(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104901
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】整形外科用の締結具、器具、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/90 20060101AFI20230721BHJP
A61B 17/82 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61B17/90
A61B17/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023003462
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】17/576,924
(32)【優先日】2022-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523014809
【氏名又は名称】メダティス アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】MEDARTIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ホルトン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL31
4C160LL42
(57)【要約】
【課題】固定部材を骨締結具の開孔部の中に配備するための解決策を開示する。
【解決手段】この解決策は、基端部及び先端部を備えた本体を有するガイドを含むことができる。ガイドはさらに、基端部の近くで本体に連結されたガイド部材を備えることができる。ガイド部材は、骨締結具を固着するための固定部材の配置を誘導するように構成可能である。解決策は、先端部の近くで本体に連結された係合部材を含むことができる。係合部材は、ガイド部材が係合軸の周りで骨締結具に対して回動して係合軸の周りの複数の相対的配向のうち任意の配向のガイド部材となることが可能であるように、骨締結具に係合するように構成可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開孔部を有する骨締結具の中へ固定部材を配備するためのシステムであって、該システムは、
基端部及び先端部を有する本体と;
前記基端部の近くで前記本体に連結されたガイド部材であって、前記骨締結具を固着するための前記固定部材の配置を誘導するように構成されたガイド部材と;
前記先端部の近くで前記本体に連結された係合部材であって、ガイド部材が係合軸の周りで前記骨締結具に対して回動して複数の相対的配向をなすことが可能であるように前記骨締結具に係合するように構成された係合部材と
を具備するガイドであって、
前記係合部材は前記係合軸の周りの複数の相対的配向のうちいずれかにガイド部材を固着するように構成されているガイド
を具備するシステム。
【請求項2】
骨締結具をさらに具備し、該骨締結具は、
前端部及び後端部を有する第1の脚体と;
前端部及び後端部を有する第2の脚体と;
前記第1の脚体及び前記第2の脚体に接続された、前記開孔部を画成している前記本体と
を具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記係合部材は、
肩部を有するハンドルと;
前記ハンドルに接続された、受け口に係合するように構成されたシャフトと
を具備するロック機構であって、
前記シャフトが前記受け口の内部で先端側へと前進するにつれて前記肩部が前記本体を挟み付けて、ガイド部材を係合軸の周りの複数の相対的配向のうちの1つに固着するロック機構
を具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記シャフトは、前記シャフトの先端部の近くにねじ山を備え、かつ前記受け口は、前記シャフトのねじ山と係合するように構成されたねじ付き受け口を備え、前記ガイドは、
前記係合部材と前記骨締結具との間に配置されるインサータであって、前記ねじ付き受け口を具備するインサータ
を具備し、かつ
前記肩部は前記インサータに対して前記本体を挟み付ける、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記係合部材は、
基端部及び前記骨締結具に係合する先端部を有するシャフトと;
前記本体に接続されたカラーであって、前記カラーを貫通しており前記シャフトを受承する大きさに作られた開孔部を有するカラーと;
前記基端部に面してシャフトに連結された突出部と
を具備し、かつ
前記突出部は、前記シャフトが前記骨締結具に係合するときに前記カラーの少なくとも一部分を圧迫する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記係合部材は、
前記骨締結具に連結するように構成されたインサータであって、連結部材を有する基端部を有し、前記連結部材は前記連結部材の上面から中へと先端側へ伸びる受け口を具備する、インサータ;
を具備し、
前記シャフトは前記シャフトの前記先端部の近くに前記受け口の内側ねじに係合するように構成された外側ねじを具備し、前記受け口は、前記突出部が前記カラーを圧迫するまで前記シャフトが先端側に前進することを許容する深さを有している、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記連結部材の上面及び前記カラーの下面は、前記係合軸の周りの前記インサータ及び前記カラーの回動運動を抑制するように構成された係合境界面を形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記係合境界面は、前記連結部材の前記上面及び前記カラーの前記下面のうちの一方に1以上の突出部を、かつ前記連結部材の前記上面及び前記カラーの前記下面のうちの他方に1以上の陥凹部を具備している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記係合境界面は、前記連結部材の前記上面及び前記カラーの前記下面の各々に歯状部及び谷部の両方を複数具備する相互ロック式連結器を具備し、前記連結部材の前記上面及び前記カラーの前記下面各々の前記歯状部及び谷部は、前記連結部材及び前記カラーが当接した時に、互いに噛み合う、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記係合部材は、前記骨締結具に接続されたインサータの空洞部に係合するように構成された、前記カラーの下面から伸びるピンを具備する、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記係合部材は、前記固定部材を配備すると前記開孔部に入るように、前記係合軸の周りの複数の相対的配向を角度の範囲に制限するように構成された停止装置を具備する、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記係合部材は、前記ガイドの可動域を前記係合軸の周りのある範囲の相対的配向に制限するように構成された特徴を具備し、前記特徴はインサータ又は骨締結具の表面と接触するように構成された1以上のピンを具備する、請求項5に記載のシステム。
【請求項13】
骨締結具のための固定部材を配備するためのシステムであって、前記システムは、
骨締結具であって、
前端部及び後端部を有する第1の脚体と;
前端部及び後端部を有する第2の脚体と;
前記第1の脚体及び前記第2の脚体に接続された本体と;
前記本体を貫通する開孔部であって、開孔部長さ及び開孔部幅を有し、前記開孔部長さは前記開孔部幅よりも大きい、開孔部と
を具備する骨締結具、並びに
前記骨締結具に対して回動する関係に搭載可能なガイドであって、固定部材を、係合軸の周りで前記開孔部と一直線上になる複数の相対的配向のうちのいずれかに、確実に位置決めするように構成されたガイド
を具備するシステム。
【請求項14】
前記ガイドは、
前記係合軸に対して横断方向の交差固定具挿入軸;
前記ガイドの基端部の近くに連結されたガイド部材であって、
前記交差固定具挿入軸と一直線上にある、前記ガイド部材を通り抜ける通路と;
前記交差固定具挿入軸と同軸であり、かつ前記通路の断面直径よりも小さい断面直径を有する第1のスリーブと;
前記交差固定具挿入軸と同軸であり、前記第1のスリーブの断面直径よりも小さい断面直径を有する第2のスリーブと;
前記交差固定具挿入軸と同軸であり、前記第2のスリーブの断面直径よりも小さい断面直径を有する第3のスリーブと
を具備するガイド部材
を具備する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記骨締結具及び前記ガイドの両方に接続するように構成されたインサータをさらに具備し、かつ
前記第1のスリーブは、前記固定部材及び前記固定部材に連結されたドライバを受け入れる大きさに作られており;
前記第2のスリーブはドリルビットを受け入れる大きさに作られており;
前記第3のスリーブは一時的締結具を受け入れる大きさに作られている、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ガイド部材は、前記交差固定具挿入軸を前記係合軸に関して垂直な配向から上方の配向及び下方の配向のうち一方へと配向するように構成された枢動部材を具備する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
枢動部材は、前記係合軸に関する前記交差固定具挿入軸の配向を保持するために前記枢動部材を固着するように構成されたロック機構を具備する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
第1の骨部分及び第2の当接する骨部分を横断する骨締結具を安定させる方法であって、前記方法は、
骨締結具を第1の骨部分及び第2の当接する骨部分の内部に配備するステップであって、前記骨締結具は、
挿入軸と;
開孔部長さ及び開孔部幅を有し、前記開孔部長さが前記開孔部幅よりも大きい開孔部を有している、本体と;
本体に接続された第1の脚体と;
本体に接続された第2の脚体と
を有する、ステップ;
前記骨締結具にガイドを連結するステップであって、前記ガイドは、
基端部及び先端部を有する本体と;
前記基端部の近くで前記本体に連結された、前記骨締結具を固着するための固定部材の配置を誘導するように構成されたガイド部材と;
前記先端部の近くで前記本体に連結された、係合軸の周りで複数の相対的配向をなして前記骨締結具と係合することができる係合部材であって、前記ガイド部材を前記係合軸の周りで複数の相対的配向のうちの1つに固着するように構成された係合部材と
を有する、ステップ;
前記ガイドを前記係合軸の周りで回動させて所望の配向にするステップ;
前記ガイド部材を前記所望の配向に固着するステップ;並びに
前記骨締結具を安定させるために前記固定部材を配備するステップ
を含む、方法。
【請求項19】
前記固定部材を配備するステップは、
前記ガイドの前記ガイド部材の通路の内側に配置された固定部材スリーブの内側に配置されたドリルスリーブの内側に配置されたピンスリーブの中に通された一時的締結具によって、前記ガイド部材と同軸の交差固定具挿入軸の配向を確認するステップと、
前記ドリルスリーブ内のビットにより前記第1の骨部分及び前記第2の当接する骨部分のうち一方に孔を開けるステップと、
前記固定部材スリーブ内の前記固定部材に接続されたドライバによって前記孔の中に前記固定部材を配備するステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ガイド部材を固着するステップは、
前記ガイド部材を前記所望の配向に固着するために前記係合部材のロック機構を作動させるステップと;
前記ガイドの前記係合部材の前記ロック機構を解除するステップと;
前記ガイドを前記係合軸の周りで新しい配向へと回動させるステップと;
前記ガイドの前記係合部材の前記ロック機構を再び作動させるステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、第1及び第2の骨部分、又は骨部分及びインプラントを、圧迫接合するための方法、インプラント、及び器具に関する。
【背景技術】
【0002】
関節と関連している軟組織、軟骨、及び/又は硬骨の劣化、伸長、短縮、又は断裂、並びにその結果生じる弛緩、疼痛、及び/又は変形のような様々な状況は、骨格関節に影響を及ぼす可能性がある。機能の回復及び/又は疼痛の軽減のために、骨又は骨の一部分のアライメントの角度を変更することが望まれる場合がある。同様に、関節の骨をより適切な角度のアライメントに固定するため、又は関節の動きにより引き起こされる疼痛を軽減するために、関節を癒合させることが望まれる場合もある。同様に、骨折が治癒するように骨折骨を支持することが望まれる場合もある。同様に、骨上のインプラントを支持することが望まれる場合もある。上記目的のために、様々な骨切り術の手法、関節癒合の手法、骨折固定の手法、関節面再建の手法、インプラント及び器具が提案されてきた。そのような手法は、脛骨、腓骨、大腿骨、骨盤、上腕骨、尺骨、橈骨、手根骨、中手骨、足根骨、中足骨、指骨及びその他の骨について、様々な角度調整を行い、関連する関節を癒合し、関連する骨折部を癒合し、及び/又は関節面を再建するために、全身にわたって実施されてきた。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施例は、骨締結具又はインプラントを固着することができる方法、インプラント、及び器具を提供する。骨部分は、骨折又は骨切り術の場合のような同一の骨の一部分であってよい。骨部分は、関節固定術の場合のような異なる骨の一部分であってもよい。骨部分は、関節接合部に隣接する骨の一部分であってもよく、かつインプラントは、関節面再建用インプラント、スペーサ、及び/又は癒合部支持用インプラントであってよい。
【0004】
本開示の様々な装置、デバイス、システム、及び/又は方法は、先行技術に応じて、特に現在利用可能な方法、インプラント、及び/又は器具によって未だ完全には解決されていない当分野の問題及び必要に応じて、開発されている。本開示の1つの一般的態様には、骨締結具の開孔部に固定部材を配備するためのシステムを挙げることができる。該システムは、基端部及び先端部を有する本体を備えたガイドを含むことができる。ガイドはさらに、基端部の近くで本体に連結されたガイド部材を備えてもよく、該ガイド部材は骨締結具を固着するための固定部材の配置を誘導するように構成される。ガイドはさらに、先端部の近くで本体に連結された係合部材を備えてもよく、該係合部材は、ガイド部材が係合軸の周りで骨締結具に対して回動して複数の相対的配向をなすことが可能であるように、骨締結具と係合するように構成されている。係合部材は、係合軸の周りの複数の相対的配向のうちいずれかにガイド部材を固着するように構成される。
【0005】
実装形態は、次の特徴のうち1以上を備えることができる。システムは骨締結具を備え、該骨締結具は、前端部及び後端部を有する第1の脚体と;前端部及び後端部を有する第2の脚体と;第1の脚体及び第2の脚体に接続された、開孔部を画成している本体とを備えることができる。係合部材は、肩部を有するハンドルと;ハンドルに接続された、受け口に係合するように構成されたシャフトとを備えたロック機構であって;シャフトが受け口の内部で先端側へと前進するにつれて肩部が本体を挟み付けて、ガイド部材を係合軸の周りの複数の相対的配向のうちの1つに固着する、ロック機構を備えることができる。
【0006】
