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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105409
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006203
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 慎司
(72)【発明者】
【氏名】土橋 将生
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA11
5D107BB08
5D107CC09
5D107CC10
(57)【要約】
【課題】磁気駆動回路により可動体を振動させるアクチュエータにおいて、可動体と固定体との衝突を抑制し、且つ、磁気駆動回路の推力低下を抑制する。
【解決手段】アクチュエータ1は、ヨーク8および磁石7を備える可動体5と、コイル10を備える支持体3と、可動体5および支持体3に接続される接続体4を備える。コイル10と磁石7はZ方向で対向し、可動体5を支持体3に対してX方向に振動させる磁気駆動回路6を構成する。磁石7の断面形状は、コイルに対向する第1平面73を上面とし、ヨーク8に当接する第2平面74を底辺とする台形状である。あるいは、磁石7は、コイル10にZ方向で対向する第1表面のX方向の両端部が、第1表面のX方向の中央部分よりもヨーク8の側に凹んだ形状である。従って、可動体5が振動方向(X方向)に直進せず揺動した場合でも、磁石7が支持体3に衝突するおそれが少ない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、
前記可動体を収容するケースを備える支持体と、
前記可動体および前記支持体に接続される接続体と、
コイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を有し、
前記可動体は、前記磁石を保持するヨークを備え、
前記ヨークは、前記コイルに前記第1方向で対向する対向部を備え、前記対向部に前記磁石が固定され、
前記磁石は、前記コイルに前記第1方向で対向する第1平面と、前記対向部に当接する第2平面と、前記第1平面の前記第2方向の両端からそれぞれ前記第2平面の側へ延びて前記第2平面に接続される一対の側面と、を備え、
前記一対の側面は、それぞれ、前記第1平面に鈍角をなす角度で接続される第1傾斜面を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1傾斜面は、前記第2平面の前記第2方向の端に接続されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記一対の側面は、それぞれ、前記第2平面の前記第2方向の端部に鈍角をなす角度に接続される第2傾斜面を備え、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とが屈曲した形状に繋がることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
可動体と、
前記可動体を収容するケースを備える支持体と、
前記可動体および前記支持体に接続される接続体と、
コイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を有し、
前記可動体は、前記磁石を保持するヨークを備え、
前記ヨークは、前記コイルに前記第1方向で対向する対向部を備え、前記対向部に前記磁石が固定され、
前記磁石は、前記コイルに前記第1方向で対向する第1表面を備え、
前記第1表面は、前記第2方向の両端部が、前記第2方向の中央部分よりも前記対向部の側に凹んだ形状であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1表面の前記第2方向の中央部分は、前記第1方向に対して垂直な第1平面であり、
前記第1表面の前記第2方向の両端部には、前記第1平面よりも前記対向部の側に凹んだ段部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1表面は、前記第2方向の中央を頂点として前記コイル側へ突出する湾曲面であることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記第1平面の前記第2方向の幅は、前記コイルの前記第2方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1、2、3、5の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記磁石の前記第2方向の最大幅は、前記コイルの前記第2方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記磁石は、前記第2方向に対称な形状であることを特徴とする請求項1から8の何れ
か一項に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記支持体は、前記コイルに対して前記第1方向の一方側から重なる第1プレート、および、前記コイルに対して前記第1方向の他方側から重なる第2プレートを備え、
前記第1プレートは、前記第2方向に延びる第1板部と、前記第1板部の前記第2方向の両端から前記コイルの側へ屈曲して前記コイルの前記第2方向の両側を覆う一対の第1曲げ部を備え、
前記第2プレートは、前記第2方向に延びる第2板部と、前記第2板部の前記第2方向の両端から前記コイルの側へ屈曲して前記コイルの前記第2方向の両側を覆う一対の第2曲げ部を備え、
前記対向部は、前記第1板部に前記第1方向の一方側から対向する第1対向部と、前記第2板部に前記第1方向の他方側から対向する第2対向部と、を備え、
前記磁石は、前記第1対向部に固定される第1磁石と、前記第2対向部に固定される第2磁石を備え、
前記第1対向部と前記第2対向部のそれぞれは、磁石固定部、および、前記磁石固定部から前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する第3方向の両側へ延びる一対の接続体固定部を備え、
