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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010492
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ツーリングの匿名催行支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/14 20120101AFI20230113BHJP
【FI】
G06Q50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021133014
(22)【出願日】2021-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】516161024
【氏名又は名称】シミー合同会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 尉浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC26
(57)【要約】
【課題】ツーリングの企画および催行時に匿名で、かつユーザーの利便性を損なうことなく、少なくとも情報セキュリティ上の観点からより安全なツーリング催行機会の共有が可能な環境をユーザーに提供し、ツーリングの催行中およびその前後の期間において、日常生活上の不安要素となりにくい安全性を担保する。
【解決手段】匿名でツーリングの企画および同行を行えるインターネット上のコミュニティにて、訴訟等トラブルの際に相手方の特定に足る情報を一の個人と1対1で公的に対応付けられた記番号とともに対応付け、不正のなりすましを防止する。また、ツーリング同行のマッチングで、同行を拒否したい相手方および当該相手方と相識関係にある者との接触を確実に排除する。また、ツーリング参加者同士の情報共有を本システム管理者の管理下にある手段にて行い、情報の詐取を企図から未然に防止する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめユーザーとして登録されたライダー個人またはライダー個人の集合のツーリング催行または同行の意思表示と、同じく登録された他のライダー個人またはライダー個人の集合の催行または同行の意思表示とを結合させる目的でツーリング機会共有のマッチングを行う、ツーリングの匿名催行支援システムであって、少なくとも一方のユーザーからの、マッチングを望まない相手方のユーザーの特定により、当該マッチングの当時すでに当該マッチングを望まない相手方のユーザーに対応する一の個人には異なるユーザー登録が別個に対応付けられ、即ち当該特定したユーザー登録がすでに使われていない場合であっても、確実に当該特定した相手方のユーザーに対応付けられていた一の個人とのアンマッチング判定を直接かつ網羅的に行う手段を備えることを特徴とするもの。
【請求項2】
請求項1のツーリングの匿名催行支援システムであって、マッチングのための判定に係る双方のいずれかから、当該判定の他方の一の個人と相識関係にあると推定される第3の一の個人が、マッチングを望まない相手方のユーザーとして特定がなされているとき、またはマッチングのための判定に係る双方のいずれかと相識関係にあると推定される第3の一の個人から、当該マッチングのための判定の対象となる相手方に、マッチングを望まない相手方のユーザーとして特定がなされているとき、当該マッチングのアンマッチング判定を間接かつ保険的に行う手段を備えることを特徴とするもの。
【請求項3】
請求項1または2のツーリングの匿名催行支援システムであって、ユーザーまたはシステム管理者が催行するツーリングの企画を表明する手段と、少なくとも前記表明されたツーリング企画を一意に識別できる識別子を付与してツーリング企画データを作成する手段と、少なくとも企画したユーザー以外のユーザーに前記ツーリング企画データを認識させる手段と、前記認識に基づいて前記ツーリング企画への同行を希望する意思を表明する手段と、前記同行を希望する意思の表明により、あらかじめ登録または記録されたユーザー関連情報に基づくフィルタリングを経たマッチングがなされる手段と、前記マッチングの結果が少なくとも前記同行を希望するユーザーに通知される手段を、少なくとも備えることを特徴とするもの。
【請求項4】
請求項1または2のツーリングの匿名催行支援システムであって、あらかじめ登録または記録されたユーザーごとの関連情報に基づいたフィルタリングを経た予備的なマッチングがなされる手段と、前記予備的なマッチングの結果の対象となるユーザーに当該予備的なマッチングの結果が通知される手段と、少なくとも前記通知されたツーリング企画を一意に識別できる識別子を付与してツーリング企画データを作成する手段と、前記伝達による認識に基づいてユーザーが前記ツーリング企画への同行を希望する意思を表明する手段と、前記同行を希望する少なくとも2以上の意思の表明により、前記ツーリング企画催行のためのフィルタリングを経たマッチングがあらかじめ登録または記録されたユーザー関連情報に基づいてなされる手段と、前記マッチングの結果が少なくとも前記同行を希望するユーザーに通知される手段を、少なくとも備えることを特徴とするもの。
【請求項5】
請求項1または2のツーリングの匿名催行支援システムであって、ユーザーまたはシステム管理者が催行するツーリングの企画を表明する手段と、少なくとも前記表明されたツーリング企画を一意に識別できる識別子を付与してツーリング企画データを作成する手段と、前記作成されたツーリング企画データに基づき、あらかじめ登録または記録されたユーザー関連情報に基づいてフィルタリングを経たマッチングがなされる手段と、前記マッチングの結果が少なくとも前記マッチングによりマッチングされたユーザーに通知される手段と、前記通知による認識に基づいてユーザーが前記ツーリング企画への同行を希望する意思を表明する手段を、少なくとも備えることを特徴とするもの。
【請求項6】