シャフトは、シャフトの先端部の近くにねじ山を備えていてもよく、かつ受け口は、シャフトのねじ山と係合するように構成されたねじ付き受け口を備えていてもよく、ガイドは、係合部材と骨締結具との間に配置されるインサータを備えてもよく、該インサータはねじ付き受け口を備えていてもよく;かつ肩部はインサータに対して本体を挟み付ける。本体はアーチ形の本体を備えることができる。係合部材は、基端部及び骨締結具に係合する先端部を有するシャフトと;本体に接続されたカラーであって、カラーを貫通しておりシャフトを受承する大きさに作られた開孔部を有するカラーと;基端部に面してシャフトに連結された突出部と;を備えていてもよく、かつ該突出部は、シャフトが骨締結具に係合するときにカラーの少なくとも一部分を圧迫する。
【0007】
係合部材は、骨締結具に連結するように構成されたインサータを備え、連結部材を有する基端部を有する該インサータは、該連結部材の上面から中へと先端側へ伸びる受け口を備えていてもよく;かつ、シャフトは該シャフトの先端部の近くに受け口の内側ねじに係合するように構成された外側ねじを備え、受け口は、突出部がカラーを圧迫するまでシャフトが先端側に前進することを許容する深さを有している。
【0008】
連結部材の上面及びカラーの下面は、係合軸の周りのインサータ及びカラーの回動運動を抑制するように構成された係合境界面を形成する。係合境界面は、連結部材の上面及びカラーの下面のうちの一方に1以上の突出部を、かつ連結部材の上面及びカラーの下面のうちの他方に1以上の陥凹部を備えていてもよい。係合境界面は、連結部材の上面及びカラーの下面の各々に歯状部及び谷部の両方を複数備えて、連結部材及びカラーが当接した時に連結部材の上面及びカラーの下面の各々の歯状部及び谷部が互いに噛み合う、相互ロック式連結器を備えていてもよい。
【0009】
係合部材は、骨締結具に接続されたインサータの空洞部に係合するように構成された、カラーの下面から伸びるピンを備えていてもよい。係合部材は、固定部材を配備すると開孔部に入るように、係合軸の周りの複数の相対的配向をある範囲の角度に制限するように構成された、停止装置を備えていてもよい。
【0010】
係合部材は、ガイドの可動域を係合軸の周りのある範囲の相対的配向に制限するように構成された特徴を備えることができる。その特徴は、インサータ又は骨締結具の表面(又は他の構造物)と接触するように構成された1以上のピンを備えていてもよい。
【0011】
本開示の1つの一般的態様は、前端部及び後端部を有する第1の脚体と;前端部及び後端部を有する第2の脚体と;第1の脚体及び第2の脚体に接続された本体と;本体を貫通する開孔部であって、開孔部長さ及び開孔部幅を有し、開孔部長さは開孔部幅よりも大きい開孔部と、を備えた骨締結具のための、固定部材を配備するためのシステムを含むことができる。該システムはさらに、骨締結具に対して回動する関係に搭載可能なガイドであって、固定部材を、係合軸の周りで開孔部と一直線上になる複数の相対的配向のうちのいずれかに、確実に位置決めするように構成されたガイドも備えている。
【0012】
実装形態は、次の特徴のうち1以上を備えうる。ガイドは、係合軸に対して横断方向の交差固定具挿入軸;ガイドの基端部の近くに連結されたガイド部材であって、交差固定具挿入軸と一直線上にある、ガイド部材を通り抜ける通路と;交差固定具挿入軸と同軸であり、かつ通路の断面直径よりも小さい断面直径を有する第1のスリーブと;交差固定具挿入軸と同軸であり、第1のスリーブの断面直径よりも小さい断面直径を有する第2のスリーブと;交差固定具挿入軸と同軸であり、第2のスリーブの断面直径よりも小さい断面直径を有する第3のスリーブとを備えうるガイド部材、を備えることができる。
【0013】
該システムはさらに、骨締結具及びガイドの両方に接続するように構成されたインサータを備えていてもよい。加えて、第1のスリーブは、固定部材及び固定部材に連結されたドライバを受け入れる大きさに作られていてもよく;第2のスリーブはドリルビットを受け入れる大きさに作られていてもよく;かつ第3のスリーブは一時的締結具を受け入れる大きさに作られていてもよい。ガイド部材は、交差固定具挿入軸を係合軸に関して垂直な配向から上方の配向及び下方の配向のうち一方へと配向するように構成された枢動部材を備えていてもよい。枢動部材は、係合軸に関する交差固定具挿入軸の配向を保持するために枢動部材を固着するように構成されたロック機構を備えていてもよい。
【0014】
本開示の1つの一般的態様は、第1の骨部分及び第2の当接する骨部分を横断する骨締結具を安定させる方法を含むことができる。該方法は、骨締結具を第1の骨部分及び第2の当接する骨部分の内部に配備するステップを含みうる。骨締結具は、挿入軸と;開孔部長さ及び開孔部幅を有し、開孔部長さが開孔部幅よりも大きい開孔部を有している、本体と;本体に接続された第1の脚体と;本体に接続された第2の脚体と、を備えることができる。
【0015】
該方法はさらに、骨締結具にガイドを連結するステップを含み、該ガイドは、基端部及び先端部を有する本体と;基端部の近くで本体に連結された、骨締結具を固着するための固定部材の配置を誘導するように構成されたガイド部材と;先端部の近くで本体に連結された、係合軸の周りで複数の相対的配向をなして骨締結具と係合することができる係合部材であって、ガイド部材を係合軸の周りで複数の相対的配向のうちの1つに固着するように構成された係合部材と、を有している。該方法はさらに、ガイドを係合軸の周りで回動させて所望の配向にするステップと、ガイド部材を所望の配向に固着するステップと、骨締結具を安定させるために固定部材を配備するステップと、を含む。
【0016】
実装形態は、次の特徴のうち1以上を備えうる。該方法は固定部材を配備するステップを含み、該ステップはさらに、ガイドのガイド部材の通路の内側に配置された固定部材スリーブの内側に配置されたドリルスリーブの内側に配置されたピンスリーブの中に通された一時的締結具によって、ガイド部材と同軸の交差固定具挿入軸の配向を確認するステップと、ドリルスリーブ内のビットにより第1の骨部分及び第2の当接する骨部分のうち一方に孔を開けるステップと、固定部材スリーブ内の固定部材に接続されたドライバによって孔の中に固定部材を配備するステップと、を含むことができる。
【0017】
該方法はさらに、ガイド部材を固着するステップがガイド部材を所望の配向に固着するために係合部材のロック機構を作動させることをさらに含む場合に、ガイドの係合部材のロック機構を解除するステップと、ガイドを係合軸の周りで新しい配向へと回動させるステップと、ガイドの係合部材のロック機構を再び作動させるステップとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の様々な実施例について、添付の図面を参照して議論する。これらの図面は単に本開示の例証の実施例を表しており、本開示の範囲を限定しているとみなすべきではない。
【0019】
【
図1A】本開示の1つの実施例による骨インプラントの正面図。
【
図5】
図1Aの線5-5に沿って得られた
図1の骨インプラントの断面図。
【
図9】
図5の線9-9に沿って得られた
図1の骨インプラントの詳細断面図。
【
図10】
図1の骨インプラントのための穿孔ガイドの例を示す斜視図。
【
図15】
図1の骨インプラントのためのインサータの例を示す正面図。
【
図19】
図1の骨インプラントのためのガイドの例を示す正面図。
【
図22】
図20の線22-22に沿って得られた断面であり可動域を例証する図。
【
図23】
図1の骨インプラントの代替例を示す側面図。
【
図26】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図27】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図28】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図29】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図30】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図31】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図32】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図33】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図34】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図35】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図36】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図37】
図1のインプラントを利用する外科的方法の例を示す図。
【
図38】
図1のインプラントの外科的応用の例を示す図。
【
図40】本開示の一実施形態によるガイドの側面図。
【
図41】本開示の一実施形態によるガイドの分解組立図。
【
図42】ガイドと共に使用することが可能なインプラント、締結具、ツール、及び/又は器具の例を示す図。
【
図43】
図1の骨インプラントのためのインサータの例を示す正面図。
【
図48A】本開示の一実施形態によるシステムの可動域における一例の角度又は配向を示す図。
【
図48B】本開示の一実施形態によるシステムの可動域における一例の角度又は配向を示す図。
【
図49】一実施形態によるインサータ及びガイドを示す斜視図。
【
図54】一実施形態による、インサータ及び係合部材の一実施形態を示す斜視図。
【
図56】本開示の一実施形態による係合境界面の例を示す略図。
【
図57A】本開示の一実施形態によるガイドを備えたシステムの斜視図。
【
図57D】本開示の一実施形態によるガイドを備えたシステムの側面図。
【
図58】第1の骨部分及び第2の当接する骨部分を横断する骨締結具を安定させる方法の一例を示す図。
【0020】
[詳細な説明]
本開示の例示の実施形態は図面を参照することにより最も良く理解されるであろう。図面全体を通じ、類似の部分は類似の数字で示されている。構成要素は、本明細書において図中に概ね説明及び例証されるように、様々な種々の構成に配列及び設計されることがありうることは、容易に理解されるであろう。例えば、種々の実施形態は、本明細書に具体的に記載された実施形態の構成要素、構造物、特徴、又は態様のうち1以上を除外又は省略することができる。よって、装置、システム、及び方法の実施形態についての以降のより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するようには意図されず、単にその技術の例示の実施形態を代表しているにすぎない。
【0021】
標準的な医学上の基準面及び記述用語が本明細書中で使用される。これらの用語は一般に人体に言及するために使用されるが、一定の用語は物理的対象一般に適用可能である。
【0022】
3つの相互に垂直な基準面の標準的な系が使用される。矢状面は身体を右側部分及び左側部分に分割する。冠状面は身体を前方部分及び後方部分に分割する。横断面は身体を上方部分及び下方部分に分割する。正中矢状面、正中冠状面、又は正中横断面は身体を等分割し、分割された部分は相互に対称な場合がある。矢状面及び冠状面の交線は、上下軸又は頭尾軸を定義する。矢状面及び横断面の交線は前後軸を定義する。冠状面及び横断面の交線は内側‐外側軸を定義する。上下軸又は頭尾軸、前後軸、及び内側‐外側軸は、相互に垂直である。
【0023】
前方とは身体の前に向かう側を意味する。後方とは身体の後ろに向かう側を意味する。上方又は頭側とは頭部に向かう側を意味する。下方又は尾側とは足又は尾に向かう側を意味する。内側とは身体の正中線に向かう側、特に身体を左右相称に分ける面に向かう側を意味する。外側とは身体の正中線から離れる側、又は身体を左右相称に分ける面から離れる側を意味する。軸側とは身体の中心軸に向かう側を意味する。反軸側とは身体の中心軸から離れる側を意味する。同側とは身体の同じ側にあることを意味する。対側とは身体の反対側にあることを意味する。近位とは身体の体幹に向かう側を意味する。近位(基端側)はさらに、ユーザ又は術者に向かう側を意味することもある。遠位とは体幹から離れる側を意味する。遠位(先端側)はさらに、ユーザ又は術者から離れる側を意味することもある。背側とは足の上面に向かう側を意味する。底側とは足の裏に向かう側を意味する。
【0024】
「~に接続された」、「~に連結された」、及び「~と連通した」という語句は、2以上の実体の間の任意の形の相互作用、例えば機械的、電気的、磁気的、電磁気的、流体の、及び熱の、相互作用を指している。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても互いに機能的に連結される場合がある。「当接する」という用語は互いに直接物理的に接触している物を指すが、これらの物は必ずしも付着し合っていなくてもよい。「流体連通」という語句は、2つの特徴が接続されていて一方の特徴の内部の流体が他方の特徴の中へと進むことができるようになっていることを指す。
【0025】
「例示の」という語は、「例、実例、又は例証としての役割を果たす」ことを意味するために本明細書中で使用される。「例示の」として本明細書中に記載されたいかなる実施形態も、必ずしも他の実施形態より好適又は有利であると解釈すべきではない。実施形態の様々な態様が図面に提示されるが、特に指示のないかぎり図面は必ずしも一定の縮尺では描かれていない。
【0026】
以降の例証の実施例は、第1及び第2の骨部分又は骨部分及びインプラントを圧迫接合することができる方法、インプラント及び器具について説明している。骨部分は、骨折又は骨切り術によって切り離された同じ骨の一部分であってよい。骨部分は、関節を癒合するために実施される関節固定術の場合のように異なる骨の一部分であってもよい。骨部分は、関節接合部に隣接する骨の一部分であってもよく、かつインプラントは、関節面再建用インプラント、スペーサ、及び/又は癒合部支持用インプラントであってよい。本開示の実施例は、任意の骨又は関節、例えば、限定するものではないが脛骨、腓骨、大腿骨、骨盤、上腕骨、尺骨、橈骨、手根骨、中手骨、足根骨、中足骨、指骨のような骨及びこれらに関連する関節などと共に使用することができる。
「横断する(transverse)」という用語は、平行ではない状態として交差していることを意味するために本明細書中で使用されている。
【0027】
本開示による実施例は、第1及び第2の骨部分又は骨部分及びインプラントを圧迫接合することができる方法、インプラント及び器具を提供する。
図1~9は、第1及び第2の骨部分を接合するための締結具100の形態の例を示している。本明細書中で使用されるように、「締結具」とは、2つの構造物を接合するように構成、設計、又は計画製作された任意の構造物を指す。締結具は、金属、プラスチック、複合材料、合金、プラスチック複合材などを含む様々な材料で作られていてよい。締結具の例としては、限定するものではないが、ねじ、リベット、ボルト、釘、スナップ、面ファスナー、取り付けねじ、骨ねじ、ナット、ポスト、ピン、つまみねじなどが挙げられる。締結具の他の例としては、限定するものではないが、ワイヤ、キルシュナー鋼線(K‐ワイヤ)、アンカー、骨アンカー、プレート、骨プレート、髄内釘又は髄内ロッド又は髄内ピン、インプラント、縫合糸、軟質縫合糸、ソフトアンカー、椎体間ケージ、癒合ケージなどが挙げられる。ある実施形態では、締結具という用語は、締結具が目的物又は構造物を同種又は異種の1以上の他の構造物と共に係合、接続、接合、接触、又は連結するために個別に構成、設計、又は計画製作される、その目的物又は構造物を同定する形容詞と共に使用される場合がある。例えば、「骨締結具」は、1又は複数の骨、1又は複数の骨部分、軟組織及び骨又は骨部分、硬組織及び骨又は骨部分などを、接合又は接続するための装置を指すことができる。締結具は挿入軸102を備え、該締結具は骨に挿入されるか又は骨から取り出されるときに該挿入軸に沿って移動する。
