(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105243
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】サーキュレータ
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20220101AFI20230721BHJP
F24C 7/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
F24H3/04 302
F24C7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095490
(22)【出願日】2023-06-09
(62)【分割の表示】P 2022183518の分割
【原出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】508256396
【氏名又は名称】スリーアップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】辻野 真介
(57)【要約】
【課題】外部から吸い込んだ空気を効率よく加熱することのできるサーキュレータを提供する。
【解決手段】サーキュレータ1は、前後方向に延在する回転軸31と、吸気口215と送風口216とを含む羽根筐体21と、回転軸31に固定された複数の羽根であって、羽根筐体21の外部の空気を吸気口215から羽根筐体21の内部に吸い込み、吸い込んだ空気を送風口216から羽根筐体21の外部へ送る複数の羽根32と、吸気口215から羽根筐体21の内部に吸い込んだ空気を加熱する加熱部4とを備える。回転軸31の延在方向DNに沿った加熱部4の位置は、回転軸31の延在方向DNに沿った複数の羽根32の位置よりも前側である。加熱部4は、羽根筐体21に固定された第1および第2の絶縁部の各々と、第1および第2の絶縁部の各々に巻き回された第1および第2の発熱素子の各々とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーキュレータであって、
前後方向に延在する回転軸と、
内側ケースと、吸気口と、前記回転軸の延在方向の前側の面に設けられた送風口とを含む筐体と、
前記回転軸に固定された複数の羽根であって、前記筐体の外部の空気を前記吸気口から前記筐体の内部に吸い込み、吸い込んだ空気を前記送風口から前記筐体の外部へ送る複数の羽根と、
前記吸気口から前記筐体の内部に吸い込んだ空気を加熱する加熱部とを備え、
前記加熱部は、
前記筐体に固定され、前記回転軸の延在方向から見た場合に前記回転軸の周囲を取り囲む第1および第2の絶縁部の各々と、
前記第1および第2の絶縁部の各々に巻き回された第1および第2の発熱素子の各々とを含み、
前記第1の発熱素子は、前記第1の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、前記第1の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、
前記第2の発熱素子は、前記第2の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、前記第2の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、
スタンドと、
前記スタンドから上方に延び、前記スタンドと前記筐体とを接続する1つのみの首部とをさらに備え、
前記筐体および前記首部は、前記スタンドに対して所定の軸周りに揺動し、
前記筐体は、ケースを含み、
前記ケースは、前記回転軸の延在方向を含む断面で見た場合に、前記加熱部の外径側端部と対向する位置から後方に向かって直線状に延在する側面と、背面とを有し、
前記吸気口は、前記ケースの前記背面から前方に延在しており、前記直線状に延在する側面の一部にまで達する、サーキュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーキュレータに関し、より特定的には、加熱部を備えたサーキュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
サーキュレータは、設置された空間の空気を循環させる家電製品として知られている。サーキュレータは、部屋の換気、冷房または暖房の効率化、および洗濯物の乾燥促進などの目的で使用される。
【0003】
