IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーストマン ケミカル カンパニーの特許一覧

特開2023-105027不織布におけるセルロースアセテート繊維
<>
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図1
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図2
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図3
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図4
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図5
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図6
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図7
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図8
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図9
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図10
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図11
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図12
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図13
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図14
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図15
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図16
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図17
  • 特開-不織布におけるセルロースアセテート繊維 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105027
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】不織布におけるセルロースアセテート繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 11/02 20060101AFI20230721BHJP
   D04H 1/4258 20120101ALI20230721BHJP
   D06M 13/03 20060101ALI20230721BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20230721BHJP
   D01F 2/28 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
D01F11/02
D04H1/4258
D06M13/03
D06M13/00
D01F2/28 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023087797
(22)【出願日】2023-05-29
(62)【分割の表示】P 2019546816の分割
【原出願日】2018-02-27
(31)【優先権主張番号】62/464,715
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/587,228
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/595,872
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】スティーチ,ジェレミー・ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ゲイナー,スコット・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】スプルエル,ジェイソン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン,モハンマド・アボウエルリーシュ
(72)【発明者】
【氏名】チン,グオ・ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】アップリング,ヤンシー
(72)【発明者】
【氏名】シャー,サイド・アリ
(72)【発明者】
【氏名】ポサ,ジェームズ・エム
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,コウシック
(72)【発明者】
【氏名】イザラレン,ムニール
(57)【要約】
【課題】良好な繊維などを提供すること。
【解決手段】本明細書においては、セルロースアセテートのようなセルロースエステルから形成されるステープル繊維及びフィラメントヤーン、及び繊維を製造する方法、並びに不織布及び物品におけるそれらの使用を記載する。本明細書に記載するフィラメントヤーン及び繊維は、少なくとも1種類の仕上剤で被覆することができ、幾つかの場合においては、繊維の複数の特性を向上させるように選択される2種類以上の仕上剤で被覆することができる。本明細書に記載するステープル繊維は、強靱で、柔軟で、吸収性で、生分解性の不織ウエブを製造するために用いることができ、種々のパーソナルケア、医療、産業、及び商業用途のための湿潤又は乾燥不織物品において用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアセテートから形成され、少なくとも部分的に少なくとも1種類のイオン性繊維仕上剤で被覆されているステープル繊維であって、前記繊維は、logRとして表して約11以下の表面抵抗率を有する上記ステープル繊維。
【請求項2】
前記繊維が約25秒以下の静電気半減期を有し、複数の前記繊維が少なくとも約0.1の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
複数の前記繊維が少なくとも約0.10の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示し、複数の前記繊維が少なくとも約0.20の繊維-金属間ステープルパッド摩擦係数を示す、請求項1に記載の繊維。
【請求項4】
前記繊維が紡糸仕上剤で被覆されておらず、約0.4%FOY以下の量の少なくとも1種類のトップコート仕上剤で被覆されており、前記トップコート仕上剤は前記イオン性繊維仕上剤を含み、前記ステープル繊維は、約10~約17捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項5】
前記繊維が、約0.5~約3の範囲のデニール/フィラメント、約8~約24CPIの範囲の捲縮頻度、約3~約75mmの範囲の長さ、及びY字形又は円形の断面形状を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項6】
前記繊維が少なくとも部分的に紡糸仕上剤及びトップコート仕上剤で被覆されており、前記繊維上の前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤の合計量は少なくとも0.65%FOYであり、前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤の少なくとも1つは約0.5%FOY以下の量で存在する、請求項1に記載の繊維。
【請求項7】
前記繊維が生分解性繊維であり、前記繊維上の仕上剤の全量は約1%FOY以下であり、前記繊維は、次の生分解性特性(i)~(iii):
(i)工業的堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して180日以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
(ii)土壌堆肥化条件下においてISO-17556(2012)にしたがって測定して2年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;及び
(iii)家庭堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して1年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
の少なくとも1つを示す、請求項1に記載のステープル繊維。
【請求項8】
請求項1に記載のステープル繊維を含む不織ウエブ。
【請求項9】
セルロースアセテートから形成されるステープル繊維であって、複数の前記繊維は約0.1~約0.7の範囲の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す上記ステープル繊維。
【請求項10】
複数の前記繊維が少なくとも約0.25の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示し、前記繊維が、同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期よりも少なくとも約50%少ない静電気半減期を有する、請求項9に記載の繊維。
【請求項11】
複数の前記繊維が少なくとも約0.20の繊維-金属間ステープルパッド摩擦係数を示す、請求項9に記載の繊維。
【請求項12】
前記繊維が、約8~約24CPIの範囲の捲縮頻度、約3以下のデニール/フィラメント、約3~約75mmの範囲の長さ、Y字形又は円形の断面形状を有し、前記繊維が少なくとも約0.4%FOYの量の少なくとも1種類の仕上剤で少なくとも部分的に被覆されている、請求項9に記載の繊維。
【請求項13】
前記繊維が少なくとも部分的に紡糸仕上剤及びトップコート仕上剤で被覆されており、前記繊維上の前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤の合計量は約0.5%FOY~約1.5%FOYの範囲であり、前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤は、ヤーンを切断して前記繊維を与える前に前記繊維を形成するのに用いられるフィラメントヤーンに施されており、前記紡糸仕上剤は少なくとも約0.5%FOYの量で前記繊維上に存在し、前記トップコート仕上剤は約0.5%FOY以下の量で前記繊維上に存在する、請求項9に記載の繊維。
【請求項14】
前記繊維が生分解性繊維であり、前記繊維上の仕上剤の全量は約1%FOY以下であり、前記繊維は、次の生分解性特性(i)~(iii):
(i)工業的堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して180日以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
(ii)土壌堆肥化条件下においてISO-17556(2012)にしたがって測定して2年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;及び
(iii)家庭堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して1年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
の少なくとも1つを示す、請求項9に記載のステープル繊維。
【請求項15】
請求項9に記載のステープル繊維を含む不織ウエブ。
【請求項16】
セルロースアセテートから形成されるステープル繊維であって、前記ステープル繊維は、約0.5~約6.0の範囲のデニール/フィラメント、8~24捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度、及び同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期よりも少なくとも約50%少ない静電気半減期を有し、複数の前記繊維は少なくとも約0.10の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す上記ステープル繊維。
【請求項17】
複数の前記繊維が、少なくとも約0.25の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数、及び少なくとも約0.20の繊維-金属間ステープルパッド摩擦係数を示す、請求項16に記載の繊維。
【請求項18】
前記繊維が、同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期より少なくとも約50%少ない静電気半減期、及びlogRとして表して約11以下の表面抵抗率を有する、請求項16に記載の繊維。
【請求項19】
前記繊維が、約1.1~約3のデニール/フィラメント、約10~約22CPIの範囲の捲縮頻度、約30~約60mmの範囲の長さ、及びY字形又は円形の断面形状を有する、請求項16に記載の繊維。
【請求項20】
前記繊維が生分解性繊維であり、前記繊維上の仕上剤の全量は約1%FOY以下であり、前記繊維は、次の生分解性特性(i)~(iii):
(i)工業的堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して180日以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
(ii)土壌堆肥化条件下においてISO-17556(2012)にしたがって測定して2年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;及び
(iii)家庭堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して1年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
の少なくとも1つを示す、請求項16に記載のステープル繊維。
【請求項21】
請求項16に記載のステープル繊維を含む不織ウエブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年2月28日出願の米国仮出願62/464,715、2017年11月16日出願の米国仮出願62/587,228、及び2017年12月7日出願の米国仮出願62/595,872(これらのそれぞれはその全部を参照として本明細書中に包含する)に対する35U.S.C.119(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、フィラメントヤーン及びそれから形成される繊維に関する。本発明はまた、かかる繊維及びフィラメントヤーンを製造及び使用する方法、並びに不織ウエブを製造する方法及びそれから形成される物品にも関する。
【背景技術】
【0003】
不織布は、例えばオムツ及び婦人用品のような個人用衛生用品などの種々の製品、並びに種々の民生用途、産業用途、及び医療用途において広く用いられている。通常は、不織布は、例えばポリエステル、アクリル樹脂、ナイロン、ガラス、ウール、及び綿のような天然又は合成材料から形成される。不織布はまた、ビスコース、モダール、及びリヨセルのような種々のセルロース材料からも形成されている。
【0004】
不織布は、種々の異なる用途において用いられているが、しばしば吸上げ性(wicking)、吸収性、及び柔軟性のような好適な特性、並びに、特に不織布がユーザーの皮膚に接触する物品において用いられる場合には、ロフト(loft)、柔軟性、及び重量感(substantialness)のような他の消費者指向型の特性を有することが求められている。不織布を用いる多くの物品はまた、欠落したり、又はリンティング又はピリングのような望ましくない結果をもたらすことなく、物品を種々の状況において確実に用いることができるようにするために、広範囲の条件下で十分な強度及び耐摩耗性を示さなければならない。更に、これらのタイプの物品の多くは使い捨てであるので、不織布は生分解性で、その製造及び使用の環境への悪影響が最小であることも望まれている。
【0005】
セルロースエステルは、幾つかの条件下において種々の程度の環境易分解性(environmental non-persistence)を示しているが、今日まで、いずれのセルロースエステル系繊維又は繊維物品も一定範囲の異なる環境条件下で満足できる生分解性を示していない。従来は、この限定された生分解度は、熱又は太陽光のような幾つかの環境条件に曝露した際に繊維又は物品の分解を促進するために、セルロースエステル中に可塑剤及び他の添加剤を含ませることによって対処されている。これらの添加剤は物品の分解性をある程度まで増加させることに成功しているが、かかる添加剤は製造プロセスを複雑にし、全体的な製造コストを増加させ、物品の長期間機能性を脅かす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
殆どの開発は、不織布の複数の特性を改良して、望ましい複数の特性の良好なバランスを示す一方で、製造者によって商業スケールで容易に且つ効率的に加工することもできる物品を製造する領域に焦点が当てられている。これらの特性を改良することを目指して大きな努力が継続されており、これらは数多くの多種多様な望ましい最終用途によって複雑化している。而して、強度、吸収性、柔軟性のような望ましい複数の特性の組を示し、種々の最終用途において用いることができる不織布に対する必要性が存在する。有利には、不織布を形成するのに用いられるステープル繊維はまた、新しい装置又は既存の装置を有する施設内における繊維及び不織布の両方の効率的な商業的製造を促進するために、改良された加工性などの望ましい特性も示し、一方でまた、種々の条件下で処分することによって容易に且つ完全に分解する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一形態においては、本発明はセルロースアセテートから形成されるステープル繊維に関する。この繊維は、少なくとも部分的に少なくとも1種類の仕上剤で被覆されている。繊維は、3.0未満のデニール/フィラメント、及び22捲縮/インチ(CPI)未満の捲縮頻度(crimp frequency)を有する。複数の繊維は、約0.70以下の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数(fiber-to-fiber staple pad coefficient of friction)を示す。
【0008】
他の形態においては、本発明は、不織布において用いるのに好適なステープル繊維、又は不織布におけるステープル繊維の使用に関する。このステープル繊維はセルロースアセテートから形成される。繊維は、少なくとも部分的に少なくとも1種類の仕上剤で被覆されている。繊維は、3.0未満のデニール/フィラメント、及び22捲縮/インチ(CPI)未満の捲縮頻度を有する。複数の繊維は、約0.70以下の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す。
【0009】
他の形態においては、本発明は、セルロースアセテートから形成され、約4~約22CPIの範囲の捲縮頻度、及び約3.0未満のデニール/フィラメントを有する捲縮ステープル繊維に関する。繊維の平均テナシティは,同一であるが非捲縮の繊維の平均テナシティの少なくとも約85%である。
【0010】
他の形態においては、本発明は、不織布において用いるのに好適な捲縮ステープル繊維、又は不織布における捲縮ステープル繊維の使用に関する。ステープル繊維はセルロースアセテートから形成される。繊維は、約4~約22CPIの範囲の捲縮頻度、及び約3.0未満のデニール/フィラメントを有する。繊維の平均テナシティは、同一であるが非捲縮の繊維の平均テナシティの少なくとも約85%である。
【0011】
更に他の形態においては、本発明は、捲縮された被覆セルロースアセテートステープル繊維を製造する方法であって、(a)複数の個々のセルロースアセテートフィラメントを含むセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成すること、ここで個々のセルロースアセテートフィラメントは15以下の平均デニール/フィラメントを有し、形成することは、少なくとも1種類の紡糸仕上剤をフィラメントヤーンの少なくとも一部に施すことを含む;(b)セルロースアセテートフィラメントヤーンの少なくとも一部を捲縮して捲縮フィラメントヤーンを与えること、ここで捲縮フィラメントヤーンは、捲縮フィラメントヤーンの少なくとも5箇所の異なる位置において測定して22捲縮/インチ(CPI)以下の平均捲縮頻度を有する;そして(c)捲縮フィラメントヤーンを切断して、複数の捲縮セルロースアセテートステープル繊維を形成すること;を含む上記方法に関する。捲縮フィラメントヤーンのフィラメントの平均テナシティは、捲縮の前のフィラメントヤーンのフィラメントの平均テナシティの少なくとも90%である。
【0012】
更に他の形態においては、本発明は、捲縮された被覆セルロースアセテートステープル繊維を製造する方法であって、(a)複数の個々のセルロースアセテートフィラメントを含むセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成すること、ここでフィラメントは15以下の平均デニール/フィラメントを有する;(b)セルロースアセテートフィラメントヤーンの少なくとも一部を捲縮して捲縮フィラメントヤーンを与えること、ここで捲縮フィラメントヤーンは、フィラメントヤーンの少なくとも5箇所の異なる位置において測定して22捲縮/インチ(CPI)以下の平均捲縮頻度を有する;(c)捲縮フィラメントヤーンの少なくとも一部を少なくとも1種類の仕上剤で被覆して、被覆された捲縮セルロースアセテートフィラメントヤーンを与えること;そして(d)被覆された捲縮セルロースアセテートフィラメントヤーンを切断して、複数の捲縮セルロースアセテートステープル繊維を形成すること;を含む上記方法に関する。
【0013】
更なる形態においては、本発明は、セルロースアセテートから形成され、少なくとも部分的に少なくとも1種類のイオン性繊維仕上剤で被覆されているステープル繊維に関する。この繊維は、logRとして表して約11以下の表面抵抗率を有する。
【0014】
他の形態においては、本発明は、不織布において用いるのに好適な捲縮ステープル繊維、又は不織布における捲縮ステープル繊維の使用に関する。この繊維は、セルロースアセテートから形成され、少なくとも部分的に少なくとも1種類のイオン性繊維仕上剤で被覆されている。繊維は、logRとして表して約11以下の表面抵抗率を有する。
【0015】
更に他の形態においては、本発明はセルロースアセテートから形成されるステープル繊維に関する。複数の繊維は、約0.1~約0.7の範囲の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す。
【0016】
他の形態においては、本発明は、不織布において用いるのに好適な捲縮ステープル繊維、及び不織布における捲縮ステープル繊維の使用に関する。この繊維はセルロースアセテートから形成される。複数の繊維は、約0.1~約0.7の範囲の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す。
【0017】
更に他の形態においては、本発明はセルロースアセテートから形成されるステープル繊維に関する。このステープル繊維は、約0.5~約6.0の範囲のデニール/フィラメント、及び8~24捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度、及び約25秒未満の静電気半減期(static half-life)を有する。複数の繊維は、少なくとも約0.10の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す。
【0018】
他の形態においては、本発明は、不織布において用いるのに好適なステープル繊維、又は不織布における捲縮ステープル繊維の使用に関する。このステープル繊維はセルロースアセテートから形成される。ステープル繊維は、約0.5~約6.0の範囲のデニール/フィラメント、8~24捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度、及び約25秒未満の静電気半減期を有する。複数の繊維は、少なくとも約0.10の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す。
【0019】
本出願の特許請求の範囲において示すそれぞれの特徴は、不織ウエブ又は不織ウエブから形成される物品において用いるのに好適なステープル繊維に適用することができる。
【0020】
