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特開2023-105442ロッキング解消機能を有する弁システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105442
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ロッキング解消機能を有する弁システム
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/00 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
F16T1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006269
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲夫
(57)【要約】
【課題】ロッキング現象の解消に伴う蒸気漏れを防止すること。
【解決手段】
配管系統を通じて移送される蒸気からはドレンが発生し、このドレンは流入管71からスチームトラップ1に流入して弁室に滞留する。スチームトラップ1はドレンの滞留量に応じて適宜、ドレンを流出管72に排出する。そして、配管系統のドレンの一部に蒸気が介在するスチームロッキング現象が生じた場合、スチームトラップ1はドレンを排出することができなくなるため、バイパス弁4を開弁し、バイパス管73、74を通じてドレンや介在している蒸気を迂回させて排出する。このバイパス弁4は、ドレンの流量を調整することが可能である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が上流から下流に向けて通過する基本流路、
前記基本流路上に設けられており、開弁又は閉弁することが可能な基本弁であって、閉弁することによって当該流体の通過を遮断し、開弁することによって当該流体の通過を許容する基本弁、
前記基本弁を閉弁又は開弁させる開閉手段、
前記基本弁の上流側の基本流路と下流側の基本流路とを接続する迂回流路、
前記迂回流路上に設けられており、開弁又は閉弁することが可能な補助弁であって、前記基本流路における前記流体の滞留状況に起因して前記基本弁が開弁することができなくなるロッキング現象の発生に基づいて開弁し、前記迂回流路における前記流体の通過を許容する補助弁、
を備えており、
前記補助弁は、前記迂回流路を通過する前記流体の流量を調整することが可能である、
ことを特徴とするロッキング解消機能を有する弁システム。
【請求項2】
請求項1に係るロッキング解消機能を有する弁システムにおいて、
前記補助弁は、
前記流体を通過させる補助弁口部であって、中心線が基準線に沿って配置された補助弁口部、
前記基準線に沿って、前記補助弁口部に進入又は退避し、前記補助弁口部を通過する前記流体の流量を調整する弁体部、
を備えており、
前記弁体部の前記基準線方向の長さは、前記補助弁口部の前記基準線方向の長さよりも長い、
ことを特徴とするロッキング解消機能を有する弁システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に係るロッキング解消機能を有する弁システムにおいて、
前記基本流路には、前記ロッキング現象を検出して検出信号を出力する検出手段が設けられており、
前記補助弁は、前記検出信号に基づいて前記迂回流路を通過する前記流体の流量を調整する、
ことを特徴とするロッキング解消機能を有する弁システム。
【請求項4】
請求項3に係るロッキング解消機能を有する弁システムにおいて、
前記検出手段は、前記基本弁の上流側の前記基本流路を流れる前記流体の温度、又は前記基本弁に流入する前記流体の温度を検出する温度検出手段である、
ことを特徴とするロッキング解消機能を有する弁システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムは、基本流路における流体の滞留状況に起因して基本弁が開弁することができなくなるロッキング現象を解消するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
産業プラントには、ボイラーで生成された蒸気を供給先装置に向けて高温・高圧で移送する配管系統が設置されていることがある。そして、供給先装置で蒸気が使用された場合等に、ドレン(蒸気の凝縮水)が発生し、供給先装置の排出管から排出される。このとき、排出管にはドレンとともに蒸気も流出することがあるが、蒸気ロスを避けるためにドレンのみを外部に排出する必要がある。
【0003】
このため、排出管にはスチームトラップが設けられている。フロート式スチームトラップは弁室内に中空のフロートを内蔵している。そして、スチームトラップの弁室に流入したドレンの滞留に従ってこのフロートが浮上し、弁室の下部に設けられたドレン排出口を開放することによって自動的にドレンを外部に排出する。ドレン排出後はフロートが下降してドレン排出口を閉塞するため、蒸気漏れは生じない。
【0004】
