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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105414
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/43 20180101AFI20230724BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230724BHJP
   F21S 41/155 20180101ALI20230724BHJP
   F21S 41/265 20180101ALI20230724BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20230724BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20230724BHJP
   F21W 102/15 20180101ALN20230724BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230724BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20230724BHJP
【FI】
F21S41/43
F21S41/143
F21S41/155
F21S41/265
F21S41/663
F21W102:135
F21W102:15
F21Y115:10
F21Y105:16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006210
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】内田 直樹
(57)【要約】
【課題】マイクロレンズアレイを備えた車両用灯具において、その奥行寸法を小さくした上で配光ムラの少ない配光パターンを形成可能とする。
【解決手段】光源ユニット30からの出射光をマイクロレンズアレイ40を介して灯具前方へ向けて照射する構成とする。その際、マイクロレンズアレイ40を構成する後側レンズアレイ42と前側レンズアレイ44との間に、複数の透光部50a、50b、50cを有する遮光シート50が配置された構成とする。また、光源ユニット30は、複数の集光レンズ部42sの各々と対応する位置において発光面32aを灯具前方へ向けた状態で配置された複数の発光素子32を備えた構成とする。そして、複数の発光素子32の各々からの出射光を複数の集光レンズ部42sの各々に入射させることにより、複数の集光レンズ部42sの各々に入射する光の明るさを略均一なものとし、かつ、車両用灯具10の奥行寸法を小さくする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニットからの出射光をマイクロレンズアレイを介して灯具前方へ向けて照射することにより、所要の配光パターンを形成するように構成された車両用灯具において、
上記マイクロレンズアレイは、上記光源ユニットからの出射光を集光させるための複数の集光レンズ部が後面に形成された後側レンズアレイと、上記複数の集光レンズ部によって形成される複数の光源像の各々を投影するための複数の投影レンズ部が前面に形成された前側レンズアレイとを備えており、
上記後側レンズアレイと上記前側レンズアレイとの間に、上記複数の光源像の各々の外形形状を規定するための複数の透光部を有する遮光シートが配置されており、
上記光源ユニットは、上記複数の集光レンズ部の各々と対応する位置において発光面を灯具前方へ向けた状態で配置された複数の発光素子を備えている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記光源ユニットは、上記複数の発光素子のうちの一部が選択的に点灯し得るように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記遮光シートは、上記複数の透光部として外形形状の異なる複数種類の透光部を備えている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記複数の透光部の各々は、上記複数の投影レンズ部の各々における上部領域の灯具後方側に位置するように形成されており、
上記複数の発光素子および上記複数の集光レンズ部の各々は、上記複数の投影レンズ部の各々に対して上方側にオフセットした状態で配置されている、ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記マイクロレンズアレイの灯具後方側に、上記複数の発光素子の各々からの出射光を集光させるための複数の第2集光レンズ部を有する第2レンズアレイが配置されている、ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記複数の透光部の各々は、上記複数の投影レンズ部の各々における上部領域の灯具後方側に位置するように形成されており、
上記複数の発光素子、上記複数の第2集光レンズ部および上記複数の集光レンズ部の各々は、上記複数の投影レンズ部の各々に対して上方側にオフセットした状態で配置されている、ことを特徴とする請求項5記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、マイクロレンズアレイを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具の構成として、光源ユニットからの出射光をマイクロレンズアレイを介して灯具前方へ向けて照射することにより、所要の配光パターンを形成するように構成されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具におけるマイクロレンズアレイの構成として、光源ユニットからの出射光を集光させるための複数の集光レンズ部が後面に形成された後側レンズアレイと、これら複数の集光レンズ部によって形成される複数の光源像の各々を投影するための複数の投影レンズ部が前面に形成された前側レンズアレイとを備えたものが記載されている。
