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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105413
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
G01K7/22 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006209
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 悠
(72)【発明者】
【氏名】飯田 照幸
(72)【発明者】
【氏名】五十川 浩
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056QF04
2F056QF07
2F056QF10
(57)【要約】
【課題】 インサート成形が不要で、内部リード線と外部リード線との接続部を確実に絶縁することができる温度センサを提供すること。
【解決手段】 感熱素子と、感熱素子に一端が接続された一対の内部リード線と、一対の内部リード線の他端に一対の接続部を介して一端が接続された一対の外部リード線5と、感熱素子と一対の内部リード線と一対の接続部とを収納するケース部材6と、ケース部材内に充填され少なくとも感熱素子を封止する封止樹脂部7と、ケース部材内で一対の接続部の間に配される絶縁性の隔壁部を有する隔壁部材8とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱素子と、
前記感熱素子に一端が接続された一対の内部リード線と、
前記一対の内部リード線の他端に一対の接続部を介して一端が接続された一対の外部リード線と、
前記感熱素子と前記一対の内部リード線と前記一対の接続部とを収納するケース部材と、
前記ケース部材内に充填され少なくとも前記感熱素子を封止する封止樹脂部と、
前記ケース部材内で前記一対の接続部の間に配される絶縁性の隔壁部を有する隔壁部材とを備えていることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記隔壁部材が、凸部を有し、
前記ケース部材が、前記凸部が嵌め込み可能な凹部を有していることを特徴とする温度センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記隔壁部材が、前記隔壁部に対して直交し前記ケース部材の内面に当接する直交板部を有していることを特徴とする温度センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
前記ケース部材が、前記感熱素子が収納されたケース下部と、
前記外部リード線の一端側が収納されていると共に上部に開口部を有したケース上部とを有し、
前記隔壁部材が、前記開口部を閉塞する蓋部を有していることを特徴とする温度センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の温度センサにおいて、
前記外部リード線が、前記ケース上部内で曲げられて前記ケース上部の側面から外部に延在し、
前記蓋部が、前記開口部を閉塞した際に前記ケース上部との間で前記一対の外部リード線を前記側面で挟んで押さえるリード押さえ部を有していることを特徴とする温度センサ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
前記隔壁部材が、前記一対の外部リード線の間に挿入可能で前記隔壁部の厚さよりも幅広な突出部を有していることを特徴とする温度センサ。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
前記蓋部に貫通孔が形成されていることを特徴とする温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のリード線の接続部間の絶縁を確保することができる温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のATF(オートマチックフルード)等の温度を検知するために温度センサが用いられている。
このような温度センサでは、サーミスタ素子等の感熱素子に一端が接続された一対の内部リード線と、一対の内部リード線の他端と一対の接続部を介して接続された一対の外部リード線と、少なくとも感熱素子及び一対の内部リード線と一対の接続部とを封止した樹脂部とを備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、PPS(ポリフェニレンサルファイド)の2回インサート成形で作製された温度センサが記載されている。この温度センサは、1次成形時に接続部の金型上に仕切り壁を設けて貫通孔を形成し、2次成形で貫通孔に樹脂壁を形成することで一対の接続部の絶縁を確保している。
また、特許文献2には、保護チューブに内部リード線を挿通させることで、一対の内部リード線間の絶縁を確保している温度センサ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4455839号公報
