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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105324
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】紙折り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/18 20060101AFI20230724BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
B65H45/18
B65H37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006055
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】萬 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】大岩 英紀
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108BA03
3F108BA08
3F108CB25
3F108CC04
3F108GA09
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、折り曲げ加工する用紙が所定値より厚い場合であっても、皺の発生等のない良好な品質で折り曲げ加工できると共に、各種の用紙サイズに対応できる紙折り仕様の幅をできるだけ広げるようにすることである。
【解決手段】用紙を搬送路上に保持し、用紙搬送を停止した状態で、折り板によって用紙の折り返したい部分を搬送路上に保持された用紙の対向位置へ向けて折り返すと共に、折りユニットをスライド移動させることができる構成とした。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の用紙を用紙搬送経路に沿って移動させながら折り曲げ加工する紙折り装置において、前記用紙搬送経路上をスライド移動自在な自走式の折りユニットと、前記折りユニットの用紙搬送方向の下流側に配置され、前記折り曲げ加工後の用紙を折りユニットから受取り、さらに用紙搬送方向の下流側に移送する第1の用紙搬送手段と、を備え、折り作動時には、前記用紙に応じた所定の折り位置に前記折りユニットをスライド移動させ、折り作動終了後には、折り処理後の用紙を前記折りユニットから第1の用紙搬送手段に受け渡す受渡し位置に、前記折りユニットをスライド移動させる制御手段をさらに備えた、ことを特徴とする紙折り装置。
【請求項2】
前記折りユニットは、前記用紙の前方部を載置する反転プレートと、前記用紙の後方部を載置するベースプレートと、が反転軸を枢軸として連結された反転手段を備え、前記反転手段は、反転プレートを、反転軸を枢軸として回動してベースプレートに重ね合わせることにより、反転プレート上に載置した用紙の前方部を、ベースプレート上に載置した用紙の後方部へ折り返すよう構成した、ことを特徴とする請求項1に記載の紙折り装置。
【請求項3】
前記ベースプレートは、吸気口を備え、前記反転プレートが回動する際に、前記吸気口からの吸引力によって、前記ベースプレート上に載置された前記用紙の後方部が、前記ベースプレートに吸着されるよう構成した、ことを特徴とする請求項2に記載の紙折り装置。
【請求項4】
前記折りユニットをスライド移動自在に支持するガイドレールを備え、前記ガイドレールは、ラックギヤで構成され、前記折りユニットは、前記ラックギヤと噛み合うように配置された駆動ギヤとしてのピニオンギヤを有し、前記折りユニットは、前記ピニオンギヤが回転することによって用紙搬送経路に沿って移動可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の紙折り装置。
【請求項5】
前記折りユニットは、前記反転プレートを有する上側ユニットと、前記ベースプレートを有する下側ユニットで構成され、前記上側ユニットは、前記反転軸を枢軸として回動して前記下側ユニットに重ね合わせるように連結されており、さらに、前記上側ユニットには従動ローラが設けられ、前記下側ユニットには駆動ローラが設けられ、前記上側ユニットと前記下側ユニットの重ね合わせ面における用紙搬送経路を挟んで互いに接触可能な状態で対向配置されている、ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のうち何れか一項に記載の紙折り装置。
【請求項6】
前記折りユニットは、前記反転プレートを前記ベースプレートに重ね合わされたままの状態で、前記反転プレートだけを用紙搬送経路上から退避させることのできる退避機構を有し、前記制御手段は、前記折り作動終了後、折り処理後の用紙を前記折りユニットから前記第1の用紙搬送手段に受け渡す際には、前記退避機構にて前記反転プレートを退避させた後、前記駆動ローラを回転させ、前記従動ローラを従動回転させて前記折り処理後の用紙を第1の用紙搬送手段に向けて移送するように構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の紙折り装置。
【請求項7】
前記折りユニットの上流側に配置され、前記折り曲げ加工前の用紙を前記上流側から前記折りユニットに向けて移送する第2の用紙搬送手段を備え、前記第2の用紙搬送手段は、前記用紙を前記折りユニットに向けて搬送する際は前記用紙を挟持する搬送状態に設定し、前記用紙を前記折りユニットに受け渡した後は挟持を解除した解除状態に設定するよう構成した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の紙折り装置。
【請求項8】