前記接続体は、前記第1対向部の前記接続体固定部と前記第1板部とを接続する第1接続体、および、前記第2対向部の前記接続体固定部と前記第2板部とを接続する第2接続体を備えることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記第1磁石と前記第2磁石は同一形状であり、前記第1方向で逆向きに配置されることを特徴とする請求項10に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を振動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁石を備えた可動体と、コイルを備えた支持体とを備え、コイルに駆動電流を流すことにより、可動体を支持体に対して振動させるアクチュエータが開示される。この種のアクチュエータは、支持体と可動体とを接続する接続体として弾性体や粘弾性体を用いる。可動体を振動させると、接続体を介して可動体の振動に対応する反力が支持体に加わる。その結果、支持体に触れたユーザは振動を体感することができる。
【0003】
特許文献1のアクチュエータでは、支持体がコイルホルダを備える。コイルは空芯コイルであり、コイルホルダの板部に設けられたコイル配置穴に配置される。コイルホルダには、板部およびコイルを両側から覆うように金属製のプレートが取り付けられている。可動体は、コイルに一方側から対向する第1ヨークと、コイルに他方側から対向する第2ヨークを備えており、第1ヨークおよび第2ヨークにそれぞれ磁石が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-102901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のアクチュエータでは、コイルを覆うプレートとヨークとが対向する箇所に接続体が配置される。接続体は、可動体の長手方向の両端においてプレートとヨークとを接続する。ここで、接続体のバネ定数やサイズによってアクチュエータの振動特性が変動するため、アクチュエータの振動特性を要求値に合わせるために、接続体の幅が小さく設定されることがある。接続体の幅が小さいと、可動体が振動するときに直進せず振り子のように揺動してしまい、可動体が支持体に衝突して衝突音が発生するおそれがある。衝突を回避するために可動体と固定体とのギャップを大きくすると、磁気駆動回路の推力が低下し、大きな振動を発生させることができなくなってしまう。
【0006】
本発明の課題は、以上の問題点に鑑みて、可動体と固定体との衝突を抑制し、且つ、磁気駆動回路の推力低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のアクチュエータの第1の態様は、可動体と、前記可動体を収容するケースを備える支持体と、前記可動体および前記支持体に接続される接続体と、コイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を有し、前記可動体は、前記磁石を保持するヨークを備え、前記ヨークは、前記コイルに前記第1方向で対向する対向部を備え、前記対向部に前記磁石が固定され、前記磁石は、前記コイルに前記第1方向で対向する第1平面と、前記対向部に当接する第2平面と、前記第1平面の前記第2方向の両端からそれぞれ前記第2平面の側へ延びて前記第2平面に接続される一対の側面と、を備え、前記一対の側面は、それぞれ、前記第1平面に鈍角をなす角度で接続される第1傾斜面を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、アクチュエータの可動体を構成するヨークがコイルと第
1方向で対向する対向部を備えており、対向部に固定された磁石とコイルとが第1方向で対向する。従って、可動体を第1方向と交差する第2方向に振動させることができる。また、磁石は、第2方向の中央部分はコイルとのギャップが狭く、且つ、第2方向の両端には第1傾斜面が設けられているため、第2方向の両端部分はコイルとのギャップが広がっている。従って、可動体が第2方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石がコイルを保持する支持体に衝突するおそれが少ない。また、磁石の第2方向の中央部分は、コイルとのギャップが小さいので、磁気駆動回路の推力が低下することを抑制できる。さらに、磁石の第2方向の両端が第1傾斜面によって切り欠かれて凹んでいる分、磁石の体積が減少するので、磁石の部品コストを下げることができる。
【0009】
本発明において、前記第1傾斜面は、前記第2平面の前記第2方向の端に接続される。このようにすると、第1磁石の断面形状は、第1平面を上辺とし、第2平面を底辺とする台形状となる。従って、コイルと対向する第1平面の幅を小さくしながらも、磁石の最大幅(第2平面の幅)を大きくすることができるので、コイルに鎖交する磁束の減少を抑制でき、磁気駆動回路の推力が低下することを抑制できる。
【0010】
本発明において、前記一対の側面は、それぞれ、前記第2平面の前記第2方向の端部に鈍角をなす角度に接続される第2傾斜面を備え、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とが屈曲した形状に繋がることが好ましい。このようにすると、磁石は、第1平面の第2方向の角部と、第2平面の第2方向の角部がいずれも切り欠かれた形状となるので、磁石の裏表を区別する必要がない。従って、組立容易性が高まる。
【0011】
