シートを設けた状態での断面を示している。
図2~8では、アルミシートの厚さを実際よりも大きく図示している。
【0025】
[床暖房マット]
この実施の形態の床暖房マット1は、基板(ベース)2と、基板2に設けられた溝4内に配置された温水パイプ3と、基板2の上面と下面を覆うように配置され、基板2の上面及び下面に付着されたアルミシート等よりなる均熱シート5a,5b等を備える。
【0026】
溝4のうち、直線状となっている部分には、
図6に明示の通り、アルミ箔よりなるU字アルミと称される伝熱部材6が配設されており、伝熱部材6を介して温水パイプ3が溝4内に配置される。なお、曲線状となっている溝4にも伝熱部材(U字アルミ)を設けてもよい。
【0027】
伝熱部材6は、U字部6uと、U字部6uの上端から離反方向に張り出すフランジ部6fとを有している。フランジ部6fが基板2の上面に重なっており、均熱シート5aに接している。
【0028】
この床暖房マット1の基板2は、発泡合成樹脂(例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、硬質ウレタン、軟質ウレタン、発泡ポリプロピレン)製のボードと小根太7を備えている。小根太7は、合板等よりなる板状部材である。基板2の厚さは、好ましくは、5.5mm以上、特に9mm以上とりわけ12mm以上であり、また24mm以下、特に18mm以下、とりわけ15mm以下である。
【0029】
溝4は、基板2を厚み方向に貫いている。
【0030】
温水パイプ3は、架橋ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデンなどよりなることが好ましい。
【0031】
温水パイプ3の外周面のうち上端部は、上面側の均熱シート5aに接している。溝4のうち伝熱部材6を設けた部分では、温水パイプ3の略下半分が伝熱部材6のU字部6uに接している。U字部6uの下端部は、下面側の均熱シート5bに接している。伝熱部材6のフランジ部6fに上面側均熱シート5aが重なって接している。
【0032】
溝4のうち伝熱部材6を配置していない部分では、温水パイプ3の外周面の下端部が下側の均熱シート5bに接している。
【0033】
小根太7は、前述のとおり、合板等よりなる板状部材である。小根太7の幅は22.5~75mm特に40~60mm程度が好ましい。この実施の形態では、
図7の通り、小根太7の長手方向の側面と、小根太7の上面及び下面のうち該側面近傍部分とを覆うようにアルミシート(金属アルミニウム箔)等よりなる伝熱シート8が設けられている。
【0034】
なお、
図7では小根太7の幅方向中央付近では伝熱シート8が設けられていないが、
図8のように、小根太7の両側面と上面及び下面の全面とを伝熱シート8’で覆ってもよい。
【0035】
このように、この床暖房マット1にあっては、小根太7に設けられた伝熱シート8又は8’は、各均熱シート5a,5bに接している。また、伝熱部材6のフランジ部6fに上面側均熱シート5aが重なって接しており、伝熱部材6の下端部が下面側の均熱シート5bに接している。
【0036】
この床暖房マット1にあっては、上面側及び下面側の均熱シート5a,5bが伝熱部材6及び伝熱シート8又は8’に接しており、伝熱部材6及び伝熱シート8又は8’が均熱シート5a,5b間の熱橋を構成している。そのため、均熱シート5aの熱が均熱シート5bに効率よく伝わり、均熱シート5bの熱が均熱シート5aに効率よく伝わる。
【0037】
従って、後述のように、この床暖房マット1を用いた暖房床にあっては、蓄熱板の熱が床仕上げ材に効率よく伝わる。また、太陽熱などによって床仕上げ材が昇温したときには、床仕上げ材の熱が蓄熱板に効率よく伝わる。
【0038】
なお、均熱シート5a,5bの厚さは30~1000μm特に40~100μm程度が好ましく、伝熱シート8,8’の厚さは30~100μm特に40~60μm程度が好ましい。小根太7は基板2と同一厚さとされ、基板2の厚さは前述の通り5.5~15mmである。このように、小根太7の厚さに比べて伝熱シート8の厚さが著しく小さい。そのため、
図3では小根太7の上面及び下面に重なる均熱シート5a,5bが伝熱シート8の厚さ分だけ段差を有しているように図示されているが、実際には段差は殆ど存在しない。
