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特開2023-105272固定されたヒーターを備えるエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105272
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】固定されたヒーターを備えるエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20230721BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20230721BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20230721BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096355
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2021068334の分割
【原出願日】2016-02-01
(31)【優先権主張番号】15154037.4
(32)【優先日】2015-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ホロウベク ジリ
(72)【発明者】
【氏名】シュメルツァー セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴルク ヨゼフ
(57)【要約】
【課題】電気加熱式エアロゾル発生装置を提供する。
【解決手段】電気加熱式エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱する加熱組立体を備えて、吸入可能なエアロゾルを発生する。加熱組立体は、ヒーターおよびヒーターマウントを含む。ヒーターは、エアロゾル形成基体に挿入するため、実質的にブレード形状である。ヒーターマウントは、ヒーターに構造的な支持を提供し、ヒーターがエアロゾル発生装置内に配置されるようにする。ヒーターマウントは、ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成され、貫通孔を貫通してヒーターをヒーターマウントへ結合する。こうした貫通孔を使用することで、ヒーターのヒーターマウントに対するアンカリングが向上する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体を加熱する加熱組立体を備える電気加熱式エアロゾル発生装置であって、前記加熱組立体がヒーターおよびヒーターマウントを備え、
前記ヒーターが、エアロゾル形成基体に挿入するために実質的にブレード形状であり、10mm~60mmの長さ、2mm~10mmの幅、および0.2mm~1mmの厚さを有し、前記ヒーターが、電気絶縁ヒーター基板および前記ヒーター基板によって支持される電気抵抗性発熱体を備え、貫通孔が、前記ヒーターの厚さを貫通して画定され、
前記ヒーターマウントが、前記ヒーターに構造的な支持を与え、前記ヒーターが前記エアロゾル発生装置内に配置されるようにし、前記ヒーターマウントが、前記ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成され、前記貫通孔を貫通して前記ヒーターを前記ヒーターマウントに結合する、電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記孔の最大直径が1mm~3mmであり、例えば、約2mmまたは約2.5mmである、請求項1に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項3】
2つ以上の貫通孔が、前記ヒーターの厚さを貫通して画定され、前記ヒーターマウントの前記成形可能材料が、前記2つ以上の貫通孔それぞれを貫通する、請求項1または2に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記ヒーターがさらに、1つ以上の外側に延伸する突起を含んで、前記ヒーターマウントの前記ヒーターへの結合を強化する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記ヒーターがさらに、1つ以上の内側に延在するノッチを含んで、前記ヒーターマウントの前記ヒーターへの結合を強化する、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記ヒーターマウントの前記成形可能材料が、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の高分子材料である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記ヒーター基板が、例えば、ジルコニウムまたはアルミナのセラミック材料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項8】
10mm~60mmの長さ、2mm~10mmの幅、および0.2mm~1mmの厚さを有するヒーター基板を提供するステップであって、前記ヒーター基板が、電気絶縁材料から形成され、その厚さを貫通して画定される貫通孔を有するステップと、
前記ヒーター基板上に1つ以上の電気抵抗性発熱体を配置して、ヒーターを形成するステップと、
ヒーターマウントを前記ヒーターに結合して、ヒーター組立体を形成するステップであって、前記ヒーターマウントが、成形可能材料が前記貫通孔を貫通するように前記ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成されるステップと、
前記ヒーター組立体をハウジング内に配置するステップとを含む、エアロゾル発生装置を製造する方法。
【請求項9】
10mm~60mmの長さ、2mm~10mmの幅、および0.2mm~1mmの厚さを有するヒーター基板を提供するステップであって、前記ヒーター基板が、電気絶縁材料から形成されるステップと、