更なる形態においては、本発明は、複数のセルロースアセテートステープル繊維を含む不織ウエブに関する。セルロースアセテートステープル繊維は約24捲縮/インチ(CPI)未満の捲縮頻度を有し、セルロースアセテートステープル繊維は少なくとも部分的に少なくとも1種類の仕上剤で被覆されている。不織ウエブは、次の特徴(i)~(v):(i)NWSP-110.4,オプションAにしたがって、1インチの試料片を用いて測定し、不織布の目付に関して正規化して、約10~約1000Nm/kgの範囲の機械方向(MD)の湿潤引張り強さ;(ii)NWSP-110.4,オプションAにしたがって、1インチの試料片を用いて測定し、不織布の目付に関して正規化して約10~約1000Nm/kgの範囲の幅方向(CD)の湿潤引張り強さ;(iii)NWSP-110.4,オプションAにしたがって、1インチの試料片を用いて測定し、不織布の目付に関して正規化して約10~約2000Nm/kgの範囲の機械方向(MD)の乾燥引張り強さ;(iv)NWSP-110.4,オプションAにしたがって、1インチの試料片を用いて測定し、不織布の目付に関して正規化して、約10~約2000Nm/kgの範囲の幅方向(CD)の乾燥引張り強さ;(v)約5~約20グラム-水/グラム-繊維(g/g)の範囲の吸収量;及び(vi)約2.5~約6dBの範囲のリアルソフトネス(real softness);の1以上を有する。
【0021】
更なる形態においては、本発明は複数のステープル繊維から形成される不織ウエブに関する。この繊維は、少なくとも部分的に少なくとも1種類の仕上剤で被覆されている複数のセルロースアセテートステープル繊維を含む。セルロースアセテートステープル繊維は、約3.0以下のデニール/フィラメント、及び約8~約24捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度を有する。セルロースアセテートステープル繊維は、約0.1~約0.7の範囲の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す。セルロースアセテートステープル繊維は、ウエブの全重量を基準として少なくとも約20重量%の量で不織ウエブ中に存在する。
【0022】
更なる形態においては、本発明は不織ウエブを製造する方法であって、(a)複数のセルロースアセテートステープル繊維を用意すること、ここで繊維は約24CPI以下の捲縮頻度を有し、少なくとも部分的に少なくとも1種類の仕上剤で被覆されている;(b)乾式不織布を形成するための装置中にステープル繊維を導入すること;及び(c)装置中でステープル繊維を不織ウエブに成形すること;を含む上記方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1aは、本発明の複数の態様によるステープル繊維を形成する方法における主要工程の概要図である。
【0024】
図1bは、本発明の複数の態様による不織ウエブを形成する方法における主要工程の概要図である。
【0025】
図2図2は、捲縮繊維に関する種々の寸法の測定を示す概要図である。
【0026】
図3図3は、実施例1に記載した幾つかのタイプのステープル繊維に関する2分後の最終静電圧をまとめたグラフである。
【0027】
図4図4は、実施例2に記載した幾つかのタイプの仕上剤に関する、仕上剤の量の関数としての幾つかのヤーン試料に関する滑り摩擦係数をまとめたグラフである。
【0028】
図5図5は、実施例2に記載した、施した仕上剤の量の関数としての幾つかのヤーンに関する摩擦係数をまとめたグラフである。
【0029】
図6図6は、実施例2に記載した、施した仕上剤の量の関数としての幾つかのヤーンに関するスティックスリップ値をまとめたグラフである。
【0030】
図7図7は、実施例2に記載した、施された仕上剤の量の関数としての幾つかのヤーンに関する静電気半減期の値をまとめたグラフである。
【0031】
図8図8は、実施例4に記載した、捲縮頻度の関数としての幾つかのフィラメントのテナシティをまとめたグラフである。
【0032】
図9図9は、実施例4に記載した、捲縮頻度及びデニール/フィラメントの関数としての幾つかのフィラメントのテナシティをまとめたグラフである。
【0033】
図10図10は、実施例5に記載した、時間の関数としての幾つかの不織ウエブの吸上げ高さをまとめたグラフである。
【0034】
図11図11は、実施例5に記載した幾つかの不織ウエブに関する5分後の吸上げ高さをまとめたグラフである。
【0035】
図12図12は、実施例5に記載した幾つかの不織ウエブの吸収量をまとめたグラフである。
【0036】
図13図13は、実施例6に記載した幾つかの他の不織ウエブの吸収量をまとめたグラフである。
【0037】
図14図14は、実施例6に記載した更なる不織ウエブの吸収量をまとめたグラフである。
【0038】
図15図15は、実施例7に記載した、ハンドフィール(hand feel)(手触り感)の関数としての幾つかの不織ウエブのリアルソフトネスをまとめたグラフである。
【0039】
図16図16は、実施例11に記載した工業的堆肥化条件下におけるセルロース繊維の生分解速度をセルロースアセテート繊維と比較したグラフである。
【0040】
図17図17は、実施例11に記載した家庭堆肥化条件下におけるセルロース繊維の生分解速度をセルロースアセテート繊維と比較したグラフである。
【0041】
図18図18は、実施例11に記載した土壌条件下におけるセルロール繊維の生分解速度をセルロースアセテート繊維と比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、セルロースの有機酸エステル(例えばセルロースエステル)から形成されるステープル繊維、及びこれらのステープル繊維を製造する方法、並びに不織布及び物品を形成するためのこれらのステープル繊維の使用に関する。予期しなかったことに、本明細書に記載するセルロースエステルステープル繊維を用いて、吸収性、強度、及び柔軟性のような向上した特性を示す不織ウエブを形成することができることが見出された。同時に、本セルロースエステル繊維は、環境に優しくすることができ、新しい処理施設及び既存の処理施設の両方を用いて処理することができる。本明細書に記載するステープル繊維から形成することができる好適なタイプの不織物品の例としては、使い捨てオムツ及びトレーニングパンツ、婦人用衛生用品、成人用尿漏れ防止パッド、湿式及び乾式の個人用、医療用、及び産業用拭取材(トイレに流せる拭取材を含む)、並びに種々のタイプの濾過媒体、マスク、使い捨てシート、ガウン、包帯、医療用途のためのブランケット、使い捨て衣料(医療衣び手術衣を含む)、及び産業用保護衣及びマスク、ジオテキスタイル、フィルター、カーペット下張り及び裏地、及び枕、椅子張り、及びマットレス用の詰物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書に記載するステープル繊維は、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートホルメート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートブチレート、及びこれらの混合物など(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上のセルロースエステルから形成することができる。本明細書においては「セルロースアセテート」に関して記載しているが、1種類以上の上記のセルロース酸エステル又は混合エステルを用いて、本明細書に記載する繊維、不織布、及び物品を形成することもできることを理解すべきである。種々のタイプのセルロースエステルが、例えば、米国特許1,698,049;1,683,347;1,880,808;1,880,560;1,984,147;2,129,052;及び3,617,201(これらのそれぞれは、本開示と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。幾つかの場合においては、他のタイプの処理又は再生セルロース(例えばビスコース、レーヨン、又はリヨセル)を、本明細書に記載するステープル繊維の形成において用いることができ、又は用いなくてもよい。
【0044】
ステープル繊維をセルロースアセテートから形成する際には、それは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、又はこれらの混合物から形成することができる。本発明の複数の態様において有用なセルロースアセテート(又は他のセルロースエステル)は、1.9~2.9の範囲の置換度を有していてよい。本明細書において用いる「置換度」又は「DS」という用語は、セルロースポリマーの無水グルコース環あたりのアシル置換基の平均数を指し、最大の置換度は3.0である。幾つかの場合においては、本明細書に記載する繊維を形成するのに用いるセルロースアセテートは、少なくとも約1.95、2.0、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、又は2.3、及び/又は約2.9以下、2.85以下、2.8以下、2.75以下、2.7以下、2.65以下、2.6以下、2.55以下、2.5以下、2.45以下、2.4以下、又は2.35以下の平均置換度を有していてよく、セルロースアセテートの90重量%より多く、91重量%より多く、92重量%より多く、93重量%より多く、94重量%より多く、95重量%より多く、96重量%より多く、97重量%より多く、98重量%より多く、又は99重量%より多くは、2.15より高く、2.2より高く、又は2.25より高い置換度を有する。幾つかの場合においては、セルロースアセテートの90%より多くは、2.2より高く、2.25より高く、2.3より高く、又は2.35より高い置換度を有していてよい。通常は、アセチル基は、全アシル置換基の少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%、及び/又は約99%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、又は70%以下を構成していてよい。
【0045】
セルロースアセテートは、ゲル透過クロマトグラフィーを用い、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を用いて測定して90,000以下の重量平均分子量(M)を有していてよい。幾つかの場合においては、セルロースアセテートは、少なくとも約10,000、少なくとも約20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、又は45,000、及び/又は約100,000以下、95,000以下、90,000以下、85,000以下、80,000以下、75,000以下、70,000以下、65,000以下、60,000以下、又は50,000以下の分子量を有していてよい。
【0046】
ここで図1aを見ると、セルロースアセテートステープル繊維を形成するプロセスの主要工程が与えられている。セルロースアセテート又は他のセルロースエステルは、任意の好適な方法によって形成することができる。幾つかの場合においては、セルロースアセテートは、木材パルプのようなセルロース材料を、酸性反応媒体中で無水酢酸及び触媒と反応させてセルロースアセテートフレークを形成することによって形成することができる。次に、フレークを、アセトン又はメチルエチルケトンのような溶剤中に溶解して「溶剤ドープ」を形成することができ、これを濾過し、図1aに示すように紡糸ゾーン20内で紡糸口金を通して送ってセルロースアセテート繊維を形成することができる。幾つかの場合においては、繊維の所望の特性及び最終用途に応じて、約1重量%以下又はそれ以上の二酸化チタン又は他の艶消剤を濾過の前にドープに加えることができる。
【0047】
幾つかの場合においては、セルロースアセテート繊維を形成するのに用いる溶剤ドープ又はフレークに、セルロースアセテートに加えて少量の添加剤を含ませることができ、或いは添加剤は含ませなくてよい。かかる添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、酸化促進剤、酸スキャベンジャー、無機物質、顔料、及び着色剤を挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの場合においては、本明細書に記載するセルロースアセテート繊維に、繊維の全重量を基準として少なくとも約90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、99.995%、又は99.999%のセルロースアセテートを含ませることができる。本発明にしたがって形成される繊維には、約10重量%以下、9.5重量%以下、9重量%以下、8.5重量%以下、8重量%以下、7.5重量%以下、7重量%以下、6.5重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3.5重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、又は0.001重量%以下のセルロースアセテート以外の添加剤(ここにリストした具体的な添加剤を含む)を含ませることができる。
【0048】
セルロースアセテート繊維は、同様の繊維の環境易分解性を促進するのに伝統的に用いられている添加剤を用いることなく、より高いレベルの生分解性及び/又は堆肥化可能性を達成することができる。かかる添加剤としては、例えば、光分解剤、生分解剤、分解促進剤、及び種々のタイプの他の添加剤を挙げることができる。これらのタイプの添加剤を実質的に含まないにもかかわらず、本セルロースアセテート繊維及び物品は、予期しなかったことに、上記で議論したように工業的条件下、家庭条件下、及び/又は土壌条件下で試験した際に向上した生分解性及び堆肥化可能性を示すことが分かった。
【0049】
幾つかの態様においては、本明細書に記載するセルロースアセテート繊維は、光分解剤を実質的に含んでいなくてよい。例えば、繊維は、繊維の全重量を基準として約1重量%以下、0.75重量%以下、0.50重量%以下、0.25重量%以下、0.10重量%以下、0.05重量%以下、0.025重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、0.0025重量%以下、又は0.001重量%以下の光分解剤を含み得、或いは繊維は光分解剤を含んでいなくてよい。かかる光分解剤の例としては、光酸化触媒として機能し、場合によっては1種類以上の金属塩、酸化性促進剤、及びこれらの組合せを存在させることによって増進される顔料が挙げられるが、これらに限定されない。顔料としては、被覆又は非被覆アナターゼ又はルチル二酸化チタンを挙げることができ、これらは単独か、又は例えば種々のタイプの金属のような1種類以上の増進成分と組み合わせて存在させることができる。光分解剤の他の例としては、ベンゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾフェノン及びその誘導体、アセトフェノン及びその誘導体、キノン類、チオキサントン類、フタロシアニン及び他の光増感剤、エチレン-一酸化炭素コポリマー、芳香族ケトン-金属塩増感剤、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0050】
幾つかの態様においては、本明細書に記載するセルロースアセテート繊維は、生分解剤及び又は分解剤を実質的に含んでいなくてよい。例えば、繊維は、繊維の全重量を基準として約1重量%以下、0.75重量%以下、0.50重量%以下、0.25重量%以下、0.10重量%以下、0.05重量%以下、0.025重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、0.0025重量%以下、0.0020重量%以下、0.0015重量%以下、0.001重量%以下、0.0005重量%以下の生分解剤及び/又は分解剤を含み得、或いは繊維は生分解剤及び/又は分解剤を含んでいなくてよい。かかる生分解剤及び分解剤の例としては、リンのオキソ酸の塩、リンのオキソ酸のエステル又はその塩、炭酸又はその塩、リンのオキソ酸、イオウのオキソ酸、窒素のオキソ酸、これらのオキソ酸の部分エステル又は水素塩、炭酸及びその水素塩、スルホン酸、及びカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
かかる生分解剤及び分解剤の他の例としては、分子あたり2~6個の炭素原子を有するオキソ酸、分子あたり2~6個の炭素原子を有する飽和ジカルボン酸、及びオキソ酸又は飽和ジカルボン酸と1~4個の炭素原子を有するアルコールとの低級アルキルエステルからなる群から選択される有機酸が挙げられる。生分解剤にはまた、例えばリパーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、及びこれらの組合せのような酵素を含ませることもできる。他のタイプの生分解剤及び分解剤としては、リン酸セルロース、リン酸デンプン、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、酢酸、及びこれらの組合せを挙げることができる。
【0052】
本明細書に記載するセルロースアセテート繊維はまた、環境易分解性を促進するために他の繊維に加えられている幾つかの他のタイプの添加剤を実質的に含まなくてもよい。これらの添加剤の例としては、脂肪族で低分子量(例えば5000未満)のポリエステルなどのポリエステル、酵素、微生物、水溶性ポリマー、変性セルロースアセテート、
水分散性添加剤、窒素含有化合物、ヒドロキシ官能性化合物、酸素含有複素環式化合物、イオウ含有複素環式化合物、無水物、モノエポキシド、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの場合においては、本明細書に記載する繊維は、約0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下、0.25重量%以下、0.1重量%以下、0.075重量%以下、0.05重量%以下、0.025重量%以下、0.01重量%以下、0.0075重量%以下、0.005重量%以下、0.0025重量%以下、又は0.001重量%以下のこれらのタイプの添加剤を含み得、或いはセルロースアセテート繊維は、これらのタイプの添加剤を含んでいなくてよい。
【0053】
図1aに戻ると、紡糸口金において、複数の孔を通して溶剤ドープを押出して、連続セルロースアセテートフィラメントを形成することができる。紡糸口金において、フィラメントを延伸して、数百、又は更には数千の個々のフィラメントの束を形成することができる。これらの束又はバンドのそれぞれには、少なくとも100、150、200、250、300、350、又は400、及び/又は1000以下、900以下、850以下、800以下、750以下、又は700以下の繊維を含ませることができる。紡糸口金は、所望の寸法及び形状を有するフィラメント及び束を製造するのに好適な任意の速度で運転することができる。
【0054】
図1aに示す合糸ゾーン30内で、複数の束をフィラメントヤーンに合糸することができる。ここで用いる「フィラメントヤーン」又は「トウヤーン」とは、複数の連続した撚糸していない個々のフィラメントから形成されるヤーンを指す。フィラメントヤーンは、任意の好適な寸法のものであってよく、幾つかの態様においては、少なくとも約20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、75,000、100,000、150,000、200,000、250,000、300,000、350,000、400,000、450,000、又は500,000の全デニールを有していてよい。或いは、又は更には、フィラメントヤーンの全デニールは、約5,000,000以下、4,500,000以下、4,000,000以下、3,500,000以下、3,000,000以下、2,500,000以下、2,000,000以下、1,500,000以下、1,000,000以下、900,000以下、800,000以下、700,000以下、600,000以下、500,000以下、400,000以下、350,000以下、300,000以下、250,000以下、200,000以下、150,000以下、100,000以下、95,000以下、90,000以下、85,000以下、80,000以下、75,000以下、又は70,000以下であってよい。
【0055】
概して縦方向に整列して押出され、最終的にフィラメントヤーンを形成する個々のフィラメントもまた、任意の好適な寸法のものであってよい。例えば、それぞれのフィラメントは、ASTM-D1577-01にしたがってFAVIMAT振動計手順を用いて測定して少なくとも約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、又は5、及び/又は約30以下、25以下、20以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4.5以下、4以下、3以下、又は2.75以下の線形デニール/フィラメント(9000mの繊維長の重量(g))を有していてよい。本明細書において用いる「フィラメント」という用語は、細長い連続の単一ストランド繊維を指し、下記に更に詳細に記載する、規定の長さに切断されたステープル繊維とは区別される。
【0056】
紡糸口金から排出される個々のフィラメントは、任意の好適な横断面形状を有していてよい。代表的な断面形状としては、円形、Y字形、I字形(ドッグボーン)、閉じたC字形、三葉形、多葉形、X字形、又は小鈍鋸歯状が挙げられるが、これらに限定されない。フィラメントが多葉断面形状を有する場合には、それは少なくとも4、5、又は6
以上の葉部を有していてよい。幾つかの場合においては、フィラメントは、1以上、2以上、3以上、又は4以上の軸に沿って対称であってよく、他の態様においては、フィラメントは非対称であってよい。本明細書において用いる「断面」という用語は、一般にフィラメントの延伸方向に直交する方法において測定されるフィラメントの横断面を指す。フィラメントの断面は、定量的画像解析(QIA)を用いて求め、測定することができる。ステープル繊維は、それからそれらが形成されたフィラメントと同様の断面形状を有していてよい。
【0057】
幾つかの態様においては、個々のフィラメント(又はステープル繊維)の断面形状は、円形の断面形状からのその偏差にしたがって特徴付けることができる。幾つかの場合においては、この偏差は、次式:形状因子=外周の長さ/(4π×断面積)1/2によって求められるフィラメント又は繊維の形状因子によって特徴付けることができる。幾つかの態様においては、個々のセルロースアセテート(又は他のセルロースエステル)フィラメント又は繊維の形状因子は、少なくとも約1、1.01、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.25、2.5、2.75、3、又は3.25、及び/又は約5以下、4.8以下、4.75以下、4.5以下、4.25以下、4以下、3.75以下、3.5以下、3.25以下、3以下、2.75以下、2.5以下、2.25以下、2以下、1.75以下、1.5以下、又は1.25以下であってよい(注:これらの値は、リストされた数の1に対する比、例えば1.45:1として表すこともできる)。円形の断面形状を有するフィラメント又は繊維の形状因子は1である。形状因子は、QIAを用いて測定することができるフィラメント又は繊維の断面積から計算することができる。
【0058】
更に、フィラメント又は繊維の断面形状はまた、与えられたフィラメント又は繊維に等しい断面積を有する円形のフィラメント又は繊維の相当直径であるその相当直径によって円形の断面と比較することもできる。幾つかの態様において、本発明の複数の態様によるセルロースアセテートフィラメント又は繊維は、少なくとも約0.0022mm、0.0023mm、0.0024mm、0.0025mm、0.0030mm、0.0033mm、0.0035mm、0.0040mm、0.0045mm、0.0050mm、0.0055mm、0.0060mm、0.0065mm、0.0070mm、0.0073mm、0.0080mm、0.0085mm、0.0090mm、0.0095mm、0.0100mm、0.0103mm、0.0104mm、0.0105mm、0.0110mm、0.0112mm、0.0115mm、0.0120mm、0.0125mm、0.0126mm、0.013mm、0.014mm、又は0.015mmの相当直径を有していてよい。或いは、又は更には、セルロースアセテートフィラメント又は繊維は、約0.0400mm以下、0.0375mm以下、0.036mm以下、0.0359mm以下、0.0350mm以下、0.0033mm以下、0.0327mm以下、0.0325mm以下、0.0300mm以下、0.0275mm以下、0.0250mm以下、0.0232mm以下、0.0225mm以下、0.0200mm以下、0.0179mm以下、0.0175mm以下、0.016mm以下、0.0150mm以下、0.0127mm以下、0.0125mm以下、又は0.0120mm以下の相当直径を有していてよい。相当直径は、QIAを用いて測定されるフィラメント又は繊維の断面から計算することができる。
【0059】
幾つかの態様においては、図1aに示されるように、フィラメントヤーン(又はトウヤーン)を捲縮ゾーン40に通すことができ、そこでパターン化された波様の形状を個々のフィラメントの少なくとも一部又は実質的に全部に与えることができる。幾つかの場合においては、フィラメントは捲縮しなくてもよく、図1aにおいて破線によって示されているように、非捲縮のフィラメントを合糸ゾーンから乾燥ゾーン50に直接送ることができる。
【0060】