ところで、スチームトラップにおいては、流入する蒸気やドレンの状況等によって、スチームトラップの弁室を含む配管系統のドレンの一部に蒸気が介在し、ドレンの流れが阻止されて、適正にドレンを排出することができないスチームロッキング現象が発生することがある。
【0005】
このようなスチームロッキング現象を解消するための技術として、後記特許文献1に開示された加熱シリンダがある。この加熱シリンダ100は、シリンダ本体10に蒸気を供給し、シリンダ本体10の外周面に接触する対象物を加熱する。
【0006】
シリンダ本体10内では、熱を奪われた蒸気が凝縮してドレンが発生する。このドレンはドレンパイプ20からドレン配管31を通じて取り出され、ドレン配管31上に設けられたスチームトラップ40の作動によって排水される。ドレン配管31には、スチームトラップ40の上流側と下流側とを接続するバイパス管32が設けられており、このバイパス管32上にバルブ50が配置されている。バルブ50は制御部60の制御を受けて開閉する。
【0007】
スチームロッキング現象が発生した場合、ドレンが適正に排水されなくなってシリンダ本体10内にはドレンが滞留して水位が上昇する。この水位の上昇を水位センサ13が検出し、これに基づいて制御部60はバルブ50を開弁する。これによって、ドレンはバイパス管32を通じて迂回して排水され、スチームロッキング現象は解消する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-86248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された加熱シリンダ100は、スチームロッキング現象が発生した場合、ドレンの滞留状況に関わらずバルブ50を開弁してバイパス管32からドレンを排水する。ここで、スチームロッキング現象は、配管系統のいずれの箇所に蒸気が介在しているか必ずしも明らかではなく、ドレンの滞留状況も様々である。
【0010】
このため、ドレンの滞留状況を問わずバルブ50を全開にしてドレンを排水した場合、スチームロッキング現象が解消した直後、バルブ50を閉弁するまでの僅かな間に、バイパス管32から蒸気漏れが生じる場合がある。蒸気やドレンの移送状態によってはスチームロッキング現象が頻発し、その都度バイパス管32からドレンが排水されるため、たとえ僅かな時間の蒸気漏れであっても蒸気漏洩の損失が発生する。
【0011】
そこで本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムは、ロッキング現象の解消に伴う蒸気漏れを確実に防止することができるロッキング解消機能を有する弁システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ロッキング解消機能を有する弁システムは、
流体が上流から下流に向けて通過する基本流路、
前記基本流路上に設けられており、開弁又は閉弁することが可能な基本弁であって、閉弁することによって当該流体の通過を遮断し、開弁することによって当該流体の通過を許容する基本弁、
前記基本弁を閉弁又は開弁させる開閉手段、
前記基本弁の上流側の基本流路と下流側の基本流路とを接続する迂回流路、
前記迂回流路上に設けられており、開弁又は閉弁することが可能な補助弁であって、前記基本流路における前記流体の滞留状況に起因して前記基本弁が開弁することができなくなるロッキング現象の発生に基づいて開弁し、前記迂回流路における前記流体の通過を許容する補助弁、
を備えており、
前記補助弁は、前記迂回流路を通過する前記流体の流量を調整することが可能である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムにおいては、迂回流路上に設けられた補助弁は、基本流路における流体の滞留状況に起因して基本弁が開弁することができなくなるロッキング現象の発生に基づいて開弁し、迂回流路における流体の通過を許容する。そして、この補助弁は、迂回流路を通過する流体の流量を調整することが可能である。
【0014】
このため、基本流路における流体の滞留状況に応じ、迂回流路を通じて適切に流体を排出することができ、ロッキング現象の解消後、直ちに補助弁を閉弁することが可能である。したがって、ロッキング現象の解消に伴う蒸気漏れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの第1の実施形態を示す全体構成図である。
図2図1に示すII-II方向のスチームトラップ1の矢視断面図である。
図3図1に示すIII-III方向のバイパス弁4の矢視断面図である。
図4図3に示すバイパス弁座48及びバイパス弁体62近傍の拡大断面図であり、開弁状態を示す断面図である。
図5図3に示すバイパス弁座48及びバイパス弁体62近傍の拡大断面図であり、閉弁状態を示す断面図である。
図6】本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの第2の実施形態に用いられるスチームトラップ200の断面図である。
