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特開2023-10507電子タグを用いた原材料追跡管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010507
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】電子タグを用いた原材料追跡管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230113BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G16H20/10
G06K7/10 244
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168776
(22)【出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】110125413
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522239340
【氏名又は名称】智慧生醫電子股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】何彦毅
(72)【発明者】
【氏名】▲キョウ▼輝雲
(72)【発明者】
【氏名】黄彦允
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】電子タグを用いた原材料追跡管理システムを提供する。
【解決手段】本発明は、主に電子タグを用いた原材料追跡管理システムを開示し、それは、それぞれ複数個の格納部材に取り付けられる複数個の電子タグと、少なくとも1つの第1電子装置と、少なくとも1つの第2電子装置とを備え、その内、各かかる格納部材に原材料が納置され、かつかかる電子タグのメモリには、前記原材料に相対応して原材料識別コード、ロット番号、シリアル番号、成分、規則的な有効期限、及び低温保管条件を含む原材料基本情報が記憶されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数個の格納部材に取り付けられる複数個の電子タグと、前記複数個の格納部材と同時に貯蔵環境の中に位置する少なくとも1つの第1電子装置と、ユーザ環境の中に位置し、かつ表示スクリーン及び電子タグの読み/書き機能を有する少なくとも1つの第2電子装置とを備える電子タグを用いた原材料追跡管理システムであって、
当該格納部材に原材料が納置され、かつ当該電子タグのメモリの中には、前記原材料に相対応する原材料基本情報が記憶されており、
当該第1電子装置は、演算ユニットを有し、かつ同時に電子タグの読み/書き機能を有し、
前記原材料基本情報は、原材料識別コード、ロット番号、シリアル番号、成分、規則的な有効期限、及び低温保管条件を含み、
前記複数個の格納部材が前記貯蔵環境に置かれた後、当該第1電子装置は、各当該格納部材の当該電子タグを読み取り、従って各当該格納部材に納置される前記原材料の前記低温保管条件を確定し、
前記複数個の格納部材が前記貯蔵環境の中に置かれて貯蔵時間が経過し、かつ当該第1電子装置は、前記貯蔵時間内に温度感知装置から前記貯蔵環境の環境温度を受信し、
当該第1電子装置の前記演算ユニットは、前記低温保管条件と前記環境温度に応じて有効期限の調整判断を行い、次に、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各当該電子タグの前記メモリの中に書き込み、
少なくとも1個の当該格納部材が前記ユーザ環境に転送された後、当該第2電子装置は、当該格納部材の当該電子タグを読み取り、従って前記規則的な有効期限を含む前記原材料基本情報及び前記有効期限の調整パラメータを取得し、次に、その前記表示スクリーンに当該格納部材に納置される前記原材料の即時の有効期限を表示させることを特徴とする、
電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項2】
前記貯蔵環境は、運搬工具の貨物貯蔵空間、貨物倉庫の貨物貯蔵空間、配送箱の貨物貯蔵空間、冷凍庫の貨物貯蔵空間、及び冷蔵庫の貨物貯蔵空間からなる群から選択されるいずれかの1種であることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項3】
前記原材料は、ワクチン、菌株、薬品、血液、検体、海鮮、ワイン、果菜、冷凍食品、及び冷蔵食品からなる群から選択されるいずれかの1種であることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項4】
当該第2電子装置は、前記即時の有効期限に応じて前記表示スクリーンに有効期限の警報メッセージを表示させる警報ユニットをさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項5】
当該第1電子装置は、前記複数個の格納部材の所在の前記貯蔵環境のGPS位置を記録するためのGPSユニットをさらに有し、かつ当該第1電子装置は、当該電子タグの前記メモリ内に前記GPS位置を書き込むことを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項6】
前記温度感知装置は、温度センサであり、かつ当該第1電子装置の中に整合されることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項7】
当該第1電子装置は、低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル(Look-up table,LUT)をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項8】
前記温度感知装置は、少なくとも1つの温度センサと、当該温度センサを制御するための電子回路とを含み、かつ前記電子回路は、エネルギーハーベストチップ(energy harvesting IC)を有し、当該第1電子装置から無線電波を発信するときにエネルギーを取得し、従って前記電子回路と当該温度センサに所要電源を供給するために用いられることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項9】
前記温度感知装置は、モノのインターネット技術に基づく温度センサノード(Temperature sensor node)であり、かつ当該第1電子装置は、前記温度感知装置に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項10】
当該第1電子装置は、無線ネットワークを介して前記温度感知装置に結合され、かつ前記無線ネットワークは、NB-IoT伝送インターフェース、ブルートゥース(登録商標)伝送インターフェース、ZigBee(登録商標)伝送インターフェース、Wimax(登録商標)伝送インターフェース、LoRA(登録商標)伝送インターフェース、WiFi(登録商標)伝送インターフェース、及び赤外線伝送インターフェースからなる群から選択される1種の無線ネットワークインターフェースを利用して実現されることを特徴とする、請求項9に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項11】