【0028】
締結具100は、本体先端部又は前端部106と本体基端部又は後端部108との間を伸びる本体104を有する。本体前端部106及び本体後端部108は、挿入軸に対して長手方向に互いに離隔している。
図1~9の例証の実施例では、本体104は、本体厚さ114の距離に位置する対立する平面状側面110、112を備えた概ね平面的な構造を有する。平面状側面110、112は本体後端部108に向かって互いに近接し、本体厚さ114よりも薄い後縁厚さ116を有する後縁を規定する(
図7)。後縁厚さ116が相対的に薄いことにより、骨が本体後端部108の上で治癒した後の締結具100の除去が容易になる。修正手術などのような除去の際には、薄い後縁がその上を覆っている骨を切り開くことになる。
図1~9の例証の実施例では、対立する平面状側面110、112は同様に本体前端部106に向かって互いに近接し、本体厚さ114よりも薄い前縁厚さ117を有する前縁を規定する。前縁厚さ117が相対的に薄いことにより、締結具100の挿入が容易になる。
【0029】
図1~9の例証の実施例では、本体104は対立する平面状側面110、112の間の本体104を貫通する開孔部118を有する。開孔部118は長さ120及び幅122を有する。
図1~9の例証の実施例では、開孔部長さ120は開孔部幅122よりも長く、開孔部長さ120は挿入軸102に対して横断するように配向されている。
図1~9の例証の実施例では、開孔部長さは挿入軸に対して垂直に配向されている。開孔部の具備並びに開孔部の大きさ及び配向については、締結具が使用されることになっている特定の用途によって決められてよい。例えば、開孔部は、骨部分どうしを交差的に固定するために、かつ締結具100が移動して骨から外れるのを防止するために、
図36のねじ636のような固定部材を受承することができる。
【0030】
本明細書中で使用されるように、「開孔部」とは、構造物中の隙間、孔、ポート、ポータル、開口部、空間又は陥凹部、構造物中の空所などを指す。ある実施形態では、開孔部は、具体的に何かを受承するため、及び/又は進入を可能とするために構成された構造を指すことができる。ある実施形態では、開孔部は構造物を貫通していてもよい。他の実施形態では、開孔部は構造物内部に存在するが該構造物を貫通していない場合もある。開孔部は二次元的でも三次元的でもよく、様々な幾何学的形状及び/又は断面形状、例えば、限定するものではないが長方形、正方形、又は他の多角形、並びに円、楕円、卵形、又は他の円形状若しくは半円形状を有することができる。
【0031】
本明細書中で使用されるように、「固定具(fixation)」とは、2つの構造物を恒久的又は一時的に接続するように構造化、組織化、構成、設計、配列、又は計画製作された装置、器具、構造物、デバイス、構成要素、部材、システム、アセンブリ、ステップ、工程、又はモジュールを指す。2つの構造物は、人造及び/又は生体の組織、骨や歯などのような硬組織、靭帯、軟骨、腱などのような軟組織のうちのいずれか一方又は両方であってよい。ある実施形態では、固定(fixation)は、2つの構造物を固着して該構造物が所望の配置及び/又は配向で互いに接続され続けるようにする際のデバイス又は構成要素又はステップについて述べる形容詞として使用される。固定デバイスはさらに、所望のレベルの張力、圧迫を維持するか又は2つの構造物が受ける負荷及び応力を再分配する役割を果たすことも可能であり、かつ1つの部分が他の部分に対して相対的に動くのを低減する役割を果たすこともできる。固定デバイスの例は数多く、外固定用のもの及び内固定用のものの両方が含まれ、限定するものではないが、ピン、ワイヤ、キルシュナー鋼線(K‐ワイヤ)、ねじ、アンカー、骨アンカー、プレート、骨プレート、髄内釘又は髄内ロッド又は髄内ピン、インプラント、椎体間ケージ、癒合ケージなどが挙げられる。
【0032】
締結具100は、本体に接続された第1及び第2の脚体124、126を備えている。脚体は、幅121、奥行き123(
図7)、及び長さ127(
図1A)を有する。第1及び第2の脚体は同じ大きさであってもよいし、特定の解剖学的構造に合わせるために異なる大きさであってもよい。例えば、脚体は、同じ幅及び奥行きを有するが長さは異なっていて、厚さに変化のある骨部分における両側皮質骨貫通(bi-cortical)固定を提供することが可能となっていてもよい。各々の脚体は、挿入軸102に面しており前端部132、134から後端部136、138まで伸びる細長い内側寄り表面128、130を有する。細長い内側寄り表面128、130は、前端部付近では挿入軸102から前端距離140、142を置いて離隔しており、かつ細長い内側寄り表面は、後端部付近では挿入軸102から後端距離144、146を置いて離隔している。各々の脚体の前端距離140、142及び後端距離144、146は、内側寄り表面が挿入軸102と平行となるように等距離であってよい。各々の脚体の前端距離140、142及び後端距離144、146は、例えば脚体の内側寄り表面のうち一方又は両方が先端側で挿入軸102に対して近接するか又は乖離しうるように、等しくなくてもよい。一実施形態では、前端距離140、142のうち少なくとも一方は対応する後端距離144、146よりも長く、かつ他方の前端距離140、142は対応する後端距離144、146と等しいか又はそれより長く、その結果内側寄り表面128、130が先端側すなわち換言すれば前端部により規定される前端方向において相互に乖離し、かつ少なくとも一方が挿入軸102から乖離するようになっている。
図1~9の例証の実施例では、各々の脚体が前端方向において挿入軸102から乖離している。内側寄り表面128、130は、乖離角をなして挿入軸102から各々乖離していてもよい。内側寄り表面128、130の間の夾角は個々の乖離角の合計である。上述のように、脚体は対称的又は非対称的に乖離することができる。個々の乖離角は1~5度の範囲内にあってよい。
図1~9の例証の実施例では、乖離角は各々3度であって6度の夾角をなしている。脚体が骨に配置されるとき、挿入軸に対して垂直な個々の脚体の投影面積は、骨を通り抜けるときの脚体の抵抗に影響を及ぼす。投影面積が大きいほど、通り抜ける力も大きくなる。所与の長さの脚体については、面積は脚体の奥行きによって決まるか、又は円筒状の脚体についてはその直径によって決まる。本体は脚体の間の骨に形成されたスロットの中に挿入される。スロットの幅が脚体の投影面積に対して増大するにつれて、スロット内に引き込まれる脚体の抵抗は減少する。よって、より薄い本体及びその結果としてより薄いスロットでは通り抜ける力が大きくなる。これは、脚体の奥行きと本体の厚さとの間の差で、又は脚体の奥行きと本体の厚さとの比で、表現することができる。
【0033】
図1~9の例証の実施例では、各々の脚体124、126は、挿入軸102から離れる方向に面し、かつ前端部から後端部へと伸びている細長い外側寄り表面148、150をさらに備えている。
図1~9の例証の実施例では、細長い外側寄り表面148、150は、相互にかつ挿入軸102に対して平行である。
【0034】
図1~9の例証の実施例では、締結具の脚体124、126は略楕円形の横断面を有する。後端部付近では、横断面はほぼ円形である。先端部付近では、脚体は短径131よりも長い長径129を有する非円形である(
図8)。
図1~9の例証の実施例では、脚体の形状は、前端部に向かって乖離しており外側寄り表面が平行になるように外側寄り表面側の材料が除去された、1対の円柱であるとして説明することができる。その結果生じる脚体は、
図7に見られるように後端部において円形であり、材料が除去されるにつれて円が重なり合う部分の形状へと移行して、
図8に見られるように前端部に向かって短軸方向に狭くなる、すなわちテーパ状をなす。各々の脚体の前面152及び背面154は、
図4に見られるように平行である。各々の脚体の後端部は、
図6に見られるようにかかり156を備えている。かかり156は概して、かかりが前端方向に乖離する円柱状脚体を取り巻く円形突起であって、外側寄り表面が平行になるように外側寄り表面において材料が除去され、かつその結果として前端方向にいくほどより多くの円形突起が除去されたら生じるであろうような、脚体の後端部分の前面、背面及び内側寄り表面の上向きに傾斜した円形突起158の形態である。別例として、かかりは脚体の全周にわたって伸びていてもよい。脚体の後端部は、後述のようなインサータと連結する働きをする空洞部160(
図9)を備えている。1つの実施形態では、空洞部は、ねじ式コネクタを受承するようにねじ山付きである。
図1~9の例証の実施例では、空洞部160は、直径が大きい後端側部分162と直径が小さいねじ山付きの前端側部分164とを備えた階段状の円筒空洞部である。各々の脚体の前端部は、骨に形成された孔への締結具100の挿入が容易になるように、アール161、163を備えている。脚体の内側寄り表面128、130は、脚体の後端部に内側寄り表面後端部間隔165を有する。本体の後端部108は、脚体の前端部に向かって後端部陥凹距離170だけ陥凹している。本体の前端部106は、脚体の後端部に向かって前端部陥凹距離172だけ陥凹している。陥凹距離170、172は、締結具が取り付けられた時に本体104が皮質骨の内側に位置するように、締結具が使用される予定の場所の骨皮質の厚さに等しいか又はそれ以上であるとよい。
【0035】
締結具の様々な大きさ及び外形は用途によって異なるであろう。例えば、1つの実施形態では、用途に応じて、脚体の奥行きは2mm~7mmの範囲であり本体厚さは0.5~5mmの範囲であってよい。さらに例を挙げると、手や足の中央部及び前部に使用するなど多くの用途において、締結具は有利には脚体の奥行きが2.5~4.5mm及び本体厚さが0.5~1.5mmであるとよい。脚体の奥行きと本体厚さとの比は14:1~1.5:1の範囲であってよい。1つの実施形態では、この比は5:1~3:1である。
図1~9の例証の実施例では、脚体の幅は一定であり、かつ脚体の基端部における脚体の奥行きに等しい。
【0036】
上述のように、本体の前端部及び後端部陥凹距離170、172は、局所の骨皮質の厚さに等しいか又はそれ以上であってよい。距離170、172は、1~8mmの範囲にあってもよいし、様々な大きさのインプラント及び様々な用途について変化してもよい。
【0037】
脚体長さ127は、挿入軸102に沿う方向の骨の厚さに近い長さであってよい。脚体どうしは同じ長さでも異なる長さでもよく、一方又は両方の端部においてずらして配置されてもよい。
図1~9の例証の実施例では、脚体長さは異なっており、脚体の基端部は同じ位置にあるが先端部の位置はずれている。足の手術で使用するためには、脚体長さは10~50mmの範囲に、1つの実施形態では14~32mmの範囲にあってよい。他の場所での使用については、脚体長さはこの範囲から外れてもよく、かつ例えば、脛骨骨切り術のような用途のための大型インプラントの場合はかなり長くてよい。
【0038】
開孔部118は、存在する場合は適切な交差固定具締結具を受承する大きさに作られる。1つの実施形態では、開孔部の長さ120は可能な限り長く、かつ角度の変化に対応し、これにより脚体と衝突させることなく交差固定具を配置するための最大限の適応性が得られる。
【0039】
締結具100は、様々な解剖学的構造に適応するために様々な大きさの複数の締結具として提供されてもよい。1例において、締結具は、脚体の幅121、奥行き123、外側寄り壁面148、150の間隔、及び乖離角が各締結具について同じであり、様々な脚体長さ127を有する複数の締結具として提供される。このように、後述の同じ器具を使用しながら様々な骨の厚さに合わせることができる。
【0040】
図10~14を参照すると、穿孔ガイド200は、穿孔用工具を誘導する孔軸204、206を規定する本体202を備えている。
図10~14の例証の実施例では、軸204、206は筒状のガイド孔208、210によって規定される。ガイド孔208、210は、押抜き具又はドリルのような穿孔用工具を受承し、かつその穿孔用工具を、下にある骨に孔を形成するための軸204、206に沿った縦方向の動きのみに制約する働きをする。軸204、206は、
図1~9の締結具の乖離する脚体に対応する角度をなしている。ガイド孔208、210の内側寄り表面は、ガイド200の前端部214において、締結具の内側寄り表面後端部の間隔165に等しいか又はそれ以上の、ガイド孔内側寄り表面前端部の間隔212を有する。ガイド孔内側寄り表面前端部の間隔212が締結具脚体内側寄り表面後端部の間隔165と等しい場合、締結具脚体の内側寄り表面128、130は、締結具脚体後端部が骨表面と同じ高さになるように挿入されたとき、骨孔の内側寄り表面とぴったり接触することになる。さらに締結具脚体を骨の表面よりも下に取り付けると、骨が締結具脚体の間で圧迫されることになる。同様に、ガイド孔内側寄り表面前端部の間隔212が締結具脚体内側寄り表面後端部の間隔165より大きい場合、締結具脚体の内側寄り表面128、130は、締結具脚体後端部が骨表面から突き出ているときに、骨孔の内側寄り表面とぴったり接触することになる。脚体の後端部が骨の表面と同じ高さになるまで締結具をさらに挿入すると、骨が圧迫されることになる。締結具が所与の深さに挿入されたときの圧迫の量は、締結具脚体内側寄り表面後端部の間隔165に対するガイド孔内側寄り表面前端部の間隔212の関係を選択することにより決めることができる。脚体の内側寄り表面の間の夾角が孔の内側寄り表面の間の夾角と一致する状態では、締結具脚体の間の骨の圧迫は、挿入軸に対して垂直な脚体間の全ての位置において均一であり、骨締結具の挿入により第1及び第2の骨部分の間に相対的な曲げモーメントが生じることはない。挿入軸は物体が挿入されるときに沿う軸である。挿入軸はさらに、物体を抜去するために使用される同じ軸であってよい。ガイド200は、孔208、210を接続するガイドスロット216をさらに備えている。スロット216は、締結具本体104を受承するためにガイド孔208、210を使用して形成された骨孔の間で骨を除去して接続スロットを形成するための、チゼル、ノコギリ、又は他の切削工具を誘導するために使用可能である。位置合せノッチ218はガイド200の中心を示すために提供される。固定孔220は、ガイドを骨の適所に固定するための固定ピン又は固定ねじを受承するために提供される。
【0041】
図15~18を参照すると、インサータ300は