前記折りユニットの用紙搬送方向上流側に、クリース加工手段を備えており、前記クリース加工手段は、前記用紙を折り曲げ加工する際の折り目に、予め、クリースを形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載の紙折り装置。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の用紙を用紙搬送経路に沿って移動させながら折り曲げ加工する紙折り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてきた用紙を折り曲げ加工する紙折り装置が知られている。下記特許文献1には、折り曲げ加工される用紙の折り位置のずれを抑制可能な紙折り装置(折畳装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-199561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、折ローラ対によって用紙を搬送しながら、折ローラ対のニップ部にて用紙が内側に折り込まれる方式の紙折り装置が開示されている。この方式の場合、折ローラ対は常に用紙を挟持搬送したままで、用紙搬送を停止することなく継続的に折り曲げ加工することができ、作業効率がよい。しかし、このような折ローラ対を用いて用紙を折り曲げることができるのは、コピー用紙や、手紙等用紙の厚さが比較的薄い場合である。一方、用紙が所定値より厚い場合、例えば、酒類の瓶を収容する箱を製造するための段ボールや、名刺の収容箱、カタログやチラシ等を挟んで収納できるポケット付きホルダ用の厚紙等を、折ローラ対を用いて皺の発生等のない良好な品質で折り曲げ加工することは困難である。
【0005】
用紙が所定値より厚い場合、他の紙折り方式として、用紙を搬送路上に保持し、用紙搬送を停止した状態で、折り板等によって用紙の折り返したい部分を搬送路上に保持された用紙の対向位置へ向けて折り返すことによって、用紙を折り曲げ加工する方法が考えられる。しかし、用紙を折り返す際、折り位置(折り目の形成位置)が固定位置の場合、用紙サイズによっては、搬送ローラ等の搬送経路上の設置部品によって折り返しの動作が阻害されることがある。その結果、各種の用紙サイズに対する紙折り仕様が制限される場合がある。
【0006】
本発明の目的は、前記従来技術の課題に鑑み、折り曲げ加工する用紙が所定値より厚い場合であっても、皺の発生等のない良好な品質で折り曲げ加工できると共に、各種の用紙サイズに対応できる紙折り仕様の幅をできるだけ広げるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、平面状の用紙を用紙搬送経路に沿って移動させながら折り曲げ加工する紙折り装置において、前記用紙搬送経路上をスライド移動自在な自走式の折りユニットと、前記折りユニットの用紙搬送方向の下流側に配置され、前記折り曲げ加工後の用紙を折りユニットから受取り、さらに用紙搬送方向の下流側に移送する第1の用紙搬送手段と、を備え、折り作動時には、前記用紙に応じた所定の折り位置に前記折りユニットをスライド移動させ、折り作動終了後には、折り処理後の用紙を前記折りユニットから第1の用紙搬送手段に受け渡す受渡し位置に、前記折りユニットをスライド移動させる制御手段をさらに備えた、ことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の紙折り装置において、前記折りユニットは、前記用紙の前方部を載置する反転プレートと、前記用紙の後方部を載置するベースプレートと、が反転軸を枢軸として連結された反転手段を備え、前記反転手段は、反転プレートを、反転軸を枢軸として回動してベースプレートに重ね合わせることにより、反転プレート上に載置した用紙の前方部を、ベースプレート上に載置した用紙の後方部へ折り返すよう構成した、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の紙折り装置において、前記ベースプレートは、吸気口を備え、前記反転プレートが回動する際に、前記吸気口からの吸引力によって、前記ベースプレート上に載置された前記用紙の後方部が、前記ベースプレートに吸着されるよう構成した、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の紙折り装置において、前記折りユニットをスライド移動自在に支持するガイドレールを備え、前記ガイドレールは、ラックギヤで構成され、前記折りユニットは、前記ラックギヤと噛み合うように配置された駆動ギヤとしてのピニオンギヤを有し、前記折りユニットは、前記ピニオンギヤが回転することによって用紙搬送経路に沿って移動可能に構成されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至請求項4の何れか一つに記載の紙折り装置において、前記折りユニットは、前記反転プレートを有する上側ユニットと、前記ベースプレートを有する下側ユニットで構成され、前記上側ユニットは、前記反転軸を枢軸として回動して前記下側ユニットに重ね合わせるように連結されており、さらに、前記上側ユニットには従動ローラが設けられ、前記下側ユニットには駆動ローラが設けられ、前記上側ユニットと前記下側ユニットの重ね合わせ面における用紙搬送経路を挟んで互いに接触可能な状態で対向配置されている、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の紙折り装置において、前記折りユニットは、前記反転プレートを前記ベースプレートに重ね合わされたままの状態で、前記反転プレートだけを用紙搬送経路上から退避させることのできる退避機構を有し、前記制御手段は、前記折り作動終了後、折り処理後の用紙を前記折りユニットから前記第1の用紙搬送手段に受け渡す際には、前記退避機構にて前記反転プレートを退避させた後、前記駆動ローラを回転させ、前記従動ローラを従動回転させて前記折り処理後の用紙を第1の用紙搬送手段に向けて移送するように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の紙折り装置において、前記折りユニットの上流側に配置され、前記折り曲げ加工前の用紙を前記上流側から前記折りユニットに向けて移送する第2の用紙搬送手段を備え、前記第2の用紙搬送手段は、前記用紙を前記折りユニットに向けて搬送する際は前記用紙を挟持する搬送状態に設定し、前記用紙を前記折りユニットに受け渡した後は挟持を解除した解除状態に設定するよう構成した、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の発明は、前記折りユニットの用紙搬送方向上流側に、クリース加工手段を備えており、前記クリース加工手段は、前記用紙を折り曲げ加工する際の折り目に、予め、クリースを形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載の紙折り装置。