当該電子タグは、無線ラジオ周波数識別(Radio frequency identification,RFID)タグ、極超短波無線ラジオ周波数識別(Ultra High Frequency Radio frequency identification,UHF RFID)タグ、または近距離無線通信(Near-field communication,NFC)タグであることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項12】
当該第1電子装置と当該第2電子装置は、いずれも電子タグの読み/書き機能を有する産業用コンピュータ、電子タグの読み/書き機能を有するスマートフォン、電子タグの読み/書き機能を有するタブレットパソコン、電子タグの読み/書き機能を有するノート型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有するデスクトップ型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有する一体型パソコン、及び電子タグの読み/書き機能を有する販売時点情報管理システム(Point of sale system,POS)からなる群から選択される1種の電子装置であることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項13】
第3電子装置をさらに備え、当該第1電子装置は、無線ネットワークを有する状況下において、各当該電子タグの前記メモリの中に書き込まれる前記原材料基本情報及び前記有効期限の調整パラメータを前記第3電子装置に伝送するようにさせ、当該第2電子装置は、前記第3電子装置から各当該電子タグに対応する前記原材料基本情報及び前記有効期限の調整パラメータを受信可能にさせることを特徴とする、請求項1に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項14】
前記第3電子装置は、クラウドデータベース、クラウドサーバ、クラウド演算コンピュータ、及びクラウドドライブからなる群から選択される1種の電子装置であることを特徴とする、請求項13に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項15】
それぞれ複数個の格納部材に取り付けられる複数個の電子タグと、前記複数個の格納部材と同時に貯蔵環境の中に位置し、かつ電子タグの読み/書き機能を有する少なくとも1つの第1電子装置と、演算ユニットを有し、かつ同時に電子タグの読み/書き機能を有する少なくとも1つの第2電子装置とを備える電子タグを用いた原材料追跡管理システムであって、
当該格納部材に原材料が納置され、かつ当該電子タグのメモリの中には、前記原材料に相対応する原材料基本情報が記憶されており、
前記原材料基本情報は、原材料識別コード、ロット番号、シリアル番号、成分、規則的な有効期限、及び低温保管条件を含み、
前記複数個の格納部材が前記貯蔵環境に置かれた後、当該第1電子装置は、各当該格納部材の当該電子タグを読み取り、従って各当該格納部材に納置される前記原材料の前記低温保管条件を確定し、
前記複数個の格納部材が前記貯蔵環境の中に置かれて貯蔵時間が経過し、かつ当該第1電子装置は、前記貯蔵時間内に温度感知装置から前記貯蔵環境の環境温度を受信し、次に、受信された環境温度を各当該電子タグの前記メモリの中に書き込み、
少なくとも1個の当該格納部材がユーザ環境に転送された後、当該第2電子装置は、当該格納部材の当該電子タグを読み取り、従って前記規則的な有効期限と前記低温保管条件とを含む前記原材料基本情報及び前記環境温度を取得し、次に、当該第2電子装置の前記演算ユニットは、前記低温保管条件と前記環境温度に応じて有効期限の調整判断を行い、その後、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各当該電子タグの前記メモリの中に書き込み、同時に、当該第2電子装置は、当該格納部材の当該電子タグを読み取り、従って前記規則的な有効期限を含む前記原材料基本情報及び前記有効期限の調整パラメータを取得し、次に、そのスクリーンに当該格納部材に納置される前記原材料の即時の有効期限を表示させることを特徴とする、
電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項16】
前記貯蔵環境は、運搬工具の貨物貯蔵空間、貨物倉庫の貨物貯蔵空間、配送箱の貨物貯蔵空間、冷凍庫の貨物貯蔵空間、及び冷蔵庫の貨物貯蔵空間からなる群から選択されるいずれかの1種であることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項17】
前記原材料は、ワクチン、菌株、薬品、血液、検体、海鮮、ワイン、果菜、冷凍食品、及び冷蔵食品からなる群から選択されるいずれかの1種であることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項18】
当該第1電子装置は、前記複数個の格納部材の所在の前記貯蔵環境のGPS位置を記録するためのGPSユニットをさらに有し、かつ当該第1電子装置は、当該電子タグの前記メモリ内に前記GPS位置を書き込むことを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項19】
当該第2電子装置は、前記即時の有効期限に応じて前記表示スクリーンに有効期限の警報メッセージを表示させる警報ユニットをさらに有することを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項20】
前記温度感知装置は、温度センサであり、かつ当該第1電子装置の中に整合されることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項21】
当該第2電子装置は、低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル(Look-up table,LUT)をさらに有することを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項22】
前記温度感知装置は、少なくとも1つの温度センサと、当該温度センサを制御するための電子回路とを含み、かつ前記電子回路は、エネルギーハーベストチップ(energy harvesting IC)を有し、当該第1電子装置から無線電波を発信するときにエネルギーを取得し、従って前記電子回路と当該温度センサに所要電源を供給するために用いられることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項23】