図7】本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの第2の実施形態に用いられるバイパス弁220の断面図である。
図8図6に示す温度センサ201が検出する検出温度の変化と弁の開度との関係を表すグラフである。
図9】本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの第3の実施形態における温度センサ201が検出する検出温度の変化を表すグラフである。
図10図9に示すグラフにおける中心直線の傾斜角度と弁の開度との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態における用語説明]
実施形態において示す主な用語は、それぞれ本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの下記の要素に対応している。
【0017】
スチームトラップ1、200・・・基本弁
バイパス弁4、220・・・補助弁
フロート10・・・開閉手段
バイパス弁口49・・・補助弁口部
バイパス弁体62・・・弁体部
流入管71及び流出管72・・・基本流路
バイパス管73、74・・・迂回流路
軸線L1・・・基準線
温度センサ201・・・検出手段、温度検出手段
温度信号・・・検出信号
蒸気又はドレン・・・流体
なお、スチームロッキング現象とは、配管や弁を含む配管系統の一部に蒸気が介在することによってドレンの流入が阻害され、弁が適正に作動しなくなる現象を意味する。また、基本流路における流体の滞留状況とは、たとえばスチームトラップの弁室や弁室の上流側にドレンが滞留している状況を指す。
【0018】
[第1の実施形態]
本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの第1の実施形態を図1ないし図5に基づいて説明する。本実施形態における弁システムは産業プラント等の配管系統に設置される。図1に示すように、この弁システムはスチームトラップ1を備えており、このスチームトラップ1は流入管71及び流出管72に接続されている。
【0019】
流入管71は、蒸気や蒸気から発生するドレンが流れる配管系統の主管(図示せず)に連通しており、流入管71を通じてスチームトラップ1にはドレンが流入する。スチームトラップ1は流入して内部に滞留したドレンを適宜、流出管72に排出する。蒸気やドレンの流れに従い、流入管71側が上流であり、流出管72側が下流である。
【0020】
流入管71及び流出管72には、スチームトラップ1を挟んでそれぞれバイパス管73、74が接続されている。そして、このバイパス管73、74にはバイパス弁4が設けられている。バイパス弁4は通常時には閉弁しており、バイパス管73、74におけるドレンの通過を遮断しているが、スチームロッキング現象が発生した際、開弁することによってドレンを流入管71から迂回させて流出管72に排出する。
【0021】
(スチームトラップ1の説明)
図2に基づいてスチームトラップ1の構成と動作を説明する。スチームトラップ1は、ケーシング7及びケーシング蓋20によって構成される本体を備えている。ケーシング7とケーシング蓋20とはボルトによって固定され、内部に気密性を保った弁室16を形成する。
【0022】
この弁室16内には、流入管71から流入口7aを通じて、蒸気やドレンが矢印91方向に流入する。なお、弁室16の上流側にはメッシュ部を有するストレーナ12が設けられており、蒸気やドレンはこのストレーナ12を透過して弁室16に流入する。これによって、蒸気やドレンに混入しているゴミやスケール等の異物が、ストレーナ12のメッシュ部で捕捉される。
【0023】
ケーシング蓋20には、弁室16の下流側に弁座27が固定して取り付けられており、この弁座27には弁口28が形成されている。弁口28は、弁座16の内部空間に通じており、さらにケーシング蓋20に形成された蓋側流路24、ケーシング7に形成された流出路14及び流出口7bに連通して流路を形成している。これによって、弁室16内に滞留したドレンを、弁口28から流出管72に向けて矢印92方向に排出可能である。
【0024】
弁室16にはフロート10が配置されている。このフロート10は中空の球状体として構成され、弁室16内において浮動可能に位置する。フロート10は、通常時においては弁座27に着座して弁口28を閉塞し、スチームトラップ1からの蒸気漏れを防止している。弁室16内には複数の支持片18が設けられており、フロート10を安定的に弁座27に着座させる。
【0025】
弁室16内にドレンが滞留し、ドレンの水位が上昇したとき、フロート10はこれに応じて浮上して開弁する。フロート10が浮上して開弁した場合、弁室16内に滞留したドレンは、配管内の高圧に基づく勢いに従い、弁口28から矢印92方向に抜け、流出管72に排出される。排出後は、弁室16内のドレンの水位が下降するため、これに伴ってフロート10も下降して弁座27に着座し、閉弁状態に復位する。こうして、スチームトラップ1は、弁室16内のドレンの水位に応じて閉弁と開弁とを繰り返し、適宜、配管系統からドレンを排出する。
【0026】