【0004】
この「特許文献1」に記載された車両用灯具のマイクロレンズアレイは、後側レンズアレイと前側レンズアレイとの間に、複数の光源像の各々の外形形状を規定するための複数の透光部を有する遮光シートが配置された構成となっている。
【0005】
そして、この「特許文献1」に記載された車両用灯具の光源ユニットは、単一の光源と、この光源からの出射光を平行光として後側レンズアレイに入射させるための透光部材とを備えた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-61231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなマイクロレンズアレイを備えた車両用灯具において、その照射光によって形成される配光パターンを配光ムラの少ないものするためには、光源ユニットからの出射光を複数の集光レンズ部の各々に対して均一な明るさで入射させることが望まれる。
【0008】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、単一の光源からの出射光を複数の集光レンズ部の各々に対して略均一な明るさを有する平行光として入射させる構成を実現するために、透光部材が大型で複雑な形状を有するものとなっており、このため車両用灯具の奥行寸法が大きいものとなっている。
【0009】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、マイクロレンズアレイを備えた車両用灯具において、その奥行寸法を小さくした上で配光ムラの少ない配光パターンを形成することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、光源ユニットの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0011】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源ユニットからの出射光をマイクロレンズアレイを介して灯具前方へ向けて照射することにより、所要の配光パターンを形成するように構成された車両用灯具において、
上記マイクロレンズアレイは、上記光源ユニットからの出射光を集光させるための複数の集光レンズ部が後面に形成された後側レンズアレイと、上記複数の集光レンズ部によって形成される複数の光源像の各々を投影するための複数の投影レンズ部が前面に形成された前側レンズアレイとを備えており、
上記後側レンズアレイと上記前側レンズアレイとの間に、上記複数の光源像の各々の外形形状を規定するための複数の透光部を有する遮光シートが配置されており、
上記光源ユニットは、上記複数の集光レンズ部の各々と対応する位置において発光面を灯具前方へ向けた状態で配置された複数の発光素子を備えている、ことを特徴とするものである。
【0012】
上記「所要の配光パターン」の種類や具体的な形状は特に限定されるものではなく、例えば、ヘッドランプのハイビーム用配光パターンやロービーム用配光パターンあるいは路面描画用配光パターン等が採用可能である。
【0013】
上記「遮光シート」は、シート状に形成されていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、複数の透光部が複数の開口部として形成された遮光板や、複数の透光部を囲む領域の表面に遮光処理が施された透明シートや、後側レンズアレイの前面または前側レンズアレイの後面において複数の透光部を囲む領域に遮光処理が施されることによって形成された遮光膜等が採用可能である。
【0014】
上記「複数の透光部」の各々の具体的な大きさや外形形状は特に限定されるものではない。
【0015】
上記「複数の発光素子」の各々は、複数の集光レンズ部の各々と対応する位置において発光面を灯具前方へ向けた状態で配置されていれば、その発光面の具体的な大きさや外形形状は特に限定されるものではなく、また、複数の集光レンズ部の各々との具体的な位置関係は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
本願発明に係る車両用灯具は、光源ユニットからの出射光をマイクロレンズアレイを介して灯具前方へ向けて照射することにより所要の配光パターンを形成する構成となっているが、マイクロレンズアレイを構成する後側レンズアレイと前側レンズアレイとの間には、複数の光源像の各々の外形形状を規定するための複数の透光部を有する遮光シートが配置されているので、複数の透光部の各々の大きさや外形形状に応じた配光パターンを形成することができる。
【0017】
その上で、光源ユニットは、後側レンズアレイを構成する複数の集光レンズ部の各々と対応する位置において発光面を灯具前方へ向けた状態で配置された複数の発光素子を備えているので、複数の発光素子の各々からの出射光を複数の集光レンズ部の各々に入射させることができ、これにより複数の集光レンズ部の各々に入射する光の明るさを略均一なものとすることができる。そしてこれにより配光ムラの少ない配光パターンを形成することが容易に可能となる。
【0018】
その際、従来の光源ユニットのように、単一の光源からの出射光を略均一な明るさを有する平行光として複数の集光レンズ部の各々に入射させるために大型で複雑な形状を有する透光部材を配置する必要がなくなり、これにより車両用灯具の奥行寸法を小さくすることができる。
【0019】
このように本願発明によれば、マイクロレンズアレイを備えた車両用灯具において、その奥行寸法を小さくした上で配光ムラの少ない配光パターンを形成することができる。
【0020】
上記構成において、さらに、光源ユニットとして、複数の発光素子のうちの一部が選択的に点灯し得る構成とすれば、車両走行状況等に応じて配光パターンの明るさを適宜調整することが容易に可能となる。
【0021】
上記構成において、さらに、遮光シートの構成として、外形形状の異なる複数種類の透光部を備えたものとすれば、配光パターンの形状自由度を高めることができる。
【0022】