前記温度感知装置は、モノのインターネット技術に基づく温度センサノード(Temperature sensor node)であり、かつ当該第1電子装置は、無線ネットワークを介して前記温度感知装置に結合されることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項24】
前記無線ネットワークは、NB-IoT伝送インターフェース、ブルートゥース伝送インターフェース、ZigBee伝送インターフェース、Wimax伝送インターフェース、LoRA伝送インターフェース、WiFi伝送インターフェース、及び赤外線伝送インターフェースからなる群から選択される1種の無線ネットワークインターフェースを利用して実現されることを特徴とする、請求項23に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項25】
当該電子タグは、無線ラジオ周波数識別(Radio frequency identification,RFID)タグ、極超短波無線ラジオ周波数識別(Ultra High Frequency Radio frequency identification,UHF RFID)タグ、または近距離無線通信(Near-field communication,NFC)タグであることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項26】
当該第1電子装置と当該第2電子装置は、いずれも電子タグの読み/書き機能を有する産業用コンピュータ、電子タグの読み/書き機能を有するスマートフォン、電子タグの読み/書き機能を有するタブレットパソコン、電子タグの読み/書き機能を有するノート型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有するデスクトップ型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有する一体型パソコン、及び電子タグの読み/書き機能を有する販売時点情報管理システム(Point of sale system)からなる群から選択される1種の電子装置であることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項27】
第3電子装置をさらに備え、当該第1電子装置は、無線ネットワークを有する状態下において、各当該電子タグの前記メモリの中に書き込まれる前記原材料基本情報及び前記有効期限の調整パラメータを前記第3電子装置に伝送するようにさせ、当該第2電子装置は、前記第3電子装置から各当該電子タグに対応する前記原材料基本情報及び前記有効期限の調整パラメータを受信可能にさせることを特徴とする、請求項15に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【請求項28】
前記第3電子装置は、クラウドデータベース、クラウドサーバ、クラウド演算コンピュータ、及びクラウドドライブからなる群から選択される1種の電子装置であることを特徴とする、請求項27に記載の電子タグを用いた原材料追跡管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温保存を要求される原材料の配送技術に関連する分野に属し、とりわけ電子タグを用いた原材料追跡管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、ワクチンは、製造メーカーによって製作された後、低温配送専門の物流会社より、例えば、低温倉庫、医院、またはワクチン接種場所などのような指定地点への運輸をサポートする。また、ワクチン接種時、医療従事者によって包装箱を開封してバイアルを取り出し、かつバイアルタグのデータを照合して誤りがないことを確認してから、シリンジを利用してワクチンを患者の体内に接種する。よって、ワクチンの製造メーカー、種類、貯蔵及び運輸方式(低温保管条件を含む)、及び使用履歴に遡及できることが非常に重要であることが理解されるべきである。これに関して、特許文献1には、医薬品追跡管理システムが開示されている。特許文献1の開示内容によれば、例えば、RFIDタグやNFCタグのような電子タグがバイアルの上に貼り付けられ、かつ前記バイアルに関する薬品情報が前記電子タグのメモリ内に書き込まれる。かかる薬品情報は、少なくとも全米医薬品コード(National Drug Code,NDC)、ロット番号、シリアル番号、成分、及び規則的な有効期限(Regular expiration date)を含む。
【0003】
特許文献1の開示内容に従って、ワクチンの瓶詰めを完了した後、製造メーカーの作業者は、電子タグのアクセス機能を有する特殊電子装置を利用して前述の薬品情報を電子タグに書き込む。従って、ワクチンの運送過程において、物流会社の作業者は、同様にかかる特殊電子装置を利用してワクチンの物流履歴を前記電子タグのメモリ内に書き込むことができ、その内、かかる物流履歴は、温度管理記録、ロケーション記録、物流車両番号データ、及び物流業者データを含む。
ワクチンが医院に運送された後、医療従事者は、瓶詰めのワクチンを使用する過程において、同様にかかる特殊電子装置を利用してワクチンの使用履歴を前記電子タグのメモリ内に書き込むことができ、その内、かかる使用履歴は、医療従事者データ、接種時間、患者の身元データ、患者の生理データ、患者のカルテデータなどを含む。
このように設計すれば、ワクチンを注射した病人・患者にアレルギー反応やその他の不良反応が現れている状況下において、医療従事者は、データベースをルックアップする方式により、対応の電子タグの薬品情報、物流履歴及び使用履歴を検閲することができ、従って問題の根源が確定される。
【0004】
特許文献1には、医薬品追跡管理システムが開示されているものの、本願の発明者は、かかる医薬品追跡管理システムは、実務応用上、以下の欠点を有することを発見した。
【0005】
(1)AZ、BNT、ヤンセン、Novavaxなどの各種のワクチンは、いずれも瓶詰めの方式を採用するものの、ワクチンの種類が違えば、その「低温保管条件」は違ってくる。例を挙げて言えば、BNTワクチンの低温保管条件は、セ氏-60度~-80度である一方、AZワクチンの低温保管条件は、セ氏2度~8度である。BNTワクチンの低温保管条件は、セ氏2度~8度に調整することもできるが、必ず120時間内に使用を完了させる必要がある。換言すれば、低温保存温度の即時変化は、ワクチンの本当の有効期限に実質的な影響を与える。より詳細に説明すると、貯蔵環境の低温保存温度がワクチンの低温保管条件を満足していない場合、前記貯蔵環境内に置かれたワクチンには質的変化が発生し、かつ質的変化の状態は、必然的に貯蔵時間が増加するにつれてますます深刻になる。