なお、下記特許文献1には、回転軸周りに複数の羽根を回転させることにより、外部から吸い込んだ空気をヒータで加熱し、加熱した空気を外部に送風する扇風機兼用電気ストーブが開示されている。この扇風機兼用電気ストーブは、本体の前面に配置される反射板と、この反射板と間隔を存してこの反射板の略中央部に設けられたファンと、このファンを回転駆動するモータと、ファンの外側近傍に設けられたヒータと、モータを正逆回転制御する制御部とを備えている。この扇風機兼用電気ストーブは、ヒータへの通電時には外気を中央部から吸入して外周囲から放出し、ヒータへの遮断時には外気を外周囲から吸入して中央部から放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗濯物の乾燥をさらに促進する方法、またはサーキュレータそのものを暖房として使用する方法として、サーキュレータに加熱部を搭載する方法が考えられる。しかし、サーキュレータに加熱部を搭載した場合には、外部から吸い込んだ空気を加熱部にて効率よく加熱することができず、送風する空気の温度が低かった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、外部から吸い込んだ空気を効率よく加熱することのできるサーキュレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に従うサーキュレータは、前後方向に延在する回転軸と、内側ケースと、吸気口と、回転軸の延在方向の前側の面に設けられた送風口とを含む筐体と、回転軸に固定された複数の羽根であって、筐体の外部の空気を吸気口から筐体の内部に吸い込み、吸い込んだ空気を送風口から筐体の外部へ送る複数の羽根と、吸気口から筐体の内部に吸い込んだ空気を加熱する加熱部とを備え、加熱部は、筐体に固定され、回転軸の延在方向から見た場合に回転軸の周囲を取り囲む第1および第2の絶縁部の各々と、第1および第2の絶縁部の各々に巻き回された第1および第2の発熱素子の各々とを含み、第1の発熱素子は、第1の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、第1の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、第2の発熱素子は、第2の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、第2の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、スタンドと、スタンドから上方に延び、スタンドと筐体とを接続する1つのみの首部とをさらに備え、筐体および首部は、スタンドに対して所定の軸周りに揺動し、筐体は、ケースを含み、ケースは、回転軸の延在方向を含む断面で見た場合に、加熱部の外径側端部と対向する位置から後方に向かって直線状に延在する側面と、背面とを有し、吸気口は、ケースの背面から前方に延在しており、直線状に延在する側面の一部にまで達する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部から吸い込んだ空気を効率よく加熱することのできるサーキュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるサーキュレータ1の構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態におけるサーキュレータ1の構成を模式的に示す背面図である。
【
図3】羽根筐体21などの内部の構成を示す断面図である。
【
図4】羽根筐体21などの内部の構成を示す断面斜視図である。
【
図5】加熱部4および支持部5の構成を模式的に示す正面図である。
【
図6】加熱部4および支持部5の構成を模式的に示す正面側の斜視図である。
【
図7】加熱部4および支持部5の構成を模式的に示す側面図である。
【
図8】整流部6の構成を模式的に示す正面図である。
【
図9】整流部6の構成を模式的に示す正面側の斜視図である。
【
図10】本発明の一実施の形態における、吸気口215から送風口216へ向かう空気と発熱素子421および422との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以降の説明においては、回転軸31の延在方向DNに沿って吸気口214から送風口216へ向かう方向を前、回転軸31の延在方向DNに沿って送風口216から吸気口214へ向かう方向を後と記している。
【0011】
図1および
図2は、本発明の一実施の形態におけるサーキュレータ1の構成を模式的に示す図である。
図1は正面図であり、
図2は背面図である。
【0012】
図1および
図2を参照して、サーキュレータ1(サーキュレータの一例)は、筐体2と、送風部3と、加熱部4(加熱部の一例)と、支持部5(支持部の一例)と、整流部6(整流部の一例)と、制御部7とを備えている。筐体2の内部には、送風部3、加熱部4、支持部5、整流部6、および制御部7が設けられている。
【0013】
筐体2は、羽根筐体21(筐体の一例)と、首部22と、スタンド23とを含んでいる。羽根筐体21の内部には、送風部3、加熱部4、支持部5、および整流部6が設けられている。羽根筐体21は、首部22に対して矢印AR1で示すように軸AX1周りに揺動可能である。羽根筐体21は、適切な向きに送風されるように、制御部7から供給される電力により軸AX1周りに回転されてもよいし、サーキュレータ1の使用者の手により軸AX1周りに回転されてもよい。
【0014】