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、折り作動時には、用紙に応じた所定の折り位置に折りユニットをスライド移動させ、折り作動終了後には、折り処理後の用紙を折りユニットから第1の用紙搬送手段に受け渡す受渡し位置に、折りユニットをスライド移動させる為、搬送ローラ等の搬送経路上の設置部品によって折り返しの動作が阻害されることがなく、各種の用紙サイズに対応できる紙折り仕様の幅が広がる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、折りユニットは、用紙の前方部を載置する反転プレートと、用紙の後方部を載置するベースプレートと、が反転軸を枢軸として連結された反転手段を備え、反転手段は、反転プレートを、反転軸を枢軸として回動してベースプレートに重ね合わせることにより、反転プレート上に載置した用紙の前方部を、ベースプレート上に載置した用紙の後方部へ折り返すよう構成した為、折り曲げ加工する用紙が所定値より厚い場合であっても、皺の発生等のない良好な品質で折り曲げ加工できる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、ベースプレートは、吸気口を備え、反転プレートが回動する際に、吸気口からの吸引力によって、ベースプレート上に載置された用紙の後方部が、ベースプレートに吸着されるよう構成した為、反転プレート上に載置した用紙の前方部を、ベースプレート上に載置した用紙の後方部へ折り返す際、ベースプレート上に載置された用紙の後方部が、ベースプレートにしっかりと保持される。したがって、精度良く折り曲げ加工できる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、折りユニットをスライド移動自在に支持するガイドレールを備え、ガイドレールは、ラックギヤで構成され、折りユニットは、ラックギヤと噛み合うように配置された駆動ギヤとしてのピニオンギヤを有し、折りユニットは、ピニオンギヤが回転することによって用紙搬送経路に沿って移動可能に構成されている為、折り作動時には、用紙に応じた所定の折り位置に折りユニットを精度良くスライド移動させることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、折りユニットは、反転プレートを有する上側ユニットと、ベースプレートを有する下側ユニットで構成され、上側ユニットは、反転軸を枢軸として回動して下側ユニットに重ね合わせるように連結されており、さらに、上側ユニットには従動ローラが設けられ、下側ユニットには駆動ローラが設けられ、上側ユニットと下側ユニットの重ね合わせ面における用紙搬送経路を挟んで互いに接触可能な状態で対向配置されている為、搬送手段を一体的に有する折りユニットとして、簡易な構成で実現できる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、折りユニットは、反転プレートをベースプレートに重ね合わされたままの状態で、反転プレートだけを用紙搬送経路上から退避させることのできる退避機構を有し、制御手段は、折り作動終了後、折り処理後の用紙を折りユニットから第1の用紙搬送手段に受け渡す際には、退避機構にて反転プレートを退避させた後、駆動ローラを回転させ、従動ローラを従動回転させて折り処理後の用紙を第1の用紙搬送手段に向けて移送するように構成されている為、退避機構を備える搬送手段を一体的に有する折りユニットとして、簡易な構成で実現できる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、折りユニットの上流側に配置され、折り曲げ加工前の用紙を上流側から折りユニットに向けて移送する第2の用紙搬送手段を備え、第2の用紙搬送手段は、用紙を折りユニットに向けて搬送する際は用紙を挟持する搬送状態に設定し、用紙を折りユニットに受け渡した後は挟持を解除した解除状態に設定するよう構成した為、
用紙を折りユニットの上流側から折りユニットに受け渡す際の用紙の損傷を防ぐことができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、折りユニットの用紙搬送方向上流側に、クリース加工手段を備えており、クリース加工手段は、用紙を折り曲げ加工する際の折り目に、予め、クリースを形成するように構成されている為、さらに精度良く折り曲げ加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態にかかる紙折り装置1の概略構成を示す縦断面図である。
図2図1の紙折り装置1の平面図である。
図3】本実施形態に係る紙折り装置1で加工処理される用紙Sの平面図である。
図4】紙折り装置1における用紙の加工の様子を示す図である。
図5】紙折り装置1における用紙の加工の様子を示す図である。
図6】折りユニット70の斜視図である。
図7図6の折りユニット70の透視平面図である。
図8図6の折りユニット70の透視正面図である。
図9】折りユニット70における用紙の加工の様子を示す図である。
図10】折りユニット70における用紙の加工の様子を示す図である。
図11】折りユニット70における用紙の加工の様子を示す図である。
図12】折りユニット70における用紙の加工の様子を示す図である。
図13】反転プレート77の退避動作を示す図である。
図14】反転プレート77の退避機構78の動作を示す図である。
