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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104968
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】降雪装置、人工気象室及び降雪方法
(51)【国際特許分類】
   F25C 3/04 20060101AFI20230721BHJP
   G01N 17/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
F25C3/04
G01N17/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081037
(22)【出願日】2023-05-16
(62)【分割の表示】P 2020019917の分割
【原出願日】2020-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019154603
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】榎 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田村 航士
(72)【発明者】
【氏名】坂根 浩喜
(57)【要約】
【課題】造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得る。
【解決手段】降雪装置10は、雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部14と、蓄雪部14に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせる降雪部20と、を備えている。蓄雪部14は、造雪機能を有するタンク22と、タンク22内において雪を伴った空気を流動させる送風機28と、を含む。送風機28の作動により、タンク22内において、雪を伴った空気がタンク22の内面に沿って周回するように流動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がる循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記循環路は、前記造雪機能を有する造雪部位に空気を流入させる風路と、前記蓄雪機能を有する蓄雪部位に空気を流入させる風路とを含む降雪装置。
【請求項2】
請求項1に記載された降雪装置において、
前記造雪部位に空気を流入させる風路は、前記蓄雪部位に空気を流入させる風路から分岐している降雪装置。
【請求項3】
請求項1に記載された降雪装置において、
前記造雪部位に空気を流入させる風路は、前記蓄雪部位に空気を流入させる風路から独立した第2の循環路である降雪装置。
【請求項4】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がる循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪部は、造雪しながら雪を伴った空気を循環させる状態と、造雪することなく雪を伴った空気を循環させる状態とを取り得る降雪装置。
【請求項5】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、
前記蓄雪部から前記降雪部への雪の供給量を調整する調節部を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がる循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記調節部は、前記循環路を流れる雪を伴った空気のうち、前記降雪部に導入する空気の量と前記タンクに戻る空気の流量を調節するものである降雪装置。
【請求項6】
前記降雪部に導入された雪に水を噴霧するノズルを有し、
前記導入された雪に水を噴霧するノズルから水を噴霧することにより雪の含水率を調整する、請求項5に記載の降雪装置。
【請求項7】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がる循環路と、前記タンク内に配置され水を噴射するノズルと、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記タンク内は、前記ノズルを境にして上側が前記造雪機能を有する造雪部位となり、下側が前記蓄雪機能を有する蓄雪部位となる降雪装置。
【請求項8】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がる循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記循環路は、前記タンク内の空気を前記タンクの上部から吸入して前記タンクの側方から前記タンクに空気を戻すものであり、
前記タンクには、ダンパが配置され且つ前記降雪部に雪を導く供給路が接続されており、
前記タンクの側方から戻る空気の流れによって前記タンク内で空気を流動させて、前記蓄雪機能を機能させ、成長して前記タンクの下部に溜まった雪が前記ダンパの開放時に前記供給路に導入される降雪装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記送風機の作動により、前記タンク内において、雪を伴った空気が前記タンクの内面に沿って周回するように流動する降雪装置。
【請求項10】
請求項1から4、7、8の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記蓄雪部から前記降雪部への雪の供給量を調整する調節部を備えている降雪装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記蓄雪部を振動させる励振部を備えている降雪装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1項に記載された降雪装置と、
供試体を配置する空間を有する試験室と、を備え、
前記降雪装置は、前記試験室内で雪を降らせるか又は供試体に雪を供給する、人工気象室。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載された降雪装置を用いる降雪方法であって、
前記降雪装置の前記蓄雪部内において雪を生成し、
前記蓄雪部内において、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜め、
前記蓄雪部内の雪を前記降雪部に導入し、
前記降雪部によって雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雪装置、人工気象室及び降雪方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び下記特許文献2に開示されているように、人工的に雪を降らせるための降雪装置が知られている。例えば特許文献1に開示されている降雪装置は、製氷機が配置された製氷室と、製氷室で作られた氷を低温環境下で砕き氷粒化する低温室と、を備えている。氷粒化した人工雪は風洞に向けて圧送される。一方、特許文献2に開示された降雪装置では、氷晶発生機構と、氷晶発生機構で発生した氷晶を集める集合室と、霧を発生させる液噴霧機構と、低温の超音波場を形成する超音波浮揚機構とを備えている。この装置では、超音波場で霧及び氷晶が浮揚している最中に雪片となり、雪片を自然落下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5843240号公報