図1~9の締結具100と共に用いるために構成されている。インサータ300は、先端部304、及びハンドル部分308を備えた基端部306を有する、本体302を備えている。本体は、先端部304から基端部306に向かって伸びており各々が通路軸307を規定している、横方向に間隔を置いて位置する1対の通路を備えている。通路軸307は、締結具100の空洞部160と一直線上になるような角度309をなしている。側方の切込み又はウィンドウ310は通路と連通している。通路はそれぞれ、軸方向に摺動かつ軸回転する関係をなして、ロック用ボルト312を受承している。ボルト312はそれぞれウィンドウ310のうちの一方を横断し、操作用にウィンドウ内でボルト312の一部分が露出している。ノブ314が例えばピン止めにより各ボルト312に固定されていて、ユーザがボルト312を通路軸307の周りで回転させることを可能としており、かつノブがウィンドウ310の基端側又は先端側縁部316、318に当接するときにボルト312の軸方向移動の限界としての役割を果たしている。ボルト312はそれぞれ、締結具脚体のうち一方の階段状の円筒空洞部160の後端側部分162に嵌合する大きさに作られた、平滑な筒状部分320を備えている。ボルト312はそれぞれ、平滑部分320よりも先端側に、階段状の空洞部160のねじ山付きの前端側部分164に螺入する大きさに作られた、ねじ部分322を備えている。インサータ300の基端部306は、以下にさらに議論される交差ガイドに回転式に連結されるように構成された連結部材を備えている。本明細書中で使用されるように、「連結具」、「連結部材」、又は「連結器」とは、隣接する部品又は物体の端部どうしを接続するように組織化、構成、設計、配列、又は計画製作された機械的なデバイス、装置、部材、構成要素、又は構造物を指す。ある実施形態では、連結具は動力伝達の目的で2本のシャフトをその端部で接続するために使用可能である。他の実施形態では、連結具は、ある程度の位置ずれ若しくは端部の動き又はその両方を許容しながら回転機器の2つの部品を接合するために使用することができる。ある実施形態では、連結具は、稼働中のシャフトなど2つの部品を分離させないものであってもよい。(「連結具(coupling)」を2021年7月26日付のWikipedia.com CC-BY-SA 3.0で検索。一部改変。2021年7月27日にアクセス)。
図15~18の例証の実施例では、連結部材は、ハンドル部分308の天面325から中へ先端側に伸びる受け口324と、周縁部326とを備えている。
【0042】
本明細書中で使用されるように、「受け口」とは、物体又は構造物の表面に形成されるか又は表面の内側に画成された窪み、空所、開口部、又は凹所を指す。ある実施形態では、受け口はその表面を有する物体又は構造物を貫通しない。受け口は、様々な断面形状(例えば卵形、楕円形、丸形、円形、長方形、正方形など)を有することが可能であり、かつ受け口を画成する1以上の壁面について様々な構成を有することができる。1例において、受け口は角が丸い状態に接続した1以上の壁面を有していてもよい。ある実施形態では、受け口は別の構造物を受承するか又は受け入れるための大きさ及び形状に作られる。ある実施形態では、受け口は、基端側部分及び先端側部分を有する階段状受け口であってもよく、その2つの部分は異なる直径又は異なる幅若しくは長さを有して2つの部分の間に段差を設けている。
【0043】
インサータ300は、最初にノブ314が
図17に示すようにウィンドウ310の基端側縁部316に当接するまでロック用ボルト312を基端側へ摺動させることにより、締結具100に接合される。次いでねじ部分322が、締結具100の空洞部160に挿入されるとよい。その後各々のノブ314が回転されて、ロック用ボルト312が空洞部160に螺入されて
図18に示されるように締結具100がインサータ300に固着される。
【0044】
図19~22を参照すると、ガイド400は、長尺状部材を締結具100の開孔部118の中へ、又は該開孔部を通して配置するのを誘導するために、インサータと係合することができる。本明細書中で使用されるように、「ガイド」とは、1以上の他の部品、構成要素、又は構造物を誘導又は方向付けするように設計、適合、構成、又は計画製作された部品、構成要素、部材、又は構造物を指す。ガイドは、別の構造物、デバイス、又は器具に関してその一部であっても、一体化していても、接続されていても、取り付け式であっても、又は連結されていてもよい。1つの実施形態では、ガイドは、特定の機能、位置、配向、作用、種類を同定する、及び/又はガイドの特定の構造を同定する修飾語を備えていてもよい。ガイドに適用されるそのような修飾語の例としては、限定するものではないが、1以上のピンを誘導又は方向付けする「ピンガイド」、1以上の切込み又は作製することを誘導又は方向付けする「切断ガイド」、締結具及び/又はインプラントの配備、設置、又は挿入を誘導又は方向付けする「配備又は挿入ガイド」、締結具又は固定部材の配備を誘導する「交差固定具ガイド」などが挙げられる。
【0045】
ある実施形態では、ガイドは、長尺状部材が締結具100を横断して配備されるので交差ガイド又は交差固定具ガイドと呼ばれてもよい。長尺状部材は、ピン、ねじ、ドリル、ワイヤ又はその他の部材であってよい。1つの実施形態では、長尺状部材は固定部材であってよい。例えば、ガイド400は、開孔部を通してガイドワイヤを配置するために使用されてもよく、該ガイドワイヤはカニューレ付きねじを挿入するために使用されてもよい。
【0046】
1つの実施形態では、交差ガイド400は、一端に係合部材404及び反対端にガイド部材406を有する弓形のガイド本体402を備えている。係合部材404はインサータ300に回転式に連結するように構成されている。
図19~22の例証の実施例では、係合部材404は、ガイド本体402から先端方向へと基端部408から先端部410まで伸びており係合軸412を規定する、ピン407を備えている。本明細書中で使用されるように、「係合軸」とは、1つの装置、器具、構造物、デバイス、構成要素、部材、システム、アセンブリ又はモジュールが別の装置、器具、構造物、デバイス、構成要素、部材、システム、アセンブリ又はモジュールと恒久的又は一時的に係合する際に中心となる軸を指す。
【0047】
本明細書中で使用されるように、「ピン」とは長尺状の構造物を指す。ある実施形態では、ピンは、2つの構造物を接続するために、又は2つの構造物の間の軸受部としての役割を果たすために、使用することができる。ある実施形態では、ピンは荷重(張力、圧縮力、剪断力、捩り応力、及び/又は曲げ荷重など)を支持するように構成可能である。ある実施形態では、ピンは、構造物に接続した希釈液である円筒状の構造物であってよい。ピンは様々な機能を果たすことが可能であり、特定の機能を同定する修飾語を備えていてもよく、例えば一定の答えとしては位置合わせピン、取り付けピン、固着ピンなどを用いることができる。ピンは一時的又は恒久的な構造上の目的を果たすことができる。ピンは、様々なデバイス、構成要素、装置、及びシステム、例えば、限定するものではないが固定プレート、計測機器、ピンガイド、切断ガイド、外科用器具などにおいて使用することができる。ピンは、一時的又は恒久的に締結具としての役割を果たすことができる。ピンの1つの例はキルシュナー鋼線(「K‐ワイヤ」)である。
【0048】
ピンは、様々な幾何学的断面形状、例えば、限定するものではないが円形、楕円形、卵形、又は他の円若しくは半円の形状、並びに長方形、正方形、又は他の多角形の断面形状を有することができる。ピンは2つの端部を有し、一方の端部は鈍端で他方の端部は鋭端であってもよい。ピンは、金属、プラスチック、セラミック、木材、ファイバーグラスなど様々な材料から作製可能である。ピンはさらに、任意の生体適合材料、例えば、限定するものではないが、生体適合性の金属であって例えばチタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、コバルト‐クロム鋼合金、ニッケル‐チタン合金、ニチノールのような形状記憶合金、生体適合性のセラミック、及び生体適合性のポリマーであって例えばポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)又はポリラクチドポリマー(例えばPLLA)及び/又はその他の材料で、作製されていてもよい。
【0049】
ガイド400は、ガイド400をインサータ300に対して位置決めする助けとなる、軸方向停止装置及び回転方向停止装置のような停止装置を備えている。本明細書中で使用されるように、「停止装置」とは、別の物体、部材、構造物、構成要素、部品、装置、システム、又はアセンブリの動き若しくは運動及び/又は稼働を防止、限定、妨害、停止、又は制約するように構造化、組織化、構成、設計、配列、又は計画製作された装置、器具、構造物、部材、デバイス、構成要素、システム、又はアセンブリを指す。
【0050】
図19~22の例証の実施例では、ピン407の基端部408の近くに形成された肩部414は軸方向停止装置としての役割を果たし、肩部414に対して横断方向でありガイド本体402に形成された側面416は回転方向停止装置としての役割を果たす。ガイド部材406は係合軸412を横断する交差固定具挿入軸420を規定しており、この軸に沿って固定部材を、締結具の開孔部118を通り抜けるか又は該開孔部の中に入り込むように誘導することができる。
【0051】
図19~22の例証の実施例では、ガイド部材は、ガイド本体402を貫き交差固定具挿入軸420を規定する通路と、該通路の中に軸方向に摺動する関係に受承されたスリーブ422とを備えている。本明細書中で使用されるように、「スリーブ」とは、狭小であり、かつ幅よりも長手方向に長い構造物を指す。ある実施形態では、スリーブは、何か別のものを取り囲み、包み込み、覆い包み、かつ/又は包含する役割を果たす。ある実施形態では、スリーブは通路又は空所を取り囲み、包み込み、覆い包み、かつ/又は包含してもよい。(「スリーブ(sleeve)」をwordhippo.com.で検索。ウェブサイトWordHippo、2021。2021年11月15日にアクセス。一部改変。)ある実施形態では、スリーブという用語の前に、該スリーブと共に使用されるか、スリーブ内に挿入されるか、又はスリーブに関係する構造物、用具、構成要素又は器具を同定する形容詞が付いてもよい。例えば、「ピンスリーブ」はピン又はK‐ワイヤのようなワイヤを受け入れるように構成可能であり、「ドライブスリーブ」はドリル又はドリルビットを受け入れるように構成可能であり、「固定部材スリーブ」は締結具又は固定部材を受け入れるように構成可能である。
【0052】
スリーブ422は、軸方向貫通路、基端側ハンドル部分424、及びテーパ状チップを形成する先端側前端部426を備えている。軸方向貫通路は、交差固定具挿入軸420に沿ってガイドワイヤ(例えば「K‐ワイヤ」)を誘導する大きさに作られている。スリーブは、前端部426を骨から所望の間隔に位置決めするために、軸420に沿ってガイド本体402に対して平行移動させることができる。
【0053】
交差ガイド400は、
図20に示すように肩部414がインサータのハンドル308の上面325に当接するまでピン407を受け口324に挿入することにより、インサータ300に連結される。このように組み立てられると、交差固定具挿入軸420は締結具の開孔部118の中央と一直線になる。交差ガイド400は、係合軸412の周りにおいてインサータ300に対して回動させて、
図21及び22に実線で示された第1の角度の位置と、点線で示された第2の角度の位置との間の無数の角度の位置にすることができる。1つの実施形態では、ガイド及びインサータは、それらの間に角度位置を限定する停止装置を規定する。例えば、
図36のねじ636のような、締結具の開孔部118を通って挿入される固定部材は、長手方向軸と、該長手方向軸に垂直な横方向の寸法とを有する。
【0054】
該固定部材は、固定部材の長手方向軸と開孔部の長さ軸との間に、90度から、固定部材の横方向の寸法に等しいか又はそれ以上である固定部材長手方向軸沿いの開孔部投影長さに対応する値までの範囲の夾角をなして、開孔部118の中へ、又は開孔部を通して、挿入することができる。1つの実施形態では、角度停止装置はガイドの回転を上記範囲内になるように制限し、そのため固定部材が開孔部を通り抜けることが保証される。
図19~22の例証の実施例では、第1及び第2の角度の位置は、交差ガイドの側面416とインサータ300の周縁部326との当接によって制限されている。
【0055】
図23~25は、締結具100の剛性本体104が可撓性部材502に置き換えられた、本開示の一実施例による別例の締結具500を示す。該締結具は第1及び第2の脚体504、506を備えている。可撓性部材502は、第1の脚体504の軸方向に間隔を置いて配置された第1及び第2のコネクタに接続しており、かつ締結具の脚体間の角度が任意の角度範囲で変更可能となるように、かつ可撓性部材502に等しく張力をかけることが容易になるように、摺動する関係をなして第2の脚体506の受承部を通り抜けている。
図23~25の例証の実施例では、可撓性部材502は第1の脚体504の第1の位置508に取り付けられ、第2の脚体506へと伸び、第2の脚体の第1の通路510を通り抜け、第2の脚体の一部分に沿って軸方向に伸び、第2の脚体の第2の通路512を通り抜け、第1の脚体504に戻って第1の脚体の第2の位置516に取り付けられている。可撓性部材502は、第2の脚体の通路510、512の内部で自由に摺動して締結具の脚体504、506が互いに様々な角度をなすことを可能とすることができるため、可撓性部材の張力は可撓性部材502の全体にわたって等しく分配される。締結具500は、可撓性部材502が第1の脚体504から外側へと伸びる部分を短くする働きをする張力付与デバイスを備えていてもよい。
図23~25の例証の実施例では、第1の脚体504は、例えば可撓性部材を受け口524の中へ押し込むことなどにより、可撓性部材を短くする働きをする張力付与部材を備えている。例えば、張力付与ねじ520が受け口524のねじ部分522と係合されてもよい。可撓性部材502は、張力付与ねじ520よりも先端側でねじ部分522を通り抜けるように、第1の脚体504に取り付けられる。張力付与ねじ520を前進させることにより可撓性部材は受け口内で先端側へ押し込まれて、可撓性部材502の一部分が第1の脚体504に引き込まれ、したがって可撓性部材502が第1の脚体504から外側へと伸びる部分が短くなる。使用時には、例えば、先の実施例のような孔用ガイドを使用して骨孔を形成することができる。脚体504、506は、例えば
図15のドライバのようなドライバに取り付けられて、骨孔に挿入されてもよい。次いで張力付与ねじ520を挿入及び前進させて、可撓性部材を短縮して骨を圧迫することができる。
【0056】
図26~37は、
図1~22の締結具及び器具を使用する方法について例証している。
図26を参照すると、第1及び第2の骨部分600、602は、関節接合面、骨折部、骨切り術切断面、又は他の境界面のような境界面604において当接している。穿孔ガイド200は、境界面604の上でガイド200を中央に置くために位置合わせノッチ218が境界面604と一直線になるようにして骨部分の上に配置される。ガイド200を骨部分に固着するために、固定ピン606がガイド200の孔220に入れられてもよい。
【0057】
図27を参照すると、ドリル608が、骨に孔610、612を形成するために対応するガイド孔208、210の中に誘導されている。1つの実施形態では、これらの孔は骨を貫通し、その結果締結具100の脚体が基端側及び先端側の皮質607、609において骨部分どうしを両側皮質骨貫通で係合することになる。
【0058】
図28及び29を参照すると、鋸刃614が、基端側皮質骨を通る締結具本体の挿入を容易にする骨スロット616を形成するために、ガイド200の鋸スロット216の中に誘導されている。1つの実施形態では、締結具本体の挿入に必要なのは基端側スロットだけであることから、鋸スロットは基端側骨皮質を通り抜けるだけでよい。
【0059】
図30を参照すると、両側皮質骨貫通固定を提供する適切な大きさの締結具を選択する際の助けとして骨孔610、612の深さを測定するため、測深機618がこれらの孔について調査するために使用されている。骨部分の形状に応じて、孔は深さが異なっていることもあり、長さの異なる脚体を有する締結具を受承することができる。
【0060】
