(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105466
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】施解錠装置
(51)【国際特許分類】
E05B 41/00 20060101AFI20230724BHJP
E05B 65/08 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
E05B41/00 F
E05B41/00 G
E05B65/08 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006303
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】倉林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】新倉 謙治
(72)【発明者】
【氏名】石山 勝己
(57)【要約】
【課題】乾電池の交換作業が不要な施解錠装置を提供する。
【解決手段】建物の開口部に設けられる建具の施解錠を検知する施解錠センサと、給電装置からのワイヤレス給電によって電力を受電する電源部と、前記電源部で受電した電力に基づいて動作し、前記施解錠センサの検知結果に応じた処理を実行する制御部と、を備える施解錠装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる建具の施解錠を検知する施解錠センサと、
給電装置からのワイヤレス給電によって電力を受電する電源部と、
前記電源部で受電した電力に基づいて動作し、前記施解錠センサの検知結果に応じた処理を実行する制御部と、
を備える施解錠装置。
【請求項2】
外部装置と無線通信する無線通信部を備え、
前記制御部は、前記電源部で受電した電力を用いて、前記施解錠センサの検知結果を前記無線通信部から前記外部装置へ送信させる、
請求項1に記載の施解錠装置。
【請求項3】
前記電源部は、
前記ワイヤレス給電によって前記電力を受電する受電部と、
前記受電部で受電した前記電力を蓄電する蓄電部と、
前記蓄電部から出力される電圧を昇圧又は降圧することによって所定の直流電圧を生成し、前記直流電圧を、少なくとも前記施解錠センサ及び前記制御部に供給するDCDCコンバータと、
を備える請求項1又は請求項2に記載の施解錠装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記蓄電部の電圧をモニターしており、前記蓄電部の電圧が所定値を下回った場合には、前記ワイヤレス給電の実行を指示する指示情報を前記給電装置へ送信する、
請求項3に記載の施解錠装置。
【請求項5】
前記電源部は、乾電池型の筐体内に収容されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の施解錠装置。
【請求項6】
前記受電部は、乾電池型の筐体内に収容されている、
請求項3又は請求項4に記載の施解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレセント錠又はカムラッチ等、建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う施解錠装置が知られている。特許文献1に記載の施解錠装置は、建具の施解錠を検知する施解錠センサを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施解錠装置は、電源として乾電池を使用している。そのため、乾電池の電力が無くなると乾電池を交換する必要があり、ユーザにとって面倒である。
【0005】
本開示は、乾電池の交換作業が不要な施解錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、建物の開口部に設けられる建具の施解錠を検知する施解錠センサと、給電装置からのワイヤレス給電によって電力を受電する電源部と、前記電源部で受電した電力に基づいて動作し、前記施解錠センサの検知結果に応じた処理を実行する制御装置と、を備える施解錠装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る制御システムの概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る建具に設けられる施解錠装置を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る施解錠装置の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る施解錠装置の機能部の構成図である。
【
図5】本実施形態に係る制御システムの動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、通信装置10、1つ以上の給電装置20、1つ以上の施解錠装置30、及び制御装置40を備える。例えば、制御システム1は、1つ以上の施解錠装置30から受信する情報に基づいて、ユーザの建物100に設けられた複数種類の電動装置を通信ネットワークNW経由で制御する。建物100は、マンションや一軒家などの住宅、病院、施設などである。本実施形態では、建物100がユーザの住宅である場合を例に説明する。
【0009】
通信装置10は、通信ネットワークNWを介して制御装置40に接続される。通信装置10は、複数の施解錠装置30に接続されている。通信装置10は、制御装置40と複数の施解錠装置30との間の情報を中継する。通信装置10は、例えば、ルータ及びゲートウェイを備える。
【0010】
通信ネットワークNWは、無線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。無線通信の伝送路は、例えば、無線LANである。通信ネットワークNWは、携帯電話回線網などの移動体通信網、無線パケット通信網、インターネット及び専用回線の何れかであってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。例えば、通信ネットワークNWは、省電力広域ネットワーク(LPWAN:Low-power Wide-area Network)を用いてもよいし、短距離無線通信規格であるZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、BLE等を用いてもよい。
【0011】
給電装置20は、施解錠装置30に対してワイヤレス給電を行う。本実施形態のワイヤレス給電とは、例えば、電界結合方式、電磁誘導方式、電波方式、又は磁界共鳴方式を用いた電力伝送である。給電装置20は、例えば、建物100内に設置されているが、その設置場所には特に限定されない。給電装置20によるワイヤレス給電は、常時実施されてもよいし、予め設定された時間帯のみ実施されてもよいし、何らかの信号を受信した場合に行われてもよい。
