(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104862
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】管拡径工具
(51)【国際特許分類】
B29C 57/04 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
B29C57/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140599
(22)【出願日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2022005813
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢加部 晃一
(72)【発明者】
【氏名】生田 洋規
【テーマコード(参考)】
4F209
【Fターム(参考)】
4F209AG08
4F209AP06
4F209AR07
4F209NA22
4F209NB01
4F209NG03
4F209NM02
4F209NM07
4F209NN02
(57)【要約】
【課題】楔の終端位置を変更することでジョーの拡径幅を変更できる管拡径工具が必要とされている。
【解決手段】合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具1は、電動モータ21の出力軸21aを正転と逆転に切り替えるコントローラと、電動モータ21によって回転する雌ねじ部材27と、雌ねじ部材27に螺合しかつ雌ねじ部材27の回転によって後方の初期位置と前方の終端位置の間で前後動するねじ軸28を有する。管拡径工具1は、ねじ軸28から前方に延出する楔3と、楔3がねじ軸28とともに前進した際に楔3に押されて径方向外方に相互に開く複数のジョー4と、初期位置または終端位置に位置するねじ軸28を検知してコントローラに信号を発する初期位置センサ41と終端位置センサ42を有する。終端位置センサ42が前後方向に位置移動可能に設けられる。終端位置センサ42の位置によってねじ軸28の終端位置を可変とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具であって、
電動モータの出力軸を正転と逆転に切り替えるコントローラと、
前記電動モータによって回転する雌ねじ部材と、
前記雌ねじ部材に螺合しかつ前記雌ねじ部材の回転によって後方の初期位置と前方の終端位置の間で前後動するねじ軸と、
前記ねじ軸から前方に延出する楔と、
前記楔が前記ねじ軸とともに前進した際に前記楔に押されて径方向外方に相互に開く複数のジョーと、
前記初期位置または前記終端位置に位置する前記ねじ軸を検知して前記コントローラに信号を発する初期位置センサまたは終端位置センサあるいは両センサを有し、
前記初期位置センサおよび/または前記終端位置センサが前後方向に位置移動可能に設けられ、前記初期位置センサおよび/または前記終端位置センサの位置によって前記ねじ軸の前記初期位置および/または前記終端位置を可変とする管拡径工具。
【請求項2】
請求項1に記載の管拡径工具であって、
前記初期位置センサおよび/または前記終端位置センサは、本体ハウジングに設けられたホールICを有し、前記ねじ軸に磁石が設けられる管拡径工具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の管拡径工具であって、
前記初期位置センサおよび/または前記終端位置センサは、本体ハウジングの外へ突出する操作部を有する管拡径工具。
【請求項4】
請求項3に記載の管拡径工具であって、
前記本体ハウジングから下方に延出するグリップを有し、
前記操作部は、前記本体ハウジングの上面から突出する管拡径工具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記複数のジョーを前記電動モータの出力によって周方向に回転させるジョー回転機構を有し、
前記コントローラは、前記複数のジョーが回転する回転区間における前記電動モータに流れる電流の第1上限値と、前記複数のジョーが径方向外方に相互に開く拡径区間における前記電動モータに流れる電流の第2上限値に基づいて前記電動モータに電流を供給可能とする管拡径工具。
【請求項6】
請求項5に記載の管拡径工具であって、
前記電動モータの回転数を検知して前記コントローラに信号を発する回転数検知センサを有し、
前記コントローラは、前記回転数検知センサが発する信号と、前記初期位置または前記終端位置に移動した前記ねじ軸を検知した検知信号に基づいて前記回転区間と前記拡径区間を設定する管拡径工具。
【請求項7】
請求項5または6に記載の管拡径工具であって、
前記第1上限値が前記第2上限値よりも低く設定される管拡径工具。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記回転区間は、前記楔が前進する区間でありかつ前記拡径区間の前である管拡径工具。
【請求項9】
請求項5~7のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記回転区間は、前記楔が後退する区間でありかつ前記拡径区間の後である管拡径工具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記ねじ軸と前記雌ねじ部材の螺合部分にボールが介装される管拡径工具。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記複数のジョーと径方向の肉厚が異なる第2の複数のジョーを前記複数のジョーに換えて取付可能である管拡径工具。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の管拡径工具であって、
前記初期位置センサおよび/または前記終端位置センサを前後方向の複数位置で解除可能に位置決めするセンサ位置決め機構を有する管拡径工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば合成樹脂製の流体管の端部を被接続体に接続するために拡径する管拡径工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばPEX(Crоss-linked pоlyethylene:架橋ポリエチレン)を材料とする流体管を樹脂製のパイプ等の被接続体に接続する場合がある。PEX管の端部の内径を拡げる管拡径工具が従来提供されている。PEX管の端部を、管拡径工具を用いて拡径して被接続体に装着する。PEX管の端部は、弾性変形によって次第に元の径に戻るように縮径する。端部が縮径したPEX管は、被接続体に対して密に接続される。接続されたPEX管は、自身の弾性を利用して被接続体に強固に保持される。
【0003】
特許文献1には、電動モータを駆動源としてPEX管を拡径する管拡径工具が記載されている。管拡径工具の前部には、PEX管の端部に対して前進または後退する略円錐状の楔と、楔の前方で楔の周方向に並ぶ複数のジョーが設けられる。複数のジョーは、前進する楔に押されて楔の径方向外方に相互に開く。複数のジョーをPEX管の端部開口に進入させた状態で径方向外方に開くことで、PEX管の端部を拡げることができる。
【0004】
PEX管は、気温やPEX管の温度によって拡径後に収縮する速さが異なる。例えば気温が高い場合、PEX管は弾性的に収縮し易く、収縮速度が速い。そのためPEX管の端部をより大きく拡げる必要がある。例えば気温が低い場合、PEX管は弾性的性質よりも塑性的性質が強くなり、収縮速度が遅い。そのためPEX管の端部を必要以上に拡げると被接続体に接続されるまでに時間がかかってしまう。そのためジョーを拡径する拡径幅を小さくすることが望ましい。ジョーの拡径幅は、楔が前進する終端位置(前端位置)を前方に移動させることで大きくなり、後方に移動させることで小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2020/0261959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
楔の初期位置または終端位置を移動させるためには、移動した初期位置または終端位置を検知して電動モータの駆動を制御する必要がある。しかしながら楔の初期位置および/または終端位置を変更可能でありかつ検知可能な構造は、従来の管拡径工具では実用化に至っていない。したがって楔の初期位置および/または終端位置を変更できる管拡径工具が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つの特徴によると合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具は、電動モータの出力軸を正転と逆転に切り替えるコントローラを有する。管拡径工具は、電動モータによって回転する雌ねじ部材を有する。管拡径工具は、雌ねじ部材に螺合しかつ雌ねじ部材の回転によって後方の初期位置と前方の終端位置の間で前後動するねじ軸を有する。管拡径工具は、ねじ軸から前方に延出する楔を有する。管拡径工具は、楔がねじ軸とともに前進した際に楔に押されて径方向外方に相互に開く複数のジョーを有する。管拡径工具は、初期位置または終端位置に位置するねじ軸を検知してコントローラに信号を発する初期位置センサまたは終端位置センサあるいは両センサを有する。初期位置センサおよび/または終端位置センサが前後方向に位置移動可能に設けられる。初期位置センサおよび/または終端位置センサの位置によってねじ軸の初期位置および/または終端位置を可変とする。
【0008】