また、上記の課題を解決するために、本発明のアクチュエータの第2の態様は、可動体と、前記可動体を収容するケースを備える支持体と、前記可動体および前記支持体に接続される接続体と、コイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を有し、前記可動体は、前記磁石を保持するヨークを備え、前記ヨークは、前記コイルに前記第1方向で対向する対向部を備え、前記対向部に前記磁石が固定され、前記磁石は、前記コイルに前記第1方向で対向する第1表面を備え、前記第1表面は、前記第2方向の両端部が、前記第2方向の中央部分よりも前記対向部の側に凹んだ形状であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、アクチュエータの可動体を構成するヨークがコイルと第1方向で対向する対向部を備えており、対向部に固定された磁石とコイルとが第1方向で対向する。従って、可動体を第1方向と交差する第2方向に振動させることができる。また、磁石は、第2方向の中央部分がコイルとのギャップが狭く、且つ、第2方向の両端部分はコイルとのギャップが広い。従って、可動体が第2方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石がコイルを保持する支持体に衝突するおそれが少ない。また、磁石の第2方向の中央部分は、コイルとのギャップが小さいので、磁気駆動回路の推力が低下することを抑制できる。さらに、磁石の第2方向の両端部分が凹んでいる分、磁石の体積が減少するので、磁石の部品コストを下げることができる。
【0013】
本発明において、前記第1表面の前記第2方向の中央部分は、前記第1方向に対して垂直な第1平面であり、前記第1表面の前記第2方向の両端部には、前記第1平面よりも前記対向部の側に凹んだ段部が設けられている。このようにすると、コイルとのギャップが小さい第1平面の幅を確保しながら、磁石の第2方向の両端部分とコイルとのギャップを大きくすることができる。従って、磁気駆動回路の推力が低下することを抑制するとともに、磁石がコイルを保持する支持体に衝突するおそれを少なくすることができる。
【0014】
本発明において、前記第1表面は、前記第2方向の中央を頂点として前記コイル側へ突
出する湾曲面である。このようにすると、第1表面に角部が形成されないので、磁石の取り扱い時に角部が他の物体に衝突した場合に磁石が欠けるおそれが少ない。
【0015】
本発明において、前記第1平面の前記第2方向の幅は、前記コイルの前記第2方向の幅よりも小さいことが好ましい。このようにすると、可動体が第2方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石がコイルの第2方向の両端を覆う部材に衝突するおそれが少ない。
【0016】
本発明において、前記磁石の前記第2方向の最大幅は、前記コイルの前記第2方向の幅よりも大きいことが好ましい。このようにすると、コイルに鎖交する磁束を確保できるので、磁気駆動回路の推力が低下することを抑制できる。
【0017】
本発明において、前記磁石は、前記第2方向に対称な形状であることが好ましい。このようにすると、磁石の第2方向の一方側の端部がコイルに接近する方向に揺動するとき、および、磁石の第2方向の他方側の端部がコイルに接近する方向に揺動するときのいずれの場合においても、磁石が支持体に衝突するおそれが少ない。
【0018】
本発明において、前記支持体は、前記コイルに対して前記第1方向の一方側から重なる第1プレート、および、前記コイルに対して前記第1方向の他方側から重なる第2プレートを備え、前記第1プレートは、前記第2方向に延びる第1板部と、前記第1板部の前記第2方向の両端から前記コイルの側へ屈曲して前記コイルの前記第2方向の両側を覆う一対の第1曲げ部を備え、前記第2プレートは、前記第2方向に延びる第2板部と、前記第2板部の前記第2方向の両端から前記コイルの側へ屈曲して前記コイルの前記第2方向の両側を覆う一対の第2曲げ部を備え、前記対向部は、前記第1板部に前記第1方向の一方側から対向する第1対向部と、前記第2板部に前記第1方向の他方側から対向する第2対向部と、を備え、前記磁石は、前記第1対向部に固定される第1磁石と、前記第2対向部に固定される第2磁石を備え、前記第1対向部と前記第2対向部のそれぞれは、磁石固定部、および、前記磁石固定部から前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する第3方向の両側へ延びる一対の接続体固定部を備え、前記接続体は、前記第1対向部の前記接続体固定部と前記第1板部とを接続する第1接続体、および、前記第2対向部の前記接続体固定部と前記第2板部とを接続する第2接続体を備えることが好ましい。このように、コイルの両側に磁石を配置することにより、磁気駆動回路の推力を大きくすることができる。また、コイルを囲む形状に第1プレートおよび第2プレートを組み立てることにより、コイルを保護できる。さらに、ヨークの内側に接続体を配置し、第1プレートおよび第2プレートとヨークを介して可動体と支持体とを接続しているので、ヨークの外側に接続体の配置スペースを確保する必要がない。従って、アクチュエータの第1方向の高さを小さくして小型化することができる。また、第1磁石と第2磁石のいずれも、第2方向の中央部分がコイルとのギャップが小さく、第2方向の両端部分はコイルとのギャップが大きい。従って、可動体が第2方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、第1磁石および第2磁石がコイルを保持する支持体に衝突するおそれが少ない。
【0019】
本発明において、前記第1磁石と前記第2磁石は同一形状であり、前記第1方向で逆向きに配置されることが好ましい。このようにすると、部品を共通化できるため、部品のコストダウンを図ることができる。また、第1磁石と第2磁石を区別して組み立てる必要がないため、組立容易性が高まる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、アクチュエータの可動体を構成するヨークがコイルと第1方向で対向する対向部を備えており、対向部に固定された磁石とコイルとが第1方向で対向する。従って、可動体を第1方向と交差する第2方向に振動させることができる。また、磁石は、
第2方向の中央部分がコイルとのギャップが狭く、且つ、第2方向の両端部分はコイルとのギャップが広い。従って、可動体が第2方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石がコイルを保持する支持体に衝突するおそれが少ない。また、磁石の第2方向の中央部分は、コイルとのギャップが小さいので、磁気駆動回路の推力が低下することを抑制できる。さらに、磁石の第2方向の両端部分が凹んでいる分、磁石の体積が減少するので、磁石の部品コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用したアクチュエータをZ2方向およびZ1方向から見た斜視図である。
