(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105318
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】棚装置及び什器
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20230724BHJP
A47F 3/06 20060101ALI20230724BHJP
A47B 47/02 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
A47F5/00 C
A47F3/06
A47B47/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006044
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】長澤 信宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 優樹
【テーマコード(参考)】
3B054
3B110
3B118
【Fターム(参考)】
3B054AA01
3B054BA03
3B054BA09
3B054BB03
3B054BB04
3B054BB08
3B054BC02
3B054BC07
3B054CA07
3B054CA11
3B054FA01
3B110FA02
3B110GA25
3B110JA09
3B110JA13
3B110JA14
3B118BB04
3B118BB13
3B118BB15
(57)【要約】
【課題】 組立性と操作性が良好な棚装置の提供。
【解決手段】 左右のブラケット1,1と、左右のブラケット1,1を繋ぐつなぎ材2と、左右のブラケット1,1にそれぞれ設けたレール装置3,3と、バーラッチ4とを備え、つなぎ材2は、左右のブラケット1,1間における前側に設けてあり、レール装置3は、棚板5を載置可能な可動側部材6と、可動側部材6に対して相対移動可能な固定側部材7とを有し、バーラッチ4は、左右のレール装置3,3の可動側部材6,6に架設して設けられる長尺部材であって、可動側部材6,6との係止部8,8とつなぎ材係合部9を有し、係止部8,8を左右の可動側部材6,6に係止して回動可能に取付けてあり、バーラッチ4が回動することでつなぎ材係合部9がつなぎ材2に係脱する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のブラケットと、左右のブラケットを繋ぐつなぎ材と、左右のブラケットにそれぞれ設けたレール装置と、バーラッチとを備え、つなぎ材は、左右のブラケット間における前側に設けてあり、レール装置は、棚板を載置可能な可動側部材と、可動側部材に対して相対移動可能な固定側部材とを有し、バーラッチは、左右のレール装置の可動側部材に架設して設けられる長尺部材であって、可動側部材との係止部とつなぎ材係合部を有し、係止部を左右の可動側部材に係止して回動可能に取付けてあり、バーラッチが回動することでつなぎ材係合部がつなぎ材に係脱することを特徴とする棚装置。
【請求項2】
請求項1記載の棚装置のブラケットを支柱に取付けると共に、可動側部材に棚板を載置したことを特徴とする什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板をスライド可能に支持する棚装置と、当該棚装置を備える什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、店員が商品の陳列を容易に行えるように、棚板を前後にスライドできるようにした棚装置が知られている。