上記構成において、さらに、複数の透光部の各々が、前側レンズアレイを構成する複数の投影レンズ部の各々における上部領域の灯具後方側に位置するように形成された構成とした上で、複数の発光素子および複数の集光レンズ部の各々が、複数の投影レンズ部の各々に対して上方側にオフセットした状態で配置された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0023】
すなわち、複数の透光部の各々が、複数の投影レンズ部の各々における上部領域の灯具後方側に位置するように形成された構成とすることによって、上記所要の配光パターンとしてロービーム用配光パターンや路面描画用配光パターン等を形成することが容易に可能となる。
【0024】
その上で、複数の発光素子および複数の集光レンズ部の各々が、複数の投影レンズ部の各々に対して上方側にオフセットした状態で配置された構成とすれば、複数の発光素子の各々からその発光面の面直方向へ向かう出射光を効率良く複数の集光レンズ部の各々に入射させて複数の透光部の各々を透過させることができ、これによりロービーム用配光パターンや路面描画用配光パターン等をより明るい配光パターンとして形成することができる。
【0025】
上記構成において、さらに、マイクロレンズアレイの灯具後方側に、複数の発光素子の各々からの出射光を集光させるための複数の第2集光レンズ部を有する第2レンズアレイが配置された構成とすれば、車両用灯具の奥行寸法は多少大きくなるものの、複数の発光素子の各々からの出射光を、第2レンズアレイを介して効率良く複数の集光レンズ部の各々に入射させることができ、これにより配光パターンの明るさを増大させることができる。
【0026】
その際、複数の透光部の各々が、複数の投影レンズ部の各々における上部領域の灯具後方側に位置するように形成された構成とした上で、複数の発光素子、複数の第2集光レンズ部および複数の集光レンズ部の各々が、複数の投影レンズ部の各々に対して上方側にオフセットした状態で配置された構成とすれば、ロービーム用配光パターンや路面描画用配光パターン等をより明るい配光パターンとして形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図2のIII-III線断面図
図4図1のIV部詳細図
図5図3のV部詳細図
図6】上記車両用灯具からの照射光により形成される配光パターンを透視的に示す図
図7】上記実施形態の第1変形例を示す、図1と同様の図
図8図7のVIII-VIII線断面図
図9】上記実施形態の第2変形例を示す、図7と同様の図
図10図9のX-X線断面図
図11】上記実施形態の第3変形例を示す、図5と同様の図
図12】上記実施形態の第4変形例を示す、図11と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、図2図1のII-II線断面図であり、図3図2のIII-III線断面図である。なお、図1においては構成要素の一部を破断した状態で示している。
【0030】
図1~3において、Xで示す方向が灯具としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(車両としても「左方向」であるが灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。図1~3以外の図においても同様である。
【0031】
図1~3に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右前端部に設けられるヘッドランプであって、ランプボディ12と透光カバー14とで形成される灯室内に光源ユニット30とマイクロレンズアレイ40とが収容された構成となっている。そして、この車両用灯具10は、光源ユニット30からの出射光をマイクロレンズアレイ40を介して灯具前方へ向けて照射するように構成されている。
【0032】
マイクロレンズアレイ40は、後側レンズアレイ42と、その灯具前方側に位置する前側レンズアレイ44とを備えている。
【0033】
後側レンズアレイ42の前面は、灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる平面で構成されているが、その後面には光源ユニット30からの出射光を集光させるための複数の集光レンズ部42sが形成されている。これら複数の集光レンズ部42sは、いずれも凸曲面状の魚眼レンズであって、灯具前後方向に延びる光軸Axを有している。
【0034】
複数の集光レンズ部42sは、縦横格子状に区分けされた複数のセグメントの各々に割り付けられている。各セグメントは、一辺の長さが0.5~3mm程度(例えば1mm)のやや横長の矩形状の外形形状を有している。また、縦横格子状の区分けは、上下方向よりも左右方向に関して数多くなされている。具体的には、上下方向に関しては5~15個程度(例えば9個)のセグメントに区分けされており、左右方向にはその3倍程度(例えば27個)のセグメントに区分けされている。
【0035】
一方、前側レンズアレイ44の後面は、灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる平面で構成されているが、その前面には複数の集光レンズ部42sによって形成される複数の光源像の各々を投影するための複数の投影レンズ部44sが形成されている。これら複数の投影レンズ部44sは、いずれも凸曲面状の魚眼レンズであって、複数の集光レンズ部42sの各々と同一サイズで縦横格子状に区分けされた複数のセグメントの各々に割り付けられている。その際、複数の投影レンズ部44sの各々の光軸Axは、複数の集光レンズ部42sの各々の光軸Axと同軸となるように設定されている。
【0036】
後側レンズアレイ42は、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有しており、複数の集光レンズ部42sが形成されている部分を囲む外周縁領域42aは平板状に形成されている。
【0037】
一方、前側レンズアレイ44も、灯具正面視において後側レンズアレイ42と同一の外形形状を有しており、複数の投影レンズ部44sが形成されている部分を囲む外周縁領域44aは平板状に形成されている。