図15】ベースプレート76の表面状態を示す図である。
図16】折りユニット70における用紙の加工の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔紙折り装置1の全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態にかかる紙折り装置1の概略構成を示す縦断面図、図2は前記紙折り装置の平面図である。紙折り装置1は、装置本体10の両端に、給紙部16と、排紙部17とを備えている。給紙部16から排紙部17へは、多数個の対のローラ19からなる搬送部2によって搬送路20が構成されている。
【0025】
搬送部2は、用紙Sを、給紙部16から排紙部17へ向けて搬送するようになっている。搬送部2には、搬送駆動部(図示省略)が連結している。そして、搬送路20上には、給紙部16から排紙部17に向けて、斜行補正部4、縦クリース部5、横クリース部6、第1折畳部11、第2折畳部12、第1糊塗布部21、第3折畳部13、第2糊塗布部22、第4折畳部14を備えている。また、紙折り装置1は、装置全体の作動を制御する制御部9を装置本体10内に備えている。
【0026】
給紙部16は、給紙トレイ94、吸引搬送部95を備える。給紙トレイ94は、用紙Sが載置される。給紙トレイ94は図示しない昇降部により昇降される。吸引搬送部95は、吸引箱96及び搬送ベルト97を備える。吸引箱96は図2に示す送風機98に接続される。送風機98の駆動により吸引箱96に負圧が発生し、給紙トレイ94上の最上位の用紙Sが搬送ベルト97の下面に吸着され、下流側の搬送部2に向けて搬送される。
【0027】
斜行補正部4は、給紙部16の後段に配置されており、給紙部16から排出された用紙Sを補助搬送ベルト42上に受け取り、受け取った用紙Sの端縁を図2に示す基準プレート44に沿わせるように、用紙Sを基準プレート44に向けて斜めに搬送しながら、搬送方向下流へ向けて搬送する。尚、補助搬送ベルト42の上方には、補助搬送ベルト42上を搬送する用紙Sを押さえローラで押さえる押さえローラユニット43が配置されている。
【0028】
縦クリース部5は、用紙Sに搬送方向Fに沿った折目Cを形成する。縦クリース部5は上部材51、下部材52、離間部53及び横移動部54を備える。上部材51は、搬送路20の上方に設置される。上部材51は円盤状に形成され、周面に凹溝が形成される。下部材52は上部材51の対向位置で、搬送路20の下方に設置され、又、下部材52は円盤状に形成され、周面が凸状に形成される。離間部53は上部材51を下部材52から離間させる。横移動部54は、上部材51及び下部材52を一体で搬送方向Fに直交する幅方向Wに移動する。
【0029】
横クリース部6は用紙Sに幅方向Wに沿った折目Cを形成する。横クリース部6は、凹部材61、凸部材62及び昇降部63を備える。凹部材61は搬送路20の上方に設置され、昇降部63によって昇降される。凸部材62は凹部材61に対向し、搬送路20の下方に設置される。
【0030】
第1折畳部11は、用紙Sの後端部分を幅方向Wに沿って折り畳む。第1折畳部11は、第1折畳部材46、第1受板47、第1揺動部48を備える。第1折畳部材46は、第1揺動部48によって第1揺動軸49を軸心とし、下流側の第1受板47に向けて揺動される。
【0031】
第2折畳部12は、用紙Sの前端部分を幅方向に沿って折り畳む。第2折畳部12は第2折畳部材56、第2受板57、第2揺動部58を備える。第2折畳部材56は、上流側の第2受板57に向けて第2揺動軸59を軸心に揺動される。
【0032】
第1糊塗布部21は用紙Sに幅方向Wに沿って糊を塗布する。第1糊塗布部21は、第1ノズル81、第1糊供給部(図示省略)、第1糊移動部(図示省略)を備える。第1ノズル81は第1糊供給部からの糊Gを用紙Sに向けて噴射し、用紙Sに糊Gを塗布する。第1糊供給部は第1ノズル81へ糊Gを供給する。第1糊移動部は、第1ノズル81を幅方向Wへ移動する。
【0033】
第3折畳部13は、用紙Sを搬送方向Fに沿った折目Cで折り畳む。第3折畳部13は、第3折畳部材66、第3受板67、第3揺動部68を備える。第3折畳部材66と、第3受板67とは、幅方向Wに並設される。第3折畳部材66は、搬送方向Fに延在する第3揺動軸69を軸心に、第3揺動部68によって第3受板67に向けて揺動される。
【0034】
第2糊塗布部22は第1糊塗布部21と同様の構成を有する。
【0035】
第4折畳部14における自走式の折りユニット70は、前段に配置される第2の用紙搬送手段702としての第3折畳部13から用紙Sを受取り、用紙Sの前端部分を幅方向Wに沿って折り畳んだ後、後段に配置される第1の用紙搬送手段701としての多数個対のローラ19に用紙Sを受け渡す。折りユニット70は、反転プレート77、ベースプレート76を備え、反転プレート77は、反転軸79を軸心とし、上流側のベースプレート76に向けて揺動される。尚、折りユニット70の具体的な構成については後述する。
【0036】
押圧部8は、用紙Sの折目Cを押圧する。押圧部8は、上下一対の押圧部材85及び昇降部86を備える。一対の押圧部材85は搬送路20を介し上下に対向配置される。昇降部86は、搬送路20の上方に設置された押圧部材85を対向する他方の押圧部材85に向けて昇降する。
【0037】
排出部17は、加工処理された用紙Sが載置される。排出部17は、排出トレイ99を備える。
【0038】
〔紙折り装置1の動作〕 次に、用紙Sの加工処理について、二つの形態を例示して具体的に説明する。
【0039】
(1) ポケットフォルダの加工処理 先ず、ポケットフォルダの加工処理について、図3図4を用いて説明する。ポケットフォルダとは、二つ折りのファイルを開くとポケットが付いていて、そこへ書類などを収納することができる紙で出来たフォルダーのことである。
【0040】
図3は、本実施形態に係る紙折り装置1で加工処理される用紙Sの平面図である。用紙Sは抜型によって予め所定形状に切り抜かれている。用紙Sは、本体B、前糊代D、後糊代E、前折畳片H、後折畳片Iを有する。前糊代D及び後糊代Eには、糊Gが塗布される。前糊代D、後糊代E、前折畳片H、後折畳片Iは、それぞれ前横折目C1、後横折目C2、前縦折目C3、後縦折目C4でそれぞれ本体Bに向けて折り畳まれる。更に、用紙Sは、本体Bが中央折目C5で半分に折り畳まれることで、同図(b)に示す加工処理物Jが形成される。