請求項1または2に記載または3~5に記載のいずれか一のもしくは複数の組合せであるツーリングの匿名催行支援システムであって、前記マッチングがなされたユーザーが参加する、前記ツーリング企画に関する電磁的な情報共有の手段と、前記電磁的な情報共有の手段により入力された情報が前記ツーリング企画の催行の完了以後にも一定の期間にわたり保全される手段を備えることを特徴とするもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットにおいて個人または個人の集合のツーリング催行または同行の企図をマッチングさせる、ツーリングの匿名催行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ライダー個人または複数のライダーの集団がツーリングの同行者を探索するためには、当該ライダー個人等の既存の交友関係による、いわゆるオフラインでのつながりによるほか、匿名または実名のSNS等のいわゆるオンラインでのつながりを経由して行うことが一般的である。
【0003】
前記オンラインでの同行者を探索するにあたっては、同行者を募集するために、とりわけSNS上でツーリングへの同行者を募集する旨の意思表示の投稿をなすことにより、既知でない相手方との予定のマッチングを図ることが一般的に行われている。
【0004】
また、一部のSNSにおいては、ツーリング同行のための一団を形成することを目的の一部または全部に含むグループが形成されており、
当該グループへの参加にあたって一定の個人情報の提供が先行する場合と、SNS上の匿名状態のままに参加が許容されている場合と、グループへの参加はSNS上の匿名状態のままに承認されるが、実際にツーリングへの参加にあたって一定の個人情報の提供が必要となる場合とに、
大別されている現状がある。
【0005】
なお、例えばオートバイ等の趣味に特化した掲示板システムまたはウェブページ作成サービスおよびこれらの複合的サービス等においても、上記SNS上でのグループ形成に類する形態として、
随時にツーリング同行者を募集する書き込みを行えるもの、
および固定的なツーリング同行者を構成する目的を含むチームメンバーの募集等をなす情報を書き込めるなど、
インターネット上でのツーリング同行者募集の形態は、一般的に利用されている。
【0006】
上記いずれの類型においても、自己紹介等の儀礼を含む一定の個人情報の提供は、ツーリング催行機会の共有において同行時およびその前後の利便性のため、ならびに一定の信用情報としての役割が期待されうるものである。例えば、電話番号やメールアドレス等の連絡先情報は緊急時や同行前後の必要な直接連絡用として、また氏名やSNSアカウント名等の固有の呼称と住所または居所等の所在に関する情報を合わせることにより、事前のイベント保険や施設利用予約のための必要情報としての利便性が伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、事前に特定の個人情報が必要であると誤認させ、または当該特定の個人情報が本来の目的として必要であったことに留まらず、その前後において目的外の用に供される可能性がある。
【0008】
前記目的外の利用がなされるか否かは個人情報の提供を受けた者の意思のみに委ねられ、当該個人情報の提供者はいわゆる性善説に基づく信頼のみに依らざるを得ない。
【0009】
また、前記目的外利用が発生した事実を個人情報の提供者が知覚した場合においても、当該目的外利用の停止を求めたとて相手方の意思によっては当該目的外の利用が事実上解消されないことがある。
【0010】
上記の行為による被害の特徴としては、当該特定の個人情報の目的外利用が行われているか否かを判断することが難しく、心理的な負担および目的外利用の可能性が常に顕在化していることにある。
【0011】
一方で、一定の個人情報を提供しない場合においては、ツーリング催行後に必要な連絡が取れないことが悪用されうる。例えば、所持品を始めとする物品または情報の窃盗行為や、当事者の許諾を得ないままでの撮影による肖像権の侵害および社会通念上必要でない探索行為により自宅等の特定が行われる等のプライバシーの権利の侵害などである。
【0012】
上記の行為による被害の特徴としては、個人情報を知り得ない者同士の希薄な関係性であり、また相手方の具体的な特定が困難であるために、訴訟等の法的措置を講じることが困難となりやすく、刹那的な行動を助長する一因ともなりうることである。
【0013】
以上のように、見知らぬ者同士の関係性ゆえに起因する前記トラブルの類型は、個人情報の意図しない他者悪用または不知覚の知覚によってもたらされる。
【0014】
そこで、ツーリングの催行中のみならずその前後の期間において、日常生活上の不安要素となりにくい安全性を担保する方策が望まれている。
【0015】
したがって、本発明の目的は上記従来の問題点を解決し、ユーザーの手間を増やすことなく、かつ安全で容易な匿名でのツーリング催行機会の共有を実現し、またトラブルが発生した際には、被害者に対して速やかに訴訟の相手方の特定として機能しうる一定の個人情報の提供をなすことができ、当該情報の提供にあたっての適切な判断のための証拠能力を認定できる情報の保全を図るツーリングの匿名催行支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、ツーリングの企画および催行時に互いに個人情報の提供をすることなく、ユーザーの利便性を損なうことなく、少なくとも情報セキュリティ上の観点からより安全なツーリング催行機会の共有が可能な環境をユーザーに提供する。
【0017】
本発明のツーリングの匿名催行支援システムにおいて、訴訟および訴訟準備段階において相手方の特定に足る個人情報を、当該情報が少なくともその当時に真正であることを担保できる公的書類により確認し、当該公的書類に記載の記番号とともにユーザー登録の情報を管理するサーバーに格納し、
前記一の個人に対して、当該個人に同時には1対1で公的に対応付けられた記番号と前記ユーザー登録の記番号とを直接または間接に対応付ける手段 を備えることを特徴とする。
【0018】