ヒーターを形成するために、前記ヒーター基板上に1つ以上の電気抵抗性発熱体を配置するステップと、
前記ヒーターの厚さを貫通して貫通孔を形成するステップと、
ヒーターマウントを前記ヒーターに結合して、ヒーター組立体を形成するステップであって、前記ヒーターマウントが、成形可能材料が前記貫通孔を貫通するように前記ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成されるステップと、
前記ヒーター組立体をハウジング内に配置するステップとを含む、エアロゾル発生装置を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、吸入可能なエアロゾルを発生させるためのエアロゾル形成基体を加熱する加熱組立体を備える電気加熱式エアロゾル発生装置に関連する。加熱組立体は、ヒーターおよびヒーターマウントを備え、ヒーターは、ヒーターマウント内に強化されたアンカリング(anchoring)を有するよう構成される。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが吸入するためにエアロゾルを送達できる手持ち式のエアロゾル発生装置の需要が増えている。具体的な1つの分野は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体が加熱されて揮発性の風味化合物を放出する加熱式の喫煙装置用である。放出された揮発性化合物は、エアロゾル内でユーザーに運ばれる。
【0003】
エアロゾル形成基体を加熱することによって動作する任意のエアロゾル発生装置には、加熱組立体が含まれていなければならない。多くの異なる種類の加熱組立体が、異なる種類のエアロゾル形成基体用に提案されてきた。
【0004】
加熱式の喫煙装置用に提案されてきた加熱組立体の1つの種類は、ヒーターをたばこプラグなどの固体エアロゾル形成基体に入れることにより動作する。この構成により、基体を直接かつ効率よく加熱することが可能になる。しかし、この種類の加熱組立体には多くの技術的課題があり、例として、小型化、頑強性、低製造コスト、十分な動作温度、そして発生した熱の効率的な局在化に対する要求への対応が挙げられる。
【0005】
WO2014/102092には、エアロゾル発生装置用加熱組立体が開示されている。加熱組立体は、セラミック基板および電気抵抗性の軌道を有するヒーターおよび該ヒーターの保持部に形成されているヒーターマウントを含む。ヒーターは、固体エアロゾル形成基体に出し入れするよう設計されている。
【0006】
使用中、喫煙物品のたばこプラグ(エアロゾル形成基体)が、WO2014/102092に開示された装置のヒーターに「粘着」または「接着」することがよく観察されている。装置から物品を取り除くために喫煙物品を引っ張ると、それによって、力がヒーターに働く。繰り返し使用することは、ヒーターとたばこプラグとの間の接着により、ヒーターを繰り返し引っ張ることを意味する。これにより、ヒーターマウントとヒーターとの間の接合部が弱まり、それにより、ヒーターが緩む。ヒーターは、ヒーターマウント内で緩まないことが重要である。
【0007】
オーバーモールド型ヒーターマウントにより実現する、「固定力」を向上させる試みがなされてきた。これらの試みの1つは、ヒーターマウントに組み入れられたアンカリングを向上させるためにヒーターに摩擦粉体を加えることを含んでいた。しかし、これは好ましい技術ではなく、というのも、ヒーターの羽根はクリーンルーム環境で製造され、粉体の使用は、こうした条件下、通常は歓迎されないからである。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、吸入可能なエアロゾルを発生させるためエアロゾル形成基体を加熱する加熱組立体を備える電気加熱式エアロゾル発生装置を提供する。加熱組立体は、ヒーターおよびヒーターマウントを含む。
【0009】
ヒーターは、エアロゾル形成基体に挿入するために実質的にブレード形状であり、10mm~60mmの長さ、2mm~10mmの幅、および0.2mm~1mmの厚さを有する。長さは、15mm~50mmが好ましく、例えば、18mm~30mmとしうる。長さは、約19mmまたは約20mmが好ましい。幅は3mm~7mmが好ましく、例えば、4mm~6mmとしうる。幅は、約5mmが好ましい。厚さは、0.25mm~0.5mmが好ましい。厚さは、約0.4mmが好ましい。ヒーターは、ヒーター基板によって支持された電気絶縁ヒーター基板および電気抵抗性発熱体を含む。貫通孔が、ヒーターの厚さを貫通して画定される。ヒーターマウントは、ヒーターに構造的な支持を提供し、ヒーターがエアロゾル発生装置内に配置されるようにする。ヒーターマウントは、ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成され、貫通孔を貫通してヒーターをヒーターマウントへ結合する。ヒーターは、先細りした、または尖った端部を有して、エアロゾル形成基体への挿入を容易にすることができる。
【0010】
ヒーターマウントは、動作中に温度が著しく上昇しないヒーターの一部に形成されることが好ましい。こうした部分は、保持部と呼ぶことができ、発熱体は、動作電流の通り道の上で、かなりの程度まで熱くならないよう、この部分の抵抗率を低くすることができる。貫通孔は、保持部に配置される。
【0011】
貫通孔が無い場合、ヒーターは、ヒーターとオーバーモールド型マウントとの間に形成された接合部により、ヒーターマウントに固定される。装置を繰り返し使用すると、この接合部が弱まり、ヒーターの緩みにつながる。貫通孔の存在により、機械的な結合の形成が可能になる。成形可能材料は、貫通孔を貫通して流れ、結合する。このように形成された連結または結合は、成形可能材料とヒーターとの間の接合部が壊れても、ヒーターの動きに抵抗する。さらに、貫通孔を貫通して流れる成形可能材料によってアンカー効果が増して、ヒーターマウント内でのヒーターの過度な移動が妨げられ、ヒーターとヒーターマウントとの間の接合部の破損を防ぐ一助となる。
【0012】