かかる棚装置においては、組立性や操作性の良いものが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、組立性と操作性が良好な棚装置及び什器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による棚装置は、左右のブラケットと、左右のブラケットを繋ぐつなぎ材と、左右のブラケットにそれぞれ設けたレール装置と、バーラッチとを備え、つなぎ材は、左右のブラケット間における前側に設けてあり、レール装置は、棚板を載置可能な可動側部材と、可動側部材に対して相対移動可能な固定側部材とを有し、バーラッチは、左右のレール装置の可動側部材に架設して設けられる長尺部材であって、可動側部材との係止部とつなぎ材係合部を有し、係止部を左右の可動側部材に係止して回動可能に取付けてあり、バーラッチが回動することでつなぎ材係合部がつなぎ材に係脱することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による什器は、請求項1記載の棚装置のブラケットを支柱に取付けると共に、可動側部材に棚板を載置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による棚装置は、左右のブラケットと、左右のブラケットを繋ぐつなぎ材と、左右のブラケットにそれぞれ設けたレール装置と、バーラッチとを備え、つなぎ材は、左右のブラケット間における前側に設けてあり、レール装置は、棚板を載置可能な可動側部材と、可動側部材に対して相対移動可能な固定側部材とを有し、バーラッチは、左右のレール装置の可動側部材に架設して設けられる長尺部材であって、可動側部材との係止部とつなぎ材係合部を有し、係止部を左右の可動側部材に係止して回動可能に取付けてあり、バーラッチが回動することでつなぎ材係合部がつなぎ材に係脱する構成としたので、バーラッチの組付けが容易で組立性が良好であると共に、ラッチの解除が片手でバーラッチの長手方向の任意の位置で行えるので操作性も良好である。
【0007】
請求項2記載の発明による什器は、請求項1記載の棚装置のブラケットを支柱に取付けると共に、可動側部材に棚板を載置したので、組立性と操作性が良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は本発明の什器の一実施形態を示す正面図であり、(b)は同側面図である。
【
図2】棚装置と棚板を分離した状態で示す同什器の斜視図である。
【
図4】棚装置の斜視図であって、バーラッチを取付ける前の状態を示す。
【
図5】棚装置の斜視図であって、バーラッチを取付けた後の状態を示す。
【
図6】棚装置及び棚板の縦断面図であって、棚板が後退した位置でバーラッチによりロックされた状態を示す。
【
図7】棚装置及び棚板の縦断面図であって、棚板を引き出すためにバーラッチを解除した状態を示す。
【
図8】棚装置及び棚板の縦断面図であって、棚板を引き出している途中の状態を示す。
【
図9】棚装置及び棚板の縦断面図であって、棚板を一番前まで引き出した状態を示す。
【
図10】棚装置及び棚板の縦断面図であって、棚板を押して後方にスライドさせているときの状態を示す。
【
図11】棚装置及び棚板の縦断面図であって、棚板を押して一番後ろまでスライドさせた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2は、本発明の什器の一実施形態を示しており、
図3~5は、同什器に用いられている棚装置10を示しており、
図6~11は、同棚装置10の使用状態を示している。本什器は、コンビニエンスストアやドラッグストア等に設置され、商品を陳列するために使用されるものであって、
図1に示すように、棚板5を前方に引き出すことで商品26の補充が容易に行えるようにしたものである。
【0010】
本什器は、
図1,2に示すように、床上に設置される基台12と、基台12より立設した左右の支柱11,11と、支柱11,11間に設けた背板13を備えている。支柱11は、前面に縦長のスリット状の係止孔14が上下方向に間隔をおいて多数形成されており、この係止孔14を利用して複数の棚装置10が取付けられ、各棚装置10に棚板5を支持してある。棚装置10の高さ及び段数は、適宜調整することができる。
【0011】
棚装置10は、
図3~5に示すように、左右のブラケット1,1と、左右のブラケット1,1を繋ぐつなぎ材2と、左右のブラケット1,1にそれぞれ設けたレール装置3と、バーラッチ4とを備えている。
左右のブラケット1,1は、後端部に爪片15が上下方向に間隔をおいて複数設けてあり、当該爪片15を支柱11の係止孔14に引っ掛けることで、支柱11に高さ調整可能に且つ着脱自在に取付けできる。また左右のブラケット1,1は、