前記一の個人に対して公的に対応付けられた記番号は、道路交通法に定める運転免許証番号 であることを特徴とする。
【0019】
請求項1の、ツーリング機会共有のマッチングがなされようとするとき、少なくとも一方のユーザーの、マッチングを望まない相手方登録ユーザーの特定により、当該マッチングの当時すでに当該マッチングを望まない相手方登録ユーザーに対応する一の個人には異なるユーザー登録が別個に対応付けられ、即ち当該特定したユーザー登録がすでに使われていない場合であっても、確実に当該特定した相手方のユーザーに対応付けられていた一の個人とのアンマッチングを行う手段は、当該複数のユーザー登録の関連情報について、当該各ユーザー登録の情報に含まれる、一の個人を特定できる記番号を介して、当該記番号または当該記番号と1対1で対応付けられた記番号を主キー値として、当該複数のユーザー登録の関連情報を一元的に取り扱うことを特徴とする。
【0020】
請求項1のアンマッチングを行う手段は、一の個人とユーザー登録が1対多で対応付けられるとき 、当該複数のユーザー登録および当該複数のユーザー登録に対応付けられる関連情報を当該一の個人に属するものとして随時に一元的な取り扱いを行う手段であって、前記一の個人に対して公的に対応付けられた記番号と前記ユーザー登録の例えばユーザーID等のレコードを一意に特定できる記番号とを直接または間接に対応付ける手段、即ち一の個人とユーザー登録を直接または間接に対応付ける手段のうち、一の個人と1つまたは複数のユーザー登録 が直接的に対応付けられるときは、当該ユーザー登録内の項目に前記運転免許証番号または前記運転免許証番号に1対1で対応付けられた記番号および従前の前記運転免許証番号または前記運転免許証番号に1対1で対応付けられた記番号が格納され、一の個人と1つまたは複数のユーザーIDが1対多で対応付けられるデータ構造を持つことを特徴とする。
【0021】
前記一の個人に対して公的に対応付けられた記番号と前記ユーザーIDの記番号とを直接または間接に対応付ける手段のうち、
一の個人と1つまたは複数のユーザーIDが間接的に対応付けられるときは、一の個人と単一の親IDが1対1で対応付けられ、かつ当該親IDまたは当該親IDと1対多で対応付けられる前記運転免許証番号と前記1つまたは複数のユーザーIDが1対1または1対多で対応付けられるデータ構造を持つことを特徴とする。
【0022】
請求項1のアンマッチング判定を行う手段は、前記一の個人に対応付けられた複数のユーザー登録の関連情報を一元的に取り扱う手段を用いて、
当該マッチングを行う対象のユーザーが対応付けられる一の個人に対応付けられる全てのユーザー登録の関連情報に格納される、当該個人がマッチングを望まないユーザーについて、当該任意の被マッチングユーザーが対応付けられる一の個人に対応付けられる全てのユーザーと突合しいずれかが一致した場合にアンマッチング判定を行うことを特徴とする。
【0023】
請求項2の、アンマッチング判定を行う手段は、
前記一の個人に対応付けられた複数のユーザー登録の関連情報を一元的に取り扱う手段を用いて、当該マッチングを行う対象のユーザーが対応付けられる一の個人に対応付けられる全てのユーザー登録の関連情報に格納される、即ち当該マッチングを行う対象の一の個人がマッチングを望まないユーザーについて、
マッチングの相手方のユーザーが対応付けられる一の個人に対応付けられる全てのユーザー登録の関連情報として登録または記録される、当該被マッチングの候補となる一の個人と相識関係が推定される第3の一の個人に関連付けられるいずれかのユーザーが含まれる場合、または当該マッチングを行う対象のいずれかのユーザーが対応付けられる一の個人と相識関係が推定される第3の一の個人に対応付けられる全てのユーザー登録の関連情報に格納される、即ち当該第3の一の個人がマッチングを望まないユーザーについて、当該マッチングの相手方のユーザーが対応付けられる一の個人に対応付けられる全てのユーザー登録のうちいずれかのユーザー登録が含まれる場合に、当該任意の被マッチングの候補ユーザーとのアンマッチング判定を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項2のユーザーの相識関係を推定する手段は、当該推定の基準があらかじめ明示的に設定される場合は、登録時の紹介関係、ツーリングの同行を目的に含む集団への所属を同じくする事実、マッチングを経た後に少なくとも当事者の一方が既知であったことが判明した記録またはその他登録もしくは記録から、条件分岐により静的かつ定量的に推定され、および/または当該推定の基準があらかじめ明示的に設定されない場合は、登録もしくは記録されるすべての情報から、AIプログラム等を用いた動的な類推によって定性的に推定されることを特徴とする。
【0025】
請求項3および5の、ユーザーが催行するツーリングの企画を表明する手段は、少なくとも当該企画の内容およびユーザーのユーザーIDを付し、電子メール、ウェブフォーム等の電磁的な通知によりシステム管理者に告知されることを特徴とする。
【0026】
請求項3~5の、少なくともツーリング企画を一意に識別できる識別子を付与してツーリング企画データを作成する手段は、ユーザーが催行するツーリング企画にあっては前記告知に基づいて生成された電磁的なデータを加工することにより生成され、システム管理者が催行を企図するツーリング企画 にあっては前記告知データと同等の企画データに追記されることにより生成され、いずれも当該企画データがデータベースサーバーに格納されることを特徴とする
【0027】
請求項3の、少なくとも企画したユーザー以外のユーザーに前記ツーリング企画データを認識させる手段は電磁的な通知により、電子メールもしくはショートメッセージの通知またはインターネットウェブサイトへの掲示もしくは当該通知を目的とするアプリケーションのプッシュ通知もしく当該アプリケーションでの表示により行われることを特徴とする。
【0028】
請求項3~5の、前記ツーリング企画への同行を希望する意思を表明する手段は、少なくとも当該同行を希望するツーリング企画を一意に特定できる情報および同行を希望するユーザーのユーザーIDを付し、電子メール、ウェブフォーム等の電磁的な通知によりシステム管理者に告知がなされることを特徴とする。
