(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105058
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】簡易屋根構造物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20230721BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
E04B1/343 V
E04H1/12 306A
E04H1/12 306B
E04H1/12 306Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092827
(22)【出願日】2023-06-06
(62)【分割の表示】P 2019164703の分割
【原出願日】2019-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 樹
(57)【要約】
【課題】雨天時に多少の風が吹いた場合でも、利用者が雨に濡れにくい簡易屋根構造物を提供すること。
【解決手段】左右方向に適宜間隔を空けて立設された複数の支柱間に屋根部を形成してなる簡易屋根構造物であって、前記屋根部は、前後方向のいずれかに延びる第一屋根部と、該第一屋根部よりも高い位置に設けられて第一屋根部とは反対方向に延びる第二屋根部とからなり、前記第二屋根部は第一屋根部側にも延び、第一屋根部は第二屋根部側に延びないように設けるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に適宜間隔を空けて立設された複数の支柱間に屋根部を形成してなる簡易屋根構造物であって、
前記屋根部は、前後方向のいずれかに延びる第一屋根部と、該第一屋根部よりも高い位置に設けられて第一屋根部とは反対方向に延びる第二屋根部とからなり、
支柱は車道と歩道との境界部近傍に設置され、第一屋根部は歩道側に延び、第二屋根部は車道側に延びるようになされ、
前記第二屋根部は第一屋根部側にも延び、平面視において第一屋根部と第二屋根部の少なくとも一部が重なるようになされ、車道側に延びる前記第二屋根部が前記支柱よりも歩道側へ延びると共に、該第二屋根部よりも低い位置に設けられた前記第一屋根部が前記支柱よりも前記車道側へ延びていないことを特徴とする簡易屋根構造物。
【請求項2】
第二屋根部は、支柱が該第二屋根部を貫くようにして配されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易屋根構造物。
【請求項3】
簡易屋根構造物は、バス、タクシー、電車等の車両乗降場又は待合所であることを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易屋根構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス停などに設置される簡易屋根構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駅前広場、ショッピングセンター、公園などに設置された簡易屋根構造物としては、例えば適宜間隔をおいて立設された複数の支柱の上端部から一方向に突設された梁材と、この梁材に取付けられた吊り部材を介して吊り下げられる屋根材とを備えた簡易屋根構造物がある(特許文献1)。
【0003】
また、例えば同じく適宜左右に間隔をおいて立設された複数の支柱の上端部から前後方向に延びる梁と、当該梁の上に設けられた屋根材とを備えた簡易屋根構造物が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-059716
【特許文献2】特開2015-021221