しかしながら、一般的に言えば、医療従事者は、ワクチンを使用する過程において、ロケーション記録及び温度管理記録に特別な注意を払うことがない。医療従事者は、専らに薬品情報におけるロット番号、シリアル番号、成分、及び規則的な有効期限(Regular expiration date)に特別に注意を払う。その原因は、ワクチンに含まれる成分は、一部の患者のアレルゲンとなるおそれがあり、しかも規則的な有効期限は、製造メーカーによって提供され、規則的な有効期限を超えたワクチンは、絶対に廃棄する必要があることである。より詳細に説明すると、ワクチンの運輸過程あるいは保管予備過程において、もし突発事態が発生したら、貯蔵環境の低温保存温度が低温保管条件を満足しなくなり、かかる突発事態の存続期間は、必然的にワクチンの本当の有効期限に実質的な影響を与える。しかしながら、従来技術で提供される技術について言えば、医療関係者では、ワクチンの物流履歴(例えば、温度管理記録)及び/または薬品情報(例えば、成分と規則的な有効期限)からワクチンの現時点の有効期限の変化を知ることができない。
【0006】
(2)一方、特許文献1の開示内容によれば、バイアル上に貼り付けられた電子タグのチップは、識別タグと、位置決めユニットと、偽造防止ユニットと、温度センサと、電池とを備える。しかしながら、通常商用の電子タグ(Commercial regular electronic tag)の基本構成は、単にコイルと、ラジオ周波数チップと、マイクロコントローラーチップと、メモリとを備えるところ、特許文献1に開示されている電子タグ内に使用されるチップは、特殊チップに属するため、かかる電子タグの製造コストが高すぎ、薬品製造メーカーの購入意向に厳しく影響することが理解できる。さらに、長期間にわたって、センサ回路の設計と製造を行う電子エンジニアであれば、サーミスタは、最簡単な温度センサの一種であり、それは、その電圧変化信号を読み取るために、アナログフロントエンド回路(Analog front-end circuit)に合わせる必要があり、続いてバックエンドのデジタル処理回路によってかかる電圧変化信号をデジタル値に変換し、最終的に演算法を採用して前記デジタル値が代表する温度感知値を計算することが分かるはずである。それゆえ、特許文献1に開示されている電子タグは、温度センサを備えているが、温度センサの読み取りチップを備えていないので、温度センサを冗長素子として扱い、実質的な作用がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】台湾実用新案登録第M610783号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の説明から分かるように、従来技術の医薬品追跡管理システムには、まだ改善すべき余地があった。これに鑑みて、本願の発明者は、極力研究発明した結果、遂に一種の電子タグを用いた原材料追跡管理システムを研究開発して完成させた。
【0009】
本発明の主要な目的は、電子タグを用いた原材料追跡管理システムを提供することである。本発明は、それぞれ複数個の格納部材に取り付けられる複数個の電子タグと、少なくとも1つの第1電子装置と、少なくとも1つの第2電子装置とを備え、その内、各かかる格納部材に原材料が納置され、かつかかる電子タグのメモリには、前記原材料に相対応して原材料識別コード、ロット番号、シリアル番号、成分、規則的な有効期限、及び低温保管条件を含む原材料基本情報が記憶されている。本発明の設計によれば、格納部材の運輸/倉庫保管の過程において、第1電子装置は、温度感知装置を介して当該格納部材の所在の貯蔵環境の環境温度を受信し、次に、かかる低温保管条件とかかる環境温度に応じて有効期限の調整判断を行い、次に、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各かかる電子タグの前記メモリの中に書き込む。こうして、ユーザ端末は、第2電子装置を使用して格納部材上の電子タグを読み取った後、第2電子装置の表示スクリーンに当該格納部材に納置される原材料の即時の有効期限を表示させる。
【0010】
本発明にかかる電子タグを用いた原材料追跡管理システムを、企業や医院の現有の在庫管理システム(Warehouse management system,WMS)、成功と失敗要因取込み(Success and failure factors of adopting,SAP)機能を有する企業資源計画システム(Enterprise resource planning,ERP)、及び/または監視制御とデータ収集システム(Supervisory control and data acquisition system,SCADA)に応用した後、企業や医院で行われる食物及び/または薬品の有効期限の追跡と管理に役立ち、従って有効期限を超えた食物及び/または薬品の誤用を効果的に防止することができ、薬物有害事象(Adverse drug event)及び/または食中毒事件(Food poisoning incident)の発生確率の全面低下が達成されることが理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明が提供するかかる電子タグを用いた原材料追跡管理システムの第1実施例は、それぞれ複数個の格納部材に取り付けられる複数個の電子タグと、前記複数個の格納部材と同時に貯蔵環境の中に位置する少なくとも1つの第1電子装置と、ユーザ環境の中に位置し、かつ表示スクリーン及び電子タグの読み/書き機能を有する少なくとも1つの第2電子装置とを備え、その内、かかる格納部材に原材料が納置され、かつかかる電子タグのメモリの中には、前記原材料に相対応する原材料基本情報が記憶されており、その内、かかる第1電子装置は、演算ユニットを有し、かつ同時に電子タグの読み/書き機能を有し、その内、かかる原材料基本情報は、原材料識別コード、ロット番号、シリアル番号、成分、規則的な有効期限、及び低温保管条件を含み、その内、前記複数個の格納部材がかかる貯蔵環境に置かれた後、かかる第1電子装置は、各かかる格納部材の当該電子タグを読み取り、従って各かかる格納部材に納置される前記原材料のかかる低温保管条件を確定し、その内、前記複数個の格納部材がかかる貯蔵環境の中に置かれて貯蔵時間が経過し、かつかかる第1電子装置は、前記貯蔵時間内に温度感知装置からかかる貯蔵環境の環境温度を受信し、その内、かかる第1電子装置の前記演算ユニットは、かかる低温保管条件とかかる環境温度に応じて有効期限の調整判断を行い、次に、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各かかる電子タグの前記メモリの中に書き込み、その内、少なくとも1個のかかる格納部材がかかるユーザ環境に転送された後、かかる第2電子装置は、かかる格納部材の当該電子タグを読み取り、従ってかかる規則的な有効期限を含む前記原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを取得し、次に、そのかかる表示スクリーンにかかる格納部材に納置される前記原材料の即時の有効期限を表示させる。
【0012】
実行可能な実施例において、前述の貯蔵環境は、運搬工具の貨物貯蔵空間、貨物倉庫の貨物貯蔵空間、配送箱の貨物貯蔵空間、冷凍庫の貨物貯蔵空間、及び冷蔵庫の貨物貯蔵空間からなる群から選択されるいずれかの1種である。
【0013】
実行可能な実施例において、前述の原材料は、ワクチン、菌株、薬品、血液、検体、海鮮、ワイン、果菜、冷凍食品や冷蔵食品などの低温保存温度を特別要求される物品である。
【0014】