したがって終端位置センサを前方に移動させることにより、楔が前方へ移動する終端位置をより前方に設定することができる。そのため楔が終端位置で複数のジョーを径方向外方へ押す力が大きくなる。これにより複数のジョーが径方向外方に相互に開く拡径幅を大きくすることができる。そのため、例えば気温が高く流体管の収縮速度が速い場合に、流体管の端部を大きく拡径できる。終端位置センサを後方に移動させることにより、楔が前方へ移動する終端位置をより後方に設定することができる。そのため楔が終端位置で複数のジョーを径方向外方へ押す力が小さくなる。これにより複数のジョーが径方向外方に相互に開く拡径幅を小さくすることができる。そのため、例えば気温が低く流体管の収縮速度が遅い場合に、流体管の端部の拡径幅を小さくすることができる。かくして気温や流体管の温度等に応じてジョーの拡径幅を変更できる。
【0009】
初期位置センサを前方へ移動させることにより、楔の初期位置をより前方に設定することができる。そのため楔が初期位置を出発してから複数のジョーに当接するまでの時間を短縮できる。これにより複数のジョーを開閉させる1サイクルの時間を短くすることができ、作業時間を短縮できる。初期位置センサを後方へ移動させることにより、楔の初期位置をより後方に設定することができる。そのため、例えば径方向の肉厚が厚い複数のジョーを使用する場合に、初期位置の楔と複数のジョーが干渉しないように楔の初期位置を後方へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施例に係る管拡径工具の斜視図である。
【
図2】工具本体の本体ハウジングを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】工具本体の本体ハウジングを取り外した状態の右側面図である。
【
図5】楔が初期位置に位置する状態の管拡径工具の縦断面図である。
【
図6】ジョーの回転が終了した状態の工具本体の縦断面図である。
【
図7】楔が終端位置に位置する状態の工具本体の縦断面図である。
【
図8】
図5中のVIII-VIII線断面矢視図である。
【
図10】楔が初期位置に位置する状態のジョー回転機構を左側下方から見た図である。
【
図11】ジョーの回転が終了した状態のジョー回転機構を左側下方から見た図である。
【
図12】楔が終端位置に位置する状態のジョー回転機構を左側下方から見た図である。
【
図14】管拡径工具の電材部品のブロック図である。
【
図15】第2実施例に係る管拡径工具の楔が初期位置に位置する状態の工具本体の縦断面図である。
【
図16】
図15と異なる複数のジョーを装着しかつ楔が
図15に示す位置に位置する状態の工具本体の縦断面図である。
【
図18】第3実施例に係る管拡径工具のセンサ位置決め機構の縦断面図である。
【
図19】第4実施例に係る管拡径工具の電材部品のブロック図である。
【
図20】第5実施例に係る管拡径工具の電材部品のブロック図である。
【
図21】第6実施例に係る管拡径工具の電材部品のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の他の特徴によると初期位置センサおよび/または終端位置センサは、本体ハウジングに設けられたホールICを有する。ねじ軸に磁石が設けられる。したがってねじ軸の初期位置および/または終端位置を検知する構造をシンプルかつ小型に設けることができる。そのため初期位置センサと終端位置センサを含む本体ハウジングをコンパクトに設けることができる。
【0012】
本開示の他の特徴によると初期位置センサおよび/または終端位置センサは、本体ハウジングの外へ突出する操作部を有する。したがって使用者は、本体ハウジングの外方から操作部を操作して初期位置センサおよび/または終端位置センサを移動させることができる。そのため初期位置センサおよび/または終端位置センサを目標位置まで容易に移動させることができる。
【0013】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、本体ハウジングから下方に延出するグリップを有する。操作部は、本体ハウジングの上面から突出する。したがって使用者が視認しながら操作し易い本体ハウジングの上方に操作部を配置する。これにより操作部の操作性を良好にできる。
【0014】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、複数のジョーを電動モータの出力によって周方向に回転させるジョー回転機構を有する。コントローラは、複数のジョーが回転する回転区間における電動モータに流れる電流の第1上限値と、複数のジョーが径方向外方に相互に開く拡径区間における電動モータに流れる電流の第2上限値に基づいて電動モータに電流を供給可能とする。したがって回転区間と拡径区間で電動モータに流れる電流の上限値を変更させる。そのため、例えばジョーが回転不能になった場合に電動モータが駆動し続けることを抑制できる。これによりジョーや楔、ジョー回転機構に必要以上の負荷が加わることを抑制できる。
【0015】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、電動モータの回転数を検知してコントローラに信号を発する回転数検知センサを有する。コントローラは、回転数検知センサが発する信号と、初期位置または終端位置に移動したねじ軸を検知した検知信号に基づいて回転区間と拡径区間を設定する。したがって終端位置センサを移動させて楔の終端位置を変更させた時、回転区間と拡径区間を改めて設定できる。そのため流体管の収縮速度に合わせた拡径幅で流体管を拡径できるようにジョーの回転動作と拡径動作を好適に制御できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると第1上限値が第2上限値よりも低く設定される。したがってジョーとジョー回転機構に加わる負荷が小さい回転区間では電動モータに流れる電流の上限値を低くする。そのため回転区間において電動モータが過剰に駆動することを抑制できる。これによりジョーとジョー回転機構に加わる負荷を最小限に抑制できる。
【0017】
本開示の他の特徴によると回転区間は、楔が前進する区間でありかつ拡径区間の前である。したがって複数のジョーは、楔の周方向に回転した後に径方向に拡径する。複数のジョーの回転動作と拡径動作を明確に区分けすることで、ジョーやジョー回転機構に不用意に負荷が加わることを抑制できる。
【0018】
本開示の他の特徴によると回転区間は、楔が後退する区間でありかつ拡径区間の後である。したがって複数のジョーは、径方向内方に相互に閉じた後に楔の周方向に回転する。この場合においても複数のジョーの回転動作と拡径動作が明確に区分けされるため、ジョーやジョー回転機構に不用意に負荷が加わることを抑制できる。
【0019】
本開示の他の特徴によるとねじ軸と雌ねじ部材の螺合部分にボールが介装される。したがって螺合部分に介装されたボールによって駆動力の伝達効率が良くなる。そのためねじ軸に対する雌ねじ部材の回転駆動を、効率良くねじ軸の前後動に変換できる。
【0020】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、複数のジョーと径方向の肉厚が異なる第2の複数のジョーを複数のジョーに換えて取付可能である。したがって1つの管拡径工具を用いて管径の異なる複数種類の流体管を拡径できる。
【0021】
本開示の他の特徴によると管拡径工具は、初期位置センサおよび/または終端位置センサを前後方向の複数位置で解除可能に位置決めするセンサ位置決め機構を有する。したがって楔の初期位置として好適な複数の位置で初期位置センサを位置決めできる。あるいは、楔の終端位置として好適な複数の位置で終端位置センサを位置決めできる。そのため使用者が初期位置および/または終端位置の微調整をする必要がなく、使い勝手が向上する。また、位置決めされた初期位置センサおよび/または終端位置センサが不意に移動してしまうことを抑制できる。
【0022】
次に本開示の一つの実施例を
図1~14に基づいて説明する。
図1に示すように本実施例の管拡径工具1は、略円筒形状の本体ハウジング11に収容される工具本体10と、工具本体10の前後方向の中央から下方に延出するグリップ5を有する。使用者は、管拡径工具1の概ね後方(
図1において左方奥側)に位置してグリップ5を把持する。以下の説明において、使用者の手前側を後方、使用者の手前側と反対側を前方とする。上下左右方向については使用者を基準とする。
【0023】
図1,4に示すように本体ハウジング11の前部には、リング状のキャップ2が装着される。キャップ2の内周面の内側には、前後方向に延出する略円錐状の楔3が設けられる。楔3は、本体ハウジング11の中心で前後方向に延出する円柱状のねじ軸28の前端に装着される。ねじ軸28は、楔3は、ねじ軸28とともに前後方向に移動可能である。楔3の径方向外方かつキャップ2の径方向内方には、前後方向に延出する複数のジョー4が設けられる。複数のジョー4は、楔3の周方向に等間隔に並ぶ。例えば6つのジョー4が設けられ、各ジョー4が楔3の周方向に60°間隔で配置される。複数のジョー4は、周方向に互いに密接して楔3を覆う閉じ位置と、径方向外方に相互に開いて楔3の先端を露出する開き位置の間で径方向に開閉可能である。
【0024】
図1に示すようにグリップ5の前面には、トリガ式のスイッチレバー6が設けられる。使用者は、グリップ5を把持した状態でスイッチレバー6を引いて操作することができる。グリップ5の内部には、スイッチレバー6の操作と連動してオンオフが切り替えられるスイッチ本体6aが設けられる。スイッチ本体6aは、スイッチレバー6を引いていない場合にオフ状態であり、スイッチレバー6を引いた場合にオン状態になる。グリップ5の下端には、グリップ5に対して前後方向および左右方向に拡径する略矩形箱形の拡径部7が設けられる。拡径部7には、コントローラ45が収容される。コントローラ45は、底浅の矩形箱形のケースと、ケース内に収容されかつ樹脂モールドされた制御基板を有する。コントローラ45は、厚み方向(ケースの最短辺が延びる方向)が前後方向に沿った姿勢で拡径部7に収容される。コントローラ45は、主として後述する電動モータ21の駆動を制御する。
【0025】