【特許文献2】特公平6-63686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示された降雪装置では、雪を作りながら順次降らせる構成となっている。このため、降雪量又は雪の供給量は、造雪能力によって制限される。つまり、造雪能力以上の降雪量を得ることはできない。
【0005】
本発明の目的は、造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る降雪装置は、雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備えている。
【0007】
本発明の他の一局面に係る人工気象室は、前記降雪装置と、供試体を配置する空間を有する試験室と、を備え、前記降雪装置は、前記試験室内で雪を降らせるか又は供試体に雪を供給する。
【0008】
本発明の他の一局面に係る降雪方法は、前記降雪装置を用いる降雪方法であって、前記降雪装置の前記蓄雪部内において雪を生成し、前記蓄雪部内において、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜め、前記蓄雪部内の雪を降雪部に導入し、前記降雪部によって雪を降らせるか又は供試体に供給する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る降雪装置を概略的に示す図である。
図2】タンクに対する循環路の接続位置を示す図である。
図3】第1実施形態の変形例に係る降雪装置を概略的に示す図である。
図4】第2実施形態に係る降雪装置を概略的に示す図である。
図5】第3実施形態に係る降雪装置を概略的に示す図である。
図6】第4実施形態に係る降雪装置を概略的に示す図である。
図7】第5実施形態に係る降雪装置を概略的に示す図である。
図8】第6実施形態に係る人工気象室を概略的に示す図である。
図9】第6実施形態の変形例に係る人工気象室を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る降雪装置10は、人工的に雪を生成して、生成された雪を降らせる装置である。降雪装置10は、氷晶生成部12と、蓄雪部14と、調節部18と、降雪部20と、を備えている。
【0013】
氷晶生成部12は、雪を成長させるための核となる氷晶を生成するように構成されている。氷晶は、超音波加湿器等からなる図略の加湿器によって生成された微細な水滴を凍らせることによって作られる。氷晶生成部12は、微細な水滴が噴霧される低温の空間を有する。この空間内は、例えば-40℃以下の温度に調整されている。したがって、氷晶生成部12では、霧状の微細な水滴が凍って氷晶が生成される。氷晶は、自然落下しないで空気中に浮遊する程度の大きさの氷粒である。氷晶生成部12で生成された氷晶は、配管を通して蓄雪部14の後述するタンク22内に導入される。
【0014】
蓄雪部14は、雪を生成するとともに、生成された雪が固まらないように溜めておく部位であり、タンク22と、両端部がタンク22に接続された循環路24と、循環路24から分岐する接続路26と、を有している。タンク22は、設定された試験時間等の所定時間で降らせる雪を一時に溜めることができる大きさに形成されている。
【0015】
循環路24は、一端部がタンク22の底部(下部)に接続され、他端部はタンク22の側部に接続されている。循環路24には送風機28が配置されている。送風機28が作動することにより、タンク22内の空気がタンク22の底部から吸引される。循環路24を流れた空気は、タンク22の側部からタンク22内に吹き出される。すなわち、循環路24において、タンク22の底部に接続された端部は吸入端となり、タンク22の側部に接続された端部は吹き出し端となる。
【0016】
接続路26は、一端部が循環路24における送風機28の下流側の部位に接続され、他端部がタンク22の天井部に接続されている。接続路26には、循環路24を流れる雪を伴った空気の一部が流入する。接続路26の他端部が天井部における中央部に接続されているので、接続路26からタンク22内に吹き出された雪はタンク22の内壁面に付着しにくい。
【0017】
接続路26には、接続路26を流れる雪を伴った空気を冷却する冷却器30が配置されている。冷却器30は、タンク22内で雪が生成される温度、またタンク22内において細かな雪片が成長する温度に、空気を冷却する能力を有する。冷却器30は、例えば蒸気圧縮式冷凍機の蒸発器によって構成されている。
【0018】
タンク22は、雪を生成し成長させる空間を形成する。具体的に、タンク22内には低温の水滴を噴霧する複数のノズル32が配置されており、これらのノズル32は上に向けて水滴を霧状に噴射する。ノズル32は二流体ノズルによって構成されていてもよい。タンク22内は、冷却器30によって冷却された空気が導入されることにより、-20℃程度の温度に調整されている。このため、タンク22内の空間におけるノズル32よりも上方の部位では、氷晶生成部12で生成された氷晶とノズル32から噴射された霧状の水滴とが接触し、氷晶を核として雪片に成長する。すなわち、蓄雪部14は、造雪機能を有しており、タンク22内におけるノズル32よりも上側の空間が雪を生成し成長させる空間となっている。一方で、タンク22内におけるノズル32よりも下側の空間は、生成された雪が溜められる蓄雪空間となる。言い換えると、タンク22内においては、雪を伴った空気が流動する部位の上方で造雪機能によって雪が生成される。ノズル32が下から上に向かって水を噴射するように配置されているため、蓄雪空間内の雪に水滴が付着して湿雪になることを抑制することができる。
【0019】
タンク22の側部は、循環路24の前記他端部の接続部よりも下側の部位において、中央部ほど下の位置になるように傾斜状に形成されている。このため、雪が中央部の底部に向けて流れ落ちやすい。
【0020】
なお、氷晶生成部12が省略された構成としてもよい。この場合には、タンク22内を-40℃程度の温度に調整すれば、タンク22内において雪を生成することができる。
【0021】
循環路24の前記他端部は、ノズル32よりも下の位置でタンク22の側部に接続されている。この他端部は、図2に示すように、タンク22の上下に延びる中心線22aに対して側方にずれた方向に向けて空気が流入するようにタンク22の側部に接続されている。具体的には、タンク22は、上面視で円形状に形成されていて、循環路24は、延長線がこの円の中心線22aからずれた位置を通るように、タンク22に接続されている。このため、送風機28が作動して空気が循環路24からタンク22内に吹き出されると、タンク22内では、雪を伴った空気がタンク22の内面に沿って周回するように、タンク22内におけるノズル32の下方において、雪を伴った空気の循環流れが生ずる。したがって、タンク22内で生成された雪及び循環路24からタンク22内に吹き出された雪が流動しつつタンク22内に溜められる。つまり、タンク22内では、雪が積もった状態で溜まっているのではなく、流動した状態で溜められる。したがって、蓄雪部14において雪は長時間固まることなく、雪の状態に保たれる。すなわち、蓄雪部14は、該蓄雪部14内の雪を、固まらない状態に保つ手段を有している。
【0022】
蓄雪部14では、送風機28の作動により、タンク22内の雪が空気に搬送されて、タンク22の底部から循環路24に吸引されるとともに、循環路24を流れた雪を伴った空気は、タンク22内に戻る。このような循環が繰り返される。また、循環路24を流れる空気の一部は接続路26に流入する。接続路26は、循環路24を流れる雪を伴った空気の一部をタンク22の天井部からタンク22内に流入させる。つまり、送風機28は、タンク22内に溜められている雪を、循環路24及び接続路26を通して、造雪部位に導く。