なお、ケーシング蓋20には、カーブを描くように屈曲させたバイメタル22が、弁室16内の下流側に設けられている。このバイメタル22は、膨張係数の異なる2枚の合金薄板を張り合わせた感温部材である。バイメタル22は、周辺温度が高温のときは屈曲して先端部が収納されるが、周辺温度が低温になったときはこれに反応して形状が変化して大きく開く。これによって、バイメタル22の先端部がフロート10を押し上げ、ドレンの水位にかかわらず強制的に弁口28を開放するようになっている。図2は、バイメタル22がフロート10を押し上げ、弁口28を開放した状態を示している。
【0027】
このバイメタル22は、低温のエアーやドレンを適切に弁口28から排出するために設けられている。たとえば、設備の稼働を開始した初期段階においては、弁室16内には低温のエアーが充満しているため、バイメタル22はフロート10を押し上げ弁口28を強制的に開放した状態にある。このため、蒸気移送が開始されると、初期のエアーは弁口28から適正に排出され、エアーバインディング(空気障害)が回避される。また、弁室16内に流入してくる低温のドレンも同様に弁口28から適正に排出される。
【0028】
続いて弁室16に高温の蒸気が流入してくると、バイメタル22はその高温に反応して湾曲部が変形することにより、先端部が弁口28方向に収納されるようになる。これによって、以後、フロート10はバイメタル22の干渉を受けずに、前述のように滞留するドレンの水位に従って上昇、下降を繰り返す。
【0029】
ところで、スチームトラップ1には、異物によって弁口28が塞がれ、ドレンを適正に排出することができないといったドレンの詰まり状態が発生することがある。前述のように、異物はストレーナ12によって捕捉されるが、細かい異物はストレーナ12を通過して弁室16に侵入する。このような詰まり状態に対処するために、本実施形態におけるスチームトラップ1には、クリーニングバー30が設けられている。なお図2において、クリーニングバー30は断面ではなく側面図として表されている。
【0030】
クリーニングバー30はケーシング蓋20に固定された筒状保持部33に螺合して保持されており、クリーニングバー30は回転操作を受けて軸方向に進退可能である。そして、クリーニングバー30のバー先端31は、弁座27の内部空間に位置しており、弁口28にむけて配置されている。
【0031】
クリーニングバー30の後端には操作溝32が形成されている。弁口28のクリーニングを行う場合、操作者は工具等を操作溝32に嵌め入れて回転操作し、クリーニングバー30を弁口28に向けて進出させる。これによって、クリーニングバー30のバー先端31が弁口28に進入し、弁口28から異物を除去することができる。
【0032】
(バイパス弁4の説明)
次に、図3ないし図5に基づいてバイパス弁4の構成を説明する。図3に示すように、バイパス弁4はバイパスケーシング40を備えている。このバイパスケーシング40には、バイパス流入口40aとバイパス流出口40bとが同軸上に形成されている。そして、バイパス流入口40aにはバイパス管73が接続され、バイパス流出口40bにはバイパス管74が接続される(図1参照)。
【0033】
バイパスケーシング40内には、ブロー通路41が形成されており、このブロー通路41はバイパス流入口40aと連通している。そして、ブロー通路41には、メッシュ部を有する円筒状のスクリーン45が配置される。
【0034】
バイパス管73をドレンが流れた場合、ドレンはバイパス管73からバイパス流入口40aを通じて矢印93方向に沿って流入する。流入したドレンはスクリーン45のメッシュ部を透過し、このメッシュ部によってドレンに混入しているゴミやスケール等の異物が捕捉される。なお、バイパスケーシング40内には、さらにブロー通路41に連通する接続通路42が形成され、またバイパス流出口40bに連通するバイパス弁口通路44が形成されている。
【0035】
バイパスケーシング40の側面には開口部が形成されており、この開口部を覆って円柱状の保持部材50が取り付けられている。保持部材50は、バイパスケーシング40の開口部に対してネジ結合によって取り付けられて固定されている。そして、バイパスケーシング40と保持部材50との間には、ガスケット59によって気密性が保たれたバイパス弁室43が形成される。
【0036】
バイパス弁室43には、前述の接続通路42及びバイパス弁口通路44が連通している。バイパス弁口通路44には、バイパス弁室43との接続部分に円盤状のバイパス弁座48が取り付けられている。このバイパス弁座48には、バイパス弁室43に向けて開口する円筒状のバイパス弁口49が形成されている。バイパス弁口49の中心線は軸線L1に沿って配置されている。
【0037】
すなわち、バイパス弁4は、バイパス流入口40a、ブロー通路41、接続通路42、バイパス弁室43、バイパス弁口49、バイパス弁口通路44及びバイパス流出口40bによって形成される流路を備えており、バイパス流入口40aに流入したドレンは矢印93から矢印94、95方向に沿ってバイパス流出口40bから排出可能である。
【0038】