【0029】
請求項3、4の、ユーザーの同行を希望する意思の表明により、あらかじめ登録または記録されたユーザー関連情報に基づいてフィルタリングを経たマッチングがなされる手段は、少なくとも、当該同行を希望するユーザーと企画ユーザーおよびすでに同行が確定しているユーザーが存在する場合には当該ユーザーとの各々の間に同行を拒否したい旨の相手方の特定に関する登録もしくは記録が存在しないか否か、またはシステムが請求項2の特徴を備えるときには前記登録もしくは記録のほか、前記間接かつ保険的に作用するアンマッチング判定を行う手段による判定により、同行を拒否したい旨の相手方の特定に関する登録もしくは記録が存在しないか否かにより、マッチングがなされることを特徴とする。
【0030】
請求項4の、あらかじめ登録または記録されたユーザー関連情報に基づいてフィルタリングを経た予備的なマッチングがなされる手段は、
当該予備的なマッチングが少なくとも当該あらかじめ登録または記録されたユーザー関連情報相互の比較に基づき、任意の項目の共通性や類似性によりなされることを特徴とする。
【0031】
請求項5の、作成されたツーリング企画データの内容に基づき、あらかじめ登録または記録されたユーザー関連情報に基づいてフィルタリングを経たマッチングがなされる手段は、少なくとも、当該ツーリング企画を企画したユーザーが存在する場合には当該企画ユーザー、および同行のユーザーが存在する場合には当該同行ユーザーの各々に、同行を拒否したい旨の相手方の特定に関する登録もしくは記録が存在しないユーザー、またはシステムが請求項2の特徴を備えるときには前記登録もしくは記録のほか、前記間接かつ保険的に作用するアンマッチング判定を行う手段による判定により、同行を拒否したい旨の相手方の特定に関する登録もしくは記録が存在しないユーザーであって、当該同行の拒否の対象でないユーザーにあらかじめ登録または記録された関連情報が少なくとも当該ツーリング企画データの内容に反しないものであるか否かにより、マッチングがなされることを特徴とする。
【0032】
請求項3~5の、前記マッチングの結果がマッチングに関連するユーザーに通知される手段は電磁的な通知により、電子メールもしくはショートメッセージの通知またはインターネットウェブサイトへの掲示もしくは当該通知を目的とするアプリケーションのプッシュ通知もしく当該アプリケーションでの表示により行われることを特徴とする。
【0033】
請求項6の、前記マッチングがなされたユーザーが参加する、前記ツーリング企画に関する電磁的な情報共有の手段は、ユーザー間において匿名かつ少なくとも連絡先に関する情報が開示されない処理が施されたグループチャットシステムであることを特徴とする。
【0034】
請求項6の、前記電磁的な情報共有の手段により入力された情報が前記ツーリング企画の催行の完了以後にも一定の期間にわたり保全する手段は、少なくとも当該ツーリング催行に参加したユーザーが、記録したデータを改変できない状態 でサーバー内に格納されることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本システムにユーザー登録をしようとする一の個人が、住所、氏名、生年月日、メールアドレス等の連絡先などの情報および現に保有する運転免許証の運転免許証番号を登録し、当該登録する運転免許証番号が記載される運転免許証の写しとなる画像等を提示することにより本人確認を行い、ユーザーとして登録され、この段階で、少なくとも1つのユーザー登録が一の個人と対応付けられ、以後も確実に一の個人が特定される状態が継続する。
【0036】
当該対応付けがされるユーザー登録は、本システム内では当該ユーザー登録の配下に作成される子孫ユーザー登録を束ねるための起点たる親ユーザーとして取り扱われる。つまり、一の個人に対応する親ユーザー登録は常に1対1で存在する。
【0037】
前記にて登録された運転免許証番号が変更となった場合に、新規に別の親ユーザーは作成されず、従前の運転免許証番号の履歴がシステム内に保持されるデータ構造である。
【0038】
前記子孫ユーザー登録に関して、ユーザーが複数の子孫ユーザー登録を行う場合には、1つ目の子孫ユーザーから対応付けられる一の個人が特定できる場合には、現に存在する親ユーザーの配下の子孫ユーザーに並列して複数の子孫ユーザーが作成され、故意にまたは登録ユーザーの従前の登録の失念等により新規に親ユーザー登録がなされようとした場合には、当該登録時に示される運転免許証番号との合致から前記様の並列の登録が促され、故意にまたは登録ユーザーの従前の登録の失念等により、かつ従前の登録時と異なる運転免許証番号で新規に親ユーザー登録がなされようとした場合には、従前に登録した住所氏名および生年月日等の情報等ならびに運転免許証に記載の顔写真等の情報と新規に登録する当該情報等の類似性により随時に同一人物性を判定し、当該別の親ユーザーを無効とし、かつ前記様の並列の子孫ユーザー登録が促され、一の個人に互いに直接的または間接的に関連しない複数の親ユーザー登録がなされないことで、なりすましを抑止する。
【0039】
また、一の個人について複数の子孫ユーザー登録がなされる場合は、同時に一のユーザー登録のみが有効となる場合と、同時に複数のユーザー登録が有効となる場合が考えられるが、いずれの場合においても無効とされたユーザー登録は前記対応付けの保持のために 、削除されることなく保存される。
【0040】
これにより、継続的に任意のユーザー登録から一の個人を特定し、かつ当該一の個人と対応付けられる他のユーザー登録を一元的に取り扱える。
【0041】
前記対応付けにより、運転免許証番号と一の個人が1対1で対応付けられ、親ユーザー登録として本システムの運用に供される。
【0042】
前記親ユーザー登録には、一の個人と1対1で対応付けられる本人確認に関する情報が格納される。
【0043】
前記登録された、運転免許証番号と対応付けられた親ユーザー登録は、さらに子ユーザーと1対多で対応付けられる。
【0044】