【0023】
なお、循環路24には、送風機28の上流側の位置において、図示しない空気導入口が設けられている。これにより、後述する供給路34を介した雪の供給をする場合においても、送風機28の上流側において循環路24が真空に近い低圧になることが防止される。
【0024】
循環路24には、降雪部20に繋がる供給路34が接続されている。したがって、循環路24を流れる雪を伴った空気の少なくとも一部を、供給路34を通して降雪部20に導くことができる。
【0025】
調節部18は、蓄雪部14から降雪部20への雪の供給流量及び供給量を調整する。具体的には、調節部18は、降雪量設定器36からの指令を受けて、雪を伴った空気の降雪部20への供給流量及び供給量を調節する。調節部18は、循環路24における供給路34の接続部よりも下流に配置された第1ダンパ18aと、供給路34に配置された第2ダンパ18bと、を有する。降雪量設定器36は、設定された降雪量に応じて、第1ダンパ18a及び第2ダンパ18bのそれぞれの開度を制御する。なお、降雪量設定器36に設定される降雪量は、単位時間当たりに降り積もる雪の量を表すものとする。この降雪量は、蓄雪部14において単位時間当たりに生成できる雪の量よりも多い量に設定することも可能である。
【0026】
降雪部20には、循環路24を流れる雪を伴った空気の少なくとも一部が導入される。降雪部20は、導入された雪を降らせる雪出口20aを有している。雪出口20aからの雪は、図示しない拡散部材により拡散されて降雪される。なお、降雪装置10が屋外で使用される場合には、降雪部20は屋外に配置されてもよい。あるいは、降雪部20は図略の試験室に配置されてもよい。
【0027】
供給路34を構成するダクトを雪出口20aにおいて絞ることなく雪出口20aから直接雪を吹き出す構成でもよいが、この構成に代え、雪出口20aが、供給路34を構成するダクトを絞る降雪ノズルによって構成され、この降雪ノズルから雪を降らせる構成であってもよい。
【0028】
降雪部20に導入される雪は乾雪である。このため、降雪部20には、導入された乾雪に水を噴霧するノズル38が設けられている。これにより、降雪部20から、湿雪を降らせることができる。なお、ノズル38は、空気と水とを同時に噴霧してもよい。この場合、空気の噴射量を調整する機構が追加されてもよい。また、ノズル38を省略して、降雪部20が乾雪を降らせる構成であってもよい。
【0029】
雪に向けて水を噴霧するノズル38は、ノズル38に水を供給する水供給配管39に接続されている。水供給配管39には水量調整弁39aが設けられている。水量調整弁39aは、含水率設定器42からの指令を受けて、噴霧量を調整するように構成されている。含水率設定器42は、降雪部20が降らせる雪の含水率を設定するための器具であり、設定された含水率に応じた指令を出力する。水量調整弁39aはこの指令によって開度を調整する。これにより、ノズル38からの噴霧量が調整される。すなわち、降雪部20は、設定含水率に応じた雪を降らせるように構成されている。なお、含水率設定器42は、設定含水率を変更可能に構成されていてもよい。この場合、種々の含水率の雪を降らせることができ、雪質の変更が可能になる。水量調整弁39aによる水量調整に際しては、降雪量設定器36による設定降雪量が考慮されてもよい。また、降雪部20が一定の含水率の湿雪を降らせる構成の場合には、ノズル38は一定量の水を噴霧する構成であってもよい。この場合、含水率設定器42は省略される。ただし、含水率設定器42が省略される場合において、降雪量を変える場合には、水量調整弁39aは、降雪量設定器36による設定降雪量に応じて、水量を調整するように構成される。また、ノズル38で直接水の噴霧量を調整する構成としてもよい。
【0030】
含水率設定器42に代え、噴霧量設定器が設けられていてもよい。この場合、噴霧量設定器によって設定された噴霧量になるように、水量調整弁39aの開度又はノズル38による噴霧量が調整される。この構成でも、降雪部20から降らせる雪の含水率を調整することができる。
【0031】
ここで、第1実施形態に係る降雪装置10によって行われる降雪方法について説明する。まず、氷晶生成部12において氷晶を生成する。氷晶を生成するには、加湿器によって微細な水滴を生成するとともに、この水滴を氷晶生成部12内に噴霧する。氷晶生成部12内は例えば-40℃以下の温度に調整されているので、噴霧された霧状の微細な水滴が凍り、氷晶が生成される。
【0032】
氷晶生成部12で生成された氷晶は、蓄雪部14のタンク22に導入される。蓄雪部14のタンク22内では、-20℃程度の温度に調整されるとともに、ノズル32から微細な水滴が噴霧されているので、氷晶が核となって雪片に成長する。雪片が次第に成長し、重力によって落下する程度まで成長すると、ノズル32よりも下方に落ちる。また、タンク22内では、送風機28による吸引作用も働くため、一部の微細な雪片もノズル32よりも下方に流動する。
【0033】
送風機28の作動により、タンク22内、特に、ノズル32よりも下方に溜められている雪は、タンク22の底部から循環路24に吸引されて循環路24を流れる。循環路24を流れる雪を伴った空気は、タンク22内にその側部から吹き込まれる。このとき、空気は、タンク22の中心線22aからずれた方向に向けてタンク22内に吹き出されるため、雪を伴った空気は、ノズル32の下方において、タンク22の側部の内面に沿って周回するように流動する。このように、蓄雪部14では、循環路24を通した雪を伴っての空気の循環が生じているとともに、タンク22内において雪の流動が生じている。このため、蓄雪部14において、雪が固まらない状態に保たれながら溜められる。つまり、蓄雪部14は蓄雪機能を有している。
【0034】
循環路24を流れる雪を伴った空気の一部は、接続路26に導入される。接続路26において、雪を伴った空気は冷却器30によって冷却される。冷却された雪を伴った空気は、タンク22の天井部からタンク22内に導入される。すなわち、タンク22内に冷却空気が導入されるため、タンク22内は造雪環境に維持されている。天井部からタンク22内に流入した雪は、ノズル32から噴霧された水滴に接触することにより成長する。つまり、タンク22から循環路24に導出された雪を伴った空気は、タンク22内における上部に位置する造雪部位に導かれ、造雪部位において雪が成長する。なお、所定量の雪が生成された後は、ノズル32からの水の噴霧を停止するが、この場合でも、送風機28の作動は継続される。すなわち、蓄雪部14は、造雪しながら雪を伴った空気を循環させる状態と、造雪することなく雪を伴った空気を循環させる状態とを取り得る。
【0035】
蓄雪部14に雪を溜める動作は、降雪部20から雪を降らせる動作に先立って行われる。したがって、降雪量設定器36からの指令が調節部18に送られる前に予め雪を作って溜めておくことができる。このとき、第2ダンパ18bが閉じられ、第1ダンパ18aは全開となっている。このため、蓄雪部14においては、雪を伴った空気が降雪部20に送られることなく、タンク22と循環路24との間を循環している。
【0036】
降雪量設定器36から調節部18に指令が送られると、指令に応じた流量の空気が供給路34に流入するように、第1ダンパ18a及び第2ダンパ18bの開度が調整される。これにより、循環路24を流れる雪の少なくとも一部が供給路34を通して降雪部20に導かれる。なお、降雪量設定器36からの指令を送ることにより、降雪中に降雪量を変更することもできる。この場合、降雪を行いつつ、降雪量を変えることができる。