円柱状の保持部材50には中心に貫通孔が形成されており、この貫通孔の中心線は軸線L1に沿って配置されている。そして、保持部材50の貫通孔にはバイパス弁棒61が貫通して取り付けられている。なお図3ないし図5において、バイパス弁棒61は断面ではなく側面図として表されている。バイパス弁棒61は先端に円錐状のバイパス弁体62を備えており、バイパス弁体62の頂点は軸線L1上に位置している。また、バイパス弁棒61の後端には弁棒操作溝67が形成されている。
【0039】
バイパス弁棒61の先端部近傍にはネジ山63が形成されており、保持部材50の貫通孔に形成されてネジ溝69に螺合して取り付けられている。すなわち、弁棒操作溝67に工具等を嵌め入れて回転操作することによって、バイパス弁棒61はネジの螺合に従い軸線L1に沿って進退するようになっている。
【0040】
バイパス弁室43の気密性を保持するため、保持部材50には中心孔が形成されたパッキン64が設けられており、このパッキン64の中心孔をバイパス弁棒61が貫通している。パッキン64は、保持部材50に螺合する押え部材65によって加圧されて、バイパス弁室43の気密性が確実に保持される。なお、保持部材50の後端にはキャップ51が着脱自在に取付らており、キャップ51はバイパス弁棒61の弁棒操作溝67を覆って配置される。
【0041】
図4及び図5は、バイパス弁座48及びバイパス弁体62近傍の拡大断面図である。図4に示すように、バイパス弁座48はバイパス弁室43に向けて突出する突出部49aを有しており、この突出部49aの先端にバイパス弁口49が形成されている。そして、このバイパス弁口49は、厚さ82の円筒形状を備えている。
【0042】
バイパス弁座48の内部には、バイパス弁口49に連続する広開部49bが形成されている。広開部49bは、バイパス弁口49が形成されている先端部から後端に向かって広くなる傾斜面として構成されている。そして、バイパス弁座48の内部には、広開部49bに連続する段部49cが形成され、さらにこの段部49c に連続する円筒部49dが形成されている。
【0043】
一方、バイパス弁棒61の先端には弁体基部61aが一体的に形成されており、この弁体基部61aに前述のバイパス弁体62が設けられている。弁体基部61aからのバイパス弁体62の突出長さ81は、バイパス弁口49の厚さ82よりも十分に長く形成されている。本実施形態においては、突出長さ81は厚さ82の約6倍に構成されている。なお、バイパス弁体62が備える円錐形状の底面部分の直径は、バイパス弁口49の開口径よりも大きい。
【0044】
図4は、バイパス弁棒61が、矢印99方向(退避方向)の限界位置に達したときのバイパス弁4の開弁状態を示している。この開弁状態においては、バイパス弁棒61のネジ山63と保持部50のネジ溝69との螺合が矢印99方向の限界位置に達し、バイパス弁口49からバイパス弁体62が矢印99方向に完全に退避している。
【0045】
これに対して図5はバイパス弁4の閉弁状態を示しており、バイパス弁口49の先端縁部に円錐状のバイパス弁体62の側面である斜面が当接することによって、バイパス弁棒61が矢印98方向(進入方向)の限界位置に位置している。これによって、バイパス弁口49は完全に閉塞され、ドレンの通過は遮断される。
【0046】
(スチームロッキング現象の解消動作の説明)
前述のように、配管系統において蒸気から発生するドレンは、通常時においてはスチームトラップ1の閉弁又は開弁の繰り返しによって適宜、流出管72から排出される(図1参照)。ところが、配管系統のドレンの一部に蒸気が介在するスチームロッキング現象が生じた場合、スチームトラップ1の弁室16にドレンが流入しなくなり、フロート10の浮上が阻害される。このため、スチームトラップ1が開弁することができなくなり、ドレンが適正に排出されない。
【0047】
このようなスチームロッキング現象が生じた場合、本実施形態においてはバイパス弁4の開度を調整しながら開弁し、バイパス管73、74を通じてドレンを迂回させて流出管72に流出させる。これによって、ドレンとともに配管系統に介在している蒸気も排出することができ、スチームロッキング現象を解消することができる。以下に、このスチームロッキングの解消動作の詳細を説明する。
【0048】
通常時においては、バイパス弁4は図5に示す閉弁状態にある。この閉弁状態の下で、操作者は流出管72からのドレンの排出が中断されたことを認識し、スチームロッキング現象が生じたことを把握する。そして、図3に示すバイパス弁4のキャップ51を取り外し、バイパス弁棒61の弁棒操作溝67に工具等を嵌め入れて緩める方向に回転操作する。
【0049】
これによって、バイパス弁棒61は軸線L1に沿って矢印99方向に移動し、バイパス弁体62もバイパス弁口49の先端縁部から離れて徐々に退避する。本実施形態においては、バイパス弁体62がバイパス弁口49の先端縁部から離れた状態が開弁状態である。
【0050】
ここで、バイパス弁体62は前述のように円錐形状を備えており、側面は斜面として形成されている。このため、バイパス弁体62の斜面の傾斜に応じ、バイパス弁体62が矢印99方向に退避するに従ってバイパス弁口49の開度は漸次、大きくなる。逆に、開弁状態からバイパス弁棒61を締め込む方向に回転操作した場合、バイパス弁口49の開度はバイパス弁体62の斜面の傾斜に応じて漸次、小さくなる。
