(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105046
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】アルファ-Vベータ-6インテグリンリガンド及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20230721BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20230721BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20230721BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230721BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230721BHJP
A61K 47/66 20170101ALI20230721BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230721BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20230721BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K31/7105
A61K38/06
A61K45/00
A61K47/64
A61K47/66
A61K48/00
A61P35/00
A61P43/00 105
C12N15/113 Z
【審査請求】有
【請求項の数】49
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091857
(22)【出願日】2023-06-02
(62)【分割の表示】P 2019522676の分割
【原出願日】2017-11-01
(31)【優先権主張番号】62/415,752
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512219840
【氏名又は名称】アローヘッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】アーロン アルメイダ
(72)【発明者】
【氏名】チェン リー
(72)【発明者】
【氏名】エリク ダブリュ.ブッシュ
(72)【発明者】
【氏名】タオ ペイ
(72)【発明者】
【氏名】アンジエシュカ グレボッカ
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー カールソン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ファウラーワッターズ
(57)【要約】
【課題】血清安定性及びαvβ6インテグリンに対する親和性を有するインテグリンリガンドを提供すること目的とする。
【解決手段】αvβ6インテグリンを標的とすること及び/又はαvβ6インテグリンを発現する細胞を標的とすることにおいて有用なペプチドベースのアルファ-vベータ-6(αvβ6)インテグリンリガンドを開示する。αvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートして、αvβ6インテグリンを発現する細胞、例えば上皮細胞へのカーゴ分子の送達を促進することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
αvβ6インテグリンリガンドであって、以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L(配列番号85)(式I);又は
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1(配列番号86)(式II);又は
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1-R2(配列番号87)(式III);又は
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R3(配列番号88)(式IV);又は
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R3)p(配列番号89)(式V);又は
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号92)(式VI);又は
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R2)p(配列番号105)(式VII);
を含み、式中、
Zはアミン末端キャップであり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
Xaa3は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
Xaa4は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含み;
Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数のL-αアミノ酸、L-βアミノ酸、α,α-二置換アミノ酸、あるいはそれらの組み合わせを含み;
R2は、反応基又は保護された反応基を含み;
R3は、カーゴ分子を含み;
nは、0を超える整数であり;
pは、0を超える整数であり;かつ
R4は、任意であって、存在する場合には、足場及び/又は連結基を含み、斯かる足場及び/又は連結基は、存在する各リガンドのための少なくとも1つの結合点、及び存在する各カーゴ分子のための少なくとも1つの結合点を含む、αvβ6インテグリンリガンド。
【請求項2】
以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L(配列番号85)(式I)、
を含み、式中、
Xaa1は天然アミノ酸であり、かつXaa2は非標準アミノ酸(non-standard amino acid)である、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項3】
以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1(配列番号86)(式II)、
を含み、式中、
Xaa1は天然アミノ酸であり、かつXaa2は非標準アミノ酸である、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項4】
以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1-R2(配列番号87)(式III)、
を含み、式中、
Xaa1は天然アミノ酸であり、かつXaa2は非標準アミノ酸である、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項5】
以下:
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R3(配列番号88)(式IV)、
を含み、式中、
Xaa1は天然アミノ酸であり、かつXaa2は非標準アミノ酸である、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項6】
以下:
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R3)p(配列番号89)(式V)、
を含み、式中、
Xaa1は天然アミノ酸であり、かつXaa2は非標準アミノ酸である、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項7】
以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号92)(式VI)、
を含み、式中、
Xaa1は天然アミノ酸であり、かつXaa2は非標準アミノ酸である、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項8】
以下:
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R2)p(配列番号105)(式VII)、
を含み、式中、
Xaa1は天然アミノ酸であり、かつXaa2は非標準アミノ酸である、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項9】
Zが、以下:CH3CO、CH3CH2CO、CH3(CH2)2CO、(CH3)2CHCO、CH3(CH2)3CO、(CH3)2CHCH2CO、CH3CH2CH(CH3)CO、(CH3)3CCO、CH3(CH2)4CO、CH3SO2、CH3CH2SO2、CH3(CH2)2SO2、(CH3)2CHSO2、CH3(CH2)3SO2、(CH3)2CHCH2SO2、CH3CH2CH(CH3)SO2、(CH3)3CSO2、PhCO、PhSO2、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有するアルキル基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、NH2NH、PEG、グアニジル、CH3OCH2CH2OCH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)2CH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)3CH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)4CH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)5CH2CH2CO、CH3OCH2CH2OCH2CO、CH3O(CH2CH2O)2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)3CH2CO、CH3O(CH2CH2O)4CH2CO、CH3O(CH2CH2O)5CH2CO、CH3OCH2CH2OCO、CH3O(CH2CH2O)2CO、CH3O(CH2CH2O)3CO、CH3O(CH2CH2O)4CO、CH3O(CH2CH2O)5CO、HOCH2CH2OCH2CH2CO、HO(CH2CH2O)2CH2CH2CO、HO(CH2CH2O)3CH2CH2CO、HO(CH2CH2O)4CH2CH2CO、HO(CH2CH2O)5CH2CH2CO、HOCH2CH2OCH2CO、HO(CH2CH2O)2CH2CO、HO(CH2CH2O)3CH2CO、HO(CH2CH2O)4CH2CO、HO(CH2CH2O)5CH2CO、HOCH2CH2OCO、HO(CH2CH2O)2CO、HO(CH2CH2O)3CO、HO(CH2CH2O)4CO、HO(CH2CH2O)5CO、CH3CH2OCH2CH2OCH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)2CH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)3CH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)4CH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)5CH2CH2CO、CH3CH2OCH2CH2OCH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)3CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)4CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)5CH2CO、CH3CH2OCH2CH2OCO、CH3CH2O(CH2CH2O)2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)3CO、CH3CH2O(CH2CH2O)4CO、CH3CH2O(CH2CH2O)5CO、CH3OCH2CH2CO、HOCH2CH2CO、あるいはCH3CH2OCH2CH2CO、からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項10】
Zが、CH3COである、請求項9に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項11】
Xaa1が、以下:アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニン、ヒドロキシプロリン、セレノメチオニン、α-アミノ-イソ酪酸、α-アミノ酪酸、α,γ-ジアミノ酪酸、デヒドロアラニン、ノルロイシン、アロイソロイシン、t-ロイシン、α-アミノ-n-ヘプタン酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、β-Ν-オキサリル-α,β-ジアミノプロピオン酸、アロトレオニン、ホモシステイン、ホモセリン、β-ホモ-アラニン、イソバリン、ノルバリン、シトルリン、オルニチン、α-メチルアスパルテート、α-メチルロイシン、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルロイシン、β-シクロヘキシル-アラニン、N-エチルアラニン、N,N-ε-ジメチルリシン、ジメチルアルギニン、Dap(Ac)、及びn-アルキル化L-αアミノ酸、からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項12】
Xaa1が、アラニン(A)である、請求項11に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項13】
Xaa2が、以下:アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニン、ヒドロキシプロリン、セレノメチオニン、α-アミノ-イソ酪酸、α-アミノ酪酸、α,γ-ジアミノ酪酸、デヒドロアラニン、ノルロイシン、アロイソロイシン、t-ロイシン、α-アミノ-n-ヘプタン酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、β-Ν-オキサリル-α,β-ジアミノプロピオン酸、アロトレオニン、ホモシステイン、ホモセリン、β-ホモ-アラニン、イソバリン、ノルバリン、シトルリン、オルニチン、α-メチルアスパルテート(aspartate)、α-メチルロイシン、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルロイシン、β-シクロヘキシル-アラニン、N-エチルアラニン、N,N-ε-ジメチルリシン、ジメチルアルギニン、Dap(Ac)、及びn-アルキル化L-αアミノ酸、からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項14】
Xaa2が、L-α-アミノ-酪酸である、請求項13に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項15】
前記αvβ6インテグリンリガンドが、カーゴ分子にコンジュゲートされ、前記カーゴ分子が、薬学的に活性な成分又は化合物、医薬品、プロドラッグ、あるいは治療上価値のある物質を含む、請求項2、3、5、6、又は7のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項16】
前記αvβ6インテグリンリガンドが、カーゴ分子にコンジュゲートされ、前記カーゴ分子が、小分子、抗体、抗体フラグメント、免疫グロブリン、モノクローナル抗体、標識若しくはマーカー、脂質、天然若しくは修飾核酸又はポリヌクレオチド、ペプチド、アプタマー、ポリマー、ポリアミン、タンパク質、毒素、ビタミン、ポリエチレングリコール、ハプテン、ジゴキシゲニン、ビオチン、放射性原子若しくは分子、又はフルオロフォアを含む、請求項2、3、5、6、又は7のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項17】
前記αvβ6インテグリンリガンドが、カーゴ分子にコンジュゲートされ、前記カーゴ分子が、活性医薬成分を含む、請求項2、3、5、6、又は7のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項18】
前記αvβ6インテグリンリガンドが、カーゴ分子にコンジュゲートされ、前記カーゴ分子が、オリゴマー化合物を含む、請求項2、3、5、6、又は7のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項19】
前記αvβ6インテグリンリガンドが、カーゴ分子にコンジュゲートされ、前記カーゴ分子が、RNAi剤を含む、請求項2、3、5、6、又は7のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項20】
Jが、1、2、3つの、又は3つを超えるL-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸、あるいはそれらの組み合わせを含み、前記アミノ酸が、以下:アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニン、ヒドロキシプロリン、セレノメチオニン、α-アミノ-イソ酪酸、α-アミノ酪酸、α,γ-ジアミノ酪酸、デヒドロアラニン、ノルロイシン、アロイソロイシン、t-ロイシン、α-アミノ-n-ヘプタン酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、β-Ν-オキサリル-α,β-ジアミノプロピオン酸、アロトレオニン、ホモシステイン、ホモセリン、β-ホモ-アラニン、イソバリン、ノルバリン、シトルリン、オルニチン、α-メチルアスパルテート、α-メチルロイシン、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルロイシン、β-シクロヘキシルアラニン、N-エチルアラニン、N,N-ε-ジメチルリシン、ジメチルアルギニン、Dap(Ac)、及びn-アルキル化L-αアミノ酸、からなる群から選択される、請求項3、4、5、6、又は8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項21】
Jが、1、2、又は3つのL-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項3、4、5、6、又は8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項22】
Jが、1つ又は複数の非標準アミノ酸を含む、請求項21に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項23】
Jが、シトルリンを含む、請求項21に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項24】
Jが、α-アミノ-イソ酪酸を含む、請求項21に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項25】
R1が、ポリエチレングリコールを含み、前記ポリエチレングリコールが、2~20個のエチレンオキシド単位を有する、請求項3から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項26】
前記リガンドが、単座(monodentate)リガンドである、請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項27】
前記リガンドが、三座(tridentate)リガンドである、請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項28】
Z-Rが、以下:
【化1】
Dap(グアニジノ)
で置き換えられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項29】
以下:
Z-RG1DLAAbuL(配列番号91)(式Id)
を含み、式中、
AがL-アラニンであり、かつAbuがL-α-アミノ-酪酸である、請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項30】
G1が、L-グリシンである、請求項29に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項31】
以下:
Z-Z-RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号92)
を含み、式中、
Xaa1、Xaa2、Xaa3及びXaa4の少なくとも1つ又は複数が、非標準アミノ酸である、
請求項1から8のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項32】
Xaa2、Xaa3及びXaa4がそれぞれ、独立して選択された非標準アミノ酸である、請求項31に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項33】
αvβ6インテグリンリガンドであって、以下:
RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)
を含み、式中、
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
Xaa3は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
Xaa4は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸であり;
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含み;かつ
Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも1つが、非標準アミノ酸である、αvβ6インテグリンリガンド。
【請求項34】
Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも2つが、非標準アミノ酸である、請求項33に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項35】
Xaa2、Xaa3、及びXaa4がそれぞれ、独立して選択された非標準アミノ酸である、請求項33に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項36】