【0041】
図4は、紙折り装置1におけるポケットフォルダの加工の様子を示す図である。紙折り装置1によって用紙Sを加工処理する際は、図4(a)に示す用紙Sが給紙トレイ94に載置される。吸引搬送部95によって給紙トレイ94上の最上位の用紙Sが下流側の斜行補正部4へ供給される。
【0042】
斜行補正部4で、用紙Sは、斜行ベルト42の走行によって、図4(a)で左側に示す側縁K(用紙Sの基準辺)を、基準プレート44に沿わせつつ搬送され、斜行が修正される。用紙Sが縦クリース部5に至ると、図4(b)において、二点鎖線で示すように、搬送方向Fに沿って前縦折目C3及び後縦折目C4が形成される。
【0043】
その後、用紙Sは横クリース部6へ搬送される。用紙Sの前横折目C1が上部材61及び下部材62の間に位置するタイミングで、制御部9(図示省略)は搬送部2による用紙Sの搬送を停止する。そして、制御部9は、昇降部63を駆動し、上部材61を、用紙Sを介して下部材62に係合し、前横折目C1を形成する。後横折目C2についても、前横折目C1と同様に形成される。これより、図4(c)に示す前横折目C1及び後横折目C2が形成される。
【0044】
その後、用紙Sの先頭部分は、第1折畳部11を通過し、第2折畳部12に至る。前横折目C1が第2折畳部12の第2揺動軸59の上方に至ると、制御部9は、用紙Sの搬送を停止する。制御部9は、第2揺動部58を駆動し、前横折目C1で用紙Sを折り畳み、前糊代Dを本体Bに対向される。これより、用紙Sは図4(d)に示す状態となる。
【0045】
その後、制御部9は、搬送部2を駆動し、用紙Sの先頭部分を第1糊塗布部21及び第3折畳部13を通過させる。前糊代Dが第2糊塗布部22に至るタイミングで、制御部9は搬送部2を停止する。制御部9は第2糊塗布部22の第2ノズル91から糊Gを噴射し、前糊代Dの上面に糊Gを塗布する。これより、用紙Sは図4(e)に示す状態となる。
【0046】
更に、制御部9は、前糊代Dへ糊塗布した位置のまま用紙Sを移動させることなく、第3揺動部68を駆動する。第3折畳部材66は第3揺動軸69を軸心に揺動され、第3受板67の対向位置に至る。これにより、図4(f)に示すように、用紙Sは、前縦折目C3で折り畳まれる。前折畳片Hは本体Bの上方に位置する。このとき、本体Bの上に前糊代Dがすでに位置しており、更に前糊代Dの上面に糊Gが塗布されているので、前糊代Dの上面と前折畳片Hの前端部分下面が接着される。
【0047】
続いて、制御部9は、搬送部2を駆動する。用紙Sは下流側へ搬送され、その後、用紙Sの後部の後折目C2が、第1折畳部11の第1揺動軸49設置位置に至ると、制御部9は搬送部2を停止し、第1揺動部48を駆動する。用紙Sは後横折目C2で折り畳まれ、後糊代Eが本体Bの上方に位置される。これより、用紙Sは図4(g)に示す状態となる。
【0048】
制御部9は、搬送部2を駆動し、後糊代Eが第1糊塗布部21に至るタイミングで、搬送部2を停止する。制御部9が、第1ノズル81から糊Gを噴射すると、図4(h)に示すように、後糊代Eの上面に糊Gが塗布される。そして、制御部9は、第3揺動部68を駆動し、第3折畳部材66を第3揺動軸69を軸心に揺動し、第3受板67の対向位置に位置させる。これにより、図4(i)に示すように、用紙Sは、後縦折目C4で折り畳まれる。本体Bと後折畳片Iの間に位置する後糊代E上面の糊Gにより、後糊代Eと後折畳片Iの後端部分が接着される。
【0049】
制御部9は搬送部2を駆動し、中央折目C5が第4折畳部14に至ると、搬送部2を停止する。制御部9は、第4折畳部材76を揺動して、用紙Sを中央折目C5で折り畳む。これより、用紙Sは図4(j)に示す状態となる。折り畳まれた用紙Sは、搬送部2により搬送される。用紙Sの先頭部分が押圧部8に至ると、制御部9は搬送部2を停止する。制御部9は、昇降部86を駆動し、一対の押圧部材85に上下に重ねられた前折目C1と、後折目C2とを押圧する。これより、用紙Sは、前折目C1及び後折目C2でしっかりと折り畳まれる。また、塗布された糊Gにより前糊代Dと前折片H、後糊代Eと後折片Iとが強固に接着される。
【0050】
加工処理により得られた加工処理物Jは、排出トレイ99上に排出される。
【0051】
(2) 箱の加工処理 次に、箱の加工処理について、図5を用いて説明する。ここで箱とは、例えば、ワインボトルを入れる為の箱で、紙折り装置1は、用紙Sの加工後、人の手を借りて容易に組立の仕上げができる程度にまで完成させる簡易加工を施す機能を有する。
【0052】
図5は、紙折り装置1における箱の加工の様子を示す図である。図5(a)は、本実施形態に係る紙折り装置1で加工処理される用紙Sの平面図である。用紙Sは抜型によって予め所定形状に切り抜かれている。紙折り装置1によって用紙Sを加工処理する際は、図5(a)に示す用紙Sが給紙トレイ94に載置される。吸引搬送部95によって給紙トレイ94上の最上位の用紙Sが下流側の斜行補正部4へ供給される。
【0053】
斜行補正部4において、斜行ベルト42を基準プレート44に対して平行に配設する(斜行ベルト42は設置角度の変更可)と共に、用紙Sの搬送経路に突出、退避可能なストッパ(不図示)を介在させ、搬送されてきた用紙Sの前端縁K´(用紙Sの基準辺)をストッパに突当てて、用紙Sの斜行を補正する。
【0054】
用紙Sが縦クリース部5に至ると、図5(a)において、搬送方向Fに沿って第1縦折目f5及び第2縦折目f6が形成される。尚、縦クリース部5は、搬送方向の幅方向二箇所に配設されている。
【0055】
その後、用紙Sは横クリース部6へ搬送される。用紙Sの第1横折目f1、第2横折目f2、第3横折目f3、第4横折目f4がそれぞれ上部材61及び下部材62の間に位置するタイミングで、制御部9は搬送部2による用紙Sの搬送を順次停止する。