用いる場合には、捲縮ゾーン40は、フィラメントヤーンを機械的に捲縮するための少なくとも1つの捲縮装置を含む。本発明の複数の態様によれば、フィラメントヤーンは、熱的又は化学的手段(例えば熱水浴、水蒸気、エアジェット、又は化学的処理若しくは被覆)によって捲縮しなくてもよいが、その代わりに好適なクリンパーを用いて機械的に捲縮する。好適なタイプの機械的クリンパーの一例は、複数のローラーを用いて摩擦力を生成させて、繊維を座屈させて捲縮を形成する「スタッフィングボックス」又は「スタッファーボックス」クリンパーである。他のタイプのクリンパーもまた好適である可能性がある。フィラメントヤーンに捲縮を与えるのに好適な装置の例は、例えば米国特許9.179,709;2,346,258;3,353,239;3,571,870;3,813,740;4,004,330;4,095,318;5,025,538;7,152,288;及び7,585,442(これらのそれぞれは本開示と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。幾つかの場合においては、捲縮工程は、少なくとも約50、75、100、125、150、175、200、225、又は250メートル/分(m/分)、及び/又は約750m/分以下、600m/分以下、550m/分以下、500m/分以下、475m/分以下、450m/分以下、425m/分以下、400m/分以下、375m/分以下、350m/分以下、325m/分以下、又は300m/分以下の速度で実施することができる。
【0061】
幾つかの場合においては、最小の破断及び高い程度の残留テナシティ(retained tenacity)を示す低捲縮で低デニール/フィラメントのセルロースアセテート繊維を形成することができる。本明細書において用いる「残留テナシティ」という用語は、パーセントとして表される、同一であるが非捲縮のフィラメント(又は繊維)の平均テナシティに対する捲縮フィラメント(又は繊維)の平均テナシティの比を指す。例えば、1.3重量グラム/デニール(g/デニール)のテナシティを有する捲縮繊維は、同一であるが非捲縮の繊維が1.5g/デニールのテナシティを有していた場合には87%の残留テナシティを有する。
【0062】
幾つかの態様においては、本発明の複数の態様にしたがって捲縮されたセルロースアセテートフィラメントは、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の残留テナシティを有し得る。更に、又は別の形態においては、セルロースアセテートフィラメントの残留テナシティは、ここに記載したように計算して約99%以下、97%以下、95%以下、90%以下、92%以下、90%以下、87%以下、85%以下、82%以下、又は80%以下であり得る。残留テナシティは、幾つかの場合においては100%であり得る。これらの範囲内の残留テナシティを示す捲縮フィラメントは、殆どのセルロースアセテートフィラメントの固有の脆弱性を考慮すると予期しないものである。幾つかの場合においては、最終的なセルロースアセテートステープル繊維は、同一であるが非捲縮のステープル繊維と比べて同等の残留テナシティを示すことができる。
【0063】
捲縮は、最終のステープル繊維が、ASTM-D3937にしたがって測定して、少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14捲縮/インチ(CPI)、及び/又は約30CPI以下、29CPI以下、28CPI以下、27CPI以下、26CPI以下、25CPI以下、24CPI以下、23CPI以下、22CPI以下、21CPI以下、20CPI以下、19CPI以下、18CPI以下、17CPI以下、16CPI以下、15CPI以下、14CPI以下、13CPI以下、12CPI以下、10CPI以下、9CPI以下、8CPI以下、7CPI以下、又は6CPI以下の捲縮頻度を有するように実施することができる。捲縮フィラメントヤーンの捲縮頻度はまた、1以上の上記の範囲内であってもよいが、捲縮フィラメントヤーンは、フィラメントヤーンを切断することによって形成されるステープル繊維と同等であるか又は僅かに異なる捲縮頻度に関する値を有し得る。例えば、幾つかの場合においては、フィラメントヤーンの捲縮頻度と、そのフィラメントヤーンから形成されるステープル繊維の捲縮頻度との間の差は、少なくとも約0.5、少なくとも約1、又は少なくとも約1.5CPI、及び/又は約5CPI以下、約2.5CPI以下、約2CPI以下、約1.5CPI以下、約1CPI以下、又は約0.75CPI以下であり得る。他の態様においては、繊維が非捲縮である場合には、繊維(及び/又はそれからその繊維が形成されるフィラメントヤーン)は、2又は1CPI以下の捲縮頻度を有し得、或いはそれは0CPIであり得る。幾つかの態様においては、フィラメントヤーンに関して測定する場合には、捲縮頻度は、フィラメントヤーンに沿って少なくとも5箇所の異なる位置において測定することができる。通常は、これらの位置は、互いから、及びフィラメントヤーンの端部から少なくとも1/2インチ離隔させることができる。
【0064】
幾つかの態様によれば、個々のフィラメントの捲縮頻度と線形デニール/フィラメントとの比は、約2.75:1、2.80:1、2.85:1、2.90:1、2.95:1、3.00:1、3.05:1、3.10:1、3.15:1、3.20:1、3.25:1、3.30:1、3.35:1、3.40:1、3.45:1、又は3.50:1より大きくてよい。幾つかの場合においては、この比は、特に例えば捲縮されるフィラメントが比較的微細である場合には、例えば約4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は更には10:1より大きいように更に大きくてよい。
【0065】
捲縮する際には、繊維又はフィラメントの捲縮振幅は変化してよく、例えば少なくとも約0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、又は1.05mmであってよい。更には、又は別の形態においては、繊維又はフィラメントの捲縮振幅は、約1.75mm以下、1.70mm以下、1.65mm以下、1.60mm以下、1.58mm以下、1.55mm以下、1.50mm以下、1.45mm以下、1.40mm以下、1.37mm以下、1.35mm以下、1.30mm以下、1.29mm以下、1.28mm以下、1.27mm以下、1.26mm以下、1.25mm以下、1.24mm以下、1.23mm以下、1.22mm以下、1.21mm以下、1.20mm以下、1.19mm以下、1.18mm以下、1.17mm以下、1.16mm以下、1.15mm以下、1.14mm以下、1.13mm以下、1.12mm以下、1.11mm以下、1.10mm以下、1.09mm以下、1.08mm以下、1.07mm以下、1.06mm以下、1.05mm以下、1.04mm以下、1.03mm以下、1.02mm以下、1.01mm以下、1.00mm以下、0.99mm以下、0.98mm以下、0.97mm以下、0.96mm以下、0.95mm以下、0.94mm以下、0.93mm以下、0.92mm以下、0.91mm以下、又は0.90mm以下であってよい。
【0066】
更には、ステープル繊維又はフィラメントは、少なくとも約1:1の捲縮比を有し得る。本明細書において用いる「捲縮比」とは、繊維又はフィラメントの非捲縮長さと、繊維又はフィラメントの捲縮長さとの比を指す。幾つかの態様においては、繊維又はフィラメントは、少なくとも約1:1、1.025:1、1.05:1、1.075:1、1.1:1、1.125:1、1.15:1、1.16:1、1.175:1、1.2:1、1.225:1、1.23:1、1.25:1、1.275:1、1.3:1、1.325:1、1.35:1、1.375:1、1.39:1、1.4:1の捲縮比を有し得る。更には、又は別の形態においては、捲縮されたトウ又はステープル繊維は、約2.01:1以下、2:1以下、1.975:1以下、1.95:1以下、1.925:1以下、1.9:1以下、1.875:1以下、1.85:1以下、1.825:1以下、1.8:1以下、1.775:1以下、1.75:1以下、1.725:1以下、1.7:1以下、1.675:1以下、1.65:1以下、1.625:1以下、1.6:1以下、1.575:1以下、1.55:1以下、1.525:1以下、1.5:1以下、1.475:1以下、1.45:1以下、1.425:1以下、1.4:1以下、1.39:1以下、1.375:1以下、又は1.35:1以下の捲縮比を有し得る。
【0067】
捲縮振幅及び捲縮比は、次の計算にしたがって測定することができる(言及する寸法は図2に示されているものである)。捲縮長さ(L)は、捲縮頻度の逆数(1/捲縮頻度)に等しく、捲縮比は直線部長さ(L)を捲縮長さで割った値(L:L)に等しい。振幅(A)は、直線部長さの半分(L/2)と捲縮長さの半分(L/2)を用いて、図2において示されるように幾何学的に計算される。非捲縮長さは、単純に従来の方法を用いて測定される。
【0068】
捲縮した後(又は、捲縮しない場合には、紡糸し、合糸ゾーン30においてギャザリングした後)、フィラメントヤーンの水分及び/又は溶剤の含量を減少させるために、フィラメントヤーンを更に乾燥ゾーン50内で乾燥することができる。幾つかの場合においては、乾燥ゾーン50内で実施される乾燥は、フィラメントヤーンの最終水分含量を、フィラメントヤーンの全重量を基準として少なくとも約3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、又は7重量%、及び/又は約9重量%以下、8.5重量%以下、8重量%以下、7.5重量%以下、7重量%以下、又は6.5重量%以下に減少させるのに十分なものであってよい。例えば強制通気オーブン、ドラムドライヤー、又はヒートセットチャネル(heat setting channel)のような任意の好適なタイプの乾燥器を乾燥ゾーン内で用いることができる。乾燥器は、フィラメントヤーンを損傷しないで必要なレベルの乾燥を与える任意の温度及び圧力条件で運転することができる。単一の乾燥機を用いることができ、或いは2以上の乾燥器を並列又は直列で用いて所望の最終水分含量を達成することができる。
【0069】
乾燥したら、フィラメントヤーンは、場合によってベール化ゾーン(balling zone)60においてベール化する(baled)ことができ、得られたベールは切断ゾーン70中に導入することができ、そこでフィラメントヤーンを切断してステープル繊維にすることができる。本明細書において用いる「ステープル繊維」という用語は、通常は約150mm未満である個々の長さを有する、フィラメントヤーンから切断された繊維を指す。幾つかの態様においては、本発明のステープル繊維は、少なくとも約1、1.5、2、3、4、5、6、8、10、12、15、17、20、22、25、27、30、32、又は35mmの長さに切断することができる。更には、又は別の形態においては、ステープル繊維は、約120mm以下、115mm以下、110mm以下、105mm以下、100mm以下、95mm以下、90mm以下、85mm以下、80mm以下、75mm以下、70mm以下、65mm以下、60mm以下、55mm以下、50mm以下、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、10mm以下、又は8mm以下の切断長を有し得る。繊維を過度に損傷しないでフィラメントを所望の長さに切断することができる任意の好適なタイプの切断装置を用いることができる。切断装置の例としては、ロータリーカッター、ギロチンカッター、牽切装置、往復ブレード、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。切断したら、その後の輸送、貯蔵、及び/又は使用のために、ステープル繊維をベール梱包(baled)又は他の形態で袋詰又は包装することができる。ステープル繊維の切断長はASTM-D5103にしたがって測定することができる。
【0070】
本発明の複数の態様によれば、本明細書に記載するステープル繊維(又はかかる繊維を形成するのに用いられるフィラメントヤーン)は、少なくとも部分的に少なくとも1種類の繊維仕上剤で被覆することができる。本明細書において用いる「繊維仕上剤」及び「仕上剤」という用語は、繊維に施すと繊維の近く又は繊維上に働く摩擦力を変化させて、繊維が互いに対して及び/又は表面に対して移動する能力を変化させる任意の好適なタイプの被覆を指す。仕上剤は、繊維に加えるとそれらを互いに接着することによって繊維の間の移動を阻止する接着剤、結合剤、又は他の同様の化学的添加剤と同じではない。仕上剤は、施したら繊維が互いに対して及び/又は他の表面に対して移動することを可能にし続けるが、摩擦力を増加又は減少させることによってこの移動の容易性を変化させることができる。幾つかの場合においては、仕上剤は、繊維の間の摩擦力を変化させることができないが、その代わりに最終被覆繊維に1以上の他の所望の特性を与えることができる。
【0071】
幾つかの態様においては、ステープル繊維に、繊維製造プロセス中の1以上の時点においてステープル繊維表面の全部又は一部に施される少なくとも2種類の仕上剤を含ませることができる。他の場合においては、ステープル繊維には1種類の仕上剤しか含ませなくてよく、一方で他の場合においては、繊維に仕上剤を全く含ませなくてよい。2種類以上の仕上剤を繊維に施す場合には、これらの仕上剤は2種類以上の異なる仕上剤のブレンドとして施すことができ、或いはこれらの仕上剤はプロセス中の異なる時点において別々に施すことができる。例えば、幾つかの場合においては、ステープル繊維を形成するプロセス中の1以上の時点において、ステープル繊維を、フィラメントヤーンに施される紡糸仕上剤又はスピンフィニッシュで少なくとも部分的に被覆することができる。例えば、幾つかの態様においては、紡糸仕上剤は、図1aにおいて矢印Aで概して示されるように、紡糸の直後に繊維に加えることができる。或いは、又は更には、紡糸仕上剤は、図1aにおいて矢印Bで概して示されるように捲縮工程の直前に、或いは紡糸工程と捲縮工程の間の任意の位置でフィラメントヤーンに加えることができる。幾つかの場合においては、紡糸仕上剤を施さなくてよい。
【0072】
紡糸仕上剤を施す任意の好適な方法を用いることができ、例えば、噴霧、吸上塗布、浸漬、或いはスクイジー、リック、又はキスローラーの使用を挙げることができる。用いる場合には、紡糸仕上剤は任意の好適なタイプのものであってよく、フィラメント又はステープル繊維上に、少なくとも約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.70、0.80、0.90、又は1%ヤーン上仕上剤(FOY)の量で存在させることができる。或いは、又は更には、紡糸仕上剤は、乾燥した繊維の全重量を基準として約1.5%ヤーン上仕上剤(FOY)以下、1.4%FOY以下、1.3%FOY以下、1.2%FOY以下、1.1%FOY以下、1.0%FOY以下、0.90%FOY以下、0.80%FOY以下、0.75%FOY以下、0.70%FOY以下、0.65%FOY以下、0.60%FOY以下、又は0.50%FOY以下の量で存在させることができる。本明細書において用いる「FOY」又は「ヤーン上仕上剤」とは、加えた水を差し引いたステープル繊維又はフィラメント、ヤーン上の仕上剤の量を指す。1種類又は2種類以上のタイプの紡糸仕上剤を用いることができる。幾つかの場合においては、紡糸仕上剤は疎水性であってよい。
【0073】
更には、又は別の形態においては、フィラメントに幾つかの特性又は特徴を与えるために捲縮後に加えるトップコート仕上剤をステープル繊維に含ませることができる。トップコート仕上剤は、例えば(図1aにおいて矢印Cによって示されるように)クリンパーの後、(図1aにおいて矢印Dによって示されるように)カッターの前、又は(図1aにおいて矢印Eによって示されるように)カッターの後などの、ステープル繊維の形成中の1以上の時点で加えることができる。施す場合には、ステープル繊維又はフィラメントヤーン上のトップコート仕上剤の全量は、乾燥した繊維又はフィラメントヤーンの全重量を基準として、少なくとも約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、又は0.35%FOY、及び/又は約7%FOY以下、6.5%FOY以下、6%FOY以下、5.5%FOY以下、5%FOY以下、4.5%FOY以下、4%FOY以下、3.5%FOY以下、3%FOY以下、2.5%FOY以下、2%FOY以下、1.5%FOY以下、1.4%FOY以下、1.3%FOY以下、1.2%FOY以下、1.1%FOY以下、1.0%FOY以下、0.90%FOY以下、0.80%FOY以下、0.75%FOY以下、0.70%FOY以下、0.65%FOY以下、0.60%FOY以下、0.55%FOY以下、0.50%FOY以下、0.45%FOY以下、0.40%FOY以下、0.35%FOY以下、0.30%FOY以下、又は0.25%FOY以下であってよい。繊維には、1種類又は2種類以上のタイプのトップコート仕上剤を含ませることができる。幾つかの態様においてはトップコート仕上剤を用いなくてよく、一方で他の態様においては、紡糸仕上剤を施さない場合であってもトップコート仕上剤を施すことができる。幾つかの態様においては、紡糸仕上剤を施す場合には、繊維に少なくとも1種類のイオン性トップコート仕上剤を含ませることができ、約0.05%FOY以下、0.01%FOY以下、又は0.005%FOY以下、又は0%FOYの鉱油ベースの仕上剤を含ませることができる。
【0074】
トップコート仕上剤はイオン性又は非イオン性であってよく、イオン性の場合にはカチオン性又はアニオン性仕上剤であってよい。仕上剤は、溶液、エマルジョン、又は分散液の形態であってよい。トップコート仕上剤は、紡糸仕上剤に関して上記で議論したものなどの任意の公知の方法にしたがって繊維又はフィラメントヤーンに施すことができる。幾つかの態様においては、トップコート仕上剤は水性エマルジョンであってよく、それには任意のタイプの炭化水素、シリコーンオイルなどのオイル、ワックス、アルコール、グリコール、又はシロキサンを含ませることができ、或いは含ませなくてよい。好適なトップコート仕上剤の例としては、ホスフェート塩、スルフェート塩、アンモニウム塩、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。仕上剤の安定性及び/又は処理性を向上させるため、及び/又はそれを繊維の所期の最終用途のためにより望ましいもの(例えば、繊維がユーザーの皮膚に接触する場合には非刺激性)にするために、少量の界面活性剤のような他の成分を存在させることもできる。更に、被覆ステープル繊維の最終用途に応じて、仕上剤は種々の連邦及び州の規制に準拠させることができ、例えば、非動物のプロポジション65に準拠し得、及び/又はFDA食品接触規制で認可され得る。
【0075】
フィラメント又は繊維に施すトップコート仕上剤の具体的なタイプは、少なくとも部分的に、ステープル繊維を用いる最終用途に応じて定めることができる。幾つかの態様においては、トップコート仕上剤は、複数の繊維(又はフィラメント)の間、及び/又はそれらと繊維(又はフィラメント)に接触する他の表面との間の摩擦力を増大させることができ、一方で他の態様においては、複数の繊維及び/又は他の表面の間の摩擦力をトップコート仕上剤によって減少させることができる。更に、仕上剤は、非被覆の繊維の親水性又は疎水性を変化させて、それをより親水性又はより低親水性、或いはより疎水性又はより低疎水性にすることによって、被覆された繊維と水との相互作用を与えることができる。トップコート仕上剤を用いることにより、繊維それ自体に更なる水分を与えることができ、又は与えなくてもよい。幾つかの態様においては、トップコート仕上剤を加えることによって、非被覆の繊維又はフィラメントに、1.0%FOY未満、0.90%FOY未満、0.80%FOY未満、0.70%FOY未満、0.60%FOY未満、0.50%FOY未満、0.40%FOY未満、0.30%FOY未満、又は0.20%FOY未満の水分を加えることができる。
【0076】
幾つかの場合においては、繊維-繊維間摩擦力を同一であるが非被覆の繊維と比べて増大させるトップコート仕上剤は、比較的低い(例えば8CPI以下)又はゼロの捲縮頻度の繊維に関して望ましい可能性があることが見出され、一方で他の場合においては、比較的高い(例えば16CPI以上の)捲縮頻度を有する繊維は、同一であるが非被覆の繊維と比べて繊維-繊維間摩擦力を変化又は減少させないトップコート仕上剤の利益を享受する可能性があることが見出された。幾つかの場合においては、約8~約16CPI又は約10~約14CPIの範囲の捲縮頻度を有する繊維は、トップコート仕上剤を用いないで処理することができる。幾つかの場合においては、トップコート仕上剤のみを繊維に施すことができる。
【0077】
更に、幾つかの態様においては、トップコート仕上剤(及び又は紡糸仕上剤)に、例えば静電防止剤のような他の添加剤を含ませることができる。更に、仕上剤には、湿潤剤、酸化防止剤、殺生物剤、腐食防止剤、pH制御剤、乳化剤、及びこれらの組合せのような1種類以上の他の添加剤を含ませることもできる。また、1種類以上の添加剤を被覆(しかしながら更なる摩擦力調節特性を有しない)として繊維に加えることができる可能性もある。例えば、他の形態においてはトップコート仕上剤を含まない繊維に静電防止剤を施すことができ、これを本明細書に記載するように好適に不織ウエブに成形することができる。
【0078】
存在させる場合には、任意の好適な静電防止剤を用いることができ、幾つかの場合においては、静電防止剤には極性及び/又は親水性の化合物を含ませることができる。用いる場合には、かかる添加剤は、例えば仕上剤の全重量を基準として、少なくとも約0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、又は0.35重量%、及び/又は約3重量%以下、2.9重量%以下、2.8重量%以下、2.7重量%以下、2.6重量%以下、2.5重量%以下、2.4重量%以下、2.3重量%以下、2.2重量%以下、2.1重量%以下、2.0重量%以下、1.9重量%以下、1.8重量%以下、1.7重量%以下、1.6重量%以下、1.5重量%以下、1.4重量%以下、1.3重量%以下、1.2重量%以下、1.1重量%以下、1重量%以下、0.90重量%以下、0.80重量%以下、0.70重量%以下、0.60重量%以下、又は0.50重量%以下のような任意の好適な量で存在させることができる。
【0079】
ステープル繊維を静電防止仕上剤で被覆する場合には、被覆された繊維は、AATCC-84-2011にしたがって測定して、約100秒以下、90秒以下、80秒以下、75秒以下、70秒以下、65秒以下、60秒以下、55秒以下、50秒以下、45秒以下、40秒以下、35秒以下、30秒以下、25秒以下、22秒以下、20秒以下、17秒以下、15秒以下、12秒以下、10秒以下、8秒以下、5秒以下、3秒以下、2秒以下、1.5秒以下、又は1秒以下の静電気半減期を示すことができる。幾つかの態様においては、ステープル繊維は、約30分以下、25分以下、20分以下、18分以下、15分以下、12分以下、10分以下、又は8分以下の静電気半減期を有することができる。他の態様においては、被覆繊維の静電気半減期は、AATCC-84-2011にしたがって測定して、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約5、8、10、15、20、30、40、50、60、75、90、又は100分、及び/又は約120分以下、110分以下、100分以下、90分以下、75分以下、60分以下、45分以下、40分以下、35分以下、30分以下、20分以下、15分以下、又は12分以下にすることができる。
【0080】
幾つかの態様においては、これは、同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期の95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であり得る。幾つかの場合においては、被覆繊維の静電気半減期は、同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%低い値であり得る。
【0081】
或いは、又は更には、本明細書に記載する被覆ステープル繊維は、AATCC-TM76-2011にしたがって測定して、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、又は9、及び/又は約11以下、10.5以下、10以下、9.75以下、9.5以下、9.25以下、9以下、8.75以下、8.5以下、8.25以下、8以下、7.75以下、7.5以下の表面抵抗率(LogR)を有することができる。表面抵抗率は、Keithley Instruments絶縁ボックス(モデルNo.6104)に接続したMonroe Electronics抵抗計(モデルNo.272A)を用い、ステープル繊維の抵抗を測定するための絶縁カップを用いて測定した。表面抵抗率(LogR)は、表面抵抗に、試験する領域の長さのその幅に対する比を乗じることによって計算され、結果を計算された値の10を底とする対数として表す。
【0082】