【特許文献2】実用新案登録第2520903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記特許文献1では、2回のインサート成形が必要であり、生産性が低いという問題がある。また、特許文献2では、絶縁対策に保護チューブを使用しているが、内部リード線と外部リード線との接続部の絶縁を行うには、内部リード線と外部リード線との線径差が大きいために、保護チューブとの隙間ができ易く、特に内部リード線側に気泡が残り易くなって信頼性の低下及び応答性のばらつきの要因となってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、インサート成形が不要で、内部リード線と外部リード線との接続部を確実に絶縁することができる温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサは、感熱素子と、前記感熱素子に一端が接続された一対の内部リード線と、前記一対の内部リード線の他端に一対の接続部を介して一端が接続された一対の外部リード線と、前記感熱素子と前記一対の内部リード線と前記一対の接続部とを収納するケース部材と、前記ケース部材内に充填され少なくとも前記感熱素子を封止する封止樹脂部と、前記ケース部材内で前記一対の接続部の間に配される絶縁性の隔壁部を有する隔壁部材とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この温度センサでは、ケース部材内で一対の接続部の間に配される絶縁性の隔壁部を有する隔壁部材を備えているので、隔壁部により物理的に一対の接続部間の絶縁が確保される。また、製造の際にインサート成形が不要なため、作業性が向上する。さらに、隔壁部がケース部材内に入ることで、封止樹脂部の充填量を削減することができ、コストダウンが可能であると共に樹脂体積が小さくなり封止樹脂部の割れを防止可能である。
【0009】
第2の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記隔壁部材が、凸部を有し、前記ケース部材が、前記凸部が嵌め込み可能な凹部を有していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、ケース部材が、隔壁部材の凸部が嵌め込み可能な凹部を有しているので、隔壁部材の凸部が凹部に嵌め込まれて位置決め固定され、位置ずれを抑制することができる。
【0010】
第3の発明に係る温度センサは、第1又は第2の発明において、前記隔壁部材が、前記隔壁部に対して直交し前記ケース部材の内面に当接する直交板部を有していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、隔壁部材が、隔壁部に対して直交しケース部材の内面に当接する直交板部を有しているので、直交板部がケース部材の内面に当接することによって隔壁部材がケース部材内で傾き難く安定する。また、隔壁部材がケース部材内面を支持することで、ケース部材の強度も向上する。
【0011】
第4の発明に係る温度センサは、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記ケース部材が、前記感熱素子が収納されたケース下部と、前記外部リード線の一端側が収納されていると共に上部に開口部を有したケース上部とを有し、前記隔壁部材が、前記開口部を閉塞する蓋部を有していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、隔壁部材が、開口部を閉塞する蓋部を有しているので、隔壁部と蓋部とが一体化していることで、隔壁部の挿入と開口部の閉塞とを同時に行うことができる。また、蓋部によってケース部材の強度(特に上下方向の引張強度)が向上すると共に、化粧板としての蓋部によりケース部材の天面を平坦化することができる。また、外部のオイル等がケース部材内に進入、付着することを蓋部により防止できる。
【0012】
第5の発明に係る温度センサは、第4の発明において、前記外部リード線が、前記ケース上部内で曲げられて前記ケース上部の側面から外部に延在し、前記蓋部が、前記開口部を閉塞した際に前記ケース上部との間で前記一対の外部リード線を前記側面で挟んで押さえるリード押さえ部を有していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、蓋部が、開口部を閉塞した際にケース上部との間で一対の外部リード線を側面で挟んで押さえるリード押さえ部を有しているので、ケース上部内で曲げられて側面から延在する一対の外部リード線をリード押さえ部によってしっかり押さえることができる。
【0013】
第6の発明に係る温度センサは、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記隔壁部材が、前記一対の外部リード線の間に挿入可能で前記隔壁部の厚さよりも幅広な突出部を有していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、隔壁部材が、一対の外部リード線の間に挿入可能で隔壁部の厚さよりも幅広な突出部を有しているので、突出部が一対の外部リード線の間に挿入されることで、一対の外部リード線を左右に押し広げて確実に離間させることができると共に、隔壁部を確実にかつ容易に一対の接続部間に挿入させることができる。
【0014】