【0038】
後側レンズアレイ42と前側レンズアレイ44との間には、複数の集光レンズ部42sによって形成される複数の光源像の各々の形状を規定するための遮光シート50が配置されている。
【0039】
遮光シート50は、後側レンズアレイ42および前側レンズアレイ44と略同一の外形形状を有する遮光板(例えば0.1~0.5mm程度の板厚を有する金属板)で構成されている。この遮光シート50には複数の透光部50a、50b、50cが規則的に形成されている。すなわち、複数の透光部50a、50b、50cは、前側レンズアレイ44における複数の投影レンズ部44sの各々に対応するようにして縦横格子状に配置されている。
【0040】
図1に示すように、複数の透光部50a、50b、50cは、遮光シート50を貫通する開口部として互いに異なる開口形状で形成されている。
【0041】
すなわち、上部3列に位置する複数の透光部50aは、横長楕円形の上半部と略同一形状の開口形状を有している。また、中央部3列に位置する複数の透光部50bも、横長楕円形の上半部と略同一形状の開口形状を有しているが、透光部50aよりも小さい開口形状を有している。さらに、下部3列に位置する複数の透光部50cは、透光部50aよりも左右幅がやや小さい横長楕円形の開口形状を有している。
【0042】
遮光シート50は、後側レンズアレイ42および前側レンズアレイ44に対して接着等によって固定されている。そして、マイクロレンズアレイ40は、後側レンズアレイ42の外周縁領域42aにおいてランプボディ12に支持されている。
【0043】
光源ユニット30は、複数の発光素子32を備えた構成となっている。これら複数の発光素子32は、いずれも白色発光ダイオードであって、矩形状(例えば正方形)の発光面32aを有している。
【0044】
複数の発光素子32は、後側レンズアレイ42を構成する複数の集光レンズ部42sの各々と対応する位置において、その発光面32aを灯具前方へ向けた状態で配置されている。具体的には、複数の発光素子32は、その発光中心(すなわち発光面32aの中心位置)が複数の集光レンズ部42sの各々の光軸Ax上に位置するように配置されている。
【0045】
複数の発光素子32は、共通のヒートシンク34に搭載されている。このヒートシンク34は、灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って平板状に延びるように形成されており、その後面には複数の放熱フィン34aが形成されている。そして、このヒートシンク34は、その外周縁部においてランプボディ12に支持されている。
【0046】
光源ユニット30は、図示しない点灯制御回路によって、複数の発光素子32の全部またはその一部が選択的に点灯し得るように構成されている。
【0047】
図4は、図1のIV部詳細図である。また、図5は、図3のV部詳細図である。
【0048】
図5に示すように、前側レンズアレイ44の各々の前面に形成された複数の投影レンズ部44sは、いずれも同一の曲率の表面形状を有しており、その後側焦点Fは各投影レンズ部44sの光軸Axと前側レンズアレイ44の後面との交点付近に位置している。
【0049】
なお、図5(a)においては、発光素子32の発光中心からの出射光の光路を示しており、図5(b)においては、発光素子32の発光面32aの全領域から出射して集光レンズ部42sの全領域へ向かう光の光路を示している。
【0050】
図4に示すように、遮光シート50において上部3列に位置する透光部50aは、上述したとおり上半部が横長の半楕円形状を有しているが、その下端縁50a1は、投影レンズ50の後側焦点Fの位置において光軸Axと直交する鉛直面に沿って、左右段違いで左右方向に延びるように形成されている。具体的には、この下端縁50a1は、光軸Axよりも左側の部分(灯具正面視では右側の部分)が光軸Axに対してやや上方側の位置において水平方向に延びており、光軸Axよりも右側の部分が光軸Axに対して僅かに下方側の位置において水平方向に延びるとともにその左端部が斜め左上方向に延びた状態で光軸Axよりも左側の部分と接続されている。
【0051】
また、中央部3列に位置する透光部50bも、上述したとおり上半部が透光部50aよりも小さい横長の半楕円形状を有しているが、その下端縁50b1は透光部50aの下端縁50a1と同一形状を有している。
【0052】
そして、遮光シート50は、複数の透光部50a、50bの各々の下端縁50a1、50b1において、集光レンズ部42sを介して遮光シート50に到達した複数の発光素子32の各々からの光の一部を遮光することにより、下端部に明暗境界線を有する横長半楕円形の光源像を投影レンズ部44sの後側焦点面上に異なる大きさで形成するようになっている。
【0053】
また、遮光シート50は、下部3列に位置する複数の透光部50c(図1参照)によって、光軸Axを中心とする横長楕円形の光源像を投影レンズ部44sの後側焦点面上に形成するようになっている。
【0054】
図6は、車両用灯具10からの照射光によって灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図であって、図6(a)はロービーム用配光パターンPL、図6(b)はハイビーム用配光パターンPHを示している。
【0055】
図6(a)に示すように、ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V-V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。
【0056】
ロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV-V線との交点であるエルボ点Eは、H-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
【0057】
ロービーム用配光パターンPLは、大小2つの配光パターンPLA、PLBの合成配光パターンとして形成されている。
【0058】