前記αvβ6インテグリンリガンドがさらに、カーゴ分子にコンジュゲートされる、請求項33から35のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項37】
図1から11のいずれか一つに表された構造を有する、請求項1に記載のαvβ6インテグリンリガンド。
【請求項38】
請求項1から8又は33のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンド、及び薬学的に許容される賦形剤を含有する組成物。
【請求項39】
請求項18又は請求項36に記載のαvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物であって、前記αvβ6インテグリンリガンドが、オリゴマー化合物にコンジュゲートされ、前記オリゴマー化合物が、上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害することができる、組成物。
【請求項40】
前記αvβ6インテグリンリガンドが、RNAi剤にコンジュゲートされ、前記RNAi剤が、上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害することができる、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記αvβ6インテグリンリガンドが、RNAi剤にコンジュゲートされ、前記RNAi剤が、気管支上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害することができる、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
インビボで細胞に1つ又は複数のカーゴ分子を送達する方法であって、前記方法は、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートしたαvβ6インテグリンに対する親和性を有するリガンドを、対象に投与することを含み、ここで、前記αvβ6インテグリンリガンドは、αvβ6インテグリンリガンドである、方法。
【請求項43】
前記細胞が、以下:I型及びII型肺胞上皮細胞、杯細胞、分泌上皮細胞、繊毛上皮細胞、角膜及び結膜上皮細胞、真皮上皮細胞、胆管細胞、腸細胞、乳管上皮細胞、腺上皮細胞、尿細管、並びに上皮腫瘍(癌)、からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記1つ又は複数のカーゴ分子が、オリゴマー化合物を含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記オリゴマー化合物が、RNAi剤である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記αvβ6インテグリンに対する親和性を有するリガンドが、請求項1から8又は33のいずれか一項に記載のαvβ6インテグリンリガンドである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
インビボで細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたオリゴマー化合物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記細胞が、以下:I型及びII型肺胞上皮細胞、杯細胞、分泌上皮細胞、繊毛上皮細胞、角膜及び結膜上皮細胞、真皮上皮細胞、胆管細胞、腸細胞、乳管上皮細胞、腺上皮細胞、尿細管、並びに上皮腫瘍(癌)、からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記オリゴマー化合物が、RNAi剤である、請求項47又は48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2016年11月1日に出願された米国仮特許出願第62/415,752号明細書の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
αvβ6インテグリンを標的とすること及び/又はαvβ6インテグリンを発現する細胞を標的とすることにおいて有用なペプチドベースのアルファ-vベータ-6(αvβ6)インテグリンリガンドを開示する。αvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートして、αvβ6インテグリンを発現する細胞、例えば上皮細胞へのカーゴ分子の送達を促進することができる。
【背景技術】
【0003】
背景
様々な上皮細胞で発現されるインテグリンアルファ-vベータ-6(αvβ6)は、TGF-βの潜在関連ペプチド(LAP)に対する、並びに(ECM)タンパク質フィブロネクチン、ビトロネクチン、及びテネイシンに対する受容体である。
【0004】
正常な健常成人上皮ではほとんど検出されないが、αvβ6インテグリンは、創傷治癒中並びに様々な癌(例えば、結腸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、及び胃癌)において上方制御され、しばしば、癌の予後不良に関連する。αvβ6インテグリンは転移における細胞浸潤及び遊走を促進し、かつアポトーシスを阻害し得ることが示されている。αvβ6インテグリンはまた、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現を制御し、TGF-β1を活性化し得る。主にインビトロ研究から、αvβ6インテグリンが癌の進行を促進し得ることを示唆する証拠が増えている。したがって、インテグリンαvβ6は、腫瘍バイオマーカー及び潜在的な治療標的として魅力的であり、かつそのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現及びTGF-β1の活性化における役割のために魅力的である。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書に記載されるのは、新規な、操作された、天然に存在しないペプチドベースのαvβ6インテグリンリガンド(αvβ6リガンドとも称される)である。本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、血清中で安定であり、かつαvβ6インテグリンに親和性を有し、並びにαvβ6インテグリンに特異的に結合することができる。本明細書にさらに記載されるのは、αvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物、並びに本明細書に記載のαvβ6インテグリンリガンド及び組成物の使用方法である。
【0006】
本明細書に記載のαvβ6インテグリンリガンドは、他の既知のαvβ6インテグリン結合ペプチド、例えば天然ペプチドRGDLATLRQL(配列番号1)と比較して改善された安定性を有する。血清安定性が増大しているが、新規な本明細書に記載のαvβ6リガンドは、αvβ6インテグリンへの結合(αvβ6インテグリンに対する親和性)を保持している。
【0007】
第1の態様では、本開示は、操作された、天然に存在しないαvβ6インテグリンリガンドを提供する。いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:Z-RG1DLXaa1Xaa2L(配列番号85)(式I)を含み、式中、Zはアミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;RはL-アルギニンであり;G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート(aspartate))であり;LはL-ロイシンであり;Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)である。
【0008】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1(配列番号86)(式II)を含み、式中、Zはアミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;RはL-アルギニンであり;G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;LはL-ロイシンであり;Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;かつ、R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、反応基又は保護された反応基を含むことができ、並びに、一般式:Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1-R2(配列番号87)(式III)を含むことができ、式中、Zはアミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;RはL-アルギニンであり;G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;LはL-ロイシンであり;Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含み;かつ、R2は、反応基又は保護された反応基を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)のカーゴ分子(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のカーゴ分子のいずれか)にコンジュゲートすることができ、ここで、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R3(配列番号88)(式IV)を含み、式中、Zはアミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;RはL-アルギニンであり;G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;LはL-ロイシンであり;Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含み;nは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;かつ、R3は1つ又は複数のカーゴ分子を含む。いくつかの実施形態では、R3は1つのカーゴ分子を含む。いくつかの実施形態では、R3は1つを超えるカーゴ分子を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)のカーゴ分子(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のカーゴ分子のいずれか)にコンジュゲートすることができ、ここで、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R3)p(配列番号89)(式V)を含み、式中、Zはアミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;RはL-アルギニンであり;G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;LはL-ロイシンであり;Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含み;nは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;R3は1つ又は複数のカーゴ分子を含み;pは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;かつ、R4は、任意であって、存在する場合には、足場及び/又は連結基を含み、斯かる足場及び/又は連結基は、各リガンドのための少なくとも1つの結合点(attachment point)及び各カーゴ分子のための少なくとも1つの結合点を含む。いくつかの実施形態では、R3は1つのカーゴ分子を含む。いくつかの実施形態では、R3は1つを超えるカーゴ分子を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「アミン末端キャップ」(本明細書の式において「Z」として示される)は、RGDLATL天然ペプチドのプロテアーゼ耐性及び/又は血清安定性特性を増大し及び/又は他の方法で改善することができる化学部分を含む。そのような改善は、例えば当該技術分野で一般的に知られている方法を用いて決定することができ、斯かる方法は、例えば、インビボ及び/又はインビトロで、αvβ6インテグリンリガンド、αvβ6インテグリンリガンド-カーゴ分子コンジュゲート、又はαvβ6インテグリンリガンド含有組成物の半減期を決定することによるものを含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、Zは、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドのN-末端アミンのプロテアーゼ耐性アシル化、スルホニル化、又はアルキル化を含む。いくつかの実施形態では、アミン末端キャップZは、アルキル-CO、ArCO、アルキル-SO2、ArSO2、アルキル又はアリール基であり得る。いくつかの実施形態では、アルキル基は、直鎖又は分岐鎖いずれかの脂肪族アルキル基であり得、並びにアリール基は、芳香族又はヘテロ芳香族基のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、アミン末端キャップZは、これらに限定されるものではないが、CH3CO、CH3CH2CO、CH3(CH2)2CO、(CH3)2CHCO、CH3(CH2)3CO、(CH3)2CHCH2CO、CH3CH2CH(CH3)CO、(CH3)3CCO、CH3(CH2)4CO、CH3SO2、CH3CH2SO2、CH3(CH2)2SO2、(CH3)2CHSO2、CH3(CH2)3SO2、(CH3)2CHCH2SO2、CH3CH2CH(CH3)SO2、(CH3)3CSO2、PhCO、PhSO2、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有するアルキル基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、NH2NH、PEG、グアニジル、CH3OCH2CH2OCH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)2CH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)3CH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)4CH2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)5CH2CH2CO、CH3OCH2CH2OCH2CO、CH3O(CH2CH2O)2CH2CO、CH3O(CH2CH2O)3CH2CO、CH3O(CH2CH2O)4CH2CO、CH3O(CH2CH2O)5CH2CO、CH3OCH2CH2OCO、CH3O(CH2CH2O)2CO、CH3O(CH2CH2O)3CO、CH3O(CH2CH2O)4CO、CH3O(CH2CH2O)5CO、HOCH2CH2OCH2CH2CO、HO(CH2CH2O)2CH2CH2CO、HO(CH2CH2O)3CH2CH2CO、HO(CH2CH2O)4CH2CH2CO、HO(CH2CH2O)5CH2CH2CO、HOCH2CH2OCH2CO、HO(CH2CH2O)2CH2CO、HO(CH2CH2O)3CH2CO、HO(CH2CH2O)4CH2CO、HO(CH2CH2O)5CH2CO、HOCH2CH2OCO、HO(CH2CH2O)2CO、HO(CH2CH2O)3CO、HO(CH2CH2O)4CO、HO(CH2CH2O)5CO、CH3CH2OCH2CH2OCH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)2CH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)3CH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)4CH2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)5CH2CH2CO、CH3CH2OCH2CH2OCH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)2CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)3CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)4CH2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)5CH2CO、CH3CH2OCH2CH2OCO、CH3CH2O(CH2CH2O)2CO、CH3CH2O(CH2CH2O)3CO、CH3CH2O(CH2CH2O)4CO、CH3CH2O(CH2CH2O)5CO、CH3OCH2CH2CO、HOCH2CH2CO、又はCH3CH2OCH2CH2COであり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、アミン末端キャップZは、CH3COである。いくつかの実施形態では、アミン末端キャップZは、CH3CH2COである。いくつかの実施形態では、アミン末端キャップZは、CH3(CH2)2COである。いくつかの実施形態では、アミン末端キャップZは、CH3(CH2)3COである。いくつかの実施形態では、アミン末端キャップZは、CH3(CH2)4COである。
【0014】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLAXaauL(配列番号90)(式Ic)を含み、式中、Z、R、G1、D、及びLはそれぞれ、本明細書の式Iについて定義した通りであり;AはL-アラニンであり;かつ、Xaauは非標準アミノ酸(non-standard amino acid)である。
【0015】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLAAbuL(配列番号91)(式Id)を含み、式中、Z、R、G1、D、及びLはそれぞれ、本明細書の式Iについて定義した通りであり;AはL-アラニンであり;かつ、AbuはL-α-アミノ-酪酸(2-アミノ酪酸)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号92)(式VI)を含み、式中、Zはアミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;RはL-アルギニンであり;G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;LはL-ロイシンであり;Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLAXaauL-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号93)(式VIb)を含み、式中、Z、R、G1、D、L、及びR1はそれぞれ、本明細書の式VIについて定義した通りであり;AはL-アラニンであり;Xaauは非標準アミノ酸であり;Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)である。
【0018】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLAAbuL-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号94)(式VIc)を含み、式中、Z、R、G1、D、L、及びR1はそれぞれ、本明細書の式VIについて定義した通りであり;AはL-アラニンであり;AbuはL-α-アミノ酪酸(2-アミノ酪酸)であり;Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)である。
【0019】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLAXaauL-XaauXaauL-R1(配列番号95)(式VId)を含み、式中、Z、R、G1、D、L、及びR1はそれぞれ、本明細書の式VIについて定義した通りであり;AはL-アラニンであり;かつ、Xaauは非標準アミノ酸である。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書中の式又はリガンドのいずれかにおけるZ-Rは、R´で置き換えられ、ここで、R´はDap(グアニジノ)である:
【0021】
【0022】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)を含み、式中、RはL-アルギニンであり;G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;LはL-ロイシンであり;Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含み;かつ、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも1つは非標準アミノ酸である。
【0023】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)を含み、式中、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも2つは非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)を含み、式中、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも3つは非標準アミノ酸である。
【0024】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
RG1DLAAbuL-CitAibL-R1(配列番号97)(式VIIIa)を含み、式中、R、G1、D、L及びR1はそれぞれ、本明細書の式VIIIについて定義した通りであり;AはL-アラニンであり;AbuはL-α-アミノ酪酸(2-アミノ酪酸)であり;Citはシトルリンであり、かつ、Aibはα-アミノ-イソ酪酸(2-アミノイソ酪酸)である。