図1に示すように拡径部7の下面には、矩形箱形のバッテリ8を取り外し可能に装着できるバッテリ取付部7aが設けられる。バッテリ8は、バッテリ取付部7aに対して前方に向けてスライドさせることでバッテリ取付部7aから取り外すことができる。バッテリ8は、バッテリ取付部7aの前方から後方に向けてスライドさせることでバッテリ取付部7aに装着できる。バッテリ8は、バッテリ取付部7aから取り外して別途用意した充電器で繰り返し充電して使用できる。バッテリ8は、他の電動工具の電源として流用することができる。バッテリ8は、電動モータ21に電力を供給する電源として動作する。
【0026】
図4に示すように本体ハウジング11には、前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15が前側から後方に順に収容される。前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14は、前後方向に貫通する挿通孔を中央に有する略円筒形状である。後側機構ハウジング15は、前後方向を板厚方向とする板状に設けられる。前側機構ハウジング12と第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15は、協働して後述するスピンドル24と雌ねじ部材27を収容する機構ハウジングを形成する。前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15は、鉄を材料にして設けられる。第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14は、アルミニウムを材料にして設けられる。
【0027】
図2,4に示すように前側機構ハウジング12の前部外周面には、雄ねじ12aが設けられる。キャップ2の内周面には、雄ねじ12aと螺合する雌ねじ2bが設けられる。雄ねじ12aと雌ねじ2bを螺合させることで、キャップ2が前側機構ハウジング12の前部に連結される。前側機構ハウジング12の後部には、径方向外方に張り出した略矩形の板状の矩形張出部12cが設けられる。矩形張出部12cの4つの角部には、前後方向に貫通する透孔12eが形成される。
【0028】
図2,4に示すように第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14と後側機構ハウジング15は、径方向外方に張り出す4つのボス部13c,14c,15cをそれぞれ有する。各ボス部13c,14c,15cは、前後方向に延出する略円筒形状に形成される。各ボス部13c,14cの中央には、前後方向に貫通する透孔13f,14fが設けられる。各ボス部15cの中央には、前後方向に延出するねじ孔15dが設けられる。
【0029】
図2,4に示すように矩形張出部12cとボス部13c,14c,15cを前後方向に並べることにより、透孔12e,13f,14fとねじ孔15dが前後方向に連通する。4本のボルト16を、連通した各透孔12e,13f,14fに前方から後方へ挿通させ、ねじ孔15dに締結させる。これにより前側機構ハウジング12と後側機構ハウジング15は、第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14を前後方向の間に挟んだ状態でボルト16で連結される。
【0030】
図3~5に示すように前側機構ハウジング12の後端と第1中央機構ハウジング13の前端には、略円筒形状の係合部12bと係合部13aがそれぞれ設けられる。係合部12bの内周面と係合部13aの外周面は略同じ径である。係合部12bと係合部13aは、前後方向にオーバーラップしかつ係合部12bの内周面と係合部13aの外周面が密接したいわゆるインロー構造で係合する。
【0031】
図3~5に示すように第1中央機構ハウジング13の後端と第2中央機構ハウジング14の前端には、略円筒形状の係合部13bと係合部14aがそれぞれ設けられる。係合部13bの内周面と係合部14aの外周面は略同じ径である。係合部13bと係合部14aは、前後方向にオーバーラップしかつ係合部13bの内周面と係合部14aの外周面が密接したインロー構造で係合する。
【0032】
図3~5に示すように第2中央機構ハウジング14の後端には、略円筒形状の係合部14bが設けられる。後側機構ハウジング15の前面には、前方へ突出した略円筒形状の係合部15bが設けられる。係合部14bの内周面と係合部15bの外周面は略同じ径である。係合部14bと係合部15bは、前後方向にオーバーラップしかつ係合部14bの内周面と係合部15bの外周面が密接したインロー構造で係合する。
【0033】
図1,5に示すように本体ハウジング11の後部には、電動モータ21を収容する略円筒形状のモータハウジング20が設けられる。モータハウジング20は、ねじ軸28の下方かつグリップ5の上方に位置する。電動モータ21には、例えばDCブラシレスモータと称されるモータが用いられる。電動モータ21の出力軸21aは、モータ軸線Jに沿ってねじ軸28と平行に前後方向に延出する。出力軸21aは、モータハウジング20に取り付けられた軸受21e,21fによってモータ軸線Jを中心に回転可能に支持される。
【0034】
図5に示すようにモータハウジング20の内周面には、電動モータ21の固定子21bが回転不能に支持される。電動モータ21の回転子21cは、固定子21bの内周側で出力軸21aと一体に回転可能に出力軸21aに取り付けられる。回転子21cの前方には、回転数検知センサ21dが設けられる。回転数検知センサ21dは、回転子21cの回転角度を検知することで出力軸21aの回転数を検知する。回転子21cと後方の軸受21fの前後方向の間には、モータハウジング20内に冷却風を導入するためのファン22が出力軸21aに一体に取り付けられる。出力軸21aとともにファン22が回転すると、冷却風がモータハウジング20の前方から後方に向けて流れる。
【0035】
図5に示すように電動モータ21の前方には、出力軸21aの出力を減速するための遊星減速機構23が設けられる。遊星減速機構23は、モータ軸線Jを中心としかつ電動モータ21と略同じ径の略円柱状である。遊星減速機構23の後端には、第1サンギヤ23aが出力軸21aの前端と一体に設けられる。第1サンギヤ23aの径方向外方には、モータ軸線Jを中心とするリング状の第1インターナルギヤ23bが設けられる。第1サンギヤ23aと第1インターナルギヤ23bの間に複数の第1遊星ギヤ23cが噛み合う。第1遊星ギヤ23cは、第1サンギヤ23aの前方の第1キャリヤ23dと連結される。出力軸21aの回転駆動は、第1サンギヤ23aと第1遊星ギヤ23cを介して第1キャリヤ23dに減速して伝達される。
【0036】
図5に示すように第1キャリヤ23dは、前方の第2サンギヤ23eと一体に設けられ、かつ第2サンギヤ23eとともにモータ軸線Jを中心に回転可能である。第2サンギヤ23eの径方向外方には、モータ軸線Jを中心とするリング状の第2インターナルギヤ23fが設けられる。第2サンギヤ23eと第2インターナルギヤ23fの間に複数の第2遊星ギヤ23gが噛み合う。第2遊星ギヤ23gは、第2サンギヤ23eの前方に配置された第2キャリヤ23hと連結される。第2キャリヤ23hは、前方のスピンドル24と一体に設けられ、モータ軸線Jを中心に回転可能である。したがって第1キャリヤ23dの回転駆動は、第2サンギヤ23e、第2遊星ギヤ23g、第2キャリヤ23hを介してスピンドル24に減速して伝達される。かくして出力軸21aの回転駆動が遊星減速機構23を介してスピンドル24に減速して伝達される。
【0037】
図5に示すようにスピンドル24は、スピンドル軸受24b,24cによってモータ軸線Jを中心に回転可能に支持される。前方のスピンドル軸受24bは、第1中央機構ハウジング13の下部に凹設された凹部13dに圧入される。後方のスピンドル軸受24cは、第2中央機構ハウジング14の下部に凹設された凹部14dに圧入される。スピンドル軸受24b,24cは、第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14が協働して形成するスペース内に収容される。スピンドル24には、ねじ軸28に動力を伝達するためのギヤ26が一体に回転可能に設けられる。ギヤ26は、スピンドル軸受24b,24cの前後の間に設けられる。スピンドル24の外周面には、スピンドル軸受24bの前方において雄ねじ24aが形成される。
【0038】
図4,5に示すように工具本体10には、ボールねじ機構と称される送りねじ機構25が設けられる。送りねじ機構25は、ねじ軸28と雌ねじ部材27とギヤ26を有する。ねじ軸28は、本体ハウジング11の中心で前後方向に延出するねじ軸軸線K上に配置される。ねじ軸28は、ねじ軸軸線Kに沿って前後方向に移動可能である。ねじ軸28は、移動範囲の最後端に位置する際に出力軸21aと前後方向にオーバーラップする。雌ねじ部材27は、ねじ軸28と螺合しかつギヤ26と噛み合う略円筒形状に形成される。雌ねじ部材27の内周面には雌ねじ27bが設けられる。雌ねじ27bは、ねじ軸28の雄ねじ28aとの間に複数のボール28bを介して雄ねじ28aに螺合される。雌ねじ部材27の前後方向の中央には、径方向外方に突出してギヤ26と噛み合うギヤ27aが設けられる。ギヤ27aとギヤ26の噛み合いによってスピンドル24の回転駆動が雌ねじ部材27に減速して伝達される。
【0039】
図4,5に示すように雌ねじ部材27は、前後の雌ねじ部材軸受27c,27dによってねじ軸軸線Kを中心にして回転可能に支持される。ギヤ27aの前方の雌ねじ部材軸受27cは、第1中央機構ハウジング13の内周面13eに圧入される。ギヤ27aの後方の雌ねじ部材軸受27dは、第2中央機構ハウジング14の内周面14eに圧入される。雌ねじ部材軸受27c,27dは、第1中央機構ハウジング13と第2中央機構ハウジング14が協働して形成するスペース内に収容される。雌ねじ部材27の後面と後側機構ハウジング15の前面15aとの間には、雌ねじ部材27を後方に押すスラスト荷重を受けるためのスラスト軸受27eが設けられる。雌ねじ部材27の前面と後述する動力変換リング32の後面との間には、ワッシャ27fが設けられる。