大きい方の配光パターンPLAは、上部3列に位置する複数の透光部50aを透過した複数の発光素子30からの出射光によって形成される配光パターンである。また、小さい方の配光パターンPLBは、中央部3列に位置する透光部50bを透過した複数の発光素子30からの出射光によって形成される配光パターンである。
【0059】
図6(b)に示すように、ハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLに対して付加配光パターンPAが付加された配光パターンとして形成されている。この付加配光パターンPAは、下部3列に位置する複数の透光部50cを透過した複数の発光素子30からの出射光によって形成される配光パターンである。
【0060】
付加配光パターンPAは、H-Vを中心とする横長の配光パターンであって、ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2を上下に跨ぐようにして形成されている。この付加配光パターンPAは、ロービーム用配光パターンPLの配光パターンPLAよりは左右拡散角が小さいが、配光パターンPLBよりは左右拡散角が大きい配光パターンとして形成されている。
【0061】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0062】
本実施形態に係る車両用灯具10は、光源ユニット30からの出射光をマイクロレンズアレイ40を介して灯具前方へ向けて照射することにより、所要の配光パターンを形成する構成となっているが、マイクロレンズアレイ40を構成する後側レンズアレイ42と前側レンズアレイ44との間には、複数の光源像の各々の外形形状を規定するための複数の透光部50a、50b、50cを有する遮光シート50が配置されているので、複数の透光部50a、50b、50cの各々の大きさや外形形状に応じた配光パターンを形成することができる。
【0063】
その上で、光源ユニット30は、後側レンズアレイ42を構成する複数の集光レンズ部42sの各々と対応する位置において発光面32aを灯具前方へ向けた状態で配置された複数の発光素子32を備えているので、複数の発光素子32の各々からの出射光を複数の集光レンズ部42sの各々に入射させることができ、これにより複数の集光レンズ部42sの各々に入射する光の明るさを略均一なものとすることができる。そしてこれにより配光ムラの少ない配光パターンを形成することが容易に可能となる。
【0064】
その際、従来の光源ユニットのように、単一の光源からの出射光を略均一な明るさを有する平行光として複数の集光レンズ部42sの各々に入射させるために大型で複雑な形状を有する透光部材を配置する必要がなくなり、これにより車両用灯具10の奥行寸法を小さくすることができる。
【0065】
このように本実施形態によれば、マイクロレンズアレイ40を備えた車両用灯具10において、その奥行寸法を小さくした上で配光ムラの少ない配光パターンを形成することができる。
【0066】
しかも本実施形態においては、光源ユニット30として複数の発光素子32のうちの一部が選択的に点灯し得る構成となっているので、車両走行状況等に応じて配光パターンの明るさを適宜調整することが容易に可能となる。
【0067】
また本実施形態においては、遮光シート50が、外形形状の異なる複数種類の透光部50a、50b、50cを備えているので、配光パターンの形状自由度を高めることができる。
【0068】
具体的には、上部3列に位置する複数の透光部50aを透過した複数の発光素子30からの出射光によって形成される配光パターンPLAと、中央部3列に位置する透光部50bを透過した複数の発光素子30からの出射光によって形成される配光パターンPLBとの合成配光パターンとして、ロービーム用配光パターンPLを形成することができる。また、このロービーム用配光パターンPLに対して、下部3列に位置する複数の透光部50cを透過した複数の発光素子30からの出射光によって形成される付加配光パターンPAが付加されることにより、ハイビーム用配光パターンPHを形成することができる。
【0069】
上記実施形態においては、後側レンズアレイ42の集光レンズ部42sおよび前側レンズアレイ44の投影レンズ部44sが、縦横格子状に区分けされた複数のセグメントの各々に割り付けられているものとして説明したが、縦横格子状以外の区分け(例えば斜め格子状やハニカム状の区分け等)を採用することも可能である。
【0070】
上記実施形態においては、遮光シート50に形成された複数の透光部50a、50b、50cが、上部3列、中央部3列、下部3列で互いに異なる開口形状を有しているものとして説明したが、これ以外の配置で複数種類の透光部が形成された構成とすることも可能である。
【0071】
上記実施形態においては、所要の配光パターンとして、ロービーム用配光パターンPLを構成する大小2つの配光パターンPLA、PLBおよびハイビーム用配光パターンPHを形成する際に付加される付加配光パターンPAについて説明したが、これら以外の配光パターン(例えば路面描画用配光パターン等)を形成する構成とすることも可能である。
【0072】
上記実施形態においては、遮光シート50が遮光板で構成されており、複数の透光部50a、50b、50cが複数の開口部として形成されているものとして説明したが、複数の透光部50a、50b、50cを囲む領域の表面に遮光処理が施された透明シートや、後側レンズアレイ42の前面または前側レンズアレイ44の後面において複数の透光部50a、50b、50cを囲む領域に遮光処理が施されることによって形成された遮光膜等を採用することも可能である。
【0073】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0074】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0075】
図7、8は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図1、2と同様の図である。
【0076】
図7、8に示すように、本変形例に係る車両用灯具110も、車両の右前端部に設けられるヘッドランプであって、ランプボディ112と透光カバー114とで形成される灯室内に、3つの灯具ユニット120A、120B、120Cが収容された構成となっている。
