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特開2023-105447ブラシ用キャップおよびブラシ用包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105447
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ブラシ用キャップおよびブラシ用包装体
(51)【国際特許分類】
   A46B 17/04 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
A46B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006276
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】羽田 繁
(72)【発明者】
【氏名】小林 康裕
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB24
3B202EE01
3B202GB03
(57)【要約】
【課題】ブラシ用キャップの歪み、および、ブラシ部の柄に対するブラシ用キャップの浮き上がりを抑制する。
【解決手段】底面部100は、ブラシ部11の毛先と対向する。前面部110は、底面部100の長手方向の一端から立設され、柄10の長手方向の一端側の端面と当接する。1対の側面部120は、前面部110に対して長手方向において間隔をあけつつ底面部100の短手方向の両端から立設されている。1対の天面部130は、1対の側面部120の各々の先端から短手方向に互いに接近するように延出し、かつ、ブラシ部11における柄10に接しつつ長手方向に延在し、ブラシ部11を間に挟んで底面部100と対向する。後面部140は、底面部100の長手方向の他端から首部12に近接するように立設され、長手方向においてブラシ部11を間に挟んで前面部110と対向する。後面部140は、側面部120同士が短手方向に互いに接近するように歪むことを阻害する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する柄の前記長手方向の一端側に位置するブラシ部、および、該ブラシ部に対して前記長手方向の他端側に隣接しつつ前記長手方向に直交する短手方向の前記柄の幅が細くなっている首部を有する、ブラシの前記ブラシ部を収容する、ブラシ用キャップであって、
前記ブラシ部の毛先と対向する矩形状の底面部と、
前記底面部の前記長手方向の一端から立設され、前記柄の前記長手方向の一端側の端面と当接する前面部と、
前記前面部に対して前記長手方向において間隔をあけつつ前記底面部の前記短手方向の両端から立設された1対の側面部と、
前記1対の側面部の各々の先端から前記短手方向に互いに接近するように延出し、かつ、前記ブラシ部における前記柄に接しつつ前記長手方向に延在し、前記ブラシ部を間に挟んで前記底面部と対向する1対の天面部と、
前記底面部の前記長手方向の他端から前記首部に近接するように立設され、前記長手方向において前記ブラシ部を間に挟んで前記前面部と対向する後面部とを含み、
前記後面部は、前記側面部同士が前記短手方向に互いに接近するように歪むことを阻害する、ブラシ用キャップ。
【請求項2】
前記後面部は、前記底面部に連続して形成された折り曲げ片が折り曲げられて構成されている、請求項1に記載のブラシ用キャップ。
【請求項3】
前記前面部の先端から、前記天面部に向かって前記長手方向に延出する延出部が設けられている、請求項1または請求項2に記載のブラシ用キャップ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のブラシ用キャップと、
前記ブラシ部が前記ブラシ用キャップに収容された前記ブラシを被覆する熱収縮性フィルムとを備え、
前記後面部は、前記熱収縮性フィルムの熱収縮によって前記側面部同士が前記短手方向に互いに接近するように前記ブラシ用キャップが歪むことを阻害する、ブラシ用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ用キャップおよびブラシ用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシケースの構成を開示した先行技術文献として、実願昭57-036043号(実開昭58-139936号)のマイクロフィルム(特許文献1)がある。特許文献1に記載された歯ブラシケースは、ケース本体と、蓋体とを備える。ケース本体は、一方が開口した箱型状である。蓋体は、ケース本体の開口部を塞ぐ。蓋体には、ブラシの首部を通すための切欠窓が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭57-036043号(実開昭58-139936号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブラシ部がブラシ用キャップに収容されたブラシを熱収縮性フィルムによって包装する場合、熱収縮性フィルムの熱収縮によって、ブラシ用キャップの歪み、または、ブラシ部の柄に対するブラシ用キャップの浮き上がりが、起きる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ブラシ用キャップの歪み、および、ブラシ部の柄に対するブラシ用キャップの浮き上がりを抑制することができる、ブラシ用キャップおよびブラシ用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくブラシ用キャップは、長手方向に延在する柄の長手方向の一端側に位置するブラシ部、および、ブラシ部に対して長手方向の他端側に隣接しつつ長手方向に直交する短手方向の柄の幅が細くなっている首部を有する、ブラシのブラシ部を収容する。