図2】アクチュエータを長手方向に切断した場合の断面図(図1のA-A位置で切断した断面図)である。
図3】アクチュエータを長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図(図1のB-B位置で切断した断面図)および磁石の断面形状の説明図である。
図4】Z2方向から見た可動体およびコイル組の分解斜視図である。
図5】Z1方向から見た可動体およびコイル組の分解斜視図である。
図6】Z2方向から見た可動体の分解斜視図である。
図7】Z1方向から見た可動体の分解斜視図である。
図8】変形例1の磁石を備えたアクチュエータを長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図および磁石の断面形状の説明図である。
図9】変形例2の磁石を備えたアクチュエータを長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図および磁石の断面形状の説明図である。
図10】変形例3の磁石を備えたアクチュエータを長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図および磁石の断面形状の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したアクチュエータの実施形態を説明する。
【0023】
(全体構成)
図1(a)は、本発明を適用したアクチュエータ1をZ2方向から見た斜視図である。図1(b)は、本発明を適用したアクチュエータ1をZ1方向から見た斜視図である。図2は、アクチュエータ1を長手方向に切断した場合の断面図であり、図1のA-A位置で切断した断面図である。図3(a)は、アクチュエータ1を長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図であり、図1のB-B位置で切断した断面図である。図3(b)は、磁石7の断面形状の説明図である。図4は、Z2方向から見た可動体5およびコイル組30の分解斜視図である。図5は、Z1方向から見た可動体5およびコイル組30の分解斜視図である。
【0024】
アクチュエータ1は、振動によって情報を伝達する触覚デバイスとして用いられる。図1(a)、図1(b)に示すように、アクチュエータ1の外形は直方体形状である。アクチュエータ1は、その外形の短手方向に振動を発生させる。以下の説明では、振動が発生する短手方向をX方向(第2方向)、アクチュエータ1の長手方向であってX方向と直交する方向をY方向(第3方向)とし、アクチュエータ1の厚み方向(高さ方向)であって、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向(第1方向)とする。また、X方向の一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。Y方向の一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。Z方向の一方側をZ1方向、他方側をZ2方向とする。
【0025】
図1図2図3に示すように、アクチュエータ1は、外形を規定するケース2を備える支持体3と、ケース2の内部に収容される可動体5を有する。また、アクチュエータ1は、支持体3と可動体5とを接続する接続体4と、可動体5を支持体3に対してX方向に
相対移動させる磁気駆動回路6(図2図3参照)を備える。
【0026】
(支持体)
図2図5に示すように、支持体3は、コイル10と、コイル10のZ1方向に重ねられた第1プレート11と、コイル10のZ2方向に重ねられた第2プレート12を備える。第1プレート11および第2プレート12は、非磁性の金属からなる。コイル10は、ケース2のZ方向の中央に位置する。コイル10は扁平な空芯コイルであり、その厚み方向をZ方向に向けている。コイル10は、Y方向に長い長円状であり、Y方向に平行に延びる一対の長辺部10a、10bを備える。一対の長辺部10a、10bの間には、Y方向に延びる中心穴10cが設けられている。
【0027】
図2図4図5に示すように、支持体3は、コイル10のY1側に配置される第1ホルダ部材15と、コイル10のY12側に配置される第2ホルダ部材16を備える。第1ホルダ部材15および第2ホルダ部材16は、樹脂からなる。第1ホルダ部材15は、第1プレート11と第2プレート12の間に配置される第1コイル保持部151と、第1コイル保持部151のY1側の端からZ1方向およびZ2方向へ延びる第1側板部152を備える。第2ホルダ部材16は、第1プレート11と第2プレート12の間に配置される第2コイル保持部161と、第2コイル保持部161のY1側の端からZ1方向およびZ2方向へ延びる第2側板部162を備える。コイル10は、第1コイル保持部151と第2コイル保持部161の間に配置される。
【0028】
第1ホルダ部材15には、給電基板14が固定される。本形態では、給電基板14はフレキシブルプリント基板である。なお、給電基板14は、リジッド基板であってもよい。コイル10には、給電基板14を介して、電力が供給される。
【0029】
第1プレート11は、コイル10にZ1側から重なる第1板部111と、第1板部111のX方向の両端からZ2方向に屈曲した一対の第1曲げ部112を備える。第2プレート12は、コイル10にZ2側から重なる第2板部121と、第2板部121のX方向の両端からZ1方向に屈曲した一対の第2曲げ部122を備える。
【0030】
第1プレート11において、各第1曲げ部112のY1側およびY2側には、第1板部111からZ2方向に屈曲した第1固定部113が設けられている。第2プレート12において、各第2曲げ部122のY1側およびY2側には、第2板部121からZ1方向に屈曲した第2固定部123が設けられている。
【0031】