【0077】
3つの灯具ユニット120A、120B、120Cは、左右方向に並んだ状態で、かつ、右端部(すなわち車幅方向外側)に位置する灯具ユニット120Aが中央部に位置する灯具ユニット120Bよりも灯具後方側に変位するとともに中央部に位置する灯具ユニット120Bが左端部に位置する灯具ユニット120Cよりも灯具後方側に変位した状態で配置されている。
【0078】
これにより車両用灯具110は、車幅方向内側から車幅方向外側に向かって灯具後方側に傾斜するように形成された透光カバー114に対して、3つの灯具ユニット120A、120B、120Cが略等距離をおいて配置された構成となっている。
【0079】
3つの灯具ユニット120A、120B、120Cは、光源ユニット130A、130B、130Cとマイクロレンズアレイ140A、140B、140Cとを備えており、光源ユニット130A、130B、130Cからの出射光をマイクロレンズアレイ140A、140B、140Cを介して灯具前方へ向けて照射するように構成されている。
【0080】
灯具ユニット120Aのマイクロレンズアレイ140Aは、後側レンズアレイ142と前側レンズアレイ144とを備えており、両者間には遮光シート150Aが配置されている。
【0081】
後側レンズアレイ142は、上記実施形態の後側レンズアレイ42と同様の構成を有しているが、そのセグメント数が上記実施形態の場合と異なっている。
【0082】
すなわち、後側レンズアレイ142の後面は上記実施形態の場合と同一のセグメント形状で縦横格子状に区分けされており、その各々に上記実施形態の集光レンズ部42sと同一の表面形状を有する集光レンズ部142sが割り付けられているが、そのセグメント数は縦横9個ずつに設定されている。
【0083】
一方、前側レンズアレイ144も、上記実施形態の前側レンズアレイ44と同様、その前面には複数の投影レンズ部144sが形成されているが、これらは縦横9個ずつ集光レンズ部142sと同軸で配置されている。
【0084】
遮光シート150Aは、複数の透光部150Aaが開口部として形成された遮光板で構成されている。
【0085】
複数の透光部150Aaは、前側レンズアレイ144における複数の投影レンズ部144sの各々に対応するようにして縦横格子状に配置されている。これら複数の透光部150Aaは、横長楕円形の上半部と略同一形状の開口形状を有しており、そのサイズは上記実施形態の遮光シート50に形成された透光部50aと同一サイズに設定されている。
【0086】
遮光シート150Aは、後側レンズアレイ142および前側レンズアレイ144に対して接着等によって固定されている。そして、マイクロレンズアレイ140は、後側レンズアレイ142の外周縁領域142aにおいてランプボディ112に支持されている。
【0087】
灯具ユニット120Aの光源ユニット130Aは、上記実施形態の光源ユニット30と同様、矩形状の発光面132aを有する複数の発光素子132とヒートシンク134とを備えた構成となっている。複数の発光素子132の構成および配置は上記実施形態の場合と同様であるが、複数の発光素子132の配置個数は複数の集光レンズ部142sの配置個数と同数になっている。ヒートシンク134は、上記実施形態のヒートシンク34と同様、複数の放熱フィン134aが後面に形成された構成となっているが、その外形形状が上記実施形態の場合よりも小さくなっている。
【0088】
中央部に位置する灯具ユニット120Bも、その基本的な構成は灯具ユニット120Aと同様であるが、遮光シート150Bに形成された複数の透光部150Baの開口形状が異なっている。
【0089】
すなわち、複数の透光部150Baは、横長楕円形の上半部と略同一形状の開口形状を有しており、そのサイズは上記実施形態の遮光シート50に形成された透光部50bと同一サイズに設定されている。
【0090】
遮光シート150Bは、後側レンズアレイ142および前側レンズアレイ144に対して接着等によって固定されている。そして、マイクロレンズアレイ140Bは、後側レンズアレイ142の外周縁領域142aにおいてランプボディ112に支持されている。
【0091】
左端部に位置する灯具ユニット120Cも、その基本的な構成は灯具ユニット120Aと同様であるが、遮光シート150Cに形成された複数の透光部150Caの開口形状が異なっている。
【0092】
すなわち、複数の透光部150Caは、横長楕円形の開口形状を有しており、そのサイズは上記実施形態の遮光シート50に形成された透光部50cと同一サイズに設定されている。
【0093】
遮光シート150Cは、後側レンズアレイ142および前側レンズアレイ144に対して接着等によって固定されている。そして、マイクロレンズアレイ140Cは、後側レンズアレイ142の外周縁領域142aにおいてランプボディ112に支持されている。
【0094】
これにより、本変形例に係る車両用灯具110においては、灯具ユニット120Aからの照射光によって図6(a)に示す配光パターンPLAを形成し、灯具ユニット120Bからの照射光によって図6(a)に示す配光パターンPLBを形成し、灯具ユニット120Aからの照射光によって図6(b)に示す付加配光パターンPAを形成するようになっている。
【0095】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0096】
特に、本変形例に係る車両用灯具110においては、左右方向に並んだ3つの灯具ユニット120A、120B、120Cが車幅方向内側から車幅方向外側に向かって灯具後方側に順次変位した状態で配置されているので、ランプボディ112も透光カバー114の傾斜に応じて階段状に形成することができ、これにより車両用灯具110のさらなる薄型化を図ることができる。
【0097】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0098】
図9は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、図7と同様の図である。