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2に開示されている屋根構造物を、例えばバス停留所に用いる場合、以下のような問題がある。すなわち、上記特許文献1に記載の簡易屋根構造物によれば、これをバス停留所として利用する場合、バスを待っている間は屋根材の下に居られるので雨に当たって身体や衣服が濡れることはないが、バスに乗車する際に雨に当たって濡れることとなる。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の簡易屋根構造物をバス停留所として利用する場合、利用者の背丈に合わせようとするとバスの車高に合わない。一方、バスの車高よりも高く設定すると利用者の背丈よりもはるか高い位置に屋根材が位置することとなり、横風により容易に雨が吹き込んで来ることとなるので、利用者が雨で濡れることとなってしまう。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決するためのものであり、バス停留所として設置する場合に、バスを待つ間も、バスに乗車する際にも利用者が雨に濡れにくい簡易屋根構造物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0009】
すなわち、本発明に係る簡易屋根構造物は、左右方向に適宜間隔を空けて立設された複数の支柱間に屋根部を形成してなる簡易屋根構造物であって、前記屋根部は、前後方向のいずれかに延びる第一屋根部と、該第一屋根部よりも高い位置に設けられて第一屋根部とは反対方向に延びる第二屋根部とからなり、支柱は車道と歩道との境界部近傍に設置され、第一屋根部は歩道側に延び、第二屋根部は車道側に延びるようになされ、前記第二屋根部は第一屋根部側にも延び、平面視において第一屋根部と第二屋根部の少なくとも一部が重なるようになされ、車道側に延びる前記第二屋根部が前記支柱よりも歩道側へ延びると共に、該第二屋根部よりも低い位置に設けられた前記第一屋根部が前記支柱よりも前記車道側へ延びていないことを特徴とするものである。
また、本発明に係る簡易屋根構造物において、第二屋根部は、支柱が該第二屋根部を貫くようにして配されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る簡易屋根構造物が、バス、タクシー、電車等の車両乗降場又は待合所であることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る簡易屋根構造物において、支柱に雨水受け部を設けるようにしてもよい。また、本発明に係る簡易屋根構造物において、雨水受け部は、支柱を水平方向に周回して略水平方向に突設された底片部と、該底片部の外縁から上方に立ち上がる側壁部とを備え、前記底片部及び側壁部の一部が切り欠かれて切欠部が形成され、該切欠部より雨水が流れ落ちるようにすることができる。更に、本発明に係る簡易屋根構造物において、支柱は車道と歩道との境界部近傍に設置されると共に、切欠部は支柱の車道側に形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る簡易屋根構造物によれば、左右方向に適宜間隔を空けて立設された複数の支柱間に屋根部を形成してなる簡易屋根構造物であって、前記屋根部は、前後方向のいずれかに延びる第一屋根部と、該第一屋根部よりも高い位置に設けられて第一屋根部とは反対方向に延びる第二屋根部とからなり、前記第二屋根部は第一屋根部側にも延び、平面視において第一屋根部と第二屋根部の少なくとも一部が重なるようになされているので、利用者が当該簡易屋根構造物の下で時間待ちをしている間に雨が降り、多少の風が吹いたとしても濡れにくい。
【0013】
本発明に係る簡易屋根構造物によれば、第二屋根部は、支柱が該第二屋根部を貫くようにして配されているので、屋根部と支柱との間に雨が漏れて入り込む隙間が出来ないため、利用者が雨に濡れる恐れが更に少なくなる。
【0014】
更に、本発明に係る簡易屋根構造物によれば、支柱は車道と歩道との境界部近傍に設置され、第一屋根部は歩道側に延び、第二屋根部は車道側に延びるようになされているので、利用者は時間待ちをしているときも車道側に出た時も雨に濡れず、かつ車道側の屋根部(第二屋根部)を高い位置に設定できるので、車高の高い車両が第二屋根部の下を通過可能とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る簡易屋根構造物を、バス、タクシー、電車等の車両乗降場又は待合所に用いれば、乗客が車両待ちをする間も、また乗車する際も雨に濡れる恐れが少なくなり、また第二屋根部の下をバスが通過し、また第二屋根部の下に停車できるものとすることができる。
【0016】
更に、本発明に係る簡易屋根構造物よれば、支柱に雨水受け部を設けているので、支柱に向かって吹き込んでくる雨の雨垂れや、屋根部から支柱に伝ってくる雨水を好適に受け止めるので、これら雨垂れや雨水で利用者が濡れる恐れが少なくなる。