実行可能な実施例において、前述の第2電子装置は、警報ユニットをさらに有し、それは、かかる即時の有効期限に応じてかかる表示スクリーンに有効期限の警報メッセージを表示させる。
【0015】
実行可能な実施例において、前述の第1電子装置は、低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル(Look-up table,LUT)をさらに有する。
【0016】
実行可能な実施例において、前述の電子タグは、無線ラジオ周波数識別(Radio frequency identification,RFID)タグ、極超短波無線ラジオ周波数識別(Ultra High Frequency Radio frequency identification,UHF RFID)タグ、または近距離無線通信(Near-field communication,NFC)タグである。
【0017】
実行可能な実施例において、前述の第1電子装置と前述の第2電子装置は、いずれも電子タグの読み/書き機能を有する産業用コンピュータ、電子タグの読み/書き機能を有するスマートフォン、電子タグの読み/書き機能を有するタブレットパソコン、電子タグの読み/書き機能を有するノート型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有するデスクトップ型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有する一体型パソコン、または電子タグの読み/書き機能を有する販売時点情報管理システム(Point of sale system,POS)であってもよい。
【0018】
実行可能な実施例において、本発明にかかる電子タグを用いた原材料追跡管理システムは、第3電子装置をさらに備え、かかる第1電子装置は、無線ネットワークを有する状態下において、各かかる電子タグの前記メモリの中に書き込まれるかかる原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを前記第3電子装置に伝送するようにさせ、かかる第2電子装置は、前記第3電子装置から各かかる電子タグに対応するかかる原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを受信可能にさせる。
【0019】
実行可能な実施例において、前述の第3電子装置は、クラウドデータベース、クラウドサーバ、クラウド演算コンピュータ、またはクラウドドライブであってもよい。
【0020】
また、本発明は、かかる電子タグを用いた原材料追跡管理システムの第2実施例を同時に提供し、それは、それぞれ複数個の格納部材に取り付けられる複数個の電子タグと、前記複数個の格納部材と同時に貯蔵環境の中に位置し、かつ電子タグの読み/書き機能を有する少なくとも1つの第1電子装置と、少なくとも1つの第2電子装置とを備え、その内、かかる格納部材に原材料が納置され、かつかかる電子タグのメモリの中には、前記原材料に相対応する原材料基本情報が記憶されており、かかる第2電子装置は、演算ユニットを有し、かつ同時に電子タグの読み/書き機能を有し、その内、かかる原材料基本情報は、原材料識別コード、ロット番号、シリアル番号、成分、規則的な有効期限、及び低温保管条件を含み、その内、前記複数個の格納部材がかかる貯蔵環境に置かれた後、かかる第1電子装置は、各かかる格納部材の当該電子タグを読み取り、従って各かかる格納部材に納置される前記原材料のかかる低温保管条件を確定し、その内、前記複数個の格納部材がかかる貯蔵環境の中に置かれて貯蔵時間が経過し、かつかかる第1電子装置は、前記貯蔵時間内に温度感知装置からかかる貯蔵環境の環境温度を受信し、次に、受信された環境温度を各かかる電子タグの前記メモリの中に書き込み、その内、少なくとも1個のかかる格納部材がかかるユーザ環境に転送された後、かかる第2電子装置は、かかる格納部材の当該電子タグを読み取り、従ってかかる規則的な有効期限とかかる低温保管条件とを含む前記原材料基本情報及びかかる環境温度を取得し、次に、かかる第2電子装置の前記演算ユニットは、かかる低温保管条件とかかる環境温度に応じて有効期限の調整判断を行い、その後、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各かかる電子タグの前記メモリの中に書き込み、同時に、かかる第2電子装置は、かかる格納部材の当該電子タグを読み取り、従ってかかる規則的な有効期限を含む前記原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを取得し、次に、そのかかる表示スクリーンにかかる格納部材に納置される前記原材料の即時の有効期限を表示させる。
【0021】
実行可能な実施例において、前述の第2電子装置は、警報ユニットをさらに有し、それは、かかる即時の有効期限に応じてかかる表示スクリーンに有効期限の警報メッセージを表示させる。
【0022】
実行可能な実施例において、前述の第2電子装置は、低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル(Look-up table,LUT)をさらに有する。
【0023】
実行可能な実施例において、前述の第1電子装置と前述の第2電子装置は、いずれも電子タグの読み/書き機能を有するスマートフォン、電子タグの読み/書き機能を有するタブレットパソコン、電子タグの読み/書き機能を有するノート型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有するデスクトップ型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有する一体型パソコン、または電子タグの読み/書き機能を有する販売時点情報管理システム(Point of sale system,POS)であってもよい。
【0024】
実行可能な実施例において、本発明にかかる電子タグを用いた原材料追跡管理システムは、第3電子装置をさらに備え、かかる第1電子装置は、無線ネットワークを有する状態下において、各かかる電子タグの前記メモリの中に書き込まれるかかる原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを前記第3電子装置に伝送するようにさせ、かかる第2電子装置は、前記第3電子装置から各かかる電子タグに対応するかかる原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを受信可能にさせる。
【0025】
実行可能な実施例において、前述の第3電子装置は、クラウドデータベース、クラウドサーバ、クラウド演算コンピュータ、またはクラウドドライブであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