【0051】
すなわち、操作者がバイパス弁棒61を緩める方向又は締め込む方向に回転操作するに従って、バイパス弁4の開度は変化し、バイパス管73、74を通じて迂回させて排出するドレンノ流量を自在に調整することができる。
【0052】
ところで、スチームロッキング現象は、配管系統のいずれの部分にどの程度の蒸気が介在しているか必ずしも明らかではない。このため、バイパス弁4の閉弁のタイミングが難しい上、仮にバイパス弁4を一気に全開にした場合、スチームロッキング現象の解消後、バイパス弁4を完全に閉弁するまでに時間がかかってしまうことにより、バイパス管73、74から本来、配管系統を通じて移送すべき有用な蒸気まで漏洩することがある。
【0053】
この点、本実施形態においては、操作者がバイパス弁棒61を回転操作しながらバイパス管73、74の流量を調整してドレンを排出することできるため、スチームロッキング現象の解消に向けてバイパス弁4を徐々に微開状態とすることができる。したがって、スチームロッキング現象の解消時点で直ちにバイパス弁4を閉弁状態(図5)にすることができる。
【0054】
すなわち、ドレンの滞留状況に応じ、バイパス管73、74を通じて適切にドレンを排出することができ、スチームロッキング現象の解消後、直ちにバイパス弁4を閉弁することが可能であるため、スチームロッキング現象の解消に伴う蒸気漏れを確実に防止することができる。
【0055】
また前述のように、バイパス弁体62の突出長さ81は、バイパス弁口49の厚さ82よりも十分に長く形成されているため(図4参照)、配管系統内が低圧の場合であっても確実にバイパス弁口49を開弁させることができる。
【0056】
すなわち、特に低圧下においてはドレンの表面張力によって液膜が生成され、バイパス弁口49がこの液膜によって塞がれることがある。そして、仮にバイパス弁口49の厚さが、バイパス弁体62の突出長さよりも長い場合、バイパス弁口49にバイパス弁体62が進入しても、液幕がバイパス弁口49を塞いだままの状態で開弁することができない事態が起こり得る。
【0057】
この点、本実施形態では、バイパス弁体62の突出長さ81は、バイパス弁口49の厚さ82よりも十分に長く、バイパス弁体62がバイパス弁口49に進入している状態において、バイパス弁体62の先端がバイパス弁口49の後端側に突出して位置することができる。このため、バイパス弁体62の先端が液膜を突き破った状態になり、バイパス弁体62の斜面に沿ってドレンを流出することが可能であり、確実に開弁させることができる。したがって、低圧下においてもドレンの表面張力の影響を回避することができ、確実にドレンをバイパス管73、74から排出することができる。
【0058】
[第2の実施形態]
次に、本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの第2の実施形態を図6ないし図8に基づいて説明する。前述の第1の実施形態と同様の構成、動作を行う部分については同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、スチームトラップ200に温度センサ201が設けられ(図6参照)、バイパス弁220にアクチュエータ205が設けられている(図7参照)点が第1の実施形態と実質的に異なる。
【0059】
図6に示すように、スチームトラップ200のケーシング7には温度センサ201が取り付けられている。図6において、温度センサ201は側面図として表されている。温度センサ201は検出ヘッド202を備えており、この検出ヘッド202が弁口28の上流側に設けられる。本実施形態では、弁室16の側方向に検出ヘッド202が配置され、検出ヘッド202がケーシング7の温度を検出することを通じて、弁室16に滞留しているドレンの温度を検知する。温度センサ201は通信機能を備えており、検出ヘッド202が検知した弁室16内のドレンの温度を温度信号として発信することができる。
【0060】
温度センサ201が発信した温度信号はバイパス弁220側に与えられる。図7に示すように、本実施形態におけるバイパス弁220はアクチュエータ205を備えている。図7において、アクチュエータ205はブロック図として表されている。アクチュエータ205は、主にモータで構成される駆動部209を有しており、この駆動部209はバイパス弁棒61の後端に接続されている。アクチュエータ205はさらに受信部206、制御部207及びメモリ208を有している。
【0061】
温度センサ201(図6)が発信した温度信号は、直接又は間接的(例えばサーバ経由)に受信部206によって受信され、この温度信号は受信部206から制御部207に取り込まれる。そして、制御部207は、メモリ208に記憶されているデータ(後述)に従って駆動部209に指令を与え、バイパス弁棒61を回転操作し、軸線L1に沿ってバイパス弁棒61を矢印98、99方向に進退させる。
【0062】