図3に示すように、前側の位置につなぎ材2を取付けるための取付部16が内側に突出して設けてある。取付部16は、先端部を下方にクランク状に曲げて差込片17が形成してある。
【0012】
つなぎ材2は、
図3,6に示すように、前側及び後側の縁部を90°以上の角度で折り曲げて折り曲げ部18a,18bが斜めに傾斜して設けてある。またつなぎ材2は、左右両端部に前後方向の長孔19が形成してあり、該長孔19に左右のブラケット1,1の差込片17を差し込むことで、
図4に示すように、左右のブラケット1,1を前側で繋いでいる。このように左右のブラケット1,1をつなぎ材2で前側で繋ぐことで、支柱11,11に取付けたときにブラケット1,1の前部が左右に振れるのを規制することができる。
【0013】
レール装置3は、
図3~5に示すように、棚板5を載置可能な可動側部材6と、可動側部材6に対して前後方向に相対移動可能な固定側部材7とを有している。本実施形態では、固定側部材7はブラケット1と一体に形成されている。可動側部材6と固定側部材7(ブラケット1)とは、ローラー20(
図6参照)を介して前後方向に相対移動可能に組み合わされている。
可動側部材6は、棚板5を着脱自在に支持するものであって、上縁部に棚板5の載置部21が設けてあると共に、棚板5と係合する係合部22が設けてある。また可動側部材6は、前側の端部にバーラッチ4を取付けるための取付部23が内側に突出して設けてあり、取付部に23は横長の長孔状の取付孔24が形成されている。
【0014】
バーラッチ4は、
図3,5に示すように、左右のブラケット1,1のレール装置3,3の可動側部材6,6に架設して設けられる略板状の長尺部材であって、左右の両端部に可動側部材6,6との係止部8,8が前方に突出して設けてあり、後側につなぎ材2と係合するつなぎ材係合部9が左右両端部を除く略全長に設けてある。係止部8は、
図6に示すように、いったん下向きに曲げてから斜め上向きに曲げてクランク状に形成してあり、この係止部8を可動側部材6の取付孔24に上方から差し込むことで(
図4参照)、係止部8を支点に回動可能に取付けられている。なお通常の状態でバーラッチ4は、
図5,6に示すように、可動側部材6の取付部23に支持されて水平な姿勢になっている。つなぎ材係合部9は、
図6に示すように、いったん下向きに折り曲げてから先端部を後側に斜め上向きに折り返して形成してあり、つなぎ材係合部9がつなぎ材2の前側の折り曲げ部18aと係合することで、可動側部材6が前側にスライドするのを規制している。
【0015】
棚板5は、左右のブラケット1,1の可動側部材6,6に上方から載置して着脱自在に取付けられる。なお棚板5は、従前の什器に用いられている汎用の棚板5をそのまま使用することができる。
【0016】
次に、本棚装置10の組立て手順を説明する。まず、
図3,4に示すように、左右のブラケット1,1の前側に設けられた取付部16の差込片17をつなぎ材2の左右両端部に形成された長孔19にそれぞれ差込み、左右のブラケット1,1の前部をつなぎ材2で連結する。
次に、左右のブラケット1,1の後端部の爪片15を支柱11,11の係止孔14に引っ掛けることで、左右のブラケット1,1を支柱11,11に取付ける。
次に、
図4に示すように、バーラッチ4を前側を下に向けて上下方向の姿勢で持ち、左右両端部の係止部8,8を左右のブラケット1,1の可動側部材6,6の取付孔24に差し込み、その後、バーラッチ4を後側に倒す。すると、
図5,6に示すように、バーラッチ4の後側に形成されたつなぎ材係合部9がつなぎ材2の前側の折り曲げ部18aと係合する。
その後、
図2に示すように、左右のブラケット1,1の可動側部材6,6に棚板5を上方から載置する。
【0017】
次に、本棚装置10の使用状態について説明する。通常の使用状態では、
図6に示すように、棚板5が最も後退した位置にあって、このときにはバーラッチ4のつなぎ材係合部9がつなぎ材2の前側の折り曲げ部18aと係合することで、棚板5が自然に前側にスライドしないようにロックされている。
棚板5を引き出す際には、
図7に示すように、指先をバーラッチ4の下面に当てるように手を掛けてバーラッチ4を上向きに回動させるとつなぎ材係合部9のつなぎ材2との係合が外れる。
次に、