図31及び32を参照すると、締結具100を骨孔610、612の中に入れ始めている。インサータ300は作図を単純化するために図から省略されている。締結具の脚体の外側寄り表面148、150は、外側寄り骨孔壁の基端側の間隔と一致する大きさに作られている。外側寄り表面148、150は平行であるので、該表面は締結具が骨部分の中へと進められる時も骨孔610、612の基端側部分と接触したままである。内側寄りの隙間620、622が締結具の脚体と骨孔との間に存在する。外側寄りの隙間624、626は、締結具が前進せしめられるにつれて締結具脚体と骨孔の基端側縁部より先端側の骨孔との間に生じる。
【0061】
図33及び34を参照すると、締結具が前進せしめられるにつれて内側寄りの隙間620、622は縮小し、締結具の移動中のある地点において、締結具の脚体の内側寄り表面128、130が内側寄り骨孔壁と接触する。内側寄り表面128、130は骨孔610、612と同じ角度で乖離するので、締結具の脚体の内側寄り表面128、130は脚体の挿入された部分の長さ全体にわたって骨と接触する。締結具をさらに前進させることにより、締結具の脚体の間の骨は締結具の脚体に沿って基端側から先端側まで一様に圧迫されることになる。換言すれば、締結具がさらに前進せしめられるにつれて、骨は、締結具の脚体に沿って基端側から先端側まですべての地点において同じ量だけ、締結具の脚体の間で挿入方向に対して垂直に圧迫される。挿入方向630に垂直な長手方向軸628を有する骨については、骨部分は、長手方向軸628に関して軸方向に圧迫されることになる。圧迫の量は、骨孔610、612の内側寄り表面の間隔を締結具の脚体の内側寄り表面128、130と対比して設定することにより調整することが可能である。内側寄り骨孔表面がさらに離れた状態では、内側寄りの締結具表面は締結具の移動の際により早く骨孔と接触することになり、かつ締結具を最終的な静止位置へとさらに進めると比較的強い圧迫をもたらすことになる。別例として、内側寄りの骨孔表面がより近づいた状態では、内側寄りの脚体表面は締結具の移動の際により遅く骨孔と接触することになり、かつ締結具を同じ最終的な静止位置へとさらに進めると比較的弱い圧迫をもたらすことになる。1つの態様では、締結具100は、周囲組織の刺激を低減するために、締結具の脚体の後端部が骨表面と同一平面であるか又は骨表面よりも下にある状態で据え付けられる。1つの実施形態では、締結具100は、締結具本体104の上で皮質が治癒できるように、本体の後端部108が同一平面よりも下に、かつ1つの実施形態では基端側皮質607より下にある状態で、据え付けられる。締結具を除去するためには、締結具を基端側に引く。本体104の鋭く尖った後縁は、本体104を覆って成長した骨の中を本体が通過する際の助けとなる。1つの実施形態では、本体の前端部106は骨の内部にとどまり、かつ1つの実施形態では、前端部106は骨の強度を保つために先端側皮質609よりも上にある。
【0062】
図35~37を参照すると、交差ガイド400が、締結具100に取り付けられたインサータ300に装着されている。交差ガイド400は、交差固定軸420を所望の方向に向けるためにインサータ300に対して枢動される。例えば、骨上の所望の入口点632と一直線上になるように枢動することができる。回動停止装置により、軸420が締結具の開孔部118を通る固定部材の通過を阻むほど鋭角にならないことが保証される。スリーブ422は、該スリーブを骨入口点632に近くに配置するために軸方向に平行移動されて、ガイドワイヤ634がスリーブを通して骨の中及び開孔部118を通して挿入されるときにガイドワイヤを安定させる。固定ねじ636は、ガイドワイヤ634を伝って骨の中及び開孔部118を通して前進せしめられる。その後、ガイドワイヤ634は取り外される。1つの実施形態では、ねじ636は両側皮質骨貫通固定のための大きさに作られて配置される。1つの実施形態では、ねじは境界面604をさらに安定させるために両方の骨部分を通過する。
【0063】
本開示の実施例のインプラント、器具及び方法は、骨部分どうしを互いに固着するために患者の多様な部位において使用可能であり、かつさらに、
図38の例証の実施例に示されるように様々な構築物を形成するために使用可能である。例証ではあるが本実施例は包括的なものではなく、これらのインプラント、器具、及び方法は、2つの骨部分を、又は単一の骨の部分どうしを固着させる予定のどの場所においても使用可能であることは、当業者には明白であろう。締結具の大きさ及び外形は特定の解剖学的部位に合わせて変更されてよい。
【0064】
図38を参照すると、本開示についての様々な適用例がヒトの足で例証されている。趾節骨癒合が700で示されている。中足趾節関節癒合が702で示されている。中軸骨折又は骨切り術の癒合が704で示されている。中足楔状骨癒合が706及び708で示されている。この実施例では、離れた締結具の間に接合要素710、712が取り付けられて、リスフラン手術の構築物を形成している。例えば、接合要素710、712は、締結具の脚体基端部の受け口に螺入されるねじで取り付けられてもよい。接合要素710、712は、所望の制約状態に応じて剛性であっても可撓性であってもよい。足根骨癒合が714及び716で示されている。
【0065】
図39は、本開示の一実施形態による、固定部材を骨締結具に配備するためのシステム800を例証する斜視図である。1つの実施形態では、システム800は、ガイド802、及び骨締結具804のような締結具を備えている。ある実施形態では、システム800は別個のインサータ806を備えていてもよい。別例として、又は追加として、インサータの特徴、構成要素、及び/又は機能性がガイド802に備わっていてもよい。
【0066】
本明細書中で使用されるように、「インサータ」とは、1以上の構成要素、部品、又はデバイスを挿入又は配備するために構造化、組織化、構成、設計、配列、又は計画製作された装置、器具、構造物、デバイス、構成要素、システム、又はアセンブリを指す。ある実施形態では、インサータは、患者の組織、器官、又は身体部分にインプラント及び/又は補綴を挿入するために使用することができる。ある実施形態では、インサータは、インプラント及び/又は補綴を摘出、抜去、再配置、又は除去するために使用することもできる。
【0067】
図39は、ガイド802と共に使用することができるツール、器具、固定部材、及び/又はインプラントのうち1以上を例証している。例えば、システム800は、1以上のスリーブ808a、b、ドライバ810、及び/又は例示の固定部材812を備えることができる。ある実施形態では、システム800に使用される骨締結具804は、本明細書中に記載の骨締結具804の実施形態とかなり類似したものであってよい。本明細書中で使用されるように、「ドライバ」とは、別の小部品、構成要素、又は構造物に動きを与えるための機械的な小部品、構成要素、又は構造物を指す。(「ドライバ(driver)」、Merriam-Webster.com. ウェブサイトMerriam‐Webster、2021。2021年1月6日、一部改変。)ある実施形態では、ドライバは、ドライバの回転又は動きが、構成要素、システム、装置、又はデバイスの他の相互接続又は相互連結した部品の動きを引き起こすように、構成されるか又は他の部品に接続された、ホイールであってもよい。
【0068】
図40は、本開示の一実施形態によるガイド802の側面図である。1つの実施形態では、ガイド802は、本体814、ガイド部材816、及び係合部材818を備えている。本体814は基端部820及び先端部822を有する。
【0069】
本明細書中で使用されるように、「本体」とは構造物の主要部分又は中央部分を指す。本体は、1以上の他の構造的構成要素を接続し、相互接続し、取り囲み、包み込み、かつ/又は保護するための構造的構成要素としての役割を果たすことができる。本体は、様々な材料、例えば、限定するものではないが金属、プラスチック、セラミック、木材、繊維ガラス、アクリル、カーボン、生体適合性材料、生物分解性材料などで作製されてよい。本体は、任意の生体適合性材料、例えば、限定するものではないが、生体適合性金属の例えばチタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、コバルト‐クロム鋼合金、ニッケル‐チタン合金、ニチノールのような形状記憶合金、生体適合性セラミック、及び生体適合性ポリマーの例えばポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)若しくはポリラクチドポリマー(例えばPLLA)並びに/又はその他のもので形成されてよい。1つの実施形態では、本体は、より大きなシステム、構成要素、構造物、又はデバイスのためのハウジング又はフレーム若しくはフレーム構造を備えていてもよい。本体は、特定の機能、位置、配向、作業、及び/又は本体に関係する特定の構造を同定する修飾語を備えていてもよい。本体に適用されるそのような修飾語の例には、限定するものではないが「下方本体」、「上方本体」、「側方本体」、「中央本体」などが挙げられる。1つの実施形態では、本体814は円弧又は弓形の形状を有しており、基端部820と先端部822との間を伸びる「アーム」のようなものである。
【0070】
ガイド部材816は、固定部材812の配備のための部位の準備を容易に又は可能にすることができる。別例として、又は追加として、ガイド部材816は、骨締結具804を固着するための固定部材812の配備を誘導する役割を果たすことができる。1つの実施形態では、ガイド部材816は基端部820の近くで本体814に連結されてよい。例証の実施形態では、ガイド部材816は基端部820において本体814に連結されている。
【0071】
1つの実施形態では、ガイド部材816は、交差固定具挿入軸420を規定する、ガイド部材816を貫通する通路と、該通路の中に軸方向に摺動する関係で受承された1以上のスリーブ808a、bとを備えている。本明細書中で使用されるように、「通路」とは、装置、器具、構造物、部材、デバイス、構成要素、システム、又はアセンブリの本体の中の管路、導管、開口部、空所、又は他のチャネルを指す。ある実施形態では、通路は狭小であり、幅よりも長さが長い。(「通路(passage)」をwordhippo.com.で検索。ウェブサイトWordHippo、2021。2021年11月15日にアクセス。一部改変。)
【0072】
1つの実施形態では、ガイド部材816の通路は1以上のスリーブ808を受け入れる大きさに作られている。スリーブ808はそれぞれ、スリーブ808が通路内で軸方向に摺動することを可能にする大きさの断面直径を有する軸方向貫通路を備えることができる。例証された実施形態では、スリーブ808a、bは各々、1以上のスリーブ808a、bのうち一定のスリーブが入れ子の配置状態で互いの内側に収まることを可能とする異なる断面直径を有していて、スリーブ808a、bの長手方向軸が固定具挿入軸420と一直線になるようになっていてもよい。
【0073】
1つの実施形態では、係合部材818は、ガイド802を骨締結具804に連結する。例えば、1つの実施形態では、係合部材818は、ガイド部材816が係合軸412の周りで骨締結具804に対して回動して複数の相対的配向となることが可能であるように、骨締結具804に係合する。別の例では、係合部材818は、ガイド802が係合軸412の周りで骨締結具804に対して回動して複数の相対的配向となることが可能であるように、骨締結具804に係合する。
【0074】
本明細書中で使用されるように、「配向」とは、第1の物体、構成要素、部品、装置、システム、又はアセンブリの、第2の物体、構成要素、部品、装置、システム、又はアセンブリに対する方向、角度、位置、状態、状況、又は配位を指す。ある実施形態では、相対的配向とは、ガイド802及び/又はその部材の骨締結具804に関する配向である。1つの実施形態では、係合部材818は、ガイド802を骨締結具804に直接連結する。別の実施形態では、係合部材818は、ガイド802をインサータ806経由で骨締結具804に間接的に連結する。1つの実施形態では、係合部材818は本体814に対して先端部822の近くで連結されてよい。例証された実施形態では、係合部材818は本体814に対して先端部822で連結されている。
【0075】
ある実施形態では、係合部材818は、ガイド部材816及び/又はガイド802を複数の相対的配向のうち任意の配向に固着するように構成される。1つの実施形態では、係合部材818は、ガイド部材816を所望の相対的配向に一時的に固着することができる。例えば、その間に固定部材812が配備される。別の実施形態では、係合部材818は、ガイド部材816を所望の相対的配向に恒久的に固着することができる。
【0076】
図41は、本開示の一実施形態によるガイド802の分解組立図である。ガイド部材816及び係合部材818の一例の実施形態の詳細が示されている。1つの実施形態では、係合部材818はロック機構824を備えていてもよい。本明細書中で使用されるように、「ロック」又は「ロック機構」とは、単独又は他の部品若しくは構成要素との組み合わせで、別の物体、部材、構造物、構成要素、部品、装置、システム、又はアセンブリの動き若しくは運動及び/又は稼働を防止し、限定し、妨害し、固定関係となり、停止し、又は制限する、物体、部材、構造物、構成要素、部品、装置、システム、又はアセンブリを指す。
【0077】
ロック機構824はハンドル826及びシャフト828を備えることができる。本明細書中で使用されるように、「ハンドル」とは、デバイス、装置、構成要素、ツールなどを保持、制御、又は操作するために使用される構造物を指す。「ハンドル」は、ユーザの片手又は両手を使用して、把持及び/又は保持されるように設計可能である。
【0078】
本明細書中で使用されるように、「シャフト」とは、該シャフトの各端部に接続された構造物、デバイス、構成要素、部材、システムを支持及び/又は接続するように構造化、組織化、構成、設計、配列、又は計画製作された、長くて細い構造物、デバイス、構成要素、部材、システム、又はアセンブリを指す。典型的には、シャフトは、引張力、圧縮力、ねじれ力、せん断力などを含む様々な力を考慮した、堅固な支持及び完全性を提供するように構成される。加えて、シャフトは、軸方向荷重、捩り荷重、横向荷重などの荷重を考慮した、堅固な構造的支持及び完全性を提供するように構成可能である。シャフトは、鉛直、水平、又はこれらの間の任意の配向、及び二次元又は三次元などの様々な配向に方向付けられて機能することができる。シャフトは、様々な材料、例えば、限定するものではないが金属、プラスチック、セラミック、木材、繊維ガラス、アクリル、カーボン、生体適合性材料、生物分解性材料などから作製されてよい。シャフトは、任意の生体適合性材料、例えば、限定するものではないが、生体適合性金属の例えばチタン、チタン合金、ステンレス鋼、カーボンファイバー、カーボンファイバーと金属合金との組み合わせ、ステンレス鋼合金、コバルト‐クロム鋼合金、ニッケル‐チタン合金、ニチノールのような形状記憶合金、生体適合性セラミックス、及び生体適合性ポリマーの例えばポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)若しくはポリラクチドポリマー(例えばPLLA)及び/又はその他のもの、又はこれらの材料の任意の組み合わせで形成されてよい。
【0079】
ハンドル826により、ユーザがロック機構824を稼働させることが容易になる。1つの実施形態では、ハンドル826はユーザの手及び/又は指で把持される大きさ及び構成を有する。ハンドル826は肩部830を備えていてもよい。1つの実施形態では、肩部830は、ロック機構824の係合時又は使用時に、本体814の上面832又は本体814の先端部822の近くの一部分と接触する。
【0080】