第7の発明に係る温度センサは、第4から第6の発明のいずれかにおいて、前記蓋部に貫通孔が形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、蓋部に貫通孔が形成されているので、貫通孔からケース部材内に充填した封止樹脂部を目視で確認することができ、樹脂充填忘れを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサによれば、ケース部材内で一対の接続部の間に配される絶縁性の隔壁部を有する隔壁部材を備えているので、隔壁部により物理的に一対の接続部間の絶縁が確保される。また、製造の際にインサート成形が不要なため、作業性が向上する。
このように本発明の温度センサは、一対のリード線間の絶縁が確保されて高い信頼性が得られると共に、製造コストが低く、自動車のATF等の温度測定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る温度センサの第1実施形態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態において、2次注型前の温度センサを示す平面図である。
図3】第1実施形態において、外部リード線L字曲げ後にケース部材を破断した状態を示す斜視図である。
図4】第1実施形態において、隔壁部材を示す斜視図である。
図5】本発明に係る温度センサの第2実施形態を示す斜視図である。
図6】第2実施形態において、2次注型前の温度センサを示す平面図である。
図7】第2実施形態において、隔壁部材を示す斜視図である。
図8】本発明に係る温度センサの第3実施形態を示す斜視図である。
図9】第3実施形態において、隔壁部材を示す上方から視た斜視図(a),側面図(b)及び下方から視た斜視図(c)である。
図10】本発明に係る温度センサの第4実施形態を示す斜視図である。
図11】第4実施形態において、隔壁部材を示す上方から視た斜視図(a),側面図(b)及び下方から視た斜視図(c)である。
図12】本発明に係る温度センサの第5実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る温度センサにおける第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
【0018】
本実施形態の温度センサ1は、ATF用であって、図1から図4に示すように、感熱素子2と、感熱素子2に一端が接続された一対の内部リード線3と、一対の内部リード線3の他端に一対の接続部4を介して一端が接続された一対の外部リード線5と、感熱素子2と一対の内部リード線3と一対の接続部4とを収納するケース部材6と、ケース部材6内に充填され少なくとも感熱素子2を封止する封止樹脂部7と、ケース部材6内で一対の接続部4の間に配される絶縁性の隔壁部8aを有する隔壁部材8とを備えている。
【0019】
上記隔壁部材8が、凸部8bを有している。
すなわち、隔壁部材8は、図4に示すように、長方形状の隔壁部8aと凸部8bとで略逆L字状の平板を構成している。
上記ケース部材6は、凸部8bが嵌め込み可能な凹部6aを有している。
ケース部材6は、感熱素子2が収納されたケース下部9Aと、外部リード線5の一端側が収納されていると共に上部に開口部9bを有したケース上部9Bとを有している。
一対の外部リード線5は、ケース上部9B内で逆L字状に曲げられてケース上部9Bの側面の凹部6aから外部に延在している。
【0020】
上記感熱素子2は、サーミスタ素体である。本実施形態では、例えばNTC型サーミスタを採用している。このサーミスタ材料は、Mn-Co-Cu系材料、Mn-Co-Fe系材料等のサーミスタ材料で形成されている。
特に、本実施形態のサーミスタ素体は、例えばMn-Co系複合金属酸化物(例えば、Mn-Co系複合金属酸化物)又は、Mn-Co系複合金属酸化物に、Ni,Fe,Cu,Alのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物(例えば、Mn-Co-Fe系複合金属酸化物)からなるスピネル系の複合金属酸化物膜を有したものである。
また、サーミスタ素体の他の例としては、ペロブスカイト型酸化物を含有する金属酸化物焼結体であって、例えば一般式:La1-yCa(Cr1-xMn)O(0.0≦x≦1.0、0.0<y≦0.7)で示される複合酸化物を含む焼結体で構成されているものでもよい。なお、この焼結体に、さらに絶縁体材料として、例えばY,ZrO,MgO,Al,CeOを添加しても構わない。
また、サーミスタ素体として、Mn,CoおよびFeの金属酸化物を含有するセラミックス焼結体、すなわちMn-Co-Fe系材料で形成されたものを採用しても構わない。
【0021】
例えば基板(図示略)に実装されたチップサーミスタ又はフレーク型サーミスタ(図示略)をガラスで覆っている耐熱性の高いガラス封止タイプである。
なお、本実施形態では、射出成形よりも低い温度でエポキシ樹脂をケース部材6内に注型する構造を採用しているため、エポキシ樹脂でコーティングした感熱素子2を採用することも可能である。
【0022】
上記内部リード線3は、例えば導体をポリエステル被膜等で絶縁被覆したCP線(銅覆鋼線)や、ポリイミド電着で絶縁被膜されたジュメット線が採用される。
上記外部リード線5は、例えばフッ素ゴム電線や架橋ポリエチレン電線等が採用される。
また、内部リード線3と外部リード線5との接続部4は、半田,溶接,カシメ等で構成されている。
【0023】
