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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104914
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】材料切断装置
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230721BHJP
   E01C 23/09 20060101ALI20230721BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
E01C23/09 Z
B25F5/00 H
H02K7/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023004900
(22)【出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】10 2022 101 073.2
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511237955
【氏名又は名称】ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson Produktion GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wackerstrasse 6, D-85084 Reichertshofen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】カトリン ヴァイヒゼルバウマー
【テーマコード(参考)】
2D053
3C064
5H607
【Fターム(参考)】
2D053AA22
2D053AB09
2D053DA03
3C064AA06
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA12
3C064BB01
3C064BB11
3C064BB32
3C064BB84
3C064BB85
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA10
3C064CA57
3C064CA58
3C064CB61
3C064CB71
3C064CB84
3C064CB85
3C064CB91
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD02
5H607FF10
5H607FF12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トルク伝達手段を省略でき、これによりより高い全体効率を有することができ、また、工具支持部による制限部を越えて切断深さが減少させられることがない材料切断装置を提供する。
【解決手段】材料切断装置であって、切断工具(10)を支持するように形成された、回転可能に支持された工具支持部と、工具支持部を回転させる駆動装置とを備えており、駆動装置は、ロータ(13)とステータ(14)とを備えた電動モータ(12)を有しており、電動モータ(12)のロータ(13)の回転軸線と、工具支持部の回転軸線とは同軸的に配置されており、ステータ(14)は、360度未満の角度にわたりロータ(13)を包囲している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料切断装置であって、
-切断工具(10)を支持するように形成された、回転可能に支持された工具支持部(11)と、
-該工具支持部(11)を回転させる駆動装置とを備えており、
-該駆動装置は、ロータ(13)とステータ(14)とを備えた電動モータ(12)を有しており、
-該電動モータ(12)の前記ロータ(13)の回転軸線と、前記工具支持部(11)の回転軸線とは同軸的に配置されており、
-前記ステータ(14)は、360度未満の角度にわたり前記ロータ(13)を包囲している、
材料切断装置。
【請求項2】
前記ステータ(14)は、270°以下、180°以下、120°以下または90°以下の角度にわたり前記ロータ(13)を包囲している、請求項1記載の材料切断装置。
【請求項3】
-前記ステータ(14)は、該ステータ(14)が専ら境界面(17)の一方の側だけに延在するように設定された角度にわたり延在しており、
-前記境界面(17)は、前記工具支持部(11)の外面に接するバーチャルの接線方向面として規定されている、
請求項1または2記載の材料切断装置。
【請求項4】
当該材料切断装置が規定通りの作業位置で直立している場合、境界面(17)は、前記工具支持部(11)の下面に接する接線方向面として規定されたバーチャルな水平面である、請求項1から3までのいずれか1項記載の材料切断装置。
【請求項5】
-前記工具支持部(11)は、実質的に回転対称に形成されており、
-前記工具支持部(11)は、最大半径を有しており、かつ
-当該材料切断装置が規定通りの作業位置で直立している場合、前記ステータ(14)は、下方に向かってかつ前方に向かって前記工具支持部(11)の前記最大半径を越えずに延在している、