幾つかの態様においては、ステープル繊維又はフィラメントヤーンは、少なくとも1種類の紡糸仕上剤及び少なくとも1種類のトップコート仕上剤で少なくとも部分的に被覆することができる。本発明の複数の態様によるステープル繊維又はフィラメントヤーン上に存在する全ての仕上剤の全量は、乾燥した繊維の全重量を基準として、少なくとも約0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、又は1.05%FOY、及び/又は約10%FOY以下、9%FOY以下、8%FOY以下、7%FOY以下、6%FOY以下、5%FOY以下、4%FOY以下、3%FOY以下、2%FOY以下、1.5%FOY以下、1.4%FOY以下、1.3%FOY以下、1.2%FOY以下、1.1%FOY以下、1.0%FOY以下、0.90%FOY以下、0.80%FOY以下、0.75%FOY以下、0.70%FOY以下、0.65%FOY以下、0.60%FOY以下、0.55%FOY以下、0.50%FOY以下、又は0.45%FOY以下であってよい。重量%によって表される繊維上の仕上剤の量は、ASTM-D2257にしたがって溶剤抽出によって求めることができる。
【0083】
被覆ステープル繊維は、米国特許5,683,811に記載のようにして、下記のように修正して測定して、少なくとも約0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.32、0.35、0.40、0.42、0.45、0.50、0.55、及び/又は約1以下、0.95以下、0.90以下、0.85以下、0.80以下、0.75以下、0.70以下、0.65以下、0.60以下、0.55以下、0.50以下、0.45以下、0.40以下、又は0.35以下の繊維-繊維間(F/F)ステープルパッド摩擦係数(SPCOF)を示すことができる。
【0084】
その摩擦力を測定する繊維のステープルパッドを、ステープルパッド上の重りと、ステープルパッドの下側の基部との間にサンドイッチし、Series IXソフトウエアを搭載したInstron 5966 Blue Hill機(Instron Engineering Corp., Canthon, Mass.の製品)の下部クロスヘッド上に取り付ける。ステープルパッドは、ステープル繊維を(ローラートップ実験室カーディング機を用いて)カーディングして打延シート(バット)を形成し、これを、繊維を打延シートの長さ方向に配向させて、長さ12インチ、幅3インチの切片に切断する。ステープルパッドが3gになるのに十分な切片を積層する。ステープルパッドパッド上の金属重りは、長さ(L)100mm、幅(W)45mmインチ、及び高さ(H)40mm、重量1200gである。ステープルパッドに接触する重り及び基部の表面を、両面テープによって貼り付けた60GCのサンドペーパーで覆うので、ステープルパッドの表面に接触するのはサンドペーパーである。ステープルパッドを基部上に配置する。パッドの中央部上に重りを配置する。重りのより小さい垂直の(W×H)面の1つにナイロン製のモノフィラメントラインを取付け、小プーリーの周りをInstronの上部クロスヘッドまで通して、プーリーの周囲に90°の巻付角を形成する。
【0085】
Instronに接続したコンピューターによって信号を与えて試験を開始する。Instronの下部クロスヘッドを、150(±30)mm/分の速度で下方に動かす。同様に、ステープルパッド、重り、及びプーリーも、下部クロスヘッド上に取り付けられている基部と共に下方に動かす。下方に動いている重りと、静止状態の上部クロスヘッドの間で延伸されるにつれて、ナイロンモノフィラメントにおいて張力が増加する。張力を、ステープルパッド中の繊維の配向の方向である水平方向で重りに加える。最初は、ステープルパッド内の動きは僅かであるか又は無い。Instronの上部クロスヘッドへ加えられる力をロードセルによって監視し、閾値レベル(パッド中の繊維が互いにずれ始める時点)まで増加させる。(ステープルパッドとの接触面におけるEmery布のために、これらの接触面においては相対的な動きは少ししかなく、実質的に全ての動きは、互いにずれるステープルパッド中の繊維から生起する)。最も高い摩擦力レベルが、繊維-繊維間の静止摩擦力を克服するのに必要なレベルを示しており、これを記録する。最も低い摩擦力が動摩擦力である。平均摩擦力は、静止摩擦力と動摩擦力の平均である。
【0086】
平均摩擦力(20~60mmの剥離伸びにおける平均荷重)を計算するために、4つの値を用いる。ステープルパッド繊維-繊維間摩擦係数は、測定された平均摩擦力を1200gの重量で割ることによって求められる。スクループ値(scroop value)は、静止摩擦力と動摩擦力の間の差として求めることができる。
【0087】
更に、又は別の形態においては、被覆ステープル繊維は、米国特許5,683,811に記載のようにして、上記のように修正して、及び繊維-金属間(fiber-to-metal)SPCOFを測定する際には1200グラムの金属重り表面をステープルパッド又はサンドペーパーで覆わないで測定して、少なくとも約0.10、0.12、0.15、0.17、0.20、0.22、0.25、0.30、0.32、0.35、0.40、0.42、0.45、0.48、0.50、0.55、0.60、及び/又は約1以下、0.95以下、0.90以下、0.85以下、0.80以下、0.75以下、0.70以下、0.65以下、0.60以下、0.55以下、0.50以下、0.45以下、0.40以下、0.37以下、0.35以下、0.32以下、又は0.30以下の繊維-金属間(F/M)ステープルパッド摩擦係数(SPCOF)を示すことができる。
【0088】
幾つかの場合においては、フィラメントヤーンを紡糸仕上剤及び/又はトップコート仕上剤で被覆する場合には、フィラメントヤーンは、少なくとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、又は0.40、及び/又は約0.55以下、0.50以下、0.45以下、0.42以下、0.40以下、0.35以下、0.33以下、0.30以下、0.25以下、0.20以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、又は0.06以下の繊維-繊維間(F/F)摩擦係数(COF)を示すことができる。連続フィラメントのF/F摩擦係数(COF)の値は、ASTM-D3412にしたがって、規定のヤーンパラメータ、100m/分の速度、10グラムの投入張力を用い、フィラメントに片撚りを施して、求めることができる。
【0089】
他の態様においては、本明細書に記載するヤーンは、ASTM-D3412にしたがい、連続引張試験機電子装置(CTT-E)を用いて、規定のヤーンパラメータ、20m/分の速度、10グラムの投入張力を用い、フィラメントに片撚りを施して測定して1以上の上記の範囲内のF/F摩擦係数値を有することができる。
【0090】
更には、本発明の複数の態様にしたがう紡糸仕上剤及び/又はトップコート仕上剤で被覆されたフィラメントヤーンは、少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.57、0.60、又は0.65、及び/又は約0.80以下、0.75以下、0.70以下、0.65以下、0.60以下、0.55以下、0.50以下、0.45以下、又は0.40以下の繊維-金属間(F/M)摩擦係数を示すことができる。連続フィラメントのF/M摩擦係数に関する値は、ASTM-D3108にしたがい、規定のヤーンパラメータ、100m/分の速度、及び48グラムの投入張力を用いて求めることができる。
【0091】
他の態様においては、本明細書に記載するヤーンは、ASTM-D3108にしたがい、連続引張試験機電子装置(CTT-E)を用いて、規定のヤーンパラメータ、100m/分の速度、及び10グラムの投入張力を用いて測定して1以上の上記の範囲内のF/M摩擦係数値を有することができる。
【0092】
被覆ステープル繊維の繊維-繊維間結合は、被覆繊維によって示される「スクループ値」によって表すことができる。本明細書に記載する被覆繊維のスクループ値(静止引張力と動引張力の間の差として測定される)は、160重量グラム(g)未満にすることができる。幾つかの態様においては、被覆ステープル繊維は、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、又は150重量グラム(gf)、及び/又は約275gf以下、250gf以下、200gf以下、195gf以下、190gf以下、185gf以下、180gf以下、175gf以下、170gf以下、165gf以下、160gf以下、155gf以下、150gf以下、145gf以下、140gf以下、135gf以下、130gf以下、125gf以下、120gf以下、115gf以下、110gf以下、105gf以下、又は100gf以下のスクループ値を示すことができる。より低いスクループ値によって示されるより低い結合を有する被覆ステープル繊維は、全体的により柔軟な感触を有する不織布材料を形成することができる。
【0093】
静止摩擦力及び動摩擦力(重量グラム)並びに得られるスクループ値は、米国特許5,683,811及び米国特許5,480,710に記載されているステープルパッド摩擦法から、しかしながらInstron 1122機ではなくInstron 5500シリーズの機械を用いて計算することができる。繊維-繊維間静止摩擦力は、平衡牽引挙動に達した時点の低牽引速度における最大閾値牽引力として’710特許に記載されているように求められ、繊維-繊維間動摩擦力は、同様に計算されるが、ステープルパッドがスリップスティック挙動になった際の力の最小閾値レベルである。スクループは、静止摩擦牽引力と動摩擦牽引力の間の差として、重量グラムの単位で計算される。
【0094】
本明細書に記載する被覆ステープル繊維はまた、予測されるよりも高い強度を示すこともできる。例えば、幾つかの態様においては、被覆ステープル繊維は、ASTM-D3822にしたがって測定して、少なくとも約0.5、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、1.05、1.1、1.15、1.20、1.25、1.30、又は1.35重量グラム/デニール(g/デニール)、及び/又は2.50g/デニール以下、2.45g/デニール以下、2.40g/デニール以下、2.35g/デニール以下、2.30g/デニール以下、2.25g/デニール以下、2.20g/デニール以下、2.15g/デニール以下、2.10g/デニール以下、2.05g/デニール以下、2.00g/デニール以下、1.95g/デニール以下、1.90g/デニール以下、1.85g/デニール以下、1.80g/デニール以下、1.75g/デニール以下、1.70g/デニール以下、1.65g/デニール以下、1.60g/デニール以下、1.55g/デニール以下、1.50g/デニール以下、1.47g/デニール以下、1.45g/デニール以下、又は1.40g/デニール以下のテナシティを示すフィラメントから形成することができる。更に、幾つかの態様においては、被覆ステープル繊維(又はそれからステープル繊維が形成されるフィラメント)の破断点伸びは、ASTM-D3822にしたがって測定して、少なくとも約5、6、10、15、20、又は25%、及び/又は約50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、又は30%以下にすることができる。
【0095】
伝統的に、セルロースアセテートの繊維及びフィラメントは、最終繊維物品の形成及び最終的な生分解性を促進にするために、可塑剤で被覆されている。しかしながら、本明細書に記載する繊維及びフィラメントヤーンは、可塑剤を少ししか含まないか又は全く含まず、予期しなかったことに、より高いレベルの可塑剤を有するセルロースアセテート繊維と比べても、工業的条件下、家庭条件下、及び土壌条件下で向上した生分解性を示すことが示された。
【0096】
幾つかの態様においては、本明細書に記載する繊維は、繊維の全重量を基準として約30%以下、27%以下、25%以下、22%以下、20%以下、17%以下、15%以下、12%以下、10%以下、9.5%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、0.5%以下、0.25%以下、又は0.10%以下の可塑剤を含んでいてよく、或いは繊維は可塑剤を含んでいなくてよい。存在する場合には、可塑剤は、溶剤ドープ又はセルロースアセテートフレークとブレンドすることによって繊維自体の中に導入することができ、或いは可塑剤は、噴霧、回転ドラム装置からの遠心力、又は浸漬浴によって繊維又はフィラメントの表面に施すことができる。
【0097】
繊維中又は繊維上に存在させることができ、又は存在していなくてもよい可塑剤の例としては、芳香族ポリカルボン酸エステル、脂肪族ポリカルボン酸エステル、多価アルコールの低級脂肪酸エステル、及びリン酸エステルを挙げることができるが、これらに限定されない。更なる例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、テトラオクチルピロメリレート、トリオクチルトリメリテート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジエチルアゼレート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、ジグリセリンテトラアセテート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、及びトリクレシルホスフェート、並びにこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、本発明の繊維にはいずれのタイプの可塑剤又は他の添加剤も含ませなくてよく、セルロースアセテート、及び1%FOY以下の紡糸仕上剤から実質的に構成することができ、又はこれらから構成することができる。
【0098】
更に、本明細書に記載するセルロースアセテート繊維は、繊維の生分解性を向上させるように設計されている更なる処理工程にかけていなくてよい。例えば、繊維は、加水分解していなくてよく、或いは酵素又は微生物で処理していなくてよい。繊維には、約1重量%以下、0.75重量%以下、0.5重量%以下、0.25重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、又は0.01重量%以下の接着剤又は結合剤を含ませることができ、1重量%未満、0.75重量%未満、0.5重量%未満、0.25重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満の変性又は置換セルロースアセテートを含ませることができる。幾つかの態様においては、繊維に接着剤又は結合材を含ませなくてよく、置換又は変性セルロースアセテートから形成しなくてよい。置換又は変性セルロースアセテートとしては、スルフェート、ホスフェート、ボレート、カーボネート、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基のような極性置換基で変性されているセルロースアセテートを挙げることができる。
【0099】
本明細書に記載するセルロースアセテート繊維、フィラメント、及びヤーンを用いて、種々のタイプの繊維状物品において用いることができる不織ウエブを形成することができる。例えば、幾つかの場合においては、本明細書に記載する被覆ステープル繊維は、強度、耐久性、可撓性、柔軟性、及び吸収性のような予期しなかった向上した特性を示す不織布の形成において用いるのに好適である可能性がある。更に、本明細書に記載するステープル繊維は、より低い摩擦、より高い強度、及びより大きな耐久性のようなユニークな特性(これらによって、繊維の不織布ウエブへのより迅速で、より効率的で、より均一な処理が促進される)を示す。
【0100】
本発明の複数の態様による不織布は、任意の好適な方法にしたがって形成することができる。ここで図1bを見ると、不織ウエブを形成する方法の主要工程が与えられている。概して、図1bにおいて示されるように、不織布を形成する方法は、2つの主要工程-ウエブ形成ゾーン110において実施されるウエブ形成工程、及びウエブ結合ゾーン120において実施されるウエブ結合工程-を含む。ウエブ形成工程は湿潤又は乾燥条件下で実施することができ、ウエブ結合工程は、機械的、油圧機械的、化学的、及び/又は熱的に実施することができる。幾つかの場合においては、ウエブ結合工程には、1以上のウエットレイドプロセス、1以上のスパンメルトプロセス、1以上のドライレイドプロセス、又はドライレイドプロセスと組み合わせたスパンメルトプロセスを含ませることができる。スパンメルトプロセスとしては、溶融ブロー、スパンボンド、及び溶液ブローが挙げられる。ドライレイドプロセスとしては、エアレイ及びカーディングプロセスが挙げられる。ドライレイドとスパンメルトプロセスの組合せを用いる場合には、1以上のドライレイド繊維流を、1以上のスパンメルト繊維流と混繊又は他の形態で組み合わせてハイブリッド不織基材を形成することができる。本発明の複数の態様によるステープル繊維は、任意のこれらのプロセスにおいて、繊維を過度に損傷しないでウエブを形成するのに好適な条件下で用いることができる。
【0101】
図1bに示されているように、本明細書に記載するステープル繊維をウエブ形成ゾーン中に導入することができ、そこで例えばカーディング又はエアレイのようなウエットレイド又はドライレイドプロセスを用いて繊維をウエブに成形することができる。カーディングプロセスにおいては、コンベヤー又はカード上に配置した繊維を、1組の金属歯又は他の把持表面を有する一対のローラー(又は他の可動表面)に通す。表面が互いに対して移動するにつれて、繊維は機械的に分離され、整列されてウエブを形成する。エアレイドプロセスにおいては、コンベヤーに向かう空気流中に繊維を同伴させ、コンベヤー上に繊維を堆積させてウエブを形成する。同様に、ウエットレイドプロセスにおいては、繊維を水又は他の液体媒体中に分散させ、乾燥マット又はフィルターに通して、その上に繊維を堆積させて紙様のウエブを形成する。ステープル繊維の長さ及び捲縮のような特定の特性に関する値の好適な範囲は、不織ウエブを製造するのに用いるプロセスによって変化する可能性がある。
【0102】
ウエブが形成されたら、ウエブを図1bに示すようにウエブ結合ゾーン120に移し、そこで化学的、熱的、及び/又は機械的方法を用いて結合させて結合されたウエブを形成する。好適な機械的結合方法の例としては、水流絡合、ニードルパンチ、縫製、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適な化学的結合技術の例としては、飽和結合、スプレー結合、フォーム結合、接着剤粉末の使用、バインダー繊維の使用、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。熱的結合方法の例としては、カレンダリング、超音波結合、及び通気オーブン結合が挙げられるが、これらに限定されない。ウエブ形成工程及び結合工程の特定の好適な組合せとしては、カーディングによる形成と水流絡合による結合、カーディング又はエアレイによる形成と熱的結合、ウエットレイによる形成と化学的結合、及びエアレイ又はカーディングによる形成と化学的結合が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
幾つかの態様においては、複数のセルロースアセテートステープル繊維を単独で用いて上記に記載の不織ウエブを形成することができる。かかる場合においては、不織ウエブ中のステープル繊維の少なくとも約90、92、95、97、99重量%、又は100重量%以下は、セルロースアセテート繊維である。幾つかの態様においては、不織ウエブを形成するのに用いる繊維の少なくとも約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は全部は、上記に記載したように少なくとも部分的に少なくとも1種類の仕上剤で被覆することができる。
【0104】
他の態様においては、不織ウエブは、セルロースアセテートステープル繊維と1種類以上の更なる繊維とのブレンドから形成することができる。幾つかの場合においては、ブレンドに、セルロースアセテート繊維を、少なくとも2種類、少なくとも3種類、又は4種類以上のタイプの更なる繊維と組み合わせて含ませることができる。更なる繊維は高帯電繊維又は低帯電繊維であってよく、或いは接着性及び抗菌性のような他の望ましい特性を有していてよく、或いは更なる繊維は、ウエブ結合工程中にセルロースアセテートステープル繊維を化学的に結合するために用いるバインダー繊維であってよい。幾つかの場合においては、他の繊維は、公知で望ましい生分解性のものである。
【0105】
ブレンド中において用いる場合には、セルロースアセテートステープル繊維は、ブレンドの全重量を基準として少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95%の量で存在させることができる。更に、又は別の形態においては、繊維ブレンド中のセルロースアセテート繊維の量は、ブレンドの全重量を基準として約95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であってよい。1種類以上の他の繊維は、ブレンドの全重量を基準として少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95重量%、及び/又は約99重量%以下、97重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下の量で存在させることができる。具体的なブレンドの組成は、AATCC-TM20A-2014,No.1にしたがって求めることができる。
【0106】
セルロースアセテートステープル繊維とのブレンドにおいて用いるのに好適な他のタイプの繊維としては、綿、レイヨン又はビスコースのような再生セルロース、木材パルプ、ポリビニルアセテートのようなアセテート類、ウール、ガラス、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)及び他のコポリマー、ポリプロピレン及びポリエチレンのようなオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリスルフェート、ポリスルホン、ポリエーテル、アクリル樹脂、アクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、これらの誘導体、及びこれらの組合せから形成される繊維など(しかしながらこれらに限定されない)の天然及び/又は合成繊維を挙げることができる。
【0107】
]幾つかの場合においては、繊維は単一成分繊維であってよく、一方で他の場合においては、繊維はセルロースアセテートと1種類以上の他のタイプの材料を含む多成分繊維であってよい。繊維が二成分又は多成分繊維である場合には、繊維は、例えばサイドバイサイド断面、芯鞘断面、海島断面、先端付断面(多葉断面)(tipped cross-section)、又はセグメントパイ断面などの任意の好適な断面を有していてよい。幾つかの繊維は、芯又は鞘材料のいずれかとしてセルロースアセテートなどの、芯及び鞘に関して同一か又は異なる材料を用いる芯鞘繊維であってよい。
【0108】
本明細書に記載するセルロースアセテート繊維を用いて不織ウエブを形成する方法は、実験室スケール、パイロットスケール、及び/又は商業スケールで実施することができる。本明細書に記載するセルロースアセテート繊維を用いると、不織ウエブをより大きな商業的スケールで形成することを可能にする加工の有利性を与えることができることが見出された。例えば、幾つかの態様においては、ウエブ形成工程は、少なくとも約50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500メートル/分(m/分の速度で実施することができる。更に、又は別の形態においては、ウエブ形成工程は、約600m/分以下、575m/分以下、550m/分以下、525m/分以下、500m/分以下、475m/分以下、450m/分以下、425m/分以下、400m/分以下、375m/分以下、350m/分以下、325m/分以下、又は300m/分以下の速度で実施することができる。
【0109】
本発明の複数の態様にしたがって形成される不織ウエブは、幾つかの特性に関して広範囲の値を有することができる。しばしば、不織布の与えられた特性に関する特定の値又は複数の値の組は、その最終用途によって定まる。幾つかの態様においては、不織ウエブは、少なくとも約0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、又は0.95mm、及び/又は約2.75mm以下、2.5mm以下、2.25mm以下、2.0mm以下、1.9mm以下、1.8mm以下、1.7mm以下、1.6mm以下、1.5mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1.05mm以下、0.95mm以下、0.90mm以下、0.85mm以下、0.80mm以下、0.75mm以下、0.70mm以下、0.65mm以下、0.60mm以下、0.55mm以下、又は0.50mm以下の厚さを有していてよい。幾つかの場合においては、不織ウエブの厚さは、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、又は200mm、及び/又は約400mm以下、375mm以下、350mm以下、325mm以下、300mm以下、275mm以下、250mm以下、225mm以下、200mm以下、175mm以下、150mm以下、125mm以下、100mm以下、90mm以下、80mm以下、70mm以下、60mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下、又は20mm以下であってよい。厚さは、NWSP-120.1.R0(15)にしたがって測定することができる。
【0110】