【0025】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図1の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0026】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図2の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0027】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図3の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0028】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図4の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0029】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図5の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0030】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図6の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0031】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図7の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0032】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図8の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図9の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0034】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図10の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0035】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、
図11の構造を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドのいずれかは、カーゴ分子、反応基、及び/又は保護された反応基に連結され得る。反応基は、分子、例えば1つ又は複数のカーゴ分子(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のカーゴ分子のいずれか)へのαvβ6インテグリンリガンドのコンジュゲーションを促進するために使用され得る。本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、αvβ6インテグリン又はαvβ6インテグリンを発現する細胞へのカーゴ分子の標的化を増大することができる。カーゴ分子は、これらに限定されるものではないが、薬学的に活性な成分又は化合物、医薬品、プロドラッグ、あるいは治療上有効な物質であり得る。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、これらに限定されるものではないが、小分子、抗体、抗体断片、免疫グロブリン、モノクローナル抗体、標識若しくはマーカー、脂質、天然若しくは修飾核酸又はポリヌクレオチド(例えば、オリゴマー化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド又はRNAi剤)、ペプチド、アプタマー、ポリマー、ポリアミン、タンパク質、毒素、ビタミン、ポリエチレングリコール、ハプテン、ジゴキシゲニン、ビオチン、放射性原子若しくは分子、又はフルオロフォアであり得る。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、薬学的に活性な成分、医薬品、又はプロドラッグを含む。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、薬学的に活性な成分としてオリゴマー化合物を含む。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、薬学的に活性な成分としてRNAi剤を含む。
【0037】
本明細書に記載されるのは、αvβ6発現細胞へとカーゴ分子を標的化するための記載されたαvβ6リガンドの使用である。細胞は、インビトロ、インサイチュ、エクスビボ、又はインビボであり得る。
【0038】
別の態様では、本開示は、操作された、天然に存在しない本明細書に記載のαvβ6リガンドの1つ又は複数を含有する組成物を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物は、インビボで細胞に送達されることになる1つ又は複数のRNAi剤のような1つ又は複数のオリゴマー化合物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるのは、インビボで細胞にRNAi剤を送達するための組成物であり、ここで、RNAi剤は、1つ又は複数のαvβ6リガンドにコンジュゲートされている。
【0039】
1つ又は複数のαvβ6リガンドを含有する組成物が記載される。いくつかの実施形態では、組成物は薬学的に許容される賦形剤を含有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6リガンドを含有する組成物は、1つ又は複数の他の医薬物質あるいは薬学的に活性な成分又は化合物を含有する。
【0040】
他の実施形態では、組成物は、本明細書に記載された1つ又は複数のαvβ6リガンドを含む医薬を含有する。いくつかの実施形態では、医薬はさらに薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0041】
1つ又は複数の本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物は、例えば、I型及びII型肺胞上皮細胞、杯細胞、分泌上皮細胞、繊毛上皮細胞、角膜及び結膜上皮細胞、真皮上皮細胞、胆管細胞、腸細胞、乳管(ductal)上皮細胞、腺上皮細胞、尿細管、並びに上皮腫瘍(癌)に、インビボ又はインビトロで送達され得る。
【0042】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載された1つ又は複数のαvβ6リガンド及び/又は組成物の使用を含む方法を提供し、所望であれば、開示されたαvβ6リガンド及び/又は組成物を医薬品としての投与に適した形態にする方法を提供する。他の実施形態では、本開示は、本明細書に記載のリガンド及び組成物、例えば医薬の製造方法を提供する。
【0043】
1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物は、投与されることが求められるカーゴ分子を考慮して、そのような投与に適していることが当該技術分野で知られている投与経路を用いてインビボで対象に投与することができ、斯かる投与経路は、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、皮内、経皮的、経口、舌下、局所、腫瘍内、鼻腔内、又は吸入(エアロゾル又は乾燥粉末製剤)投与を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物は、例えば静脈内又は皮下投与によって、全身送達のために投与され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物は、例えば乾燥粉末吸入器又はネブライザーによる吸入送達によって、局所送達のために投与され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを含有する組成物は、局所投与によって、局所送達のために投与され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでI型肺胞上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでII型肺胞上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで杯細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで分泌上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで繊毛上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで角膜上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで結膜上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで真皮上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで胆管細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腸細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで乳管上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腺上皮細胞に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで尿細管に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで上皮腫瘍(癌)に1つ又は複数の所望のカーゴ分子を送達するための方法であって、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでI型肺胞上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでI型肺胞上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでI型肺胞上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでII型肺胞上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでII型肺胞上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボでII型肺胞上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで杯細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで杯細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで杯細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで分泌上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで分泌上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで分泌上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで繊毛上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで繊毛上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで繊毛上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで角膜上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで角膜上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで角膜上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで結膜上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで結膜上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで結膜上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで真皮上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで真皮上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで真皮上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで胆管細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで胆管細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで胆管細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腸細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腸細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腸細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで乳管上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで乳管上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで乳管上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腺上皮細胞にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腺上皮細胞にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで腺上皮細胞における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで尿細管にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで尿細管にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで尿細管における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで上皮腫瘍(癌)にオリゴマー化合物を送達する方法であって、1つ又は複数のオリゴマー化合物にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで上皮腫瘍(癌)にRNAi剤を送達する方法であって、1つ又は複数のRNAi剤にコンジュゲートした1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドを対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、インビボで上皮腫瘍(癌)における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、αvβ6インテグリンに対する親和性を有する1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートしたRNAi剤を、対象に投与することを含む、方法である。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、特に指定されない限り、1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指す。例えば、「C1-C6アルキル」は、直鎖又は分岐鎖配置で1、2、3、4、5、又は6個の炭素を有するアルキル基を含む。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、n-ヘキシルが挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「アミノアルキル」は、通常の原子価によって許容されるように1つ又は複数のアミノ基で任意の位置で置換された、上記で定義したアルキル基を指す。アミノ基は非置換、一置換、又は二置換であってもよい。アミノアルキル基の非限定的な例としては、アミノメチル、ジメチルアミノメチル、及び2-アミノプロプ-1-イルが挙げられる。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、特に指定されない限り、3~14個の炭素原子を有する飽和又は不飽和非芳香族炭化水素環基を意味する。シクロアルキル基の非限定的な例としては、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、メチル-シクロプロピル、2,2-ジメチル-シクロブチル、2-エチル-シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。シクロアルキルは、複数のスピロ-又は縮合環を含んでもよい。シクロアルキル基は任意により、通常の原子価によって許容されるように任意の位置で、一置換、二置換、三置換、四置換、又は五置換されている。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、特に指定されない限り、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、かつ2~10個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の非芳香族炭化水素基を指す。最大で5個の炭素-炭素二重結合がそのような基に存在し得る。例えば、「C2-C6」アルケニルは、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基として定義される。アルケニル基の例としては、これらに限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、及びシクロヘキセニルが挙げられる。アルケニル基の直鎖、分岐鎖、又は環状部分は、二重結合を含んでもよく、かつ任意により、通常の原子価によって許容されるように任意の位置で、一置換、二置換、三置換、四置換、又は五置換されている。用語「シクロアルケニル」は、炭素原子の特定数及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する単環式炭化水素基を意味する。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、特に指定されない限り、2~10個の炭素原子を含み、かつ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を指す。最大で5個の炭素-炭素三重結合が含まれ得る。したがって、「C2-C6アルキニル」は、2~6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基の例としては、これらに限定されるものではないが、エチニル、2-プロピニル、及び2-ブチニルが挙げられる。アルキニル基の直鎖又は分岐鎖部分は、任意により、通常の原子価によって許容されるように任意の位置で、一置換、二置換、三置換、四置換、又は五置換されていてもよい。
【0076】