そして、制御部9は、昇降部63を駆動し、上部材61を、用紙Sを介して下部材62に係合し、これより、図5(a)に示す用紙Sの第1横折目f1、第2横折目f2、第3横折目f3、第4横折目f4が順次形成される。
【0056】
その後、用紙Sの先頭部分は、第1折畳部11に至る。用紙Sの第3横折目f3が第1折畳部11の第1揺動軸49の上方に至ると、制御部9は、用紙Sの搬送を停止する。制御部9は、第1揺動部48を駆動し、第一横折目f3で用紙Sを折り畳み、前糊代Yを本体Tに対向される。これより、用紙Sは図5(b)に示す状態となる。
【0057】
その後、制御部9は、搬送部2を駆動し、用紙Sの先頭部分を第1糊塗布部21及び第3折畳部13を通過させる。糊代Yが第2糊塗布部22に至るタイミングで、制御部9は搬送部2を停止する。制御部9は第2糊塗布部22の第2ノズル91から糊Gを噴射し、図5(c)に示すように、折片Vの糊代Yの上面に糊Gを塗布する。
【0058】
制御部9は搬送部2を駆動し、用紙Sの第1横折目f1が第4折畳部14に至ると、搬送部2を停止する。制御部9は、第4折畳部材77を揺動して、用紙Sを第1横折目f1で折り畳まれ、折片Vの糊代Y上面の糊Gにより、糊代Yと折片Wが接着される。これより、用紙Sは図5(d)に示す状態となる。折り畳まれた用紙Sは、搬送部2により搬送される。用紙Sの先頭部分が押圧部8に至ると、制御部9は搬送部2を停止する。制御部9は、昇降部86を駆動し、一対の押圧部材85に上下に重ねられた第1横折目f1、第3横折目f3とを押圧する。これより、用紙Sは、第1横折目f1、第3横折目f3でしっかりと折り畳まれる。また、塗布された糊Gにより折片Vの糊代Y、折片Wとが強固に接着される。
【0059】
加工処理により得られた加工処理物Jは、排出トレイ99上に排出される。
【0060】
〔折りユニット70の実施形態〕
次に、折りユニット70の実施形態について具体的に説明する。
【0061】
折りユニット70は、紙折り装置1における第4折畳部14の紙折り機構であって、例えば、ポケットフォルダの加工処理について図4に示した、用紙Sを中央折り目C5で折り畳む場合や、箱の加工処理について図5に示した、用紙Sを第1横折目f1で折り畳む場合のように、比較的大きな折り片を折り曲げる場合に用いられる。
【0062】
図6は、本発明の一実施形態にかかる折りユニット70の全体斜視図である。折りユニット70は、折り位置が各種の用紙サイズに対応できるように、用紙搬送経路上をスライド移動自在な自走式となっている。
【0063】
これによれば、搬送ローラ等の搬送経路上の設置部品によって折り返しの動作が阻害されることがなく、各種の用紙サイズに対応できる紙折り仕様の幅が広がる。
【0064】
又、折りユニット70をスライド移動自在に支持するガイドレールを備え、前記ガイドレールは、ラックギヤ747で構成され、折りユニット70は、ラックギヤ747と噛み合うように配置された駆動ギヤとしてのピニオンギヤ746を有し、ピニオンギヤ746が回転することによって用紙搬送経路に沿って移動可能に構成されている。さらに、折りユニット70のスライド移動を支持するように、折りユニット70と一体に形成されたガイド部材749が、ラックギヤ747と平行に設置されたシャフト748に嵌合しながらスライド移動するように構成されている。
【0065】
これによれば、折り作動時には、用紙に応じた所定の折り位置に折りユニットを精度良くスライド移動させることができる。
【0066】
折りユニット70は、用紙Sの前方部を載置する反転プレート77と、用紙Sの後方部を載置するベースプレート76と、が反転軸79を枢軸として連結された反転手段を備え、前記反転手段は、反転プレート77を、反転軸79を枢軸として回動してベースプレート76に重ね合わせることにより、反転プレート77上に載置した用紙Sの前方部を、ベースプレート76上に載置した用紙Sの後方部へ折り返す。
【0067】
ベースプレート76は、エア吸気口761を備え、反転プレート77が回動する際に、エア吸気口761からのエアの吸引力によって、ベースプレート76上に載置された用紙Sの後方部が、ベースプレート76に吸着される。尚、エア吸気口761からの吸引力は、バキューム機構703により付与される。又、吸引ホース762の先端は、それぞれ、反転プレート77上のエア吸気口761に接続される。詳しくは、図15に示すように、ベースプレート76の表面には、小さな凹凸(凹部764、凸部763)が形成されており、その凹部764に連通するようにエア吸気口761が形成されている。エア吸気口761からの吸引力によって、ベースプレート76上に載置された用紙Sの後方部が、ベースプレート76に吸着される際は、用紙Sはベースプレート76の表面全体に吸着されるようになっている。尚、図15(a)は、ベースプレート76の一部平面図であり、図15(b)は、図15(a)のA-A断面図である。
【0068】
図6において、折りユニット70は、反転プレート77を有する上側ユニット704と、ベースプレート76を有する下側ユニットで構成され、上側ユニット704は、反転軸79を枢軸として回動して前記下側ユニット705に重ね合わせるように連結されており、さらに、上側ユニット704には従動ローラである搬送ローラ71が設けられ、下側ユニット705には駆動ローラである搬送ローラ72が設けられ、上側ユニット704と下側ユニット705の重ね合わせ面における用紙搬送経路を挟んで互いに接触可能な状態で対向配置されている。尚、図6は、上側ユニット704と下側ユニット705が開いた状態を示している。
【0069】
〔折りユニット70の駆動機構〕
次に、折りユニット70における駆動機構について説明する。折りユニット70の駆動機構は、大きくは、反転プレート回動機構73、折りユニット移動機構74、及び搬送ローラ回転機構75により構成される。
(1)反転プレート回動機構73
先ず、反転プレート回動機構73について説明する。
【0070】