【0037】
降雪部20では、含水率設定器42からの指令を受けて水量調整弁39aの開度が調整される。これにより、ノズル38からの水の噴霧量が調整され、雪出口20aから噴出された雪が所望の含水率の湿雪となる。この湿雪となった雪は、拡散部材によって拡散されて降雪される。なお、水の噴霧量の調整については、降雪量設定器36による設定降雪量が考慮されてもよい。また、降雪部20は、雪が拡散部材によって拡散された後で、ノズル38からの水の噴霧を受けて湿雪化される構成であってもよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、蓄雪部14において、雪を生成するとともに、生成した雪が固まらない状態に保ちつつ溜められる。そして、降雪装置10は、蓄雪部14に溜められている雪を降雪部20によって降らせる。すなわち、蓄雪部14から降雪部20に単位時間当たりに導入される雪の量は、蓄雪部14における単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよい。また、降雪部20によって所定時間内で降らせるトータルの量の雪を蓄雪部14に溜めておいてもよい。このため、雪を作りながら順次降らせる構成と異なり、造雪能力によって降雪量又は雪の供給量が制限されてしまうという事態が生じない。したがって、降雪装置10では、単位時間当たりの造雪能力に左右されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる。しかも、蓄雪部14においては、雪が固まらない状態に保たれるため、蓄雪部14に溜められた雪を降雪部20に導入すれば、降雪部20から雪を降らせることができる。なお、蓄雪部14において、雪が固まらないように雪が保持されるとはいえ、雪の全てが全く固まらないことまでも意味しているわけではなく、固まらない状態に保とうとした結果、部分的に雪が固まることがあってもよい。要は、降雪部20に雪が供給できる状態に蓄雪部14において雪が保たれていればよい。
【0039】
また本実施形態では、蓄雪部14において送風機28が作動することにより、タンク22内において雪を伴った空気が流動する。このため、タンク22内の雪は、降雪部20に導入されるまで、静止せずに動き続けながら蓄雪部14に溜められる。したがって、蓄雪部14内において、造雪後も長時間に亘って雪を固まらない状態に保つことができる。すなわち、雪を伴った空気を流動させる構成は、タンク22内に吹き込まれる空気の勢いによって、タンク22内の雪を伴った空気が流動する構成と言える。
【0040】
また本実施形態では、タンク22内において、雪を伴った空気がタンク22の側部における内面に沿って周回するように流動する。このため、タンク22内において空気をスムーズに流動させやすくでき、雪が固まらない状態に維持しやすい。
【0041】
また本実施形態では、タンク22に循環路24が接続され、送風機28の作動によって循環路24を空気が流れる。これにより、タンク22内の雪が空気に搬送されて循環路24を流れる。循環路24を流れる雪を伴った空気はタンク22内に戻る。このように、雪は、降雪部20に導入されるまで、空気に搬送されて循環路24を通して流動するため、雪が固まらないように保つことができる。また、循環路24を流れる空気の勢いがタンク22内にも作用することにより、タンク22内でも空気が雪を伴って流動する。したがって、タンク22内においても雪が固まらないように保たれる。また、タンク22と循環路24との間で雪を伴った空気を循環させるのではなくタンク22内のみで雪を伴った空気を流動させる構成に比べ、タンク22の大型化を抑制することができる。
【0042】
また本実施形態では、蓄雪部14のタンク22において、雪の生成部位が循環路24の接続部よりも上方に位置している。生成された雪のうち、大きな雪片は下に落ちやすいため、大きな雪片を循環路24の接続部よりも下方に搬送するための機構を追加する必要がない。一方、タンク22内においては、循環路24の接続部よりも下方で流動する雪が造雪部位に流れにくい。このため、タンク22内において、大きな雪片を下部内に止めやすくすることができる。しかも、タンク22内の下部における空気流動の影響が雪の生成部位に及び難い。このため、造雪空間においては、生成された雪が循環路24から導入された空気に搬送されてタンク22の内壁面に沿って流れるという事態が生ずることを抑制でき、生成された雪がタンク22の内壁面に付着することを抑制することができる。
【0043】
また本実施形態では、タンク22の中心線22aに対してずれた方向に向けて空気が流入するように、循環路24がタンク22に接続されている。このため、タンク22内に雪を伴った空気が吹き出されることによって、タンク22内において空気が雪を伴ってタンクの中心線22a周りに(周方向に)流動する。すなわち、タンク22に対する循環路24の接続位置を調整することによって、タンク22内で空気を循環させる構成を実現できるため、撹拌機構等を追加する必要がない。
【0044】
また本実施形態では、タンク22内の蓄雪部位にある空気が、雪を伴って循環路24及び接続路26を通してタンク22内における造雪部位に導かれる。タンク22内の細かな雪片を造雪部位に送ることにより、雪片を成長させることができる。このため、成長しきっていない雪片を減らすことができる。
【0045】
また本実施形態では、調節部18を備えているので、降雪部20が降らせる雪の量を変えることができる。したがって、降雪量を変化させることも可能となる。
【0046】
また、調節部18は、循環路24を流れる雪を伴った空気の少なくとも一部が降雪部20に導入されるように、循環路24からの分流割合を調整する。つまり、循環路24を通して循環する雪と降雪部20に導入される雪との比率を調整するだけで、降雪部20への雪の搬送量を調節することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、蓄雪部14のタンク22に氷晶生成部12が接続された構成であるが、これに限られるものではない。例えば、図3に示すように、-40℃程度の空気を蓄雪部14のタンク22内に導入する構成としてもよい。この場合、タンク22に空気を導く配管61が設けられる。そして、配管61内を流れる空気を-40℃程度(例えば、-35℃~-45℃)に冷却する冷却装置60が設けられる。なお、タンク22に導入される空気は、乾燥空気であることが望ましい。
【0048】
冷却装置60によって冷却された空気は、配管61を通して蓄雪部14のタンク22に導入される。配管61は、タンク22内に配置されたノズル32から噴射される水に向けて空気を噴出するようにタンク22に接続されている。なお、ノズル32は、タンク22の側面に沿う方向であって循環路24からの空気による周回方向と同じ方向に水を噴出するように配置されてもよい。このノズル32は、超音波加湿器によって生成された微細な水滴を霧状に噴出するように構成されている。
【0049】
なお、タンク22の内面に、撥水処理、親水処理、鏡面仕上げ等の表面処理を施してもよい。
【0050】
蓄雪部14のタンク22、第1ダンパ18a、又は循環路24を振動させる励振部62が設けられていてもよい。タンク22、第1ダンパ18a又は循環路24が振動することにより、タンク22内、第1ダンパ18a、及び循環路24内に雪が付着することを抑制することができる。励振部62は、タンク22、第1ダンパ18a又は循環路24に衝撃を与えたり、タンク22、第1ダンパ18a又は循環路24を揺らすことによって、タンク22、第1ダンパ18a又は循環路24を振動させるように構成されている。励振部62は省略可能である。