本明細書で使用される場合、「アルコキシル」又は「アルコキシ」は、炭素原子の示された数を有する-O-アルキル基を指す。例えば、C1-C6アルコキシは、C1、C2、C3、C4、C5、及びC6アルコキシ基を含むことを意図している。例えば、C1-C8アルコキシは、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、及びC8アルコキシ基を含むことを意図している。アルコキシの例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、n-ヘプトキシ、及びn-オクトキシが挙げられる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「ケト」は、カルボニル架橋(carbonyl bridge)を介して結合した本明細書に定義の、任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、又はアリール基を指す。ケト基の例としては、これらに限定されるものではないが、アルカノイル(例えばアセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、又はヘキサノイル)、アルケノイル(例えば、アクリロイル)、アルキノイル(例えばエチノイル(ethynoyl)、プロピノイル、ブチノイル、ペンチノイル、又はヘキシノイル(hexynoyl))、アリーロイル(例えばベンゾイル)、ヘテロアリーロイル(heteroaryloyl)(例えば、ピローロリル(pyrroloyl)、イミダゾロイル(imidazoloyl)、キノリノイル(quinolinoyl)、又はピリジノイル)が挙げられる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「アルコキシカルボニル」は、カルボニル架橋を介して結合した上記で定義の任意のアルコキシ基を指す(すなわち-C(O)O-アルキル)。アルコキシカルボニル基の例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、又はn-ペントキシカルボニルが挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシカルボニル」は、オキシカルボニル架橋を介して結合した本明細書に定義のアリール基を指す(すなわち、-C(O)O-アリール)。アリールオキシカルボニル基の例としては、これらに限定されるものではないが、フェノキシカルボニル及びナフチルオキシカルボニルが挙げられる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールオキシカルボニル」は、オキシカルボニル架橋を介して結合した本明細書に定義の任意のヘテロアリール基を指す(すなわち、-C(O)O-ヘテロアリール)。ヘテロアリールオキシカルボニル基の例としては、これらに限定されるものではないが、2-ピリジルオキシカルボニル、2-オキサゾリルオキシカルボニル、4-チアゾリルオキシカルボニル、又はピリミジニルオキシカルボニルが挙げられる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「アリール」又は「芳香族」は、各環中に最大6個の原子の任意の安定な単環式又は多環式炭素環であって、少なくとも1つの環が芳香族である、炭素環を意味する。アリール基の例としては、これらに限定されるものではないが、フェニル、ナフチル。アントラセニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、及びビフェニルが挙げられる。アリール置換が二環式であり、かつ1つの環が非芳香族である場合、結合は芳香環を介すると理解される。アリール基は任意により、通常の原子価によって許容されるように任意の位置で、一置換、二置換、三置換、四置換、又は五置換されている。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、各環中に最大7個の原子の安定な単環式又は多環式環を表し、ここで、少なくとも1つの環は芳香族であり、かつO、N、及びSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール基の例としては、これらに限定されるものではないが、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾロニル、ベンゾオキサゾロニル、キノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソインドロニル、イミダゾピリジニル、イソインドロニル、インダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、及びテトラヒドロキノリンが挙げられる。「ヘテロアリール」はまた、任意の窒素含有ヘテロアリールのN-オキシド誘導体を含むと理解される。ヘテロアリール置換が二環式であり、かつ1つの環が非芳香族であるか又はヘテロ原子を含まない場合、結合は、芳香環を介するか又はヘテロ原子含有環を介すると理解される。ヘテロアリール基は任意により、通常の原子価によって許容されるように任意の位置で、一置換、二置換、三置換、四置換、又は五置換されている。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「複素環」「複素環式」又は「ヘテロシクリル」は、多環式基を含む、O、N、及びSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含む3-~14-員の芳香族又は非芳香族複素環を意味する。本明細書で使用される場合、用語「複素環式」はまた、用語「複素環」及び「ヘテロシクリル」と同義であると考えられ、本明細書に記載された同じ定義を有するとも理解される。「ヘテロシクリル」は、上述のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロアナログを含む。ヘテロシクリル基の例としては、これらに限定されるものではないが、アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキソオキサゾリジニル(oxooxazolidinyl)、オキサゾリル、オキサゾリン、オキソピペラジニル、オキソピロリジニル、オキソモルホリニル(oxomorpholinyl)、イソキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリジノニル、ピリミジル、ピリミジノニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル(tetrazolopyridyl)、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、1,4-ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン-2-オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジオキシドチオモルホリニル(dioxidothiomorpholinyl)、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、並びにそれらのN-オキシドが挙げられる。ヘテロシクリル置換の結合は、炭素原子を介して又はヘテロ原子を介して起こり得る。ヘテロシクリル基は任意により、通常の原子価によって許容されるように任意の位置で、一置換、二置換、三置換、四置換、又は五置換されている。
【0084】
本明細書で使用される場合、「治療する」「治療」などの用語は、対象の疾患又は状態の1つ又は複数の症状の数、重症度、及び/又は頻度の軽減又は緩和を提供するためにとられる方法又はステップを意味する。
【0085】
特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、以下の記号の使用は、任意の基又は基(複数)が本明細書に記載の発明の範囲によるものに連結され得ることを意味する。
【化2】
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「異性体」は、同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の性質又は順序が異なるか、あるいはそれらの原子の空間配置が異なる化合物を指す。それらの原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と呼ばれ、重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」又は時には光学異性体を呼ばれる。4つの非同一置換基に結合した炭素原子は、「キラル中心」と呼ばれる。本明細書で使用される場合、連結基は1つ又は複数の原子であり、斯かる1つ又は複数の原子は、1つの分子又は分子の一部分を、別の第2の分子又は分子の第2の一部分に接続する。当該技術分野において、連結基及びスペーサーという用語は、時には互換的に使用される。同様に、当該技術分野において使用される場合、足場という用語は、時には、連結基と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、連結基は、ペプチド切断可能連結基を含み得る。いくつかの実施形態では、連結基は、ペプチドFCitFP(配列番号131)を含むか又はそれからなり得る。
【0087】
本明細書で使用される場合、2つの分子間の接続に関して言及する際の用語「連結された」とは、2つの分子が共有結合によって結合されること、又は2つの分子が非共有結合(例えば、水素結合又はイオン結合)を介して会合されることを意味する。用語「連結された」が、非共有結合を介した2つの分子間の会合を指すいくつかの例では、2つの異なる分子間の会合が、生理学的に許容される緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)中で1x10-4M未満(例えば、1x10-5M未満、1x10-6M未満、又は1x10-7M未満)のKDを有する。記述されない限り、本明細書で使用される場合、連結されたという用語は、任意の介在原子又は原子団の有無に関わらず、第1の化合物と第2の化合物との間の接続を指し得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「標準アミノ酸(standard amino acids)」又は「天然アミノ酸」は、アラニン、システイン、アスパラギン酸(アスパルテート)、グルタミン酸(グルタメート)、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンを含む。
【0089】
本明細書で使用される場合、「非標準アミノ酸(non-standard amino acids)」は、これらに限定されるものではないが、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニン、ヒドロキシプロリン、セレノメチオニン、α-アミノ-イソ酪酸(Aib)、L-α-アミノ酪酸(Abu)、α,γ-ジアミノ酪酸、デヒドロアラニン、ノルロイシン、アロイソロイシン、t-ロイシン、α-アミノ-n-ヘプタン酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、β-N-オキサリル-α,β-ジアミノプロピオン酸、アロトレオニン、ホモシステイン、ホモセリン、β-ホモ-アラニン(β3-hΑ)、イソバリン、ノルバリン(Nva)、シトルリン(Cit)、オルニチン、α-メチル-アスパルテート(αMeD)、α-メチル-ロイシン(αMeL)、N-メチルアラニン、N-メチル-グリシン(NMeG)、N-メチルロイシン(NMeL)、β-シクロヘキシル-アラニン(Cha)、N-エチルアラニン、Ν,Ν-ε-ジメチルリシン(K(Me)2)、ジメチルアルギニン(R(Me)2)、Dap(Ac)、n-アルキル化L-αアミノ酸、及び天然に存在するアミノ酸と同様に機能する他のアミノ酸アナログ又はアミノ酸模倣物を含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、特定の立体構造を有する構造において具体的に同定されない限り、各構造について不斉中心が存在し、したがってエナンチオマー、ジアステレオマー、又は他の立体異性体の構成が生じ、本明細書に開示される各構造は、そのような全ての可能な異性体(それらの光学的に純粋な形態及びラセミ体を含む)を表すことを意図する。例えば、本明細書に開示される構造は、ジアステレオマーの混合物並びに単一の立体異性体を包含することを意図している。
【0091】
本明細書に開示される化合物及び組成物は、化合物又は組成物が置かれる環境に応じて、プロトン化又は脱プロトン化状態で特定の原子(例えばN、O又はS原子)を含み得ることを当業者は容易に理解及び認識するであろう。従って、本明細書で使用される場合、本明細書に開示される構造は、例えばOH、SH、又はNHのような、特定の官能基が、プロトン化又は脱プロトン化され得ることを想定する。本明細書の開示は、当業者によって容易に理解されるように、環境のpHに基づくプロトン化のそれらの状態に関わらず、開示された化合物及び組成物を網羅することを意図する。
【0092】
本願の請求項で使用される場合、「からなる」という語句は、請求項に特定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を排除する。本願の請求項で使用される場合、「から本質的になる」という語句は、特定の材料又はステップ、並びに請求項に記載の発明の基本的かつ新規な特徴(複数)に物質的に影響を及ぼさないものに、請求項の範囲を限定する。
【0093】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び化学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は等価な方法及び材料を、本発明の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書に記述した全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先することになる。さらに、材料、方法、及び例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0094】
薬物動態は、ペプチドベースの医薬品及びペプチドを含有する医薬組成物に対する一般的な関心事である。多くのペプチドは、例えば、酵素分解のために数分以上血中を循環しない。これはしばしば、治療剤として又は医薬品の成分としてのそれらの有用性を有意に減少させるか又は妨げさえする。
【0095】
様々な血清調製物における安定性試験(例えば、血清及び/又は血漿中のペプチドのインビトロ分解の測定)は、ペプチドベースの薬物開発における重要なスクリーニングアッセイとなっている。とりわけそのような試験によって示されるように、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、血清中で安定であり、かつαvβ6インテグリンに対する親和性を有するか、又はαvβ6インテグリンに結合することができる。
【0096】
本発明の他の特徴及び利点が、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】
図1は、テトラフルオロフェニル(TFP)エステルとして合成された、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。αvβ6インテグリンリガンドは、PEG
20(20個のエチレンオキシド(CH
2-CH
2-O)単位)及びFCitFP連結基を含む。
【
図2】
図2は、テトラフルオロフェニル(TFP)エステルとして合成された、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。αvβ6インテグリンリガンドは、PEG
5(5個のエチレンオキシド(CH
2-CH
2-O)単位)を含む。
【
図3】
図3は、アミン末端キャップとしてのCH
3CO、PEG
20、及びFCitFP連結基を含む、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。
【
図4】
図4は、アミン末端キャップとしてのCH
3CO、及びPEG
5を含む、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。
【
図5】
図5は、アミン末端キャップを含まない、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。αvβ6インテグリンリガンドは、PEG
20及びFCitFP連結基を含む。
【
図6】
図6は、アミン末端キャップを含まない、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。αvβ6インテグリンリガンドは、PEG
5を含む。
【
図7】
図7は、アミン末端キャップとしてのCH
3COを含む、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。
【
図8】
図8は、アミン末端キャップとしてのCH
3CO、PEG
20、及びFCitFP連結基を含む、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。構造中にさらに示されているのは、20キロダルトン(kDa)のPEG部分である。
【
図9】
図9は、アミン末端キャップとしてのCH
3CO、PEG
20、及びFCitFP連結基を含む、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。構造中にさらに示されているのは、20キロダルトン(kDa)PEG部分であり、構造は、オリゴマー化合物、例えばRNAi剤に連結して示されている。
【
図10】
図10は、ビス-グルタミン酸足場及びPEG-アジド反応基に連結された、アミン末端キャップとしてのCH
3CO及びPEG
5を含む、本明細書に開示の三座配位αvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。
【
図11】
図11は、ビス-グルタミン酸足場に連結された、CH
3COとしてのアミン末端キャップ及びPEG
5を含む、本明細書に開示の三座配位αvβ6インテグリンリガンドの一例の化学構造を表す。
【
図12】
図12は、標的化リガンドのない裸の(naked)アルファ-ENaC RNAi剤、及びポリ-L-リシン足場と
図4の構造によって表されたαvβ6インテグリンリガンドとにコンジュゲートした同じアルファ-ENaC RNAi剤の、Sprague-DawleyラットにおけるRat全肺アルファENaC発現を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0098】
詳細な説明
本明細書に記載されるのは、血清安定性及びαvβ6インテグリンに対する親和性を有する、新規な、操作された、天然に存在しないペプチドベースのαvβ6インテグリンリガンドである。αvβ6インテグリンリガンドは、インビトロ、インサイチュ、エクスビボ、及び/又はインビボで、αvβ6インテグリン発現細胞を標的化するために使用することができる。いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートされて、インビトロ、インサイチュ、エクスビボ、及び/又はインビボでαvβ6インテグリン発現細胞にカーゴ分子を指向することができる。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、薬学的に活性な化合物を含むか又はそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドはカーゴ分子にコンジュゲートされて、インビボで上皮細胞にカーゴ分子を指向する。
【0099】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L(配列番号85)(式I)
を含み、式中、
Zはアミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)である。
【0100】
いくつかの実施形態では、式I中のアミン末端キャップ(Z)は、CH3CO(本明細書において「Ac」とも称される)を含む。いくつかの実施形態では、式I中のアミン末端キャップ(Z)は、CH3COである。
【0101】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
R´G1DLXaa1Xaa2L(配列番号98)(式Ia)
を含み、式中、
R´はDap(グアニジノ)であり;かつ、
G1、D、L、Xaa1、及びXaa2はそれぞれ、本明細書の式Iについて定義した通りである。
【0102】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLXaa1XaauL(配列番号99)(式Ib)
を含み、式中、
Z、R、G1、D、L、及びXaa1はそれぞれ、本明細書の式Iについて定義した通りであり;かつ、
Xaauは非標準アミノ酸である。
【0103】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、一般式:
Z-RG1DLAXaauL(配列番号90)(式Ic)
を含み、式中、
Z、R、G1、D、及びLはそれぞれ、本明細書の式Iについて定義した通りであり;
AはL-アラニンであり;かつ、
Xaauは非標準アミノ酸である。
【0104】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドが記載され、以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1(配列番号86)(式II)
を含み、式中、
Zは、アミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L- βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;かつ、
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。
【0106】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドが記載され、以下:
R´G1DLXaa1Xaa2L-J-R1(配列番号100)(式IIa)
を含み、式中、
R´はDap(グアニジノ)であり;かつ、
G1、D、L、Xaa1、Xaa2、J、及びR1はそれぞれ、本明細書の式IIについて定義した通りである。
【0107】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。
【0108】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、反応基又は保護された反応基を含むことができ、以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1-R2(配列番号87)(式III)
を含み、式中、
Zは、アミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含み、かつ
R2は、反応基又は保護された反応基を含む。
【0109】
反応基又は保護された反応基は、αvβ6インテグリンリガンドを目的の分子に、すなわちカーゴ分子に結合させるために使用することができる。いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。
【0110】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、反応基又は保護された反応基を有するように合成され、以下の式:
R´G1DLXaa1Xaa2L-J-R1-R2(配列番号101)(式IIIa)
を含み、式中、
R´はDap(グアニジノ)であり;かつ、
G1、D、L、Xaa1、Xaa2、J、R1、及びR2はそれぞれ、本明細書の式IIIについて定義した通りである。
【0111】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートすることができ、以下:
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R3(配列番号88)(式IV)
を含み、式中、
Zは、アミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;
R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含み;
nは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;かつ、