さらに、本発明は、一種の電子タグを用いた原材料追跡管理システムの用途をさらに提供し、それが在庫管理システム(Warehouse management system,WMS)、成功と失敗要因取込み(Success and failure factors of adopting,SAP)機能を有する企業資源計画システム(Enterprise resource planning,ERP)、及び/または監視制御とデータ収集システム(Supervisory control and data acquisition system,SCADA)に整合応用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1斜視模式図である。
図2】本発明の第1ブロック図である。
図3】第2電子装置の表示スクリーンの表示画面を示す図である。
図4】第2電子装置の表示スクリーンの表示画面を示す図である。
図5】1個の第1電子装置と1個の第3電子装置との情報連結の関係を示す概要図である。
図6】多数個の第1電子装置と1個の第3電子装置との情報連結の関係を示す概要図である。
図7】本発明の第2ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明が提供する電子タグを用いた原材料追跡管理システムをより明瞭に記述するために、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例を以下に詳細に説明する。
【0029】
(第1実施例)
図1には、本発明にかかる電子タグを用いた原材料追跡管理システム1の斜視模式図が示されている。また、図2には、本発明の電子タグを用いた原材料追跡管理システム1の第1ブロック図が示されている。
第1実施例において、本発明の電子タグを用いた原材料追跡管理システム1は、図1図2に示すように、主に複数個の電子タグ11と、少なくとも1つの第1電子装置12と、少なくとも1つの第2電子装置13とを備える。その内、前記複数個の電子タグ11は、それぞれ複数個の格納部材2に取り付けられる。ここで称する「取り付け」は、表面貼り付けあるいは一体整合であってもよいことを意味する。一般の状況下では、かかる格納部材2に原材料(例えば、ワクチン)が納置され、かかる電子タグ11のメモリの中には、前記原材料に相対応する原材料基本情報が記憶されており、かつ前記原材料基本情報は、原材料識別コード、ロット番号、シリアル番号、成分、規則的な有効期限、及び低温保管条件を含む。例を挙げて言えば、前記原材料が薬品やワクチンである状況下、かかる原材料識別コードは、薬品コード(Drug code)である。
【0030】
より詳細に説明すると、少なくとも1個のかかる第1電子装置12は、前記複数個の格納部材2と同時に貯蔵環境の中に位置する。例を挙げて言えば、格納部材2内に納置されるものがワクチンである。ワクチンは、製造メーカーによって製作された後、低温配送専門の物流会社が、例えば、低温倉庫、医院、またはワクチン接種場所などのような指定地点への運輸をサポートすることが理解できる。当然のことながら、ワクチンの運輸と予備保管の過程において、貯蔵環境の低温保管条件を厳しく要求する必要がある。それゆえ、かかる貯蔵環境は、運搬工具の貨物貯蔵空間、貨物倉庫の貨物貯蔵空間、配送箱の貨物貯蔵空間、冷凍庫の貨物貯蔵空間、または冷蔵庫の貨物貯蔵空間であってもよい。
【0031】
図1図2に示すように、かかる第1電子装置12は、前記複数個の格納部材2と同時に貯蔵環境の中に位置し、電子タグの読み/書き機能を有する。特に、本発明は、第1電子装置12の中に演算ユニット121が設けられる。このように設計すれば、前記複数個の格納部材2がかかる貯蔵環境(例えば、運輸車両の貨物貯蔵空間)に置かれた後、かかる第1電子装置12は、つまり各かかる格納部材2の当該電子タグ11を読み取り、従って各かかる格納部材2に納置される前記原材料のかかる低温保管条件を確定する。
次に、前記複数個の格納部材2は、通常、かかる貯蔵環境の中に置かれて貯蔵時間が経過するため、かかる第1電子装置12は、かかる貯蔵時間内に温度感知装置14からかかる貯蔵環境の環境温度を受信する形態に構成される(configured to)。例を挙げて言えば、前記複数個の格納部材2を、運輸車両を用いてA地点からB地点まで運送し、この運送に3時間がかかる。
【0032】
それゆえ、3時間の運送時間内に、第1電子装置12は、かかる貯蔵環境内の環境温度を取得する。従って、かかる第1電子装置12の内部の前記演算ユニット121は、かかる低温保管条件(電子タグ11から取得)とかかる環境温度(温度感知装置14から取得)に応じて有効期限の調整判断を行う。次に、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各かかる電子タグ11の前記メモリの中に書き込む。
最終的に、少なくとも1個の格納部材2がかかるユーザ環境に転送された後、かかる第2電子装置13は、かかる格納部材2の当該電子タグ11を読み取り、従ってかかる規則的な有効期限を含む前記原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを取得し、次に、そのかかる表示スクリーンにかかる格納部材2に納置される前記原材料の即時の有効期限を表示させる。
【0033】
再び例を挙げれば、前記複数個の格納部材2をB地点に運送した後に冷凍保存を行い、N時間が経過する。冷凍保存の過程において、第1電子装置12は、貯蔵環境内の環境温度を取得する。従って、かかる第1電子装置12の内部の前記演算ユニット121は、かかる低温保管条件(電子タグ11から取得)とかかる環境温度(温度感知装置14から取得)に応じて有効期限の調整判断を行う。次に、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各かかる電子タグ11の前記メモリの中に書き込む。
最終的に、少なくとも1個の格納部材2がかかるユーザ環境に転送された後、かかる第2電子装置13は、かかる格納部材2の当該電子タグ11を読み取り、従ってかかる規則的な有効期限を含む前記原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを取得し、次に、そのかかる表示スクリーンにかかる格納部材2に納置される前記原材料の即時の有効期限を表示させる。
【0034】
補足説明すると、図2に示すように、かかる第1電子装置12は、GPSユニット123をさらに有し、それは、前記複数個の格納部材2の所在のかかる貯蔵環境のGPS位置を記録するために用いられ、かつかかる第1電子装置12は、かかる電子タグ11の前記メモリ内に前記GPS位置を書き込む。換言すれば、前記複数個の格納部材2がA地点に貯蔵される場合、前記GPSユニット123は、A地点のGPS位置を記録する。さらに、前記複数個の格納部材2を、運輸車両を用いてA地点からB地点まで運送した後、前記GPSユニット123は、B地点のGPS位置を記録する。最終的に、前記複数個の格納部材2を、運輸車両を用いてB地点からユーザ端末(例えば、医院)まで運送した後、前記GPSユニット123は、ユーザ端末のGPS位置を記録する。
【0035】
図3図4には、第2電子装置13の表示スクリーンの表示画面が示されている。例を挙げて言えば、当該格納部材2に納置される原材料がワクチンである。それゆえ、医療関係者は、ワクチンを使用する過程において、かかる第2電子装置13を操作してかかる格納部材2のかかる電子タグ11を読み取る。