1つの実施形態では、シャフト828は、分解組立図の引き出し線で示されるように本体814の開口部(例えば貫通路)を通り抜けることができる。使用時、シャフト828は係合軸412と同軸であってよい。シャフト828は受け口に係合するように構成される(
図44を参照)。該受け口は、インサータ806及び/又は骨締結具804にあってよい。1つの実施形態では、シャフト828はねじ山834を備えることができる。ねじ山834が外側ねじである場合、受け口は対応する内側ねじを備えることができる。
【0081】
本明細書中で使用されるように、「ねじ(山)(thread)」又は「ねじ(山)(screw thread)」とは、回転運動若しくは回転力と直線運動若しくは直線力との間の変換を行うため、及び/又は2つの構造物を接続若しくは係合するために使用される螺旋構造を指す。ねじ山は、平行ねじと呼ばれる、円柱の周りに螺旋の形で巻き付いたリッジであってもよい。ねじ山はさらに、テーパねじと呼ばれる、円錐形の周りに巻き付いたリッジであってもよい。ねじ山は、単純な機械としてのねじの、かつさらに使用時にはねじ付き締結具としてのねじの、特徴である。ねじ山は、次の機能すなわち:回転運動又は回転力を直線運動又は直線力へ変換すること、及び対応する回転運動又は回転力を伴わない直線運動又は直線力を防止又は緩和すること、のうち一方又は両方を提供することができる。回転力又はトルクを直線運動に、又はその逆に変換するねじ山のある種の実装では、ねじ山は、ねじ山を回転させることが構造物を直線的に伸長又は後退させる働きをする駆動機能から、駆動ねじと称されることもある。外側ねじは、円柱又は円錐形状の構造物のような構造物の外側表面に形成されたねじである。内側ねじは、ナット、基材、又は開口部の内側の壁面又は表面に形成されたねじである。ねじ山の断面形状は、ねじの形又はねじ形状(threadform(thread formとも記す))と呼ばれることが多い。ねじ形状は、正方形、三角形、台形、又は他の形状であってよい。形及びねじ形状という用語は、断面形状に加えて他の設計態様(断面形状、ピッチ、及び直径)を総合して指すことができるが、一般にはねじに用いられる規格化された幾何学的形状を指すことができる。主要な部類のねじには、機械ねじ(machine thread)、資材ねじ(material thread)、及び動力ねじ(power thread)が挙げられる。概して、三角形のねじ形状は二等辺三角形に基づいている。このねじ形状は通常、文字Vの形状であることからVねじ又はV字形ねじと呼ばれる。60°のVねじについては、二等辺三角形はより具体的には正三角形である。鋸歯ねじについては、三角形は不等辺三角形である。ねじ形状について理論上三角形状のものは、様々な程度に切頭されてもよい(すなわち、三角形の先が切られて短くなる)。切頭されない(又はごくわずかであって無視できると考えられる)Vねじは、シャープVねじと呼ばれる。切頭は実用上の理由で行われる(かつ規格に成文化されている)。ねじの機械効率は、ねじが1回転して移動する直線距離である、ねじのリードに左右される。一般に、ねじのリードは、直線運動又は直線力が回転に変換されるのを防ぐのに十分な摩擦があるように選択可能であり、そのため、ねじは直線力が加わっても外からの回転力が存在しない限り滑動又は脱係合しない。「ねじの嵌合長さ」とは、一組のねじ山(外側又は内側)が別の一組の1以上のねじ山(外側又は内側)と係合する距離を指す。締結具のねじの締付けは、くさびが摩擦及び軽微な弾性変形によって密着するまでくさびを隙間に打ち込むことに匹敵する。(「ねじ(screw thread)」を2021年7月16日付けのWikipedia.comで検索。一部改変。2021年8月17日にアクセス。)
【0082】
インサータ806に受け口がある実施形態では、シャフト828が本体814の開口部を通り抜けて受け口に係合することで、本体の少なくとも一部分がねじ山834と肩部830との間に位置付けられる。1つの実施形態では、ロック機構824を稼働させるために、ユーザはハンドル826を回転させてねじ山834を受け口の中へと先端側に前進させる。シャフト828が受け口内で先端側に前進するにつれて、ハンドル826の肩部830が本体814を骨締結具804(又はインサータ806)に向かって挟みつける。
【0083】
ある実施形態では、本体が肩部830と骨締結具804(及び/又はインサータ806)との間に挟まれることにより、本体814の1以上の表面(例えば上面832)がロック機構824の1以上の表面に対して当接し、該表面の間にプレス嵌め(摩擦嵌め又はプレス嵌めとも呼ばれる)が作り出される。ある実施形態では、このプレス嵌めは、ガイド部材816を係合軸412の周りで複数の相対的配向のうちの1つに保持するのに十分である。
【0084】
係合部材818は、インサータ806に回転式に連結されるように構成可能である。
図41の例証の実施例では、係合部材818は、ガイド本体814の先端部822から先端側へ伸びて係合軸412と一直線上になされたピン836を備えている。1つの実施形態では、ピン836は、本体814又は係合部材818の下面838から先端側へと伸びる。1つの実施形態では、ピン836は骨締結具804に接続されたインサータ806の空洞部又は受け口に係合するように構成される。1つの実施形態では、ピン836はインサータ806の階段状の空洞部又は階段状の受け口に係合してもよい。上述のように、階段状の空洞部又は階段状の受け口は平滑部分及びねじ部分を備えていてもよい。
【0085】
係合部材818は、骨締結具804(及び/又はインサータ806)に対してガイド814を位置決めする際の助けとなる軸方向停止装置及び回転方向停止装置を備えていてもよい。
図41の例証の実施例では、係合部材818の下面838は軸方向停止装置としての役割を果たし、1つの実施形態では、下面838に対して横断方向でありガイド本体814に形成された側面840は、回転方向停止装置としての役割を果たすことができる。
【0086】
側面840は、固定部材812が配備されると骨締結具804の開孔部に入ることになる角度範囲に、係合軸の周りの複数の相対的配向を限定するように構成された、停止装置の一例である。当業者であれば、停止装置は
図41に例証された側面840に関連するか、別個であるか、又は追加される様々な方法で実装可能であることを認識するであろう。例えば、係合部材818は2つの端部を有する単一の停止装置を備えてもよいし、係合部材818が2以上の停止装置を備えてもよい。
【0087】
1つの実施形態では、ガイド部材816は係合軸412に対して横断方向の固定軸420を規定し、かつ該固定軸に沿って固定部材を、締結具の開孔部の中に入るか又は開孔部を通り抜けるように誘導することができる。固定軸420は、交差固定具挿入軸420と呼ぶこともできる。ガイド部材816は、ガイド802の基端部820の近くでガイド802に連結、接続、及び/又は一体化されていてよい。
【0088】
ガイド部材816は、交差固定具挿入軸420と一直線上にある、ガイド部材816を通る通路842を備えることができる。ガイド部材816はさらに、第1のスリーブ808a、第2のスリーブ808b、及び第3のスリーブ808cのうち1以上を備えることができる。第1のスリーブ808aは、交差固定具挿入軸420と同軸であって通路842の断面直径よりも小さい断面直径を有することができる。第2のスリーブ808bは、交差固定具挿入軸420と同軸であって第1のスリーブ808aの断面直径よりも小さい断面直径を有することができる。第3のスリーブ808cは、交差固定具挿入軸420と同軸であって第2のスリーブ808bの断面直径よりも小さい断面直径を有することができる。ある実施形態では、スリーブ808a、b、cは、より大きな断面直径を有するスリーブ及び/又は通路842の内側ねじと係合するように構成された外側ねじを備えていてもよい。1つの実施形態では、第1のスリーブ808aは通路842の内側に軸方向に収まり、第2のスリーブ808b又は第3のスリーブ808cのうち一方は第1のスリーブ808aの内側に軸方向に収まる。別例として、又は追加として、第1のスリーブ808aは通路842の内側に軸方向に収まり、第2のスリーブ808bは第1のスリーブ808aの内側に軸方向に収まり、かつ第3のスリーブ808cは第2のスリーブ808bの内側に軸方向に収まる。
【0089】
ある実施形態では、スリーブ808a、b、cはそれぞれ、基端部844a、b、cから先端部846a、b、cまで伸びる通路を備えることができる。スリーブ808a、b、cの中の通路は、固定部材の配備に使用される1以上のインプラント、締結具、ツール、及び/又は器具を受け入れる大きさ及び構成に作られていてよい。上記のインプラント、締結具、ツール、及び/又は器具の例としては、限定するものではないが固定部材812に連結されたドライバ810、固定部材812、ドリルビット848、測深機850、一時的締結具852の一例であるピン852(例えばK‐ワイヤ)などが挙げられる。
図42には、ガイド802と共に使用可能なインプラント、締結具、ツール、及び/又は器具の例が含まれている。これら実例のインプラント、締結具、ツール、及び/又は器具はそれぞれ、ある実施形態ではカニューレ付きであってもよい。
【0090】
1つの実施形態では、スリーブ808a、b、cのうち1以上は、基端部844a、b、cにハンドル又はノブを備えることができる。別例として、又は追加として、スリーブ808a、b、cは、先端部846a、b、c又はその近くに、テーパ状又尖頭状の端部を備えていてもよい。軸方向貫通路である通路842は、交差固定具挿入軸420に沿ってガイドワイヤ又はピン852(例えば「K‐ワイヤ」)を誘導するための大きさに作られていてよい。1以上のスリーブ808a、b、cはそれぞれ、先端部846a、b、cを骨から所望の間隔をあけて配置するために、本体814に対して軸420に沿って平行移動させることができる。
【0091】
図43~46を参照すると、1つの実施形態では、インサータ806は、
図39又は本開示の他の図面の締結具804と共に使用するために構成されている。インサータ806は、先端部856と、ハンドル部分860を備えた基端部858とを有する本体854を備えている。本体854は、先端部856から基端部858に向かって伸びており各々が通路軸862を規定している、1対の横方向に間隔を置いて位置する通路を備えている。通路軸862は、締結具804の空洞部と一直線上になるように角度864をなしている。
【0092】
側方の切込み又はウィンドウ866は通路と連通している。通路はそれぞれ、軸方向に摺動かつ軸回転する関係をなしてロック用ボルト868を受承している。ボルト868はそれぞれウィンドウ866のうちの一方を横切り、操作用にウィンドウ内でボルト868の一部分が露出している。ノブ870が例えばピン止めにより各ボルト868に接続されていて、ユーザがボルト868を通路軸862の周りで回転させることを可能としており、かつノブがウィンドウ866の基端側又は先端側縁部872、874に当接するときにボルト868の軸方向移動の限界としての役割を果たしている。ボルト868はそれぞれ、締結具脚体のうち一方の階段状の円筒空洞部の後端側部分に嵌合する大きさに作られた、平滑な筒状部分876を備えている。ボルト868はそれぞれ、平滑部分876よりも先端側に、締結具脚体のうち一方の階段状の空洞部のねじ山付きの前端側部分に螺入する大きさに作られた、ねじ部分878を備えている。
【0093】
インサータ806の基端部858は、本明細書中に記載のガイド802に回転式に連結されるように構成された連結部材を備えている。
図43~46の例証の実施例では、該連結部材は、連結部材の上面882から中へ先端側に伸びる受け口880及び周縁部884を備えている。ある実施形態では、受け口880は内側ねじ886を備えていてもよい。別例として、又は追加として、受け口880は、大きな直径の基端側部分888と、小さな直径の、内側ねじ886を備えた先端側部分890とを備えた階段状の円筒形受け口又は空洞部であってよい。1つの実施形態では、ロック機構824のねじ山834は受け口880の内側ねじ886に係合するように構成され、かつ受け口880は、肩部830が係合部材818の上面832を圧迫するまでシャフト828が先端側に前進することを許容する深さを有している。
【0094】
連結部材はさらに、本体854の長手方向軸の周囲に配置構成された1以上の回転方向停止部材892を備えていてもよい。1以上の停止部材892は、係合部材818の停止装置(例えば側面840)と共働して締結具804及び/又はインサータ806に対するガイド802の一連の相対的配向を規定することができる。
【0095】
例証の実施形態では、インサータ806は周縁部884に配置された4個の停止部材892a、b、c、dを備えている。別例として、又は追加として、インサータ806は、単一の停止部材892a、1つの長辺に1対の停止部材892a、b、1つの短辺に1対の停止部材892a、cを備えていてもよい。例証の実施形態では、停止部材892は突部894及び陥凹部896を備えることができる。本明細書中で使用されるように、「陥凹部」とは、表面に形成された窪み、空所、開口部、又は凹所を指す。ある実施形態では、陥凹部はその表面を有する構造物を貫通しない。陥凹部は、様々な断面形状(例えば卵形、楕円形、丸形、円形、長方形、正方形など)を有することが可能であり、かつ該陥凹部を画成する1以上の壁面について様々な構成を有することができる。1例において、陥凹部は角が丸い状態に接続した1以上の壁面を有していてもよい。ある実施形態では、陥凹部は別の構造物を受承する又は受け入れるための大きさ及び形状に作られる。
【0096】
インサータ806は、
図45に示すようにノブ870がウィンドウ866の基端側縁部872に当接するまでロック用ボルト868を基端側へと摺動させることにより、締結具804に接合される。次いでねじ部分322を、締結具804の空洞部160に挿入することができる。その後各々のノブ870が回転されて、ロック用ボルト868が空洞部160に螺入されて
図46に示されるように締結具804がインサータ806に固着される。
【0097】
図40~47を参照すると、ガイド802は、長尺状の部材(例えば固定部材812)が締結具804の開孔部118の中に入るか又は通り抜ける配置を誘導するようにインサータ806と係合することができる。ガイド802は、
図47に示されるように下面838がインサータのハンドル部分860の上面882に当接するまでピン836を受け口880に挿入することにより、インサータ806に連結される。こうして組み立てられると、交差固定具挿入軸420は締結具開孔部118の中央と一直線上になる。固定部材の挿入により、固定軸420は開孔部118に入ることになる。加えて、典型的な実施形態では、インサータ806は係合部材818と締結具804との間に配置される。
【0098】
1つの実施形態では、ユーザは、締結具804に対するガイド802の所望の配向が見つかるまで、係合軸412の周りでガイド802を回動させることができる。所望の配向が見つかるか得られれば、その所望の配向を維持するためにガイド802を固着することができる。1つの実施形態では、ガイド802を固着するために、ユーザはロック機構824を作動させてもよい。
図47を参照すると、ロック機構824を作動させるために、ユーザはハンドル826をインサータ806に向かって押し付けることができる。例証の実施形態では、インサータ806はねじ付き受け口880を備えている。ユーザは、ハンドル826を係合軸412の周りでシャフト828が受け口880の内部へと先端側に前進する方向に回すことにより、シャフト828を回転させることができる。例えば、シャフト828のねじ山834は、受け口880の内側ねじ886に係合することができる。シャフト828が回転するにつれて、シャフト828は受け口880の中へと先端側に前進することができる。シャフト828が前進するにつれて、ロック機構824の肩部830はガイド本体814をインサータ806に対して挟みつける。1つの実施形態では、この接触により、ガイド802を所望の配向に保持するのに十分な摩擦が提供される。ある実施形態では、ユーザは、係合軸412の周りのガイド802の回動に対する抵抗を高めるために、ロック機構824を堅く締めることができる。