【0040】
図2,3に示すようにねじ軸28の後部には、本体ハウジング11に対するねじ軸28の前後動をガイドするねじ軸ガイド29が設けられる。ねじ軸ガイド29は、ねじ軸28に連結されかつ左右方向に延出する支持部材29aと、支持部材29aの左右両端に設けられるローラ29bを有する。本体ハウジング11の左右の内周面には、前後方向に延出するループ形状の一対のレール29cが設けられる。ローラ29bは、レール29cと係合してレール29cに沿って前後方向に移動可能である。ねじ軸28は、ローラ29bに案内されて前後方向に移動可能である。
【0041】
図4,5に示すように工具本体10には、複数のジョー4を回転させるジョー回転機構30が設けられる。ジョー回転機構30は、直線移動部材31と動力変換リング32を有する。直線移動部材31は、前後方向を軸方向とする略円筒形状に形成される。直線移動部材31は、内周面に設けられた雌ねじ31aと、略円筒形状の軸方向と直交して延出する円柱状の凸部31bを有する。凸部31bの上端には、凸部31bを周方向に覆いかつ凸部31bの軸回りに回転可能なローラ31cが設けられる。直線移動部材31の雌ねじ31aは、スピンドル24の雄ねじ24aと螺合される。前側機構ハウジング12の下部には、直線移動部材31の回転を規制する回転規制部12dが設けられる。回転規制部12dは、前側機構ハウジング12を径方向に貫通しかつ前後方向に直線状に延出する溝形状に形成される。
【0042】
図4,9に示すように動力変換リング32は、前後方向に貫通する挿通孔32dを中央に有する略円筒形状である。動力変換リング32の下部の外周面には、溝32a,32bが凹設される。溝32aは、動力変換リング32の周方向に延出し、例えば動力変換リング32の軸方向(前後方向)と45°の傾斜角度で交差する方向に延出する。溝32aの傾斜方向は、前側から見て前方に向けて反時計回り方向である。溝32bは、動力変換リング32の軸方向と平行に延出する。溝32aと溝32bには、ローラ31cを装着した凸部31bが挿通される。溝32aの前端と溝32bの後端は、凸部31bがスムーズに移動できるように連通されている。
【0043】
図5~8に示すように動力変換リング32は、前側機構ハウジング12に収容される。直線移動部材31は、前側機構ハウジング12の下方でスピンドル24の雄ねじ24aに螺合される。凸部31bは、回転規制部12dを貫通して上方に延出し、溝32aまたは溝32bに挿通される。ローラ31cは、溝32a,32bの壁面と回転規制部12dの壁面の両方に当接する。直線移動部材31は、凸部31bと回転規制部12dの係合によってスピンドル24の軸回りの回転が規制されている。
【0044】
図10~12に示すようにスピンドル24が軸回りに回転すると、雄ねじ24aと雌ねじ31aの螺合および直線移動部材31の軸回りの回転の規制によって、直線移動部材31が前後方向に移動する。直線移動部材31が移動範囲の最後端に位置する際、凸部31bは溝32aの後端に位置する。直線移動部材31が最後端から前方に移動すると、凸部31bが溝32a内を前方へ移動する。直線移動部材31の回転が規制されているため、凸部31bは左右方向に移動しない。そのため前進する凸部31bが溝32aの壁面を押す。これにより動力変換リング32は、ねじ軸軸線Kを中心にして前側から見て時計回り方向に回転する。直線移動部材31がさらに前方へ移動すると、凸部31bが溝32aから溝32bに進入する。溝32bは前後方向に対して傾斜していないため、凸部31bが溝32bの壁面を押す力は発生しない。そのため動力変換リング32は回転しない。
【0045】
図10~12に示すように直線移動部材31が移動範囲の最前端から後方へ移動する際には、先ず凸部31bが溝32b内を移動する。この時、凸部31bが溝32bの壁面を押す力は発生しないため、動力変換リング32は回転しない。凸部31bが溝32a内を後方へ移動する際には、凸部31bが溝32aの壁面を押すことにより、動力変換リング32が前側から見て反時計回り方向に回転する。
【0046】
図4,5に示すように動力変換リング32の径方向内方には、円筒形状のワンウェイクラッチ33と略円筒形状の第1回転駆動リング34が設けられる。ワンウェイクラッチ33は、動力変換リング32の内周面に装着される。第1回転駆動リング34は、ワンウェイクラッチ33の径方向内方かつねじ軸28の径方向外方に配置される。ワンウェイクラッチ33は、前側から見て時計回り方向の回転駆動のみを許容して動力変換リング32から第1回転駆動リング34へ伝達する。一方、前側から見て反時計回り方向の回転駆動は、動力変換リング32からワンウェイクラッチ33を介して第1回転駆動リング34には伝達しない。
【0047】
図4,5に示すように第1回転駆動リング34は、前後方向に貫通する挿通孔34dを中央に有する略円筒形状である。挿通孔34dには、ねじ軸28が前後方向に移動可能に挿通される。第1回転駆動リング34は、ねじ軸軸線Kを中心とする円筒形状の小径部34aと大径部34bを有する。小径部34aは、大径部34bの後方に配置される。小径部34aは、ワンウェイクラッチ33の内周面に圧入される。大径部34bの外周面には、前後方向に延出する複数の凹溝34cが凹設される。複数の凹溝34cは、周方向に所定の間隔で配置され、例えば大径部34bの周方向に90°間隔で設けられる。
【0048】
図4,5に示すように第1回転駆動リング34の前方には、第1回転駆動リング34と係合する第2回転駆動リング35が設けられる。第2回転駆動リング35は、前後方向に貫通する挿通孔35eを中央に有する略円筒形状である。挿通孔35eには、ねじ軸28と第1回転駆動リング34が挿通される。第2回転駆動リング35の内周面には、径方向内方へ突出する複数の係合凸部35aが設けられる。第1回転駆動リング34を挿通孔35eに挿通することにより、複数の係合凸部35aが複数の凹溝34cと係合する。そのため第2回転駆動リング35は、第1回転駆動リング34と一体になってねじ軸軸線Kを中心に回転可能であり、かつ第1回転駆動リング34に対して前後方向にスライド可能である。
【0049】
図4,5に示すように第2回転駆動リング35の外周面の前部には、径方向外方に張り出したばね受け部35dが設けられる。動力変換リング32の前面の前方には、ワッシャ32cが設けられる。ばね受け部35dとワッシャ32cの間に圧縮ばね35cが介装される。第2回転駆動リング35は、圧縮ばね35cによって前方に向けて付勢される。第2回転駆動リング35の前面には、前後方向の凹凸を周方向に繰り返した形状の複数の噛み合い歯35bが設けられる。
【0050】
図4,5に示すように第2回転駆動リング35の前方には、第2回転駆動リング35および複数のジョー4と係合する第3回転駆動リング36が設けられる。第3回転駆動リング36は、前後方向に貫通する挿通孔36cを中央に有する略円筒形状である。挿通孔36cにはねじ軸28が挿通される。第3回転駆動リング36の後面には、前後方向の凹凸を周方向に繰り返した形状の複数の噛み合い歯36aが設けられる。噛み合い歯36aは、第2回転駆動リング35の噛み合い歯35bと係合する。第3回転駆動リング36は、噛み合い歯35bと噛み合い歯36aの噛み合いによって第2回転駆動リング35と一体になってねじ軸軸線Kを中心に回転可能である。第3回転駆動リング36の前端面には、前方に向けて突出する複数の係合凸部36bが設けられる。各係合凸部36bは、ジョー4の後端面に設けられた係合凹部4b(
図13参照)と係合する。これにより複数のジョー4は、第3回転駆動リング36と一体になってねじ軸軸線Kを中心に回転可能である。
【0051】
例えばジョー4が流体管の内周面に食い付く場合がある。この場合に第2回転駆動リング35は、圧縮ばね35cの付勢力に抗して後退し、第3回転駆動リング36から離間する。これにより噛み合い歯35bと噛み合い歯36aの噛み合いが外れる。そのためねじ軸軸線Kを中心に複数のジョー4を回転させる動力の伝達経路が、第2回転駆動リング35と第3回転駆動リング36の間で遮断される。これにより流体管に食い付いたジョー4に回転駆動の過負荷が加わることを抑制し、各部材(例えば動力を伝達する直線移動部材31、動力変換リング32、回転駆動リング34,35,36)の破損を抑制できる。
【0052】
図5~7に示すようにジョー4の後部の径方向外周には、断面円弧状のリング収容溝4aが設けられる。複数のジョー4のリング収容溝4aは、周方向に連なって円環状の溝を形成する。複数のジョー4は、リング収容溝4aに挿入されかつ弾性的に伸縮可能なリング4cによって周方向に連結される。キャップ2の内周面には、リング4cを収容可能なジョー支持溝2aが径方向外方および周方向に延出して設けられる。ジョー支持溝2aは、リング4cの径方向の移動は許容するが、リング4cの前後方向の移動は規制する。複数のジョー4は、ジョー支持溝2aに支持されたリング4cを中心にして径方向に開閉する。
【0053】
図5~7,10~12を参照して送りねじ機構25とジョー回転機構30の駆動について説明する。先ず電動モータ21の出力軸21aが回転する。出力軸21aの回転駆動が遊星減速機構23で減速されてスピンドル24に伝わる。スピンドル24が回転すると、ギヤ26とギヤ27aの噛み合いによって雌ねじ部材27が回転する。また、雄ねじ24aと雌ねじ31aの螺合および回転規制部12dによる直線移動部材31の回転の規制によって、直線移動部材31が前後方向に移動する。雌ねじ部材27が回転すると、雌ねじ27bと雄ねじ28aの螺合によってねじ軸28が前後方向に移動する。ねじ軸28が前進する際、ねじ軸28の前端に装着された楔3が複数のジョー4とリング4cを径方向外方の開き位置に移動するように押圧する。ねじ軸28が後退する際には、楔3の押圧力が解消されるため、リング4cが収縮して複数のジョー4が径方向内方の閉じ位置に戻る。
【0054】