【0017】
また、本発明に係る簡易屋根構造物によれば、雨水受け部は、支柱を水平方向に周回して略水平方向に突設された底片部と、該底片部の外縁から上方に立ち上がる側壁部とを備え、前記底片部及び側壁部の一部が切り欠かれて切欠部が形成され、該切欠部より雨水が流れ落ちるようになされており、これにより簡易な構造によって、支柱に向かって吹き込んでくる雨の雨垂れや、屋根部から支柱に伝ってくる雨水を好適に受け止め、かつ下方に流すことが可能となる。
【0018】
更に、本発明に係る簡易屋根構造物によれば、支柱は車道と歩道との境界部近傍に設置されると共に、切欠部は支柱の車道側に形成されていることで、雨水受け部に流入する雨水が切欠部から車道側に流されるため、歩道側で車両街をする利用者に雨水がかかる心配がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る簡易屋根構造物の一実施形態を示す図であり、その設置状態を示した正面図である。
【
図2】
図1に示した簡易屋根構造物の設置状態を示す背面図である。
【
図3】
図1に示した簡易屋根構造物の設置状態を示す左側面図である。
【
図4】
図1に示した、本発明に係る簡易屋根構造物の一実施形態を示す正面図である。
【
図5】
図4に示した簡易屋根構造物の背面図である。
【
図6】
図4に示した簡易屋根構造物の左側面図である。
【
図7】
図4に示した簡易屋根構造物の右側面図である。
【
図8】
図4に示した簡易屋根構造物の平面図である。
【
図9】
図4に示した簡易屋根構造物の底面図である。
【
図10】(a)図は、
図5において二点鎖線で囲んだ箇所Pの部分の拡大図であり、(b)図は、(a)図におけるA-A線断面図である。
【
図11】(a)図は、
図6において二点鎖線で囲んだ箇所Qの部分の拡大図であり、(b)図は、(a)図におけるB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照し、具体的に説明する。なお、本実施形態はあくまでも本発明を理解するための一例を示したに過ぎず、各部の形状、構造、材質等に関し、本実施形態以外のバリエーションが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で許容されていることは言うまでもない。また、各図面に記載の前(正面)後(背面)左右上下の方向を明細書でも表記している。
【0021】
図面において、1は本発明に係る簡易屋根構造物であって、2は左右方向に適宜間隔を空けて地上に立設された支柱であり、ここでは便宜上、3本の支柱を備えた形態を示している(むろんこれに限定されない)。また、3は第一屋根部、4は第二屋根部であり、これらにより簡易屋根構造物1が構成される。
【0022】
より詳細には、
図1~
図3に示すように、支柱2は、適宜間隔を空けて地上に立設される。当該支柱2は、略角柱状の金属製管を適宜長さに切断して作製され、上端部は天板が取り付けられて閉塞されている。支柱2は、強度面で安定し且つ低コストの鋼管が好適に用いられるが、これに限らず例えばアルミ合金型材やステンレス鋼管などを用いることも可能である。尚、
図1~
図3に示した本実施形態はバス停留所であり、支柱2が立設されているのは歩道と車道との境目付近であって、
図3における支柱が立設されている箇所及びその右側が歩道、そして歩道よりわずかに低くなっている左側が車道である。即ち、利用者は歩道側の第一屋根部3の下でバスが来るのを待ち、バスが来て第二屋根部4の下に停車すると、利用者は歩道側から車道側に歩み出てバスに乗り込む。
【0023】
次に第一屋根部3について詳細に説明する。
図1~
図3及び
図4~
図9に示すように、支柱2の中央高さ位置よりやや上方の位置には、支柱2側を基端として前方へ延びる主梁51が固定されている。この主梁51は、支柱2と同様、鋼管を適宜長さに切断して作製されたものである。この実施形態においては、主梁51の基端部には支柱2の前面に接する取付プレート511が形成され、先端部は前面板により閉塞されている。取付プレート511と支柱2の背面側に配される補強プレート512、並びに支柱2とを貫通するボルトと当該ボルトに締結されるナットとにより、主梁51は、支柱2に固定される。尚、当該主梁51の支柱2への固定は上述の手段によるものに限られず、例えば支柱2に主梁51を直接嵌合させてもよく、あるいは両者を溶接して一体とすることもできる。