図6において、反転プレート回動機構73は、反転プレート77を、反転軸79を枢軸として回動させる駆動機構であって、駆動手段として機能する駆動モータ731、駆動モータ731の回転軸に取付けられたプーリ732、反転軸79取付けられたプーリ734、反転軸79の他方側に駆動モータ731からの駆動を伝達する駆動伝達軸737、駆動伝達軸737に取付けられたプーリ735、及びこれらのプーリ732、プーリ734、プーリ735間に掛け渡されたタイミングベルト733を備えている。そして、駆動モータ731が回転駆動されると、その駆動力はプーリ732、プーリ735を介してプーリ734に伝達され、その結果、反転プレート77が反転軸79を枢軸として正逆自在に回動する。尚、タイミングベルト733にはテンションを付与するテンション付与ローラ736が設けられている。
【0071】
(2)折りユニット移動機構74
次に、折りユニット移動機構74について説明する。
【0072】
図7は、折りユニット70の透視平面図である。図7において、折りユニット移動機構74は、折りユニット70を用紙搬送経路に沿って移動させる駆動機構であって、折りユニット70をスライド移動自在に支持するガイドレールを備え、前記ガイドレールは、ラックギヤ747で構成され、折りユニット70は、ラックギヤ747と噛み合うように配置された駆動ギヤとしてのピニオンギヤ746を有する。又、折りユニット移動機構74は、駆動手段として機能する駆動モータ744、駆動モータ744の回転軸に取付けられたプーリ741、ピニオンギヤ746の回転軸745に取付けられたプーリ742、及びこれらのプーリ741、プーリ742間に掛け渡されたタイミングベルト743を備えている。そして、駆動モータ744が回転駆動されると、その駆動力はプーリ741、プーリ742を介してピニオンギヤ746の回転軸745に伝達され、その結果、ピニオンギヤ746が回転し、折りユニット70が用紙搬送経路(ラックギヤ747)に沿って前後自在に移動する。
【0073】
(3)搬送ローラ回転機構75
次に、搬送ローラ回転機構75について説明する。
【0074】
図8は、図6の折りユニット70における下側ユニット705をA方向から見た透視正面図である。図8において、搬送ローラ回転機構75は、搬送ローラ72(駆動ローラ)を回転させ、上側ユニット704(図6参照)における搬送ローラ71(従動ローラ)を従動回転させて、折り処理後の用紙Sを用紙搬送方向の下流側に向けて移送する為の駆動機構であって、駆動手段として機能する駆動モータ754、駆動モータ754の回転軸に取付けられたプーリ752、搬送ローラ72の回転軸745に取付けられたプーリ751、及びこれらのプーリ752、プーリ751間に掛け渡されたタイミングベルト753を備えている。そして、駆動モータ754が回転駆動されると、その駆動力はプーリ752、プーリ751を介して搬送ローラ72の回転軸745に伝達され、その結果、搬送ローラ72が回転し、搬送ローラ71を従動回転させる。
【0075】
〔折りユニット70の折り動作〕
次に、折りユニット70の折り動作について説明する。
【0076】
図16(a)に示すように、折りユニット70の上流側には第2の搬送手段702が配置され、第2の搬送手段702から折りユニット70に未加工の用紙Sが受け渡される。又、折りユニット70の下流側には第1の搬送手段701が配置され、折りユニット70にて折り加工後の用紙Sが第1の搬送手段701に受け渡される。
【0077】
折りユニット70による折り加工に際しては、先ず、上側ユニット704と下側ユニット705が開いた状態で、用紙に応じた所定の折り位置に折りユニット70をスライド移動し、停止する。尚、前記折りユニット70をスライド移動させる際、用紙サイズによっては、第1の搬送手段701における多数個対のローラ19(図1参照)の内、上側ローラにより用紙の折り返し動作が阻害される場合がある。その場合には、折り返しの動作が阻害されないように、上側ローラをすべて用紙搬送経路上の折り返し経路から退避できるように構成されている。折り加工後、折り返した用紙を下流側に搬送可能なように、退避した上側ローラは下側ローラとのニップ位置に復帰する。
【0078】
具体的には、図9に示すように、折りユニット70がスライド移動後、上側ユニット704と下側ユニット705は開いた状態となっている。次に、上流側の第2の搬送手段702より搬送されてきた用紙Sは、反転軸79(図6参照)の位置に折り位置S´を合わせるように、開いた両ユニットにおける反転プレート77に用紙Sの前方部を載置し、ベースプレート76に用紙Sの後方部を載置するように搬送され、停止する。
【0079】
その後、ベースプレート76のエア吸気口761からのエア吸引を開始しその吸引力によって、ベースプレート76上に載置された用紙Sの後方部が、ベースプレート76に吸着され、固定される。
【0080】
これによれば、反転プレート上に載置した用紙の前方部を、ベースプレート上に載置した用紙の後方部へ折り返す際、ベースプレート上に載置された用紙の後方部が、ベースプレートにしっかりと保持される。したがって、精度良く折り曲げ加工できる。又、折り曲げ加工する用紙が所定値より厚い場合であっても、皺の発生等のない良好な品質で折り曲げ加工できる。
【0081】
そして、反転手段としての反転プレート77を有する上側ユニット704は、反転軸79を軸心とし、上流側のベースプレート76を有する下側ユニット705に向けて揺動されて、反転プレート77上に載置した用紙Sの前方部を、ベースプレート76上に載置した用紙Sの後方部へ折り返す折り加工処理を行う。具体的には、図10において、反転プレート77を有する上側ユニット704がベースプレート76を有する下側ユニット705に向けて揺動される途上の状態を示しており、図11において、両ユニットが閉じて、用紙Sが折り位置S´で折り返された状態を示している。
【0082】
このとき、図16(b)に示すように、折り加工処理を終えた折りユニット70は、折られた用紙Sを両ユニット間に挟んだまま、上側ユニット704と下側ユニット705が閉じた状態となっている。尚、第2の用紙搬送手段702(上ローラ7021、下ローラ7022)は、用紙Sを折りユニット70に向けて搬送する際は用紙Sを挟持する搬送状態(上ローラ7021がニップ位置)に設定されていたが、用紙を前記折りユニットに受け渡した後は挟持を解除した解除状態(上ローラ7021が退避位置)に設定されている。又、本発明においては、第2の用紙搬送手段702として前述の第3折畳部13を例示したが、この形態に限定されず、用紙を搬送できる搬送手段であればよい。