直線移動部材31が前進し、凸部31bが溝32a内を前進する際、動力変換リング32が前側から見て時計回り方向に回転する。動力変換リング32の回転駆動は、ワンウェイクラッチ33を介して第1回転駆動リング34に伝わる。第1回転駆動リング34と第2回転駆動リング35と第3回転駆動リング36は、前側から見て時計回り方向に回転する。そのため第3回転駆動リング36に支持された複数のジョー4も前側から見て時計回り方向に回転する。凸部31bが溝32b内を前進する際には、動力変換リング32が回転しない。そのため第1回転駆動リング34、第2回転駆動リング35、第3回転駆動リング36、および複数のジョー4は回転しない。
【0055】
直線移動部材31が後退し、凸部31bが溝32b内を後退する際には、動力変換リング32が回転しない。そのため第1回転駆動リング34、第2回転駆動リング35、第3回転駆動リング36、および複数のジョー4は回転しない。凸部31bが溝32a内を後退する際には、動力変換リング32が前側から見て反時計回り方向に回転する。ワンウェイクラッチ33は、前側から見て時計回り方向の回転駆動のみを第1回転駆動リング34に伝達する。そのため第1回転駆動リング34、第2回転駆動リング35、第3回転駆動リング36、および複数のジョー4は回転しない。
【0056】
電動モータ21は、コントローラ45(
図1参照)によって正転と逆転が切り替えられる。複数のジョー4は、電動モータ21が正転する際に前進する楔3に押されて径方向外方へ相互に開く。また、複数のジョー4は、電動モータ21が正転する際にジョー回転機構30によって前側から見て時計回り方向に回転する。複数のジョー4は、電動モータ21が逆転する際に楔3の後退に伴って径方向内方へ相互に閉じる。また、複数のジョー4は、電動モータ21が逆転する際にワンウェイクラッチ33の回転規制によって回転しない。
【0057】
ジョー回転機構30による複数のジョー4の回転動作と、送りねじ機構25で楔3が前後動することによる複数のジョー4の開閉動作のタイミングは、各機構の設計によって変更できる。例えば動力変換リング32に設けられる溝32a,32bの形状や、ねじ軸28の前後方向の移動範囲等を変更することで動作のタイミングを変更できる。本実施例においては、複数のジョー4の回転動作が終わった直後に複数のジョー4が開閉するように設定される。
【0058】
図3,5に示すように雌ねじ部材27の後方には、ねじ軸28が移動範囲の最前端の終端位置に移動したことを検知する終端位置センサ42が設けられる。終端位置センサ42の後方には、ねじ軸28が移動範囲の最後端の初期位置に移動したことを検知する初期位置センサ41が設けられる。初期位置センサ41と終端位置センサ42は、ホールICと称される磁界を検知するセンサである。初期位置センサ41は、ねじ軸28の上方において本体ハウジング11に固定される。終端位置センサ42は、ねじ軸28の上方において前後方向に移動可能に本体ハウジング11に支持される。
【0059】
図1,5に示すように本体ハウジング11の上部には、終端位置センサ42を前後方向に移動可能にする位置調整機構44が設けられる。本体ハウジング11の上面には、本体ハウジング11を上下方向に貫通しかつ前後方向に直線状に延出する溝孔11aが設けられる。位置調整機構44は、溝孔11aを貫通して本体ハウジング11の上面から露出する操作部44aを有する。終端位置センサ42は、本体ハウジング11の内側で操作部44aの下端に支持される。終端位置センサ42は、操作部44aとともに溝孔11aに沿って前後方向にスライド可能である。操作部44aを使用者の指でスライド操作することで終端位置センサ42の前後位置を変更できる。
【0060】
図3,5に示すようにねじ軸28の後部上側には、磁石43が取り付けられる。初期位置センサ41は、磁石43と前後方向にオーバーラップした時点のねじ軸28と楔3の位置を初期位置として検知する。終端位置センサ42は、磁石43と前後方向にオーバーラップした時点のねじ軸28と楔3の位置を終端位置として検知する。
【0061】
終端位置センサ42を前方へ移動させる場合、楔3の終端位置がより前方に設定される。そのため略円錐形状の楔3は、終端位置において径の大きい後部の外周面で複数のジョー4を径方向外方に押す。これにより複数のジョー4を径方向外方に押す力が大きくなり、複数のジョー4が径方向外方に相互に開く拡径幅を大きくすることができる。例えば気温や流体管の温度が高く拡径した流体管の収縮速度が速い場合には、終端位置センサ42を前方に移動させることで流体管の端部を大きく拡径できる。
【0062】
終端位置センサ42を後方へ移動させる場合、楔3の終端位置がより後方に設定される。そのため略円錐形状の楔3は、終端位置において径が比較的小さい前後方向中央の外周面で複数のジョー4を径方向外方に押す。これにより複数のジョー4を径方向外方に押す力が小さくなり、複数のジョー4が径方向外方に相互に開く拡径幅が小さくなる。例えば気温が低く拡径した流体管の収縮速度が遅い場合には、終端位置センサ42を前方に移動させることで流体管の端部の拡径幅を小さくすることができる。
【0063】
図5~7に示す複数のジョー4は、径方向外方に相互に開く際、流体管の端部を拡径させるために流体管から大きな負荷を受ける。一方、複数のジョー4は、流体管内で周方向に回転する際には、流体管の端部を拡径する場合よりも小さい負荷を受ける。そのため、複数のジョー4を径方向外方に相互に開く際に必要な電動モータ21の出力は、複数のジョー4を回転させる場合に必要な電動モータ21の出力よりも大きい。仮に電動モータ21に流れる電流の上限値を常に一定値になるように設定する。ジョー4は、例えば回転動作時に流体管の内周面に対する食い付き等により回転できない場合がある。この場合にも電動モータ21には上限値になるまで電流が供給される。そのため回転不能なジョー4に過大な力が加わってジョー4が破損する恐れが生じる。
【0064】
本実施例ではジョー4に過大な力が加わるのを抑制するために、ジョー4が回転動作する回転区間において電動モータ21に流れる電流の上限値を第1上限値とする。複数のジョー4が径方向外方に相互に開く拡径区間において電動モータ21に流れる電流の上限値を第2上限値とする。第1上限値を第2上限値よりも低い値、例えば第2上限値の70%以下、50%以下、30%以下の値に設定する。これにより万一、回転区間でジョー4が回転不能になった場合、第2上限値よりも低い第1上限値で電動モータ21の駆動が停止する。そのため回転不能なジョー4に過大な力が発生することを抑制できる。コントローラ45(
図1参照)は、電動モータ21の回転数と、楔3の前後位置に基づいて回転区間と拡径区間を検出する。
【0065】
図14に示すようにコントローラ45は、スイッチ本体6aからオン信号を受信すると、バッテリ8から電動モータ21に電力を供給させ、電動モータ21を起動させる。コントローラ45は、電動モータ21に設けられた回転数検知センサ21dから回転子21cの位相の検知信号を受信することで、電動モータ21の回転数を検知する。初期位置センサ41は、磁石43を検知した時にねじ軸28の初期位置の検知信号をコントローラに発信する(
図5参照)。終端位置センサ42は、磁石43を検知した時にねじ軸28の終端位置の検知信号をコントローラ45に発信する。
【0066】
図14に示すコントローラ45は、初期位置センサ41の検知信号を受信してから電動モータ21が所定の回転数で回転するまでの区間を回転区間に設定する。コントローラ45は、回転区間の終了時から終端位置センサ42が終端位置に位置するねじ軸28を検知するまでの区間を拡径区間に設定する。電動モータ21の所定の回転数は、例えば動力変換リング32の溝32a,32b(
図9参照)の形状や、スピンドル24の1回転あたりのねじ軸28および直線移動部材31の送り量(
図5~7参照)に基づいて予め設定されてコントローラ45に記憶される。電動モータ21は、コントローラ45(
図1参照)によって正転と逆転が切り替えられ、回転速度が変更される。これにより楔3の移動方向と移動速度、およびジョー4の回転方向と回転速度を変更できる。
【0067】
上述するように合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具1は、
図5に示すように電動モータ21の出力軸21aを正転と逆転に切り替えるコントローラ45(
図1参照)を有する。管拡径工具1は、電動モータ21によって回転する雌ねじ部材27を有する。管拡径工具1は、雌ねじ部材27に螺合しかつ雌ねじ部材27の回転によって後方の初期位置と前方の終端位置の間で前後動するねじ軸28を有する。管拡径工具1は、ねじ軸28から前方に延出する楔3を有する。管拡径工具1は、楔3がねじ軸28とともに前進した際に楔3に押されて径方向外方に相互に開く複数のジョー4を有する。管拡径工具1は、初期位置または終端位置に位置するねじ軸28を検知してコントローラ45に信号を発する初期位置センサ41と終端位置センサ42の両センサを有する。終端位置センサ42が前後方向に位置移動可能に設けられる。終端位置センサ42の位置によってねじ軸28の終端位置を可変とする。
【0068】
したがって終端位置センサ42を前方に移動させることにより、楔3が前方へ移動する終端位置をより前方に設定することができる。そのため楔3が終端位置で複数のジョー4を径方向外方へ押す力が大きくなる。これにより複数のジョー4が径方向外方に相互に開く拡径幅を大きくすることができる。そのため、例えば気温が高く流体管の収縮速度が速い場合に、流体管の端部を大きく拡径できる。終端位置センサ42を後方に移動させることにより、楔3が前方へ移動する終端位置をより後方に設定することができる。そのため楔3が終端位置で複数のジョー4を径方向外方へ押す力が小さくなる。これにより複数のジョー4が径方向外方に相互に開く拡径幅を小さくすることができる。そのため、例えば気温が低く流体管の収縮速度が遅い場合に、流体管の端部の拡径幅を小さくすることができる。かくして気温や流体管の温度等に応じてジョー4の拡径幅を変更できる。
【0069】
図3,5に示すように管拡径工具1は、初期位置に位置するねじ軸28を検知する初期位置センサ41を有する。したがってねじ軸28の初期位置と終端位置を検知することで、ねじ軸28と楔3の前後方向の位置を精度良く検知できる。