【0024】
主梁51の下側には、左右方向に延びる複数本の母屋材52が取り付けられ、固定されている。この母屋材52も鋼管を適宜長さに切断して作製されたものである。ここでは図示しないが、母屋材52は、主梁51に設けられた取付片に対してボルト及びナットにより締結され、固定されている。尚、主梁51及び母屋材52は、支柱と同様に強度面で安定し且つ低コストの鋼管が好適に用いられるが、これに限らず例えばアルミ合金型材やステンレス鋼管などを用いることも可能である。
【0025】
また、母屋材52の下側に、前後方向に延びる屋根材53が左右方向に多数連結され、更に連結された多数の屋根材53の周囲を囲むように枠体54を取り付けることによって屋根部を形成するものである。尚、屋根材53は、一般的にはアルミニウム合金や合成樹脂等を押出成型した長尺体を適宜長さに切断して用いられる。本実施形態においては、断面形状の設計及び製造が比較的容易であって軽量かつ強度が高いアルミニウム合金の押出型材から形成されたものを用いているが、例えばステンレス合金他の金属からなる押出型材でもよく、或いは鋼板等の板材を適宜組み合わせて形成したものを用いることもできる。以上により、第一屋根部3が形成される。
【0026】
次に、第二屋根部4について詳細に説明する。
図1~
図3及び
図4~
図9に示すように、支柱2の上端部近傍には、主梁61が固定され設けられている。この実施形態においては、
図6及び
図7に示すように、主梁61は、支柱2から後方へ延びると共に僅かに前方へも延びる形態としている。すなわち、主梁61は、支柱2を基端として後方へ延びる後方主梁611と前方へ延びる前方主梁612とからなるものである。この後方主梁611及び前方主梁612は、いずれも主梁51と同様、鋼管を適宜長さに切断して作製されたものである。また、後方主梁611及び前方主梁612の基端部にはそれぞれ支柱2の背面及び前面に接する取付プレート611a,612aが形成され、先端部は前面板により閉塞されている。
【0027】
取付プレート611a及び取付プレート612aは、支柱2の前後から挟み込むようにして、取付プレート611a,612a及び支柱2を貫通するボルトと当該ボルトに締結されるナットとにより、後方主梁611及び前方主梁612は、支柱2に固定される。尚、当該主梁61の支柱2への固定は上述の手段によるものに限られず、例えば支柱2に主梁61を一本の梁材により形成して支柱2の上端部に嵌着しても良く、あるいは両者を溶接して一体とすることもできる。
【0028】
主梁61の下側には、
図6~
図8に示す通り、左右方向に延びる複数本の母屋材62が取り付けられ、固定されている。この母屋材62も鋼管を適宜長さに切断して作製されたものである。ここでは図示しないが、母屋材62は、主梁61に設けられた取付片に対してボルト及びナットにより締結され、固定されている。尚、主梁61及び母屋材62は、主梁51及び母屋材52と同様に強度面で安定し且つ低コストの鋼管が好適に用いられるが、これに限らず例えばアルミ合金型材やステンレス鋼管などを用いることも可能である。
【0029】
また、母屋材62の下側に、前後方向に延びる屋根材63が左右方向に多数連結され、更に連結された多数の屋根材63の周囲を囲むように枠体64を取り付けることによって屋根部を形成するものである。屋根材63は、第一屋根部の屋根材と異なり、支柱2の後方のみならず前方へも延びる長尺体である。尚、屋根材63は、屋根材53と同様、一般的にはアルミニウム合金や合成樹脂等を押出成型した長尺体を適宜長さに切断して用いられる。本実施形態においては、断面形状の設計及び製造が比較的容易であって軽量かつ強度が高いアルミニウム合金の押出型材から形成されたものを用いているが、例えばステンレス合金他の金属からなる押出型材でもよく、或いは鋼板等の板材を適宜組み合わせて形成したものを用いることもできる。
【0030】
また、屋根材63の支柱2の箇所においては、支柱2の水平断面形状に沿って、これを避ける形状にアルミニウム板材を曲げ加工したものを用い、これにより支柱2が屋根材63を貫通するような形態とするとともに、屋根材63と支柱2との隙間から雨水が漏れ落ちないようにしている。以上により、第二屋根部4が形成される。
【0031】