首部22は、羽根筐体21の下部に設けられている。首部22は、スタンド23と羽根筐体21とを接続している。首部22はスタンド23から上方に延びている。羽根筐体21および首部22は、制御部7から供給される電力により、スタンド23に対して矢印AR2で示すように軸AX2周りに揺動可能である。羽根筐体21および首部22がスタンド23に対して矢印AR2で示すように軸AX2周りに揺動する機能は、首振り機能と呼ばれる。
【0015】
スタンド23は、首部22の下方に設けられている。スタンド23は、制御部7を収容している。スタンド23の側面には操作部231が設けられている。操作部231は、サーキュレータ1の使用者の操作を受け付ける。操作部231は、たとえばサーキュレータ1の電源をオンおよびオフする操作、風量を調節する操作、暖房モードと衣類乾燥モードと送風モードとの間でサーキュレータ1の運転状態を切り替える操作、サーキュレータ1の電源をオンまたはオンするまでの時間を設定する操作、および羽根筐体21の首振り機能をオンまたはオフする操作などを受け付ける。
【0016】
制御部7は、操作部231で受け付けた設定または操作に基づいて、サーキュレータ1全体の動作を制御する。
【0017】
図3は、羽根筐体21などの内部の構成を示す断面図である。
図4は、羽根筐体21などの内部の構成を示す断面斜視図である。
図3および
図4は、
図1のIII-III線に沿った断面を示している。
【0018】
図1~
図4を参照して、羽根筐体21は、内側ケース211と、外側ケース212と、接続部213と、吸気口214と、吸気口215(吸気口の一例)と、送風口216(送風口の一例)とを含んでいる。
【0019】
内側ケース211は、略円筒形状を有しており、羽根筐体21の内部の空間SP1を構成している。
【0020】
外側ケース212は、略円筒形状を有しており、空間SP2を隔てて内側ケース211を覆っている。外側ケース212は首部22と接続されている。
【0021】
接続部213は、内側ケース211と外側ケース212とを接続している。外側ケース212は、接続部213を介して内側ケース211を固定している。
【0022】
吸気口214は、内側ケース211の背面(回転軸31の延在方向DNの後側の面)に設けられている。吸気口214は、内側ケース211の背面から前方に延在しており、内側ケース211の側面(回転軸31の延在方向DNに直交する方向に存在する面)の一部にまで達している。吸気口214は、たとえば弧状を有する複数の孔によって構成されている。
【0023】
吸気口215は、外側ケース212の背面(回転軸31の延在方向DNの後側の面)に設けられている。吸気口215は、外側ケース212の背面から前方に延在しており、外側ケース212の側面(回転軸31の延在方向DNに直交する方向に存在する面)の一部にまで達している。吸気口215は、たとえば弧状を有する複数の孔によって構成されている。羽根筐体21の外部の空気は、吸気口215および214の各々をこの順序で通過して羽根筐体21の内部に供給される。
【0024】
吸気口214および215の各々は、内側ケース211および外側ケース212の各々の背面にのみ設けられていてもよく、内側ケース211および外側ケース212の各々の側面の一部にまで達していなくてもよい。
【0025】
送風口216は、内側ケース211の前面(回転軸31の延在方向DNの前側の面)に設けられている。送風口216は、内側ケース211の前端側の開口を覆っている。送風口216は、たとえば弧状を有する複数の孔によって構成されている。
【0026】
送風口216は、内側ケース211の前面(回転軸31の延在方向DNの前側の面)に設けられている。送風口216は、内側ケース211の前端側の開口を覆っている。送風口216は、たとえば弧状を有する複数の孔によって構成されている。
【0027】
なお、吸気口214または215には、空気中の埃などが加熱部4に入り込むことを防止するフィルタが着脱可能に設けられていてもよい。
【0028】
送風部3は、回転軸31(回転軸の一例)と、複数の羽根32(複数の羽根の一例)と、モータ33と、雌ねじ34と、スリーブ35とを含んでいる。回転軸31は前後方向に延在している。回転軸31の後端はモータ33に固定されており、回転軸31はモータ33から前方に突出している。
【0029】
複数の羽根32の各々はスリーブ35と一体化しており、回転軸31に固定されている。複数の羽根32の各々はスリーブ35から外径側に延在している。スリーブ35は回転軸31に固定されており、複数の羽根32およびスリーブ35は、回転軸31とともに回転する。複数の羽根32は、羽根筐体21の外部の空気を吸気口214および215を通じて羽根筐体21の内部に吸い込み、吸い込んだ空気を整流部6および加熱部4を介して送風口216から羽根筐体21の外部へ送る。矢印AR3は、複数の羽根32の回転による空気の流れを示している。
【0030】
なお、吸気口214および215の各々が内側ケース211および外側ケース212の各々の側面の一部にまで達している場合、回転軸31の延在方向DNに沿った吸気口214および215の前端の位置PO1は、回転軸31の延在方向DNに沿った複数の羽根32の前端の位置PO2よりも後側に存在している。これにより、吸気口214および215の面積を大きくしつつ、回転軸31の延在方向DNと直交する方向から加熱部4への羽根筐体21の外部の空気の流入(矢印AR4で示すような空気の流入)を抑止することができる。