ブラシ用キャップは、矩形状の底面部と、前面部と、1対の側面部と、1対の天面部と、後面部とを備える。底面部は、ブラシ部の毛先と対向する。前面部は、底面部の長手方向の一端から立設され、柄の長手方向の一端側の端面と当接する。1対の側面部は、前面部に対して長手方向において間隔をあけつつ底面部の短手方向の両端から立設されている。1対の天面部は、1対の側面部の各々の先端から短手方向に互いに接近するように延出し、かつ、ブラシ部における柄に接しつつ長手方向に延在し、ブラシ部を間に挟んで底面部と対向する。後面部は、底面部の長手方向の他端から首部に近接するように立設され、長手方向においてブラシ部を間に挟んで前面部と対向する。後面部は、側面部同士が短手方向に互いに接近するように歪むことを阻害する。
【0007】
本発明の一形態においては、後面部は、底面部に連続して形成された折り曲げ片が折り曲げられて構成されている。
【0008】
本発明の一形態においては、前面部の先端から、天面部に向かって長手方向に延出する延出部が設けられている。
【0009】
本発明に基づくブラシ用包装体は、上記ブラシ用キャップと、熱収縮性フィルムとを備える。熱収縮性フィルムは、ブラシ部がブラシ用キャップに収容されたブラシを被覆する。後面部は、熱収縮性フィルムの熱収縮によって側面部同士が上記短手方向に互いに接近するようにブラシ用キャップが歪むことを阻害する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブラシ用キャップの歪み、および、ブラシ部の柄に対するブラシ用キャップの浮き上がりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係るブラシ用包装体の構成を示す側面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップの構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップの後面部が閉じられる前の状態を示す斜視図である。
図4図3のブラシ用キャップを矢印IV方向から見た図である。
図5】本発明の実施の形態1に係るブラシ用包装体のブラシ部周辺における構成を示す側面図である。
図6】本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップがブラシに装着される前の状態を示す斜視図である。
図7】比較例に係るブラシ用包装体が備える熱収縮性フィルムが熱収縮される前の状態を示す側面図である。
図8】比較例に係るブラシ用包装体が熱収縮性フィルムの熱収縮によってブラシ部の柄に対してブラシ用キャップが浮き上がった状態を示す側面図である。
図9】本発明の実施の形態2に係るブラシ用包装体の構成を示す側面図である。
図10】本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップの構成を示す斜視図である。
図11】本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップにブラシが装着されている途中の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態に係るブラシ用キャップおよびブラシ用包装体について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
なお、図面においては、ブラシの長手方向をX方向、ブラシの短手方向をY方向、ブラシにおけるブラシ部の毛束の延在方向をZ方向として示している。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るブラシ用包装体の構成を示す側面図である。図1に示すように、本発明の実施の形態1に係るブラシ用包装体2は、ブラシ1を包装する。本実施の形態に係るブラシ1は、たとえば、歯ブラシである。なお、ブラシ1は、ヘアブラシまたはワイヤブラシなどであってもよく、歯ブラシに限定されない。
【0015】
ブラシ1は、長手方向(X方向)に延在する柄10を有している。ブラシ1は、ブラシ部11および首部12を有する。
【0016】
ブラシ部11は、柄10の長手方向(X方向)の一端側に位置している。ブラシ部11は、長手方向(X方向)の一端寄りの柄10の端部と当該端部に植え付けられた毛束を含む。ブラシ部11の毛先は、Z方向を向いている。
【0017】
首部12は、ブラシ部11に対して長手方向(X方向)の他端側に隣接しつつ長手方向(X方向)に直交する短手方向(Y方向)の柄10の幅が細くなっている部分である。
【0018】
本実施の形態におけるブラシ用包装体2は、ブラシ用キャップ20と、熱収縮性フィルム30とを備える。
【0019】
ブラシ用キャップ20は、ブラシ部11を収容する。ブラシ用キャップ20の各構成要素の厚みは、たとえば、0.5mm以上1.5mm以下である。ブラシ用キャップ20は、たとえば、射出成形により形成されている。なお、本実施の形態におけるブラシ用キャップ20は、一部材から構成されているが、互いに接合された複数の部材によって構成されていてもよい。
【0020】