請求項1から4までのいずれか1項記載の材料切断装置。
【請求項6】
当該材料切断装置は、
-車台(1)と、
-該車台(1)を移動させる少なくとも1つの走行装置(3)と
を備えたフロアソー装置であり、
-前記電動モータ(12)と前記工具支持部(11)とは、主移動方向に見て前記車台(1)の前側の領域に配置されており、かつ
-前記電動モータ(12)に電気エネルギを供給する電気エネルギ蓄え器(18)が設けられている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の材料切断装置。
【請求項7】
前記電気エネルギ蓄え器(18)の重心は、前記工具支持部(11)の前記回転軸線の上側に配置されている、請求項6記載の材料切断装置。
【請求項8】
-前記電気エネルギ蓄え器(18)を支持するために、蓄電池支持部が設けられており、
-前記電気エネルギ蓄え器(18)は、交換可能である、請求項6または7記載の材料切断装置。
【請求項9】
-前記車台(1)は、規定通りの作業位置に関して、前記電動モータ(12)および前記工具支持部(11)の高さに下側の領域を有しており、かつ
-前記車台(1)は、前記下側の領域の上側に配置されておりかつ該下側の領域から少なくとも400mm離間された上側の領域を有している、
請求項6から8までのいずれか1項記載の材料切断装置。
【請求項10】
前記上側の領域または前記下側の領域には、前記電気エネルギ蓄え器(18)からの直流電流を、前記電動モータ(12)の運転に適した電流に変換するために、変換装置(19)が設けられている、
請求項6から9までのいずれか1項記載の材料切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフロアソー、切断研削機、切断ソーまたはチェーンソー等の材料切断装置に関する。材料切断装置は、フレーム上で移動可能であるか、または手持ち式であってもよい。
【0002】
このような材料切断装置として働く典型的な移動可能な、ベルト駆動装置を備えたフロアソーは、独国特許出願公開第102014010354号明細書から公知である。
【0003】
フロアソーは、工具として働く切断ディスクを支持する回転可能な工具支持部を有している。工具支持部は、通常、ベルト駆動装置により駆動され、ベルト駆動装置自体は、内燃機関または電動モータにより駆動される。この場合、原動機は、切断軸線の上側かつ-移動方向に見て-後ろ側に配置されている。
【0004】
実際の使用に関して重要な(フロアソーの規定通りの作業位置における)下方および前方への切断深さは、切断ディスク半径により制限され、理想的なケースでは切断ディスク用の工具支持部(緊締支持部)の半径によってのみ制限される。これに相応して、被駆動側のベルトプーリの直径が、切断ディスクを支持する工具支持部の直径よりも大きくない場合が有利である。
【0005】
この構成形式の場合には、スペース上の理由から、駆動モータは通常、前方に突出しないように、切断軸の後ろ側にずらされて取り付けられている必要がある。この場合、前方に向かう移動方向が、フロアソーが移動させられる主切断方向である。これに相応して、切断荷重として働きひいては材料からの切断ディスクの上昇に抗して作用するためには、原動機の質量の一部しか作用しない。つまり、切断ディスクの回転方向に基づき、切断ディスクは切断しようとする材料から持ち上がる傾向が生じる。
【0006】
ベルト駆動装置またはその他のトルク伝達手段も、構成上の手間を必要とし、このことは追加的なコストと、全体効率の低下とに結び付く。
【0007】
トルク伝達手段を介在させることなしに工具支持部を直接駆動することが可能である。このためには特に、電動モータが切断軸に直接に取り付けられてよい。ただし一般的な電動モータは、高い所要出力・トルクのために必要とされ、相応してステータもしくはモータケーシングの大きな外径を必要とするサイズを有している。この外径は、通常、切断ディスク用の典型的な緊締支持部の直径よりも大きい。これにより、可能な切断深さが減少する。
【0008】
本発明の根底を成す課題は、従来技術において既存の欠点を回避する材料切断装置を提供することにある。
【0009】
この課題は本発明に基づき、請求項1記載の特徴を備えた材料切断装置により解決される。有利な構成は、各従属請求項に記載されている。
【0010】
材料切断装置は、切断工具を支持するように形成された、回転可能に支持された工具支持部を有している。さらに材料切断装置は、工具支持部を回転させる駆動装置を有しており、駆動装置は、ロータとステータとを備えた電動モータを有しており、電動モータのロータの回転軸線と、工具支持部の回転軸線とは、互いに同軸的に配置されており、ステータは、360°未満の角度にわたりロータを包囲している。
【0011】
材料切断装置は、例えばフロアソー、切断研削機、切断ソーまたは丸鋸であってよい。これに相応して、切断工具は、例えば切断ディスクまたは鋸ディスクであってよい。
【0012】