前記当該親ユーザーと前記子ユーザーとの対応付けは、親ユーザーID等の一意に識別できる値であればよく、必ずしも本人確認のために用いた運転免許証番号等でなくともよい。
【0045】
前記子ユーザーとの対応付けに運転免許証番号を直接的に用いないことのメリットは、当該一の個人が本人確認に用いた運転免許証を失効した後に再取得し、同一の親ユーザー登録を継続したい場合に運転免許証番号の項目を書き換えなくてよいことである。
【0046】
なお、いったん一の個人と運転免許証番号が対応付けられれば、その後に前記様に運転免許証番号が変更されたとしても通常の運用上の問題は発生せず、訴訟時または訴訟準備段階において当該一の個人を特定する情報の提供がされる場合であっても、本システム内に格納された対応付けの情報と公的機関への照会情報等が適宜に組み合わされることで、およそその時点の一の個人を特定でき、非常時に任意のユーザー登録情報から一の個人の特定を確実に行うための情報を照会する目的は達成されうる。
【0047】
当該複数の子ユーザー登録がなされたとき、同時にはいずれか1つの子ユーザー登録が有効なものとして取り扱われ、他の登録ユーザーからは事実上一の個人として同一視されて認識できる。これにより安全に同時に複数の子ユーザー登録を許容しうる。
【0048】
また、例えばユーザー登録をした一の個人が所有するオートバイの車体ごとに一孫ユーザー登録をなし、より上位の階層に存在し、かつ当該孫ユーザー登録と対応付けられた子ユーザー登録が一の個人と対応付けられた親ユーザー登録と対応付けられる形態が考えられるが、当該場合には一の個人と対応付けられる複数の前記親ユーザー相当のユーザー登録が最上位の階層に作成され、当該任意の親ユーザー相当のユーザー登録ごとに独立して子ユーザー登録が作成されるほか、前記データの親子関係と同様の構造が、前記様に最上位の階層ではなく、より下位の階層に作成されることも、当然に許容されうる。
【0049】
前記様に、本システムにおいては、ユーザー登録情報のデータの対応付けの構造による取りまとめのみならず、運用上で検索または参照により、一の個人と対応付けられるユーザー登録を、システム内で相互に、随時かつ一意に特定できることが本質である。
【0050】
なお、運転免許証の制度上の制約で、なりすましが可能となる場合が考えられる。
【0051】
(1)ユーザー登録の後に運転免許証が取り消され
(2)再取得の前に転居、改姓および改名が重なり
(3)再取得後に別の運転免許証番号にてユーザー登録を行う
前記の全てを当該番号順で満たす場合には、同一の一の個人であると特定するための個人情報が極めて少なくなり、本システムの機能上、従前に異なる免許証番号にて本システムに登録があったことを偽る悪意のなりすましを完全に防止することはできないが、当該場合は意図的に行われることは考えにくいことから、本システムでは可能性の認識に留めている。
【0052】
前記様にユーザー登録を経た登録ユーザーには、おおむね以下の3類型により、匿名でツーリング企画参加のためのマッチングがなされる。
(1)同行希望に基づいたマッチング
(2)登録情報に基づいたマッチング
(3)企画の内容に基づいたマッチング
【0053】
(1)同行希望に基づいたマッチングは、任意のツーリング企画に対してユーザーが同行を希望する場合に、当該ユーザーが同行の意思を表明する。当該表明は本システム内で行われれば管理者あて、企画者あて、または双方に表明される形式でもよい。
【0054】
前記同行を希望する意志の表明により、ツーリング企画者およびすでに同行が決定しているユーザーがあるときは当該ユーザーとのマッチング判定処理が行われる。
【0055】
前記マッチング判定処理は、当該同行を希望するユーザーの登録情報が、少なくとも当該参加を希望するツーリング企画が求めている要件に合致しないものでないことが確認され、および企画者並びにすでに同行が決定しているユーザーがあるときは当該ユーザーとの間に同行を拒否する旨の直接および/または間接の特定がなされていないことが確認され、前記いずれにも合致しないことが確認されたとき、マッチングが成立しうる最低限の要件を備える。
【0056】
なお、前記企画が求めている要件に合致しないとは、例えば大型二輪車に限った同行の希望を求めている企画に対して中型二輪車での同行を希望する等、あらかじめユーザーが登録した属性に基づく合致による判断が想定される。
【0057】
前記マッチング判定がなされると、マッチングの成否について、関係する者に通知がなされ、マッチングが成立した場合には前記同行を希望するユーザーは参加するツーリング企画の情報共有を行うためのチャットシステム等に参加する。
【0058】
(2)登録情報に基づいたマッチングは、管理者等が登録ユーザーの情報、例えば居住地域、車種またはツーリングの催行が可能な日時等のユーザーの属性に関する情報の類似性に基づいてマッチング判定が行われる。
【0059】
前記マッチングは予備的なものであり、さらに参加を希望する者同士およびすでに参加が決定しているユーザーがあるときは当該ユーザーとの間に、少なくとも同行を拒否する旨の直接または間接の特定がなされていないことが確認されたとき、マッチングが成立しうる最低限の要件を備える。
【0060】
前記マッチング判定がなされると、マッチングの成否について、少なくとも対象者に通知がなされ、前記同行を希望するユーザーは参加するツーリング企画の情報共有を行うためのチャットシステムに参加する。
【0061】
(3)企画の内容に基づいたマッチングは、ユーザーまたは管理者が作成したツーリング企画の内容に基づいて、登録ユーザーの情報、例えば居住地域、車種またはツーリングの催行が可能な日時等のユーザーの属性に関する情報の類似性に基づいたマッチング判定が行われる。
【0062】
前記マッチングは予備的なものであり、マッチングの可能性を通知されたユーザーが当該企画への同行を希望する意思を表明することにより、前記同行希望に基づいたマッチングと同様のマッチング判定が行われる。
【0063】
前記マッチング判定がなされると、マッチングの成否について、少なくとも対象者に通知がなされ、前記同行を希望するユーザーは参加するツーリング企画の情報共有を行うためのチャットシステム等に参加する。