更に、不織ウエブは、少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、又は62グラム/平方メートル(gsm)、及び/又は約80gsm以下、75gsm以下、74gsm以下、73gsm以下、72gsm以下、71gsm以下、70gsm以下、69gsm以下、68gsm以下、67gsm以下、66gsm以下、65gsm以下、64gsm以下、63gsm以下、又は62gsm以下の目付を有していてよい。幾つかの場合においては、不織ウエブは、少なくとも約50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、700、800、900、又は1000gsmの目付を有していてよい。或いは、又は更には、不織ウエブは、約8000gsm以下、7500gsm以下、7000gsm以下、6500gsm以下、6000gsm以下、5500gsm以下、5000gsm以下、4500gsm以下、4000gsm以下、3500gsm以下、3000gsm以下、2500gsm以下、2000gsm以下、1500gsm以下、1000gsm以下、500gsm以下、400gsm以下、300gsm以下、200gsm以下、又は150gsm以下の目付を有していてよい。目付は、NWSP-130.1.R0(15)にしたがって測定することができる。
【0111】
幾つかの場合においては、不織布の具体的な目付は、その最終用途及び/又はそれによって不織布が形成される方法によって定めることができる。例えば、幾つかの場合においては、例えば約0.1~約5gsmのような軽量の目付を有する不織布物品を、種々のタイプの濾過媒体におけるナノ繊維層のような、ハイブリッド構造又は積層体における機能層として用いることができる。他の場合においては、不織布を婦人用衛生用品又はオムツの用途において用いる場合には、それは約10~約70gsmの範囲の目付を有していてよく、一方で吸収剤のコアに関する目付は約100~約300gsmの範囲であってよい。種々のタイプの拭取材に関する目付は約50~約500gsm又はそれ以上の範囲であってよく、具体的な最終用途に応じて、乳児用の拭取材は約50~約75gsmの通常の目付を有し、食品サービス用の拭取材は約60~約90gsmの目付を有し、産業用拭取材は約100~約350gsm、又は更には500gsm以上の目付を有する。自動車用途において用いる場合には、不織布は、約500~約8000gsm、又は約500~約3000gsmの範囲の目付を有していてよい。
【0112】
幾つかの態様によれば、本発明によって形成される不織ウエブは、次の特性:(i)不織布の目付に関して正規化して10~2000Nm/kgの範囲の機械方向(MD)の湿潤引張り強さ;(ii)不織布の目付に関して正規化して10~1000Nm/kgの範囲の幅方向(CD)の湿潤引張り強さ;(iii)不織布の目付に関して正規化して10~2000Nm/kgの範囲の機械方向(MD)の乾燥引張り強さ;(iv)不織布の目付に関して正規化して10~1000Nm/kgの範囲の幅方向(CD)の乾燥引張り強さ;5~20グラム-水/グラム-繊維(g/g)の範囲の吸収量;及び(vi)約2.5~約6dBの範囲のリアルソフトネス;の1以上を示すことができる。幾つかの場合においては、不織布は、上記にリストした特性(i)~(vi)の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は全部を示すことができる。
【0113】
本発明にしたがって形成される不織ウエブは、NWSP-110.4,オプションAに記載されている手順にしたがって、1インチの試験片を用いて測定して、少なくとも約0.5、1、2、5、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60N/インチ、及び/又は約250N/インチ以下、245N/インチ以下、240N/インチ以下、235N/インチ以下、230N/インチ以下、225N/インチ以下、220N/インチ以下、215N/インチ以下、210N/インチ以下、205N/インチ以下、200N/インチ以下、195N/インチ以下、190N/インチ以下、185N/インチ以下、180N/インチ以下、175N/インチ以下、170N/インチ以下、165N/インチ以下、160N/インチ以下、155N/インチ以下、150N/インチ以下、145N/インチ以下、140N/インチ以下、135N/インチ以下、130N/インチ以下、125N/インチ以下、120N/インチ以下、115N/インチ以下、110N/インチ以下、100N/インチ以下、95N/インチ以下、90N/インチ以下、85N/インチ以下、90N/インチ以下、75N/インチ以下、60N/インチ以下、5N/インチ以下、50N/インチ以下、45N/インチ以下、40N/インチ以下、35N/インチ以下、30N/インチ以下、又は25N/インチ以下の機械方向の乾燥引張り強さを有することができる。全ての引張り強さの測定は、他に示していない限りにおいて1インチの試料の片について実施した。
【0114】
更に、又は別の形態においては、本明細書に記載する不織ウエブは、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約0.5、1、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、又は45N/インチ、及び/又は約225N/インチ以下、200N/インチ以下、190N/インチ以下、180N/インチ以下、175N/インチ以下、170N/インチ以下、160N/インチ以下、150N/インチ以下、140N/インチ以下、130N/インチ以下、125N/インチ以下、120N/インチ以下、110N/インチ以下、100N/インチ以下、90N/インチ以下、80N/インチ以下、75N/インチ以下、70N/インチ以下、60N/インチ以下、50N/インチ以下、45N/インチ以下、40N/インチ以下、35N/インチ以下、30N/インチ以下、25N/インチ以下、20N/インチ以下、15N/インチ以下、12N/インチ以下、10N/インチ以下、8N/インチ以下、又は5N/インチ以下の幅方向の乾燥引張り強さを有することができる。
【0115】
幾つかの態様においては、機械方向の乾燥引張り強さと幅方向の乾燥引張り強さとの比(乾燥MD:CD)は、約10:1以下、9.5:1以下、9:1以下、8.5:1以下、8:1以下、7.5:1以下、7:1以下、6.5:1以下、6:1以下、5.5:1以下、5:1以下、4.5:1以下、4:1以下、3.5:1以下、3:1以下、2.5:1以下、2:1以下、1.5:1以下、1.25:1以下、又は1.1:1以下であり得る。幾つかの場合においては、乾燥MD:CDの比は、少なくとも約1.01:1、1.05:1、1.10:1、1.15:1、1.20:1、1.25:1、1.30:1、1.35:1、1.4:1、1.45:1、1.5:1、1.55:1、1.6:1、1.65:1、1.7:1、1.75:1、1.8:1、又は1.85:1であり得る。
【0116】
本明細書に記載のように形成される不織ウエブはまた、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約0.5、1、1.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50N、及び/又は約250N/インチ以下、240N/インチ以下、230N/インチ以下、220N/インチ以下、210N/インチ以下、200N/インチ以下、190N/インチ以下、180N/インチ以下、170N/インチ以下、160N/インチ以下、150N/インチ以下、145N/インチ以下、140N/インチ以下、135N/インチ以下、130N/インチ以下、125N/インチ以下、120N/インチ以下、115N/インチ以下、110N/インチ以下、105N/インチ以下、100N/インチ以下、95N/インチ以下、90N/インチ以下、85N/インチ以下、80N/インチ以下、75N/インチ以下、70N/インチ以下、65N/インチ以下、60N/インチ以下、50N/インチ以下、40N/インチ以下、35N/インチ以下、30N/インチ以下、25N/インチ以下、又は20N/インチ以下の機械方向の湿潤引張り強さを有することもできる。
【0117】
更に、本明細書に記載のように形成される不織ウエブは、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約0.5、1、1.5,2、3、4、5、8、10、12、15、18、又は20N/インチ、及び/又は約120N/インチ以下、115N/インチ以下、110N/インチ以下、105N/インチ以下、100N/インチ以下、95N/インチ以下、90N/インチ以下、85N/インチ以下、80N/インチ以下、75N/インチ以下、70N/インチ以下、65N/インチ以下、60N/インチ以下、55N/インチ以下、50N/インチ以下、45N/インチ以下、40N/インチ以下、35N/インチ以下、30N/インチ以下、28N/インチ以下、25N/インチ以下、20N/インチ以下、15N/インチ以下、12N/インチ以下、又は10N/インチ以下の幅方向の湿潤引張り強さを有することができる。
【0118】
幾つかの態様においては、機械方向の湿潤引張り強さと幅方向の湿潤引張り強さとの比(湿潤MD:CD)は、約10:1以下、9.5:1以下、9:1以下、8.5:1以下、8:1以下、7.5:1以下、7:1以下、6.5:1以下、6:1以下、5.5:1以下、5:1以下、4.5:1以下、4:1以下、3.5:1以下、3:1以下、2.5:1以下、2:1以下、1.5:1以下、1.25:1以下、又は1.1:1以下であり得る。幾つかの場合においては、湿潤MD:CDの比は、少なくとも約1.01:1、1.05:1、1.10:1、1.15:1、1.20:1、1.25:1、1.30:1、1.35:1、1.4:1、1.45:1、1.5:1、1.55:1、1.6:1、1.65:1、1.7:1、1.75:1、1.8:1、又は1.85:1であり得る。
【0119】
本明細書に記載のように形成される不織ウエブの引張り強さは、ウエブの目付、厚さ、及び/又は嵩密度にしたがって正規化することもできる。幾つかの場合においては、本明細書に記載のように形成される不織ウエブはまた、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約10、20、40、60、80、100、200、300、400、500、600、700、800、又は900Nm/kg、及び/又は約2000Nm/kg以下、1900Nm/kg以下、1800Nm/kg以下、1700Nm/kg以下、1600Nm/kg以下、1500Nm/kg以下、1400Nm/kg以下、1300Nm/kg以下、1200Nm/kg以下、1100Nm/kg以下、1000Nm/kg以下、900Nm/kg以下、800Nm/kg以下、700Nm/kg以下、600Nm/kg以下、500Nm/kg以下、又は400Nm/kg以下の、不織布の目付に関して正規化した機械方向の湿潤引張り強さを有することもできる。更に、不織ウエブは、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約10、20、40、60、80、100、200、240、又は250Nm/kg、及び/又は約1000Nm/kg以下、900Nm/kg以下、800Nm/kg以下、700Nm/kg以下、600Nm/kg以下、560Nm/kg以下、500Nm/kg以下、400Nm/kg以下、又は300Nm/kg以下の、不織布の目付に関して正規化した幅方向の湿潤引張り強さを有することができる。
【0120】
NWSP-100.4,オプションAにしたがって測定して、不織布の目付にしたがって正規化した機械方向の乾燥引張り強さは、少なくとも約10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000Nm/kg、及び/又は約5000Nm/kg以下、4500Nm/kg以下、4000Nm/kg以下、3500Nm/kg以下、3400Nm/kg以下、3000Nm/kg以下、2500Nm/kg以下、2000Nm/kg以下、1500Nm/kg以下、1000Nm/kg以下、750Nm/kg以下、又は500Nm/kg以下であり得、一方で、目付に関して正規化した幅方向の乾燥引張り強さは、少なくとも約10、25、50、80、100、200、250、又は300Nm/kg、及び/又は約4000Nm/kg以下、3500Nm/kg以下、3000Nm/kg以下、2500Nm/kg以下、2000Nm/kg以下、1500Nm/kg以下、1200Nm/kg以下、1000Nm/kg以下、900Nm/kg以下、又は500Nm/kg以下であり得る。
【0121】
不織ウエブはまた、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、又は45,000N/m、及び/又は約150,000N/m以下、145,000N/m以下、140,000N/m以下、135,000N/m以下、130,000N/m以下、125,000N/m以下、120,000N/m以下、117,000N/m以下、115,000N/m以下、110,000N/m以下、100,000N/m以下、80,000N/m以下、60,000N/m以下、40,000N/m以下、又は20,000Nm以下の、不織布の厚さに関して正規化した機械方向の湿潤引張り強さを有することもできる。更には、不織ウエブは、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、12,000、15,000、又は20,000N/m、及び/又は約100,000N/m以下、95,000N/m以下、90,000N/m以下、85,000N/m以下、83,000N/m以下、80,000N/m以下、75,000N/m以下、70,000N/m以下、65,000N/m以下、60,000N/m以下、55,000N/m以下、50,000N/m以下、47,000N/m以下、45,000N/m以下、又は40,000N/m以下の、不織布の厚さに関して正規化した幅方向の湿潤引張り強さを有することができる。
【0122】
NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、不織布の厚さにしたがって正規化した機械方向の乾燥引張り強さは、少なくとも約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、12,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、又は50,000N/m、及び/又は約450,000N/m以下、417,000N/m以下、400,000N/m以下、350,000N/m以下、300,000N/m以下、283,000N/m以下、250,000N/m以下、又は200,000N/m以下であり得、一方で、厚さに関して正規化した幅方向の乾燥引張り強さは、少なくとも約3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、又は15,000N/m、及び/又は約400,000N/m以下、350,000N/m以下、300,000N/m以下、250,000N/m以下、200,000N/m以下、150,000N/m以下、100,000N/m以下、75,000N/m以下、又は50,000N/m以下であり得る。
【0123】
嵩密度に関して正規化した場合には、本明細書に記載するように形成される不織ウエブは、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約0.01、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.54、又は0.55Nm/kg、及び/又は約2.0Nm/kg以下、1.9Nm/kg以下、1.8Nm/kg以下、1.7Nm/kg以下、1.6Nm/kg以下、1.5Nm/kg以下、1.4Nm/kg以下、1.3Nm/kg以下、1.2Nm/kg以下、1.1Nm/kg以下、1.0Nm/kg以下、0.9Nm/kg以下、0.8Nm/kg以下、0.7Nm/kg以下、0.6Nm/kg以下、0.5Nm/kg以下、0.4Nm/kg以下、又は0.3Nm/kg以下の機械方向の湿潤引張り強さを有することもできる。更に、不織ウエブは、NWSP-110.4,オプションAにしたがって測定して、少なくとも約0.01、0.02、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.54、又は0.55Nmkg、及び/又は約2.0Nm/kg以下、1.9Nm/kg以下、1.8Nm/kg以下、1.7Nm/kg以下、1.6Nm/kg以下、1.5Nm/kg以下、1.4Nm/kg以下、1.3Nm/kg以下、1.2Nm/kg以下、1.1Nm/kg以下、1.0Nm/kg以下、0.90Nm/kg以下、0.80Nm/kg以下、0.70Nm/kg以下、0.60Nm/kg以下、0.56Nm/kg以下、0.50Nm/kg以下、0.40Nm/kg以下、又は0.3Nm/kgの、不織布の嵩密度に関して正規化した幅方向の湿潤引張り強さを有することができる。
【0124】
NWSP-100.4,オプションAにしたがって測定して、不織布の嵩密度にしたがって正規化した機械方向の乾燥引張り強さは、少なくとも約0.01、0.02、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、又は0.60Nm/kg、及び/又は約5Nm/kg以下、4.5Nm/kg以下、4Nm/kg以下、3.5Nm/kg以下、3.4Nm/kg以下、3Nm/kg以下、2.5Nm/kg以下、2Nm/kg以下、1.5Nm/kg以下、1Nm/kg以下、0.5Nm/kg以下、又は0.3Nm/kg以下であり得、一方で、目付に関して正規化した幅方向の乾燥引張り強さは、少なくとも約0.01、0.02、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.18、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、又は0.60Nm/kg、及び/又は約2.0Nm/kg以下、1.9Nm/kg以下、1.8Nm/kg以下、1.7Nm/kg以下、1.6Nm/kg以下、1.5Nm/kg以下、1.4Nm/kg以下、1.3Nm/kg以下、1.2Nm/kg以下、1.1Nm/kg以下、1.0Nm/kg以下、0.90Nm/kg以下、0.80Nm/kg以下、0.70Nm/kg以下、0.60Nm/kg以下、0.56Nm/kg以下、0.50Nm/kg以下、0.40Nm/kg以下、又は0.3Nm/kg以下であり得る。
【0125】
幾つかの場合においては、不織ウエブの湿潤結合性指数(BI20)は、少なくとも約0.1、0.2、0.5、1、2、2.5、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13、及び/又は約30以下、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下、24以下、23以下、22以下、21以下、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、又は4以下にすることができる。本明細書に記載する不織布の乾燥結合性指数は、少なくとも約0.1、0.5、1、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、又は20にすることができる。或いは、又は更には、不織布の乾燥結合性は、約50以下、45以下、40以下、35以下、30以下、25以下、20以下、15以下、又は10以下にすることができる。不織布の結合性指数は、機械方向の引張り強さと幅方向の引張り強さの積の平方根として定義される。計算された結合性指数に20をかけ、実際の目付(g/m)で割って、20g/mの標準不織布目付における結合性指数(BI20)を報告する。湿潤及び乾燥引張り強さは、本明細書に記載したように測定される。
【0126】
更に、又は別の形態においては、本明細書に記載するセルロースアセテートステープル繊維を含む不織ウエブは、少なくとも300%の吸収量(繊維1グラムあたり3グラムの水)を有することができる。他の態様においては、不織ウエブは、少なくとも約400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、又は1150%、或いは繊維1グラムあたりの水のグラム数で、少なくとも4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、又は11.5gの吸収量を有することができる。幾つかの態様においては、不織ウエブは、約2500%以下、2400%以下、2300%以下、2200%以下、2100%以下、2000%以下、1950%以下、1900%以下、1850%以下、1800%以下、1750%以下、1700%以下、1650%以下、1600%以下、1550%以下、1500%以下、1450%以下、1400%以下、1350%以下、1300%以下、1250%以下、1200%以下、又は1150%以下、或いは繊維1グラムあたりの水のグラム数で約25g以下、24g以下、23g以下、22g以下、21g以下、20g以下、19.5g以下、19g以下、18.5g以下、18g以下、17.5g以下、17g以下、16.5g以下、16g以下、15.5g以下、15g以下、14.5g以下、14g以下、13.5g以下、13g以下、12.5g以下、12g以下、又は11.5g以下の吸収量を有することができる。ここに与える吸収量の値は、NWSP-010.1-7.2に記載されているように測定される。
【0127】
本発明において形成される不織ウエブはまた、望ましい吸上げ性も示すことができる。例えば、幾つかの態様においては、セルロースアセテート繊維から形成される不織ウエブは、幅方向又は機械方向で測定して、5分において200mm以下の吸上げ高さを有することができる。幾つかの場合においては、本明細書に記載する不織ウエブの吸上げ高さは、NWSP-010.1-7.3に記載されているように測定して、約200mm以下、175mm以下、150mm以下、125mm以下、100mm以下、95mm以下、90mm以下、85mm以下、80mm以下、75mm以下、70mm以下、65mm以下、60mm以下、55mm以下、50mm以下、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、15mm以下、10mm以下、又は5mm以下であり得る。更には、又は別の形態においては、吸上げ高さは、NWSP-010.1-7.3に記載されているように測定して、少なくとも約1、5、10、又は20mmであり得る。
【0128】
幾つかの態様においては、本発明において形成される不織ウエブは、NWSP-010.1-7.3に記載されているように測定して、少なくとも約1mm,少なくとも約2mm、少なくとも約3mm、少なくとも約5mm、少なくとも約10mm、少なくとも約12mm、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、少なくとも約25mm、少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、少なくとも約40mm、少なくとも約45mm、少なくとも約50mm、又は少なくとも約55mmの機械方向又は幅方向において測定される吸上げ高さを有することができる。或いは、又は更には、本明細書に記載される不織ウエブは、NWSP-010.1-7.3に記載されているように測定して、約70mm以下、約65mm以下、約60mm以下、約55mm以下、約50mm以下、約45mm以下、約40mm以下、約35mm以下、約30mm以下、約25mm以下、約20mm以下、約15mm以下、約12mm以下、約10mm以下、約8mm以下、約5mm以下、約3mm以下、又は約2mm以下の機械方向又は幅方向において測定される吸上げ高さを有することができる。
【0129】
具体的な最終用途に応じて、所望のレベルの柔軟性及び/又は不透明性を示す不織ウエブを形成することもできる。柔軟性は、下記の実施例セクションにおいて記載するEmtecティッシュソフトネス分析器(TSA)法にしたがって測定される。幾つかの態様においては、本明細書に記載のように製造される不織ウエブのハンドフィールは、QA1アルゴリズムを用いてTSA法によって求めて、少なくとも約104、104.5、105、105.5、106、106.25、106.5、106.75、107、107.25、107.5、107.75、又は108にすることができる。更には、又は別の形態においては、TSA法によって測定される不織ウエブのリアルソフトネスは、少なくとも約2、2.05、2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、2.55、2.60、2.65、2.70、2.75、2.80、2.85、2.90、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、又は3.4dB、及び/又は約6dB以下、5.75dB以下、5.5dB以下、5.25dB以下、5.0dB以下、4.75dB以下、4.50dB以下、4.45dB以下、4.40dB以下、4.35dB以下、4.30dB以下、4.25dB以下、4.20dB以下、4.15dB以下、4.10dB以下、4.05dB以下、4.0dB以下、3.95dB以下、3.90dB以下、3.85dB以下、3.80dB以下、3.75dB以下、3.7dB以下、3.65dB以下、3.6dB以下、3.55dB以下、3.5dB以下、又は3.45dB以下であり得る。
【0130】