駆動装置として、切断軸に配置された電動モータが設けられており、これにより、ロータの回転軸線は、工具支持部の回転軸線に対して同軸的に位置することになる。このようにして、例えばベルト駆動装置等のトルク伝達手段またはトルク変換装置は一切不要である。むしろ電動モータは、工具支持部ひいては切断工具を直接に駆動する。
【0013】
ただし、電動モータとして使用されるのは、従来のモータではなく、ステータが360°未満の角度にわたり延在している電動モータである。つまり、ステータは、従来の電動モータの場合のようにロータを例えば環状または管状に完全に包囲しているのではない。むしろ電動モータは、ステータがただ1つまたは複数のセグメントで存在するセグメントモータであってよい。
【0014】
このようにして、電動モータの構成形式を、ステータが少なくとも一方の側において(例えば下方に向かって)ロータ直径を越えて延在しないように構成することが可能である。
【0015】
電動モータは、リラクタンス機、特に同期リラクタンス機であってよい。この場合、ステータが所定の角度範囲にわたってのみ延在しているセグメント化されたステータ(ステータブロック)を備えた同期リラクタンス機が特に適切である、ということが判った。
【0016】
このようにして電動モータは、ステータとロータとが、それらのケーシング(電動モータケーシング)を含めて切断方向で下方に向かってかつ前方に向かって(移動方向で)工具支持部(例えば緊締支持部)の直径を越えて突出して延在しないように構成され得る。
【0017】
トルク伝達手段もしくはトルク変換手段は一切不要であるため、構成手間ひいてはコストが大幅に節減され得る。材料切断装置は、トルク伝達手段の省略により、より高い全体効率を有することができ、この場合、工具支持部による制限部を越えて切断深さが減少させられることはない。さらに電動モータは、工具支持部と共に共通の軸に配置され得るため、電動モータの質量全体により生ぜしめられる重力を、切断運転時に働く力に抗する反力として利用することができる。特に電動モータは、切断工具を下方に向かって、切断しようとする材料内に押圧する。
【0018】
ステータは、360°未満の角度にわたりロータを包囲している。これにより、モータのステータは、最早閉じられた回転部品としてもしくは閉じられたリングとして構成されていなくてよく、所定の角度範囲にわたってのみ延在していてよい。これに相応して、ステータは、ステータセグメントまたはステータブロックとして構成されていてよく、例えば270°以下、180°以下、120°以下または90°以下の角度にわたり延在していてよい。実地では、約180°の包囲が良好に適している、ということが判った。
【0019】
これに相応して、ロータの周囲に複数のステータセグメントもしくはステータブロックを分散させることも可能であり、これにより、モータの出力および特にモータのトルクを増大させることができる。
【0020】
この場合、ステータセグメントもしくは場合により複数のステータセグメントが延在する角度範囲は、ステータがいずれにしろ、利用可能な切断深さを損なわないように選択されている。特にステータは、切断箇所(切離し箇所)に向かって工具支持部の直径を越えずに延在している。
【0021】
ステータは、ステータが専ら境界面の一方の側だけに位置するように設定された角度にわたり延在していてよく、この場合、境界面は、工具支持部の外面に接するバーチャルの接線方向面として規定されている。
【0022】
これに相応して、境界面は、(特に工具支持部の下面の)外面に接線方向に接するバーチャル(仮想)の接線方向面として規定されていてよい。ステータは、利用可能な切断深さを減少させないようにするために、この境界面を越えずに延在することが望ましい。切断深さ(切離し深さ)は、むしろこの領域において工具支持部の直径によってのみ制限されていることが望ましい。電動モータの構成部品、つまりここでは特にステータは、工具支持部を越えずに切断箇所(切離し箇所)に向かって延在することが望ましい。
【0023】
1つの実施形態では、材料切断装置が規定通りの位置で直立している場合、境界面は、工具支持部の下面に接する接線方向面として規定されたバーチャルな水平面であってよい。この場合、材料切断装置は、例えば工具として働く切断ディスクが、そこで材料を切断するように実質的に下向きに延在するフロアソーであってよい。
【0024】
この場合、境界面は、ステータの下向きの輪郭を画定する。これに相応して、ステータは、境界面を越えて下方に向かって延在してはならないもしくはこの境界面を越えて下方に向かって突出してはならない。むしろステータは、専ら境界面の上側だけに配置されていることが望ましい。
【0025】
よって、ステータが下方に向かって延在してよい最下位レベルは、特に工具支持部の円筒状の外面により規定される。
【0026】
これに相応して、ステータに対する要求は、電動モータケーシングとして用いられかつステータを少なくとも部分的に包囲するケーシングにも、場合により当てはまる。
【0027】
工具支持部は、実質的に回転対称に形成されていてよく、この場合、工具支持部は、最大半径(緊締支持部半径)を有しており、材料切断装置が規定通りの作業位置で直立している場合、ステータは、下方に向かってかつ前方に向かって工具支持部の最大半径を越えずに延在している。この場合、規定通りの作業位置は、特に材料切断装置の構成形式に左右される。材料切断装置がフロアソーとして形成されている場合、主移動方向は、前方に向かう移動方向である。切断作用は、下向きに生ぜしめられる。