【0064】
前記マッチングにおけるアンマッチング判定は、マッチング対象のユーザー双方および各々と相識関係にあると推定されるユーザーが、システム内において他の特定のユーザーとの同行を拒否する旨の登録をしている場合に、ユーザーが望まないマッチングを避けるためのフィルタリングとして行われる。
【0065】
本システムのマッチング過程のうち請求項1のアンマッチング処理は、当該同行を望まないとして特定したユーザーと対応付けられる一の個人との同行の拒否であることから、当該一の個人と対応付けられる全てのユーザー登録が連鎖的に拡張され、アンマッチング判定の対象となる。
【0066】
前記の拡張により、例えばすでに当該同行を望まないユーザー登録が無効となり、かつ当該無効となったユーザー登録に対応付けられていた一の個人が異なる登録ユーザーとしてシステム内に存在していた場合にも、当該対応付けられていた一の個人とのマッチングを確実に排除する。
【0067】
なお、前記排除は、同行を拒否する旨の特定がなされたユーザー登録に対応付けられる当該一の個人が同時に並行して複数の子孫ユーザー登録を持ちシステム内に存在する場合にも、同様に確実な一の個人の拒否が行える。
【0068】
また、前記の拡張は一の個人とユーザー登録が1対多で対応付けられる登録の形態である場合には、単に任意の登録ユーザーを拒否の対象として指定するのみでは、同行を避けたいにも関わらず、システム上は別の登録ユーザーとして同一の一の個人がマッチングされてしまうことへの対応である。
【0069】
この他、請求項2では前記拡張したアンマッチング判定と並行することで、同行を避けたい相手方とのマッチングのみならず、当該相手方が属する相識関係のネットワークからも遮断されるほか、自分自身の相識関係のネットワークに当該相手方が接触することをも回避できる。
【0070】
前記回避を相識関係にある者との接触にまでさらに拡張することのメリットとしては、過去に当該相手方と何らかのトラブルが発生した場合などには、間接的な接点をも断つことが身の安全を高めることにある。
【0071】
匿名のツーリング催行である以上、マッチングされる相手方の直接の知人であるかどうかは通常は判別できず、また判別できないこと自体が疑心暗鬼を生み、企画および参加に対しての不安材料として、ユーザーの心理的負担となりうる。そこで、間接的な接触をも断つことが担保されることで、不都合のある相手方との間接的な接触を気にすることなく、引き続き安心してシステム内に留まれる一助となる。
【0072】
前記接触の回避は、互いの直接の相識関係にある者との接触を防ぐことで、お互いのネットワークに意図せず立ち入ることを防ぐ目的である。
【0073】
前記間接かつ保険的なアンマッチング判定による排除については、ユーザー自身がマッチングの相手方と相識関係にある第3のユーザーとの接触を拒否しているときは、当該ユーザー自身が接触を望まない可能性が推定される相識関係のネットワークに飛び込まないための、およびマッチングの相手方と相識関係にある第3のユーザーがユーザー自身との接触を拒否しているときは、当該ユーザー自身が相手方ユーザーの相識関係のネットワークに接触を望まない可能性が推定される者として飛び込まないためのアンマッチングである。
【0074】
本システムのアンマッチング判定では、任意のユーザーと相識関係にあるユーザーの推定が行われる。
【0075】
前記相識関係の推定にあたっては、あらかじめ定量的な推定のために設定される条件分岐として、
(1)登録時の紹介関係
(2)ツーリングの同行を目的に含む集団への所属を同じくする事実
(3)マッチングを経た後に少なくとも当事者の一方が既知であったことが判明した申告等の登録または記録が用いられるほか、AIプログラム等を用いて動的な類推が行われ、定性的な推定がなされる。
【0076】
前記相識関係を想起する情報から、任意の登録ユーザーを起点としたシステム内の1次のネットワークを推定する。
【0077】
前記1次のネットワークの連鎖より2次以上のネットワークを、同じく相識関係が推定された相手方の重複より前記ネットワーク相互の質的な推定を行う。
【0078】
前記アンマッチング判定の段階を経てツーリング企画参加者相互のマッチングがなされ、ツーリング企画の催行が決定する。
【0079】
催行が決定すると、参加が決定したユーザーは管理者によって情報共有手段であるチャットシステム等のメンバーに追加され、参加者相互で企画催行のためのコミュニケーションをとれる状態になる。
【0080】
なお、当該チャットシステムはツーリング企画毎に専用で個別の環境が新設される。当該形態とすることにより都度の企画のみの情報交換が主体となり、当該対象の企画に関係しないユーザーへ情報が漏洩しにくい状況を確保できる他、複数回の企画で同一の組み合わせとなる場合でも同様であるため、安全な匿名環境でのツーリング企画の催行という目的に沿った利便性を確保しつつ、本システムの利用を含めた日常生活での必要なプライバシーが守られる。
【0081】
前記情報共有の手段は匿名で利用でき、かつ管理者の管理下にあるチャットシステムないしメッセンジャーシステム等であって、情報の送受信の相手方の特定には、メールアドレスまたは電話番号等の実生活における個人情報を用いないものにより行われる。
【0082】
当該手段を用いることによる、管理者が特定の個人を実名で認識した状態でありながら、ユーザー同士は互いに特定の個人を認識せずにコミュニケーションを取れる点が特徴である。
【0083】
ユーザー間では対象のツーリング企画の前中後の期間にわたって、当該各個人が参加する対象のツーリングの事務連絡を、継続的にとることができる。
【0084】
もちろん、ツーリング中にあっては口頭のコミュニケーションも不都合なくなされるため、ツーリング本来の楽しみが減少するものではない。
【0085】
前記情報共有手段をシステム管理者が一括して用意する意義は、ユーザーの不正が入り込む余地を極力無くすことである。
【0086】