第1プレート11と第2プレート12を第1コイル保持部151および第2コイル保持部161に対してZ方向の両側から組み付けると、図3に示すように、第1曲げ部112と第2曲げ部122は、コイル10の長辺部10a、10bをX方向の両側から覆う。また、第1曲げ部112と第2曲げ部122のY方向の両側において、第1プレート11の第1固定部113と第2プレート12の第2固定部123とが重なる。第1固定部113と第2固定部123は、Z方向に係止される。また、第1コイル保持部151の側面に設けられた爪部153と、第2コイル保持部161の側面に設けられた爪部163は、第1固定部113と第2固定部123に設けられた切欠き部に係止される。
【0032】
アクチュエータ1を組み立てる際、コイル10、第1プレート11、第2プレート12、第1ホルダ部材15、および第2ホルダ部材16を組み立てたコイル組30を構成する。そして、コイル組30を囲むように可動体5を組み立てるとともに、可動体5とコイル組30とを接続体4によって接続する。しかる後に、コイル組30および可動体5をケース2に収容する。
【0033】
図1図2図3に示すように、ケース2は、Z方向に重ねられた第1ケース部材31および第2ケース部材32を備える。第1ケース部材31は、Z1方向から第1ホルダ部材15および第2ホルダ部材16に組み付けられている。第2ケース部材32は、Z2方向から第1ホルダ部材15および第2ホルダ部材16に組み付けられている。
【0034】
(可動体)
図6は、Z2方向から見た可動体5の分解斜視図である。図7は、Z1方向から見た可動体5の分解斜視図である。可動体5は、磁石7およびヨーク8を備える。図2図3に示すように、磁石7は、コイル10とZ方向で対向する。コイル10と磁石7とは、磁気駆動回路6を構成する。可動体5は、磁石7として、第1磁石71および第2磁石72を備える。第1磁石71は、コイル10のZ1方向に位置する。第2磁石72は、コイル10のZ2方向に位置する。第1磁石71および第2磁石72は、X方向で2つに分極されている。図3に示すように、可動体5と支持体3とを組み立てると、コイル10の長辺部10a、10bには、Z1方向で第1磁石71が対向し、Z2方向で第2磁石72が対向する。
【0035】
本形態では、ヨーク8は磁性材料からなる。ヨーク8は、コイル10に対してZ方向に対向する対向部80を備えており、磁石7は対向部80に固定される。図2図3に示すように、対向部80は、コイル10に対してZ1方向から対向する第1対向部801と、コイル10に対してZ2方向から対向する第2対向部802を備える。また、ヨーク8は、コイル10のX方向の両側においてZ方向に延びる一対の接続部803を備える。一対の接続部803は、第1対向部801と第2対向部802とを接続する。第1対向部801と第2対向部802は、それぞれ、磁石7が固定される磁石固定部804、および、磁石固定部804からY方向の両側へ延びる一対の接続体固定部805を備える。
【0036】
図2図7に示すように、ヨーク8は、第1ヨーク81および第2ヨーク82を備える。第1ヨーク81は、コイル10にZ1方向から重なる第1内側部材83と、第1内側部材83にZ1方向から重なる第1外側部材84の2部材を接合して構成される。第2ヨーク82は、コイル10にZ1方向から重なる第2内側部材85と、第2内側部材85にZ1方向から重なる第2外側部材86の2部材を接合して構成される。
【0037】
図4図5に示すように、第1外側部材84は、Y方向に長い第1平板部841と、第1平板部841のX方向の両端からZ2方向に延びる一対の第1連結板部842を備える。第1平板部841のY方向の中央には、平板状の第1内側部材83がZ2方向から固定される。第1平板部841のX方向の両端は、第1内側部材83のY方向の両側へ延びている。
【0038】
すなわち、ヨーク8の第1対向部801は、第1平板部841と第1内側部材83とをZ方向に積層して構成される。第1対向部801において、第1平板部841と第1内側部材83が積層される部分は、第1磁石71が固定される磁石固定部804を構成している。また、第1対向部801のY方向の両端には、磁石固定部804からY方向の両側に延びる一対の接続体固定部805が設けられている。図2に示すように、第1磁石71のY方向の両側において、一対の接続体固定部805のそれぞれは、第1接続体9Aを介して第1プレート11に接続される。
【0039】
図4図5に示すように、第2外側部材86は、Y方向に長い第2平板部861と、第2平板部861のX方向の両端からZ1方向に延びる一対の第2連結板部862を備える。第2平板部861のY方向の中央には、平板状の第2内側部材85がZ1方向から固定される。第2平板部861のY方向の両端は、第2内側部材85のY方向の両側へ延びている。
【0040】
すなわち、ヨーク8の第2対向部802は第2平板部861と第2内側部材85とをZ方向に積層して構成される。第2対向部802において、第2平板部861と第2内側部材85が積層される部分は、第2磁石72が固定される磁石固定部804を構成している。また、第2対向部802のY方向の両端には、磁石固定部804からY方向の両側に延びる一対の接続体固定部805が設けられている。図2に示すように、第2磁石72のY方向の両側において、一対の接続体固定部805のそれぞれは、第2接続体9Bを介して第2プレート12に接続される。
【0041】
ヨーク8を組み立てる際、溶接により第1内側部材83を第1外側部材84に接合する。また、溶接により第2内側部材85を第2外側部材86に接合する。そして、第1ヨーク81の一対の第1連結板部842の内側に、第2ヨーク82の一対の第2連結板部862を圧入して固定する。これにより、一対の接続部803が形成され、ヨーク8は、コイル10、第1プレート11、および第2プレート12の外周側を囲む形状に組み立てられる。
【0042】
(接続体)
図2に示すように、接続体4は、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bを備える。第1接続体9Aおよび第2接続体9Bは、X方向に長い直方体形状である。第1接続体9Aは、コイル10のZ1側に位置する。第2接続体9Bは、コイル10のZ2側に位置する。第1接続体9Aは、第1磁石71のY1側およびY2側の2箇所に配置されており、同一形状の2部材からなる。第2接続体9Bは、第2磁石72のY1側およびY2側の2箇所に配置されており、同一形状の2部材からなる。第1接続体9Aおよび第2接続体9Bは、それぞれ、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える。