図3に示すように、かかる電子タグ11の読み取り操作を完了した後、薬品コード(すなわち、原材料識別コード)、ロット番号、シリアル番号、成分、及び規則的な有効期限(Regular expiration date)を含むワクチンに関する前記原材料基本情報は、かかる第2電子装置13の表示スクリーンの上に表示される。注意に値するのは、図4に示すように、かかる電子タグ11の読み取り操作を完了した後、かかる第2電子装置13は、同時に当該第1電子装置12から書き込まれたかかる有効期限の調整パラメータを獲得する点である。これによれば、かかる第2電子装置13は、かかる有効期限の調整パラメータ及びかかる規則的な有効期限に応じて前記ワクチンの即時の有効期限を即時に算出することができる。
さらに、図4に示すように、かかる第2電子装置13は、警報ユニット130をさらに有し、それは、かかる即時の有効期限に応じて表示スクリーンに有効期限の警報メッセージを表示させる。
【0036】
特に、図1図2に示すように、かかる第1電子装置12の内部に低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル(Look-up table,LUT)122がさらに設けられる。かかる低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル122には、データ圧縮の方式を用いて製造メーカーが提供する製品説明書(規格書とも称する)に記載された原材料の標準低温保管条件及び環境温度の変化によって原材料の有効期限に対してもたらされる影響(すなわち、有効期限の変動)が保存される。
このように設計すれば、かかる演算ユニット121は、かかる低温保管条件と、かかる環境温度と、かかる低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル122とに応じてかかる原材料の質的変化の判断を行うことができる。かかる低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル122は、製造メーカーより提供されることが理解されるべきであり、下記の表(1)は、ワクチンを模範として製作した低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル122である。
【0037】
【表1】
【0038】
一方、図1に描かれたかかる第1電子装置12は、専用のコンピュータ(すなわち、特殊工業用途のコンピュータ)と、RFIDアンテナとを含む。描かれたかかる第2電子装置13は、タッチパネルを有するハンドヘルド型電子装置であるが、しかし、第1電子装置12と第2電子装置13との実施態様は、これらによって制限されるべきではない。本発明は、実際に応用する場合、かかる第1電子装置12とかかる第2電子装置13は、いずれも電子タグの読み/書き機能を有する産業用コンピュータ、電子タグの読み/書き機能を有するスマートフォン、電子タグの読み/書き機能を有するタブレットパソコン、電子タグの読み/書き機能を有するノート型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有するデスクトップ型パソコン、電子タグの読み/書き機能を有する一体型パソコン、または電子タグの読み/書き機能を有する販売時点情報管理システム(Point of sale system,POS)であってもよい。
【0039】
また、長期間にわたって、電子タグの設計と製作を行う電子エンジニアであれば、図1図2に描かれた電子タグ11は、無線ラジオ周波数識別(Radio frequency identification,RFID)タグ、極超短波無線ラジオ周波数識別(Ultra High Frequency Radio frequency identification,UHF RFID)タグ、または近距離無線通信(Near-field communication,NFC)タグであってもよいことが分かるはずである。
【0040】
補足説明すると、一実行可能な実施例において、図1に描かれた温度感知装置14は、温度センサであり、かつかかる第1電子装置12の中に整合される。また、別の実行可能な実施例において、図1に描かれた前記温度感知装置14とかかる第1電子装置12とは、相互に独立した2つの装置であり、かつそれは、少なくとも1つの温度センサと、当該温度センサを制御するための電子回路とを含み、かつ前記電子回路は、かかる第1電子装置12に結合される。実行可能な実施例において、前記温度感知装置14の前記電子回路は、エネルギーハーベストチップ(energy harvesting IC)を含んでもよい。かかる第1電子装置12から無線電波を発信するときに、前記エネルギーハーベストチップ(energy harvesting IC)は、無線電波を介してエネルギーを取得することができ、従って前記電子回路内の制御チップと当該温度センサに所要電源を供給し、これにより当該温度センサを駆動させて環境温度感知を行う。
【0041】
実行可能な実施例において、本来運輸車両の低温保管空間内に環境温度を監視制御するための温度感知モジュールが設けられるので、この温度感知モジュールは、かかる第1電子装置12と直接有線または無線で結合されてもよく、従って図1に描かれた前記温度感知装置14として用いられる。
【0042】
さらに説明すると、また別の実行可能な実施例において、図1に描かれた前記温度感知装置14は、モノのインターネット技術に基づく温度センサノード(Temperature sensor node)であり、かつかかる第1電子装置12は、無線ネットワークを介して前記温度感知装置14に結合される。長期間にわたって、モノのインターネットセンサの設計と製作を行う電子エンジニアであれば、かかる温度センサノードは、通常、体積が非常に小さなDongleに設計されており、かつそれは、電子回路と、少なくとも1個の温度センサとを含むことが分かるはずである。前記電子回路は、エネルギーハーベストチップ(energy harvesting IC)を含んでもよい。
かかる第1電子装置12から無線電波を発信するときに、前記エネルギーハーベストチップ(energy harvesting IC)は、無線電波を介してエネルギーを取得することができ、従って前記電子回路内の制御チップと当該温度センサに所要電源を供給し、これにより当該温度センサを駆動させて環境温度感知を行う。当該温度センサを駆動させて感知データを収集した後、前記電子回路は、無線ネットワークを介して収集された前記感知データを、例えば、NB-IoTゲートウェイ、データ収集エンジニアのスマートフォンまたはノート型パソコン、ローカルサーバ、クラウドサーバなどの外部電子装置にアップロードする。それゆえ、かかる無線ネットワークは、NB-IoT伝送インターフェース、ブルートゥース(登録商標)伝送インターフェース、ZigBee(登録商標)伝送インターフェース、Wimax(登録商標)伝送インターフェース、LoRA(登録商標)伝送インターフェース、WiFi(登録商標)伝送インターフェース、または赤外線伝送インターフェースなどを利用して実現されてもよい。当然のことながら、実行可能な実施例において、かかる第1電子装置12と前記温度感知装置14とは、有線方式を用いて連結してもよく、両者は、メッセージ交信によって信号伝達を実現できればよい。