【0083】
以上によれば、用紙を折りユニットの上流側から折りユニットに受け渡す際の用紙の損傷を防ぐことができる。
【0084】
次に、用紙Sを両ユニット間に挟んだまま、折り処理後の用紙Sを前記折りユニット70から第1の用紙搬送手段701に受け渡す受渡し位置に、折りユニット70をスライド移動させる。そして、図16(c)に示すように、折りユニット70は、反転プレート77をベースプレート76に重ね合わされたままの状態で、反転プレート77だけを用紙搬送経路上から退避させることのできる退避機構78を有し、制御手段は、折り作動終了後、折り処理後の用紙Sを折りユニット70から第1の用紙搬送手段701に受け渡す際には、退避機構78にて反転プレート77を退避させた後、搬送ローラ72(駆動ローラ)を回転させ、搬送ローラ71(従動ローラ)を従動回転させて前記折り処理後の用紙Sを第1の用紙搬送手701に向けて移送するように構成されている。具体的には、図12において、反転プレート77を退避させて、反転プレート77とベースプレート76間の圧接力を解除した後、用紙Sを搬送ローラ(71、72)にて移送する。尚、その際には、ベースプレート76のエア吸気口761からのエア吸引を停止しておく。
【0085】
以上によれば、搬送手段を一体的に有する折りユニットとして、簡易な構成で実現できる。
【0086】
尚、紙折り装置1は、折りユニット70の用紙搬送方向上流側に、クリース加工手段(横クリース部6)を備えており、クリース加工手段は、用紙Sを折り曲げ加工する際の折り目に、予め、クリースを形成するように構成されている。
【0087】
これによれば、折りユニット70により用紙Sに折り曲げ加工する前に、クリース加工手段により予め、クリースを形成するように構成されている為、折りズレ等がなく、さらに精度良く折り曲げ加工できる。
【0088】
〔退避機構78の動作〕
反転プレート77の退避機構78は、反転プレート回動機構73の一部を構成する駆動機構であって、折り処理後の用紙Sを折りユニット70から第1の用紙搬送手段701に受け渡す際に、反転プレート77をベースプレート76に重ね合わされたままの状態で、反転プレート77だけを用紙搬送経路上から退避させることのできる機構である。
【0089】
図13(a)は、折り処理直後の折りユニット70の状態(退避機構78非作動時の状態)を示しており、反転プレート77はベースプレート76に重ね合わされ、スプリング781により押圧されている。尚、折り加工後の用紙Sは省略している。
【0090】
図13(b)は、折り処理後の用紙Sを折りユニット70から第1の用紙搬送手段701に受け渡す直前の状態(退避機構78作動時の状態)を示しており、後述する退避機構78により、反転プレート77はベースプレート76から間隔をおいて退避している。尚、折り加工後の用紙Sは省略している。
【0091】
次に、退避機構78の具体的な構成について説明する。
図14は、折り処理直後の折りユニット70の状態(退避機構78非作動時の状態)を示しており、反転プレート77はベースプレート76に重ね合わされ、スプリング781により押圧されている。尚、折り加工後の用紙Sは省略している。具体的には、反転プレート77が一体的に取付けられている取付け部材787は、スプリング781によりベースプレート76に向けて押圧されている。取付け部材787には、突出部786が形成されており、突出部786を上方向に持ち上げることにより、反転プレート77をベースプレート76から間隔をおいて退避させることができる。又、支持板782は、上側ユニット704のフレーム788と一体的に取付けられている回転軸783を中心に、上下方向に自由に回動するように構成されている。
【0092】
そして、支持板782の切欠き部7821により突出部786が保持されおり、切欠き部7821が上方向に持ち上げられると、反転プレート77をベースプレート76から間隔をおいて退避させることができる。
【0093】
すなわち、折り加工時において、上側ユニット704が反転軸79を中心に、下側ユニット705に向けて揺動していくと、取付け部材787(反転プレート77)がベースプレート76に向けて押圧され、折り加工が完了する。この状態は、図13(a)に相当する。その際、上側ユニット704(フレーム788)の揺動と共に回転軸783も下方に移動する。又、回転軸783の下方への移動に伴って、切欠き部7821により突出部786を保持したまま支持板782も下方に移動する。そして、前記折り加工完了後、支持板782と一体的に形成されている突出部784が、紙折り装置1のフレーム(不図示)に一体的に取付けられているストッパ785に当接する。
【0094】
そして、さらに、上側ユニット704を下側ユニット705に向けて揺動していくと、ストッパ785に当接している支持板782の突出部784を中心に、支持板782の回転軸783側を押し下げていくことになる。その結果、反対側の突出部786を保持している切欠き部7821がスプリング781の押圧力に反して引き上げられ、反転プレート77をベースプレート76から間隔をおいて退避させることができる。この状態は、図13(b)に相当する。
【0095】
以上によれば、搬送手段を一体的に有し、さらに、折り板の退避機構を備えた折りユニットとして、簡易な構成で実現できる。
【0096】
尚、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0097】
F 搬送方向
S 用紙
1 紙折り装置
2 搬送部
16 給紙部
17 排紙部
70 折りユニット
71 搬送ローラ(上)
72 搬送ローラ(下)
73 折り板回動機構
74 折りユニット移動機構
75 搬送ローラ回転機構
76 ベースプレート
77 反転プレート
78 退避機構
79 反転軸





図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16