【0099】
このようにしてユーザは、ロック機構824を作動させてガイド802を係合軸412の周りで確実に位置決めし、かつそれにより、締結具804を固着するために固定部材812を開孔部118に入るように位置決めすることができる。換言すれば、固定部材812はガイド部材816によって開孔部118と位置合わせされる。さらに、ガイド部材816は、固定部材812の配備のために確実に位置決めされている。
【0100】
1つの実施形態では、係合部材818は、インサータ806を介在せずに締結具804と直接係合してもよい。例えば、締結具804は、ガイド802及び締結具804の相対的配向を固着するためにシャフト828が係合することができる、受け口880に類似の受け口を備えていてもよい。例えば、締結具804は、締結具804に対するガイド802の相対的配向を固着するためにシャフト828のねじ山834が係合することができる、受け口880に類似のねじ付き受け口を備えていてもよい。
【0101】
ガイド802は、
図48Aに示された第1の配向と
図48Bに示された第2の配向との間の無数の相対的配向をなして、係合軸412の周りでインサータ806に対して回動させることができる。
図48Aはシステム800の可動域内にある一例の最大角度898を例証し、
図48Aは一例の最小角度900を例証している。1つの実施形態では、角度898は約135.7度~151.3度の範囲であってよい。別の実施形態では、角度900は約28.7度~44.3度の範囲であってよい。1つの実施形態について、締結具804に対するガイド802の可動域は、約91.4度であってよい。別の実施形態では、締結具804に対するガイド802の可動域は、約122.6度であってよい。
図47は、およそ30度の角度でインサータ806に連結されたガイド802を例証している。
【0102】
1つの実施形態では、ガイド及びインサータは停止装置を規定して該停止装置の間に相対的配向を限定する。例えば、
図36のねじ636のような、締結具の開孔部118を通して挿入される固定部材は、長手方向軸と、該長手方向軸に対して垂直な横方向の寸法とを有する。
【0103】
図49は、明確にするために一定の構成要素及び/又は細部が省略された、一実施形態によるインサータ806及びガイド802の斜視図である。この例証の実施形態では、係合部材818のピン836はインサータ806(本体854のみが
図49に示されている)の受け口880の中に位置している。
図49は、インサータ806及び/又は締結具804に対するガイド802の角度範囲を限定するための特徴の細部を例証している。
【0104】
インサータ806は、突部894及び陥凹部896を備えた停止部材892を備えている。停止部材892は、係合部材818の1以上の特徴902と共働してガイド802の可動域を所定の角度範囲に限定することができる。上記に説明されるように、特徴902の1つの例は側面840である。このようにしてガイド802は、固定部材812の位置決め及び誘導のための予め規定された一連の配向の範囲内で稼働する。
【0105】
図50は1つの実施形態によるガイド802の底面図であり、特徴902の一例を示している。ある実施形態では、特徴902は、1以上の対応するピン906又はダボを据え付けて保持するように構成された1以上の陥凹部904a、bを備えている。1つの実施形態では、陥凹部904a、bは円筒形状であってよく、かつプレス嵌めによって陥凹部904a、bの内部にピン906を受け入れて保持する大きさに作られていてよい。
図51は
図50の線51-51に沿って得られた断面図であり、特徴902に使用することができる実施例の陥凹部904a、bを例証している。
【0106】
図52は、特徴902を備えたガイド部材816の斜視図である。
図52は、陥凹部904の中に据え付けられたピン906を備えている。
図53はインサータ806の上面図であり、ピン906がどのようにしてインサータ806の停止部材892と相互作用してガイド802の可動域を限定するかという一例を示している。
図53は、停止部材892に対するピン906a、bの配置を例証している。例えば、第1の配置(実線で示されたピン)では、ピン906aがインサータ806の陥凹部896aに当接し、かつ突部894はガイド802が係合軸412の周りで反時計回りの方向にそれ以上回転しないように制限することができる。第2の配置(破線で示されたピン)では、ピン906bがインサータ806の陥凹部896bに当接し、かつ突部894bはガイド802が係合軸412の周りで時計回りの方向にそれ以上回転しないように制限することができる。
【0107】
図54は、明確にするために一定の構成要素及び/又は細部が省略された、インサータ806及び1つの実施形態による係合部材1000の一実施形態の斜視図である。
図55は、一定の追加の構成要素及び/又は細部が含められた、
図54の係合部材1000及びインサータ1008の一実施形態の断面図である。係合部材1000は、シャフト1002、カラー1004、突出部1006、及びインサータ1008を備えている。1つの実施形態では、シャフト1002は円筒状であり、基端部1010及び先端部1012を備えていてもよい(
図55を参照)。先端部1012、又は先端部1012の近くの特徴は、骨締結具に係合する。ある実施形態では、シャフト1002は骨締結具に直接係合することができる。別例として、又は追加として、シャフト1002は、インサータ1008又はその他の中間構造物を経由して骨締結具に間接的に係合してもよい。シャフト1002はねじ山1014を備えていてもよい。
【0108】
本明細書中で使用されるように、「カラー」とは、形状又は用途において衣類のカラー(襟)に類似するように構造化、組織化、構成、設計、配列、成形、又は計画製作された、装置、器具、構造物、デバイス、構成要素、システム、又はアセンブリを指す。ある実施形態では、カラーは開口していても閉止していてもよい。カラーの例としては、動きを抑制するため、又は何かを適所に保持するために使用可能なリング又は丸フランジが挙げられる。(「カラー(collar)」をMerriam-Webster.com. で検索。ウェブサイトMerriam‐Webster、2021。2021年11月15日、一部改変)本明細書中で使用されるように、「突出部」とは、少なくとも1つの他の構造物から、例えばその少なくとも1つの他の構造物の表面から、突出又は伸長している構造物又は構造物の一部分を指す。一般に、他の構造物はその突出部に接続している。
【0109】
カラー1004はガイドの本体と連結又は一体化していてもよく、かつ係合軸と軸方向に一直線上になった貫通路を備えることができる。ある実施形態では、カラー1004は、カラー1004から先端側へ伸びるピンを備えていてもよい。1つの実施形態では、貫通路は基端側区域1016及び先端側区域1018を備えることができる。基端側区域1016及び先端側区域1018は円筒状であってよく、かつ基端側区域1016は先端側区域1018より小さな直径を有することができる。1つの実施形態では、基端側区域1016は、シャフト1002のねじ山1014に係合するように構成された内側ねじ1020を備えることができる。別例として、又は追加として、基端側区域1016は、シャフト1002の基端部1010の近くのねじ山(図示せず)に係合するように構成された内側ねじ1020を備えていてもよい。内側ねじ1020は、ガイドがインサータ1008及び/又は骨締結具に連結されていないときにシャフト1002及び/又は突出部1006をカラー1004に固着する役割を果たすことができる。
【0110】
突出部1006は、シャフト1002の断面直径から横方向に広がっていてもよい。突出部1006は、基端部1010の近くでシャフト1002に連結されていてよい。ある実施形態では、突出部1006は直方体状、円筒状など様々な形状であってよい。突出部1006は、カラー1004の上面1026と接触するように構成された下面1024を備えている。
【0111】
1つの実施形態では、シャフト1002は、骨締結具に固着されたインサータ1008の受け口1030の内側ねじ1022に係合するねじ山1014によって骨締結具に係合する。例証した実施形態では、シャフト1002を第1の方向に回転することによりねじ山1014を受け口1030の内側ねじ1022の内部へと前進させ、かつそれにより突出部1006をカラー1004の近くへと引き寄せることができる。ねじ山1014が前進するにつれて、突出部1006はカラー1004の少なくとも一部分を圧迫する(例えば、下面1024が上面1026を圧迫することができる)。ある実施形態では、この圧力(又は付勢)は、カラー1004及び連結されたガイドを係合軸に関して第1の配向に保持するのに十分である。
【0112】
当業者であれば、受け口1030は本開示の範囲内で様々な異なる形態、特徴、及び構成を有しうることを認識するであろう。1つの実施形態では、受け口1030は、突出部1006がカラー1004を圧迫するまでシャフト1002が先端側へと前進するのを許容する深さを有している。別例として、又は追加として、受け口1030は、突出部1006がインサータ1008及び/又は骨締結具に対するカラー1004の回動を抑制するのに十分なプレス嵌めを伴ってカラー1004を圧迫するまでシャフト1002が先端側へと前進するのを許容する深さを有する。
【0113】
例証された実施形態では、シャフト1002は、インサータ1008の受け口1030の内側ねじ1022に係合するねじ山1014によって骨締結具に係合する。当業者であれば、シャフト1002が骨締結具に係合するために様々な特徴、構造、及び実装を用いることができることを認識するであろう。例えば、先端部1012の近くで横方向に伸びるピンは、受け口1030の壁面沿いのチャネルに沿って垂直方向に摺動することが可能であり、次いで突出部1006をカラー1004の少なくとも一部分に対して押し付けるために該チャネルの水平方向に伸びる部分に据え付けられてもよい。ある実施形態では、インサータ1008は、その基端部の近くに連結部材1032を備えていてもよい。連結部材1032は受け口1030を備えていてもよい。
【0114】
図55はさらに、1つの実施形態による実例のボルト1034、ノブ1036、ノブ1036をボルト1034に連結するピン1038、及びボルト1034を先端側へ付勢するバネ1040を例証している。
【0115】
ある実施形態では、インサータ1008及び/又は骨締結具の1以上の表面と接触する、係合部材1000の1以上の表面は、係合境界面を形成することができる。本明細書中で使用されるように、「境界面」とは、2つの別個及び/又は独立の構造物、部材、装置、アセンブリ、構成要素、及び/又はシステムが、相互に、機械的又は電子的に、接合し、接続し、連結され、又は近接及び作用し、又は連通する領域、境界、又は場所を指す。ある実施形態では、「境界面」は、2つの物体、空間、構造物、部材、装置、アセンブリ、構成要素、又は相の共通の境界を形成する表面を指す場合もある。(「境界面(interface)」をMerriam-Webster.com.で検索。ウェブサイトMerriam‐Webster、2021。2021年11月15日、一部改変。)ある実施形態では、境界面という用語は、境界面の種類又は機能を同定する形容詞と共に使用されてもよい。例えば、係合境界面は、各々が該境界面の一方の面に接続している2つの別個の構造物を機械的に接合又は接続するために相互作用又は接続する1以上の構造物を指すことができる。
【0116】
例証の実施形態では、1以上の係合境界面が存在することができる。
図54及び55をなおも参照すると、一例の係合境界面が、カラー1004の下面1044と、インサータ1008の上面1046(例えばインサータ1008の連結部材1032の上面1046)及び/又は骨締結具の上面とによって、形成されていてもよい。別例の係合境界面は、下面1044カラー1004から先端側へ伸びるピンの下面1048と、インサータ1008及び/又は骨締結具の受け口1030の先端部近くの上面1050とによって、形成されてもよい。1以上の係合境界面1042は、インサータ1008及び/又はカラー1004の、係合軸の周りの回動運動を抑制する。
【0117】
1つの実施形態では、係合境界面は、連結部材1032の上面1046及びカラー1004の下面1044のいずれか一方又は両方に、1以上の突出部を備えていてもよい。別例として、又は追加として、ある実施形態では、係合境界面はハース継手であってもよい。本明細書中で使用されるように、「ハースカップリング」又は「ハース継手」とは、その開発者であるアルバート・ハース(Albert Hirth)にちなんで命名された機械的接続の種類を指す。ハースカップリングは2つのシャフト部品を互いに接続するために使用可能であり、各々の半シャフトの端面にある互いにかみ合うテーパ状の歯を特徴とする。(「ハースカップリング(hirth coupling)」を2021年10月2日付のWikipedia.com CC-BY-SA 3.0で検索。一部改変。2021年11月15日にアクセス。)
【0118】
図56は、本開示の様々な実施形態に使用可能な実例の係合境界面1042の略図である。1つの実施形態では、係合境界面1042は、2つの表面すなわち下面1056及び上面1058の各々に、複数の歯1052及び複数の谷1054の相互ロック式連結器を備えていてもよい。複数の歯1052及び複数の谷1054は、下面1056及び上面1058が互いに当接すなわち接触すると互いに噛み合う。複数の歯1052及び複数の谷1054は、互いに対して相互に噛み合うための大きさ及び形状に作られている。下面1056及び上面1058は、歯及び相対する谷について、任意の種類又は構成を有することができる。更に、ある実施形態では、下面1056及び上面1058はそれぞれ単一の歯及び/又は谷を有していてもよい。例証の実施形態では、複数の歯1052及び複数の谷1054は四角い表面(断面)を有している。別例として、又は追加として、複数の歯1052及び複数の谷1054は三角形の断面を有していてもよい。
【0119】
本開示の様々な実施形態では、下面1056及び/又は上面1058は互いに接触又は当接する表面のうちいずれかであってよい。例えば、係合境界面1042の1つの表面は連結部材1032の上面であってよく、下面はカラー1004の下面であってよい。更に、係合境界面1042は既存の構成要素の表面と一体化されてもよいし、装置又はデバイスの部品に連結可能な別個の構成要素一式であってもよい。
【0120】
図57Aは、本開示の1つの実施形態によるガイド2002を備えたシステム2000の斜視図である。1つの実施形態では、ガイド2002は本体2014、ガイド部材2016、及び係合部材2018を備えている。本体2014は基端部2020及び先端部2022を有する。1つの実施形態では、本体2014は円弧又は弓形の形状を有し、かつ基端部2020と先端部2022との間を伸びる「アーム」のようなものである。
【0121】
ガイド部材2016は、固定部材812を配備するための部位の準備を容易に又は可能にすることができる。別例として、又は追加として、ガイド部材2016は、骨締結具804を固着するための固定部材812の配備を誘導する役割を果たすことができる。1つの実施形態では、ガイド部材2016は基端部2020の近くで本体2014に連結されてよい。例証の実施形態では、ガイド部材2016は基端部2020において本体2014に連結されている。