【0039】
また、伝熱部材6の厚さも、好ましくは30~200μm特に70~100μm程度であり、温水パイプ3の直径に比べて極めて小さい。そのため、
図2,3,5では、下面側の均熱シート5bが、伝熱部材6と接する部分において下方に凸曲するように図示されているが、実際には均熱シート5bは平坦状となっている。
【0040】
[暖房床]
図9は、この床暖房マット1を用いた床暖房マットの一例を示す上下方向の断面図である。
【0041】
図9の通り、建物の床スラブ10上に断熱材11が配置され、その上に厚さ10~15mm程度の下地合板12が敷設され、その上に蓄熱部材として厚さ6~15mm程度の蓄熱板13が設置され、その上に床暖房マット1が設置されている。この床暖房マット1の上側に厚さ6~15mm程度の床仕上げ材(フローリング)14が敷設されている。
【0042】
蓄熱板13としては、潜熱蓄熱材組成物を合成樹脂製のフィルム又はシートで被包したものや、潜熱蓄熱材組成物を多孔質基材に含浸させたもの等を用いることができる。潜熱蓄熱材組成物は、相変態温度(融点)を有している。相変態温度よりも低温では固体状となり、相変態温度よりも高温では粘稠流体となる。
【0043】
蓄熱材組成物としては、無機潜熱蓄熱材組成物、有機潜熱蓄熱材組成物等が挙げられる。
【0044】
無機潜熱蓄熱材組成物としては、例えば、硫酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム10水和物、リン酸水素ナトリウム12水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物、塩化カルシウム6水和物等の水和塩等が挙げられる。
【0045】
有機潜熱蓄熱材組成物としては、例えば、脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、ポリエーテル化合物、脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
【0046】
蓄熱板が蓄熱材組成物を多孔質基材に含浸させたものである場合、多孔質基材は、蓄熱材組成物を含浸させることができる連続気孔を有するものであればよく、例えば、木質ボード、無機多孔質板、樹脂発泡体、不織布、織布、紙等を用いることができる。
【0047】
木質ボードは、木質チップや繊維材料等のリグノセルロース系材料と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、尿素メラミン共縮合樹脂、イソシアネート系樹脂等の熱硬化型接着剤との混合物を加熱加圧成形し、リグノセルロース系材料を熱硬化型接着剤で結着することにより製造されたものである。
【0048】
また、無機多孔質板の材質としては、珪藻土、珪藻頁岩、珪酸カルシウム、ゼオライト、竹炭、木炭などが挙げられる。また、発泡ガラスも用いることができる。
【0049】
樹脂発泡体としては、蓄熱材組成物の含浸温度及び硬化温度より高い耐熱性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の1種又は2種より得られる樹脂発泡体が挙げられる。
【0050】
不織布、織布としては、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール等の無機繊維や、ポリエステル繊維等の有機繊維よりなる不織布、織布を用いることができる。
【0051】
多孔質基材は、蓄熱材組成物の含浸性、含浸量の観点からは、空隙率(気孔率)が高いことが好ましく、一方で、強度、軽量化の観点からは空隙率が低いことが好ましい。本発明で用いる多孔質基材の空隙率は、10~98%であることが好ましく、30~90%であることがより好ましい。
【0052】
ここで、「空隙率」とは「1-(多孔質基材の嵩比重/多孔質基材の構成材料の比重)」により求められる値である。
【0053】
この暖房床にあっては、前述の通り、床暖房マット1が熱橋を有した構造となっているので、蓄熱板13の熱が床仕上げ材14に効率よく伝わる。また、床仕上げ材14が日照により昇温した場合、この熱が蓄熱板13に効率よく伝わり、蓄熱される。
【0054】