以上の通り第一屋根部3及び第二屋根部4を形成したことにより、
図6~8に示すように、第一屋根部3と第二屋根部4とは平面視でその一部が重なる位置に配されることとなり、これによって歩道側でバス待ちをしている利用者が車道側から多少の風で雨が吹き込んでくる場合でも雨に濡れる心配が少なくなる。また、利用者がバスに乗降する際も、雨に濡れる心配がなく、安心して利用することができる。更に、車道側の屋根部を高い位置に設けているので、バスなど車高の高い車両等がその下を通過したり、その下に停車したりすることも可能となる。
【0032】
第一屋根部3及び第二屋根部4には、
図4~
図7に示す通り、それぞれ樋81、82が設けられている。すなわち第一屋根部3には、軒樋811と縦樋812とを備えた樋81が設けられ、かつ第一屋根部3の上面が僅かに後方へ向かって下方に傾斜していることから第一屋根部3上に降った雨水は屋根材53から軒樋811、縦樋812を伝って、下方へ流される。また、同様に第二屋根部4には、軒樋821と縦樋822とを備えた樋82が設けられ、かつ第二屋根部4の上面が僅かに前方へ向かって下方に傾斜していることから第二屋根部4上に降った雨水は屋根材63から軒樋821、縦樋822を伝って、下方へ流れるようになされている。
【0033】
更に、支柱2の略中央高さ位置には、
図5~
図7に示すように、雨水受け部9が設けられている。この雨水受け部9は、
図10~
図12に示すように支柱2の周囲に設けられており、支柱2から水平方向に突設された底辺部91と、底辺部91の先端から上方に延びる側壁部92とを備え、この底辺部91を挟んで側壁部92と支柱との間に溝部(凹溝)93を形成している。また、底辺部91及び側壁部92の一部は切り欠かれて切欠部95を形成している。これによって、主梁51、61の上に降った雨水や、支柱2に降りかかって支柱2を伝って落ちてくる雨水が、パラパラと下方に降ることなく溝部93に溜まって切欠部95から支柱2を伝って下に落ちるので、利用者に雨水がかかる心配が極めて少なくなる。尚、本実施形態における雨水受け部9は、鋼板により形成され支柱2に溶接されてなるものであるが、これに限らず任意の金属材料や合成樹脂材料にて形成されてもよく、また溶接によらず金具を介して取り付けたり、あるいは支柱2に嵌着するようにすることもできる。
【0034】
また、本実施形態においては支柱2の水平断面形状に合わせた形状としているが、例えば円柱状の支柱2を用いる場合であれば、雨水受け部9も平面視リング状とするなど、公的な任意の形状を選択して用いることができる。
【0035】
以上、本発明に係る簡易屋根構造物について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。例えば、上述した実施形態においては、バス停留所として例示したが、これに限られるものではなく、タクシーその他車両の乗降場や待合所、遊園地の乗り物の乗降場、船着き場他、様々な場所や用途に用いることが可能である。また、本実施形態においては、支柱2を3本としているが、これに限られるものではなく2本であっても良いし、4本以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、左右方向に適宜間隔を空けて立設された複数の支柱間に屋根部を形成してなる簡易屋根構造物であって、前記屋根部は、前後方向のいずれかに延びる第一屋根部と、該第一屋根部よりも高い位置に設けられて第一屋根部とは反対方向に延びる第二屋根部とからなり、前記第二屋根部は第一屋根部側にも延び、平面視において第一屋根部と第二屋根部の少なくとも一部が重なるようになされているので、利用者が当該簡易屋根構造物の下で時間待ちをしている間に雨が降り、多少の風が吹いたとしても濡れにくい。それゆえバス停留所として例示したが、これに限られるものではなく、タクシーその他車両の乗降場や待合所、遊園地の乗り物の乗降場など、様々な場所や用途に用いることができる。
【0037】
また、支柱に雨水受け部を設けているので、支柱に向かって吹き込んでくる雨の雨垂れや、主梁から支柱に伝ってくる雨水を好適に受け止めるので、これら雨垂れや雨水で利用者が濡れる恐れが少なくなる。
【符号の説明】
【0038】
1 簡易屋根構造物
2 支柱
3 第一屋根部
4 第二屋根部
51 主梁
52 母屋材
53 屋根材
61 主梁
62 母屋材
63 屋根材
81 樋
82 樋
9 雨水受け部