【0031】
モータ33は、制御部7から供給される電力により、回転軸31を回転駆動する。
【0032】
雌ねじ34は、回転軸31の先端に形成された雄ねじに対して、ねじ作用により嵌め込まれている。雌ねじ34は、モータ33との間でスリーブ35を挟むことで、複数の羽根32およびスリーブ35の回転軸31に沿った位置を固定する。
【0033】
加熱部4は、吸気口214および215を通じて羽根筐体21の内部に吸い込んだ空気を加熱する。加熱部4の位置は、回転軸31の延在方向DNに沿った複数の羽根32およびスリーブ35の位置よりも前側である。
【0034】
支持部5は、整流部6を通じて羽根筐体21に固定されている。支持部5は、加熱部4を支持する。
【0035】
整流部6は、複数の羽根32から送られた空気を整流して加熱部4に送る。整流部6は、回転軸31の延在方向DNから見た場合に略円形状を有しており、その外周端部が内側ケース211に固定されている。整流部6は、回転軸31の延在方向DNに沿った複数の羽根32の前端の位置PO2よりも前側の位置であって、加熱部4の後端の位置PO3よりも後側の位置に設けられている。整流部6は、羽根筐体21の内部の空間SP1を、複数の羽根32が設けられた空間と加熱部4が設けられた空間とに区画している。整流部6は、空気を通過させるための孔として、たとえば弧状を有する複数の孔を含んでいる。
【0036】
制御部7は、設定されたモードに応じてサーキュレータ1の運転状態を次のように制御してもよい。
【0037】
暖房モードは、比較的高温の少量の空気を送風するモードである。サーキュレータ1の運転状態が暖房モードに設定された場合には、制御部7は、複数の羽根32の回転速度を第1の速度(低速)にすることで、送風部3の送風量を少量に制御する。制御部7は、加熱部4に電力を供給することで加熱部4による加熱を行う。その結果、送風口216からは比較的高温で比較的少量の空気が送風される。
【0038】
衣類乾燥モードとは、比較的低温の多量の空気を送風するモードである。サーキュレータ1の運転状態が衣類乾燥モードに設定された場合には、制御部7は、複数の羽根32の回転速度を第1の速度よりも速い第2の速度(高速)にすることで、送風部3の送風量を多量に制御する。制御部7は、加熱部4に電力を供給することで加熱部4による加熱を行う。衣類乾燥モードの場合には、その結果、送風口216からは比較的低温(室温よりも高温)で比較的多量の空気が送風される。
【0039】
送風モードとは、室温の空気を送風するモードである。サーキュレータ1の運転状態が送風モードに設定された場合には、制御部7は、送風部3の送風量を設定された量に制御する。制御部7は、加熱部4への電力の供給を停止する。その結果、送風口216からは吸気口215から吸い込まれた室温の空気がそのまま送風される。
【0040】
図5~
図7は、加熱部4および支持部5の構成を模式的に示す図である。
図5は正面図であり、
図6は正面側の斜視図であり、
図7は側面図である。なお
図5および
図6では、絶縁部411および412の各々よりも内径側に存在する発熱素子421および422の各々の部分の図示が省略されている。
【0041】
図3~
図7を参照して、加熱部4は、絶縁部411および412(第1および第2の絶縁部の一例)と、発熱素子421および422(第1および第2の発熱素子の一例)とを含んでいる。
【0042】
絶縁部411および412の各々は、絶縁体よりなっており、支持部5に支持されており、支持部5を介して羽根筐体21に固定されている。絶縁部411および412の各々は、発熱素子421および422の各々を筐体2から絶縁した状態で保持する。絶縁部411および412の各々は、回転軸31の延在方向DNから見た場合に、たとえば環状を有しており、回転軸31の周囲を取り囲んでいる。絶縁部412は、回転軸31の延在方向DNに沿った絶縁部411の位置よりも後側の位置において、回転軸31の周囲を取り囲んでいる。絶縁部411および412の各々の延在方向は、回転軸31の延在方向DNと直交している。
【0043】
発熱素子421および421の各々は、導線であり、絶縁部411および412の各々に螺旋状に巻き回されている。制御部7が供給する電力により発熱素子421および422の各々には電流が流れる。これにより、発熱素子421および422の各々は発熱し、羽根筐体21の内部の空気を加熱する。発熱素子421および422の各々は、たとえばニクロム線よりなっている。発熱素子421は、固定位置423で絶縁部411を前後方向から挟み込むことにより、絶縁部411に固定されている。発熱素子422は、固定位置424で絶縁部412を前後方向から挟み込むことにより、絶縁部412に固定されている。
【0044】