幾つかの態様においては、本明細書に記載のように形成される不織ウエブの粗さは、少なくとも約1、2、5、8、10、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、又は19dB、及び/又は約30dB以下、28dB以下、25dB以下、24dB以下、22.5dB以下、22dB以下、21.5dB以下、21dB以下、20.5dB以下、20dB以下、19.5dB以下、19dB以下、18.5dB以下、18dB以下、17.5dB以下、17dB以下、16.5dB以下、16dB以下、15.5dB以下、15dB以下、14.5dB以下、又は14dB以下であり得る。下記の実施例において記載するTSA法にしたがって測定されるウエブの粗さは、ブレードの水平方向の動き及び表面構造によって引き起こされるティッシュ試料自体の上下振動に相関する。
【0131】
不織ウエブの不透明度は、NWSP-060.1.R0に記載されている手順にしたがって測定することができる。本発明による不織ウエブは、具体的な最終用途に応じて、少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95%、又は100%以下の不透明度を有することができる。或いは、又は更には、本明細書に記載の不織ウエブは、上記の手順にしたがって測定して、約95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、又は55%以下の不透明度を有することができる。フィルターのような幾つかの最終用途は高いレベルの不透明度を必要としない場合があり、一方で拭取材のような他の用途は必要とする場合がある。
【0132】
ステープル繊維及びそれから形成される不織布は生分解性であることができ、これは、かかる繊維が特定の環境条件下で分解すると予測されることを意味する。分解の度合いは、特定の環境条件に所定時間曝露した際の試料の重量損失によって特徴付けることができる。幾つかの場合においては、ステープル繊維、繊維、又は不織ウエブを形成するのに用いる材料、或いは繊維から製造される物品は、土壌中に60日間埋設した後に少なくとも約5%、10%、15%、又は20%の重量損失、及び/又は通常の地方自治体の堆肥製造所に15日間曝露した後に少なくとも約15%、20%、25%、30%、又は35%の重量損失を示すことができる。しかしながら、分解の速度は、繊維の特定の最終用途、並びに残りの物品の組成、及び具体的な試験によって変化する可能性がある。代表的な試験条件は、米国特許5,970,988及び米国特許6,571,802に与えられている。
【0133】
幾つかの態様においては、セルロースエステル繊維は生分解性繊維であってよく、かかる繊維を用いて、編織布、不織布、フィルター、及びヤーンのような繊維状物品を形成することができる。予期しなかったことに、本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、種々の環境条件下での予測よりも良好な分解によって特徴付けられる向上したレベルの環境易分解性を示すことが見出された。本明細書に記載する繊維及び繊維状物品は、工業的堆肥化可能性、家庭堆肥化可能性、及び/又は土壌生分解性に関する国際的な試験法及び機関によって設定されている合格基準を満足するか、又はこれを超えることができる。
【0134】
「堆肥化可能」であるとみなされるためには、材料は、次の4つの基準を満足しなければならない:(1)材料は生分解性でなければならない;(2)材料は崩壊性でなければならない;(3)材料は最大量を超える重金属を含んでいてはならない;及び(4)材料は生態毒性であってはならない。本明細書において用いる「生分解性」という用語は、一般に特定の環境条件下で材料が化学的に分解する傾向を指す。生分解性は材料自体の固有の特性であり、材料はそれを曝露する具体的な条件に応じて異なる程度の生分解性を示す可能性がある。「崩壊性」と言う用語は、特定の条件に曝露した際に材料がより小さい断片に物理的に分解する傾向を指す。崩壊は、材料自体、並びに試験する物品の物理的寸法及び構造の両方によって定まる。生態毒性は、植物生命体に対する材料の影響を測るものであり、材料の重金属含量は標準的な試験法において説明されている手順にしたがって求められる。
【0135】
セルロースエステル繊維は、ISO-14855-1(2012)にしたがって外気温度(28℃±2℃)において好気性堆肥化条件下で試験した際に50日以下の期間で少なくとも70%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維は、これらの条件(「家庭堆肥化条件」とも呼ばれる)下で試験した際に49日以下、48日以下、47日以下、46日以下、45日以下、44日以下、43日以下、42日以下、41日以下、40日以下、39日以下、38日以下、又は37日以下の期間で少なくとも70%の生分解を示すことができる。これらの条件は、水性又は嫌気性であってはならない。幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維は、ISO-14855-1(2012)にしたがって家庭堆肥化条件下で50日間試験した際に、少なくとも約71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、又は88%の全生分解を示すことができる。これは、同じ試験条件にかけたセルロースと比べて、少なくとも約95、97、99、100、101、102、又は103%の相対的堆肥化を表すことができる。
【0136】
フランス規格NF-T-51-800及びオーストラリア規格AS-5810にしたがう家庭堆肥化条件下で「生分解性」であるとみなされるためには、材料は、(例えば当初の試料と比べて)合計で少なくとも90%の生分解、或いは参照試料及び試験試料の両方に関して安定状態に達した後に好適な参照材料の最大分解の少なくとも90%の生分解を示さなければならない。家庭堆肥化条件下での生分解に関する最大試験期間は1年である。本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、14855-1(2012)にしたがって家庭堆肥化条件下で測定して1年以下のうちに少なくとも90%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、14855-1(2012)にしたがって家庭堆肥化条件下で測定して、セルロースエステル繊維は、1年以下のうちに少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%の生分解を示すことができ、或いは繊維は、1年以下のうちに100%の生分解を示すことができる。
【0137】
更に、又は別の形態においては、本明細書に記載する繊維は、14855-1(2012)にしたがって家庭堆肥化条件下で測定して、約350日以下、325日以下、300日以下、275日以下、250日以下、225日以下、220日以下、210日以下、200日以下、190日以下、180日以下、170日以下、160日以下、150日以下、140日以下、130日以下、120日以下、110日以下、100日以下、90日以下、80日以下、70日以下、60日以下、又は50日以下のうちに少なくとも90%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、繊維は、ISO-14855-1(2012)にしたがう家庭堆肥化条件下での試験の約70、65、60、又は50日以下のうちに、少なくとも約97、98、99、又は99.5%生分解性であることができる。その結果、セルロースエステル繊維は、家庭堆肥化条件下で試験した際に、例えばフランス規格NF-T-51-800及びオーストラリア規格AS-5810にしたがって生分解性であるとみなすことができる。
【0138】
セルロースエステル繊維は、ISO-14855-1(2012)にしたがって好気性堆肥化条件下で58℃(±2℃)の温度において試験した際に、45日以下の期間で少なくとも60%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、繊維は、これらの条件(「工業的堆肥化条件)とも呼ばれる)の下で試験した際に、44日以下、43日以下、42日以下、41日以下、40日以下、39日以下、38日以下、37日以下、36日以下、35日以下、34日以下、33日以下、32日以下、31日以下、30日以下、29日以下、28日以下、又は27日以下の期間で少なくとも60%の生分解を示すことができる。これらは水性又は嫌気性条件であってはならない。幾つかの場合においては、繊維は、ISO-14855-1(2012)にしたがって工業的堆肥化条件下で45日間試験した際に、少なくとも約65、70、75、80、85、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95%の全生分解を示すことができる。これは、同じ試験条件にかけたセルロース繊維と比べた際に少なくとも約95、97、99、100、102、105、107、110、112、115、117、又は119%の相対的生分解を表すことができる。
【0139】
ASTM-D6400及びISO-17088にしたがう工業的堆肥化条件下で「生分解性」であるとみなされるためには、対照試料と比較した際、又は絶対量で、全物質中の(又は乾燥質量基準で1%より多い量で存在するそれぞれの成分に関する)有機炭素の少なくとも90%が試験期間の終了時までに二酸化炭素に転化しなければならない。ヨーロッパ規格ED-13432(2000)によると、材料は全体で少なくとも90%の生分解を示さなければならず、或いは参照試料及び試験試料の両方に関して埋設後の好適な参照材料の最大分解の少なくとも90%の生分解に達する。工業的堆肥化条件下での生分解性に関する最大試験期間は180日である。本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、工業的堆肥化条件下で14855-1(2012)にしたがって測定して180日以下のうちに少なくとも90%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維は、14855-1(2012)にしたがって工業的堆肥化条件下で測定して、少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%の生分解を示すことができ、或いは繊維は180日以下のうちに100%の生分解を示すことができる。
【0140】
更に、又は別の形態においては、本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、14855-1(2012)にしたがって工業的堆肥化条件下で測定して、約175日以下、170日以下、165日以下、160日以下、155日以下、150日以下、145日以下、140日以下、135日以下、130日以下、125日以下、120日以下、115日以下、110日以下、105日以下、100日以下、95日以下、90日以下、85日以下、80日以下、75日以下、70日以下、65日以下、60日以下、55日以下、50日以下、又は45日以下のうちに少なくとも90%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維は、ISO-14855-1(2012)にしたがう工業的堆肥化条件下での試験の約65日以下、60日以下、55日以下、50日以下、又は45日以下のうちに少なくとも約97%、98%、99%、又は99.5%生分解性であり得る。その結果、本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、工業的堆肥化条件下で試験した際にASTM-D6400及びISO-17088にしたがって生分解性であるとみなすことができる。
【0141】
繊維又は繊維状物品は、ISO-17556(2012)にしたがって大気温度において好気性条件下で測定して、130日以下のうちに少なくとも60%の土壌中生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、繊維は、これらの条件(「土壌堆肥化条件」とも呼ばれる)の下で試験した際に、130日以下、120日以下、110日以下、100日以下、90日以下、80日以下、又は75日以下の期間で少なくとも60%の生分解を示すことができる。これらは水性又は嫌気性条件であってはならない。幾つかの場合においては、繊維は、ISO-17556(2012)にしたがって土壌堆肥化条件下で195日の期間試験した際に、少なくとも約65、70、72、75、77、80、82、又は85%の全生分解を示すことができる。これは、同じ試験条件にかけたセルロース繊維と比べて少なくとも約70、75、80、85、90、又は95%の相対的生分解を表すことができる。
【0142】
VincotteのOK生分解性土壌認証マーク、及びDIN-CERTCOの土壌認証スキームにおけるDIN試験生分解性にしたがう土壌堆肥化条件下で「生分解性」であるとみなされるためには、材料は、(例えば当初の試料と比べて)全体で少なくとも90%の生分解を示さなければならず、或いは参照試料及び試験試料の両方に関して、埋設後の好適な参照材料の最大分解の少なくとも90%の生分解に達する。土壌堆肥化条件下での生分解性に関する最大試験期間は2年である。本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、ISO-17556(2012)にしたがって土壌堆肥化条件下で測定して、2年以下、1.75年以下、1年以下、9月以下、又は6月以下のうちに少なくとも90%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維は、ISO-17556(2012)にしたがって土壌堆肥化条件下で測定して、2年以下のうちに少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%の生分解を示すことができ、或いは、繊維は、2年以下のうちに100%の生分解を示すことができる。
【0143】
更に、又は別の形態においては、本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、17556(2012)にしたがって土壌堆肥化条件下で測定して、約700日以下、650日以下、600日以下、550日以下、500日以下、450日以下、400日以下、350日以下、300日以下、275日以下、250日以下、240日以下、230日以下、220日以下、210日以下、200日以下、又は195日以下のうちに少なくとも90%の生分解を示すことができる。幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維は、ISO-17556(2012)にしたがう土壌堆肥化条件下での試験の約225日以下、220日以下、215日以下、210日以下、205日以下、200日以下、又は195日以下のうちに、少なくとも約97、98、99、又は99.5%生分解性であり得る。その結果、本明細書に記載するセルロースエステル繊維は、VincotteのOK生分解性土壌認証マークを受け取るための要件、及びDIN-CERTCOの土壌認証スキームにおけるDIN試験生分解性の規格を満足するための要件を満足することができる。
【0144】
幾つかの態様においては、本発明のセルロースエステル繊維(又は繊維状物品)は、1、0.75、0.50、又は0.25重量%未満の未知の生分解性の成分を含んでいてよい。幾つかの場合においては、本明細書に記載する繊維又は繊維状物品は、未知の生分解性の成分を含んでいなくてよい。
【0145】
工業的及び/又は家庭堆肥化条件下で生分解性であることに加えて、本明細書に記載するセルロースエステル繊維又は繊維状物品はまた、家庭及び/又は工業的条件下で堆肥化可能であることもできる。上記に記載したように、材料は、それが生分解性、崩壊する能力、重金属含量、及び生態毒性に関してEN-13432に示されている要件を満足するか、又はこれを超える場合に堆肥化可能であるとみなされる。本明細書に記載するセルロースエステル繊維又は繊維状物品は、VincotteからOKコンポスト及びOKコンポストHOME認証マークを受け取るための要件を満足するのに十分な家庭及び/又は工業的堆肥化条件下での堆肥化可能性を示すことができる。
【0146】
幾つかの場合においては、本明細書に記載するセルロースエステル繊維及び繊維状物品は、EN-13432(2000)によって述べられている要件の全部を満足する揮発性固形分濃度、重金属及びフッ素含量を有することができる。更に、セルロースエステル繊維は、堆肥の品質(化学的パラメータ及び生態毒性試験を含む)に対してマイナスの影響を引き起こさないことができる。
【0147】
幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維又は繊維状物品は、ISO-16929(2013)にしたがって工業的堆肥化条件下で測定して、26週以下のうちに少なくとも90%の崩壊を示すことができる。幾つかの場合においては、繊維又は繊維状物品は、工業的堆肥化条件下で26週以下のうちに、少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%の崩壊を示すことができ、或いは繊維又は物品は、工業的堆肥化条件下で26週以下のうちに100%崩壊し得る。或いは、又は更には、繊維又は物品は、ISO-16929(2013)にしたがって測定して、工業的堆肥化条件下で少なくとも約26週以下、25週以下、24週以下、23週以下、22週以下、21週以下、20週以下、19週以下、18週以下、17週以下、16週以下、15週以下、14週以下、13週以下、12週以下、11週以下、又は10週以下のうちに少なくとも90%の崩壊を示すことができる。幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維又は繊維状物品は、ISO-16929(2013)にしたがって測定して、工業的堆肥化条件下で12週以下、11週以下、10週以下、9週以下、又は8週以下のうちに少なくとも97%、98%、99%、又は99.5%崩壊し得る。
【0148】
幾つかの場合においては、セルロースエステル繊維又は繊維状物品は、ISO-16929(2013)にしたがって家庭堆肥化条件下で測定して、26週以下のうちに少なくとも90%の崩壊を示すことができる。幾つかの場合においては、繊維又は繊維状物品は、家庭堆肥化条件下で26週以下のうちに少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%の崩壊を示すことができ、或いは繊維又は物品は、家庭堆肥化条件下で26週以下のうちに100%崩壊し得る。或いは、又は更には、繊維又は物品は、ISO-16929(2013)にしたがって測定して、家庭堆肥化条件下で約26週、25週、24週、23週、22週、21週、20週、19週、18週、17週、16週、又は15週以下のうちに少なくとも90%の崩壊を示すことができる。幾つかの場合においては、本明細書に記載するセルロースエステル繊維又は繊維状物品は、家庭堆肥化条件下でISO-16929(2013)にしたがって測定して、20週以下、19週以下、18週以下、17週以下、16週以下、15週以下、14週以下、13週以下、又は12週以下のうちに、少なくとも97、98、99、又は99.5%崩壊し得る。
【0149】
本明細書に記載する不織ウエブは、最終的には1種類以上の幾つかの異なるタイプの物品を形成するために用いることができる。かかる物品は、種々の民生用途、産業用途、及び/又は医療用途において用いるのに好適である可能性がある。幾つかの態様においては、本発明の不織ウエブから形成される物品は、使い捨て可能であり、柔軟性、ドレープ性、強度、耐摩耗性、洗浄効率、不透明性、吸上げ性、厚さ、香料及びローションのような他の成分との適合性、及びリント又はピリングが無いことのような1以上の望ましい特性を示すことができる。不織布を、例えば耐水バッキング層又は更なる吸収剤層のような1以上の更なる層と結合させて最終物品を形成することができる。
【0150】
本明細書に記載する不織ウエブから形成することができる好適な物品の例としては、個人用、民生用、産業用、フードサービス用、医療用、及び他のタイプの最終用途のためのものを挙げることができる。具体例としては、乳児用拭取材、トイレに流せる拭取材、使い捨てオムツ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン及びタンポンのような婦人用衛生用品、成人用尿漏れ防止パッド、下着、又はブリーフ、及びペット用トレーニングパッドを挙げることができるが、これらに限定されない。他の例としては、民生用途(パーソナルケア用途又は家庭用途など)、及び産業用途(フードサービス用途、ヘルスケア用途、又は特殊用途)のためのものなどの種々の異なる乾燥又は湿潤拭取材が挙げられる。
【0151】
本明細書に記載する不織ウエブはまた、枕、マットレス、及び椅子張り用の詰物、キルト及び掛け布団用の詰物として用いることもできる。医療及び産業分野においては、本明細書に記載する不織ウエブは、医療用及び産業用フェースマスク、保護衣、キャップ、及び靴カバー、使い捨てシート、手術衣、ドレープ、包帯、及び医療衣のために用いることができる。更に、本明細書に記載する不織ウエブは、ジオテキスタイル及び防水シート、油及び化学物質吸収剤パッドのような環境用布帛、並びに吸音又は断熱材、テント、製材及び土のカバー及びシートのような建築材料のために用いることができる。不織ウエブはまた、カーペット裏地、民生品、産業品、及び農業品用の包装材、断熱又は遮音材、及び種々のタイプのアパレルなどの他の民生最終用途のために用いることもできる。
【0152】
本明細書に記載する不織ウエブはまた、輸送(例えば自動車又は航空機)、商業、家庭、産業、又は他の特殊用途などの種々の濾過用途のために用いることもできる。例としては、精密濾過のために用いられるナノ繊維ウエブなどの民生用又は産業用の空気又は液体(例えばガソリン、オイル、水)のフィルターのためのフィルター部材、並びにティーバッグ、コーヒーフィルター、及びドライヤーシートのような最終用途を挙げることができる。更に、本明細書に記載する不織ウエブは、ブレーキパッド、トランクライナー、カーペットタフティング、及びアンダーパッドなど(しかしながらこれらに限定されない)の自動車において用いるための種々の部品を形成するために用いることができる。
【0153】
セルロースアセテート繊維はまた、農業用途、医療用途、食品用途、及び他の用途のための編織布を形成するために用いることもできる。
【0154】
更に、セルロースアセテート繊維はまた、煙の風味に影響を少ししか与えないか又は全く与えないで望ましい濾過特性を示すタバコフィルター又は喫煙用品用のフィルターを形成するためのフィルタートウ又は他のフィルター材料を形成するために用いることもできる。
【0155】
以下の実施例は、本発明を示すため、及び当業者が本発明を製造及び使用することを可能にするために与えるものである。しかしながら、本発明はこれらの実施例において記載される具体的な条件又は詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を包含し得る。
【実施例0156】
実施例1:
約2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成した。それぞれのフィラメントヤーンの全デニールは750であり、フィラメントは、1.8の線形デニール/フィラメント(dpf)を有しており、Y字形の断面を有して形成された。フィラメントヤーンはいずれも捲縮させなかった。それぞれのヤーンを、まず、0.70%のヤーン上仕上剤(FOY)の量で、紡糸仕上剤として通常用いられる鉱油ベースのエマルジョンで被覆した。次に、潤滑油チップアプリケーターを用いて、幾つかのフィラメントヤーンを0.70%FOYの種々のタイプのトップコート仕上剤(それらの多くはPulcra Chemicalsから商業的に入手できる)で被覆した。対照試料はトップコート仕上剤を含んでいなかった。次に、フィラメントヤーンを、ASTM-D3412にしたがって、0.5cm/分の速度及び50gの投入張力を用いて試験して、それぞれのタイプの被覆ヤーンのスティックスリップ及び滑り摩擦係数を求めた。下表1に結果をまとめる。
【表1】
【0157】
同様のセルロースアセテートフィラメントヤーンの2つの組を形成することによって、幾つかの更なる試料を調製した。それぞれのヤーンの第1の組は、上記に記載した紡糸仕上剤で被覆し、第2の組は被覆しなかった。次に、それぞれのヤーンの両方の組を、0.7%FOYの上表1に示す仕上剤A~Lで被覆して、ヤーンの1つの組はトップコート仕上剤のみで被覆され、他の組は紡糸仕上剤及びトップコート仕上剤の両方で被覆されるようにした。被覆ヤーンをステープル繊維に切断し、Rothschild静電電圧計を用いてそれぞれの静電気消散性を測定した。図3は、2分後のそれぞれの被覆繊維試料の最終静電圧(ボルト)を示す。図3において示されるように、仕上剤Fで被覆した繊維は、規定時間の後に電荷の全量を消散させることができた。
【0158】
実施例2;