【0070】
図5に示すように初期位置センサ41および終端位置センサ42は、本体ハウジング11に設けられたホールICを有する。ねじ軸28に磁石43が設けられる。したがってねじ軸28の初期位置および/または終端位置を検知する構造をシンプルかつ小型に設けることができる。そのため初期位置センサ41と終端位置センサ42を含む本体ハウジング11をコンパクトに設けることができる。
【0071】
図1,5に示すように終端位置センサ42は、本体ハウジング11の外へ突出する操作部44aを有する。したがって使用者は、本体ハウジング11の外方から操作部44aを操作して終端位置センサ42を移動させることができる。そのため終端位置センサ42を目標位置まで容易に移動させることができる。
【0072】
図1に示すように管拡径工具1は、本体ハウジング11から下方に延出するグリップ5を有する。操作部44aは、本体ハウジング11の上面から突出する。したがって使用者が視認しながら操作し易い本体ハウジング11の上方に操作部44aを配置する。これにより操作部44aの操作性を良好にできる。
【0073】
図5に示すように管拡径工具1は、複数のジョー4を電動モータ21の出力によって周方向に回転させるジョー回転機構30を有する。コントローラ45(
図1参照)は、複数のジョー4が回転する回転区間における電動モータ21に流れる電流の第1上限値と、複数のジョー4が径方向外方に相互に開く拡径区間における電動モータ21に流れる電流の第2上限値に基づいて電動モータ21に電流を供給可能とする。したがって回転区間と拡径区間で電動モータ21に流れる電流の上限値を変更させる。そのため、例えばジョー4が回転不能になった場合に電動モータ21が駆動し続けることを抑制できる。これによりジョー4や楔3、ジョー回転機構30等に必要以上の負荷が加わることを抑制できる。
【0074】
図14に示すように管拡径工具1は、電動モータ21の回転数を検知してコントローラ45に信号を発する回転数検知センサ21dを有する。コントローラ45は、回転数検知センサ21dが発する信号と、初期位置または終端位置に移動したねじ軸28を検知した検知信号に基づいて回転区間と拡径区間を設定する。したがって終端位置センサ42を移動させてねじ軸28の終端位置を変更させた時、回転区間と拡径区間を改めて設定できる。そのため流体管の収縮速度に合わせた拡径幅で流体管を拡径できるようにジョー4の回転動作と拡径動作を好適に制御できる。
【0075】
図5に示す電動モータ21に流れる第1上限値は、第2上限値よりも低く設定される。したがってジョー4とジョー回転機構30に加わる負荷が小さい回転区間では電動モータ21に流れる電流の上限値を低くする。そのため回転区間において電動モータ21が過剰に駆動することを抑制できる。これによりジョー4とジョー回転機構30に加わる負荷を最小限に抑制できる。
【0076】
図5~7に示すように回転区間は、楔3が前進する区間でありかつ拡径区間の前である。したがって複数のジョー4は、楔3の周方向に回転した後に径方向に拡径する。複数のジョー4の回転動作と拡径動作を明確に区分けすることで、ジョー4やジョー回転機構30に不用意に負荷が加わることを抑制できる。
【0077】
図5~7を参照するように回転区間は、楔3が後退する区間でありかつ拡径区間の後である。したがって複数のジョー4は、径方向内方に相互に閉じた後に楔3の周方向に回転する。この場合においても複数のジョー4の回転動作と拡径動作が明確に区分けされるため、ジョー4やジョー回転機構30に不用意に負荷が加わることを抑制できる。
【0078】
図5に示すようにねじ軸28と雌ねじ部材27の螺合部分にボール28bが介装される。したがって螺合部分に介装されたボール28bによって駆動力の伝達効率が良くなる。そのためねじ軸28に対する雌ねじ部材27の回転駆動を、効率良くねじ軸28の前後動に変換できる。
【0079】
次に本開示の他の実施例を
図15~17に基づいて説明する。
図15に示すように第2実施例の管拡径工具50は、
図5に示す第1実施例の管拡径工具1の位置調整機構44に代えて、センサ位置決め機構(位置調整機構)53を有する。センサ位置決め機構53には、初期位置センサ41の前後方向の位置を変更可能な初期位置操作部54が設けられる。センサ位置決め機構53には、終端位置センサ42の前後方向の位置を変更可能な終端位置操作部55が設けられる。以下の説明においては第1実施例の管拡径工具1と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0080】
図15,16に示すように管拡径工具50の前部には、複数のジョー4に代えて、第2の複数のジョー51を装着可能である。複数のジョー4は、例えば呼び径が0.5インチ、0.75インチ、1インチ等の流体管を拡径するために用いられる。複数のジョー51は、例えば呼び径が1.5インチ等の流体管を拡径するために用いられる。複数のジョー4,51が流体管を拡張する際、複数のジョー4,51には、楔3から受ける径方向外方へ開く力と、流体管を拡げる力の反作用で流体管から受ける径方向内方へ向かう力が作用する。そのため各ジョー4,51には曲げの力が作用する。流体管のサイズが大きくなるほど、曲げの力が大きくなる。ジョー51は、曲げの力に対する耐久性を高めるためにジョー4よりも径方向の肉厚が大きく設けられる。
【0081】
図15に示すように各ジョー51の後部の径方向外周には、断面円弧状のリング収容溝51aが設けられる。複数のジョー51のリング収容溝51aは、周方向に連なって円環状の溝を形成する。複数のジョー51は、リング収容溝51aに挿入されかつ弾性的に伸縮可能なリング51bによって周方向に連結される。リング51bは、キャップ2の内周面のジョー支持溝2aによって径方向の移動が許容され、かつ前後方向の移動が規制される。複数のジョー51は、ジョー支持溝2aに支持されたリング51bを中心にして径方向に開閉する。
【0082】
図15,16を参照するように複数のジョー4が連結されたキャップ2を前側機構ハウジング12の雄ねじ12aから取り外し、第2の複数のジョー51が連結されたキャップ2を雄ねじ12aに締結させる。これにより複数のジョー4と第2の複数のジョー51を付け替えることができる。
【0083】
図15,16を参照するように、仮に楔3の初期位置をジョー51の内周壁51cと楔3が近接する位置で固定する場合、第2の複数のジョー51に代えて複数のジョー4を装着する際、ジョー4の内周壁4dと楔3との間に前後方向の距離Dが生じてしまう。楔3が初期位置から距離Dの区間を移動する間、楔3は複数のジョー4に接触せず、複数のジョー4を径方向外方へ開かない。そのため複数のジョー4を開閉させる1サイクルあたりの開閉時間が距離Dを移動する分だけ長くなってしまう。本実施例の管拡径工具50は、初期位置センサ41を前後方向に移動させることで楔3およびねじ軸28の初期位置を変更可能である。これにより、例えば
図16の仮想線で示すように楔3の初期位置を、楔3とジョー51の内周壁51cが相互に近接する位置に変更可能である。
【0084】
図17に示すように初期位置操作部54は、本体ハウジング52の溝孔52aに沿って前後方向にスライド可能である。初期位置操作部54の下部には、初期位置センサ41を保持するセンサ保持部54bが設けられる。初期位置操作部54の上部は、溝孔52aの外側(上側)に位置しかつ溝孔52aよりも左右方向に張出した略矩形の板状に設けられる。初期位置操作部54の上部の下面には、スプリング保持溝54aが設けられる。スプリング保持溝54aは、初期位置操作部54の前部と後部に1つずつ設けられる。各スプリング保持溝54aには、リーフスプリング56の両先端が挿入されて脱落しないように保持される。リーフスプリング56は、略M字状に設けられ、中央に下方へ突出した係合部56aを有する。係合部56aの下面は円弧状である。係合部56aは、初期位置操作部54に保持されたリーフスプリング56の弾性を利用して上下方向に移動可能である。
【0085】
図17に示すように終端位置操作部55は、本体ハウジング52の溝孔52aに沿って前後方向にスライド可能である。終端位置操作部55は、初期位置操作部54と略同形状で設けられる。終端位置操作部55の下部には、終端位置センサ42を保持するセンサ保持部55bが設けられる。終端位置操作部55の上部の下面には、スプリング保持溝55aが設けられる。スプリング保持溝55aは、終端位置操作部55の前部と後部にそれぞれ1つずつ設けられる。一対のスプリング保持溝55aには、リーフスプリング57の両先端が挿入されて脱落しないように保持される。リーフスプリング57は、リーフスプリング56と略同形状に設けられ、中央に下方へ突出した係合部57aを有する。係合部57aの下面は円弧状である。係合部57aは、終端位置操作部55に保持されたリーフスプリング57の弾性を利用して上下方向に移動可能である。
【0086】
図17に示すように本体ハウジング52の溝孔52aの側壁には、複数の係合凹部52b,52cが設けられる。係合凹部52b,52cは、本体ハウジング52の上面から下方に向けて半球状に凹設される。複数の係合凹部52bは、溝孔52aの後部において前後方向に所定の間隔で形成される。複数の係合凹部52cは、溝孔52aの前部において前後方向に所定の間隔で形成される。
【0087】
図17に示すようにリーフスプリング56の係合部56aは、複数の係合凹部52bのいずれか1つと同じ前後位置に移動した時、下動して係合凹部52bと弾性的に係合する。これにより初期位置操作部54が所定の前後位置で位置決めされる。初期位置操作部54に所定以上の前後方向の力を加えることで、係合部56aと係合凹部52bの係合が外れて初期位置操作部54が前後方向にスライド可能になる。かくして初期位置操作部54は、節度感(クリック感)を持って前後方向に移動可能に複数の所定の前後位置で位置決めされる。例えば径方向の肉厚が薄い複数のジョー4を装着する場合、初期位置操作部54を前方位置へ移動させる。例えば径方向の肉厚が厚い第2の複数のジョー51を装着する場合、初期位置操作部54を後方位置へ移動させる。