回転軸31の延在方向DNから見た場合に、固定位置423および424の各々は、発熱素子421および422の各々における径方向の中央部分よりも内径側に設けられている。言い換えれば、絶縁部411および412の各々よりも内径側に存在する発熱素子421および422の各々の部分よりも、絶縁部411および412の各々よりも外径側に存在する発熱素子421および422の各々の部分の方が長くなっている。これにより、絶縁部411および412の各々の外径側の空間に発熱素子421および422の各々が突出するので、吸気口214から送風口216へ向かう空気の大部分が発熱素子421および422を通過するようになる。その結果、羽根筐体21の内部において空気を効率的に加熱することができる。
【0045】
なお、
図3に示されているように、加熱部4の外径側端部(回転軸31の延在方向DNと直交する方向の端部)は、内側ケース211および外側ケース212によって覆われている。加熱部4の外径側端部を覆う内側ケース211および外側ケース212の部分には、孔が形成されていない。これにより、回転軸31の延在方向DNと直交する方向から加熱部4への羽根筐体21の外部の空気の流入(矢印AR4で示すような空気の流入)は、内側ケース211および外側ケース212によって遮断される。
【0046】
支持部5は、後部51と、腕部52と、前部53とを含んでいる。後部51は、板状であり、図示しないネジなどを用いて整流部6に固定されている。このように、支持部5は、整流部6を通じて羽根筐体21に固定されている。後部51は、加熱部4よりも後側に位置している。回転軸31の延在方向DNから見た場合に、後部51は、たとえば六角形状を有している。
【0047】
腕部52は、ここでは6個である。6個の腕部52の各々は、後部51から前方に突出している。6個の腕部52の各々は、回転軸31の延在方向DNに対して平行に突出している。6個の腕部52の各々は、絶縁部411および412の各々の内径側から絶縁部411および412の各々を支持している。
【0048】
前部53は、正面から見た場合に環状を有しており、6つの腕部52の各々の前端に接続されている。
【0049】
図8および
図9は、整流部6の構成を模式的に示す図である。
図8は正面図であり、
図9は正面側の斜視図である。
【0050】
図3、
図4、
図8、および
図9を参照して、整流部6は、内径部61と、複数のガード部62(複数のガード部の一例)と、外径部63とを含んでいる。内径部61は、正面から見た場合に回転軸31と重なる位置に設けられている。内径部61には支持部5の後部51が固定される。
【0051】
複数のガード部62の各々は、内径部61から放射状に延在しており、内径部61と外径部63とを接続している。複数のガード部62の各々は、回転軸31の延在方向DNから見た場合に円弧の形状を有しており、内径部61から離れるに従って隣接するガード部62同士の間隔が広がっている。複数のガード部62の各々は、複数の羽根32から送られた空気を衝突させる役割を果たし、空気を通過させるための複数の孔64を形成する。
【0052】
外径部63は、環状を有しており、内径部61の外周を取り囲んでいる。外径部63は、整流部6の外径側端部を構成しており、羽根筐体21に固定されている。
【0053】
複数の羽根32から送られる空気は、回転しているため、遠心力により外径方向(正面から見た場合の回転軸31の位置から離れる方向)に拡散しやすい。回転軸31の延在方向DNから見た場合に円弧の形状を有する複数のガード部62を含む整流部6を設けることで、複数の羽根32から送られる空気がガード部62の各々に衝突し、正面から見た場合の回転軸31の位置の付近に渦を巻く形で滞留する。複数の羽根32から送られる空気の外径方向への拡散が抑制される。その結果、複数の羽根32から加熱部4に送る空気が中心付近(正面から見た場合の回転軸31付近)に集中し、加熱部4を通過しやすくなり、外部から吸い込んだ空気を効率よく加熱することができる。
【0054】
[実施の形態の効果]
【0055】
図10は、本発明の一実施の形態における、吸気口215から送風口216へ向かう空気と発熱素子421および422との関係を示す図である。
【0056】
図10を参照して、本実施の形態においては、矢印AR3で示すように、羽根筐体21の外部の空気は、複数の羽根32の回転により、吸気口215および214を通じて羽根筐体21の内部に吸い込まれ、複数の羽根32、整流部6、および加熱部4をこの順序で通過し、送風口216から羽根筐体21の外部へ送られる。複数の羽根32から送られた空気は、整流部6を通過する際に整流され、加熱部4を通過する際に加熱される。加熱された空気は直ちに送風口216から羽根筐体21の外部に送られる。これにより、加熱部4を通過後の高温の空気の熱が複数の羽根32により奪われる事態を回避することができ、外部から吸い込んだ空気を効率よく加熱することができる。
【0057】
加えて、本実施の形態においては、回転軸31の延在方向に並べられた2つの発熱素子421および422の各々が、回転軸31の周囲を取り囲む絶縁部411および412の各々に巻き回されている。これにより、吸気口215から送風口216へ向かう空気(矢印AR3で示す方向に流通する空気)の多くが4本の発熱素子422a、422b、421a、および421bをこの順序で通過する。その結果、外部から吸い込んだ空気を効率よく加熱することができる。