上記ケース部材6及び隔壁部材8は、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)で形成されている。
ケース部材6内に注型されて構成される封止樹脂部7は、例えばケース部材6のPPSの線膨張係数に近い低線膨張係数のエポキシ樹脂やシリコーン樹脂が採用される。
上記ケース下部9Aは、有底の円筒形状であり、下端部内に感熱素子2が収納されている。
なお、ケース下部9Aの中間部分には、測定対象に取り付ける際の密着固定用のOリング(図示略)が間に巻かれる一対のフランジ部10が形成されている。
【0024】
上記ケース上部9Bは、上部が開口した四角筒形状であり、内部に接続部4と外部リード線5の一端側が収納されている。
ケース上部9Bの側面には、曲げた一対の外部リード線5が嵌め込まれる逆T字状に切り欠かれた上記凹部6aが形成されている。
なお、凹部6aの中央部には、隔壁部材8の凸部8bが嵌め込まれる。
【0025】
次に、本実施形態の温度センサ1の製造方法について説明する。
なお、予め感熱素子2と一対の内部リード線3と一対の外部リード線5とを接続しておく。
まず、ケース部材6のケース下部9A内にエポキシ樹脂を充填して1次注型を行う。
このエポキシ樹脂が硬化する前に、上記接続した感熱素子2をケース下部9A内に挿入し、ケース下部9Aの下端部内に感熱素子2を収納した状態で、エポキシ樹脂を硬化させることで、図3に示すように、封止樹脂部7の下部が形成される。
【0026】
さらに、一対の外部リード線5をケース上部9B内で逆L字状に折り曲げ、ケース上部9B側面の逆T字状の凹部6a内に嵌め込む。
なお、予め外部リード線5をL字状に曲げておいても構わない。この場合、ケース部材6内に挿入後に手動で外部リード線5を折り曲げる場合に比べて、接続部4の負荷を低減可能であると共に、折り曲げ形状及び感熱素子2の位置が安定する。
次に、ケース上部9Bの開口部9bから隔壁部材8を挿入する。このとき、隔壁部材8の隔壁部8aを一対の接続部4間にまで挿入すると共に、凸部8bを凹部6a内の一対の外部リード線5の間にまで嵌め込む。
【0027】
この状態で、次にケース上部9B内にエポキシ樹脂を充填して2次注型を行い、エポキシ樹脂を硬化させることで、封止樹脂部7全体が形成されると共に、温度センサ1が作製される。
なお、PPSのケース部材6と注型されるエポキシ樹脂とは、密着性が高く、外部リード線5の被覆の界面から外部の水分やオイル等が浸入することを抑制できる。
また、凸部8bが凹部6aに嵌め込まれることで、エポキシ樹脂が充填される際に凹部6aの一対の外部リード線5間からエポキシ樹脂が漏れ出てしまうことを防止できる。
【0028】
このように本実施形態の温度センサ1では、ケース部材6内で一対の接続部4の間に配される絶縁性の隔壁部8aを有する隔壁部材8を備えているので、隔壁部8aにより物理的に一対の接続部4間の絶縁が確保される。また、製造の際にインサート成形が不要なため、作業性が向上する。さらに、隔壁部8aがケース部材6内に入ることで、封止樹脂部7の注型樹脂の充填量を削減することができ、コストダウンが可能であると共に樹脂体積が小さくなり封止樹脂部7の割れを防止可能である。
また、ケース部材6が、隔壁部材8の凸部8bが嵌め込み可能な凹部6aを有しているので、隔壁部材8の凸部8bが凹部6aに嵌め込まれて位置決め固定され、位置ずれを抑制することができる。
【0029】
次に、本発明に係る温度センサの第2から第5実施形態について、図5から図12を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0030】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、隔壁部材8が略逆L字状の平板とされているのに対し、第2実施形態の温度センサ21では、図5から図7に示すように、断面T字状の隔壁部材28を採用している点である。
すなわち、第2実施形態の隔壁部材28は、隔壁部28aに対して直交しケース部材6の内面に当接する直交板部28cを有している。
【0031】
隔壁部28aは、ケース上部9Bの内面のうち凹部6a側の内面に当接している。また、直交板部28cは、ケース上部9Bの内面のうち凹部6aとは反対側の内面とその両側の一対の内面との3面に当接している。
このように第2実施形態の温度センサ21では、隔壁部材28が、隔壁部28aに対して直交しケース部材6の内面に当接する直交板部28cを有しているので、直交板部28cがケース部材6の内面に当接することによって隔壁部材28がケース部材6内で傾き難く安定する。また、隔壁部材28がケース部材6内面を支持することで、ケース部材6の強度も向上する。
【0032】
次に、第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、ケース上部9Bに開口部9bがそのまま開いているのに対し、第3実施形態の温度センサ31では、図8及び図9に示すように、隔壁部材38が開口部9bを閉塞する蓋部38dを有している点である。
すなわち、第3実施形態の隔壁部材38は、図9に示すように、隔壁部38aの上部に上面が平坦な板状の蓋部38dが形成されている。
【0033】
また、蓋部38dは、開口部9bを閉塞した際にケース上部39Bとの間で一対の外部リード線5を側面で挟んで押さえる一対のリード押さえ部38fを有している。