【0043】
第1接続体9Aは、第1ヨーク81と第1プレート11との間に配置される。第1接続体9Aは、上記のように、コイル10のY方向の両側において、第1対向部801の接続体固定部805と第1プレート11の間に挟まれている。第1接続体9Aは、接続体固定部805と第1プレート11との間でZ方向に圧縮される。
【0044】
第2接続体9Bは、第2ヨーク82と第2プレート12との間に配置される。第2接続体9Bは、上記のように、コイル10のY方向の両側において、第2対向部802の接続体固定部805と第2プレート12との間に挟まれている。第2接続体9Bは、接続体固定部805と第2プレート12との間でZ方向に圧縮される。
【0045】
本形態では、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bは、シリコーンゲルからなるゲル状部材である。シリコーンゲルは、伸縮方向に変形する際のばね定数が、せん断方向に変形する際のばね定数の3倍程度になる粘弾性体である。粘弾性体は、厚さ方向と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を備える。また、厚さ方向に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。
【0046】
あるいは、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bとして、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0047】
(磁石の断面形状)
図3(a)、図3(b)に示すように、磁石7は平板状であり、XZ平面で切断した断面形状が台形状である。上記のように、本形態では、磁石7として、ヨーク8の第1対向部801に固定される第1磁石71と、ヨーク8の第2対向部802に固定される第2磁石72を備える。
【0048】
第1磁石71は、コイル10にZ1方向から対向する第1平面73と、ヨーク8の第1対向部801に当接する第2平面74と、第1平面73のX方向の両端から第2平面74の側へ延びて第2平面74のX方向の両端に接続される一対の側面75を備える。第1平面73と第2平面74は平行であり、X方向に延在する。一対の側面75のそれぞれは、第1平面73に対して鈍角をなす角度に接続される第1傾斜面751を備える。本形態では、側面75全体が第1傾斜面751からなり、第1傾斜面751は、第2平面74と鋭角をなす角度に接続される。
【0049】
図3(b)に示すように、第1磁石71は、第1プレート11の第1板部111を介してコイル10と対向しており、第1板部111のX方向の幅Dよりも、第1平面73のX方向の幅D1の方が小さい。また、第1磁石71は、コイル10にZ2方向から対向する第1平面73のX方向の幅D1が、コイル10のX方向の幅D0よりも小さい。また、第1磁石71の第2平面74のX方向の幅D2は、コイル10のX方向の幅D0よりも大きい。
【0050】
第1磁石71と第2磁石72は、同一形状であり、Z方向で逆向きに配置される。すなわち、第2磁石72は、コイル10にZ2方向から対向する第1平面73と、ヨーク8の第2対向部802に当接する第2平面74と、第1平面73のX方向の両端から第2平面74の側へ延びて第2平面74のX方向の両端に接続される一対の側面75を備える。一対の側面75のそれぞれは、第1平面73に対して鈍角をなす角度に接続される第1傾斜面751からなり、第2平面74と鋭角をなす角度に接続される。
【0051】
(アクチュエータの動作)
給電基板14を介してコイル10に所定方向の電流が供給されると、支持体3に支持された可動体5は、磁気駆動回路6の駆動力により、支持体3に対してX方向の一方側に相対移動する。その後、電流の向きが反転すると、可動体5は、支持体3に対してX方向の他方側に相対移動する。コイル10に供給される電流の向きの反転が繰り返されることにより、可動体5は振動する。可動体5がX方向に振動するとき、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bはせん断方向に変形する。
【0052】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態のアクチュエータ1は、可動体5と、可動体5を収容するケース2を備える支持体3と、可動体5および支持体3に接続される接続体4と、コイル10およびコイル10にZ方向で対向する磁石7を備え、可動体5を支持体3に対してZ方向に交差するX方向に振動させる磁気駆動回路6を有する。可動体5は、磁石7を保持するヨーク8を備え、ヨーク8は、コイル10にZ方向で対向する対向部80(第1対向部801、第2対向部802)を備え、対向部80に磁石7(第1磁石71、第2磁石72)が固定される。磁石7は、コイル10にZ方向で対向する第1平面73と、対向部80に当接する第2平面74と、第1平面73のX方向の両端からそれぞれ第2平面74の側へ延びて第2平面74に接続される一対の側面75を備える。一対の側面75は、それぞれ、第1平面73に鈍角をなす角度で接続される第1傾斜面751を備える。
【0053】
本形態では、アクチュエータ1の可動体5を構成するヨーク8がコイル10とZ方向で対向する対向部80を備えており、対向部80に固定された磁石7とコイル10とがZ方
向で対向する。磁石7は、X方向の中央部分(第1平面73)とコイル10とのギャップが狭く、且つ、X方向の両端には第1平面73に対して鈍角をなす第1傾斜面751が設けられているため、X方向の両端部分はコイル10とのギャップが広い。従って、可動体5がX方向に直進せずに、Y方向に延びる軸線回りに振り子のように揺動する場合でも、磁石7のX方向の両端部がコイル10を覆う第1プレート11および第2プレート12に衝突するおそれが少ない。また、磁石7のX方向の中央部分は、コイル10とのギャップが小さいので、磁気駆動回路6の推力が低下することを抑制できる。さらに、磁石7は、X方向の両端が第1傾斜面751によって切り欠かれて凹んでいる分だけ体積が小さいため、磁石7の部品コストが低い。