【0028】
材料切断装置は、車台と、車台を移動させる少なくとも1つの走行装置とを備えたフロアソー装置であってよく、この場合、電動モータと工具支持部とが、主移動方向に見て車台の前側の領域に配置されており、この場合、電動モータに電気エネルギを供給する電気エネルギ蓄え器が設けられている。
【0029】
走行装置は、例えば2つのローラを備えた1つの軸を有していてよい。この場合、走行装置を中心として車台を傾倒させることが可能である。ただし通常、走行装置は2つの軸を有しており、これらの軸は各2つのローラを有しているため、フロアソー装置全体は、4つのローラで移動可能である。さらに車台には、オペレータが材料切断装置を移動させることができるガイドハンドルが設けられていてもよい。
【0030】
電気エネルギ蓄え器の重心は、工具支持部の回転軸線の上側に配置されていてよい。これにより有利には、電気エネルギ蓄え器、例えば蓄電池の重量が、切断工具を下方に向かって、切断しようとする材料内に押圧する。これにより、切断運転時に切断工具の回転により生じる、頻繁に観察される上昇運動に抗して作用することができる。
【0031】
この場合、蓄電池の重心は、全体的に、車台のローラの回転軸線の上側の領域におけるよりも、モータ回転軸線(ひいては工具回転軸線)の垂直方向上側の領域により近く配置されていてよい。特に、この重心は切断工具の所望の押圧を達成するために、移動方向において最大限前方に配置されることが望ましい。
【0032】
1つの変化形では、電気エネルギ蓄え器の重心は、実質的に回転軸線の垂直方向上側に配置されていてよく、これにより、エネルギ蓄え器の重量が、切断ディスクを押圧するために可能な限り最良に作用する。
【0033】
電気エネルギ蓄え器を支持するために、蓄電池支持部が設けられていてよく、この場合、電気エネルギ蓄え器は、交換可能であってよい。この場合、蓄電池支持部は、エネルギ蓄え器を交換可能に支持しており、これにより、使用済みの蓄電池を極めて簡単かつ迅速に、新たな蓄電池と交換することができる。
【0034】
車台は、規定通りの作業位置に関して、電動モータおよび工具支持部の高さに下側の領域を有していてよく、この場合、車台は、下側の領域の上側に配置されておりかつ下側の領域から少なくとも400mmだけ離間された上側の領域を有していてもよい。下側の領域と上側の領域とは、電気エネルギ供給に必要とされる構成部品をフロアソー装置に適切に配置する可能性を開く。つまり例えば、蓄電池を下側の領域に配置し、変換装置を上側の領域に配置することができる。有意には、オペレータにより機械をガイドするためのガイドハンドルが、上側の領域に取り付けられていてもよい。
【0035】
これに相応して、上側の領域または下側の領域には、電気エネルギ蓄え器からの直流電流を、電動モータの運転に適した電流に変換するために、変換装置が設けられていてよい。
【0036】
以下に、本発明のこれらの利点と特徴および別の利点と特徴とを、添付の図面を用いて複数の例に基づき、より詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】フロアソーとしての本発明による材料切断装置を示す側面図である。
図2図1に示したフロアソーに使用される電動モータの部分拡大図である。
図3図1に示したフロアソーを下から見た図である。
図4図1に示したフロアソーを背面から見た図である。
図5図1に示したフロアソーの変化形を示す図である。
図6図5に示したフロアソーを下から見た図である。
図7図5に示したフロアソーを背面から見た図である。
図8】本発明による材料切断装置の別の実施形態としての丸鋸を示す概略図である。
【0038】
図1図4には、本発明による材料切断装置としてのフロアソーの第1の態様が示されている。
【0039】
フロアソーは、車台枠2と走行装置3とを備えた車台1を有している。走行装置3には、2つの前輪4と2つの後輪5とがそれぞれ設けられており、これらはそれぞれ車軸6に配置されている(図3)。
【0040】
車台1もしくは車台枠2の上側の領域にはガイドハンドル7が高さ方向に旋回可能に取り付けられており、ガイドハンドル7を介して、オペレータがフロアソーをガイドするもしくは押しずらすまたは移動させることができる。
【0041】
実施形態に応じて、走行装置3はカバーにより覆われていてよく、これにより、上面および側面は、例えば図1に示すように平滑である。
【0042】
車台1の上側の領域にはさらに、高さ調節手段8が設けられており、高さ調節手段8は、図示の例ではハンドルとして形成されており、このハンドルを用いてオペレータは切断装置9の、残りの車台1に対して相対的な降下を、それ自体周知の形式で調節することができる。
【0043】
切断装置9は、切断工具として働く切断ディスク10を有しており、切断ディスク10は、工具支持部として働く緊締支持部11に回転可能に保持されている。切断ディスク10は、必要な場合に交換され得、このために緊締支持部11は、簡単に開閉され得る。
【0044】