【0043】
図1図2に描かれた本発明の電子タグを用いた原材料追跡管理システム1は、第3電子装置15をさらに備え、それは、例えば、クラウドやデータ転送端末のような第3者の環境の中に設けることが発見される。このように設計すれば、かかる第1電子装置12は、例えば、WiFi、4Gや5Gなどのような無線ネットワークを有する状況下において、各かかる電子タグ11の前記メモリの中に書き込まれるかかる原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを前記第3電子装置15に伝送することができ、かかる第2電子装置13は、前記第3電子装置15から各かかる電子タグ11に対応するかかる原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを受信可能にさせる。それゆえ、前記第3電子装置15は、クラウドデータベース、クラウドサーバ、クラウド演算コンピュータ、またはクラウドドライブであってもよいことが理解される。
【0044】
前述の説明を通じて、本発明にかかる電子タグを用いた原材料追跡管理システム1は、主に在庫管理システム(Warehouse management system,WMS)、成功と失敗要因取込み(Success and failure factors of adopting,SAP)機能を有する企業資源計画システム(Enterprise resource planning,ERP)、及び/または監視制御とデータ収集システム(Supervisory control and data acquisition system,SCADA)の中に整合され、企業や医院で行われる食物及び/または薬品の有効期限の追跡と管理に役立ち、従って有効期限を超えた食物及び/または薬品の誤用を効果的に防止することができ、薬物有害事象(Adverse drug event)及び/または食中毒事件(Food poisoning incident)の発生確率の全面低下が達成されることが理解されるべきである。換言すれば、図2に示すように、格納部材2に納置される原材料は、ワクチンに限らず、実行可能な実施例において、かかる原材料は、ワクチン、菌株、薬品、血液、検体、海鮮、ワイン、果菜、冷凍食品や冷蔵食品などの低温保存温度を特別要求される物品であってもよい。
【0045】
図5には、1個の第1電子装置12と1個の第3電子装置15との情報連結の関係を示す概要図が示されており、かつ図6には、多数個の第1電子装置12と1個の第3電子装置15との情報連結の関係を示す概要図が示されている。
図2図5に示すように、一実行可能な実施例において、貯蔵環境に単個の第1電子装置12を載置してもよく、当該第1電子装置12を利用して前記貯蔵環境内に位置する前記複数個の電子タグ11に対して読み取り/書き込み操作を行う。また、電子タグ11の書き込み操作を完了した後、当該第1電子装置12は、無線ネットワークを有する状況下において、書き込まれたデータを前記第3電子装置15に伝送する。
一方、図2図6に示すように、別の実行可能な実施例において、貯蔵環境に多数個のかかる第1電子装置12を載置してもよく、多数個のかかる第1電子装置12を利用して前記貯蔵環境内に位置する前記複数個の電子タグ11に対して読み取り/書き込み操作を行う。また、電子タグ11の書き込み操作を完了した後、多数個のかかる第1電子装置12は、無線ネットワークを有する状況下において、書き込まれたデータを前記第3電子装置15に伝送する。
【0046】
(第2実施例)
図1を繰り返し参照し、かつ同時に図7に描かれた本発明の電子タグを用いた原材料追跡管理システム1の第2ブロック図を参照する。
図1図7に示すように、第2実施例において、本発明の電子タグを用いた原材料追跡管理システム1は、同様に複数個の電子タグ11と、少なくとも1つの第1電子装置12と、少なくとも1つの第2電子装置13とを備える。図7図2とを比較した後、第2実施例の第1電子装置12は、いわゆる有効期限の調整判断を実行するための演算ユニット121及び低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル122を有さず、その代わりに、当該第2電子装置13に有効期限の調整判断を実行するための前記演算ユニット131及び前記低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル132が設けられることが理解されるべきである。
【0047】
この設計によると、前記複数個の格納部材2がかかる貯蔵環境に置かれた後、かかる第1電子装置12は、各かかる格納部材2の当該電子タグ11を読み取り、従って各かかる格納部材2に納置される前記原材料のかかる低温保管条件を確定する。さらに、かかる第1電子装置12は、前記貯蔵時間内に温度感知装置14からかかる貯蔵環境の環境温度を受信し、次に、受信された環境温度を各かかる電子タグ11の前記メモリの中に書き込む。また、少なくとも1個のかかる格納部材2がかかるユーザ環境に転送された後、かかる第2電子装置13は、かかる格納部材2の当該電子タグ11を読み取り、従ってかかる規則的な有効期限とかかる低温保管条件とを含む前記原材料基本情報及びかかる環境温度を取得する。次に、かかる第2電子装置13の前記演算ユニット131は、かかる低温保管条件とかかる環境温度に応じて有効期限の調整判断を行い、その後、有効期限の調整処理を行う必要がある場合、有効期限の調整パラメータを各かかる電子タグ11の前記メモリの中に書き込む。同時に、かかる第2電子装置13は、かかる格納部材2の当該電子タグ11を読み取り、従ってかかる規則的な有効期限を含む前記原材料基本情報及びかかる有効期限の調整パラメータを取得し、次に、そのかかる表示スクリーンにかかる格納部材2に納置される前記原材料の即時の有効期限を表示させる。
【0048】
上記のように、本発明にかかる電子タグを用いた原材料追跡管理システムを既に十分かつ明瞭に説明してきた。しかしながら、強調すべき点は、前述の本願で開示されるものは、単なる好適な実施例であり、一部の変更または修飾が本願の技術思想をもとにして、本願の特許権の範疇を逸脱しない限り、当該技術に習熟している者であれば、容易に推察できるものであろう点である。
【符号の説明】
【0049】
1 電子タグを用いた原材料追跡管理システム
11 電子タグ
12 第1電子装置
121 演算ユニット
122 低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル
123 GPSユニット
13 第2電子装置
130 警報ユニット
131 演算ユニット
132 低温保管条件と使用期限とのルックアップテーブル
14 温度感知装置
15 第3電子装置
2 格納部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7