【0054】
本形態では、第1傾斜面751が第2平面74のX方向の端に接続されており、第1磁石71の断面形状は、第1平面73を上辺とし、第2平面74を底辺とする台形状である。従って、コイル10と対向する第1平面73の幅D1を小さくした場合でも、第2平面74の幅D2は大きいので、コイル10に鎖交する磁束の減少を抑制できる。よって、磁気駆動回路6の推力が低下することを抑制できる。
【0055】
すなわち、本形態では、磁石7の第1平面73の幅D1がコイル10の幅D0よりも小さいので、可動体5がX方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石7がコイル10を覆う部材(第1プレート11および第2プレート12)に衝突するおそれが少ない。その一方で、磁石7の最大幅(本形態では、第2平面74の幅D2)はコイル10の幅D0よりも大きい。従って、コイル10に鎖交する磁束を確保できるので、磁気駆動回路6の推力が低下することを抑制できる。
【0056】
本形態では、磁石7は、X方向に対称な形状である。従って、磁石7のX方向の一方側の端部がコイル10に接近する方向に揺動するとき、および、磁石7のX方向の他方側の端部がコイル10に接近する方向に揺動するときのいずれの場合においても、磁石7が支持体3に衝突するおそれが少ない。
【0057】
本形態では、支持体3は、コイル10に対してZ1方向から重なる第1プレート11、および、コイル10に対してZ2方向から重なる第2プレート12を備える。第1プレート11は、X方向に延びる第1板部111と、第1板部111のX方向の両端からコイル10の側へ屈曲してコイル10のX方向の両側を覆う一対の第1曲げ部112を備える。第2プレート12は、X方向に延びる第2板部121と、第2板部121のX方向の両端からコイル10の側へ屈曲してコイル10のX方向の両側を覆う一対の第2曲げ部122を備える。対向部80は、第1板部111にZ1方向から対向する第1対向部801と、第2板部121にZ2方向から対向する第2対向部802を備える。磁石7は、第1対向部801に固定される第1磁石71と、第2対向部802に固定される第2磁石72を備える。第1対向部801と第2対向部802のそれぞれは、磁石固定部804、および、磁石固定部804からZ方向と交差し且つX方向と交差するY方向の両側へ延びる一対の接続体固定部805を備える。接続体4は、第1対向部801の接続体固定部805と第1板部111とを接続する第1接続体9A、および、第2対向部802の接続体固定部805と第2板部121とを接続する第2接続体9Bを備える。このように、コイル10の両側に磁石7(第1磁石71、第2磁石72)を配置することにより、磁気駆動回路6の推力を大きくすることができる。また、コイル10を囲む形状に第1プレート11および第2プレート12を組み立てることにより、コイル10を保護できる。さらに、ヨーク8の内側に接続体4(第1接続体9A、第2接続体9B)を配置できるため、ヨーク8の外側に接続体4の配置スペースを確保する必要がない。従って、アクチュエータ1のZ方向の高さを小さくして小型化することができる。また、第1磁石71と第2磁石72のいずれも、X方向の中央部分がコイル10とのギャップが小さく、X方向の両端部分はコイル10とのギャップが大きい。従って、可動体5がX方向に直進せずに振り子のように揺動
する場合でも、第1磁石71および第2磁石72がコイル10を覆う第1プレート11および第2プレート12に衝突するおそれが少ない。
【0058】
本形態では、第1磁石71と第2磁石72は同一形状であり、Z方向で逆向きに配置される。従って、部品を共通化できるため、コストダウンを図ることができる。また、第1磁石71と第2磁石72を区別して組み立てる必要がないため、組立容易性が高い。
【0059】
(変形例1)
上記形態のアクチュエータは、磁石7の断面形状が台形であるが、本発明は他の断面形状の磁石を備えるアクチュエータに適用可能である。すなわち、磁石7は、コイル10にZ方向で対向する第1表面のX方向の両端部が、第1表面のX方向の中央部分よりも対向部80の側に凹んだ形状とすることができる。
【0060】
図8(a)は、変形例1の磁石7Aを備えたアクチュエータ1を長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図である。図8(b)は、磁石7Aの断面形状の説明図である。変形例1の磁石7Aは、コイル10のZ1方向に位置する第1磁石71Aと、コイル10のZ2方向に位置する第2磁石72Aを備える。第1磁石71Aと第2磁石72Aは、同一形状であり、Z方向で逆向きに配置される。また、第1磁石71Aと第2磁石72Aは、いずれも、X方向に対称な形状である。
【0061】
第1磁石71Aは、コイル10にZ1方向から対向する第1平面73と、ヨーク8の第1対向部801に当接する第2平面74と、第1平面73のX方向の両端から第2平面74の側へ延びて第2平面74のX方向の両端に接続される一対の側面75Aを備える。側面75Aは、第1平面73のX方向の端部に対して鈍角をなす角度に接続される第1傾斜面751、および、第2平面74のX方向の端部に対して鈍角をなす角度に接続される第2傾斜面752を備える。各側面75Aは、第1傾斜面751と第2傾斜面とが屈曲した形状に繋がる屈曲面であり、X方向の両側へ突出する形状である。
【0062】
変形例1の磁石7A(第1磁石71A、第2磁石72A)は、上記形態と同様に、X方向の両端部分はコイル10とのギャップが広い。従って、可動体5がX方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石7がコイル10を覆う第1プレート11および第2プレート12に衝突するおそれが少ない。また、変形例1の磁石7Aは、第1平面73のX方向の角部と、第2平面74のX方向の角部を切り欠いているので、磁石7Aの裏表を区別する必要がない。従って、組立容易性が高い。
【0063】