[蓄熱板の別の形態]
本発明では、蓄熱板としては、熱容量の大きな蓄熱材料の顕熱を利用するものでもよい。熱容量の大きな蓄熱材料としては水などが例示される。この蓄熱板の一例について
図10~12を参照して説明する。
図10は蓄熱板13Aの平面図、
図11は
図10のXI-XI線断面図、
図12は
図11のXII部分の拡大図である。
【0055】
この蓄熱板13Aは、発泡合成樹脂(例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、硬質ウレタン、軟質ウレタン、発泡ポリプロピレン)製のボード20と、小根太30,31,32と、蓄熱材料封入体40とを備えている。小根太30~32は、合板等よりなる板状部材である。ボード20は、平板状であるが、上面に複数の凹所21を備えている。
【0056】
この実施の形態では、凹所21は方形であり、
図10の上下方向(Y方向)及び左右方向(X方向)に規定間隔で整列配置されている。凹所21を囲む部分は
図10のY方向及びX方向に延在する格子形状の枠状部22となっている。
図12では、1個の凹所21は、X方向幅95mm、Y方向幅75mmである。
【0057】
この実施の形態では、3枚のボード20が平行に配置されている。
図12の最左側のボード20とX方向中央のボード20との間に小根太31が配置され、X方向中央のボード20と最右側のボード20との間に小根太32が配置されている。最左側のボード20の左辺に沿って小根太30が配置されている。ボード20のX方向幅は258mm、小根太30~32の幅は45mmである。蓄熱部材13AのX方向幅及びY方向幅はいずれも909mmである。ボード20と、それに接する小根太30,31又は32とは、接着等により連結されていることが好ましい。
【0058】
各ボード20の厚さは15mmであり、凹所21の深さは12mmである。
【0059】
蓄熱材料封入体40は、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン樹脂とナイロン樹脂の複層、オレフィン樹脂とアルミの複層等の合成樹脂製の袋内に流動性を有した蓄熱材料を封入したものである。蓄熱材料としては、水や、水に吸水性ポリマーを添加して流動性を低下させた液状物などが好適である。
【0060】
蓄熱材料封入体40は、凹所21内から上方へ非突出となるように凹所21内に配置されている。蓄熱材料封入体40は、その上面の大部分が枠状部22の上面と面一状となっていることが好ましい。
【0061】
図10~12には図示されていないが、蓄熱材料封入体40の破損を防ぐために、蓄熱板13Aは、その上面の全体を覆うように設けられた、剛性を有する板体を備えてもよい。この板体としては、アルミ板、ステンレス板などの金属板や、薄手の合板などが好適である。金属板の厚さは0.1~3mm、特に1~2mm程度が好適である。合板の厚さは2~12mm、特に5~9mm程度が好適である。この板体は、小根太30~32に対し接着剤、釘、タッカー又はビス留めなどの固定手段により固定されることが好ましい。蓄熱材料封入体40と板体とは接触することが好ましい。
【0062】
この蓄熱板13Aも、前記蓄熱板13と同様にして施工される。この蓄熱板13Aは、小根太30~32を有しており、上方からの耐荷重性に優れる。蓄熱板13Aの上側に金属板や薄手の合板を配置すれば、耐荷重性が更に向上する。
【0063】
この蓄熱板13Aでは、蓄熱材料封入体40が凹所21内に配置されており、蓄熱材料封入体40が位置ずれすることがない。
【0064】
この実施の形態では、蓄熱材料封入体40は袋を用いているが、袋以外の容器を用いてもよい。
【0065】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とされてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 床暖房マット
2 基板
4 溝
5a,5b 均熱シート
6 伝熱部材
7 小根太
8,8’ 伝熱シート
10 スラブ
11 断熱材
12 下地合板
13,13A 蓄熱板(蓄熱部材)
14 床仕上げ材
20 ベース
21 凹所
22 枠状部
30,31,32 小根太
40 蓄熱材料封入体