孔は、最大直径が0.8mm~3mmの大きさであることが好ましく、例えば、1mm~2.5mmであり、例えば、2mmである。孔は、円状でなくてもよい。直径という用語は、穴の口元を横切る最大直径を示すために使用される。例えば、孔は、角穴であってもよく、最大直径は、四角の一角から対角線に沿って対抗する角に延伸する寸法とすることができる。
【0013】
ヒーターの厚さを貫通して画定される2つ以上の貫通孔があってもよい。この場合、ヒーターマウントの成形可能材料は、2つ以上の貫通孔それぞれを貫通して延びる。例えば、ヒーターの保持部は、2つの貫通孔、3つの貫通孔、または4つの貫通孔を有することができる。孔は、最適なアンカリング効果を提供するため特定のパターンで配置することができる。
【0014】
ヒーターはさらに、1つ以上の外側に延伸する突起を含んで、ヒーターマウントのヒーターへの結合を強化することができる。ヒーターは、実質的にブレード形状であり、したがって、2つの実質的に平行した隆起および2つの実質的に平行した面を有する。突起は、面または縁から外側へ延伸または突出し、さらにヒーターに機械的なアンカリングを提供することができる。
【0015】
代替で、あるいは追加で、ヒーターはさらに、1つ以上の内側に延在するノッチまたは溝を含んで、ヒーターマウントのヒーターへの結合を強化することができる。
【0016】
有利なことに、ヒーターマウントの成形可能材料は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の高分子材料とすることができる。ヒーター基板は、例えば、ジルコニウムまたはアルミナのセラミック材料から形成することができる。
【0017】
貫通孔は、電気抵抗性発熱体がヒーター基板上に形成される前であっても後であってもヒーター内に形成することができる。装置は、加熱組立体をハウジングに対して、またはその中に、固定または結合することにより形成することができる。
【0018】
エアロゾル発生装置を製造する1つの方法は、長さ10mm~60mm、幅2mm~10mm、厚さ0.2mm~1mmのヒーター基板を提供し、そのヒーター基板が、電気絶縁材料で形成され、その厚さを貫通して画定される貫通孔を有する、1つ以上の電気抵抗性発熱体をヒーター基板上に配置してヒーターを形成する、ヒーターマウントをヒーターに結合してヒーター組立体を形成し、ヒーターマウントが、成形可能材料が貫通孔を貫通するようにヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成され、ヒーター組立体をハウジング内に配置するという工程を含むことができる。
【0019】
ヒーター基板が、セラミックである場合、貫通孔は、セラミックを焼成する前に形成することができる。貫通孔は、焼成後、例えば、レーザー加工またはドリルによる、機械加工によって形成することができる。ハウジングは、電源を含むことができ、その方法は、電気抵抗性発熱体を電源に接続する工程を含むことができる。
【0020】
エアロゾル発生装置を製造する1つの方法は、長さ10mm~60mm、幅2mm~10mm、厚さ0.2mm~1mmのヒーター基板を提供し、そのヒーター基板が、電気絶縁材料で形成される、1つ以上の電気抵抗性発熱体をヒーター基板上に配置してヒーターを形成し、ヒーターの厚さを貫通して貫通孔を形成する、ヒーターマウントをヒーターに結合してヒーター組立体を形成し、そのヒーターマウントが、成形可能材料が貫通孔を貫通するようにヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成され、ヒーター組立体をハウジング内に配置するという工程を含む。
【0021】
貫通孔は、例えば、レーザー加工またはドリルによる、機械加工によって形成することができる。ハウジングは、電源を含むことができ、その方法は、電気抵抗性発熱体を電源に接続する工程を含むことができる。
【0022】
本明細書に使用される時、「電気加熱式エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの肺にユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品と相互作用して、空気をエアロゾル形成基体を通して流れるようにすることが好ましい。
【0023】
「エアロゾル形成基体」という用語は本明細書で使用される時、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体に関連する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体の加熱により放出されうる。エアロゾル形成基体は、好都合なことにエアロゾル発生物品または喫煙物品の一部でありうる。
【0024】
「エアロゾル発生物品」および「喫煙物品」という用語は本明細書で使用される時、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つエアロゾル形成基体を含む物品を意味する。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを生成する喫煙物品としうる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとしうる。たばこを含むエアロゾル形成基体を備えた喫煙物品は、たばこスティックと呼ばれる。
【0025】
ヒーターマウントは、ヒーターに対して構造的な支持を提供し、またヒーターマウントがエアロゾル発生装置内にしっかりと固定されるようにする。成形可能なポリマーなどの成形可能材料の使用により、ヒーターマウントがヒーターの周りに成形されるようになり、またそれによってヒーターをしっかりと保持する。また、ヒーターマウントが望ましい外部形状および寸法で安価な様式で製造されるようになる。
【0026】
ヒーターを保持するためにポリマーを使用することは、ヒーターマウント近くのヒーターの温度が、ポリマーが溶融する、または劣化する温度未満に制御される必要があることを意味する。同時に、エアロゾル形成基体に挿入されたヒーターの一部の温度は、使用中、所望の特性を有するエアロゾルを生成するのに十分でなくてはならない。したがって、発熱体の保持部、少なくともヒーターマウントと接触しているヒーターの部分においては、使用中、最大許容温度未満にあることを確実にすることが望まれる。