【0088】
図17に示すようにリーフスプリング57の係合部57aは、複数の係合凹部52cのいずれか1つと同じ前後位置に移動した時、下動して係合凹部52cと弾性的に係合する。これにより終端位置操作部55が所定の前後位置で位置決めされる。終端位置操作部55に所定以上の前後方向の力を加えることで、係合部57aと係合凹部52cの係合が外れて終端位置操作部55が前後方向にスライド可能になる。かくして終端位置操作部55は、節度感を持って前後方向に移動可能に複数の所定の前後位置で位置決めされる。例えば気温が高く流体管の収縮速度が速い場合、終端位置操作部55を前方位置へ移動させる。例えば気温が低く流体管の収縮速度が遅い場合、終端位置操作部55を後方位置へ移動させる。
【0089】
上述するように合成樹脂製の流体管の端部を拡径する管拡径工具50は、
図16に示すように電動モータ21の出力軸を正転と逆転に切り替えるコントローラ45(
図1参照)を有する。管拡径工具50は、電動モータ21によって回転する雌ねじ部材27を有する。管拡径工具50は、雌ねじ部材27に螺合しかつ雌ねじ部材27の回転によって後方の初期位置と前方の終端位置の間で前後動するねじ軸28を有する。管拡径工具50は、ねじ軸28から前方に延出する楔3を有する。管拡径工具50は、楔3がねじ軸28とともに前進した際に楔3に押されて径方向外方に相互に開く複数のジョー4を有する。管拡径工具50は、初期位置または終端位置に位置するねじ軸28を検知してコントローラ45に信号を発する初期位置センサ41と終端位置センサ42の両センサを有する。初期位置センサ41および終端位置センサ42が前後方向に位置移動可能に設けられる。初期位置センサ41および終端位置センサ42の位置によってねじ軸28の初期位置および終端位置を可変とする。
【0090】
したがって初期位置センサ41を前方へ移動させることにより、楔3の初期位置をより前方に設定することができる。そのため楔3が初期位置を出発してから複数のジョー4に当接するまでの時間を短縮できる。これにより複数のジョー4を開閉させる1サイクルの時間を短くすることができ、作業時間を短縮できる。初期位置センサ41を後方へ移動させることにより、楔3の初期位置をより後方に設定することができる。そのため、例えば径方向の肉厚が厚い複数のジョー51を使用する場合に、初期位置の楔3と複数のジョー51が干渉しないように楔3の初期位置を後方へ移動させることができる。
【0091】
図15,16に示すように初期位置センサ41および終端位置センサ42は、本体ハウジング11の外へ突出する初期位置操作部54および終端位置操作部55を有する。したがって使用者は、本体ハウジング11の外方から初期位置操作部54または終端位置操作部55を操作して初期位置センサ41または終端位置センサ42を移動させることができる。そのため初期位置センサ41および終端位置センサ42を目標位置まで容易に移動させることができる。
【0092】
図15,16に示すように管拡径工具50は、複数のジョー4と径方向の肉厚が異なる第2の複数のジョー51を複数のジョー4に換えて取付可能である。したがって1つの管拡径工具50を用いて管径(呼び径)の異なる複数種類の流体管を拡径できる。
【0093】
図17に示すように管拡径工具50は、初期位置センサ41および終端位置センサ42を前後方向の複数位置で解除可能に位置決めするセンサ位置決め機構53を有する。したがって楔3の初期位置として好適な複数の位置で初期位置センサ41を位置決めできる。あるいは、楔3の終端位置として好適な複数の位置で終端位置センサ42を位置決めできる。そのため使用者が初期位置および終端位置の微調整をする必要がなく、使い勝手が向上する。また、位置決めされた初期位置センサ41および終端位置センサ42が不意に移動してしまうことを抑制できる。
【0094】
次に本開示の他の実施例を
図18に基づいて説明する。第3実施例の管拡径工具60は、
図16に示す第2実施例の管拡径工具50のセンサ位置決め機構53に代えて、センサ位置決め機構(位置調整機構)61を有する。センサ位置決め機構61には、初期位置センサ41の前後方向の位置を変更可能な初期位置操作部62と、終端位置センサ42の前後方向の位置を変更可能な終端位置操作部63が設けられる。以下の説明においては第1、第2実施例の管拡径工具1,50と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0095】
図18に示すように初期位置操作部62は、本体ハウジング52の溝孔52aに沿って前後方向にスライド可能である。初期位置操作部62の下部には、初期位置センサ41を保持するセンサ保持部62bが設けられる。初期位置操作部62の上部は、溝孔52aの外側(上側)に位置しかつ溝孔52aよりも左右方向に張出した略矩形の板状に設けられる。初期位置操作部62の上部の下面には、上方へ延出する溝孔状のボール収容溝62aが設けられる。ボール収容溝62aには、ボールプランジャ64が脱落しないように収容される。ボールプランジャ64は、ボール収容溝62aの下端から突出可能に保持されるボール64aと、ボール64aを下方へ向けて付勢する圧縮ばね64bで構成される。
【0096】
図18に示すように終端位置操作部63は、本体ハウジング52の溝孔52aに沿って前後方向にスライド可能である。終端位置操作部63は、初期位置操作部62と略同形状に設けられる。終端位置操作部63の下部には、終端位置センサ42を保持するセンサ保持部63bが設けられる。終端位置操作部63の上部の下面には、上方へ延出する溝孔状のボール収容溝63aが設けられる。ボール収容溝63aには、ボールプランジャ65が脱落しないように収容される。ボールプランジャ65は、ボール収容溝63aの下端から突出可能に保持されるボール65aと、ボール65aを下方へ向けて付勢する圧縮ばね65bで構成される。
【0097】
図18に示すようにボールプランジャ64のボール64aは、複数の係合凹部52bのいずれか1つと同じ前後位置に移動した時、下動して係合凹部52bと弾性的に係合する。これにより初期位置操作部62が所定の前後位置で位置決めされる。初期位置操作部62に所定以上の前後方向の力を加えることで、ボール64aと係合凹部52bの係合が外れて初期位置操作部62が前後方向にスライド可能になる。かくして初期位置操作部62は、節度感を持って前後方向に移動可能に複数の所定の前後位置で位置決めされる。初期位置操作部62は、例えば管拡径工具60に装着される複数のジョーの種類(径方向の厚み、サイズ)に基づいて移動される。
【0098】
図18に示すようにボールプランジャ65のボール65aは、複数の係合凹部52cのいずれか1つと同じ前後位置に移動した時、下動して係合凹部52cと弾性的に係合する。これにより終端位置操作部63が所定の前後位置で位置決めされる。終端位置操作部63に所定以上の前後方向の力を加えることで、ボール65aと係合凹部52cの係合が外れて終端位置操作部63が前後方向にスライド可能になる。かくして終端位置操作部63は、節度感を持って前後方向に移動可能に複数の所定の前後位置で位置決めされる。終端位置操作部63は、例えば気温に基づいて移動される。
【0099】
次に本開示の他の実施例を
図19に基づいて説明する。第4実施例の管拡径工具70は、初期位置センサ41と終端位置センサ42を自動的に前後方向に移動させるセンサ位置決め機構(位置調整機構)71を有する。センサ位置決め機構71は、初期位置センサ41を前後方向に移動可能に保持する初期位置操作部72と、終端位置センサ42を前後方向に移動可能に保持する終端位置操作部73を有する。以下の説明においては第1実施例の管拡径工具1と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0100】
図19に示すように初期位置操作部72は、ソレノイド72aを有する。ソレノイド72aは、初期位置操作スイッチ72bを操作することで起動する。ソレノイド72aが起動すると、初期位置センサ41が初期位置操作部72とともに前方または後方へ移動する。ソレノイド72aは、初期位置センサ41を所定の位置に移動させるまで所定時間起動し、その後に停止する。初期位置操作スイッチ72bは、例えば押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤルスイッチ等であり、例えばグリップ5(
図1参照)に設けられる。初期位置センサ41が移動可能な複数の位置は、例えば管拡径工具70に装着可能なジョーの種類に基づいて予めコントローラ45の記憶部に記憶される。
【0101】
図19に示すように終端位置操作部73は、ソレノイド73aを有する。ソレノイド73aは、終端位置操作スイッチ73bを操作することで起動する。ソレノイド73aが起動すると、終端位置センサ42が終端位置操作部73とともに前方または後方へ移動する。ソレノイド73aは、終端位置センサ42を所定の位置に移動させるまで所定時間起動し、その後に停止する。終端位置操作スイッチ73bは、初期位置操作スイッチ72bと同様の構成で初期位置操作スイッチ72bに並設される。終端位置センサ42の移動可能な複数の位置は、例えば所定間隔の各気温における流体管の収縮速度に基づいて予めコントローラ45の記憶部に記憶される。
【0102】
次に本開示の他の実施例を
図20に基づいて説明する。第5実施例の管拡径工具80は、初期位置センサ41と終端位置センサ42を自動的に前後方向に移動させるセンサ位置決め機構(位置調整機構)81を有する。センサ位置決め機構81は、初期位置センサ41を前後方向に移動可能に保持する初期位置操作部72と、終端位置センサ42を前後方向に移動可能に保持する終端位置操作部73を有する。以下の説明においては第1、第4実施例の管拡径工具1,70と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0103】