図8は、温度センサ201が検出する検出温度の変化と弁の開度との関係を表すグラフである。検出温度の変化は曲線xとして示されている。検出温度と弁の開度との関係を表すデータは予めメモリ208に記憶されている。
【0063】
通常時においては、配管系統で発生したドレンは、流入管71からスチームトラップ200の弁室16に流入し、フロート10の浮動に従って適宜、弁口28が開弁することによって、ドレンは流出管72に排出される。すなわち、スチームロッキング現象が生じていない通常時においては、スチームトラップ200の弁室16には、高温のドレンが継続的に流入するため、温度センサ201を通じて検出される温度はほぼ一定の高温を示す。図8に示す基準温度a20はこの通常時における一定の高温を判断するためのしきい値であり、予めメモリメモリ208に記憶されている。
【0064】
配管系統のドレンの一部に蒸気が介在するスチームロッキング現象が生じた場合、弁室16へのドレンの流入が阻害されるため、フロートが浮上しなくなり、弁室16内に滞留するドレンが排出されなくなる。このため、弁室16内のドレンは時間の経過に従って放熱し温度が徐々に低下し、検出温度は基準温度a20を下回る。
【0065】
この基準温度a20を下回る温度低下によって制御部207はスチームロッキング現象が生じたと判断し、駆動部209に指令を与えてバイパス弁棒61を緩める方向に回転操作する。これによって、バイパス弁棒61は軸線L1に沿って矢印99方向に移動し、バイパス弁体62はバイパス弁口49から退避する(図7参照)。
【0066】
第1の実施形態において説明したように、バイパス弁体62の斜面に対応してバイパス弁口49の開度が変化するため、制御部207はバイパス弁棒61の回転を制御することによってバイパス弁口49の開度を調整することができる。
【0067】
図8に示すように、制御部207は検出温度に対応させてバイパス弁220の開度を制御してドレンの流量を調整する。バイパス弁体62がバイパス弁口49を完全に閉塞した状態(図5)を弁の開度「0%」とし、バイパス弁体62がバイパス弁口49から完全に退避し、バイパス弁体62がドレンの流出に干渉しなくなる状態を弁の開度「100%」としている。
【0068】
たとえば、時点「P21」においては検出温度が基準温度「a20」よりも低い「a21」であり、これに対応する弁の開度は「75%」であるため、制御部207は駆動部209に指令を与えてバイパス弁口49が開度75%になるようにバイパス弁棒61を回転操作する。
【0069】
こうしてドレンは流量調整の制御を受けながらバイパス管73、74を迂回して排出され、スチームロッキング現象は解消に向かう。そして、これに従って高温のドレンがスチームトラップ200に流入するようになり、温度センサ201が検出する検出温度は漸次、高くなり、やがて時点「P22」において基準温度a20に達する。
【0070】
本実施形態においては、検出温度に対応させてバイパス弁220の開度を調整するため、スチームロッキング現象が解消して基準温度a20に達する時点「P22」の直前においては、バイパス弁220の開度は「0%」に近い状態になる。このため、スチームロッキング現象の解消後、直ちにバイパス弁220は閉弁状態になる。
【0071】
すなわち、ドレンの滞留状況に応じ、バイパス管73、74を通じて適切にドレンを排出することができ、スチームロッキング現象の解消時点で直ちにバイパス弁220を閉弁することが可能であるため、スチームロッキング現象の解消に伴う蒸気漏れを確実に防止することができる。
【0072】
また、本実施形態においては、スチームロッキング現象が生じた場合、ドレンの滞留状況に応じ、自動的にバイパス弁220を通じて適切にドレンを排出することができ、より効率的にスチームロッキング現象を解消することができる。
【0073】
[第3の実施形態]
続いて、本願に係るロッキング解消機能を有する弁システムの第3の実施形態を図9及び図10に基づいて説明する。本実施形態における弁システムは、前述の第2の実施形態に係る弁システムと同様の構成を備えている。第2の実施形態と実質的に異なるのは、アクチュエータ205の制御部207が行うバイパス弁棒61の回転制御プログラムの内容である。
【0074】
図9のグラフは、弁室16内のドレンの検出温度の変化を曲線xで表しているが、本実施形態では、検出温度の変化度合いを曲線xの変化の傾斜として把握し、この傾斜角度に対応させてバイパス弁口49の開度を調整する。図10は傾斜角度と弁の開度との関係を示しており、本実施形態では傾斜角度と弁の開度とは比例関係に設定されている。傾斜角度と弁の開度との関係を示す図10のデータは、予めアクチュエータ205のメモリ208に記憶されている。
【0075】
図10に示すように、本実施形態においては、曲線xの変化が緩やかで傾斜角度が小さい場合、弁の開度は小さく設定され、曲線xの変化が急激で傾斜角度が大きい場合、弁の開度は大きく設定される。
【0076】