【0099】
図9に示すように、本変形例の基本的な構成は、上記第1変形例の場合と同様であるが、灯具ユニット220A、220Bのマイクロレンズアレイ240A、240Bの構成および光源ユニット230A、230Bの配置が上記第1変形例の場合と一部異なっている。
【0100】
すなわち、灯具ユニット220Aのマイクロレンズアレイ240Aは、後側レンズアレイ242Aを構成する複数の集光レンズ部242Asが、上記第1変形例の場合よりも上方側に変位した状態で形成されている。また、灯具ユニット220Aの光源ユニット230Aは、上記第1変形例の光源ユニット30Aよりも上方側に変位した状態でランプボディ112に支持されている。
【0101】
なお、前側レンズアレイ144および遮光シート150Aの構成については、上記第1変形例の場合と同様である。
【0102】
図10は、図9のX-X線断面図である。
【0103】
図10にも示すように、後側レンズアレイ242Aは、複数の集光レンズ部242Asの各々が、複数の投影レンズ部144sの各々に対して上方側にオフセットした状態で配置された構成となっている。すなわち、集光レンズ部242Asの光軸Axaは、投影レンズ部144sの光軸Axに対して上方側にオフセットしており、そのオフセット量は光軸Axaが透光部150Aaの略中心を通るように設定されている。
【0104】
光源ユニット230Aは、その構成自体は上記第1変形例の光源ユニット130Aと同様であるが、発光素子132の発光中心が光軸Axa上に位置するように配置されている点で上記第1変形例の場合と異なっている。
【0105】
図9に示すように、灯具ユニット220Bのマイクロレンズアレイ240Bは、後側レンズアレイ242Bを構成する複数の集光レンズ部242Bsが、上記第1変形例の場合よりも上方側に変位した状態で形成されている。また、灯具ユニット220Bの光源ユニット230Bは、上記第1変形例の光源ユニット30Bよりも上方側に変位した状態でランプボディ112に支持されている。
【0106】
その際、集光レンズ部242Bsの光軸Axbは、投影レンズ部144sの光軸Axに対して上方側にオフセットしているが、そのオフセット量は光軸Axbが透光部150Baの略中心を通るように設定されている。このため、オフセット量は灯具ユニット220Aの場合よりも小さい値となっている。
【0107】
光源ユニット230Bは、その構成自体は上記第1変形例の光源ユニット130Bと同様であるが、発光素子132の発光中心が光軸Axb上に位置するように配置されている点で上記第1変形例の場合と異なっている。
【0108】
なお、灯具ユニット220Cの構成については、上記第1変形例の灯具ユニット120Cと同様である。
【0109】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0110】
特に、本変形例の灯具ユニット220A、220Bにおいては、複数の透光部150Aa、150Baの各々が複数の投影レンズ部144s、144sの各々における上部領域の灯具後方側に位置しているのに対応して、複数の発光素子132、132および複数の集光レンズ部242As、242Bsの各々が、複数の投影レンズ部144s、144sの各々に対して上方側にオフセットした状態で配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0111】
すなわち、灯具ユニット220A、220Bにおいて、複数の発光素子132、132の各々からその発光面132a、132aの面直方向へ向かう出射光を効率良く複数の集光レンズ部242As、242Bsの各々に入射させて透光部150Aa、150Baを透過させることができる。そしてこれによりロービーム用配光パターンPLをより明るい配光パターンとして形成することができる。
【0112】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0113】
図11は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図5と同様の図である。
【0114】
図11に示すように、本変形例の基本的な構成は、上記実施形態の場合と同様であるが、マイクロレンズアレイ340の灯具後方側でかつ光源ユニット30の灯具前方側に第2レンズアレイ360が配置されている点で上記実施形態の場合と異なっており、これに伴ってマイクロレンズアレイ340の構成も上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0115】
すなわち、マイクロレンズアレイ340は、その前側レンズアレイ44および遮光シート50の構成については上記実施形態の場合と同様であるが、その後側レンズアレイ342の構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0116】
具体的には、後側レンズアレイ342は、その後面に複数の集光レンズ部342sが上記実施形態の場合と同様の配置で形成された構成となっているが、その表面を構成する凸曲面の曲率が上記実施形態の場合よりも小さい値に設定されている。
【0117】
第2レンズアレイ360は、その後面が灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる平面で構成されており、この後面を複数の発光素子32の発光面32aに近接させた状態で配置されている。この第2レンズアレイ360の前面には、複数の発光素子32の各々からの出射光を集光させるための複数の第2集光レンズ部360sが形成されている。
【0118】
複数の第2集光レンズ部360sは、複数の集光レンズ部342sの各々と同一サイズで縦横格子状に区分けされた複数のセグメントの各々に割り付けられている。その際、複数の第2集光レンズ部360sの各々の光軸Axは、複数の集光レンズ部342sの各々の光軸Axと同軸となるように設定されている。
【0119】
複数の発光素子32の各々からの出射光は、第2レンズアレイ360の後面において光軸Ax寄りの方向に屈折するようにして入射し、第2集光レンズ部360sからさらに光軸Ax寄りの方向に屈折するようにして出射し、後側レンズアレイ342の集光レンズ部342sに入射する。