【0051】
励振部62は、接続路26を振動させるように構成されていてもよい。この場合には、接続路26内に雪が付着することを抑制することができる。
【0052】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
第1実施形態では、送風機28が、循環路24におけるタンク22の底部に接続された端部からタンク22内の空気を循環路24内に吸入し、タンク22の側部に接続された端部からタンク22内に空気を吹き出すよう構成されている。すなわち、タンク22内においては、主として上から下に向かう空気の流動が生ずる。これに対し、第2実施形態では、タンク22内において主として下から上に向かう空気の流動が生ずるように構成されている。すなわち、第2実施形態では、送風機28は、循環路24におけるタンク22の天井部に接続された端部からタンク22内の空気を循環路24内に吸入し、タンク22の側部に接続された端部からタンク22内に空気を吹き出すよう構成されている。このため、大きな雪片は、循環路24に吸入されにくく、主として、タンク22内で流動する。
【0054】
循環路24におけるタンク22の側部に接続された端部は、ノズル32よりも下方に位置している。
【0055】
第2実施形態では、循環路24から分岐する接続路26は設けられておらず、冷却器30は循環路24に配置されている。送風機28が作動すると、循環路24において冷却器30によって冷却された空気がタンク22内に吹き出される。タンク22内では主として上向きの空気流れが生ずるため、大きな雪片がタンク22内におけるノズル32の下方にて周回する一方で、小さな雪片は空気に搬送されて上方に向けて流れる。タンク22内における上部では、ノズル32から噴出された水滴と接触するため、小さな雪片は大きな雪片に成長する。
【0056】
供給路34は、循環路24に接続されるのではなく、タンク22に接続されている。供給路34には、ダンパ18cが配置されている。このダンパ18cは、蓄雪部14から降雪部20への雪の供給流量及び供給量を調整する調節部18として機能する。降雪量設定器36は、降雪部20から雪を降らせるときのみダンパ18cを制御し、供給路34を開く。降雪量設定器36は、雪の生成及び貯留だけを行うときには、ダンパ18cを閉じておく。
【0057】
本実施形態では、送風機28が作動することにより、造雪機能を有するタンク22内において、空気が雪を伴って流動する。すなわち、タンク22内に吹き込まれる空気の勢いによって、タンク22内の雪を伴った空気を流動させる。このため、タンク22内の雪は、降雪部20に導入されるまで、静止せずに動き続けながら蓄雪部14に溜められる。また、雪は、降雪部20に導入されるまで、空気に搬送されて循環路24を通して流動する。したがって、蓄雪部14内において、造雪後も長時間に亘って雪を固まらない状態に保つことができる。
【0058】
また本実施形態では、タンク22内の細かな雪片が造雪部位に送られて成長する。大きな雪片は上方に向かって流動しにくい一方で、細かな雪片は上方に向かって流動しやすい。したがって、主として細かな雪片が造雪部位に導入されやすい。このため、成長しきっていない雪片を減らすことができる。
【0059】
なお、本実施形態においても、氷晶生成部12を備えた構成に代え、図3に示した形態と同様に、-40℃程度の空気を蓄雪部14のタンク22内に導入する構成を採用し得る。この場合、タンク22に空気を導く配管61を設ける。そして、配管61内を流れる空気を-40℃程度に冷却する冷却装置60が設けられる。配管61は、タンク22内のノズル32から噴射される水に向けて空気を噴出するようにタンク22に接続される。なお、ノズル32は、タンク22の側面に沿う方向であって循環路24からの空気による周回方向と同じ方向に水を噴出するように配置されてもよい。
【0060】
タンク22の内面に、撥水処理、親水処理、鏡面仕上げ等の表面処理を施してもよい。タンク22又は循環路24を振動させる励振部62が設けられてもよい。
【0061】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0062】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
第1実施形態では、タンク22内に水滴を噴霧するノズル32が配置されている。これに対し、第3実施形態では、ノズル32は、タンク22内ではなく、循環路24における冷却器30の下流側に配置されている。循環路24の一端部(吸入端)はタンク22の底部に接続され、循環路24の他端部(吹き出し端)はタンク22の天井部に接続されている。ノズル32は、循環路24内における吹き出し端の近傍に配置されている。
【0064】
循環路24における吹き出し端は、タンク22の側面ではなく天井部に接続されている。このため、タンク22内では、天井部から底部に向かう下向きの空気の流動が生じている。循環路24からタンク22内に空気が吹き出されると空気の流速は低下する。したがって、タンク22内を流れる空気が、雪を成長させるのに必要な時間をかけてタンク22の底部にたどり着く。また、ノズル32から噴出された微細な水滴は、流速が低下したタンク22内で主として凍る。このため、雪が循環路24及びタンク22の内壁面に付着しにくい。また、雪を伴った空気は、タンク22及び循環路24を通して流動しており、またタンク22内においては上から下に向かって流動しているため、雪が固まらない状態に保たれる。
【0065】
供給路34は、循環路24における冷却器30の下流側の部位に接続されているが、循環路24における冷却器30の上流側の部位であって送風機28の下流側の部位に接続されていてもよい。
【0066】
なお、本実施形態においても、氷晶生成部12を備えた構成に代え、図3に示した形態と同様に、-40℃程度の空気を蓄雪部14のタンク22内に導入する構成を採用し得る。この場合、タンク22に空気を導く配管61を設ける。そして、配管61内を流れる空気を-40℃程度に冷却する冷却装置60が設けられる。
【0067】
タンク22の内面に、撥水処理、親水処理、鏡面仕上げ等の表面処理を施してもよい。タンク22、第1ダンパ18a、又は循環路24を振動させる励振部62が設けられてもよい。
【0068】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1及び第2実施形態の説明を第3実施形態に援用することができる。
【0069】
(第4実施形態)
図6は本発明の第4実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
第4実施形態では、タンク22の内側に仕切部材44が配置されていて、タンク22の内側の空間が、2つの空間に仕切られている。
【0071】
仕切部材44は、例えば、筒状の壁部44aと、壁部44aの下端に繋がるテーパー状の傾斜部44bとを備えている。壁部44aの上端部は、タンク22の天井部に接続されているが、タンク22の天井部との間にすき間を形成していてもよい。筒状の壁部44aは、タンク22の側部から内側に離れた位置に配置され、仕切部材44の傾斜部44bは、タンク22の底部から内側に離れた位置に配置されている。このため、仕切部材44の内側及び外側のそれぞれに空間が形成されている。
【0072】
ノズル32は、上方に向けて水滴を噴霧するように筒状の壁部44aの内側に配置されている。すなわち、仕切部材44の内側の空間すなわち、仕切部材44及びタンク22の天井部で囲まれた空間が、造雪機能を有する造雪空間となっている。
【0073】