R3は、カーゴ分子を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、αvβ6インテグリン発現細胞に対して標的化されることが望ましい任意の分子であり得る。いくつかの実施形態では、nは、1~4の整数である。いくつかの実施形態では、nは1である。いくつかの実施形態では、nは3である。nが1である場合、αvβ6インテグリンリガンドは、本明細書において「単座(monodentate)」αvβ6インテグリンリガンドと称され得る。nが3である場合、αvβ6インテグリンリガンドは、本明細書において「三座(tridentate)」αvβ6インテグリンリガンドと称され得る。nが2である場合、αvβ6インテグリンリガンドは、本明細書において「二座」αvβ6インテグリンリガンドと称され得る。nが4である場合、αvβ6インテグリンリガンドは、本明細書において「四座」αvβ6インテグリンリガンドと称され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートすることができ、以下:
(R´G1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R3(配列番号102)(式IVa)
を含み、式中、
R´はDap(グアニジノ)であり;かつ、
G1、D、L、Xaa1、Xaa2、J、R1、n、及びR3はそれぞれ、本明細書の式IVについて定義した通りである。
【0114】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。いくつかの実施形態では、nは、1~4の整数である。いくつかの実施形態では、nは3である。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、αvβ6インテグリン発現細胞に対して標的化されることが望ましい任意の分子であり得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートすることができ、以下:
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R3)p(配列番号89)(式V)
を含み、式中、
Zは、アミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含み;
nは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;
R4は、任意であって、存在する場合には、足場及び/又は連結基を含み、斯かる足場及び/又は連結基は、存在する各リガンドのための少なくとも1つの結合点(すなわち、少なくともnに等しい結合点の数)及び存在する各カーゴ分子のための少なくとも1つの結合点(すなわち、少なくともpに等しい結合点の数)を含み;
pは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;かつ、
R3は、1つ又は複数のカーゴ分子を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、αvβ6インテグリン発現細胞に対して標的化されることが望ましい任意の分子であり得る。
【0117】
本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数の足場を含み得る。足場は、時には当該技術分野において、連結基又はリンカーとも称され、1つ又は複数の本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドへの、1つ又は複数のカーゴ分子の結合を促進するために使用することができる。本明細書に開示されるリガンドと適合可能な有用な足場は、当該技術分野で一般的に知られている。本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドで使用することができる足場の非限定的な例としては、これらに限定されるものではないが、ポリマー(例えば、ポリアクリレートポリマー、ポリビニルエステルポリマー等)、アミノ酸ポリマー(例えば、ビス-グルタミン酸、ビス-リシン、ポリ-L-リシン(PLL)等)、及びシステインが挙げられる。いくつかの実施形態では、足場は、例えば薬物動態(PK)特性を増強するなど、単にリンカーとして機能することに加えて、付加的な所望の特性を提供し得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドは、1つ又は複数のカーゴ分子にコンジュゲートすることができ、以下:
(R´G1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R3)p(配列番号103)(式Va)
を含み、式中、
R´はDap(グアニジノ)であり;かつ、
G1、D、L、Xaa1、Xaa2、J、R1、n、R4、p、及びR3はそれぞれ、本明細書の式Vについて定義した通りである。
【0119】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。カーゴ分子は、αvβ6インテグリン発現細胞に対して標的化されることが望ましい任意の分子であり得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、本明細書中の式のいずれかにおけるJは、1、2、3つの、又は3つを超えるL-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸を含む。1、2、3つの、又は3つを超えるアミノ酸は、独立して、天然に存在するL-αアミノ酸、天然に存在するタンパク質構成アミノ酸(proteinogenic amino acids)、天然に存在する標準アミノ酸(すなわち、普遍遺伝暗号表(universal genetic code)のコドンによって直接コードされている20個のアミノ酸、基準アミノ酸(canonical amino acids)のコード化アミノ酸とも称される)、又は非標準アミノ酸(非天然、非コード化、又は非基準アミノ酸とも称される)である。
【0121】
標準又は天然アミノ酸は、アラニン、システイン、アスパラギン酸(アスパルテート)、グルタミン酸(グルタメート)、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、及びチロシンを含む。
【0122】
非標準アミノ酸としては、これらに限定されるものではないが、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニン、ヒドロキシプロリン、セレノメチオニン、α-アミノ-イソ酪酸(Aib)、L-α-アミノ酪酸(Abu)、α,γ-ジアミノ酪酸、デヒドロアラニン、ノルロイシン、アロイソロイシン、t-ロイシン、α-アミノ-n-ヘプタン酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、β-Ν-オキサリル-α,β-ジアミノプロピオン酸、アロトレオニン、ホモシステイン、ホモセリン、β-ホモ-アラニン(β3-hΑ)、イソバリン、ノルバリン(Nva)、シトルリン(Cit)、オルニチン、α-メチル-アスパルテート(αMeD)、α-メチル-ロイシン(αMeL)、N-メチルアラニン、N-メチル-グリシン(NMeG)、N-メチルロイシン(NMeL)、β-シクロヘキシル-アラニン(Cha)、N-エチルアラニン、Ν,Ν-ε-ジメチルリシン(K(Me)2)、ジメチルアルギニン(R(Me)2)、Dap(Ac)、n-アルキル化L-αアミノ酸、及び天然に存在するアミノ酸と同様に機能する他のアミノ酸アナログ又はアミノ酸模倣物が挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、Jは、少なくとも1つの非標準アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Jは、Aib、Cit、CitAib、CitAibL、CitE、CitF、CitG、CitK、CitP、CitQ、CitQL、EAib、FAib、KAib、PAib、QAib、RabuL、RAibL、RCitL、RDap(Ac)L、RLQ、又はRNvaLであるか又はこれらを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の式のいずれかにおけるJは、Xaa3Xaa4Lを含むか又はそれからなり、式中、LはL-ロイシンであり;Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)である。
【0125】
いくつかの実施形態では、Jは、Xaa3Xaa4であるか又はそれを含み、式中、Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)である。
【0126】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
Z-RG1DLXaa1Xaa2LXaa3Xaa4L-R1(配列番号92)(式VI)
を含み、式中、
Zは、アミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;かつ、
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、Xaa1は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸である。Xaa1は、これらに限定されるものではないが、天然に存在するL-αアミノ酸、天然に存在するタンパク質構成アミノ酸、天然に存在する標準(すなわち、普遍遺伝暗号表のコドンによって直接コードされている20個のアミノ酸、基準アミノ酸のコード化アミノ酸とも称される)アミノ酸、又は非標準(非天然、非コード化、又は非基準とも称される)アミノ酸であり得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、Xaa2は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸である。Xaa2は、これらに限定されるものではないが、天然に存在するL-αアミノ酸、天然に存在するタンパク質構成アミノ酸、天然に存在する標準(すなわち、普遍遺伝暗号表のコドンによって直接コードされている20個のアミノ酸、基準アミノ酸のコード化アミノ酸とも称される)アミノ酸、又は非標準(非天然、非コード化、又は非基準とも称される)アミノ酸であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、Xaa3は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸である。Xaa3は、これらに限定されるものではないが、天然に存在するL-αアミノ酸、天然に存在するタンパク質構成アミノ酸、天然に存在する標準(すなわち、普遍遺伝暗号表のコドンによって直接コードされている20個のアミノ酸、基準アミノ酸のコード化アミノ酸とも称される)アミノ酸、又は非標準(非天然、非コード化、又は非基準とも称される)アミノ酸であり得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、Xaa4は、L-αアミノ酸、L-βアミノ酸、又はα,α-二置換アミノ酸である。Xaa4は、これらに限定されるものではないが、天然に存在するL-αアミノ酸、天然に存在するタンパク質構成アミノ酸、天然に存在する標準(すなわち、普遍遺伝暗号表のコドンによって直接コードされている20個のアミノ酸、基準アミノ酸のコード化アミノ酸とも称される)アミノ酸、又は非標準(非天然、非コード化、又は非基準とも称される)アミノ酸であり得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、Xaa1又はXaa2は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa1は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa2は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa1及びXaa2の両方が、非標準アミノ酸である。
【0132】
いくつかの実施形態では、Xaa1及び/又はXaa2はAbuである。いくつかの実施形態では、Xaa1はAbuである。いくつかの実施形態では、Xaa2はAbuである。
【0133】
いくつかの実施形態では、Xaa1又はXaa2は非荷電である。いくつかの実施形態では、Xaa1は非荷電である。いくつかの実施形態では、Xaa2は非荷電である。いくつかの実施形態では、Xaa1及びXaa2は非荷電である。
【0134】
いくつかの実施形態では、Xaa1は非荷電であり、かつXaa2は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa2は非荷電であり、かつXaa1は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa1は非荷電であり、かつXaa2はAbuである。いくつかの実施形態では、Xaa2は非荷電であり、かつXaa1はAbuである。
【0135】
いくつかの実施形態では、Xaa1Xaa2は、AAbu、KAbu、EAbu、FAbu、QAbu、GAbu、PAbu、AK、AE、AF、AQ、AG、及びAPであり、ここで、AはL-アラニンであり、AbuはL-α-アミノ酪酸であり、KはL-リシンであり、EはL-グルタミン酸(グルタメート)であり、FはL-フェニルアラニンであり、QはL-グルタミンであり、GはL-グリシンであり、かつPはL-プロリンである。
【0136】
いくつかの実施形態では、RG1DLXaa1Xaa2L(配列番号117)は、以下:RGDLAAbuL(配列番号118)、RGDLKAbuL(配列番号119)、RGDLEAbuL(配列番号120)、RGDLFAbuL(配列番号121)、RGDLQAbuL(配列番号122)、RGDLGAbuL(配列番号123)、RGDLPAbuL(配列番号124)、RGDLAKL(配列番号125)、RGDLAEL(配列番号126)、RGDLAFL(配列番号127)、RGDLAQL(配列番号128)、RGDLAGL(配列番号129)、及びRGDLAPL(配列番号130);からなる群から選択され、ここで、RはL-アルギニンであり;GはL-グリシンであり;DはL-アスパラギン酸(アスパルテート)であり;LはL-ロイシンであり;AはL-アラニンであり;AbuはL-α-アミノ酪酸であり;KはL-リシンであり;EはL-グルタミン酸(グルタメート)であり;FはL-フェニルアラニンであり;QはL-グルタミンであり;かつ、PはL-プロリンである。いくつかの実施形態では、前記式のいずれかにおけるG(L-グリシン)は、MeGly(N-メチルグリシン)で置換されている。
【0137】
いくつかの実施形態では、Xaa3又はXaa4は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa3は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa4は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa3及びXaa4の両方が非標準アミノ酸である。
【0138】
いくつかの実施形態では、Xaa3及び/又はXaa4はCitである。いくつかの実施形態では、Xaa3はCitである。いくつかの実施形態では、Xaa4はCitである。
【0139】
いくつかの実施形態では、Xaa3又はXaa4は非荷電である。いくつかの実施形態では、Xaa3は非荷電である。いくつかの実施形態では、Xaa4は非荷電である。いくつかの実施形態では、Xaa3及びXaa4は非荷電である。
【0140】
いくつかの実施形態では、Xaa3は非荷電であり、かつXaa4は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa3は非荷電であり、かつXaa4は非標準アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaa3はAibである。いくつかの実施形態では、Xaa4はAibである。
【0141】
いくつかの実施形態では、Xaa3Xaa4は、CitAib、CitE、CitF、CitG、CitK、CitP、CitQ、EAib、FAib、KAib、PAib、又はQAibであり、ここで、Citはシトルリンであり、Aibはアミノイソ酪酸(α-メチルアラニン)であり、KはL-リシンであり、EはL-グルタミン酸(グルタメート)であり、FはL-フェニルアラニンであり、QはL-グルタミンであり、GはL-グリシンであり、かつPはL-プロリンである。
【0142】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
R´G1DLXaa1Xaa2LXaa3Xaa4L-R1(配列番号104)(式VIa)
を含み、式中、
R´はDap(グアニジノ)であり;かつ、
G1、D、L、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、及びR1はそれぞれ、本明細書の式VIについて定義した通りである。
【0143】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、反応基又は保護された反応基を含み、かつ、以下:
(Z-RG1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R2)p(配列番号105)(式VII)
を含み、式中、
Zは、アミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)であり;
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Jは、任意であって、存在する場合には、1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)の、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)、あるいはそれらの組み合わせを含み;
R1は、任意であって、存在する場合には、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又は連結基を含み;nは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;
R4は、任意であって、存在する場合には、足場及び/又は連結基を含み、斯かる足場及び/又は連結基は、各リガンドのための少なくとも1つの結合点及び各カーゴ分子のための少なくとも1つの結合点を含み;
pは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;かつ、
R2は、反応基又は保護された反応基を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の反応基又は保護された反応基を含むαvβ6インテグリンリガンドは、カーゴ分子と反応して、αvβ6インテグリンリガンド-カーゴ分子コンジュゲートを形成することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、反応基又は保護された反応基を含み、かつ、以下:
(R´G1DLXaa1Xaa2L-J-R1)n-R4-(R2)p(配列番号106)(式VIIa)
を含み、式中、
R´はDap(グアニジノ)であり;かつ、
G1、D、L、Xaa1、Xaa2、J、R1、n、R4、p、及びR2はそれぞれ、本明細書の式VIIについて定義した通りである。
【0146】
いくつかの実施形態では、Lは、アミド結合を介してJに連結される。カーゴ分子は、αvβ6インテグリン発現細胞に対して標的化されることが望ましい任意の分子であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、特に局所送達(例えば、ネブライザー、気管内、鼻腔内投与によるものを含む粉末若しくはエアロゾルの吸入又は通気(insufflation)による、あるいは局所投与による)のみが望ましい場合、αvβ6インテグリンリガンドは、少なくとも1つ又は複数のアミノ酸が非標準アミノ酸であることを条件に、アミン末端キャップの存在なしに合成される。
【0148】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)
を含み、式中、
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
Xaa1は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa2は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa3は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
Xaa4は、L-αアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-αアミノ酸のいずれか)、L-βアミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のL-βアミノ酸のいずれか)、又はα,α-二置換アミノ酸(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のα,α-二置換アミノ酸のいずれか)であり;
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含み;かつ、
Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも1つは非標準アミノ酸である。
【0149】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)
を含み、各変数は式VIIIについて上記で定義され、式中、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも2つは非標準アミノ酸である。
【0150】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)
を含み、各変数は式VIIIについて上記で定義され、式中、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4の少なくとも3つは非標準アミノ酸である。
【0151】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
RG1DLXaa1Xaa2L-Xaa3Xaa4L-R1(配列番号96)(式VIII)
を含み、各変数は式VIIIについて上記で定義され、式中、Xaa2、Xaa3、及びXaa4は非標準アミノ酸である。
【0152】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下:
RG1DLAAbuLCitAibL-R1(配列番号97)(式VIIIa)
を含み、式中、
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