図20に示すように管拡径工具80は、タグリーダ85を有する。タグリーダ85は、例えばジョー84を保持するキャップ2を装着させる工具本体10(
図1参照)の前部に設けられる。複数のジョー84またはキャップ2(
図1参照)には、NFCタグ84aが取り付けられる。タグリーダ85は、NFCタグ84aに記録された情報を無線通信で読み取ることができる。
【0104】
図20に示すようにコントローラ45には、初期位置設定部82と終端位置設定部83とタグ判別部86が設けられる。タグ判別部86は、タグリーダ85が読み込んだNFCタグ84aの情報からジョー84の種類を判別する。初期位置設定部82は、タグ判別部86が判別したジョーの種類と、回転数検知センサ21dで検知した電動モータ21の回転数(回転角度)に基づいて楔3およびねじ軸28の初期位置(
図5参照)を設定する。初期位置操作部72のソレノイド72aは、初期位置センサ41を初期位置設定部82で設定した初期位置まで移動させる。
【0105】
図20に示すように管拡径工具80は、気温を検知する温度センサ87を有する。終端位置設定部83は、温度センサ87が検知した気温と、回転数検知センサ21dで検知した電動モータ21の回転数(回転角度)に基づいて楔3およびねじ軸28の終端位置(
図7参照)を設定する。終端位置操作部73のソレノイド73aは、終端位置センサ42を終端位置設定部83で設定した終端位置まで移動させる。
【0106】
次に本開示の他の実施例を
図21に基づいて説明する。第6実施例の管拡径工具90は、初期位置センサ41と終端位置センサ42を自動的に前後方向に移動させるセンサ位置決め機構(位置調整機構)91を有する。管拡径工具90は、
図20に示す第5実施例のタグリーダ85とタグ判別部86に代えて、バス電流測定部92を有する。バス電流測定部92は、電動モータ21に供給されるバス電流値をモニタリングする。
【0107】
図21を参照するように、先ず管拡径工具90に所定の種類のジョーを装着してスイッチ本体6aをオン状態にし、電動モータ21を駆動させる。バス電流測定部92は、バス電流を測定する。初期位置設定部82は、バス電流測定部92でモニタリングしたバス電流値の最大値やバス電流の総電力量に基づいて管拡径工具90に装着されたジョーの種類を判別する。具体的には、複数のジョーが径方向に開き始める時にバス電流値が増加し、複数のジョーが最大まで開いた時にバス電流値が最大になる。そして複数のジョーが径方向に閉じる時にバス電流値が減少する。バス電流値の変化の特徴に基づいてジョーの種類(径方向の厚み、サイズ)を判別する。さらに初期位置設定部82は、判別したジョーの種類に基づいて楔3およびねじ軸28の初期位置(
図5参照)を設定する。ソレノイド72aは、初期位置設定部82で設定された初期位置へ初期位置センサ41を移動させる。かくして同じ種類の複数のジョーを使用する間、楔3およびねじ軸28の初期位置は、初期位置センサ41が移動した後の位置になる。
【0108】
以上説明した本実施例には様々な変更を加えることができる。ジョー4を6つ有する管拡径工具1を例示した。これに代えて、例えば5つ以下または7つ以上のジョー4を有していても良い。
【0109】
終端位置センサ42を手動で移動させる操作部44aを具備する管拡径工具1を例示した。これに代えて、例えば気温を検知する温度センサと、温度センサで検知した気温に基づいて終端位置センサ42を自動的に移動させる移動機構を有していても良い。移動機構として、例えばモータやソレノイドを用いても良い。本体ハウジング11が初期位置センサ41と終端位置センサ42を支持し、ねじ軸28に磁石43を設ける構成を例示した。これに代えて、例えば本体ハウジング11が初期位置センサ41と終端位置センサ42に対応する各位置で磁石を支持し、ねじ軸28にホールICを設ける構成としても良い。
【0110】
ジョー4の回転区間の後に拡径区間を設ける構成を例示したが、拡径区間の後に回転区間を設けても良い。回転区間の終了時を予めコントローラ45に記憶させた電動モータ21の所定の回転数を検出した時点とする構成を例示した。これに代えて、初期位置センサ41と終端位置センサ42の前後方向の間に回転区間の終了時を検出するためのセンサ(ホールIC)をさらに設ける構成としても良い。
【0111】
送りねじ機構25によって楔3を前後動させる構成を例示した。これに代えて、例えば電動モータ21に回転駆動によって回転するカムで楔3を前後動させ、カムの初期角度および回転角度と電動モータ21の回転数を検知することで回転区間と拡径区間を検知しても良い。
【0112】
ねじ軸28と雌ねじ部材27の間にボール28bが介装される送りねじ機構25を例示した。これに代えて、例えばねじ軸28と雌ねじ部材27が直接螺合してボールが介装されない送りねじ機構であっても良い。
【0113】
初期位置操作部54を位置決めする係合凹部52b、および終端位置操作部55を位置決めする係合凹部52cの個数や前後位置は、例示したものに限らず適宜変更して良い。リーフスプリングの係合部およびボールプランジャのボールが上下方向に移動する構成を例示した。これに代えて、例えば本体ハウジング52に形成された溝孔52aの側壁に向けてリーフスプリングの係合部やボールプランジャのボールが左右方向に移動する構成としても良い。
【0114】
初期位置操作部72は、初期位置センサ41を前後方向に移動させるソレノイドに代えて、例えば電動モータを有していても良い。終端位置操作部73は、終端位置センサ42を前後方向に移動させるソレノイドに代えて、例えば電動モータを有していても良い。
【0115】
初期位置センサ41および終端位置センサ42を自動的に移動可能な管拡径工具70,80,90に、リーフスプリング56,57を用いたセンサ位置決め機構53やボールプランジャ64,65を用いたセンサ位置決め機構61を適用しても良い。
【0116】
管拡径工具90でバス電流値をモニタリングする代わりに、複数のジョーを装着した直後の起動時に、楔3が初期位置から複数のジョーを径方向に開き始めるまでの電動モータ21の総回転数を回転数検知センサ21dで測定しても良い。電動モータ21の総回転数からねじ軸28の移動量が算出できる。ねじ軸28の移動量から楔3が複数のジョーを拡張していない区間が判別できるため、その拡張していない区間を縮めるように初期位置センサ41の位置を移動させて楔3の初期位置が設定される。
【符号の説明】
【0117】
1…管拡径工具
2…キャップ、2a…ジョー支持溝、2b…雌ねじ
3…楔
4…ジョー、4a…リング収容溝、4b…係合凹部、4c…リング、4d…内周壁
5…グリップ
6…スイッチレバー、6a…スイッチ本体
7…拡径部、7a…バッテリ取付部
8…バッテリ
10…工具本体
11…本体ハウジング、11a…溝孔
12…前側機構ハウジング、12a…雄ねじ、12b…係合部、12c…矩形張出部
12d…回転規制部、12e…透孔
13…第1中央機構ハウジング、13a,13b…係合部、13c…ボス部
13d…凹部、13e…内周面、13f…透孔
14…第2中央機構ハウジング、14a,14b…係合部、14c…ボス部
14d…凹部、14e…内周面、14f…透孔
15…後側機構ハウジング、15a…前面、15b…係合部、15c…ボス部
15d…ねじ孔
16…ボルト
20…モータハウジング
21…電動モータ、21a…出力軸、21b…固定子、21c…回転子
21d…回転数検知センサ、21e,21f…軸受
22…ファン
23…遊星減速機構、23a…第1サンギヤ、23b…第1インターナルギヤ
23c…第1遊星ギヤ、23d…第1キャリヤ、23e…第2サンギヤ
23f…第2インターナルギヤ、23g…第2遊星ギヤ、23h…第2キャリヤ
24…スピンドル、24a…雄ねじ、24b,24c…スピンドル軸受
25…送りねじ機構(ボールねじ機構)
26…ギヤ
27…雌ねじ部材、27a…ギヤ、27b…雌ねじ、27c,27d…雌ねじ部材軸受
27e…スラスト軸受、27f…ワッシャ
28…ねじ軸、28a…雄ねじ、28b…ボール
29…ねじ軸ガイド、29a…支持部材、29b…ローラ、29c…レール
30…ジョー回転機構
31…直線移動部材、31a…雌ねじ、31b…凸部、31c…ローラ
32…動力変換リング、32a…溝、32b…溝、32c…ワッシャ、32d…挿通孔
33…ワンウェイクラッチ
34…第1回転駆動リング、34a…小径部、34b…大径部、34c…凹溝
34d…挿通孔
35…第2回転駆動リング、35a…係合凸部、35b…噛み合い歯、35c…圧縮ばね
35d…ばね受け部、35e…挿通孔
36…第3回転駆動リング、36a…噛み合い歯、36b…係合凸部、36c…挿通孔
41…初期位置センサ
42…終端位置センサ
43…磁石
44…位置調整機構、44a…操作部
45…コントローラ
50…管拡径工具
51…ジョー、51a…リング収容溝、51b…リング、51c…内周壁
52…本体ハウジング、52a…溝孔、52b,52c…係合凹部
53…センサ位置決め機構(位置調整機構)
54…初期位置操作部、54a…スプリング保持溝、54b…センサ保持部
55…終端位置操作部、55a…スプリング保持溝、55b…センサ保持部
56…リーフスプリング、56a…係合部
57…リーフスプリング、57a…係合部
60…管拡径工具
61…センサ位置決め機構(位置調整機構)
62…初期位置操作部、62a…ボール収容溝、62b…センサ保持部
63…終端位置操作部、63a…ボール収容溝、63b…センサ保持部
64…ボールプランジャ、64a…ボール、64b…圧縮ばね
65…ボールプランジャ、65a…ボール、65b…圧縮ばね
70…管拡径工具
71…センサ位置決め機構(位置調整機構)
72…初期位置操作部、72a…ソレノイド
73…終端位置操作部、73a…ソレノイド
80…管拡径工具
81…センサ位置決め機構(位置調整機構)
82…初期位置設定部
83…終端位置設定部
84…ジョー、84a…NFCタグ
85…タグリーダ
86…タグ判別部
87…温度センサ
90…管拡径工具
91…センサ位置決め機構(位置調整機構)
92…バス電流測定部
J…モータ軸線
K…ねじ軸軸線
D…距離