循環路24の一端部(吸込側の端部)は、タンク22の底部に接続され、循環路24の他端部(吹き出し側の端部)はタンク22の側部に接続されている。このため、循環路24は、仕切部材44の外側の空間から空気を吸い込み、循環路24を流れた空気は、仕切部材44の外側の空間に吹き出される。すなわち、タンク22の内側空間のうち、仕切部材44の外側の空間が蓄雪空間となっている。
【0074】
傾斜部44bの下端部には、造雪空間と蓄雪空間とを連通する開口44cが形成されている。造雪空間内で生成された雪は、この開口44cを通して落下し、蓄雪空間に導入される。仕切部材44の開口44cを通して、造雪空間と蓄雪空間とが連通している。
【0075】
循環路24から蓄雪空間内に吹き出された雪を伴う空気は、筒状の壁部44aの周囲を流動しつつ、下方に向かって流れる。そして、タンク22の底部から循環路24に吸い込まれる。蓄雪空間内ではこのような空気の流動が生ずる。一方で、造雪空間は、仕切部材44によって蓄雪空間と仕切られているため、蓄雪空間での空気の流動の影響を受けにくい。
【0076】
循環路24から分岐する接続路26は、タンク22の天井部における中央部に接続されている。このため、接続路26を流れる雪を伴う空気は、タンク22内における造雪空間に導入される。接続路26には、ダンパ46が配置されている。ダンパ46は、タンク22内での雪の生成が終了すると閉じられる。
【0077】
本実施形態では、タンク22の内側空間が仕切部材44によって造雪空間と蓄雪空間とに区分けされているため、雪を生成するための造雪空間が、蓄雪空間において空気が流動する影響を受けてしまうことを抑制することができる。
【0078】
また本実施形態では、タンク22内の造雪空間において雪が生成され、生成された雪は仕切部材44の開口44cを通して蓄雪空間に導入される。生成された雪のうち、大きい雪片は下に落ちやすいため、タンク22内で生成された雪を空気の流動部位に搬送するための機構を追加する必要がない。
【0079】
なお、第4実施形態では、循環路24に接続路26が接続された構成としているが、接続路26が省略された構成であってもよい。この場合、例えば、壁部44aの上端部とタンク22の天井部との間にすき間が形成されていて、循環路24を流れた雪を伴う空気が蓄雪空間だけでなく造雪空間に流入する構成であってもよい。また、例えば氷晶生成部12から造雪空間に氷晶を伴った空気が導入される構成としてもよい。
【0080】
なお、本実施形態においても、氷晶生成部12を備えた構成に代え、図3に示した形態と同様に、-40℃程度の空気を蓄雪部14のタンク22内における造雪空間(仕切部材44の内側の空間)に導入する構成を採用し得る。この場合、造雪空間に空気を導く配管61を設ける。そして、配管61内を流れる空気を-40℃程度に冷却する冷却装置60が設けられる。配管61は、造雪空間内のノズル32から噴射される水に向けて空気を噴出するように仕切部材44に接続される。
【0081】
タンク22の内面及び仕切部材44に、撥水処理、親水処理、鏡面仕上げ等の表面処理を施してもよい。タンク22、第1ダンパ18a、又は循環路24を振動させる励振部62が設けられてもよい。励振部62は、接続路26又は仕切部材44を振動させる構成であってもよい。
【0082】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第4実施形態に援用することができる。
【0083】
(第5実施形態)
図7は本発明の第5実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】
第1実施形態では、タンク22内で生成された雪を自然落下させてタンク22内の下部に導くのに対し、第5実施形態では、タンク22内で生成された雪が第2の循環路48を通してノズル32の下方の空間に導入される。
【0085】
具体的には、第5実施形態では、接続路26が省略されるとともに、循環路24と別体に構成された第2の循環路48が設けられている。第2の循環路48の一端部はタンク22の天井部に接続され、第2の循環路48の他端部は、タンク22におけるノズル32よりも下方の部位に接続されている。第2の循環路48には、送風機49が配置されていて、送風機49が作動すると、タンク22内で造雪された雪を伴った空気を、第2の循環路48を通してタンク22内におけるノズル32よりも下部に導く。冷却器30は、循環路24ではなく第2の循環路48に配置されている。タンク22内の上部では、下から上に向かう空気の流れができるため、細かな雪片はノズル32の下方において、タンク22内に導入された後、ノズル32よりも上方に向かう。これにより、細かな雪片は成長する。一方、大きな雪片は、上記の空気の流れにかかわらず、タンク22内をノズル32よりも下方に自然落下する。
【0086】
タンク22内の下部、すなわち、タンク22側部における循環路24の接続部よりも下方においては、第1実施形態と同様に、上から下に向かって空気が流動する。このため、循環路24からタンク22内に雪を伴った空気を流入させることができる。
【0087】
なお、本実施形態においても、氷晶生成部12を備えた構成に代え、図3に示した形態と同様に、-40℃程度の空気を蓄雪部14のタンク22内に導入する構成を採用し得る。この場合、タンク22に空気を導く配管61を設ける。そして、配管61内を流れる空気を-40℃程度に冷却する冷却装置60が設けられる。配管61は、タンク22内のノズル32から噴射される水に向けて空気を噴出するようにタンク22に接続される。なお、ノズル32は、タンク22の側面に沿う方向であって循環路24からの空気による周回方向と同じ方向に水を噴出するように配置されてもよい。この場合、第2の循環路48から吹き出す空気も同じ方向に周回するように、第2の循環路48がタンク22に接続されていてもよい。
【0088】
タンク22の内面に、撥水処理、親水処理、鏡面仕上げ等の表面処理を施してもよい。タンク22、第1ダンパ18a、又は循環路24を振動させる励振部62が設けられてもよい。励振部62は、第2の循環路48を振動させるように構成されていてもよい。
【0089】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第5実施形態に援用することができる。
【0090】
(第6実施形態)
第6実施形態は、第1実施形態に係る降雪装置10を備えた人工気象室50である。実施形態1の降雪装置10は、人工気象室50に配置される場合に限定されず、例えば、屋内外で雪を降らせるために用いられてもよい。これに対し、第5実施形態では、降雪装置10が人工気象室50において雪を降らせるのに用いられる。
【0091】
図8に示すように、第5実施形態に係る人工気象室50は、降雪装置10と試験室52とを備えている。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0092】
試験室52は、供試体(図示省略)を収容するとともに雪を降らせることが可能な大きさに形成されている。試験室52内は、図外の空調部により、例えば-20℃程度の温度や5℃程度の温度に調整されている。
【0093】
降雪装置10は、氷晶生成部12と、蓄雪部14と、調節部18と、降雪部20と、を備えている。氷晶生成部12には、微細な水滴を生成する加湿器13が接続されている。加湿器13は、試験室52の外側に配置される。一方、氷晶生成部12、蓄雪部14、調節部18及び降雪部20は、試験室52内に配置されている。氷晶生成部12、蓄雪部14のタンク22、循環路24は、断熱材で覆われていても覆われていなくてもよい。循環路24に設けられた送風機28を駆動するモータ54等の極低温環境に配置しない方が望ましい機器は、試験室52の外側に配置されている。
【0094】