AはL-アラニンであり;
AbuはL-α-アミノ酪酸であり;
Citはシトルリンであり;
Aibはα-アミノ-イソ酪酸であり;かつ、
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、反応基又は保護された反応基を含み、かつ、以下:
(RG1DLAAbuLCitAibL-R1)n-R4-(R2)p(配列番号107)(式VIIIb)
を含み、式中、
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
AはL-アラニンであり;
AbuはL-α-アミノ酪酸であり;
Citはシトルリンであり;
Aibはα-アミノ-イソ酪酸であり;
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含み;
nは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;
R4は、任意であって、存在する場合には、足場又は連結基を含み、斯かる足場又は連結基は、各リガンドのための少なくとも1つの結合点、及び各カーゴ分子のための少なくとも結合点を含み;
pは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;かつ、
R2は、反応基又は保護された反応基を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子は、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートされ、かつ、以下:
(RG1DLAAbuLCitAibL-R1)n-R4-(R3)p(配列番号108)(式VIIIc)
を含み、式中、
RはL-アルギニンであり;
G1はL-グリシン又はN-メチルグリシンであり;
DはL-アスパラギン酸(L-アスパルテート)であり;
LはL-ロイシンであり;
R1は、任意であって、存在する場合には、PEG及び/又は連結基を含み;
nは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;
R4は、任意であって、存在する場合には、足場又は連結基を含み、斯かる足場又は連結基は、各リガンドのための少なくとも1つの結合点、及び各カーゴ分子のための少なくとも結合点を含み;
pは、0を超える整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30;又は1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、又は25~30)であり;かつ、
R3は、1つ又は複数のカーゴ分子を含む。
【0155】
1つ又は複数のカーゴ分子は、αvβ6インテグリン発現細胞に対して標的化されることが望ましい任意の分子であり得る。
【0156】
本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、R1は存在し、かつPEG基を含み、斯かるPEG基は、1~100個のエチレンオキシド(CH2-CH2-O)単位(例えば、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10、1~5、2~100、2~90、2~80、2~70、2~60、2~50、2~40、2~30、2~20、2~10、2~5、5~100、5~90、5~80、5~70、5~60、5~50、5~40、5~30、5~20、5~10、10~100、10~90、10~80、10~70、10~60、10~50、10~40、10~30、10~20、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、20~30、30~100、30~90、30~80、30~70、30~60、30~50、30~40、40~100、40~90、40~80、40~70、40~60、40~50、50~100、50~90、50~80、50~70、50~60、60~100、60~90、60~80、60~70、70~100、70~90、70~80、80~100、80~90、又は90~100個のエチレンオキシド単位)を含む。いくつかの実施形態では、R1は存在し、かつ、2~30個のエチレンオキシド単位を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、R1は存在し、かつ、2~20個のエチレンオキシド単位を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、R1は存在し、かつ、2~10個のエチレンオキシド単位を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、R1は存在し、かつ、5~20個のエチレンオキシド単位を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、R1は存在し、かつ、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のエチレンオキシド単位を有するPEG基を含む。
【0157】
反応性基は、当該技術分野で良く知られており、2つの分子間又は反応物間の共有結合の形成を提供する。本明細書の発明の範囲における使用に適した反応基としては、これらに限定されるものではないが:アミノ基、アミド基、カルボン酸基、アジド、アルキン、プロパルギル基、BCN(ビシクロ[6.1.0]ノニン、DBCO(ジベンゾシクロオクチン)チオール、マレイミド基、アミノオキシ基、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又は他の活性化エステル(例えば、PNP、TFP、PFP)、ブロモ基、アルデヒド、カーボネート、トシレート、テトラジン、トランス-シクロオクテン(TCO)、ヒドラジド、ヒドロキシル基、ジスルフィド、及びオルトピリジルジスルフィド基が挙げられる。
【0158】
反応基の組み込みは、カーゴ分子への本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドのコンジュゲーションを促進し得る。コンジュゲーション反応は、当該技術分野で良く知られており、2つの分子間又は反応物間の共有結合の形成を提供する。本明細書の発明の範囲における使用に適したコンジュゲーション反応としては、これらに限定されるものではないが、アミドカップリング反応、マイケル付加反応、ヒドラゾン形成反応、及びクリックケミストリー付加環化反応が挙げられる。
【0159】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるαvβ6インテグリン標的化リガンドは、テトラフルオロフェニル(TFP)エステルとして合成され、これは反応性アミノ基によって置換されて、カーゴ分子に結合し得る。
【0160】
保護された反応基も当該技術分野において一般的に使用される。保護基は、非保護基が反応する条件下では反応しない基への、反応基の一時的な化学変換を提供し、例えば、その後の化学反応における化学選択性を提供する。本明細書の発明の範囲における使用に適した保護された反応基としては、これらに限定されるものではないが、BOC基(t-ブトキシカルボニル)、Fmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)、カルボキシベンジル(CBZ)基、ベンジルエステル、及びPBF(2,2,4,6,7-ペンタメチルペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル)が挙げられる。
【0161】
カーゴ分子は、αvβ6インテグリン又はαvβ6インテグリンを発現する細胞に対する標的化が望まれ得る任意の分子である。カーゴ分子は、これらに限定されるものではないが、医薬成分、医薬品、プロドラッグ、治療上価値のある物質、小分子、抗体、抗体フラグメント、免疫グロブリン、モノクローナル抗体、ラベル又はマーカー、脂質、天然若しくは修飾核酸又はポリヌクレオチド、ペプチド、ポリマー、ポリアミン、タンパク質、アプタマー、毒素、ビタミン、PEG、ハプテン、ジゴキシゲニン、ビオチン、放射性原子若しくは分子、又はフルオロフォアであり得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子(例えば、同じ又は異なるカーゴ分子)は、1つ又は複数のαvβ6インテグリンリガンドに連結されて、αvβ6インテグリンを発現する細胞に対してカーゴ分子を標的化する。
【0162】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子は、医薬成分又は医薬組成物である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子はオリゴマー化合物である。本明細書で使用される場合、「オリゴマー化合物」は、約10~50(例えば、10~48、10~46、10~44、10~42、10~40、10~38、10~36、10~34、10~32、10~30、10~28、10~26、10~24、10~22、10~20、10~18、10~16、10~14、10~12、12~50、12~48、12~46、12~44、12~42、12~40、12~38、12~36、12~34、12~32、12~30、12~28、12~26、12~24、12~22、12~20、12~18、12~16、12~14、14~50、14~48、14~46、14~44、14~42、14~40、14~38、14~36、14~34、14~32、14~30、14~28、14~26、14~24、14~22、14~20、14~18、14~16、16~50、16~48、16~46、16~44、16~42、16~40、16~38、16~36、16~34、16~32、16~30、16~28、16~26、16~24、16~22、16~20、16~18、18~50、18~48、18~46、18~44、18~42、18~40、18~38、18~36、18~34、18~32、18~30、18~28、18~26、18~24、18~22、18~20、20~50、20~48、20~46、20~44、20~42、20~40、20~38、20~36、20~34、20~32、20~30、20~28、20~26、20~24、20~22、22~50、22~48、22~46、22~44、22~42、22~40、22~38、22~36、22~34、22~32、22~30、22~28、22~26、22~24、24~50、24~48、24~46、24~44、24~42、24~40、24~38、24~36、24~34、24~32、24~30、24~28、24~26、26~50、26~48、26~46、26~44、26~42、26~40、26~38、26~36、26~34、26~32、26~30、26~28、28~50、28~48、28~46、28~44、28~42、28~40、28~38、28~36、28~34、28~32、28~30、30~50、30~48、30~46、30~44、30~42、30~40、30~38、30~36、30~34、30~32、32~50、32~48、32~46、32~44、32~42、32~40、32~38、32~36、32~34、34~50、34~48、34~46、34~44、34~42、34~40、34~38、34~36、36~50、36~48、36~46、36~44、36~42、36~40、36~38、38~50、38~48、38~46、38~44、38~42、38~40、40~50、40~48、40~46、40~44、40~42、42~50、42~48、42~46、42~44、44~50、44~48、44~46、46~50、46~48、又は48~50)個のヌクレオチド又はヌクレオチド塩基対を含むヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、細胞内の発現された標的核酸又は標的遺伝子におけるコード配列に少なくとも部分的に相補的である核酸塩基配列を有する。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、遺伝子を発現する細胞への送達の際に、基礎的(underlying)遺伝子の発現を阻害することができ、本明細書では「発現阻害オリゴマー化合物」と呼ばれる。遺伝子発現はインビトロ又はインビボで阻害され得る。
【0163】
「オリゴマー化合物」は、これらに限定されるものではないが:オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピン型RNA(shRNA)、リボザイム、干渉RNA分子、及びダイサー基質が挙げられる。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、一本鎖オリゴマー化合物である。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、二本鎖オリゴマー化合物である。
【0164】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子は「RNAi剤」であり、本明細書に定義されるRNAi剤は、RNA又はRNA様(例えば、化学修飾されたRNA)オリゴヌクレオチド分子を含む薬剤であり、斯かる分子は、配列特異的に標的mRNAのメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物の分解又はその翻訳を阻害することができる。本明細書で使用される場合、RNAi剤は、RNA干渉メカニズム(すなわち、哺乳動物細胞のRNA干渉経路機構(RNA誘導サイレンシング複合体又はRISC)との相互作用を介してRNA干渉を誘導する)を介して、あるいは任意の代替メカニズム又は経路によって、動作することができる。その用語が本明細書で使用される場合、RNAi剤は、主にRNA干渉メカニズムを介して動作すると考えられるが、開示されたRNAi剤は、任意の特定の経路又は作用メカニズムに拘束又は限定されない。RNAi剤としては、これらに限定されるものではないが:一本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、及びダイサー基質が挙げられる。
【0165】
典型的には、RNAi剤は、少なくとも、第1の配列を含むセンス鎖(パッセンジャー鎖とも呼ばれる)、及び第2の配列を含むアンチセンス鎖(ガイド鎖とも呼ばれる)から構成され得る。RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖の長さはそれぞれ、16~49ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、独立して、17~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、独立して、19~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、独立して、21~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、独立して、21~24ヌクレオチド長である。センス鎖及びアンチセンス鎖は、同じ長さであっても又は異なる長さであってもよい。RNAi剤は、標的遺伝子中の配列に少なくとも部分的に相補的であるアンチセンス鎖配列を含み、標的を発現する細胞への送達の際に、RNAi剤は、インビボ又はインビトロで1つ又は複数の標的遺伝子の発現を阻害し得る。
【0166】
オリゴマー化合物は一般に、そしてRNAi剤は特に、修飾ヌクレオチド及び/又は1つ又は複数の非ホスホジエステル結合から構成され得る。本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオチド」は、リボヌクレオチド(2’-ヒドロキシルヌクレオチド)以外のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドの少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)が修飾ヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、修飾ヌクレオチドとしては、これらに限定されるものではないが、デオキシリボヌクレオチド、ヌクレオチド模倣物、脱塩基ヌクレオチド、2’-修飾ヌクレオチド、3’から3’への結合(逆位)ヌクレオチド、非天然塩基含有ヌクレオチド、架橋ヌクレオチド、ペプチド核酸、2’,3’-セコヌクレオチド模倣物(非ロックド核酸塩基(unlocked nucleobase)類似体、ロックドヌクレオチド(locked nucleotides)、3’-O-メトキシ(2’ヌクレオシド間結合)ヌクレオチド)、2’-F-アラビノヌクレオチド、5’-Me,2’-フルオロヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ビニルホスホネートデオキシリボヌクレオチド、ビニルホスホネート含有ヌクレオチド、及びシクロプロピルホスホネート含有ヌクレオチドが挙げられる。2’-修飾ヌクレオチド(すなわち、5員糖環の2’位にヒドロキシル基以外の基を有するヌクレオチド)としては、これらに限定されるものではないが、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチド、2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシルエチル(methoxylethyl))ヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、及び2’-アルキルヌクレオチドが挙げられる。
【0167】
また、オリゴマー化合物、例えばRNAi剤の1つ又は複数のヌクレオチドは、非標準結合又は骨格(すなわち、修飾されたヌクレオチド間結合又は修飾骨格)によって連結され得る。修飾されたヌクレオチド間結合は、非リン酸含有共有ヌクレオチド間結合であり得る。修飾されたヌクレオチド間結合又は骨格としては、これらに限定されるものではないが、5’-ホスホロチオエート基、キラルホスホロチオエート、チオホスフェート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、アルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネート又は3’-アルキレンホスホネート)、キラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホルアミデート(例えば、3’-アミノホスホルアミデート、アミノアルキルホスホルアミデート、又はチオノホスホルアミデート(thionophosphoramidate))、チオノアルキル-ホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、モルホリノ結合、通常の3’-5’結合を有するボラノホスフェート、ボラノホスフェートの2’-5’結合アナログ、あるいは、ヌクレオシド単位の隣接する対が3’-5’から5’-3’に又は2’-5’から5’-2’に連結されている反転した極性を有するボラノホスフェートが挙げられる。
【0168】
所与の化合物の全ての位置が均一に修飾されている必要はない。逆に、2つ以上の修飾を、単一のオリゴマー化合物に又はさらにその単一のヌクレオチドに組み込むことができる。
【0169】
RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、当該技術分野で知られている方法によって合成及び/又は修飾され得る。例えば、アルファ-ENaC発現の阻害に関するRNAi剤の開示は、例えば国際公開第2008/152131号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。RNAi剤に関する追加の開示は、例えば修飾の開示に見出すことができ、例えば、Arrowhead Pharmaceuticals,Inc.の国際特許出願番号PCT/US2017/0455446(また、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子は、薬物動態(PK)モジュレーターとして作用することができるPEG部分を含むか、それからなり得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子は、PEG部分を含むことができ、斯かるPEG部分は約20~900個のエチレンオキシド(CH2-CH2-O)単位(例えば、20~850、20~800、20~750、20~700、20~650、20~600、20~550、20~500、20~450、20~400、20~350、20~300、20~250、20~200、20~150、20~100、20~75、20~50、100~850、100~800、100~750、100~700、100~650、100~600、100~550、100~500、100~450、100~400、100~350、100~300、100~250、100~200、100~150、200~850、200~800、200~750、200~700、200~650、200~600、200~550、200~500、200~450、200~400、200~350、200~300、200~250、250~900、250~850、250~800、250~750、250~700、250~650、250~600、250~550、250~500、250~450、250~400、250~350、250~300、300~900、300~850、300~800、300~750、300~700、300~650、300~600、300~550、300~500、300~450、300~400、300~350、350~900、350~850、350~800、350~750、350~700、350~650、350~600、350~550、350~500、350~450、350~400、400~900、400~850、400~800、400~750、400~700、400~650、400~600、400~550、400~500、400~450、450~900、450~850、450~800、450~750、450~700、450~650、450~600、450~550、450~500、500~900、500~850、500~800、500~750、500~700、500~650、500~600、500~550、550~900、550~850、550~800、550~750、550~700、550~650、550~600、600~900、600~850、600~800、600~750、600~700、600~650、650~900、650~850、650~800、650~750、650~700、700~900、700~850、700~800、700~750、750~900、750~850、750~800、800~900、850~900、又は850~900個のエチレンオキシド単位)を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子は、約455個のエチレンオキシド単位(約20キロダルトン(kDa)の分子量)を有するPEG部分からなる。いくつかの実施形態では、PEG部分は、約2キロダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、PEG部分は、約20キロダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、PEG部分は、約40キロダルトンの分子量を有する。本明細書に記載のPEG部分は、直鎖又は分岐鎖であり得る。PEG部分は、離散的(単分散)又は非離散的(多分散)であり得る。PK増強カーゴ分子としての使用のためのPEG部分は、商業的に購入することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカーゴ分子は、PKモジュレーター又はエンハンサーとして作用し得るPEG部分、並びに異なるカーゴ分子、例えば薬学的に活性な成分又は化合物を含む。