変形例1の磁石7A(第1磁石71A、第2磁石72A)は、上記形態と同様に、第1平面73の幅D1がコイル10の幅D0よりも小さいので、可動体5がX方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石7Aがコイル10を覆う部材(第1プレート11および第2プレート12)に衝突するおそれが少ない。その一方で、磁石7Aの最大幅D2はコイル10の幅D0よりも大きい。従って、コイル10に鎖交する磁束を確保できるので、磁気駆動回路6の推力が低下することを抑制できる。
【0064】
(変形例2)
図9(a)は、変形例2の磁石7Bを備えたアクチュエータ1を長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図である。図9(b)は、磁石7Bの断面形状の説明図である。変形例2の磁石7Bは、コイル10のZ1方向に位置する第1磁石71Bと、コイル10のZ2方向に位置する第2磁石72Bを備える。第1磁石71Bと第2磁石72Bは、同一形状であり、Z方向で逆向きに配置される。また、第1磁石71Bと第2磁石72Bは、いずれも、X方向に対称な形状である。
【0065】
第1磁石71Bは、コイル10にZ1方向から対向する第1表面を備える。第1表面のX方向の中央部分は、Z方向に対して垂直な第1平面73である。第1表面のX方向の両端部には、第1平面73よりも第1対向部801の側に凹んだ段部76が設けられている。また、第1磁石71Bは、第1対向部801に当接する第2平面74を備える。
【0066】
変形例2の磁石7B(第1磁石71B、第2磁石72B)は、上記形態と同様に、X方向の両端部分はコイル10とのギャップが広い。従って、可動体5がX方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石7がコイル10を覆う第1プレート11および第2プレート12に衝突するおそれが少ない。
【0067】
変形例2の磁石7B(第1磁石71B、第2磁石72B)は、上記形態と同様に、第1平面73の幅D1がコイル10の幅D0よりも小さいので、可動体5がX方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石7Bがコイル10を覆う部材(第1プレート11および第2プレート12)に衝突するおそれが少ない。その一方で、磁石7Bの最大幅D2はコイル10の幅D0よりも大きい。従って、コイル10に鎖交する磁束を確保できるので、磁気駆動回路6の推力が低下することを抑制できる。
【0068】
(変形例3)
図10(a)は、変形例3の磁石7Cを備えたアクチュエータ1を長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図である。図10(b)は、磁石7Cの断面形状の説明図である。変形例3の磁石7Cは、コイル10のZ1方向に位置する第1磁石71Cと、コイル10のZ2方向に位置する第2磁石72Cを備える。第1磁石71Cと第2磁石72Cは、同一形状であり、Z方向で逆向きに配置される。また、第1磁石71Cと第2磁石72Cは、いずれも、X方向に対称な形状である。
【0069】
第1磁石71Cは、コイル10にZ1方向から対向する第1表面77を備える。第1表面77は、X方向の中央を頂点としてコイル10側へ突出する湾曲面である。また、第1磁石71Cは、第1対向部801に当接する第2平面74を備える。
【0070】
変形例3の磁石7C(第1磁石71C、第2磁石72C)は、上記形態と同様に、X方向の両端部分はコイル10とのギャップが広い。従って、可動体5がX方向に直進せずに振り子のように揺動する場合でも、磁石7がコイル10を覆う第1プレート11および第2プレート12に衝突するおそれが少ない。また、磁石7Cの最大幅D2はコイル10の幅D0よりも大きい。従って、コイル10に鎖交する磁束を確保できるので、磁気駆動回路6の推力が低下することを抑制できる。また、磁石7C(第1磁石71C、第2磁石72C)は、第1表面77が湾曲面であって角部がない面であるため、取り扱い時に他の物体に衝突した場合に磁石7Cが欠けるおそれが少ない。
【0071】
(他の実施形態)
本形態では、磁石7として第1磁石71と第2磁石72を備えているが、第1磁石71と第2磁石72の一方のみを備えている構成であってもよい。また、接続体4として、第1接続体9Aと第2接続体9Bの一方のみが設けられている構成を採用することができる。さらに、ヨーク8は、内側部材と外側部材を積層して構成されているが、外側部材のみでヨーク8を構成する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…アクチュエータ、2…ケース、3…支持体、4…接続体、5…可動体、6…磁気駆動回路、7、7A、7B、7C…磁石、8…ヨーク、9A…第1接続体、9B…第2接続体、10…コイル、10、10b…長辺部、10c…中心穴、11…第1プレート、12…第2プレート、14…給電基板、15…第1ホルダ部材、16…第2ホルダ部材、30…
コイル組、31…第1ケース部材、32…第2ケース部材、71、71A、71B、71C…第1磁石、72、72A、72B、72C…第2磁石、73…第1平面、74…第2平面、75、75A…側面、76…段部、77…第1表面、80…対向部、81…第1ヨーク、82…第2ヨーク、83…第1内側部材、84…第1外側部材、85…第2内側部材、86…第2外側部材、111…第1板部、112…第1曲げ部、113…第1固定部、121…第2板部、122…第2曲げ部、123…第2固定部、151…第1コイル保持部、152…第1側板部、153…爪部、161…第2コイル保持部、162…第2側板部、163…爪部、751…第1傾斜面、752…第2傾斜面、801…第1対向部、802…第2対向部、803…接続部、804…磁石固定部、805…接続体固定部、841…第1平板部、842…第1連結板部、861…第2平板部、862…第2連結板部、D…第1板部のX方向の幅、D0…コイルのX方向の幅、D1…第1平面のX方向の幅、D2…第2平面のX方向の幅
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10