緊締支持部11に対して同軸的に、駆動装置として働く、ロータ13およびステータ14を備えた電動モータ12が設けられている。ロータ13のロータ軸15は、緊締支持部11まで延びているため、緊締支持部11は、ロータ13により直接に回転駆動され得る。
【0045】
従来の電気駆動装置の場合には、ステータ14がロータ13を完全に円環状に包囲していた。これに対して本発明による材料切断装置の場合には、電動モータ12がセグメントモータとして形成されており、この場合、ステータ14は、360°未満の制限された角度範囲にわたってのみ延在している。図1および-部分拡大図として-図2に示す例では、ステータは、ロータ13の周りの約180°の角度範囲(セグメント)にわたってのみ延在していることが認められる。
【0046】
ロータ13およびステータ14はさらに、ケーシング16により包囲されている。この場合、所定のセグメントにわたってのみ延在するステータ14の小さな構成サイズに基づき、ケーシング16は極めてコンパクトであってよい、ということが明らかに認められる。
【0047】
特に図2では、ステータ14は、下方に向かってロータ13よりも先には延びていないことが認められる。環状のステータを備えた従来の電動モータの場合、ステータは、ロータ13の下側にもかなりの構成空間を必要とした。これに対してこのことは、図1および図2に示す構成には当てはまらない。特に下方に対して、構成空間は、ロータ13の直径(および包囲しているケーシング16)に制限されている。より大きな構成空間が、下方に対して要求されることはない。
【0048】
(ケーシング16を含む)ロータ直径が、工具支持部もしくは緊締支持部11の直径よりも小さく、いずれにしろ大きくはない場合には、緊締支持部11の直径だけが、切断深さを制限する要因である。よって切断ディスク10は、切断しようとする材料内に極めて深く侵入することができる。侵入深さは、緊締支持部11の直径によってのみ制限される。電動モータ12の構成形式が、侵入深さもしくは切断深さの制限を必要とすることはない。
【0049】
この関連性は、図4にも示されている。そこでは背面図において緊締支持部11と電動モータ12とが相並んで認められる。特に、電動モータ12ひいてはケーシング16を含むステータ14は、工具支持部11の下面に接線方向に規定されかつ図平面に対して垂直に延びるバーチャルな水平面17を越えて下方に延びてはいない、ということが認められる。よって、電動モータ12が切断ディスク10の下方への可能な侵入深さを減少させることはない。
【0050】
車台1の下側の領域には、蓄電池18が電気エネルギ蓄え器として配置されている。蓄電池18は、対応する蓄電池支持部に特に交換可能に取り付けられていてよく、これにより蓄電池18は、必要な場合には新しい蓄電池18に迅速に交換され得る。
【0051】
車台1の上側の領域には、変換器19が配置されており、変換器19は、蓄電池18から受け取った直流を、電動モータ12に適した電流に変換するために用いられる。このことはとりわけ、電動モータ12がリラクタンスモータ、特にセグメント化されたステータを備えた同期リラクタンス機である場合に必要とされている。
【0052】
図5図7には、材料切断装置としてのフロアソーの1つの変化形が示されている。
【0053】
そこに示されたフロアソーは、実質的に、図1図4に示したフロアソーと合致する。ただし図示の例では、蓄電池18が不動に取り付けられている。さらに、変換器19も同様に、車台1の下側の領域に配置されている。
【0054】
これに対して電動モータ12の構成は、図1図4に示した構成と同じである。
【0055】
特に蓄電池18を、緊締支持部11および緊締支持部11に対して同軸的に配置されたロータ13の上側に配置することにより、フロアソーの運転中に蓄電池18の質量が、切断ディスク10を下方に向かって、切断しようとする材料内に押圧する。切断ディスク10自体は、切断ディスクの回転運動(図5における矢印方向)と、切断しようとする材料に対する摩擦とに基づき、上昇傾向を生ぜしめる。蓄電池18の重量および変換器19の重量も、この上昇運動に抗して作用する。
【0056】
図8には、材料切断装置の別の例として、丸鋸が概略図で示されている。
【0057】
丸鋸は、鋸台30を有しており、鋸台30には、切断工具として用いられる鋸ディスク31が、工具支持部(ディスク支持部、図示せず)により回転可能に保持されている。
【0058】
工具支持部は、工具支持部に対して同軸的に配置された、ロータ13およびステータ14を備えた電動モータにより直接に回転駆動される。
【0059】
この例でも、ステータ14はセグメント化されたステータ14として形成されており、360°未満の角度にわたりロータ13を包囲している。図8に示す例では、ステータ14は、図1および図2に示したステータと同様に、約180°の角度にわたり延在している。
【0060】
よってこの実施形態の場合も、工具支持部は鋸ディスク31と共に、1つのモータにより直接に同軸的に駆動され得、電動モータが利用可能な切断高さ(鋸台30の上側の鋸ディスク31の露出した領域)を損なうまたは減少させることはない、ということが保証されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】