【0171】
記載されたαvβ6インテグリンリガンドは、塩又は溶媒和物を含む。αvβ6リガンドの溶媒和物は、それらの相互の引力により形成するαvβ6インテグリンリガンドへの不活性な溶媒分子の添加を意味すると解釈される。溶媒和物は、例えば、一水和物又は二水和物、あるいは例えばメタノール又はエタノールなどのアルコールとの付加化合物である。
【0172】
遊離アミノ基又は遊離ヒドロキシル基は、対応する保護基を有するαvβ6インテグリンリガンドの置換基として提供され得る。
【0173】
αvβ6インテグリンリガンドはまた、例えば誘導体、すなわち、インビトロ又は生物内のいずれかで切断される、例えばアルキル若しくはアシル基、糖又はオリゴペプチドで修飾されたαvβ6インテグリンリガンドを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、リガンド媒介エンドサイトーシス、飲作用を介して、又は他の手段のいずれかによって、その表面にαvβ6インテグリンを提示する細胞のサイトゾルへのカーゴ分子の送達を促進する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、αvβ6インテグリンを提示する細胞の原形質膜へのカーゴ分子の送達を促進する。
【0175】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下によって表される構造を含む:
【0176】
【0177】
式中、Zは、アミン末端キャップ(例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野において既知のアミン末端キャップのいずれか)を含み、かつ、R5及びR6は、それぞれアミノ酸Xaa1及びXaa2の側鎖である。
【0178】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリンリガンドは、以下の構造を有し、式中、Z及びR1は、本明細書中で式III及び式IVについて定義した通りであり、かつ、R7は、OH、J、J-R1、J-Rx-R2、又はY-Rx-R3(これらはそれぞれ、本明細書中で式III及び式IVについて定義した通り)であり得る:
【0179】
【化4】
(配列番号110) (式X)
【化5】
(配列番号111) (式XI)
【化6】
(配列番号112) (式XII)
【化7】
(配列番号113) (式XIII)
【化8】
(配列番号114) (式XIV)
【化9】
(配列番号115) (式XV)
【化10】
(配列番号116) (式XVI)
【0180】
いくつかの実施形態では、記載されたαvβ6リガンドは、天然に存在するαvβ6インテグリン結合ペプチドRGDLATLRQL(配列番号1)と比較して増大した血清安定性を示した。本明細書の実施例に示されるように、天然に存在するペプチドRGDLATLRQL(配列番号1)の約5%のみが、マウス血漿中、37℃で4時間のインキュベーション後に検出可能である。ペプチドRGDLATLRQL(配列番号1)は、マウス血漿中、37℃で8時間後には検出できなかった。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドは、20%超のリガンドが、マウス血漿中、37℃で12時間のインキュベーション後にHLPCによって検出されるままであることを示している。天然ペプチドから増大した血清安定性を有しているが、記載されたαvβ6インテグリンリガンドは、αvβ6インテグリンへの結合(αvβ6インテグリンに対する親和性)を保持していた。
【0181】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドの1つ又は複数を含むか、又はそれからなるか、又はそれから本質的になる医薬組成物を提供する。
【0182】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、薬理学的有効量の活性医薬成分(API)、及び任意により1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤を含有する。薬学的に許容される賦形剤(賦形剤)は、薬物送達システムに意図的に含まれる活性医薬成分(API、治療用製品)以外の物質である。賦形剤は、意図された用量で治療効果を発揮しないか、又は発揮することを意図しない。賦形剤は、a)製造中の薬物送達システムの処理を補助し、b)APIの安定性、生物学的利用能又は患者の許容性を保護、支持、又は増強し、c)製品同定を補助し、及び/又は、d)保管又は使用中のAPIの送達の全体的な安全性、有効性の任意の他の属性を増強するように作用し得る。薬学的に許容される賦形剤は、不活性物質であってもなくてもよい。
【0183】
賦形剤としては、これらに限定されるものではないが:吸収促進剤、粘着防止剤、消泡剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、送達促進剤、送達ポリマー、デキストラン、デキストロース、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香味剤、流動促進剤、保湿剤、潤滑剤、油、ポリマー、保存剤、食塩水、塩、溶媒、糖、懸濁化剤、徐放性マトリックス、甘味料、増粘剤、等張化剤、ビヒクル、撥水剤、及び湿潤剤が挙げられる。
【0184】
本明細書に記載の医薬組成物は、医薬組成物に一般的にみられる他の付加的な成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、付加的な成分は、薬学的に活性な物質である。薬学的に活性な物質としては、これらに限定されるものではないが:抗掻痒剤、収斂剤、局所麻酔剤、又は抗炎症剤(例えば、抗ヒスタミン薬、ジフェンヒドラミン等)、小分子薬、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、及び/又はワクチンが挙げられる。
【0185】
医薬組成物はまた、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着臭剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、コーティング剤、又は抗酸化剤も含み得る。それらはまた、他の治療上価値のある薬剤を含み得る。
【0186】
医薬組成物は、局所治療又は全身治療が望ましいのかに応じて、及び治療されることなる領域に応じて、多くの方法で投与することができる。投与は、当該技術分野で一般的に知られている任意の方法、例えば、これらに限定されるものではないが、局所(例えば、経皮パッチにより)、肺内(例えば、ネブライザー、気管内、鼻腔内によるものを含む粉末又はエアロゾルの吸入又は通気により)、表皮、経皮的、経口又は非経口によって行われ得る。非経口投与としては、これらに限定されるものではないが、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射又は注入;皮下(例えば、埋め込み型装置を介して)、頭蓋内、実質内、くも膜下腔内、及び脳室内投与が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下注射によって投与される。医薬組成物は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬又は軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤あるいは懸濁剤の形態で、経口投与することができる。投与はまた、直腸に、例えば坐剤を用いて;局所的又は経皮的に、例えば軟膏、クリーム、ゲル、又は溶液を用いて;あるいは非経口的に、例えば注射可能な溶液を用いて行うことができる。
【0187】
注射可能な使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与の場合、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、NJ)又はリン酸緩衝食塩水を含む。それは、製造及び保管の条件下で安定であるべきであり、かつ殺菌及び真菌のような微生物の汚染作用から保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)を含む溶媒又は分散媒体、及びそれらの好適な混合物であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合必要とされる粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、及び塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらされる。
【0188】
滅菌注射用溶液は、上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせと共に、適切な溶媒中に必要量の活性化合物を組み入れることによって、必要に応じて、続く濾過滅菌によって、調製され得る。一般に、分散液は、塩基性分散媒体及び上記に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクル中に活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥を含み、これにより、先に滅菌濾過したその溶液から、活性成分に加えて任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0189】
関節内投与に適した製剤は、本明細書に記載のリガンドのいずれかの滅菌水性調製物の形態であり得、これは、微結晶形態、例えば水性微結晶懸濁液の形態であり得る。リポソーム製剤又は生分解性ポリマー系はまた、関節内及び眼科(ophthalmic)投与の両方のための本明細書に記載のリガンドのいずれかを提示するために使用することができる。
【0190】
活性化合物は、例えば、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤のように、身体からの急速な排泄から化合物を保護することになる担体と共に調製され得る。生分解性、成体適合性ポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかであろう。リポソーム懸濁液も薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されているように、当業者に知られている方法に従って調製することができる。
【0191】
医薬組成物は、医薬組成物に一般的に見られる他の付加的な成分を含み得る。そのような付加的な成分としては、これらに限定されるものではないが:鎮痒剤、収斂剤、局所麻酔剤、又は抗炎症剤(例えば、抗ヒスタミン薬、ジフェンヒドラミン等)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「薬理学的有効量」「治療上有効量」又は単に「有効量」とは、薬理学的、治療的又は予防的結果をもたらすための薬学的に活性な薬剤の量を指す。
【0192】
αvβ6リガンドを含有する医薬もまた、そのような医薬の製造方法と同様に、本発明の目的であり、斯かる方法は、αvβ6リガンドを含む1つ又は複数の化合物、及び所望であれば1つ又は複数の他の治療上価値のある物質を、ヒト対象への投与に適した剤形にすることを含む。
【0193】
細胞、組織、及び非ヒト生物
本明細書に記載のαvβ6リガンドの少なくとも1つを含む細胞、組織、及び非ヒト生物が企図される。細胞、組織、又は非ヒト生物は、当該技術分野で利用可能な任意の手段によって、細胞、組織、又は非ヒト生物にαvβ6リガンドを送達することによって作製される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞を含むが、これに限定されない哺乳動物細胞である。
【0194】
本明細書に記載されたαvβ6リガンド、及び開示されたαvβ6リガンドを含有する医薬組成物は、キット、容器、パック、又はディスペンサーに包装され又は含まれ得る。αvβ6リガンド及びαvβ6リガンドを含有する医薬組成物は、予め充填されたシリンジ又はバイアルに包装されてもよい。
【0195】
上記で提供された実施形態及び項目は、これより、以下の比限定的な例によって説明される。
【実施例0196】
実施例
実施例1.血清安定性試験のためのαvβ6リガンドの合成
Chem-Matrix Rink Amide樹脂をフリット(fritted)ポリプロピレンシリンジに入れ、使用前に30分間DCM中で攪拌した。以下の標準的な固相ペプチド合成条件を使用した。1ミリモルの樹脂当たり40mlのピペリジン:DMF溶液(20:80v/v)を20分間浸漬することによって、Fmoc脱保護を行った。樹脂を、4モル当量のFmoc-アミノ酸、4モル当量のHBTU、及び10モル当量のDMF中のFmoc-アミノ酸の0.1M濃度でのDMF中のジイソプロピルエチルアミンで、40分間浸漬することによって、アミドカップリングを行った。Fmoc-Dap(DNP)-OHを使用して、DNP発色団を樹脂に結合させ、ペプチドをDap α-アミンから合成した。樹脂からの切断は、トリフルオロ酢酸溶液中で2時間行った。溶媒を、加圧空気(pressurized air)を介して元の体積の10%に減らし、Et2Oを用いて沈殿させた。TFAを介した微小切断及び分析用HPLC-MSにより生成物の同一性を確認した。次に、約1ml/分の直線勾配で溶出するSupelco「Discovery BIO」ワイドポアC18カラム(25cm×21mm、10μm粒子)を用いて分取スケールShimadzu HPLCで、ペプチドを>95%の純度に精製した。10~90%のB溶媒を用いてWaters XBridge BEH130 C18カラム(250mm×6.6mm、5μm粒子)を備えた分析用Shimadzu HPLCを用いて、50分かけて純度を評価した。A溶媒は、H2O:F3CCO2H 100:0.1v/vを表し、B溶媒は、CH3CN:F3CCO2H 100:0.1v/vを表す。
【0197】
【0198】
実施例2.αvβ6リガンドの血清安定性
マウス血清中でαvβ6リガンドをインキュベートし、様々な時点で未消化ペプチドのパーセンテージを分析することによって、αvβ6リガンドの血清安定性を試験した。未消化αvβ6リガンドを分析用HPLCによって決定した。αvβ6リガンドの個々のストック溶液を、>10mg/ml濃度でH2Oにペプチドを溶解させることによって調製した。αvβ6リガンドの濃度を、UV/Vis吸収を用いて評価した(DNP:λ=365,ε=17300M-1Cm-1)。αvβ6リガンドを、90%マウス血漿中で1mg/mlリガンドに希釈し、37℃のインキュベーターに入れた。所与の時点(4、8、12、及び24時間)で、試料を、50分かけて10~90%のB溶媒を用いるWaters XBridge BEH130 C18カラム(250mm×6.6mm、5μm粒子)を備えた分析用HPLC(Shimadzu HPLC)に注入した。A溶媒は、H2O:F3CCO2H 100:0.1v/vを表し;B溶媒は、CH3CN:F3CCO2H 100:0.1v/vを表す。
【0199】
血清インキュベーション後に残存するリガンドのパーセントを、以下の式を用いて計算した:
【0200】
【0201】
式中、t=0における面積は、血漿でリガンドを希釈した直後のリガンドのピーク下面積であり、t=xにおける面積は、時間=xにおけるペプチドのピーク下面積であった。
【0202】
各ペプチドは、カーゴ分子PEG8-Dap(DNP)に共有結合していた。次に、PEG8-Dap(DNP)を使用して、分析を容易にした。
【0203】
【0204】
ペプチド誘導体は、カーゴ分子PEG8-Dap(DNP)に連結され、37℃で4、8、12、又は24時間、マウス血清中でインキュベートされた。ペプチド誘導体の安定性をHPLCによって測定した。データを以下の表1に示す(アミン末端キャップ及びXaa1Xaa2は下線が引かれている):
【0205】
【0206】
ここで示されるように、アミン末端キャップ(Z)の存在は、増大した血清安定性を提供することができる。さらに、ここで示されるように、本明細書に開示される式中のXaa1、Xaa2及び/又はJ(例えば、Xaa3及びXaa4)における非標準アミノ酸の存在はまた、配列番号1の天然ペプチドと比較して増大した血清安定性を提供する。
【0207】
実施例3.αvβ6リガンドのインテグリン結合
A.αvβ6リガンド-カーゴ分子コンジュゲーション
各αvβ6リガンドは、可逆的に修飾された1170-100Bポリマーカーゴ分子に結合された。1170-100Bポリマーカーゴ分子(約45000のMWを有する56:44エトキシエチルアミンアクリレート:プロピルアクリレートコポリマー)をCy5(NHSリンカー)で標識し、50mMのHEPES pH9.0緩衝液中で1時間室温で、アルデヒド-PEG24-ACitと、2:1(ポリマー:アルデヒド-PEG24-ACit)の重量比で合わせて、(アルデヒド-PEG24-ACit)n-1170-100B(式中、nは、0を超える整数である)を形成した。典型的には、nは約10であった。
【0208】
【化13】
アルデヒド-PEG
24-ACit(n=24)
【0209】
次に、アルデヒド-PEG24-ACit-修飾ポリマーを、50mMのHEPES、pH 9.0緩衝液中で1時間室温で、PEG12-ACitと1:8(ポリマー:PEG12-ACit)の重量比で反応させて、(アルデヒド-PEG24-ACit)n-1170-100B-(CitA-PEG12)m(式中、mは、0を超える整数である)を形成した。
【0210】
【0211】
次に、修飾ポリマーをsephadex G-50スピンカラムを用いて精製し、濃度を決定した:
【0212】
【0213】
各αvβ6リガンドは、HyNicで修飾されて、カーゴ分子へのコンジュゲーションを促進した。精製ポリマーを、50mMのNaOAC-HOAc、pH5.0緩衝液中で、室温で一晩、αvβ6リガンド-(PEG)8-K-HyNicと、1:1.9(ポリマー:αvβ6リガンド)の重量比で合わせて、αvβ6リガンド-ポリマーコンジュゲートを形成した。αvβ6リガンド-ポリマーコンジュゲートを、sephadex G-50スピンカラムを用いて精製した。
【0214】
【化15】
(PEG)
8-K-HyNic
【化16】
Αvβ6リガンド-(PEG)
8-K-HyNic
【0215】
ビス-アリールヒドラゾン結合について2.9×101M-1cm-1の吸光係数(extinction coefficient)を用いて354nmでのαvβ6-ポリマーコンジュゲートの吸光度を測定することによって、コンジュゲーション効率を定量した。
【0216】
【0217】
αvβ6-ポリマーコンジュゲートをさらなる分析のために所望の濃度に等張グルコース溶液で希釈した。
【0218】
B.αvβ6リガンド結合(フローサイトメトリー分析)
αvβ6リガンドのαvβ6インテグリンへの結合の特異性を評価するために、各αvβ6リガンド又は陰性対照ペプチドを、Cy5-標識ポリマーに(上記のように)コンジュゲートし、細胞への結合について評価した。HUH7(ヒト幹細胞)及びSKOV3(ヒト卵巣癌)細胞は、非常に低いαvβ6細胞表面発現を示すと決定され、陰性対照細胞株として用いた。H2009(ヒト肺上皮腺癌)及びCAPAN-2(ヒト膵臓腺癌)細胞は、αvβ6陽性対照細胞株として機能した。細胞を、Accutaseを用いて培養フラスコから分離し、PBSで洗浄し、5mlのポリスチレン丸底チューブ内の200μlの完全培地(添加物及びウシ胎児血清を含む培養培地)中に200,000細胞で播種した。αvβ6リガンド-ポリマーコンジュゲート又はリガンドなしのポリマーコンジュゲートを、5μg/ml(ポリマー-Cy5濃度)で細胞に添加し、混合し、37℃で3時間インキュベートした。37℃でのインキュベーションは、リガンド/受容体相互作用を促進し、斯かる相互作用は、細胞外細胞表面への静的結合、及び/又は内在化されたリガンド/受容体複合体をもたらし得る。混合物を、1時間間隔で再懸濁した。3時間のインキュベーション後に、細胞を、4mlの冷却緩衝液(PBS-2%FCS)で2回洗浄し、生細胞/死細胞ゲーティングのための10μΜのSYTOX青色染色を含む200μlの緩衝液で再懸濁した。試料を、紫色(405nm)、青色(488nm)及び赤色(633nm)レーザーを備えたBD Biosciences Canto IIサイトメーターで分析した。
【0219】
生細胞が最初に、紫色レーザーを用いてC検出器でSYTOX青色陰性集団としてゲートされた。これら生細胞を、次に、Cy5フルオロフォアの平均蛍光強度(Mean Fluorescence Intensity)(MFI)として赤色レーザーを用いてコンジュゲート結合/取り込みについて評価した。データ解析はFlowJo v10.1ソフトウェアを用いて行った。各αvβ6リガンドについての特定のMFI Ratio(sMFIr)を、以下の式によって決定した:
【0220】
【0221】
以下の表2に示されるように、ペプチドAc-RGDLAAbuLCitAibLのみが、SKOV3細胞への適度な結合を示した。このペプチドは、HUH7細胞への有意な結合を示さなかった。したがって、試験されたペプチドのいずれも特異的結合を示さなかった。RGDを含まない陰性対照ペプチドAcRGαMeDLAAbuLCitAib、AcRGDαMeLAAbuLCitAib、RGELATLRQL、AcCitGDLATLCitQL、AcK(Me)2GDLATLRQL、及びAcR(Me)2GDLATLRQLは、H2009又はCAPAN-2のαvβ6インテグリン陽性対照細胞への有意な結合を示さず、αvβ6インテグリンに対する親和性の欠如を示した。他のペプチドのほとんどが、H2009又はCAPAN-2細胞への結合を示し、斯かる結合は、天然ペプチドRGDLATLRQL及びRGDLATLと同等又はそれ以上であり、αvβ6インテグリンへの良好な親和性を示した。