なお、氷晶生成部12、蓄雪部14及び調節部18は、試験室52内に配置されていなくてもよい。この場合、氷晶生成部12、蓄雪部14及び調節部18は、試験室52とは別個に形成されて空調された部屋の中に配置されていてもよい。また、例えば図9に示すように、氷晶生成部12、蓄雪部14及び調節部18は、試験室52の外側に配置され、氷晶生成部12、蓄雪部14及び調節部18が断熱材58で覆われた構成であってもよい。一方、降雪部20の雪出口20aは試験室52内に配置される。この構成では、試験室52内の温度を造雪や蓄雪に影響を与えない程度の低温に下げる必要はなく、供試体の試験に要求される環境に適した温度に試験室52内の温度を調整した上で降雪試験を行うことができる。したがって、試験室52内の温度に関して自由度を持たせることができる。
【0095】
人工気象室50においても、氷晶生成部12が設けられるのではなく、タンク22に空気を導く配管61を設け、配管61内を流れる空気を-40℃程度に冷却する冷却装置60が設けられてもよい。この場合、配管61及び冷却装置60が断熱材58で覆われた構成であってもよい。
【0096】
降雪部20は、試験室52内における供試体が配置されるエリアの上方や、試験室52内における供試体が配置されるエリアの上方から外れたエリアに配置されていてもよい。なお、雪出口20aは、雪を試験室52内で降らせるように配置されるのではなく、例えば供試体が配置されるエリアの側方に配置されて、雪を供試体に向けて吹き付けるように配置されていてもよいし、供試体に向けて直接雪を吹き付けるのではなく、供試体の方とは異なる方向に雪出口20aから吹き出された雪が結果的に供試体に供給される構成であってもよい。この場合、供試体が配置されるエリアから外れたエリアの上方等に配置されていてもよい。
【0097】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第6実施形態に援用することができる。
【0098】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、タンク22内で空気を流動させるのに、循環路24に配置された送風機28を利用したが、これに限られない。循環路24に配置された送風機とは別に、送風機がタンク22に取り付けられ、この送風機によって、タンク22内において空気が流動する構成としてもよい。
【0099】
前記実施形態では、降雪部20への雪の搬送流量及び搬送量を調整する調節部18が設けられた構成としたが、調節部18は省略されていてもよい。つまり、降雪部20への雪の供給流量を調整するのではなく、一定量の雪を供給する構成であってもよい。この場合、供給路34に開閉弁(又はダンパ)が配置されていて、蓄雪部14において雪を溜めておくときには開閉弁を閉じておき、降雪部20に雪を搬送するときに開閉弁を開く構成であってもよい。
【0100】
調節部18は、第1ダンパ18a及び第2ダンパ18bを備える構成に限られない。例えば、調節部18は、三方弁等による1つの弁によって構成されていてもよい。
【0101】
前記実施形態では、調節部18が第1ダンパ18aと第2ダンパ18bとを有する構成としたが、これに代え、例えば、調節部18は、図1において第1ダンパ18aの位置に配置された第1送風機と、第2ダンパ18bの位置に配置された第2送風機とを有する構成であってもよい。第1送風機は、蓄雪部14において雪を伴った空気を循環させるときに駆動され、第2送風機は、蓄雪部14から供給路34を通して降雪部20に雪を伴った空気を送るときに駆動される。
【0102】
前記実施形態では、蓄雪部14にノズル32が配置されることにより、雪が生成される構成としているが、この構成に限られるものではない。例えば氷を削って雪を生成する構成でもよく、あるいは加湿方式で雪を生成する構成であってもよい。氷を削って雪を生成する構成としては例えば、水を壁面に噴霧して氷膜を形成し、この壁面に形成された氷膜をブレードで削り取って雪を生成する構成であってもよい。また、外部で生成された氷を蓄雪部14内に搬入し、蓄雪部14内でこの氷を削るようにしてもよい。一方、加湿方式は、図略の加湿器から蓄雪部14内に高湿の空気を導入して、蓄雪部14内で雪化する方式であってもよい。加湿器は、ボイラ、パン皿、超音波加湿器等、どのようなタイプの加湿器であってもよい。
【0103】
ここで、前記実施形態について、概説する。
【0104】
(1)前記実施形態に係る降雪装置は、雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備えている。
【0105】
前記実施形態に係る降雪装置では、蓄雪部において、雪を生成するとともに、生成した雪を固まらない状態に保ちつつ溜めておく。そして、蓄雪部に溜められている雪を降雪部によって降らせる又は供試体に供給する。すなわち、蓄雪部から降雪部に単位時間当たりに導入される雪の量は、蓄雪部における単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよい。また、降雪部によって所定時間内で降らせる又は供試体に供給するトータルの量の雪を蓄雪部に溜めておいてもよい。このため、雪を降らせる際に雪を作りながら順次降らせる構成と異なり、造雪能力によって降雪量又は雪の供給量が制限されてしまうという事態が生じない。したがって、この降雪装置では、単位時間当たりの造雪能力に左右されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる。しかも、蓄雪部においては、雪が固まらない状態に保たれるため、蓄雪部で溜められた雪を降雪部に導入すれば、降雪部から雪を降らせることができる。なお、蓄雪部において、雪が固まらないように雪が保持されるとはいえ、雪の全てが全く固まらないことまでも意味しているわけではなく、固まらない状態に保とうとした結果、部分的に雪が固まることがあってもよい。要は、降雪部に雪が供給できる状態に蓄雪部において雪が保たれていればよい。
【0106】
(2)前記降雪装置において、前記蓄雪機能には、前記蓄雪部内において雪が固まらない状態に保つ手段が含まれていてもよい。
【0107】
この態様では、蓄雪部に溜められた雪が固まり難い。そのため、雪の状態に保たれる時間を長くすることができる。すなわち、蓄雪部に溜められた雪が一時的に固まらないというだけでなく、雪が固まらないように維持するための手段が蓄雪部に設けられる。これにより、長時間に亘って雪が固まらない状態に保つことができる。蓄雪部において、雪が固まらないように雪が保持されるとはいえ、雪の全てが全く固まらないことまでも意味しているわけではなく、前記手段によって、雪が固まらない状態に保とうとした結果、部分的に雪が固まることがあってもよい。要は、雪が固まらない状態に保つ手段により、降雪部に雪が供給できる状態で蓄雪部において雪が保たれていればよい。
【0108】
(3)前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機を含み、前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであってもよい。
【0109】
この態様では、送風機が作動することにより、造雪機能を有するタンク内において、空気が雪を伴って流動する。このため、タンク内の雪は、降雪部に導入されるまで、静止せずに動き続けながら蓄雪部に溜められる。したがって、蓄雪部内において、造雪後も長時間に亘って雪を固まらない状態に保つことができる。この場合において、雪を伴った空気を流動させる構成は、タンク内に吹き込まれる空気の勢いによって、タンク内の雪を伴った空気を流動させる構成であってもよい。