【0027】
電気抵抗性ヒーターでは、ヒーターにより生成された熱は、発熱体の抵抗に依存する。所与の電流に対して、発熱体の抵抗が高ければ高いほど、より多くの熱が生成される。生成された熱のほとんどは、ヒーターの挿入部または発熱部によって支持される発熱体の一部である、エアロゾル形成基体に挿入された発熱体の一部により生成されることが望ましい。したがって、ヒーターの挿入部は、ヒーターの保持部により支持される発熱体の一部より単位長さ当たりの電気抵抗がより大きい発熱体の一部を支持することが望ましい場合がある。
【0028】
有利なことに、発熱体は、異なる材料から形成することができる。発熱体の第1の部分または発熱部(すなわち、ヒーターの挿入部または発熱部により支持される部分)は、第1の材料で形成することができ、発熱体の保持部(すなわち、ヒーターの保持部により支持される部分)は、第2の材料で形成することができ、第1の材料は、第2の材料より電気抵抗係数が大きい。例えば、第1の材料は、Ni-Cr(ニッケル-クロム)、プラチナ、タングステンまたは合金製のワイヤーとすることができ、第2の材料は、金、銀、または銅とすることができる。発熱体の第1および第2の部分の寸法はまた、第2の部の単位長さ当たりの電気抵抗をより低くするため異なっていてもよい。
【0029】
ヒーター基板は、電気絶縁材料から形成され、ジルコニウムまたはアルミナなどのセラミック材料とすることができる。ヒーター基板は、広い範囲の温度にわたって発熱体に機械的に安定した支持を提供することができ、エアロゾル形成基体に挿入するために好適な剛構造を提供することができる。ヒーター基板は、発熱体を配置する平面を備え、エアロゾル形成基体に挿入することを可能にするよう構成された先細りした端部を備えることができる。ヒーター基板は、有利なことに、2ワット毎メートル毎ケルビン以下の熱伝導性を有する。
【0030】
ヒーター要素材料およびヒーター基板材料という異なる構成を有するヒーターが、WO2014/102092に提示されている。
【0031】
エアロゾル発生装置は、ヒーターの挿入部を囲むくぼみを画定するハウジングを含むことが好ましい。このくぼみは、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル形成物品を受けるよう構成される。ヒーターマウントは、このくぼみの一方の端部を閉じる面を形成することができる。
【0032】
装置は、片手の指の間に保持するのが快適な携帯型または手持ち式の装置であることが好ましい。装置は、実質的に円筒形の形状で、70~120mmの長さを持ちうる。装置の最大直径は、10~20mmが好ましい。1つの実施形態で、装置は多角形の断面を持ち、一方の面に形成された突き出したボタンを持つ。この実施形態において、装置の直径は、一方の平坦な面から反対側の平坦な面までで12.7~13.65mmであり、一方の端から反対側の端まで(すなわち、装置の一方の側の2つの面の交差するところから他方の側の対応する交差するところまで)で13.4~14.2mmであり、ボタンの上部から反対側のボタンの平坦な面までで14.2~15mmである。
【0033】
装置は、第一の態様によるヒーター組立体に加えてその他のヒーターを含みうる。例えば、装置は、くぼみの周辺付近に位置する外部ヒーターを含みうる。外部ヒーターは、任意の適切な形態をとりうる。例えば、外部ヒーターは、ポリイミドなどの誘電性基体上の1つ以上の柔軟性のある加熱ホイルの形態をとりうる。柔軟性のある加熱ホイルは、くぼみの周辺に適合するような形状としうる。別の方法として、外部ヒーターは、金属グリッド(単一または複数)、柔軟性のあるプリント基板、成形相互接続装置(MID)、セラミックヒーター、柔軟性のある炭素繊維ヒーターの形態をとりうるほか、適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などのコーティング技術を利用して形成しうる。外部ヒーターはまた、温度と比抵抗との間に明確な関係を持つ金属を使用して形成される。こうした模範的装置で、金属は2層の適切な断熱材料の間のトラックとして形成しうる。このように形成された外部ヒーターは、動作時の外部ヒーターの加熱およびその温度の監視の両方に使用しうる。
【0034】
装置の電力供給源は、任意の適切な電力供給源、例えば電池などの直流電圧供給源でもよい。1つの実施形態において、電力供給源はリチウムイオン電池である。あるいは、電力供給源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リチウム鉄リン酸、リチウムチタン酸またはリチウムポリマー電池でもよい。
【0035】
装置は、制御要素を含むことが好ましい。制御要素は、単純なスイッチでもよい。あるいは、制御要素は電気回路でもよく、1つ以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含んでもよい。
【0036】
本開示は、上述のように、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置のくぼみに受けられるように構成された1つ以上のエアロゾル形成物品を含むエアロゾル発生システムを提供する。
【0037】
エアロゾル形成物品は、喫煙物品としうる。動作中、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に収容されうる。
【0038】
喫煙物品は、実質的に円筒形の形状としうる。喫煙物品は、実質的に細長くてもよい。喫煙物品はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を持ちうる。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を持ちうる。
【0039】