約2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成した。フィラメントヤーンは、1.8の線形デニール/フィラメント(dpf)を有する個々のフィラメントヤーンから形成され、Y字形の断面を有していた。フィラメントヤーンはいずれも捲縮させなかった。それぞれのヤーンを、0.70%FOYの量で、紡糸仕上剤として通常用いられる鉱油ベースのエマルジョンで被覆し、次に、0~0.4%FOYの種々の量の4種類の異なるトップコート仕上剤(例えば、実施例1に記載されている仕上剤B及びF、並びに更なるトップコート仕上剤M及びN)の1つで被覆した。仕上剤MはSTANTEX(登録商標)2244であり、仕上剤NはSELBANA(登録商標)であった(両方ともPulcra Chemicalsから商業的に入手できる)。それぞれのヤーン試料上の仕上剤の全量は、0.7%FOY~1.10%FOYの範囲であった。それぞれに関し、ASTM-D3412にしたがって、0.5cm/分の速度及び50グラムの投入張力を用いて、フィラメントヤーンについて滑り摩擦係数(又は繊維-繊維間摩擦係数)を求めた。結果を、全仕上剤の組成の関数として図4にグラフで与える。
【0159】
上記に記載した紡糸仕上剤で被覆したセルロースアセテートフィラメントヤーンに種々の量の仕上剤Fを施すことによって、更なる試料を製造した。(乾燥基準で)0.7%FOYの紡糸仕上剤及び0.05%FOY~0.4%FOYの間のトップコート仕上剤を含む被覆ヤーンを用いて、ASTM-D3412にしたがい、0.5cm/分の速度及び50グラムの投入張力を用いて、それぞれのヤーンに関して静止摩擦係数、スティックスリップ、及び静電気消散性を求めた。これらの分析の結果を、トップコート仕上剤の量の関数として図5~7にグラフで示した。図5及び6において示されるように、滑り摩擦係数及びスティックスリップは仕上剤Fの量を増加させるにつれて増加する傾向を有し、一方で静電気を消散させる被覆の能力は、図7において示されるように、より多い量の仕上剤Fを用いると増加する。
【0160】
実施例3:
約2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成した。フィラメントヤーンは、1.8の線形デニール/フィラメント(dpf)及びY字形の断面を有する個々のフィラメントヤーンから形成した。それぞれのヤーンを、0.48%FOYの量で、紡糸仕上剤として通常用いられる鉱油ベースのエマルジョンで被覆した。フィラメントヤーンを、ASTM-D3937にしたがって測定して8、12、及び18捲縮/インチ(CPI)の捲縮頻度に捲縮させた。次に、それぞれのヤーンを切断して、38mmの長さを有するステープル繊維を形成した。それぞれのヤーン(8CPI、12CPI、及び18CPI)からのステープル繊維の半分を、イソプロパノールとヘキサンの混合物と接触させて紡糸仕上剤を除去し、一晩空気乾燥させた。次に、それぞれの捲縮頻度の被覆及び非被覆のステープル繊維を試験し、本明細書に記載したようにして、しかしながらInstron 3500シリーズの機械を用いて、ステープルパッド繊維-繊維間(F/F)摩擦係数、及び繊維-金属間(F/M)摩擦係数(SPCOF)を求めた。更に、静止摩擦力(重量グラム)、動摩擦力(重量グラム)も、静止摩擦力と動摩擦力の間の差であるスクループと共に測定した。下表2aに結果をまとめる。
【表2a】
【0161】
[0161]上表2aにおいて示されるように、上記に記載のように製造し、紡糸仕上剤で被覆したセルロースアセテート繊維は、紡糸仕上剤を含まない同様に捲縮した繊維よりも低いF/Fステープルパッド摩擦係数を示す。同様に、被覆した繊維は、所定の捲縮レベルにおいて非被覆の繊維よりも低いスクループ値及び同等のF/Mステープルパッド摩擦係数を示した。これは、被覆した繊維が同様の非被覆の繊維よりも手触り感の悪さが少ないことを示すことができる。更に、上表2aにおいて示されるように、被覆した繊維の捲縮頻度が8CPIから18CPIに増加するにつれて、F/F及びF/Mステープルパッド摩擦係数も増加する。同様の傾向が、ここに記載したように試験した捲縮繊維の静止摩擦力、動摩擦力、及びスクループ値の間で観察される。
【0162】
1.8dpfのデニール、8CPIの捲縮頻度を有する更なるフィラメントヤーンを、上記に記載のヤーンC-1~C-3を被覆するのに用いた0.45%FOYの鉱油ベースの紡糸仕上剤で被覆した。次に、3種類のフィラメントヤーンC-4~C-6を、0.4%FOY(C-4)、0.2%FOY(C-5)、及び0.01%FOY(C-6)を含む種々の量のトップコート仕上剤(仕上剤F)で被覆した。
【0163】
また、幾つかの対照ヤーンも形成した。第1の対照ヤーンは、上表2aにおいて示されるC-1であり、これは8CPIの捲縮頻度を有し、C-4~C-6を被覆するために用いた0.48%FOYの鉱油紡糸仕上剤で被覆した。C-1はトップコート仕上剤を含んでいなかった。対照2及び3は、それぞれ綿及びビスコース繊維から形成した。C-4~C-6並びにC-1及び対照2及び3のそれぞれに関して、静止摩擦力及び動摩擦力(重量グラム)を測定し、それぞれに関するスクループ値を計算した。更に、フィラメントヤーンを38mmの長さを有するステープル繊維に切断し、上記に記載したように複数のそれぞれのタイプの繊維に関して繊維-繊維間(F/F)ステープルパッド摩擦係数(COF)も求めた。結果を下表2bにまとめる。
【表2b】
【0164】
更に、logR試験(加工中に静電気を消散させる繊維の能力を測定する)を用いて、繊維の静電気消散能力を求めた。更に、上記に記載のようにして繊維-金属間(F/M)ステープルパッド摩擦係数(COF)も求め、幾つかの被覆繊維をフォーム試験(foam test)にかけて繊維の相対的加工性を求めた。フォーム試験は、50mLの脱イオン水を有するメスシリンダー内に5グラムの繊維を配置することによって実施した。2時間後、10mLの残留液をそれぞれのメスシリンダーから取り出し、25mLのメスシリンダーに移して、30回振盪した。1分後及び5分後に、振盪したメスシリンダー内のフォームの全高を測定した。これらの結果を下表2cにまとめる。
【表2c】
【0165】
上表2cにおいて示されるように、8-CPIの頻度を有する繊維に関する一般的な傾向は、より高いレベルのトップコート仕上剤によってより高い繊維-繊維間摩擦係数がもたらされるというものである。かかる繊維は、上首尾にカーディングして不織ウエブを形成することができる。更に、表2b及び2cにおけるデータの比較によって示されるように、より高いレベルの高摩擦トップコート仕上剤(例えば0.4%FOY)を有するより低い捲縮(例えば8CPI)の繊維の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数は、トップコート仕上剤を有しないより高い捲縮の繊維(例えば12CPI)と同等のレベルの繊維-繊維間摩擦力を示す傾向がある。而して、幾つかの場合においては、少ないトップコート仕上剤しか有しないか又はトップコート仕上剤を有しないより高い捲縮のセルロースアセテート繊維は、より高いレベルの高摩擦トップコート仕上剤を有するより低い捲縮のセルロースアセテート繊維と同じ程度の加工性でカーディング(又は他の形態で不織布に成形)することができる。これは、トップコート仕上剤のタイプ及び量と組み合わせてどのように捲縮レベルの選択を実施して所望の最終結果を達成することができるかの一例である。更に、図3も仕上剤Fを静電防止仕上剤として用いることができることを示している。
【0166】
実施例4:
約2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成した。ヤーンは、Y字形の断面、及び1.8又は2.5の線形デニール/フィラメント(dpf)を有する個々の繊維から形成した。それぞれのヤーンを、0.4~0.7%FOYの間の量で、紡糸仕上剤として通常用いられる鉱油ベースのエマルジョンで被覆した。フィラメントヤーンを、ASTM-D3937にしたがって測定して8、10、12、16、18、及び22捲縮/インチ(CPI)の捲縮頻度に捲縮した。ASTM-D3822にしたがい、FAVIMAT装置を用いて、個々のフィラメントのテナシティを測定した。
【0167】
これらの分析の一部の結果を図8及び9に示す。図8及び9に概して示されるように、より低い捲縮頻度を有するセルロースアセテートフィラメントはより高いテナシティを示す傾向がある。更に、図9によって示されるように、与えられた捲縮頻度に関しては、より低いデニールを有するセルロースアセテートフィラメントはより高いテナシティを示す傾向がある。更に、捲縮繊維のテナシティを測定し、同じデニールの同一であるが非捲縮の繊維の平均テナシティで割ることによって、幾つかの1.8dpfの繊維の残留テナシティも計算した。結果はまた、下表3においても与える。
【表3】
【0168】
約2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかの更なるセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成した。ヤーンは、Y字形の断面、及び1.8の線形デニール/フィラメント(dpf)を有する個々の繊維から形成した。それぞれのヤーンを、0.4~0.7%FOYの間の量で、紡糸仕上剤として通常用いられる鉱油ベースのエマルジョンで被覆した。フィラメントヤーンを、ASTM-D3937にしたがって測定して6.5~18捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度で捲縮した。ASTM-D3822にしたがい、FAVIMAT装置を用いて、フィラメントのテナシティを測定した。また、同じデニールの同一であるが非捲縮の繊維と比べたそれぞれの繊維の残留テナシティも求めた。結果を下表4にまとめる。
【表4】
【0169】
表3及び4において示されるように、より低いレベルの捲縮(例えばより低いCPI)を有する繊維は、概してより高い捲縮レベル(例えばより高いCPI)を有する繊維よりも僅かに良好なテナシティを示す。
【0170】
実施例5:
2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのフィラメントヤーンを製造した。フィラメントヤーンは、1.8デニールの線形デニール/フィラメント及びY字形の断面を有する個々のセルロースアセテート繊維から形成した。それぞれのヤーンを、22CPIの捲縮頻度に捲縮し、ステープル繊維に切断した。切断の前に、フィラメントヤーンを、下表5に示すタイプ及び量の紡糸仕上剤及び/又はトップコート仕上剤で被覆した。次に、それぞれのタイプの繊維を、PET繊維と50/50の重量比でブレンドし、得られた繊維ブレンドをカーディングによって不織ウエブに成形した。得られたウエブを水流絡合によって結合させた。それぞれの不織布は約60グラム/平方メートル(gsm)の目付を有していた。
【表5】
【0171】
更に、2種類の商業的に入手できるビスコース繊維(Y字形の断面を有するGALAXY(登録商標)三葉形3.0dpf再生セルロース繊維(Kelheim Fibresから)、及び円形の断面を有するTENCEL(登録商標)1.7dpf再生セルロース繊維(Lenzingから))をPET繊維とブレンドして、対照の不織布(それぞれCW-1及びCW-2)を形成した。
【0172】
幾つかの試験を実施して、不織布NW-1~NW-3、並びに不織布CW-1及びCW-2のそれぞれの性能を比較した。特に、NWSP-010.1-7.3にしたがって5分における吸上げ速度及び吸上げ高さを測定した。結果をそれぞれ図10及び11に与える。NWSP-010.1-7.2にしたがってそれぞれの不織布の吸収量も試験した。結果を図12に与える。図10において示されるように、繊維C-19及びPETの50/50ブレンドから形成された不織布NW-2は、対照不織布CW-1及びCW-2と比べて改良された吸上げ速度を示した。更に、図11において示されるように、不織布NW-2は、対照不織布CW-1のものと匹敵し、対照不織布CW-2のものよりも高い5分後の全吸上げ高さを示した。更に、図12において示されるように、不織布NW-1~NW-3のそれぞれは、対照不織布CW-1及びCW-2と匹敵するか又はそれよりも良好な吸収性を示した。
【0173】
実施例6:
2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのフィラメントヤーンを製造した。フィラメントヤーンは、1.8又は4.0デニールの線形デニール/フィラメント、並びにY字形、中空C字形、八角形、又はX字形の断面を有する個々のセルロースアセテート繊維から形成した。フィラメントヤーンを、18~22CPIの捲縮頻度に捲縮し、それぞれを、0.7%FOYの紡糸仕上剤として通常用いられている鉱油ベースのエマルジョンで被覆した。次に、フィラメントヤーンをステープル繊維に切断し、それぞれのタイプの繊維を、PET繊維と重量基準で50/50のブレンドでブレンドした。得られたブレンドをカーディングによって不織ウエブに成形し、次に水流絡合によって結合させた。本実施例において形成された不織布の概要を表6に与える。
【表6】
【0174】
NWSP-010.1-7.2にしたがって、上表6にまとめた不織布のそれぞれの吸収量を測定した。結果を、図13において断面形状の関数として、及び図14においてデニールの関数としてグラフで示す。図13において示されるように、ここに記載する異なる断面のセルロースアセテート繊維から形成された不織ウエブは同等の吸収性を示し、Y字形の繊維は僅かに高い吸収性の不織ウエブを与える。更に、図14において示されるように、与えられた断面形状を有する繊維のデニールは、その繊維から形成された不織ウエブの最終吸収性に少ししか影響を与えない。
【0175】
実施例7:
2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのフィラメントヤーンを製造した。フィラメントヤーンは、1.8又は4の線形デニール/フィラメント、並びにY字形又は円形の断面を有する個々のセルロースアセテート繊維から形成した。被覆したヤーンを、約20捲縮/インチの捲縮頻度に捲縮した。次に、一部のヤーンを、0.8~1.3%FOYの間の単一の仕上剤(実施例1からの仕上剤B)で被覆し、得られた繊維をステープル繊維に切断した。次に、ステープル繊維を用いてカーディングによって不織ウエブを形成し、水流絡合によって結合させた。不織布NW-11~NW-14のそれぞれの基本組成の概要を下表7に与える。
【表7】
【0176】
更に、2種類の商業的に入手できるビスコース繊維(Y字形の断面を有するGALAXY(登録商標)三葉形3.0dpf再生セルロース繊維(Kelheim Fibresから)、及び円形の断面を有するTENCEL(登録商標)1.7dpf再生セルロース繊維(Lenzingから))をPET繊維とブレンドして、対照の不織布(それぞれCW-3及びCW-4)を形成した。
【0177】
それぞれのタイプの6種類の不織布を製造し、ティッシュソフトネス分析器(TSA)を用いて、Emtecによって論文"New and objective measuring technique to analyse softness", 2015年5月刊(www.emtec-papertest.deにおいて入手できる)に記載されているようにして、それぞれのリアルソフトネス、粗さ、及び剛軟度を求めた。TSAは、繊維の柔軟度、テクスチャー、及び剛軟度に関係するデータを集め、内蔵の計算アルゴリズムを用いて与えられた不織布に関する標準的なハンドフィールの値を計算する。この方法にしたがって測定されるリアルソフトネスは、主として繊維の剛軟度及びそれらの表面摩擦のレベルによって引き起こされる装置ブレード自体の振動に相関する。この方法にしたがって測定されるウエブの粗さは、ブレードの水平方向の動き及び表面構造によって引き起こされるティッシュ試料自体の上下振動に相関する。この方法によって測定される不織布の剛軟度は、規定の力の下での試料の変形に相関する。ここに記載するように製造された不織布に関して得られるリアルソフトネス、剛軟度、及び粗さの値から、QAIアルゴリズムにしたがい、これらの3つのパラメータ並びに不織布の目付及び厚さに基づいて、それぞれの不織布のハンドフィールを予測した。リアルソフトネスの関数としての予測されるハンドフィールのグラフを図15に与え、結果を下表8にまとめる。
【表8】
【0178】
実施例8:
2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのフィラメントヤーンを製造した。フィラメントヤーンは、1.8の線形デニール/フィラメント、及びY字形の断面を有する個々のセルロースアセテート繊維から形成した。フィラメントヤーンを、0.5%FOYの紡糸仕上剤として通常用いられている鉱油ベースのエマルジョンで被覆した。被覆したヤーンを8捲縮/インチ(CPI)の捲縮頻度に捲縮した。次に、フィラメントヤーンを、0.1%FOYのトップコート仕上剤(実施例からの仕上剤B)で被覆し、得られたヤーンを6mmの長さを有するステープル繊維に切断した。次に、ステープル繊維を、単独か又は木材パルプ繊維との種々のブレンドで用いて、不織ウエブMW-15~MW-17を形成した。セルロースアセテート/木材パルプのブレンドは、セルロースアセテート/木材パルプの重量比20/80のブレンド乃至重量比50/50のブレンドの範囲であった。また、100%木材パルプから形成された対照不織布CW-5も製造した。
【0179】
40%の相対湿度及び71°Fの温度で実施されるエアレイド形成法を用いて、不織ウエブを形成した。通気オーブンの温度は329°Fであり、250°Fの温度においてゼロのニップギャップを用いて運転される熱カレンダリングロールによって、得られたウエブを結合させた。NWSP-110.4,オプションAにしたがってそれぞれの不織布の乾燥引張り強さ、並びにNWSP-010.1-7.2にしたがって吸収能力を測定した。これらの分析の結果を下表9にまとめる。
【表9】
【0180】
表9において示されるように、木材パルプとブレンドしたセルロースアセテート繊維から形成された不織布は、木材パルプ単独から形成されるものと同等の強さ及び吸収能力を示した。
【0181】
実施例9:
約2.5の置換度を有するセルロースアセテートから、幾つかのセルロースアセテートフィラメントヤーンを形成した。ヤーンは、それぞれY字形又は円形の断面のいずれか、及び1.8又は2.5の線形デニール/フィラメント(dpf)を有する複数の個々のフィラメントから形成した。それぞれのヤーンは、繊維紡糸中に直接、約0.40%FOY~約0.65%FOYの範囲の量の2種類の異なる仕上剤(例えば、実施例1に記載した仕上剤A及びB)で被覆した。フィラメントヤーンを、ASTM-D3937にしたがって測定して約16捲縮/インチ(CPI)の捲縮頻度に捲縮し、38mmの長さを有するステープル繊維に切断した。
【0182】
これらの同じ仕上剤のタイプ及びFOY値を用いて被覆した連続フィラメントヤーン(1.8dpf、Y字形断面、150の全デニール)を用いて、ASTM-D3412にしたがい、ここに記載したフィラメントヤーンパラメータ、100m/分の速度、10グラムの投入張力を用い、フィラメントヤーンに片撚りを施して、繊維-繊維間(F/F)摩擦係数(COF)、並びにASTM-D3108にしたがい、ここに記載したフィラメントヤーンパラメータ、100m/分の速度、及び10グラムの投入張力を用いて、繊維-金属間(F/M)摩擦係数を求めた。また、ASTM-D3822にしたがい、FAVIMAT装置を用いて、個々のフィラメントのテナシティも測定した。結果を下表10にまとめる。
【表10】
【0183】
上表10にリストした繊維を、1.7dtexのPET繊維(Trevira PETから商業的に入手できる)と種々の比でブレンドし、得られた繊維ブレンドを、約150~約250メートル/分(m/分)の範囲の速度でカーディングすることによって不織ウエブに成形した。得られたウエブを水流絡合によって結合させた。それぞれの不織布の目付及び厚さを、それぞれNWSP-130.1.R0(15)及びNWSP-120.1.R0(15)にしたがって測定し、ブレンド比をAATCC-TM20A-2014,No.1にしたがって測定した。更に、商業的に入手できる1.7dtexのビスコース繊維(Lenzingから商業的に入手できる)と、他の不織布を形成するのに用いたものと同じタイプのPET繊維とのブレンドをカーディングし、次に得られたウエブを水流絡合によって結合させることによって、対照不織布CW-6及びCW-7を形成した。下表11に、不織布NW-18~NW-26、並びに対照不織布CW-6及びCW-7のそれぞれに関する組成及びウエブ形成速度をまとめる。
【表11】
【0184】
NWSP-110.4,オプションAにしたがって、上表11にリストした幾つかの不織布の機械方向(MD)及び幅方向(CD)の湿潤及び乾燥引張り強さ、並びにNWSP-010.1-7.2にしたがって吸収速度及び吸収量を測定した。更に、NWSP-010.1-7.3にしたがって、幾つかの不織布に関する幅方向の1分における吸上げ高さ、並びにNWSP-060.1.R0(15)にしたがって不織布の不透明度を測定した。これらの分析の結果を下表12a及び12bにまとめる。
【表12a】
【表12b】
【0185】
上表11、12a、及び12bにおいて示されるように、与えられた目付に関して、セルロースアセテート繊維を含んでいた不織布(NW-18~NW-25)は、ビスコースを含んでいた不織布(CW-6及びCW-7)よりも軟質で、より高ロフトで、より吸収性であった。更に、上記の結果は、不織布の引張り強さが不織布を形成するのに用いるブレンド中のセルロースアセテートの量に相関することを示しており、上記のデータは、より多い量のセルロースアセテートはより低い引張り強さをもたらす可能性があることを示している。更に、セルロースアセテートを含むブレンドから形成される不織布の引張り強さは、ビスコースから形成される不織布の引張り強さよりも僅かに小さい可能性がある。
【0186】
実施例10:
上記の実施例9において記載した不織布NW-18~NW-25、CW-6、及びCW-7を、独立した審査員団によって湿潤及び乾燥柔軟性に関して評価した。それぞれの審査員は、それぞれの不織布の3インチ×6インチのパネルの表面の滑らかさ/スベスベさ及びハンドフィール(例えば、ドレープ性、手触り、及びパリパリ感(crunchiness))の両方を審査することによって、それぞれの不織布の乾燥柔軟性を評価した。審査員は、彼らの指先をパネルの平坦な表面上で機械方向及び幅方向の両方で前後に動かし、不織布の滑らかさを査定することによって、それぞれのタイプの不織布の表面の滑らかさ/スベスベさを測った。ハンドフィールは、基材の全体的な感触を査定するために、基材を、彼らの指先の間で、彼らの手に対して擦りつけ、及びパネルをくしゃくしゃにし且つ折り畳むことによって測った。それぞれの不織布についてそれぞれのタイプの試験を実施した後、それぞれの審査員にそれぞれのパネルの柔軟度を1~5(より低い数はより柔軟な不織布を示す)でランク付けすることを求めた。
【0187】
不織布NW-18~NW-25、CW-6、及びCW-7のそれぞれの試料を、乾燥基材1グラムあたり2.5グラムの溶液の量の希釈ローション溶液で処理した。希釈ローション溶液は、98重量部の水をUnileverから商業的に入手できる2重量部のBaby Doveベビーローションと混合することによって形成した。また、同じ独立した審査員団によって、得られた不織布のそれぞれの湿潤柔軟性も試験した。それぞれの審査員は、上記に記載のものと同様の方法で湿潤した不織布のそれぞれの表面の滑らかさ/スベスベさ及びハンドフィールを評価し、それぞれの試料を1~7のスケール(より低い値はより高い柔軟度を示す)でランク付けした。
【0188】
審査員団からの乾燥及び湿潤柔軟性のランク付けを集め、まず、柔軟性の等級の合計を審査員の数で割った値に基づいて平均柔軟性等級を求めることによって、統計的に分析した。結果をバブルチャートにプロットした。バブルの寸法は与えられた基材に特定の等級を付けた審査員の数に対応している。結果は、試験した不織布のそれぞれに関して1~10の相対的等級付けであり、1は最も柔軟であり、10は柔軟性が最も低かった。これらの結果を下表13にまとめる。
【表13】
【0189】
表13において示されるように、セルロースアセテート繊維から形成された不織布NW-18~NW-25のそれぞれは、ビスコースを用いて形成された不織布CW-6及びCW-7よりも柔軟であった。
【0190】
実施例11:
2.5の置換度を有するセルロースアセテート繊維から形成された6dpfの線密度を有するセルロースアセテート繊維の幾つかの試料を、約1mm未満の粒径を有する粉末に凍結粉砕した。試料の生分解性を、ISO-1485501(2012)にしたがって家庭堆肥化条件下で、ISO-1485501(2012)にしたがって工業的堆肥化条件下で、及びISO-17556(2012)にしたがって土壌堆肥化条件下で試験した。セルロースの幾つかの対照試料を同様に粉砕し、同じ試験及び条件にかけた。それぞれの試料の得られた生分解性を計算し、それぞれを図16~18に時間の関数として示す。
【0191】
図16において示されるように、工業的堆肥化条件に曝露した際には、対照のセルロース繊維(CL-1)は76.7%の生分解率に達し、一方でセルロースアセテート繊維は90%の生分解に達した。試験期間は45日であった。而して、セルロースアセテート繊維は、工業的堆肥化条件下で対照試料よりも高いレベルの生分解を示し、また工業的堆肥化条件でのEN-13432(2000)の90%生分解性要件を満足した。
【0192】
図17において示されるように、家庭堆肥化条件に曝露した際には、対照のセルロースは79.8%の生分解に達し、一方でセルロースアセテート繊維は82.5%の生分解に達した。試験期間は50日であった。相対的基準で、セルロースアセテート繊維は対照セルロース繊維に対して101.7%の相対的生分解を示した。したがって、家庭堆肥化条件下においては、セルロースアセテート繊維によってEN-13432(2000)の90%の生分解性要件も達成された。