【0122】
1つの実施形態では、ガイド部材2016は、交差固定具挿入軸420を規定するガイド部材2016を貫通する通路と、該通路の中に軸方向に摺動する関係で受承された1以上のスリーブ2008a、bとを備えている。1つの実施形態では、ガイド部材2016の通路は1以上のスリーブ2008を受け入れる大きさに作られている。スリーブ2008はそれぞれ、スリーブ2008が通路内で軸方向に摺動することを可能にする大きさの断面直径を有する軸方向貫通路を備えることができる。例証された実施形態では、スリーブ2008a、bは各々、1以上のスリーブ2008a、bのうち一定のスリーブが入れ子の配置状態で互いの内側に収まることを可能とする異なる断面直径を有していて、スリーブ2008a、bの長手方向軸が固定具挿入軸420と一直線になるようになっていてもよい。
【0123】
1つの実施形態では、係合部材2018は、ガイド2002を骨締結具804に連結する。例えば1つの実施形態では、係合部材2018は、ガイド部材2016が係合軸412の周りで骨締結具804に対して回動して複数の相対的配向をなすことが可能であるように、骨締結具804に係合する。別の例では、係合部材2018は、ガイド2002が係合軸412の周りで骨締結具804に対して回動して複数の相対的配向をなすことが可能であるように、骨締結具804に係合する。
【0124】
ある実施形態では、相対的配向とは、ガイド2002及び/又はその部材の骨締結具804に関する配向である。1つの実施形態では、係合部材2018は、ガイド2002を骨締結具804に直接連結する。別の実施形態では、係合部材2018は、ガイド2002をインサータ806経由で骨締結具804に間接的に連結する。1つの実施形態では、係合部材2018は本体2014に対して先端部2022の近くで連結されてよい。例証された実施形態では、係合部材2018は本体2014に対して先端部2022で連結されている。
【0125】
ある実施形態では、係合部材2018は、ガイド部材2016及び/又はガイド2002を複数の相対的配向のうち任意の配向に固着するように構成される。1つの実施形態では、係合部材2018は、ガイド部材2016を所望の相対的配向に一時的に固着することができる。例えば、その間に固定部材812が配備される。別の実施形態では、係合部材2018は、ガイド部材2016を所望の相対的配向に恒久的に固着することができる。
【0126】
図57Aの例証の実施形態では、ガイド2002は、枢動部材2024を備えることができるガイド部材2016を備えている。枢動部材2024は、基端部2020の近くでガイド本体2014に接続又は連結されてよい。枢動部材2024により、ユーザは、固定軸420(交差固定具挿入軸とも呼ばれる)の配向を、係合軸412に対してほぼ垂直な第1の配置状態から、係合軸412に垂直な軸よりも上方の任意の配向、例えば上方配向2026、又は係合軸412に垂直な軸よりも下方の任意の配向、例えば下方配向2028へと調整することができる。ある実施形態では、枢動部材2024は、スリーブ2008を受け入れる通路に接続している。
【0127】
1つの実施形態では、枢動部材2024は、本体2014の内部に形成されたか又は本体2014に連結された、スロット2040を備えることができる。スロット2040は、貫通スロット、陥凹スロット、鋸歯状スロット、歪曲したスロットなどであってよい。スロット2040は基端部及び先端部を備えうる。ある実施形態では、スロット2040は湾曲しており、かつ本体2014の輪郭に概ね追従していてよい。例証の実施形態では、スロット2040はロック機構2030(
図57Bを参照)と共働して、ガイド部材2016が骨締結具804に対して上方向又は下方向の複数の配向をとることを可能にしている。
【0128】
1つの実施形態では、ガイド部材2016は、ロック機構2030及びスロット2040を経て本体2014に接続している。ある実施形態では、ユーザは、スロット2040の範囲内でガイド部材2016を移動させて、ガイド部材2016がスロット2040に連結された状態で固定軸420を任意の上方配向2026又は任意の下方配向2028へと変化させることができる。このようにしてユーザは、枢動部材2024を使用して、交差固定具挿入軸420を無数の上方及び/又は下方の配向のうちのいずれかへと枢動させることができる。
【0129】
図57Bは
図57Aのシステムの側面図であり、ロック機構2030の1つの実施形態を例証している。ロック機構2030により、ユーザは、上方及び/又は下方の配向を所望の上方及び/又は所望の下方の配向へと変更し、次いで交差固定具挿入軸の所望の配向を係合軸412に対して保持するために枢動部材2024を固着することができる。当然ながら、様々な形態のロック機構2030が使用されてよい。
【0130】
1つの例示の実施形態では、ロック機構2030は、プレス嵌め境界面を作り出すことにより所望の配向を維持するために、ガイド部材2016を本体2014に対して締め付けるねじ付きシャフト2034を有するノブ2032(図を57Cを参照)を備えることができる。有利には、ユーザはロック機構2030を解放し、緩め、又は無効化してガイド部材2016をスロット2040に沿って新たな位置へと移動させることが可能であり、これにより係合軸412に対して垂直な配向、上方の配向、及び/又は下方の配向とすることができる。ガイド部材2016が所望の位置/配向となれば、ユーザは、ガイド部材2016をその所望の位置/配向に固着するために、ロック機構2030を有効化すなわち作動させることができる。
【0131】
図57Cは、本開示の1つの実施形態による
図57Bのロック機構2030の分解斜視図である。1つの実施形態では、ロック機構2030は、ノブ2032、シャフト2034、及びガイド部材2016の本体2038に連結された受承器2036を備えることができる。例証の実施形態では、シャフト2034はねじ付きである。受承器2036は、シャフト2034のねじ山に係合するように構成された内側ねじを備えたねじ付きの開口部を備えることができる。受承器2036は本体2038の一部として形成されてもよいし、本体2038に溶接されるか又は他の方法で接続されていてもよい。受承器2036は、ガイド2002の本体2014に対して本体2038を位置決めする役割を果たすことができる。1つの実施形態では、受承器2036は、スロット2040の内部に嵌合してスロット内部を移動するように構成可能である。別例として、又は追加として、シャフト2034がスロット2040の内部に嵌合し、及び/又はスロット内部を移動することも可能である。
【0132】
例証の実施形態では、本体2038は円筒形状であり、かつ本体2038の基端部から先端部まで伸びる長手方向通路を備えている。当然ながら、当業者には認識されることであるが、本体2038及び通路の形状及び構成が、例証された実施形態とは異なっていて、なおも十分に機能を果たし、かつ従って本開示の範囲内の実施形態を成す、ということが可能である。例えば、本体2038は多角形の断面を有してもよく、同様に通路も多角形の断面を有することができる。
【0133】
図57Dは、代替実施形態の、システム2300のガイド2302を例証している。この例証の実施形態では、ガイド2302は、枢動部材2324を備えうるガイド部材2016を備えている。枢動部材2324は、基端部2020の近くでガイド本体2014に接続又は連結されていてよい。枢動部材2324により、ユーザは固定軸420(交差固定具挿入軸とも呼ばれる)の配向を調整することができる。ある実施形態では、枢動部材2324はスリーブ2008を受け入れる通路に接続している。枢動部材2324は、交差固定具挿入軸及び係合軸に対して横断方向の軸の周りで枢動又は回動することができる。
【0134】
枢動部材2324の回動により、固定軸420の配向を変化させることができる。1つの実施形態では、ユーザは、枢動部材2324を使用して、交差固定具挿入軸420を係合軸412に対して垂直な配向から上方の配向2026へと方向を合わせることができる。別例として、又は追加として、1つの実施形態では、ユーザは、枢動部材2324を使用して、交差固定具挿入軸420を係合軸412に対して垂直な配向(又は任意の上方若しくは下方の配向)から下方の配向2028へと方向を合わせることができる。このようにしてユーザは、枢動部材2324を使用して、交差固定具挿入軸420を無数の上方及び/又は下方の配向のうちいずれかへと枢動させることができる。
【0135】
ある実施形態では、枢動部材2324はロック機構2330を備えている。ロック機構2330により、ユーザは、上方及び/又は下方の配向を所望の上方及び/又は所望の下方の配向へと変更し、次いで交差固定具挿入軸の所望の配向を係合軸412に対して保持するために枢動部材2324を固着することができる。当然ながら、様々な形態のロック機構2330が使用されてよい。1つの例示の実施形態では、ロック機構2330は、枢動部材2324の内部(及び/又は枢動部材2324の表面及びガイド本体2014の表面)にプレス嵌め境界面を作り出すことにより現在の配向を維持するための、枢動部材2324を締め付けるねじ付きシャフトを備えたノブであってよい。
【0136】
図58は、第1の骨部分及び第2の当接する骨部分を横断する骨締結具を安定させるための方法3000の一例を示す。
図26~34を参照すると、方法3000は、外科医のようなユーザが骨締結具を第1の骨部分及び第2の骨部分の内部に配備するステップ3002で始まる。1つの実施形態では、第2の骨部分は第1の骨部分に当接している。2つの骨部分は、同じ骨の部分であってもよいし、2つの異なる骨の部分であってもよい。1つの実施形態では、2つの骨部分のうちの1つの代わりにインプラントが使用されてもよい。図面に示され、かつ上述されたように、骨締結具の配備はいくつかのステップを含むことができる。
【0137】
1つの実施形態では、骨締結具は、挿入軸と、開孔部を有する本体であって開孔部は開孔部長さ及び開孔部幅を有し、開孔部長さは開孔部幅よりも長い、本体と;本体に接続された第1の脚体と;本体に接続された第2の脚体と、を備えることができる。配備のステップで使用される適切な骨締結具の例は、本明細書中に開示及び説明されている。
【0138】
次に、外科医又は他のユーザは、ガイド(例えばガイド802又はガイド2002)を骨締結具に連結することができる(3004)。ガイドは、基端部及び先端部を有する本体と;基端部の近くで本体に連結されたガイド部材であって、骨締結具を固着するための固定部材の配置を誘導するように構成されたガイド部材と;先端部の近くで本体に連結された係合部材と、を備えることができる。係合部材は、係合軸の周りで複数の相対的配向をなして骨締結具に係合するように構成可能である。加えて、係合部材は、係合軸の周りの複数の相対的配向のうち1つの配向にガイド部材を固着するように構成されている。
【0139】
次に、外科医又は他のユーザは、ガイドを係合軸の周りで所望の配向へと回動させることができる(3006)。次に、外科医又は他のユーザは、ガイド部材を所望の配向に固着させることができる(3008)。次に、外科医又は他のユーザは、骨締結具を安定させるために固定部材を配備することが可能であり(3010)、該方法3000は終了する。
【0140】
ある実施形態では、固定部材を配備するステップはさらに、外科医又は他のユーザが、ガイドのガイド部材の通路内に配置された固定部材スリーブの内側に配置されたドリルスリーブの内側に配置されたピンスリーブを通した一時的締結具により、ガイド部材と同軸の交差固定具挿入軸の配向を確認するステップを含んでもよい。次に、外科医又は他のユーザは、ドリルスリーブ内のビットにより第1の骨部分及び第2の当接する骨部分のうちの一方に孔を開けることができる。次に、外科医又は他のユーザは、固定部材スリーブ内の固定部材に接続されたドライバにより、孔の中に固定部材を配備することができる。
【0141】
ある実施形態では、ガイド部材を固着するステップはさらに、外科医又は他のユーザが、ガイド部材を所望の配向に固着するために係合部材のロック機構を作動させるステップを含むことができる。次に、外科医又は他のユーザは、ガイドの係合部材のロック機構を解除することができる。次に、外科医又は他のユーザは、ガイドを係合軸の周りで新たな配向へと回動させることができる。次に、外科医又は他のユーザは、ガイドの係合部材のロック機構を再び作動させることができる。
【0142】
本明細書中に開示されたいずれの方法も、記載の方法を実施するための1以上のステップ又は動作を含んでいる。該方法のステップ及び/又は動作は相互に交換可能である。換言すれば、実施形態の適切な稼働のために特定順序のステップ又は動作が必要でないかぎり、個別のステップ及び/又は動作の順序及び/又は使用は改変することが可能である。
【0143】
本明細書全体を通じ、「実施形態(an embodiment)」又は「該実施形態(the embodiment)」という場合、その実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。よって、本明細書全体を通じて列挙されているような上記のカッコ付きの言葉、又はその変形は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0144】
同様に、上記の実施形態の説明において、開示を簡素化する目的で様々な特徴が単一の実施形態、図面、又はその説明の中で一まとめにされる場合があることは、認識されるべきである。しかしながら、この開示方法は、任意の請求項がその請求項において明示的に列挙された特徴よりも多くの特徴を必要とする、という意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が示すように、発明の態様は、これまでに開示された任意の単一の実施形態の全ての特徴よりも少数の特徴を組み合わせた中にある。よって、本項[詳細な説明]に続く特許請求の範囲はここで、個別の実施形態としてそれ自体が独自である各請求項と共にこの[詳細な説明]に明らかに組み込まれる。本開示は、独立請求項及びその従属請求項の全ての並べ替え形態を含む。
【0145】
特許請求の範囲において特徴又は要素に関して「第1の」という用語が記載される場合、必ずしも第2又は追加のそのような特徴又は要素が存在することを意味するものではない。手段+機能の形式で記述される要素は、米国特許法第112条第6項に従って解釈されるように意図されている。上述の実施形態の細部に対し、本明細書中に述べられた根本原理から逸脱することなく変更を加えることができることは、当業者には明白であろう。
【0146】
当業者であれば、本開示において提示される解決策は、本明細書中に開示されたか又は関連する図面若しくは特定の実施形態若しくは請求項において例証された構成要素、構造、特徴、又は態様の全てを用いるか又は一部を欠いて用いることにより達成可能であることを認識するであろう。
【0147】
本開示の特定の実施形態及び用途について例証及び説明してきたが、本開示の範囲は本明細書中に開示された構成及び構成要素そのものに限定されるものではないことは理解されるべきである。当業者には明白であろう様々な改変、変更、及び変形を、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書中に述べた本開示の方法及びシステムの配置構成、運用、及び細部において行うことが可能である。そのような変更には、特定の実施形態、態様、又は実施例において本明細書中に述べた1以上の特徴、構造物、部材、又は構成要素を省略することが含まれうる。
【外国語明細書】