喫煙物品の全長は、およそ30mm~およそ100mmとしうる。喫煙物品の外径は、およそ5mm~およそ12mmとしうる。喫煙物品は、フィルタープラグを含みうる。フィルタープラグは、喫煙物品の下流端に位置しうる。フィルタープラグは、酢酸セルロースフィルタープラグとしうる。フィルタープラグは、1つの実施形態で長さおよそ7mmとしうるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを持ちうる。
【0040】
1つの実施形態で、喫煙物品の全長は、およそ45mmである。喫煙物品の外径は、およそ7.2mmとしうる。さらに、エアロゾル形成基体の長さは、およそ10mmとしうる。別の方法として、エアロゾル形成基体の長さは、およそ12mmとしうる。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmとしうる。喫煙物品は、外側の紙ラッパーを含みうる。さらに、喫煙物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間の分離部を含みうる。分離部は、およそ18mmとしうるが、およそ5mm~およそ25mmの範囲としうる。
【0041】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体でもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の構成要素を含みうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体はさらに、高密度で安定したエアロゾルの形成を促進するエアロゾル形成体を備えうる。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0042】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち1つ以上を含みうる。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供してもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルを含みうるが、こうしたカプセルは、固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶ける。
【0043】
本明細書で使用される時、「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態としうる。均質化したたばこ材料は、乾燥質量で5%より多いエアロゾル形成体含有量を持ちうる。別の方法では、均質化したたばこ材料は、乾燥質量で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を持ちうる。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉柄の一方または両方を粉砕またはその他の方法で組み合わせることによって得られた粒子状たばこを凝集することにより形成されうる。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうち1つ以上を含みうる。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、1つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、1つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶剤およびその組み合わせを含むが限定されないその他の添加物を含みうる。
【0044】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体としうる。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成しうる。
【0045】
特に好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化されたたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書に使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行した隆起またはしわを有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、実質的に平行した隆起または波型形状は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、または平行に延びることが好ましい。これは、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を都合良く容易にしてエアロゾル形成基体を形成する。しかし、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートが、別の方法としてまたは追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に鋭角または鈍角で配置される複数の実質的に平行した隆起または波型形状を有してもよいことが認識される。一定の実施形態において、エアロゾル形成基体は、実質的にその全表面上で実質的に均一にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均一に間隔を置いている複数の実質的に平行した隆起またはしわを含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0046】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲルまたはスラリーの形態の担体の表面上に配置されうる。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用中、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。