【0120】
後側レンズアレイ342の集光レンズ部342sは、発光素子32の発光中心から出射して光を第2レンズアレイ360を透過した光が、光軸Axと平行な光として入射するように、その表面を構成する凸曲面の曲率が設定されている。
【0121】
本変形例の構成を採用した場合には、マイクロレンズアレイ340の灯具後方側に第2レンズアレイ360が配置されることによって車両用灯具の奥行寸法は多少大きくなるが、複数の発光素子32の各々からの出射光を、第2レンズアレイ360を介して効率良く複数の集光レンズ部342sの各々に入射させることができ、これにより配光パターンの明るさを増大させることができる。
【0122】
すなわち、上記実施形態においては、図5(a)に示すように、発光素子32の発光中心から出射光は、光軸Axを中心とする角度θ1の範囲内の方向へ向かう光が後側レンズアレイ42の集光レンズ部42sに入射するが、本変形例においては、図11(a)に示すように、発光素子32の発光中心から出射光は、光軸Axを中心とする角度θ2(θ2>θ1)の範囲内の方向へ向かう光が第2レンズアレイ360を介して後側レンズアレイ342の集光レンズ部342sに入射することとなる。
【0123】
次に、上記実施形態の第4変形例について説明する。
【0124】
図12は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図11と同様の図である。
【0125】
図12に示すように、本変形例の基本的な構成は、上記第3変形例の場合と同様であるが、マイクロレンズアレイ440の構成が上記第3変形例の場合と一部異なっており、また、第2レンズアレイ460および光源ユニット430の配置が上記第3変形例の場合と異なっている。
【0126】
すなわち、マイクロレンズアレイ440は、後側レンズアレイ442を構成する複数の集光レンズ部442sが上記第3変形例の場合よりも上方側に変位した状態で形成されている。また、第2レンズアレイ460は、複数の第2集光レンズ部460sが上記第3変形例の場合よりも上方側に変位した状態で形成されている。さらに、光源ユニット430は、複数の発光素子32が上記第3変形例の場合よりも上方側に変位した状態で配置されている。
【0127】
なお、前側レンズアレイ44および遮光シート50の構成については、上記第3変形例の場合と同様である。
【0128】
後側レンズアレイ442は、複数の集光レンズ部442sの各々が、複数の投影レンズ部44sの各々に対して上方側にオフセットした状態で配置された構成となっている。すなわち、集光レンズ部442sの光軸Ax1は、投影レンズ部44sの光軸Axに対して上方側にオフセットしており、そのオフセット量は光軸Ax1が透光部50aの略中心を通るように設定されている。
【0129】
第2レンズアレイ460は、その構成自体は上記第3変形例の場合と同様であるが、複数の第2集光レンズ部460sの各々の光軸が光軸Ax1と一致した状態で配置されている。
【0130】
光源ユニット430は、その構成自体は上記第3変形例の場合と同様であるが、発光素子32の発光中心が光軸Ax1上に位置するように配置されている点で上記第3変形例の場合と異なっている。
【0131】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第3変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0132】
特に本変形例においては、複数の透光部50aの各々が複数の投影レンズ部44sの各々における上部領域の灯具後方側に位置しているのに対応して、複数の発光素子432、複数の第2集光レンズ部460sおよび複数の集光レンズ部442sの各々が、複数の投影レンズ部44sの各々に対して上方側にオフセットした状態で配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0133】
すなわち、複数の発光素子32の各々からその発光面32aの面直方向へ向かう出射光を、複数の第2集光レンズ部460sを介して効率良く複数の集光レンズ部442sの各々に入射させて透光部50aを透過させることができる。そしてこれによりロービーム用配光パターンPLをより明るい配光パターンとして形成することができる。
【0134】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0135】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0136】
10、110、210 車両用灯具
12、112 ランプボディ
14、114 透光カバー
30、130A、130B、130C、230A、230B、430 光源ユニット
32、132 発光素子
32a、132a 発光面
34、134 ヒートシンク
34a、134a 放熱フィン
40、140A、140B、140C、240A、240B、240C、340、440 マイクロレンズアレイ
42、142、242A、242B、342、442 後側レンズアレイ
42a、44a、142a 外周縁領域
42s、142s、242As、242Bs、342s、442s 集光レンズ部
44、144 前側レンズアレイ
44s、144s 投影レンズ部
50、150A、150B、150C 遮光シート
50a、50b、50c、150Aa、150Ba、150Ca 透光部
50a1、50b1 下端縁
120A、120B、120C、220A、220B、220C 灯具ユニット
360、460 第2レンズアレイ
360s、460s 第2集光レンズ部
Ax、Axa、Axb、Ax1 光軸
CL1 下段カットオフライン
CL2 上段カットオフライン
E エルボ点
F 後側焦点
PA 付加配光パターン
PH ハイビーム用配光パターン
PL ロービーム用配光パターン
PLA、PLB 配光パターン
θ1、θ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12