見知らぬ者同士が会合する際、確実に連絡を取り合うには、何らかの個人情報の提供が必要となり、同時に当該個人情報の提供は提供を受けた者が不正を働く足がかりともなりうる。
【0087】
そこで、管理者がツーリング企画に参加する当事者に対して、あらかじめ情報共有の環境を提供し、当該ツーリングに参加する各ユーザーを当該情報共有の環境内に置くことで、当該参加するユーザー同士は互いの、連絡先を含めた個人情報を一切伝えることなく、当該ツーリングに関する情報共有をなすことができる。
【0088】
自己の参加するツーリング企画同行者に対し自ら個人情報を開示しない限りユーザーの個人情報がツーリングの同行者に知覚されることなく、かつツーリング同行に必要なコミュニケーションを取ることができるので、ツーリングの催行に必要な情報の伝達および聴取からなるコミュニケーションを過不足なく行うことが可能である。これより、本来の目的であるツーリングの催行に、その前中後を問わず支障をきたすことがない。
【0089】
一括した確実な情報共有の環境の提供を標準とすることで、少なくとも当該情報共有手段以外での連絡は、企画中の口頭によるコミュニケーションを除けば全て不必要である前提に立つことができ、個人情報の安易な悪用から免れ心理的な負担が軽減されるほか、同行中の不正な誘引そのものが抑止されるため安全である。
【0090】
前記に加え、ツーリング催行中には当該情報共有の環境を利用する以外のコミュニケーションとしての情報交換が発生するが、当該情報交換の中で不審であると感じる状況があれば、当該不審である旨を、念のため管理者に伝達する等の予防的措置を講じることも、当事者たるユーザーと同じく相手方との直接的な接点を持つ管理者との連絡が可能である本システムの特徴である。
【0091】
また、参加したツーリング散会後にもユーザー相互で予備的な連絡を取り合うことが可能であるが、前記情報共有手段がツーリングの催行後にも保全されることで、不正の目的で連絡先等の個人情報を取得する行為は最後まで抑止され安全である。
【0092】
なお、当該情報共有手段により記録された情報は、ユーザー各々にとっても直接的に有益なものとなりうる。
【0093】
例えば、ツーリングの催行後に、相手方のコミュニケーションが適切であったかどうかの評価を設ければ、記録および記憶と照らし合わせ、自分自身の振る舞いが誤解を招くようなものであったか否かの振り返りを行うことができ、次回以降のツーリング参加時の振る舞いの参考としうる土台となる。
【0094】
ツーリングに参加する機会がユーザー各人にとって有意義な時間であることを担保するためには、コミュニケーション上必要な個人に関する情報の提供は不可欠でもある。
【0095】
問題となりうるのは、前記の情報提供が良かれと思ってなされるうちに相手方にとっては望まない情報提供であることによる心理的な負担の誘発をし、また自分の意図しないかつ望まない類推が形成されうることであり、即ち前記問題点を解消するためにも、コミュニケーションの記録が保全されることが、継続して適切な匿名コミュニケーションのあり方を考えることができる一助となる。
【0096】
前記のトラブルおよびトラブルを惹起しうる事象の発生を未然に防止または抑止するために、ツーリングの企画およびマッチングの段階より以下の配慮がなされる。
【0097】
企画の段階では、当該企画されたツーリングの催行内容として開催の日時、目的、集散場所、人数、参加条件およびその他必要な事項が公開されるが、集散場所とりわけ集合場所については、企画者によって具体的な地点の企図がなされていても、ツーリング企画の詳細な集合場所は公開されず、参加が決定した後に伝達される。これにより当事者以外の場所の絞り込みを抑制し、安全かつ平穏な催行を期する。
【0098】
ツーリング企画の催行の前中後において、マッチングされた以外の人物の参加は許容されない。これにより偶然を装う等で現地に直接に集合し、流れで同行をなす等による他者への威嚇行為の発生を抑止し、安全かつ平穏な催行を期する。
【0099】
マッチングの結果、相互がユーザー登録の存在を知覚せず、かつ現実の相識関係にある2者以上がマッチングされることは避けられないが、その都度に聞き取り等を実施することにより、運用を重ねるにつれ当該相識関係の推定の精度は漸次に向上する。
【0100】
前記の場合においては不正の企図がなされる可能性は低いと考えられ、また前記様に参加者いずれかの申告により以後は相識関係にある者として登録または記録がなされ、以後に同一の事象の発生がその都度消し込まれ、安全かつ平穏な催行を期する。
【0101】
ツーリング企画の催行時におけるトラブルの発生時には、状況に応じ当事者の判断により管理者との直接の連絡および情報共有手段での情報の追記を行え、ユーザーの意思による積極的な情報の保全を容易にする。
【0102】
また、平時の利用においては前記情報共有の手段による以外のコミュニケーション手段に誘引しようとする行為そのものが不正の企図であるとみなしても事実上差し支えない。
【0103】
また、いわゆるレジャー保険等への加入と称して住所氏名等を、または緊急連絡用として携帯電話番号またはメールアドレスその他の連絡先等を聴取することを未然に抑止し、または当事者間の危機管理意識を高める効果を見込め、安全かつ平穏な催行を期する。
【0104】
ツーリング催行後のトラブルとして、ツーリング企画の催行時に不正が行われ発覚し、または事後に新たに何らかの不正が行われることが考えうる。
【0105】
ツーリング企画の催行後には、ツーリング企画の催行前中において相手方に取得された情報の不正な利用により、トラブルが発生しうる。
【0106】
例えば許諾されないままの画像の撮影、公開等の対象者が意図しない利用およびその他の個人情報の盗み見等による不正な取得ならびにその利用等である。
【0107】
そこで、個人情報の不必要な取得および意図しない公開ならびに利用に関して、
(1)SNS等への投稿等対象者の意図しない暴露