ブラシ用キャップ20は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)により構成されている。なお、ブラシ用キャップ20は、PETに限定されず、ポリブチレンテレフタレート(PBT)若しくはポリ乳酸(PLA)などのポリエステル系、ポリスチレン若しくはスチレン-ブタジエン共重合体などのポリスチレン系(PS)、ポリエチレン(PE)若しくはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、またはナイロンなどのポリアミド系などの樹脂により構成されていてもよい。
【0021】
熱収縮性フィルム30は、ブラシ部11がブラシ用キャップ20に収容されたブラシ1を被覆する。
【0022】
熱収縮性フィルム30は、ブラシ1の柄10の周方向に熱収縮する一軸延伸フィルムであることが好ましい。なお、熱収縮性フィルム30は、一軸延伸フィルムに限られず、上記周方向と長手方向(X方向)との2つの方向に熱収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。
【0023】
熱収縮性を有する熱収縮性フィルム30の具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはPPなどのポリオレフィン系、PET若しくはPBTなどのポリエステル系、スチレンブタジエン共重合体などのポリスチレン系(PS)、または、PLA、ポリアミド若しくはポリ塩化ビニルなどのビニル系の、樹脂から構成されるフィルムが挙げられる。なお、熱収縮性フィルム30は、これらの樹脂を2種類以上混合した樹脂混合物を含むフィルムであってもよいし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムであってもよい。
【0024】
熱収縮性フィルム30の厚みは、特に限定されないが、8μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上80μm以下、特に好ましくは15μm以上60μm以下である。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップの構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップの後面部が閉じられる前の状態を示す斜視図である。図4は、図3のブラシ用キャップを矢印IV方向から見た図である。図5は、本発明の実施の形態1に係るブラシ用包装体のブラシ部周辺における構成を示す側面図である。図6は、本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップがブラシに装着される前の状態を示す斜視図である。
【0026】
図2図6に示すように、本実施の形態に係るブラシ用包装体2が備えるブラシ用キャップ20は、底面部100と、前面部110と、1対の側面部120と、1対の天面部130と、後面部140とを含む。
【0027】
図2図5に示すように、底面部100は、ブラシ部11の毛先と対向する。底面部100は、XY平面上に位置している。底面部100は、矩形状の形状を有している。なお、底面部100の四隅が丸みを帯びていてもよい。
【0028】
前面部110は、底面部100の長手方向(X方向)の一端から立設されている。前面部110のZ方向の一端側に、立壁部111が形成されている。立壁部111は、前面部110の短手方向(Y方向)の中央部から、X方向の他方に向かって延出している。
【0029】
ブラシ部11がブラシ用キャップ20に収容された状態において、前面部110は、柄10の長手方向(X方向)の一端側の端面と当接する。具体的には、立壁部111が柄10の長手方向(X方向)の一端側の端面と当接する。
【0030】
1対の側面部120は、前面部110に対して長手方向(X方向)において間隔をあけつつ底面部100の短手方向(Y方向)の両端から立設されている。1対の側面部120は、前面部110に対して独立してY方向に互いに接近または離間可能である。
【0031】
1対の側面部120の各々は、突起部121を含む。突起部121は、1対の側面部120の互いに対向する内面においてX方向に延在している。Z方向における突起部121と後述する1対の天面部130との間の隙間に、柄10の長手方向(X方向)の一端側が挿入される。
【0032】
図6に示すように、ブラシ1にブラシ用キャップ20が装着される前の状態において、1対の側面部120のZ方向の一端側の先端は、互いにY方向に近接している。ブラシ1にブラシ用キャップ20が装着されたとき、図2に示すように、1対の側面部120は柄10によって押し広げられて互いに離間するように弾性変形しており、元の形状に戻ろうとする復元力が働くため、1対の側面部120によってブラシ部11をY方向において挟み込んで保持することができる。
【0033】
図2図5に示すように、1対の天面部130は、1対の側面部120の各々の先端から短手方向(Y方向)に互いに接近するように延出している。1対の天面部130は、ブラシ部11における柄10に接しつつ長手方向(X方向)に延在し、ブラシ部11を間に挟んで底面部100と対向している。
【0034】
図5に示すように、後面部140は、底面部100の長手方向(X方向)の他端から首部12に近接するように立設されている。なお、後面部140は、後述するように、後面部140となる折り曲げ片が折り曲げられた際に、後面部140が首部12に接触しない範囲で首部12に近接していることが望ましい。これにより、首部12に対して後面部140が接触することによって、首部12に傷が付くことを抑制することができる。
【0035】