【0047】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置および装置と併用する1つ以上のエアロゾル発生物品の組み合わせである。ところが、エアロゾル発生システムは、例えば、電気的に動作するまたは電気式エアロゾル発生装置内の搭載型電力供給源を再充電するための充電ユニットなど追加的な構成要素を含みうる。
【0048】
開示について異なる態様を参照することによって説明してきたが、開示の1つの態様に関連して説明した特徴が、開示のその他の態様に適用されうることは明らかである。
【0049】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】エアロゾル発生装置の概略図である。
図2図1に示すタイプのエアロゾル発生装置の前方端の概略的断面図であり、ヒーターが喫煙物品に挿入されている。
図3】本発明による加熱組立体の概略図である。
図4図3の加熱組立体の一部の断面図である。
図5】本発明による代替的な加熱組立体の概略図である。
図6】本発明による代替的な加熱組立体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1で、電気加熱式のエアロゾル発生システム100の実施形態の構成要素を簡略化された方法で示す。特に、電気加熱式エアロゾル発生システム100の要素は、図1では等尺度では表示されていない。本実施形態の理解に関連性のない要素は、簡略された図1では省略されている。
【0052】
電気加熱式エアロゾル発生システム100は、ハウジング10およびエアロゾル形成物品12(例えば、たばこスティック)を持つ、エアロゾル発生装置を備える。エアロゾル形成物品12は、ハウジング10内で押されてヒーター14の一部と熱的に近接した状態になるエアロゾル形成基体を含む。エアロゾル形成基体は、多様な揮発性化合物を異なる温度で放出する。
【0053】
ハウジング10内には、電気エネルギー供給源16、例えば再充電可能リチウムイオン電池がある。コントローラ18は、ヒーター14、電気エネルギー供給源16、およびユーザーインターフェース20(例えばボタンまたはディスプレイ)に接続されている。コントローラ18は、その温度を調節するためにヒーター14に供給される電力を制御する。一般に、エアロゾル形成基体は、250~450℃の温度に加熱される。
【0054】
図2は、図1に示すタイプのエアロゾル発生装置の前方端の概略的断面図であり、ヒーター14がエアロゾル形成物品12内に挿入されており、それは、この実施形態では喫煙物品である。エアロゾル発生装置は、ユーザーによるエアロゾル発生物品12の消費のためにエアロゾル発生物品12と係合して図示されている。
【0055】
エアロゾル発生装置のハウジング10は、消費のためにエアロゾル発生物品12を受けるための近位端(または口側の端)で開かれたくぼみを画定する。くぼみの遠位端には、ヒーター14およびヒーターマウント26を備えた加熱組立体24が架けられている。ヒーター14は、ヒーターの有効な加熱領域(加熱部)がくぼみ内に位置するように、ヒーターマウント26によって保持される。ヒーター14の有効な加熱領域は、エアロゾル発生物品12が完全にくぼみ内に受けられている時にエアロゾル発生物品12の遠位端内に位置する。ヒーターマウントは、ポリエーテルエーテルケトンから形成され、ヒーターの保持部の周囲に成形される。加熱部を含むヒーターの第1の端部は、ヒーターマウントの一方の側から延在する。接続部を含むヒーターの第2の端部は、ヒーターマウントの他方の側から延在する。
【0056】
ヒーター14は、先端で終わっているブレードの形態に成形される。すなわち、ヒーターの長さ寸法はその幅寸法よりも大きく、これはその厚さ寸法よりも大きい。ヒーターの第一および第二の面は、ヒーターの幅および長さによって画定される。
【0057】
図2に示す模範的エアロゾル形成物品は、以下の通り説明できる。エアロゾル発生物品12は、エアロゾル形成基体30、支持要素(中空管40など)、移動セクション50、およびマウスピースフィルター60の4つの要素を含む。これら4つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙70によって組み立てられ、ロッドを形成する。組み立てられた時、エアロゾル形成物品は長さ45ミリメートルおよび直径7ミリメートルである。
【0058】
エアロゾル形成基体は、フィルター紙(図示せず)で包まれてプラグを形成する捲縮したキャストリーフたばこの束を含む。キャストリーフたばこは、グリセリンなどの1つ以上のエアロゾル形成体を含む。
【0059】
中空管40は、エアロゾル形成基体30にすぐ隣接して位置し、酢酸セルロースの管で形成される。管40は、直径が3ミリメートルの開口部を画定する。中空管40の1つの機能は、エアロゾル形成基体30をヒーターと接触できるようにロッド21の遠位端23に向けて位置付けることである。中空管40は、ヒーターがエアロゾル形成基体30に挿入された時にエアロゾル発生基体30がロッドに沿ってマウスピース方向に強制されないようにする役目をする。
【0060】
移動セクション50は、長さ18ミリメートルの薄壁のチューブを含む。移動セクション50は、揮発性物質がエアロゾル形成基体30から放出されて物品に沿ってマウスピースフィルター60に向かって通過できるようにする。移動セクション内で揮発性物質を冷却してエアロゾルを形成することもできる。
【0061】
マウスピースフィルター60は、酢酸セルロースから形成され、およそ7.5ミリメートルの長さを持つ、従来的なマウスピースフィルターである。
【0062】
上記で特定した4つの要素が、紙巻たばこ用紙70内にきつく包まれることにより組み立てられる。この特定の実施形態での紙は、標準的な属性または分類を持つ標準的な紙巻たばこ用紙である。この特定の実施形態での紙は従来的な紙巻たばこ用紙である。紙とそれぞれの要素との間の接合部は、要素を位置付け、かつエアロゾル形成物品12を画定する。
【0063】