(2)つきまとい行為および当該行為の準備のための調査行為を意図した接近および再接近等の明らかな不法行為のほか、前記(1)について、あらかじめ各ユーザーは意図しない撮影および/または拡散を望まない旨を企画の募集または参加時に明示することで、ツーリング企画を催行する集団の意思統一を明確にし、前記(2)について、ツーリング催行に必要のない他者の情報の取得および/または自己の情報の開示を明示的に、あらかじめ許諾のある場合または非常時である等一部の例外を除き禁忌とすることで、結果的に不正の起点ともなりうる情報交換そのものを抑制し、催行後の安全かつ平穏な社会生活の継続を期する。
【0108】
なお前記様トラブルがツーリング催行後に発覚した際には、各当事者に対してはシステム管理者を経由して確実に連絡が可能であり、必要に応じた対応を求めることができ、または法的措置を講じるための相手先の特定に寄与することができ、即ち当該運用形態であることで前記不正な個人情報の利用について、包括的に一定の抑止効果を見込める。
【0109】
直接の連絡手段が存在しないことにより、連絡手段の調査をも困難とし、万一のトラブルの発生を未然に防止することが可能となる。
【0110】
また、ユーザーまたはトラブル事案の個別の事情をふまえ、再度のトラブルおよび今後の利用にあたっての心理的不安たる要素の払拭を目的に、少なくともシステム内での接点を将来に向かって排除する必要性が生じる場合がある。
【0111】
ユーザーが任意に個人として講じる防御措置として、システムの利用を停止しまたは退会する措置が考えうるが、システムの利用を継続しながら、ユーザーが意識することなく接点が確実に排除されるため、結果としてユーザーの利用満足度はより高いものになり、安心して継続的なシステムの利用を行える。
【0112】
個人情報の開示なくツーリングへの同行が実現することによって、同行する当事者のうち少なくとも一人が、相性の不一致等個人の事由により今後の同行を控えたい場合には、同行後に以後のマッチングを行わないことを希望する相手方をシステムの同行拒否リストサーバに登録することができ、以後のマッチングは企画側および同行希望側のいずれの立場においてもなされなくなる。
【0113】
本システムでは、ユーザーは任意の他者のユーザー登録を特定するのみで当該他者のユーザー登録に対応付けられる一の個人に対して別個に対応付けられる複数のユーザー登録にも当該拒否の効力が及ぶため、システム内で同一人物が別のユーザー登録を持つ場合でも、拒否したはずである一の個人との再度の接触を確実に排除しうるため、匿名のマッチングでありながらも、同行拒否リストの機能が損なわれない。
【0114】
前記相手方ユーザーの自己のネットワークからの排除の他、自己の任意の子孫ユーザー登録を新たにし、かつ従前のネットワークおよび拒否指定等を引き継ぎ、システム上は別の人格としてふるまうことが単独または前記自己のネットワークからの任意のユーザーの排除との併用される措置として許容される。
【0115】
これらの遮断措置は、前者は被害側と加害側との直接的な接点を遮断することで以後のマッチング経由での接触を回避し、また後者は被害側ユーザーが加害側を含めた他ユーザーから不可視または退会扱いでの可視となることで間接的に加害側とのシステム内での接触を回避する。
【0116】
さらに、前記とは逆に、ツーリング同行を経た後に双方が相性として問題がないと感じれば、本システムを通じてその意思を伝達することができるため、匿名のマッチング環境でありながら事実上の指名をマッチングの要素に含むことも可能である。この場合には、指名の相手方の承認をもって当該指名によるツーリング同行のマッチングが再度行われる。
【0117】
前記を繰り返すことにより継続的なツーリングの同行を望む場合において、本システムを通じたマッチングを行うことにより、個人情報を開示しない状態での関係性を継続することが可能である他、前記の指名によるマッチングを経た後に、あらためて直接の連絡等に必要な個人情報を段階的に開示することで、情報セキュリティ上より安全な状態を保持したまま、本システム外においても直接のツーリング同行者となりうる相手方との関係性の構築を保つことができる。
【発明の効果】
【0118】
ツーリングへの同行時に発生しうる不用意な個人情報の漏洩を未然に防止する手段の提供により、情報セキュリティ上のトラブルおよび当該トラブルの原因となりうる事案の発生を抑止し、犯罪および予期しない精神的負担の発生のリスクを高めることなく、ツーリング同行者の効率的なマッチングによる確実なツーリング催行という本来目的の達成に支障をきたさない。
【0119】
これにより、ツーリングの匿名催行支援システム内で見知らぬ者同士が安全かつ気軽にツーリング催行の機会を共有することができ、対面を伴う現実の社会生活において適度な匿名性を保ちつつ、催行機会の共有に伴う代償的要素が極めて少ない状態をツーリングの前後を比較して維持することができ、もって社会的により適切なコミュニティの形成および維持につながる。
【産業利用上の可能性】
【0120】
本システムによるツーリング催行中および当該ツーリング催行前後において社会的安全性を確保できる環境の提供は、対面と非対面が社会通念上適切に共存することを構造的に促しうるものであり、もって地域社会での不必要な個人情報の漏洩を著しく減少させ、結果として、本システム利用者のQOLを高めるとともに、心置きなく日常生活を送るための潜在的保証の一端を担うものである。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1】 本システムのユーザー登録の概念図である。
図2】 請求項1のアンマッチング判定の概念図である。
図3】 請求項2のアンマッチング判定の概念図である。
図4】 請求項3の、現に企図されたツーリング企画に対して他のユーザーが同好の意思を表明する類型の、請求項6の情報共有の手段との関連を示したフロー図である。
図5】 請求項4の、ユーザーの登録情報の類似性から該当ユーザーに企画への参加を提案する類型の、請求項6の情報共有の手段との関連を示したフロー図である。
図6】 請求項5の、現に企図されたツーリング企画の要件に該当するユーザーに企画への参加を提案する類型の、請求項6の情報共有の手段との関連を示したフロー図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6