具体的には、制御部207は、予め設定されている所定の算出時間i3の間の曲線xについて、その中心直線を算出した上で中心直線の傾斜角度を求め、傾斜角度に対応した弁の開度になるように駆動部209に指令を与えてバイパス弁棒61を回転操作する。なお、スチームロッキング現象が生じていない通常時においては、温度センサ201を通じて検出される温度はほぼ一定の高温を示し、曲線xの傾斜角度は「0度」であるため、バイパス弁220の開度は「0%」であり閉弁状態が維持される。
【0077】
スチームロッキング現象が生じた場合、検出温度は低下するため、これに従って制御部207はバイパス弁棒61を回転操作する。たとえば、図9の時点「P32」については、時点「P32」から算出時間「i3」遡った時点「P31」までの検出温度の曲線xを取り出し、この間の曲線xの中心直線k1のx軸に対する傾斜角度を算出する。
【0078】
差出した傾斜角度が「35度」であるとすると、図10に示すようにこれに対応する弁の開度は「38.9%」であるため、制御部207は駆動部209に指令を与えてバイパス弁口49が開度38.9%になるようにバイパス弁棒61を回転操作する。
【0079】
また、本実施形態においては、中心直線のx軸に対する傾斜角度の数値を絶対値として把握するため、中心直線の傾斜方向は把握する傾斜角度に影響を与えない。たとえば、時点「P34」については、時点「P34」から算出時間「i3」遡った時点「P33」までの検出温度の曲線xを取り出し、この間の曲線xの中心直線k2のx軸に対する傾斜角度を算出するが、この場合の傾斜角度は「30度」として把握する。
【0080】
こうしてドレンは流量調整の制御を受けながらバイパス管73、74を迂回して排出され、スチームロッキング現象は解消に向かう。そして、これに従って高温のドレンがスチームトラップ200に流入するようになり、温度センサ201が検出する検出温度は漸次、高くなり、やがて時点「P35」において一定の高温で安定し始める。
【0081】
本実施形態においては、曲線xの中心直線のx軸に対する傾斜角度、すなわち検出温度の変化の度合いに対応させてバイパス弁220の開度を調整するため、スチームロッキング現象が解消する時点「P35」の直前においては、傾斜角度は「0度」に近い状態になり、バイパス弁220の開度も「0%」に近づく。このため、スチームロッキング現象の解消後、直ちにバイパス弁220を閉弁状態にすることができる。
【0082】
すなわち、ドレンの滞留状況に応じ、バイパス管73、74を通じて適切にドレンを排出することができ、スチームロッキング現象の解消時点で直ちにバイパス弁220を閉弁することが可能であるため、スチームロッキング現象の解消に伴う蒸気漏れを確実に防止することができる。
【0083】
また、本実施形態においては、スチームロッキング現象が生じた場合、ドレンの滞留状況に応じ、自動的にバイパス弁220を通じて適切にドレンを排出することができ、より効率的にスチームロッキング現象を解消することができる。
【0084】
[その他の実施形態]
前述の実施形態においては、基本弁としてフロート式のスチームトラップ1、200を例示したが、これに限定されるものではなく、基本流路(流入管71及び流出管72等)上に設けられ、閉弁することによって流体(蒸気又はドレン等)の通過を遮断し、開弁することによって流体の通過を許容する弁であれば他の構成を備えた弁を採用することができる。
【0085】
また、前述の実施形態においては、補助弁としてバイパス弁4、220を例示したが、これに限定されるものではなく、迂回流路(バイパス管73、74等)上に設けられ、基本流路(流入管71及び流出管72等)における流体(蒸気又はドレン等)の滞留状況に起因して基本弁(スチームトラップ1、200等)が開弁することができなくなるロッキング現象の発生に基づいて開弁し、迂回流路に流体を通過させる弁であれば他の構成を備えた弁を採用することができる。なお、バイパス弁4は通常時には閉弁していることを前提としたが、バイパス弁を通常時に微開状態としてもよい。微開状態とすることにより、上流側が低圧であってもベンチュリ効果によりドレン排出を促進することができる。
【0086】
また、前述の実施形態においては、弁体部として円錐形状を有するバイパス弁体62を例示し、補助弁口部としてバイパス弁口49を例示したが、これらに限定されるものではなく、他の形状、構造を採用してもよい。たとえば、弁体部を円錐形状ではなく円錐台形の形状に構成してもよく、さらに円錐形状以外の形状を採用してもよい。
【0087】
また、前述の実施形態においては、検出手段として温度センサ201を例示し、検出信号として温度信号を例示したが、これに限定されるものではなく、ロッキング現象(スチームロッキング現象等)を検出して信号を出力するものであれば他の構成を採用することができる。たとえば、温度ではなくドレンの排出音を振動として検知し、排出音の不発生によってロッキング現象を検知する振動検出手段を採用することもできる。
【符号の説明】
【0088】
1、200:スチームトラップ 4、220:バイパス弁 10:フロート
49:バイパス弁口 62:バイパス弁体 71:流入管 72:流出管
73、74:バイパス管 L1:軸線 201:温度センサ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10