エアロゾル発生物品12がくぼみ内に押し込まれると、ヒーターの先細りした先端がエアロゾル形成基体30と係合する。エアロゾル形成物品に力を加えることで、ヒーターはエアロゾル形成基体30内に入り込む。エアロゾル形成物品12がエアロゾル発生装置と適切に係合すると、ヒーター14はエアロゾル形成基体30に挿入される。ヒーターが作動する時、エアロゾル形成基体30は温められ、揮発性物質が発生または放出される。ユーザーがマウスピースフィルター60を吸うと、空気がエアロゾル形成物品に引き込まれ、揮発性物質が凝縮して吸入可能なエアロゾルを形成する。このエアロゾルは、エアロゾル形成物品のマウスピースフィルター60を通過し、ユーザーの口に入る。
【0064】
図3は、より詳細に図2に示す装置に取付けられるタイプの加熱組立体1000を図示する。加熱組立体は、ヒーター1010およびヒーターマウント1020を含む。ヒーターマウントは、ヒーターの保持部でヒーターの周囲に成形される。ヒーターマウントは、ヒーター全体が見えるように点線で示される。ヒーター1010は、ヒーター1010の形状を画定する電気絶縁ヒーター基板1080を含む。ヒーター基板1080は、電気絶縁材料から形成され、例えば、アルミナ(Al2O3)またはジルコニウム(ZrO2])であってもよい。電気絶縁材料は、任意の好適な電気絶縁材料であってもよく、多くのセラミック材料が電気絶縁材料として使用するのに適切であることは同業者には明らかになろう。ヒーター基板1080は、実質的にブレード形状である。すなわち、ヒーター基板は、使用中、ヒーターと係合するエアロゾル形成物品の長手方向に沿って延在する長さ、幅および厚さを有する。幅は、厚さより大きい。特定の実施形態では、ヒーター基板は、19.2mmの長さ、4.9mmの幅、および0.38mmの厚さを有する。ヒーター基板1080は、エアロゾル形成基体30に侵入するため先端またはスパイク1090で終わる。
【0065】
導電性材料から形成される発熱体1082は、蒸発作用または任意の他の適切な技術を用いて、ヒーター基板1080の平坦面に配置される。発熱体は、3つの異なる性質の部分を有して形成される。第1の部分1084は、プラチナから形成される。第1の部分は、ヒーターの加熱部1091に配置される。これは、使用中、最大温度に到達し、エアロゾル形成基体に熱を提供するヒーターの領域である。発熱体の第1の部分1084は、実質的にU字型またはヘアピン形状である。第2の部分1086は、金から形成される。第2の部分は、それぞれが第1の部分1084の端部に連結する2つの平行したトラックを含む。第2の部分1086は、ヒーターの保持部1093にわたり、ヒーターマウント1020と接触するヒーターの領域である。第3の部分1088は、銀から形成される。第3の部分は、接続部1095に配置され、外部ワイヤーをはんだペーストまたは他の接着技術を用いて固定することができるボンディングパッドを提供するものである。第3の部分は、それぞれが、第1の部分1084と対向する第2の部分1086の平行するトラックのうちの1つの端部に接続される、2つの平行するパッドを含む。第3の部分1088は、第1の部分に対してヒーターマウントの対向する側に配置される。
【0066】
第1、第2および第3の部分の形状、厚さおよび幅は、使用中の所望の抵抗および温度分布を提供するために選択することができる。しかし、第1の部分は、第2および第3の部分より単位長さ当たりの電気抵抗が著しく大きく、その結果、電流が発熱体1082を通過するとき、最も発熱し、最も高温になるのが第1の部分である。第2および第3の部分は、電気抵抗が非常に低くなるよう構成され、ごくわずかなジュール熱を発する。発熱体の総電気抵抗は、0℃で約0.80オームであり、有効な加熱部1091が400℃に達すると、約2オームに上昇する。リチウムイオン電池の電池電圧は、約3.7ボルトであり、それにより、(0℃で)電力供給源により与えられる典型的なピーク電流は、約4.6Aである。
【0067】
プラチナは、抵抗の正温度係数を有し、したがって、第1の部分1084の電気抵抗は、温度の上昇に伴い上昇する。金および銀は、抵抗の温度係数がより低く、第2および第3の部分は、第1の部分ほど大きな温度上昇をしない。
【0068】
貫通孔1200は、ヒーターの保持部の平行する伝導トラックの間のヒーター基板の厚さを貫通して画定される。
【0069】
ヒーターマウント1020は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成され、保持部1093でヒーターの周囲に射出成形される。図4に見られるように、PEEKは、貫通孔1200を貫通して流れ、それにより、ヒーターをヒーターマウントに固着する。
【0070】
この実施形態では、ヒーターマウント1020は、円形断面を有して、エアロゾル発生装置の円形ハウジング10と係合する。しかし、ヒーターマウントは、エアロゾル発生装置の他の構成要素と係合するため任意の所望の形状および任意の所望の係合特性を持つように成形することができる。
【0071】
図3に示すようにヒーター組立体は、電力供給源に結合される接点を有するエアロゾル発生装置のハウジング内に取付けることができる。そして、ヒーターは、ヒーターが作動すると加熱される、エアロゾル形成基体に挿入することができる。
【0072】
図5は、加熱組立体の代替の実施形態を示す。加熱組立体2000は、図3に関連して上述したように、3つの貫通孔2200を保持部のヒーターの厚さを貫通して画定するという違いを有する。上述のように、ヒーターマウント2020の材料は、貫通孔を貫通して流れて、機械的にヒーターマウントをヒーターに固着する。3つの貫通孔を使用すると、1つの貫通孔に比べてアンカリング効果を増すことができる。
【0073】
図6は、加熱組立体の代替の実施形態を示す。加熱組立体3000は、図3に関連して上述したように、外側に延伸する突起3400および内側に延在するノッチ3500を保持部のヒーターに画定するという違いを有する。ノッチおよび突起を使用すると、貫通孔のみの使用に比べてアンカリング効果を増すことができる。
【0074】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体を加熱する加熱組立体を備える電気加熱式エアロゾル発生装置であって、前記加熱組立体がヒーターおよびヒーターマウントを備え、