【0058】
[その他]
【0059】
加熱部は、筐体に固定され、回転軸の周囲を取り囲む1つのみの絶縁部と、絶縁部に巻き回された1つのみの発熱素子とを含むものであってもよい。整流部は省略されてもよい。
【0060】
上述の実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 サーキュレータ(サーキュレータの一例)
2 筐体
3 送風部
4 加熱部(加熱部の一例)
5 支持部(支持部の一例)
6 整流部(整流部の一例)
7 制御部
21 筐体の羽根筐体(筐体の一例)
22 筐体の首部
23 筐体のスタンド
31 送風部の回転軸(回転軸の一例)
32 送風部の羽根(複数の羽根の一例)
33 送風部のモータ
34 送風部の雌ねじ
35 送風部のスリーブ
51 支持部の後部
52 支持部の腕部
53 支持部の前部
61 整流部の内径部
62 整流部のガード部(複数のガード部の一例)
63 整流部の外径部
64 整流部の孔
211 羽根筐体の内側ケース
212 羽根筐体の外側ケース
213 羽根筐体の接続部
214,215 羽根筐体の吸気口(吸気口の一例)
216 送風口(送風口の一例)
231 スタンドの操作部
411,412 加熱部の絶縁部(第1および第2の絶縁部の一例)
421,422,421a,421b,422a,422b 加熱部の発熱素子(第1および第2の発熱素子の一例)
423,424 発熱素子の固定位置
SP1,SP2 空間
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーキュレータであって、
前後方向に延在する回転軸と、
吸気口と、前記回転軸の延在方向の前側の面に設けられた送風口とを含む筐体と、
前記回転軸に固定された複数の羽根であって、前記筐体の外部の空気を前記吸気口から前記筐体の内部に吸い込み、吸い込んだ空気を前記送風口から前記筐体の外部へ送る複数の羽根と、
前記吸気口から前記筐体の内部に吸い込んだ空気を加熱する加熱部とを備え、
前記加熱部は、
前記筐体に固定され、前記回転軸の延在方向から見た場合に前記回転軸の周囲を取り囲む第1および第2の絶縁部の各々と、
前記第1および第2の絶縁部の各々に巻き回された第1および第2の発熱素子の各々とを含み、
前記第1の発熱素子は、前記第1の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、前記第1の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、
前記第2の発熱素子は、前記第2の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、前記第2の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、
スタンドと、
前記スタンドから上方に延び、前記スタンドと前記筐体とを接続する1つのみの首部とをさらに備え、
前記筐体および前記首部は、前記スタンドに対して所定の軸周りに揺動し、
前記筐体は、ケースを含み、
前記ケースは、前記回転軸の延在方向を含む断面で見た場合に、前記加熱部の外径側端部と対向する位置から後方に向かって直線状に延在する側面と、背面とを有し、
前記吸気口は、前記ケースの前記背面から前方に延在しており、前記直線状に延在する側面の一部にまで達する、サーキュレータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一の局面に従うサーキュレータは、前後方向に延在する回転軸と、吸気口と、回転軸の延在方向の前側の面に設けられた送風口とを含む筐体と、回転軸に固定された複数の羽根であって、筐体の外部の空気を吸気口から筐体の内部に吸い込み、吸い込んだ空気を送風口から筐体の外部へ送る複数の羽根と、吸気口から筐体の内部に吸い込んだ空気を加熱する加熱部とを備え、加熱部は、筐体に固定され、回転軸の延在方向から見た場合に回転軸の周囲を取り囲む第1および第2の絶縁部の各々と、第1および第2の絶縁部の各々に巻き回された第1および第2の発熱素子の各々とを含み、第1の発熱素子は、第1の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、第1の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、第2の発熱素子は、第2の絶縁部よりも内径側に存在する部分と、第2の絶縁部よりも外径側に存在する部分とを含み、スタンドと、スタンドから上方に延び、スタンドと筐体とを接続する1つのみの首部とをさらに備え、筐体および首部は、スタンドに対して所定の軸周りに揺動し、筐体は、ケースを含み、ケースは、回転軸の延在方向を含む断面で見た場合に、加熱部の外径側端部と対向する位置から後方に向かって直線状に延在する側面と、背面とを有し、吸気口は、ケースの背面から前方に延在しており、直線状に延在する側面の一部にまで達する。