【0110】
(4)前記送風機の作動により、前記タンク内において、雪を伴った空気が前記タンクの内面に沿って周回するように流動してもよい。
【0111】
この態様では、タンク内において、雪を伴った空気がタンクの内面に沿って周回するように流動する。このため、タンク内において空気をスムーズに流動させやすくでき、雪が固まらない状態に維持しやすくできる。
【0112】
(5)前記タンク内において、雪を伴った空気が流動する部位の上方で前記造雪機能によって雪が生成されてもよい。
【0113】
この態様では、タンク内において雪の生成部位が雪の流動部位の上方に位置している。生成された雪のうち、大きな雪片は下に落ちやすいため、大きな雪片を空気の流動部位に搬送するための機構を追加する必要がない。一方、空気の流動部位で流動する雪が造雪部位に流れにくい。このため、タンク内において、大きな雪片を空気の流動部位内に止めやすくすることができる。しかも、タンク内での空気の流動部位での空気流動の影響が雪の生成部位に及び難い。このため、生成された雪が流動空気に搬送されてタンクの内壁面に沿って流れてしまうという事態が生ずることを抑制し、生成された雪がタンクの内壁面に付着することを抑制することができる。
【0114】
(6)前記蓄雪部は、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を備えてもよい。この場合、前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含んでもよい。
【0115】
この態様では、送風機の作動によって循環路を空気が流れる。これにより、タンク内の雪が空気に搬送されて循環路を流れる。循環路を流れる雪を伴った空気はタンク内に戻る。このように、雪は、降雪部に導入されるまで、空気に搬送されて循環路を通して流動するため、雪が固まらないように保つことができる。また、循環路を流れる空気の勢いがタンク内にも作用することにより、タンク内でも空気が雪を伴って流動する。したがって、タンク内においても雪が固まらないように保たれる。また、タンク内のみで雪を伴った空気を流動させる構成に比べ、タンクの大型化を抑制することができる。
【0116】
(7)前記タンク内において、前記循環路の接続部よりも上方で、前記造雪機能により雪が生成されてもよい。
【0117】
この態様では、雪の生成部位が循環路の接続部よりも上方に位置している。生成された雪のうち、大きな雪片は下に落ちやすいため、大きな雪片を循環路の接続部よりも下方に搬送するための機構を追加する必要がない。一方、循環路の接続部よりも下方で流動する雪が造雪部位に流れにくい。このため、タンク内において、大きな雪片を下部内に止めやすくすることができる。しかも、タンク内の下部における空気流動の影響が雪の生成部位に及び難い。このため、生成された雪がタンク内に導入された空気に搬送されてタンクの内壁面に沿って流れるという事態が生ずることを抑制し、生成された雪がタンクの内壁面に付着することを抑制することができる。
【0118】
(8)前記循環路は、前記タンクの中心線に対してずれた方向に向けて空気が流入するように前記タンクに接続されていてもよい。
【0119】
この態様では、タンク内に雪を伴った空気が吹き出されることによって、タンク内において空気が雪を伴ってタンクの中心線周りに(周方向に)流動する。すなわち、タンクに対する循環路の接続位置を調整することによって、タンク内で空気を循環させる構成を実現できるため、撹拌機構等を追加する必要がない。
【0120】
(9)前記送風機は、前記タンク内の空気がその上方の造雪部位に流れるように雪を伴った空気を流動させてもよい。
【0121】
この態様では、タンク内の細かな雪片が造雪部位に送られて成長する。大きな雪片は上方に向かって流動しにくい一方で、細かな雪片は上方に向かって流動しやすい。したがって、主として細かな雪片が造雪部位に導入されやすい。このため、成長しきっていない雪片を減らすことができる。
【0122】
(10)前記降雪装置は、前記タンクの内側の空間を、前記造雪機能を有する造雪空間と、前記蓄雪機能を有する蓄雪空間とに仕切る仕切部材を備えてもよい。この場合、前記循環路は、前記蓄雪空間内の空気を雪を伴った状態で吸引するように構成されていてもよい。
【0123】
この態様では、タンクの内側空間が仕切部材によって造雪空間と蓄雪空間とに区分けされているため、雪を生成するための造雪空間が、蓄雪空間において空気が流動する影響を受けてしまうことを防止することができる。蓄雪空間内の雪は空気に搬送されて循環路を流れる。
【0124】
(11)前記仕切部材は、前記造雪空間内で生成された雪を落下させて前記蓄雪空間に導入させる開口を有してもよい。
【0125】
この態様では、タンク内の造雪空間において雪が生成され、生成された雪は仕切部材の開口を通して蓄雪空間に導入される。生成された雪のうち、大きい雪片は下に落ちやすいため、タンク内で生成された雪を空気の流動部位に搬送するための機構を追加する必要がない。
【0126】
(12)前記降雪装置は、前記蓄雪部から前記降雪部への雪の供給量を調整する調節部を備えていてもよい。この態様では、降雪部が降らせる雪の量を変えることができる。したがって、降雪量を変化させることも可能となる。
【0127】
(13)前記降雪装置は、前記蓄雪部から前記降雪部への雪の供給量を調整する調節部を備え、前記調節部は、前記循環路を流れる雪を伴った空気のうち前記降雪部に導入する空気の量を調整するように構成されていてもよい。
【0128】
この態様では、送風機の作動によって循環路を空気が流れる。これにより、タンク内の雪が空気に搬送されて循環路を流れる。そして、循環路を流れる雪を伴った空気はタンクに戻る。このように、雪を伴った空気が循環路を通して循環する。調節部は、循環路を流れる雪を伴った空気の少なくとも一部が降雪部に導入されるように、循環路からの分流割合を調整する。つまり、循環路を通して循環する雪と降雪部に導入される雪との比率を調整するだけで、降雪部への雪の搬送量を調節することができる。
【0129】
(14)前記蓄雪部は、水を噴霧するノズルを有し、冷却された空気と前記ノズルから噴霧された水とによって生成された氷晶を用いて雪を作ってもよい。この態様では、蓄雪部において、冷却された空気とノズルから噴霧された水とによって生成された氷晶を用いて雪を作るので、雪を成長し易くすることができる。したがって、蓄雪部内の温度を-40℃等の極低温の温度にまで下げなくても雪を作ることができる。
【0130】
(15)前記降雪装置は、前記蓄雪部を振動させる励振部を備えていてもよい。この態様では、蓄雪部に雪が付着することを抑制することができる。
【0131】
(16)前記実施形態に係る人工気象室は、前記降雪装置と、供試体を配置する空間を有する試験室と、を備え、前記降雪装置は、前記試験室内で雪を降らせるか又は供試体に雪を供給する。
【0132】
(17)前記実施形態に係る降雪方法は、前記降雪装置を用いる降雪方法であって、前記降雪装置の前記蓄雪部内において雪を生成し、前記蓄雪部内において、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜め、前記蓄雪部内の雪を降雪部に導入し、前記降雪部によって雪を降らせるか又は供試体に供給する。
【符号の説明】
【0133】
10 :降雪装置
14 :蓄雪部
18 :調節部
20 :降雪部
22 :タンク
22a :中心線
24 :循環路
26 :接続路
28 :送風機
44 :仕切部材
44c :開口
50 :人工気象室
52 :試験室
図1
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図9