【0193】
図18に示されるように、ISO-17556(2012)にしたがう土壌条件下における試験の195日後において、対照セルロース試料は90.0%の平均生分解を達成した。セルロースアセテート繊維は、同じ条件に曝露した際に85.8%の平均生分解を示し、これは95.3%の相対的生分解に相当する。
【0194】
実施例12:
ISO-16929(2013)にしたがい、家庭及び工業的堆肥化条件の両方の下で、6dpfの線密度を有し、2.5の置換度を有するセルロースアセテートから形成されたセルロースアセテート繊維の崩壊性を試験した。セルロースアセテート繊維は、工業的堆肥化条件下において12週後に完全に崩壊した。これは、EN-13432において示されている90%最小崩壊閾値を超える。同様に、家庭堆肥化条件に曝露した際には、セルロースアセテート繊維は20週後に95%を大きく超える崩壊率を示した。これは、26週の最大規定時間よりも遙かに短い。実際に、セルロースアセテート繊維は、家庭堆肥化条件下における試験の26週後に完全に崩壊した。
【0195】
実施例13:
1.8の線形デニール/フィラメント(dpf)及び円形又はY字形の断面を有するセルロースアセテート(CA)の個々の連続フィラメントから、幾つかのフィラメントヤーンを形成した。フィラメントヤーンを約0.7%FOYの紡糸仕上剤(例えば上表1からの仕上剤A又はB)で被覆し、16~18捲縮/インチ(CPI)の間の捲縮頻度に捲縮した。捲縮した後、フィラメントヤーンの一部を、約0.25%FOYのトップコート仕上剤(例えば表1からの仕上剤F、或いはPulcraから2724として入手できる他の静電防止仕上剤Q)で更に被覆した。フィラメントヤーンの残りは、トップコート仕上剤で仕上げ処理しなかった。次にフィラメントヤーンの一部を約38mmの長さを有するステープル繊維に切断し、他のものは51mmの長さを有するステープル繊維に切断した。フィラメントヤーンの幾つかの特性及び得られたステープル繊維を下表15にまとめる。
【表15】
【0196】
AATCC-TM76-2011にしたがって測定される表面抵抗率(LogR)、AATCC-84-2011にしたがって測定される静電気半減期、及びASTM-D3822にしたがって測定されるフィラメントのテナシティなどのフィラメントヤーン及び繊維の幾つかの更なる特性を測定した。更に、フィラメントヤーンの繊維-繊維間(F/F)及び繊維-金属間(F/M)摩擦係数を、それぞれASTM-D3412及びA
STM-D3018にしたがって、連続引張試験器電子装置(CTT-E)を用い、規定のヤーンパラメータを用いて測定した。F/F摩擦係数(COF)は、ASTM-D3412にしたがい、20m/分の速度、10グラムの投入張力において、フィラメントヤーンに片撚りを施して測定した。F/M摩擦係数(COF)は、ASTM-D3108にしたがい、100m/分の速度、10グラムの投入張力において測定した。また、本明細書に記載した方法にしたがって、ステープル繊維に関するステープルパッド繊維-繊維間(F/F)摩擦係数も測定した。これらの測定の結果を下表16にまとめる。
【表16】
【0197】
上表16において示されるように、ステープルパッド摩擦係数によって示されるように、それぞれ更なるトップコート静電防止仕上剤を含んでいた繊維C-38及びC-39は、更なるトップコート仕上剤で処理しなかった繊維C-30~C32及びC-37よりも高い摩擦を示した。しかしながら、これも表16において示されるように、繊維C-38及びC-39はまた、より短い静電気半減期及びより低いLogR値(表面抵抗率)によって示されるように、トップコート仕上剤を有しない繊維よりも良好な静電気消散性も示した。上記で示されるように、繊維C-38及びC-39によって示される静電気半減期及びF/Fステープルパッド摩擦係数の値は、PET及びビスコースによって示されるものと同等であった。下記において更に詳細に記載するように、繊維C-30~C32及びC-37は比較的多い量の他の繊維とブレンドして、商業的な速度においても製造することができる不織布を形成することができることも見出された。
【0198】
上表16にリストした幾つかのフィラメントヤーンからのステープル繊維を、38mmの1.7dtex-PET繊維(Trevira PETから商業的に入手できる)と種々の量でブレンドし、得られた繊維ブレンドを、約150メートル/分(m/分)の速度でカーディングすることによって不織布に成形した。不織布の1つ(NW-59)は、繊維C-53とブレンドした38mmの長さを有する1.4dpfのPETステープル繊維(DAKから商業的に入手できる)を用いて形成され、約250mm/分の速度でカーディングすることによって形成した。次に、カーディングされたウエブを水流絡合によって結合させて不織布を形成した。それぞれの不織布の目付及び厚さを、それぞれNWSP-130.1.R0(15)及びNWSP-120.1.R0(15)にしたがって測定し、AATCC-TM20A-2014,No.1にしたがってブレンド比を測定した。
【0199】
更に、商業的に入手できる1.7dtexのビスコース繊維(Lenzingから商業的に入手できる)と、セルロースアセテートを含む不織布を形成するのに用いたものと同じタイプのPET繊維とのブレンドをカーディングし、次に得られたPET/ビスコースウエブを水流絡合によって結合させることによって、不織布CW-8~CW-10を形成した。下表17に、幾つかのこれらの不織布の組成をまとめる。
【表17】
【0200】
NWSP-110.4,オプションAにしたがって、上表17にリストした不織布の乾燥及び湿潤引張り強さを測定した。更に、NWSP-010.1-7.2にしたがって不織布の吸収量、並びにNWSP-010.1-7.3にしたがって幅方向及び機械方向の1分における吸上げ高さも測定した。また、実施例7に記載したEmtecティッシュソフトネスアナライザー(TSA)法を用いて幾つかの不織布の粗さ及びリアルソフトネスも測定した。これらの分析の結果を下表18a及び18bにまとめる。
【表18a】
【表18b】
【0201】
上表17、18a、及び18bにおいて示されるように、PET/ビスコース不織布CW-8~CW-10の粗さはブレンド中のビスコース混入率の関数として増加し、これに対して幾つかのセルロースアセテート/PET不織布(例えば試料NW-27、NW-20、及びNW-22、試料NW-23、NW-34、及びNW-35、試料NW-37~NW-39、及び試料NW-41~NW-43)の粗さは、セルロースアセテート含量の関数として減少した。更に、例えば試料NW-37~NW-40と試料NW-41~NW-44を比較することによって示されるように、より多いセルロースアセテートをブレンド中に含ませた場合には不織布の吸収量も増加し、繊維上においてトップコート仕上剤を用いた場合には吸収量が大きく増加した。
【0202】
更に、セルロースアセテート繊維を用いて形成されたNW-20、NW-22、NW-24、NW-27、及びNW-31~NW-44の幅方向において測定された湿潤引張り強さ(湿潤CD)を、CW-8~CW-10の幅方向の同じ湿潤引張り強さと比較することによって示されるように、セルロースアセテートから形成される不織布の引張り強さの値は、ビスコースから形成される不織布の引張り強さとほぼ同等であるか、又はこれよりも高い。而して、セルロースアセテート(及びセルロースアセテートブレンド)から形成される不織布は、ビスコース(及びビスコースブレンド)から形成される同様の不織布と比べて、湿潤条件下において同等の強度保持率を示す。更に、図18bにおいて示されるように、Y字形の断面形状を有する繊維から形成される不織布は、より高い吸収性を有する傾向がある。
【0203】
また、表17及び18aにおいて示されるように、約0.25%FOYの静電防止トップコート仕上剤を含む繊維C-38又はC-39から形成された不織布NW-37~NW-44は、静電防止トップコート仕上剤を含んでいなかった同様の繊維C-30から形成された不織布と比べて、湿潤及び乾燥条件下において、幅方向及び機械方向において概してより高い引張り強さを示した。この特定の傾向は、試料NW-27(トップコート仕上剤を有しない繊維C-30)に関する機械方向及び幅方向の湿潤及び乾燥引張り強さを、NW-37(トップコートとして仕上剤Fを有する繊維C-38)及びNW-41(トップコートとして仕上剤Qを有する繊維C-39)と、並びに試料NW-20を試料NW-38及びNW-42と比較することによって最も良く示される。この比較に関する関連するデータは、下表19にも与える。
【表19】
【0204】
更に、上表17、18a、及び18bにおいて示されるように、円形の断面を有する繊維から形成された不織布は、Y字形の断面を有する同様の繊維から形成された不織布よりも高い強度を示す傾向を有していた。しかしながら、円形の断面を有する繊維から形成された不織布は、50%以下のPETを用いてブレンドにすると、僅かにより低い吸収性を有するより薄いウエブを生成する傾向を有していた。下表20に、この比較のための表17、18a、及び18bからの関係するデータをまとめる。
【表20】
【0205】
実施例14:
1.2、1.8、又は2.5の線形デニール/フィラメント(dpf)及び円形又はY字形の断面を有するセルロースアセテートの個々の連続フィラメントから、幾つかのフィラメントヤーンを製造した。フィラメントヤーンを10~16捲縮/インチ(CPI)の間の捲縮頻度に捲縮し、上表1からの種々の量の仕上剤Bで被覆した。下表21に、これらのヤーンのそれぞれの幾つかの特性をまとめる。
【表21】
【0206】
次に、フィラメントヤーンを、約38mmの長さを有するステープル繊維に切断し、1.7dtexのPET繊維(Trevira PETから商業的に入手できる)と種々の比でブレンドした。得られた繊維ブレンドを約150メートル/分(m/分)の速度でカーディングした。次に、カーディングしたウエブを水流絡合によって結合させて不織布を形成した。それぞれの不織布の目付及び厚さを、それぞれNWSP-130.1.R0(15)及びNWSP-120.1.R0(15)にしたがって測定した。
【0207】
NWSP-110.4,オプションAにしたがって、上表21にリストした不織布の湿潤及び乾燥引張り強さを測定した。更に、NWSP-010.1-7.2にしたがって幾つかの不織布の吸収量、並びにNWSP-010.1-7.3にしたがって幅方向及び機械方向での1分における吸上高さも測定した。これらの分析の結果を下表22にまとめる。
【表22a】
【表22b】
【0208】
上表21、22a、及び22bにおいて示されるように、より低い捲縮レベル(例えばNW-46において10CPI)を有する繊維から形成された不織布は、より高い捲縮レベル(例えばNW-26において16CPI)を有する同様の繊維から形成された不織布よりも僅かに薄かった(低ロフトであった)。更に、NW-46(10CPIの繊維)とNW-26(16CPIの繊維)を比較することによって示されるように、より低捲縮の繊維から形成された不織布は、より高捲縮の繊維から形成されたものよりも僅かに低い吸収量を示した。
【0209】
更に、上表21、22a、及び22bにおいて示されるように、NW-46(2.5dpf、10CPIの繊維)とNW-49(1.8dpf、10CPIの繊維)を比較することによって示されるように、より低いデニールを有する繊維から形成された不織布は、より高いデニールを有する繊維から形成された不織布よりも僅かに高ロフトであった(より厚かった)。また、これもNW-46とNW-49を比較することによって示されるように、より低デニールの繊維から形成された不織布は、同様のより高デニールの繊維から形成された不織布よりも概して増加した強度及びより高い吸収量を示した。
【0210】
実施例15:
1.8の線形デニール/フィラメント(dpf)及びY字形の断面を有するセルロースアセテートの個々の連続フィラメントからフィラメントヤーンを製造した。フィラメントヤーンを16捲縮/インチ(CPI)の捲縮頻度に捲縮し、それぞれを上表1からの約0.64%FOYの仕上剤Bで被覆した。次に、フィラメントヤーンを約38mmの長さを有するステープル繊維に切断した。
【0211】
得られたステープル繊維を、1.7dtexのTENCEL(登録商標)繊維(Lenzingから商業的に入手できる)と種々の比でブレンドした。得られた繊維ブレンドをカーディングによって不織ウエブに成形し、カーディングしたウエブを水流絡合によって結合させて不織布を形成した。それぞれの不織布の目付及び厚さを、それぞれNWSP-130.1.R0(15)及びNWSP-120.1.R0(15)にしたがって測定した。更に、商業的に入手できる1.7dtexのビスコース繊維(Lenzingから商業的に入手できる)と、セルロースアセテートブレンドを形成するのに用いたものと同じタイプのTencel(登録商標)繊維とのブレンドをカーディングし、次にこのビスコース/Tencel(登録商標)ウエブを水流絡合によって結合させることによって、不織布CW-11及びCW-12を形成した。
【0212】
NWSP-110.4,オプションAにしたがって、これらの不織布の湿潤及び乾燥引張り強さを測定した。更に、NWSP-010.1-7.2にしたがって不織布の吸収量も測定し、並びにNWSP-010.1-7.3にしたがって機械方向での1分における吸上高さも測定した。これらの分析の結果を下表23にまとめる。
【表23】
【0213】
上表23において示されるように、セルロースアセテートを含む不織布の吸収量は、セルロースアセテート繊維のレベルを増加させるにつれて増加した。しかしながら、不織布の全体的な強度及び厚さは、セルロースアセテート/Tencel(登録商標)繊維ブレンド中のセルロースアセテートの量を増加させるにつれて概して減少した。全体的には、不織布CW-11とCW-12を比較することによって示されるように、Tencel(登録商標)ブレンド中のビスコースの量は、ビスコース/Tencel(登録商標)不織布の強度及び吸収量に非常に小さな影響しか与えなかった。表23に与えたNW-50とCW-11及びNW-51とCW-12を比較することによって示されるように、セルロースアセテートを用いて形成された不織布は、ビスコースを用いて形成された同様の不織布よりも高い吸収量を示した。
【0214】
下表24a~cに、NW-18~NW-27、NW-31、NW-42~NW-44、及びNW-46~NW-52、並びにCW-6~CW-12のそれぞれに関して、1インチの試料片を用いて測定し、厚さ、目付、及び密度、並びに結合指数にしたがって正規化した引張り強さをまとめる。
【表24a-1】
【表24a-2】
【表24b-1】
【表24b-2】
【表24c】
【0215】
定義:
本明細書において用いる「含む」、「含み」、及び「含んでいる」という用語は、その用語の前に示されている主語から、その用語の後に示されている1以上の要素へ移行するのに用いられる非限定的な移行語であり、この移行語の後にリストされている1つ又は複数の構成要素は、必ずしも主語を構成する唯一の構成要素ではない。
【0216】
本明細書において用いる「包含する」、「包含し」、及び「包含している」という用語は、「含む」、「含み」、及び「含んでいる」と同じ非限定的な意味を有する。
【0217】
本明細書において用いる「有する」、「有し」、及び「有している」という用語は、「含む」、「含み」、及び「含んでいる」と同じ非限定的な意味を有する。
【0218】
本明細書において用いる「含有する」、「含有し」、及び「含有している」という用語は、「含む」、「含み」、及び「含んでいる」と同じ非限定的な意味を有する。
【0219】
本明細書において用いる「a」、「an」、「the」、及び「said」の用語は1以上を意味する。
【0220】
本明細書において用いる「及び/又は」の用語は、2以上の事項のリストにおいて用いる場合には、リストされている事項の任意の1つを単独で用いることができ、或いはリストされている事項の2以上の任意の組合せを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含むと記載されている場合には、この組成物は、A単独;B単独;C単独;A及びBの組合せ;A及びCの組合せ;B及びCの組合せ;或いはA、B、及びCの組合せ;を含む可能性がある。
【0221】
上記に記載した本発明の好ましい形態は例示のみとして用いられるべきであり、限定的な意味で本発明の範囲を解釈するために用いてはならない。上記に示した代表的な態様に対する明らかな修正は、本発明の精神から逸脱することなく当業者によって容易に行うことができるであろう。
【0222】
本発明者らは、以下の特許請求の範囲に示す本発明の文言上の範囲から実質的には逸脱しないがその外側である任意の装置に関しては、均等論によって本発明の合理的に正当な範囲を決定及び定める意図をここに明言する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0222
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0222】
本発明者らは、以下の特許請求の範囲に示す本発明の文言上の範囲から実質的には逸脱しないがその外側である任意の装置に関しては、均等論によって本発明の合理的に正当な範囲を決定及び定める意図をここに明言する。
(態様)
(態様1)
セルロースアセテートから形成され、少なくとも部分的に少なくとも1種類のイオン性繊維仕上剤で被覆されているステープル繊維であって、前記繊維は、logRとして表して約11以下の表面抵抗率を有する上記ステープル繊維。
(態様2)
前記繊維が約25秒以下の静電気半減期を有し、複数の前記繊維が少なくとも約0.1の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す、態様1に記載の繊維。
(態様3)
複数の前記繊維が少なくとも約0.10の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示し、複数の前記繊維が少なくとも約0.20の繊維-金属間ステープルパッド摩擦係数を示す、態様1に記載の繊維。
(態様4)
前記繊維が紡糸仕上剤で被覆されておらず、約0.4%FOY以下の量の少なくとも1種類のトップコート仕上剤で被覆されており、前記トップコート仕上剤は前記イオン性繊維仕上剤を含み、前記ステープル繊維は、約10~約17捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度を有する、態様1に記載の繊維。
(態様5)
前記繊維が、約0.5~約3の範囲のデニール/フィラメント、約8~約24CPIの範囲の捲縮頻度、約3~約75mmの範囲の長さ、及びY字形又は円形の断面形状を有する、態様1に記載の繊維。
(態様6)
前記繊維が少なくとも部分的に紡糸仕上剤及びトップコート仕上剤で被覆されており、前記繊維上の前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤の合計量は少なくとも0.65%FOYであり、前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤の少なくとも1つは約0.5%FOY以下の量で存在する、態様1に記載の繊維。
(態様7)
前記繊維が生分解性繊維であり、前記繊維上の仕上剤の全量は約1%FOY以下であり、前記繊維は、次の生分解性特性(i)~(iii):
(i)工業的堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して180日以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
(ii)土壌堆肥化条件下においてISO-17556(2012)にしたがって測定して2年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;及び
(iii)家庭堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して1年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
の少なくとも1つを示す、態様1に記載のステープル繊維。
(態様8)
態様1に記載のステープル繊維を含む不織ウエブ。
(態様9)
セルロースアセテートから形成されるステープル繊維であって、複数の前記繊維は約0.1~約0.7の範囲の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す上記ステープル繊維。
(態様10)
複数の前記繊維が少なくとも約0.25の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示し、前記繊維が、同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期よりも少なくとも約50%少ない静電気半減期を有する、態様9に記載の繊維。
(態様11)
複数の前記繊維が少なくとも約0.20の繊維-金属間ステープルパッド摩擦係数を示す、態様9に記載の繊維。
(態様12)
前記繊維が、約8~約24CPIの範囲の捲縮頻度、約3以下のデニール/フィラメント、約3~約75mmの範囲の長さ、Y字形又は円形の断面形状を有し、前記繊維が少なくとも約0.4%FOYの量の少なくとも1種類の仕上剤で少なくとも部分的に被覆されている、態様9に記載の繊維。
(態様13)
前記繊維が少なくとも部分的に紡糸仕上剤及びトップコート仕上剤で被覆されており、前記繊維上の前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤の合計量は約0.5%FOY~約1.5%FOYの範囲であり、前記紡糸仕上剤及び前記トップコート仕上剤は、ヤーンを切断して前記繊維を与える前に前記繊維を形成するのに用いられるフィラメントヤーンに施されており、前記紡糸仕上剤は少なくとも約0.5%FOYの量で前記繊維上に存在し、前記トップコート仕上剤は約0.5%FOY以下の量で前記繊維上に存在する、態様9に記載の繊維。
(態様14)
前記繊維が生分解性繊維であり、前記繊維上の仕上剤の全量は約1%FOY以下であり、前記繊維は、次の生分解性特性(i)~(iii):
(i)工業的堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して180日以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
(ii)土壌堆肥化条件下においてISO-17556(2012)にしたがって測定して2年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;及び
(iii)家庭堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して1年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
の少なくとも1つを示す、態様9に記載のステープル繊維。
(態様15)
態様9に記載のステープル繊維を含む不織ウエブ。
(態様16)
セルロースアセテートから形成されるステープル繊維であって、前記ステープル繊維は、約0.5~約6.0の範囲のデニール/フィラメント、8~24捲縮/インチ(CPI)の範囲の捲縮頻度、及び同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期よりも少なくとも約50%少ない静電気半減期を有し、複数の前記繊維は少なくとも約0.10の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数を示す上記ステープル繊維。
(態様17)
複数の前記繊維が、少なくとも約0.25の繊維-繊維間ステープルパッド摩擦係数、及び少なくとも約0.20の繊維-金属間ステープルパッド摩擦係数を示す、態様16に記載の繊維。
(態様18)
前記繊維が、同一であるが非被覆の繊維の静電気半減期より少なくとも約50%少ない静電気半減期、及びlogRとして表して約11以下の表面抵抗率を有する、態様16に記載の繊維。
(態様19)
前記繊維が、約1.1~約3のデニール/フィラメント、約10~約22CPIの範囲の捲縮頻度、約30~約60mmの範囲の長さ、及びY字形又は円形の断面形状を有する、態様16に記載の繊維。
(態様20)
前記繊維が生分解性繊維であり、前記繊維上の仕上剤の全量は約1%FOY以下であり、前記繊維は、次の生分解性特性(i)~(iii):
(i)工業的堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがって測定して180日以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
(ii)土壌堆肥化条件下においてISO-17556(2012)にしたがって測定して2年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;及び
(iii)家庭堆肥化条件下においてISO-14855-1(2012)にしたがっ
て測定して1年以下の期間内で少なくとも90%の生分解;
の少なくとも1つを示す、態様16に記載のステープル繊維。
(態様21)
態様16に記載のステープル繊維を含む不織ウエブ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアセテートから形成され、少なくとも部分的に少なくとも1種類のイオン性繊維仕上剤で被覆されているステープル繊維であって、前記繊維は、logRとして表して約11以下の表面抵抗率を有する上記ステープル繊維。
【外国語明細書】