【0222】
【0223】
前記表において同定された非標準アミノ酸及び他の化学基の特定の略称は、以下の化学構造を有する:
【0224】
【化17】
Aibは、α-アミノ-イソ酪酸である
【化18】
Citは、シトルリンである
【化19】
Abuは、L-α-アミノ-酪酸である
【化20】
αMeDは、α-メチルアスパルテートである
【化21】
αMeLは、α-メチルロイシンである
【化22】
Chaは、β-シクロヘキシルアラニンである
【化23】
Nvaは、ノルバリンである
【化24】
K(Me)
2は、N,N-ε-ジメチルリシンである
【化25】
R(Me)
2は、ジメチルアルギニンである
【化26】
Dap(Ac)
【化27】
Dap(グアニジノ)
【化28】
N
MeGは、N-メチルグリシンである
【化29】
N
MeLは、N-メチルロイシンである
【化30】
デス-アミノ-Rは、デス-アミノ-アルギニンである
【化31】
β3-hAは、β-ホモ-アラニンである
【化32】
メタ-グアニジノ-安息香酸(benzoic)
【化33】
グアニジニル-Rは、グアニジニル-アルギニンである
【化34】
MeO-PEG8
【0225】
実施例4.ラットにおけるαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaCを標的とするRNAi剤のインビボ気管内投与
それぞれ26ヌクレオチド未満のセンス鎖及びアンチセンス鎖を含んだ二本鎖オリゴヌクレオチド組成物(すなわち、一種のRNAi剤)を、当該技術分野で知られており、オリゴヌクレオチド合成で一般に使用されている一般的な手順に従って、固相上でのホスホロアミダイト技術によって合成した。本明細書におけるRNAi剤の合成は、市販の制御細孔ガラス製の固体支持体(CPG、500Å又は600Å、Prime Synthesis、アストン、PA、USAから入手)上で、合成のためにスケールに応じてMerMade96E(登録商標)(Bioautomation)、MerMadel2(登録商標)(Bioautomation)、又はOP Pilot 100(GE Healthcare)のいずれかを用いて行った。全てのRNA及び2’-修飾RNAホスホロアミダイトを商業的に購入した(Thermo Fisher Scientific(ミルウォーキー、WI、USA)。切断及び脱保護のために、固相合成の終了後、乾燥した固体支持体を、水中の40重量%のメチルアミンと28%水酸化アンモニウム溶液(Aldrich)との1:1容量溶液で1.5時間30℃で処理した。溶液を蒸発させ、固体残渣を水で再構成した。精製のために、粗オリゴマーを、TSKgel SuperQ-5PW 13μmカラム及びShimadzu LC-8システムを用いて陰イオン交換HPLCによって精製した。緩衝液Aは、20mMのTris、5mMのEDTA、pH9.0であり、かつ20%のアセトニトリルを含んだ。緩衝液Bは、1.5Mの塩化ナトリウムの添加を有する緩衝液Aと同じであった。260nmでのUVトレースを記録した。適切な画分をプールし、次に、100mMの重炭素アンモニウム、pH6.7及び20%アセトニトリルのランニングバッファーで、Sephadex G-25 fineを充填したGE Healthcare XK 26/40カラムを用いてサイズ排除HPLCにかけた。アニーリングのために、1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水、l×、Corning, Cellgro)中で等モルRNA溶液(センス及びアンチセンス)を合わせることによって相補鎖を混合して、RNAi剤を形成した。いくつかのRNAi剤を凍結乾燥し、-15~-25℃で保管した。1×PBS中でUV-Vis分光計で溶液の吸光度を測定することによって、二本鎖濃度を測定した。次に、260nmでの溶液吸光度に、変換係数及び希釈係数を掛けて、二本鎖濃度を決定した。特に明記しない限り、全ての変換係数は、0.037mg/(mL・cm)であった。いくつかの実験について、変換係数は、実験的に決定された吸光係数から計算された。
【0226】
実施例4のために合成されたRNAi剤はアンチセンス鎖を含み、斯かるアンチセンス鎖は、アミロライド感受性上皮ナトリウムチャネルのアルファサブユニット(一般にアルファ-ENaC又はSCNN1Aと呼ばれる)を発現する遺伝子に少なくとも部分的に相補的な核酸塩基配列を有する。アルファ-ENaCのRNAi剤は、配列特異的にアルファ-ENaCのメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物の翻訳を分解又は阻害し、それによってアルファ-ENaC遺伝子の発現を阻害することができるように設計された。RNAi剤は、修飾ヌクレオチド及び2つ以上の非ホスホジエステル結合から構成された。
【0227】
試験1日目及び2日目に、雄のSprague-Dawleyラットに、マイクロスプレー装置(Perm Century、フィラデルフィア、PA)を介して200マイクロリットルの用量を気管内投与し、これは以下の投与群を含んだ:(1)水ビヒクル中の5%デキストロース(D5W);(2)5%デキストロース中に配合した、1.5mg/kgのリガンドを含まないアルファ-ENaC RNAi剤(「裸の(naked)RNAi剤」);(3)5%デキストロース中に配合した、1.5mg/kgの
図3のαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤(センス鎖の5´末端でコンジュゲートしたαvβ6インテグリンリガンドを有する);あるいは(4)陰性対照リガンドとして機能するための、1.5mg/kgの構造Ac-RG
ELAAbuL-CitAibL(配列番号132)を有する不活性化αvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤。「RGD」モチーフ中のアスパラギン酸(D)は、リガンドがアルファ-vインテグリン受容体に結合するために必要であると考えられており、グルタミン酸(E)の置換を有するリガンドは、有意に減少したavインテグリン結合親和性を有する。同じアルファ-ENaC RNAi剤を群2、3、及び4で使用した。
【0228】
使用されたαvβ6インテグリンリガンドは、樹脂切断が、TFA切断に代えて、30分~1時間DCM(ジクロロメタン)中の20%HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を用いて達成されたことを除いて、当該技術分野で良く知られいる本明細書の実施例1に記載されたものと同様の一般的なペプチド合成技術を用いて、TFPエステル(
図1に示されるように)として合成された。RNAi剤のセンス鎖の5´末端を、C
6アミン(-NH2)で修飾した。次に、室温で、DMSO:水が9:1中の3当量のTFP-エステルαvβ6インテグリンリガンド、及び塩基として過剰料のトリエチルアミンを用いて、TFP-エステルαvβ6インテグリンリガンドを、RNAi剤の修飾センス鎖の5´末端に位置するアミノ基にコンジュゲートした。溶液中にACNを添加し、生成物を沈殿させ、高真空下で乾燥させることによって、精製を行った。
【0229】
1群当たり4匹のラットに投薬した。ラットを試験5日目に安楽死させ、全RNAを、両肺から収集及びホモジナイゼーション後に単離した。アルファ-ENaCのmRNA存在量を、プローブベースの定量的PCRによって定量化し、GAPDH発現に対して正規化し、ビヒクル対照群の割合として表した(幾何平均、+/-95%信頼区間)。
【0230】
【0231】
上記表3に示されるように、アルファ-ENaC RNAi剤にコンジュゲートした
図3のαvβ6リガンドは、インビボで、裸のRNAi剤(46%のノックダウン)及びアルファ-ENaC肺標的のRGE-対照リガンドにコンジュゲートしたRNAi剤(57%のノックダウン)と比較して、アルファ-ENaC mRNAの増大した相対的ノックダウン(約78%のノックダウン)を示した。
【0232】
実施例5.ラットにおける、Αvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaCを標的とするRNAi剤のインビボ気管内投与
実施例4に記載したものと同様のアルファ-ENaC RNAi剤を、同じ合成手順に従って合成した。試験1日目及び2日目に、雄のSprague-Dawleyラットに、マイクロスプレー装置(Penn Century、フィラデルフィア、PA)を介して200マイクロリットルの用量を投与し、これは以下の投与群を含んだ:(1)D5Wビヒクル;(2)D5W中に配合した、1.5mg/kgのリガンドを含まないRNAi剤(「裸のRNAi剤」);(3)D5W中に配合した、1.5mg/kgの
図3のαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤;あるいは(4)1.5mg/kgの、
図11に示された構造を有する三座αvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤。RNAi剤は、アルファ-ENaC遺伝子の発現を阻害するように設計された。同じアルファ-ENaC RNAi剤を、群2、3、及び4で使用した。RNAi剤のセンス鎖の5´末端を、実施例4におけるようにC
6アミン(-NH2)で修飾した。
図3のαvβ6インテグリンリガンドを、実施例4の同じ手順に従って合成し、アルファ-ENaC RNAi剤にコンジュゲートした。
図11に示されたavb6リガンドにコンジュゲートする場合、塩基としてトリエチルアミンを用いてセンス鎖の5’アミン官能化末端にコンジュゲートすることによって、アルファ-ENaC-RNAi剤を最初にDBCO-PEG5-NHSエステルで官能化した。三座avb6インテグリンリガンドを、
図10に示されるようにPEG-アジド反応基を有するように合成した。リン酸緩衝生理食塩水/アセトニトリル溶媒系での沈殿後に、三座avb6インテグリンリガンドを、銅を含まない環状付加を用いてRNAi剤にコンジュゲートした。
【0233】
1群当たり5匹のラットに投薬した。ラットを試験5日目に安楽死させ、全RNAを、両肺から収集及びホモジナイゼーション後に単離した。標的のmRNA存在量を、プローブベースの定量的PCRによって定量化し、GAPDH発現に対して正規化し、ビヒクル対照群の割合として表した(幾何平均、+/-95%信頼区間)。
【0234】
【0235】
上記表4に示されるように、
図11に示されるように3つのαvβ6リガンド(「三座」リガンドを形成する)を、アルファ-ENaC RNAi剤にコンジュゲートすることにより、インビボで、1つのαvβ6リガンドにコンジュゲートしたRNAi剤(
図3)(71%))及び裸のRNAi剤(66%>)と比較して、増大した相対的ノックダウン(約79%)を示した。
【0236】
実施例6.ラットにおける、Αvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaCを標的とするRNAi剤のインビボ気管内投与
実施例4に記載したものと同様のアルファ-ENaC RNAi剤を、同じ合成手順に従って合成した。試験1日目及び2日目に、雄のSprague-Dawleyラットに、マイクロスプレー装置(Perm Century、フィラデルフィア、PA)を介して200マイクロリットルの用量を投与し、これは以下の投与群を含んだ:(1)D5Wビヒクル;(2)D5W中に配合した、3mg/kgのリガンドを含まないRNAi剤(「裸のRNAi剤」);あるいは(3)D5W中に配合した、3.0mg/kgの
図3のαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤。アルファ-ENaC RNAi剤及びαvβ6インテグリンリガンドを、実施例4に記載した同じ手順に従って合成及びコンジュゲートした。
【0237】
1群当たり5匹のラットに投薬した。ラットを試験5日目に安楽死させ、全RNAを、両肺から収集及びホモジナイゼーション後に単離した。標的のmRNA存在量を、プローブベースの定量的PCRによって定量化し、GAPDH発現に対して正規化し、ビヒクル対照群の割合として表した(幾何平均、+/-95%信頼区間)。
【0238】
【0239】
上記表5に示されるように、RNAi剤にコンジュゲートした
図3のαvβ6リガンドは、インビボで、肺標的の裸のRNAi剤(約51%のノックダウン)と比較して、増大した相対的ノックダウン(約83%のノックダウン)を示した。
【0240】
実施例7.ラットにおける、αvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートした肺で発現される遺伝子を標的とするRNAi剤のインビボ口腔咽頭吸引
実施例4に記載したものと同様のアルファ-ENaC RNAi剤を、同じ合成手順に従って合成した。試験1日目に、雄のSprague-Dawleyラットに、200マイクロリットルの用量を口腔咽頭吸引により投与し、これは以下の投与群を含んだ:(1)等張生理食塩水;(2)等張生理食塩水中に配合した、0.5mg/kgの
図3のαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaCを標的とするRNAi剤;あるいは(3)等張生理食塩水中に配合した、0.5mg/kgの
図5のαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたアルファ-ENaCを標的とするRNAi剤。同じアルファ-ENaC RNAi剤を、群2及び3に使用した。RNAi剤のセンス鎖の5´末端を、実施例4に記載のようにC
6アミン(-NH2)で修飾した。
図3のアルファ-ENaC RNAi剤及びαvβ6インテグリンリガンドを、実施例4に記載された同じ手順に従って合成及びコンジュゲートした。
図5のαvβ6インテグリンリガンドのためにTFP-エステルとして合成し、さらにαvβ6インテグリンリガンドのN-末端をfmoc基によって保護した。次に、実施例4に記載したものと同じ方法で、RNAi剤へのコンジュゲーションを行い、塩基としてトリエチルアミンを用いるfmoc脱保護に続いた。
【0241】
1群当たり5匹のラットに投薬した。ラットを試験9日目に安楽死させ、全RNAを、両肺から収集及びホモジナイゼーション後に単離した。標的のmRNA存在量を、プローブベースの定量的PCRによって定量化し、GAPDH発現に対して正規化し、ビヒクル 対照群の割合として表した(幾何平均、+/-95%信頼区間)。
【0242】
【0243】
上記表6に示されるように、RNAi剤にコンジュゲートした
図3及び
図5のαvβ6リガンドのいずれも、インビボで、アルファ-ENaC肺標的のノックダウンを示した。
【0244】
実施例8.ラットにおける、αvβ6インテグリンリガンドとポリ-L-リシン足場とにコンジュゲートしたアルファ-ENaCを標的とするRNAi剤のインビボ気管内投与
実施例4に記載したものと同様のアルファ-ENaC RNAi剤を、同じ合成手順に従って合成した。試験1日目及び2日目に、雄のSprague-Dawleyラットに、マイクロスプレー装置(Penn Century、フィラデルフィア、PA)を介して、以下のいずれかの200マイクロリットルの用量を投与した:(1)D5W(水中の5%デキストロース);(2)D5W中に配合した0.5mg/kgのリガンドを含まないRNAi剤(「裸のRNAi剤」);(3)D5W中に配合した1.5mg/kgの裸のRNAi剤;(4)D5W中に配合した5mg/kgの裸のRNAi剤;(5)D5W中に配合した、0.5mg/kgの
図4のαvβ6インテグリンリガンドにポリ-L-リシン(PLL)足場を介してコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤;(6)D5W中に配合した、1.5mg/kgの
図4のαvβ6インテグリンリガンドに、PLL足場を介してコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤;あるいは(7)D5W中に配合した、5mg/kgの
図4のαvβ6インテグリンリガンドにPLL足場を介してコンジュゲートしたアルファ-ENaC RNAi剤。RNAi剤は、アルファ-ENaC遺伝子の発現を阻害するように設計された。同じアルファ-ENaC RNAi剤を、群2から7に使用した。αvβ6インテグリンリガンドを最初に、TFP-エステル(
図2に示す)として合成した。実施例8の群5、6及び7で使用されたPLL足場は、約100個のL-リシンモノマー単位(約12キロダルトン)であった。ポリ-L-リシンポリマーを、3当量のSMPT(4-スクシンイミジルオキシカルボニル-アルファ-メチル-α(2-ピリジルジチオ)トルエン)で修飾し、RNAi剤のセンス鎖の5’アミン(C
6アミン修飾)を、SATA(N-スクシンイミジル S-アセチルチオアセテート)で修飾した。次に、
図2のαvβ6インテグリンリガンド(15当量)を固体として添加し、1時間攪拌した。次に、プロテアーゼ切断可能な官能化アラニン-シトルリン-PEG
12(10当量;パラ-ニトロフェニルカーボネートによる官能化)を添加した。15分後、SATA-修飾RNAi剤(1当量)を滴下し、pHを8.6に維持した。残りのリシン基を、プロテアーゼ切断可能な官能化アラニン-シトルリン-PEG
12で官能化した。生成物を接線流濾過により精製した。
【0245】
1群当たり5匹のラットに投薬した。ラットを試験5日目に安楽死させ、全RNAを、両肺から収集及びホモジナイゼーション後に単離した。標的のmRNA存在量を、プローブベースの定量的PCRによって定量化し、GAPDH発現に対して正規化し、ビヒクル対照群の割合として表した(幾何平均、+/-95%信頼区間)。データを
図12のグラフに報告する。
【0246】
図12に示されているように、ポリ-L-リシン足場とRNAi剤とにコンジュゲートした
図4のαvβ6リガンドは、裸のRNAi剤と比較して、3つ全ての用量レベルにおいて増大した相対的ノックダウンを示した(0.5mg/kg用量で68%のノックダウン対47%のノックダウン、1.5mg/kg用量で78%のノックダウン対47%のノックダウン、及び5mg/kg用量で86%のノックダウン対75%のノックダウン)。
【0247】
実施例9.インビトロでの初代上皮細胞による標識αvβ6リガンドコンジュゲートの選択的取り込み
初代ヒト肺上皮細胞、内皮細胞及び平滑筋細胞を培養し、24時間、以下に曝露した:(1)リガンドを含まないCy3-標識(赤色)ポリアクリレートポリマー足場(リガンドなし-コンジュゲート);あるいは(2)
図7のαvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたCy3-標識(赤色)ポリアクリレートポリマー足場(αvβ6リガンド-コンジュゲート)。細胞を、FITC-ファロイジン(F-アクチン、緑色)及びHoechst染色(DNA、青色)で染色し、蛍光顕微鏡によって画像化した。
【0248】
蛍光顕微鏡画像を、当該技術分野で知られている標準的な方法を用いて調製した。蛍光画像は、αvβ6インテグリンリガンドを含まないCy3標識-コンジュゲートが、いずれの細胞型によっても内在化されていないことを示した。しかしながら、
図7のαvβ6リガンドを有するCy3コンジュゲートは、初代肺上皮細胞によって内在化されたが(画像中の初代肺上皮細胞のエンドソーム区画内の赤色シグナルの蓄積によって示されるように)、初代内皮及び平滑筋細胞によって内在化されなかった。これは、本明細書に開示のαvβ6インテグリンリガンドが、αvβ6インテグリンを発現する上皮細胞によって選択的に内在化され得ることを示している。
【0249】
実施例10.インビボでの上皮組織による標識αvβ6リガンドコンジュゲートの選択的取り込み
C57bl/6マウスに、以下を120マイクログラムの静脈内用量で注射した:(1)リガンドを含まないCy3-標識(赤色)ポリアクリレートポリマー足場(リガンドなし-コンジュゲート)又は(2)
図7αvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたCy3-標識(赤色)ポリアクリレートポリマー足場(αvβ6リガンド-コンジュゲート)あるいは(3)構造Ac-RG
ELAAbuL-CitAibL(配列番号132)を有する不活性化αvβ6インテグリンリガンドにコンジュゲートしたCy3-標識(赤色)ポリアクリレートポリマー足場、斯かる不活性化αvβ6インテグリンリガンドは、実施例4で先に記載したように陰性対照リガンドとして使用されている。注射から24時間後、マウスを屠殺し、及び組織を採取、固定、処理及び切片化した。組織切片を、FITC-ファロイジン(F-アクチン、緑色)及びHoechst染色(DNA、青色)で染色し、蛍光顕微鏡によって画像化した。
【0250】
A.肺気管支上皮細胞
実施例10のマウスからの肺気管支上皮細胞の蛍光顕微鏡画像を、標準的な方法を用いて調製した。これらの画像から、
図7のαvβ6リガンドを有するCy3-標識コンジュゲート(画像中赤色のマークによって示される)は、インビボで肺気管支上皮細胞によってエンドソーム区画に選択的に内在化されたが、リガンドなし又はRGE-リガンド対照コンジュゲートを含むコンストラクトでは、上皮内在化は本質的に観察されなかった(すなわち、これら画像中に赤色は見られなかった)。
【0251】
B.腎臓上皮組織
実施例10のマウスからの尿細管(rental tubular)上皮組織の蛍光顕微鏡画像を、標準的な方法を用いて調製した。これらの画像から、
図7のαvβ6リガンドを有するCy3-標識コンジュゲートは、インビボで尿細管上皮細胞によってエンドソーム区画に選択的に内在化されたが(画像中に赤色のマークによって示される)、リガンドなし対照コンジュゲートでは上皮内在化は本質的に観察されなかった。
【0252】
C.胃腸管上皮細胞
実施例10のマウスからのレンタル(rental)上皮組織の蛍光顕微鏡画像を、標準的な方法を用いて調製した。
図7のαvβ6リガンドを有するCy3-標識コンジュゲートは、小腸及び胆嚢の両方においてインビボでGI管上皮細胞によってエンドソーム区画に選択的に内在化されたが(画像中に赤色のマークによって示される)、リガンドなし対照コンジュゲートでは上皮内在化は本質的に観察されなかった。
【0253】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は例示を意図するものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、及び改変は以下の特許請求の範囲内にある。