後面部140は、長手方向(X方向)においてブラシ部11を間に挟んで前面部110と対向している。図2に示すように、本実施の形態における後面部140は、側面部120同士の間に挟まれている。具体的には、後面部140は、突起部121同士の間に挟まれている。
【0036】
後面部140は、底面部100に連続して形成された折り曲げ片が折り曲げられて構成されている。図3に示すように、後面部140は、底面部100と折り曲げ片との境界にハーフカットなどの切れ込みが設けられ、この切れ込みを起点にして折り曲げ片を折り曲げることによって構成されている。
【0037】
後面部140は、熱収縮性フィルム30の熱収縮によって側面部120同士が短手方向(Y方向)に互いに接近するようにブラシ用キャップ20が歪むことを阻害する。本実施の形態においては、図2に示すように、底面部100の長手方向(X方向)の他端側において、後面部140が1対の側面部120同士の間に挟まれていることにより、熱収縮性フィルム30の熱収縮によって側面部120同士がY方向に互いに接近するようにブラシ用キャップ20が歪むことを阻害している。
【0038】
ここで、比較例に係るブラシ用キャップおよびブラシ用包装体について図を参照して説明する。本比較例に係るブラシ用キャップおよびブラシ用包装体は、ブラシ用キャップにおける後面部の構成が本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2と異なるため、本発明の実施の形態1に係るブラシ用包装体2と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0039】
図7は、比較例に係るブラシ用包装体が備える熱収縮性フィルムが熱収縮される前の状態を示す側面図である。図8は、比較例に係るブラシ用包装体が熱収縮性フィルムの熱収縮によってブラシ部の柄に対してブラシ用キャップが浮き上がった状態を示す側面図である。
【0040】
図7および図8に示すように、本比較例に係るブラシ用包装体9は、ブラシ用キャップ90と、熱収縮性フィルム30とを備える。ブラシ用キャップ90は、後面部940を含む。図7に示すように、熱収縮性フィルム30が熱収縮される前の状態においては、後面部940と首部12との間には、Z方向において隙間Gがあいている。
【0041】
図8に示すように、本比較例に係るブラシ用包装体9においては、熱収縮性フィルム30が熱収縮した際に、後面部940の先端を首部12に接近させる方向に圧縮力が作用する。これにより、ブラシ用キャップ90は、ブラシ部11に対して傾いた状態、すなわち、ブラシ部11の柄10に対してブラシ用キャップ90が浮き上がった状態となる。このように、ブラシ用キャップ90が浮き上がった状態では、ブラシ部11の毛先が底面部100と接触する可能性があり好ましくない。
【0042】
一方、本実施の形態に係るブラシ用包装体2は、後面部140が首部12に対して近接しており、本比較例に係るブラシ用包装体9における後面部940と比較して、後面部140と首部12との間の隙間が小さいため、熱収縮性フィルム30の熱収縮によってブラシ1のブラシ部11の柄10に対してブラシ用キャップ20が浮き上がることを抑制することができる。なお、後面部140と首部12との間のZ方向における隙間の寸法は、ブラシ用キャップ20の浮き上がりを抑制可能な範囲で適宜設定可能である。
【0043】
本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2においては、ブラシ部11がブラシ用キャップ20に収容されたブラシ1を熱収縮性フィルム30によって包装する場合、熱収縮性フィルム30の熱収縮によって側面部120同士が短手方向(Y方向)に互いに接近するようにブラシ用キャップ20が歪むことを阻害する後面部140が設けられていることにより、熱収縮性フィルム30の熱収縮によるブラシ用キャップ20の歪みを抑制することができる。これにより、ブラシ部11の毛束がブラシ用キャップ20の側面部120と接触することを抑制することができる。
【0044】
また、本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2においては、ブラシ用キャップ20における後面部140が、底面部100の長手方向(X方向)の他端から首部12に近接するように立設されていることによって、熱収縮性フィルム30の熱収縮によるブラシ1のブラシ部11の柄10に対するブラシ用キャップ20の浮き上がりを抑制することができる。これにより、ブラシ部11の毛束がブラシ用キャップ20の底面部100と接触することを抑制することができる。
【0045】
さらに、本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2においては、柄10の長手方向(X方向)の一端側の端面がブラシ用キャップ20の前面部110と当接している。これにより、ブラシ部11の毛束がブラシ用キャップ20の前面部110および後面部140と接触することを抑制することができる。このように、本発明の実施の形態1に係るブラシ用包装体2においては、ブラシ部11の毛束がブラシ用キャップ20の内面と接触することを抑制して、ブラシ用キャップ20によってブラシ部11を清潔に保護することができる。
【0046】
本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2においては、後面部140が底面部100に連続して形成された折り曲げ片が折り曲げられて構成されていることによって、簡易な構成でブラシ用キャップ20に後面部140を設けることができる。
【0047】