前記ヒーターが、エアロゾル形成基体に挿入するために実質的にブレード形状であり、10mm~60mmの長さ、2mm~10mmの幅、および0.2mm~1mmの厚さを有し、前記ヒーターが、電気絶縁ヒーター基板および前記ヒーター基板によって支持される電気抵抗性発熱体を備え、貫通孔が、前記ヒーターの厚さを貫通して画定され、
前記ヒーターマウントが、前記ヒーターに構造的な支持を与え、前記ヒーターが前記エアロゾル発生装置内に配置されるようにし、前記ヒーターマウントが、前記ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成され、前記貫通孔を貫通して前記ヒーターを前記ヒーターマウントに結合し、
前記ヒーターが、2つの実質的に平行した隆起および2つの実質的に平行した面を有し、
前記ヒーターが、外側に延伸する突起を含んで、前記ヒーターマウントの前記ヒーターへの結合を強化し、前記突起が、前記ヒーターの前記2つの実質的に平行した隆起のうちの第1の隆起から外側へ延伸し、
前記ヒーターが、内側に延伸するノッチを含んで、前記ヒーターマウントの前記ヒーターへの結合を強化し、前記ノッチが、前記ヒーターの前記2つの実質的に平行した隆起のうちの第2の隆起から内側へ延伸する、電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記ヒーターが、前記ヒーターの前記厚さを貫通して画定される2つ以上の貫通孔を含み、前記ヒーターマウントの前記成形可能材料が、前記2つ以上の貫通孔それぞれを貫通して延びる、請求項1に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記または各貫通孔が非円状である、請求項1または2に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記ヒーターマウントが、動作中に温度が著しく上昇しない前記ヒーターの保持部に形成されており、前記または各貫通孔が前記保持部に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記突起および前記ノッチが前記保持部に配置される、請求項4に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記電気抵抗性発熱体が、前記ヒーターの前記保持部内の伝導トラックを含み、前記貫通孔が、前記ヒーターの前記保持部内の前記伝導トラック間に画定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記または各貫通孔が、1mm~3mmの最大直径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記ヒーターが、前記ヒーターの前記厚さを貫通して画定される2つ以上の貫通孔を含み、前記ヒーターマウントの前記成形可能材料が、前記2つ以上の貫通孔それぞれを貫通して延び、
前記2つ以上の貫通孔が非円状であり、
前記ヒーターマウントが、動作中に温度が著しく上昇しない前記ヒーターの保持部に形成されており、前記突起、前記ノッチまたは前記2つ以上の貫通孔が前記保持部に配置され、
前記2つ以上の貫通孔がそれぞれ1mm~3mmの最大直径を有する、請求項1に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記ヒーターマウントが、動作中に温度が著しく上昇しない前記ヒーターの保持部に形成されており、
前記突起および前記ノッチが前記保持部に配置され、
前記電気抵抗性発熱体が、前記ヒーターの前記保持部内の伝導トラックを含み、前記貫通孔が、前記ヒーターの前記保持部内の前記伝導トラック間に画定され、
前記貫通孔が1mm~3mmの最大直径を有する、請求項1に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記ヒーターマウントの前記成形可能材料が、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の高分子材料である、請求項1~9のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記ヒーター基板が、例えば、ジルコニウムまたはアルミナのセラミック材料から形成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項12】
10mm~60mmの長さ、2mm~10mmの幅、および0.2mm~1mmの厚さを有するヒーター基板を提供するステップであって、前記ヒーター基板が、電気絶縁材料から形成され、その厚さを貫通して画定される貫通孔を有するステップと、
前記ヒーター基板上に1つ以上の電気抵抗性発熱体を配置して、ヒーターを形成するステップと、
ヒーターマウントを前記ヒーターに結合して、ヒーター組立体を形成するステップであって、前記ヒーターマウントが、成形可能材料が前記貫通孔を貫通するように前記ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成されるステップと、
前記ヒーター組立体をハウジング内に配置するステップとを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置を製造する方法。
【請求項13】
10mm~60mmの長さ、2mm~10mmの幅、および0.2mm~1mmの厚さを有するヒーター基板を提供するステップであって、前記ヒーター基板が、電気絶縁材料から形成されるステップと、
ヒーターを形成するために、前記ヒーター基板上に1つ以上の電気抵抗性発熱体を配置するステップと、
前記ヒーターの厚さを貫通して貫通孔を形成するステップと、
ヒーターマウントを前記ヒーターに結合して、ヒーター組立体を形成するステップであって、前記ヒーターマウントが、成形可能材料が前記貫通孔を貫通するように前記ヒーターの一部の周囲に成形される成形可能材料から形成されるステップと、
前記ヒーター組立体をハウジング内に配置するステップとを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置を製造する方法。