図8に示すように、そのままバーラッチ4に手を掛けた状態で棚板5を前方に引き出す。この棚板5の引出し操作は、バーラッチ4の長手方向の任意の位置に手を掛けて行うことができ、両手で行ってもよいし、片手で行うこともできる。
図9は、棚板5を一番前まで引き出した状態を示している。棚板5を後方にスライドさせる際には、棚板5の前縁部25を手で押せばよい。棚板5が後方にスライドし、
図10に示すように、バーラッチ4のつなぎ材係合部9がつなぎ材2の前側の折り曲げ部18aに当接すると、つなぎ材係合部9が傾斜した折り曲げ部18aに押されることでバーラッチ4が係止部8を支点に上向きに回動する。さらに棚板5が後方にスライドすると、
図11に示すように、バーラッチ4のつなぎ材係合部9がつなぎ材2の折り曲げ部18aを乗り越えてつなぎ材2と係合し、取付部23によってバーラッチ4が水平に支持される。
【0018】
以上に述べたように本棚装置10は、左右のブラケット1,1と、左右のブラケット1,1を繋ぐつなぎ材2と、左右のブラケット1,1にそれぞれ設けたレール装置3,3と、バーラッチ4とを備え、つなぎ材2は、左右のブラケット1,1間における前側に設けてあり、レール装置3は、棚板5を載置可能な可動側部材6と、可動側部材6に対して相対移動可能な固定側部材7とを有し、バーラッチ4は、左右のレール装置3,3の可動側部材6,6に架設して設けられる長尺部材であって、可動側部材6との係止部8,8とつなぎ材係合部9を有し、係止部8,8を左右の可動側部材6,6に係止して回動可能に取付けてあり、バーラッチ4が回動することでつなぎ材係合部9がつなぎ材2に係脱する構成としたので、バーラッチ4の組付けが容易で組立性が良好であると共に、ラッチの解除が片手でバーラッチ4の長手方向の任意の位置で行えるので操作性も良好である。
バーラッチ4は、係止部8を可動側部材6に設けた孔(取付孔)24に係止して着脱自在に取付けてあるので、バーラッチ4の取付けがより一層簡単に行え、組立性がさらに向上する。
さらに本棚装置10は、可動側部材6が後退したときに、バーラッチ4が回動しながらつなぎ材係合部9がつなぎ材2の前側の壁(折り曲げ部)18aを乗り越えてつなぎ材2と係合するため、棚板5を収納する際の操作性も良好である。
つなぎ材2を左右のブラケット1,1間における前側に配置したことで、ブラケット1,1の振れを規制して棚装置10のゆがみ変形を防止する効果に優れるとともに、バーラッチ4を棚板5の前縁部25のすぐ後ろに配置できることから、バーラッチ4に手を掛けることでラッチの解除と棚板5の引出しを連続して行うことができ、操作性がさらに向上する。
つなぎ材2は、左右のブラケット1,1間に通常設けられるものであり、バーラッチ4をつなぎ材2と係合するものとすることで、余計な部品をブラケット1,1間に設ける必要がなく、合理的である。
【0019】
本什器は、上述の棚装置10のブラケット1,1を支柱11,11に取付けると共に、可動側部材6,6に棚板5を載置したので、組立性と操作性が良好なものとなる。
【0020】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。ブラケット1、つなぎ材2及びバーラッチ4の形状、材質は、適宜変更することができる。取付部23はなく、可動側部材6にバーラッチ4の取付孔24を直接設けてあり、バーラッチ4は可動側部材6に支持されて水平な姿勢になっているものであってもよい。バーラッチ4のつなぎ材係合部9は、左右両端部を除く全長ではなく、その一部に設けてあってもよい。係止部8と取付孔24は、逆であってもよい。取付孔24は、横長の長孔状でなく、縦長の長孔状であってもよい。差込片17と長孔19は、逆であってもよい。ブラケット1に設けられるレール装置3は、固定側部材7をブラケット1と別体で形成し、その固定側部材7をブラケット1にビス等で取付けてもよい。またレール装置3は、市販のスライドレールを用いて可動側部材6と固定側部材7を相対移動可能に結合したものであってもよい。什器の具体的な構造は問わない。本発明の棚装置は、あらゆる形態の什器に利用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 ブラケット
2 つなぎ材
3 レール装置
4 バーラッチ
5 棚板
6 可動側部材
7 固定側部材
8 係止部
9 つなぎ材係合部
10 棚装置
11 支柱