本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2においては、後面部140が、側面部120同士の間に挟まれていることによって、側面部120同士が短手方向(Y方向)に互いに接近するようにブラシ用キャップ20が歪むことを後面部140によって安定して阻害することができる。
【0048】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップおよびブラシ用包装体について説明する。本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップおよびブラシ用包装体は、ブラシ用キャップにおける前面部および後面部の構成が本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2と異なるため、本発明の実施の形態1に係るブラシ用キャップ20およびブラシ用包装体2と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0049】
図9は、本発明の実施の形態2に係るブラシ用包装体の構成を示す側面図である。図10は、本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップの構成を示す斜視図である。なお、図10においては、ブラシが挿入される前の状態のブラシ用キャップを示している。
【0050】
図9および図10に示すように、本発明の実施の形態2に係るブラシ用包装体2Aは、ブラシ用キャップ20Aと、熱収縮性フィルム30とを備える。ブラシ用キャップ20Aは、ブラシ部11を収容する。
【0051】
本実施の形態に係るブラシ用包装体2Aが備えるブラシ用キャップ20Aは、底面部200と、前面部210と、1対の側面部220と、1対の天面部230と、後面部240とを含む。
【0052】
前面部210は、底面部200の長手方向(X方向)の一端から立設されている。前面部210の、Z方向の一端側に、立壁部211が形成されている。立壁部211は、前面部210の短手方向(Y方向)の中央部から、X方向の他方に向かって延出している。ブラシ部11がブラシ用キャップ20Aに収容された状態において、立壁部211は、柄10の長手方向(X方向)の一端側の端面と当接している。
【0053】
前面部210の先端から、天面部230に向かって長手方向(X方向)に延出する延出部212が設けられている。なお、延出部212は、Y方向において、柄10の幅と略同じ幅を有していることが望ましい。
【0054】
1対の側面部220は、前面部210に対して長手方向(X方向)において間隔をあけつつ底面部200の短手方向(Y方向)の両端から立設されている。1対の側面部220のX方向の一方側の部分は、前面部210に対して独立してY方向に互いに接近または離間可能である。
【0055】
後面部240は、底面部200の長手方向(X方向)の他端から首部12に近接するように立設されている。後面部240は、1対の側面部220の各々の長手方向(X方向)の他端と連続して形成されている。すなわち、後面部240は、側面部220同士の間に挟まれている。後面部240は、長手方向(X方向)においてブラシ部11を間に挟んで前面部210と対向している。
【0056】
図11は、本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップにブラシを挿入している途中の状態を示す側面図である。
【0057】
図11に示すように、本実施の形態に係るブラシ用キャップ20Aがブラシ1に装着されるとき、ブラシ1は、天面部230と延出部212との隙間からブラシ用キャップ20Aに挿入される。具体的には、柄10を延出部212に当接させて、支点Pを中心として図中の矢印方向に回動させつつ、1対の天面部230をY方向に押し広げながらブラシ1をブラシ用キャップ20A内に挿入する。このように、てこの原理を利用してブラシ1を挿入することにより、ブラシ1をブラシ用キャップ20Aの内部に容易に挿入することができる。
【0058】
本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップ20Aおよびブラシ用包装体2Aにおいては、前面部210の先端に延出部212が設けられていることにより、ブラシ用キャップ20Aにおける延出部212と天面部230との間の隙間にブラシ部11の柄10を挿入しつつ、天面部230同士の間のY方向における間隔を広げてブラシ部11をブラシ用キャップ20Aに容易に収容させることができる。
【0059】
本発明の実施の形態2に係るブラシ用キャップ20Aおよびブラシ用包装体2Aにおいては、後面部240が、側面部220同士の間に挟まれていることによって、側面部220同士が短手方向(Y方向)に互いに接近するようにブラシ用キャップ20Aが歪むことを後面部240によって安定して阻害することができる。
【0060】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ブラシ、2,2A,9 ブラシ用包装体、10 柄、11 ブラシ部、12 首部、20,20A,90 ブラシ用キャップ、30 熱収縮性フィルム、100,200 底面部、110,210 前面部、111,211 立壁部、120,220 側面部、121 突起部、130,230 天面部、140,240,940 後面部、212 延出部、G 隙間、P 支点。
図1
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図11