すなわち、蓋部38dの端辺には、下方に突出していると共にケース上部39Bの一対の凹部36a内に配された一対の外部リード線5を上方から押さえ込む一対のリード押さえ部38fが設けられている。
また、蓋部38dの端辺には、下方に棒状に突出した一対のスナップ用突出部38eが設けられている。
上記一対のスナップ用突出部38eの先端部は鉤状になっており、ケース部材36のケース上部39Bに形成された一対のスナップ用凹部39bに嵌め込み可能になっている。
なお、第3実施形態の隔壁部材38及び後述する第4実施形態の隔壁部材48は、スナップ機構を有するためにバネ性が必要なため、PPSではなく、PA66(ポリアミド66)で形成されている。
【0034】
このように第3実施形態の温度センサ31では、隔壁部材38が、開口部9bを閉塞する蓋部38dを有しているので、隔壁部38aと蓋部38dとが一体化していることで、隔壁部38aの挿入と開口部9bの閉塞とを同時に行うことができる。また、蓋部38dによってケース部材36の強度(特に上下方向の引張強度)が向上すると共に、化粧板としての蓋部38dによりケース部材36の天面を平坦化することができる。また、外部のオイル等がケース部材36内に進入、付着することを蓋部38dにより防止できる。
【0035】
さらに、蓋部38dが、開口部9bを閉塞した際にケース上部39Bとの間で一対の外部リード線5を側面で挟んで押さえるリード押さえ部38fを有しているので、ケース上部39B内で曲げられて側面から延在する一対の外部リード線5をリード押さえ部38fによってしっかり押さえることができる。
【0036】
次に、第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、隔壁部材38が単に平板状の隔壁部38aを有しているのに対し、第4実施形態の温度センサ41では、図10及び図11に示すように、隔壁部材48が、隔壁部48aに加え、一対の外部リード線5の間に挿入可能で隔壁部48aの厚さよりも幅広な突出部48gを有している点である。
すなわち、第4実施形態の隔壁部材48は、下部から上部に向かって幅が漸次拡がった突出部48gを有している。
【0037】
上記突出部48gは、左右対称な略逆三角板形状であり、長方形状の隔壁部48aの側端に隔壁部48aに対して直交して設けられている。
また、隔壁部材48は、第2実施形態と同様に、隔壁部48aに対して直交しケース部材46の内面に当接する直交板部48cを有している。
さらに、隔壁部材48は、一対の外部リード線5が嵌め込まれる一対のリード線用溝48hを外部リード線5が突出する側面側に有している。
【0038】
このように第4実施形態の温度センサ41では、隔壁部材48が、一対の外部リード線5の間に挿入可能で隔壁部48aの厚さよりも幅広な突出部48gを有しているので、突出部48gが一対の外部リード線5の間に挿入されることで、一対の外部リード線5を左右に押し広げて確実に離間させることができると共に、隔壁部48aを確実にかつ容易に一対の接続部4間に挿入させることができる。
【0039】
第3実施形態の温度センサ31及び第4実施形態の温度センサ41では、エポキシ樹脂の2次注型が不要なため生産性が向上する。
以下、第4実施形態の温度センサ41の製造方法を説明する。
なお、予め、感熱素子2と一対の内部リード線3と一対の外部リード線5とを接続した後、外部リード線5をL字状に折り曲げた感熱素子2を隔壁部材48に取り付けておく。
【0040】
まず、ケース部材46のケース下部9Aとケース上部49B内までエポキシ樹脂を充填して1次注型を行う。このエポキシ樹脂が硬化する前に、上記感熱素子2を取り付けた隔壁部材48をケース部材46に挿入し、スナップ用凹部39bにスナップ用突出部38eを嵌め込むことで温度センサが製造される。
さらに、このとき感熱素子2をケース部材46の先端に押し付けながら挿入することで感熱素子2の浮きを抑えることができるため、素子位置が安定し応答性ばらつきを小さくすることができる。
【0041】
次に、第5実施形態と第4実施形態との異なる点は、第3実施形態では、蓋部38dが単に平坦な上面を有しているのに対し、第5実施形態の温度センサ51では、図12に示すように、隔壁部材58の蓋部58dに貫通孔58hが形成されている点である。
すなわち、第5実施形態では、蓋部58dに一対の貫通孔58hが形成されている。
このように第5実施形態の温度センサ51では、蓋部58dに貫通孔58hが形成されているので、貫通孔58hからケース部材49B内に充填した封止樹脂部7を目視で確認することができ、樹脂充填忘れを防止できる。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、感熱素子としてチップサーミスタ又はフレーク型のサーミスタを用いたものを採用しているが、薄膜サーミスタや焦電素子などを採用しても構わない。
【符号の説明】
【0043】
1,21,31,41,51…温度センサ、2…感熱素子、3…内部リード線、4…接続部、5…外部リード線、6,36,46…ケース部材、6a…凹部、7…封止樹脂部、8,28,48,58…隔壁部材、8a,28a,48a…隔壁部、8b…凸部、9A…ケース下部、9B,39B,49B…ケース上部、9b…開口部、28c…直交板部、38d,58d…蓋部、38f…リード押さえ部、48g…突出部、58h…貫通孔
図1
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図12