【0012】
複数の施解錠装置30は、建物100に設置されている。
図2に示すように、施解錠装置30は、建物100の開口部に設けられる建具110の施解錠を行う。例えば、施解錠装置30は、クレセント錠である。建具110は、例えば引違い窓である。ただし、建具は引違い窓に限定されず、建具110は、室内の扉などであってもよい。施解錠装置30は、例えば台所、居間、子供室、寝室などの各居室の建具110に設置されている。施解錠装置30は、トイレ、浴室、洗面室、玄関などに設置されている建具110に設けられてもよい。
【0013】
施解錠装置30は、通信装置10を介して通信ネットワークNWに接続されている。施解錠装置30は、通信ネットワークNW経由で制御装置40に対して情報を送信する。
【0014】
図3に示すように、施解錠装置30は、基部31、ハンドル部32及びクレセント金具33を備える。
【0015】
基部31は、建具110の一方の框体に固定されている。ハンドル部32は、利用者により操作されるレバーである。ハンドル部32は、基部31に対して回動可能に設けられている。クレセント金具33は、ハンドル部32に連動して回転し、建具の他方の框体に固定されたクレセント受け金具(不図示)に係合する。
【0016】
ハンドル部32が回転することによって、クレセント金具33が不図示のクレセント受け金具に係合する。クレセント金具33がクレセント受け金具に係合すると、建具110が施錠される。クレセント金具33がクレセント受け金具に係合している状態を施錠状態と称する場合がある。施錠状態からハンドル部32を回転することによって、クレセント金具33が、クレセント受け金具に係合していない状態になることによって解錠される。クレセント受け金具に係合していない状態を解錠状態と称する場合がある。ハンドル部32には、センサおよび電子部品を含む機能部32aが収納されている。
【0017】
施解錠装置30における機能部32aの構成を、
図4を用いて説明する。
図4に示すように、施解錠装置30の機能部32aは、施解錠センサ50、電源部51、制御部52、及び無線通信部53を備える。
【0018】
施解錠センサ50は、建具110を施錠する錠である施解錠装置30が、施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを判別可能な情報(以下、「状態情報」という。)を検出する。一例として、施解錠センサ50は、加速度センサを備える。施解錠センサ50は、加速度センサによりハンドル部32の回転角度を検知することができる。施解錠センサ50は、ハンドル部32の回転角度により、施解錠装置30が施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを検知することができる。状態情報は、施解錠装置30が施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを示す情報であってもよい。状態情報は、加速度センサの検知結果であってもよい。
【0019】
施解錠センサ50は、加速度センサに限定されず、その他のセンサを用いて状態情報を検出してもよい。施解錠センサ50は、磁界センサを有する。施解錠センサ50は、建具110に取り付けられた磁石の磁界を磁界センサにより検知することによって、施解錠装置30が施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを検知してもよい。施解錠センサ50は、公知の技術を用いて状態情報を検出できればよく、その方法は特に限定されない。施解錠センサ50は、検出した状態情報を、制御部52に対して送信する。
【0020】
電源部51は、給電装置20からのワイヤレス給電によって電力を受電する。
図4では、電源部51で受電するワイヤレス給電がマイクロ波などの電波による電波方式のワイヤレス給電である場合を例として説明する。電源部51は、例えば受電部60、蓄電部61及びDCDCコンバータ62を備える。電源部51は、乾電池型の筐体内に収容されてもよい。ただし、これに限定されず、電源部51ではなく受電部60が乾電池形状を模した形の筐体内に収容されてもよい。
【0021】
受電部60は、電波方式のワイヤレス給電によって、給電装置20から電力を受電する。受電部60は、電波方式のワイヤレス給電による電力受電に必要な構成、例えば電波を受信するアンテナ70、種々の信号処理を実行するRF回路71及び共振回路72などを有する。
【0022】
蓄電部61は、受電部60に接続されており、受電部60で受電した電力を蓄電する。蓄電部61は、二次電池であってもよい。
【0023】
DCDCコンバータ62は、蓄電部61から出力される電圧V1を昇圧又は降圧することによって所定の直流電圧V2を生成する。DCDCコンバータ62は、生成した直流電圧V2を、少なくとも施解錠センサ50及び制御部52に供給する。
【0024】
無線通信部53は、外部装置と無線通信する。無線通信部53は、外部装置と無線通信を行うための構成として、例えば、無線通信の機能を有する無線モジュール80、種々の信号処理を実行するRF回路81及び電波を送信するアンテナ82を有する。外部装置とは、制御装置40であってもよいし、利用者が利用する通信端末300であってもよい。
図1に示す例では、無線通信部53は、通信装置10を介して制御装置40に対して情報を送信可能である。無線通信部53は、給電装置20と無線通信が可能である。
【0025】
通信端末300は、例えばユーザが携帯可能な端末である。通信端末300は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ノートパソコン、ウェアラブル端末等であってもよい。通信端末300は、ユーザが携帯可能であるか否かには特に限定されない。例えば、通信端末300は、コンピュータであってもよい。
【0026】
通信端末300は、通信ネットワークNWを介して制御装置40に接続される。通信端末300は、通信ネットワークNWを介して制御装置40と情報を送受信可能である。例えば、通信端末300は、制御装置40と通信することによって施解錠センサ50の検知結果である状態情報を受信する。通信端末300は、受信した検知結果を表示画面に表示可能である。
【0027】
制御部52は、電源部51で受電した電力に基づいて動作し、施解錠センサ50の検知結果に応じた処理を実行する。例えば、制御部52は、DCDCコンバータ62からの直流電圧V2を電源電圧として用いることによって動作する。制御部52は、施解錠センサ50の検知結果を無線通信部53から外部装置、例えば制御装置40に対して送信してもよい。
【0028】
制御部52は、蓄電部61の電圧V1をモニターしてもよい。制御部52は、蓄電部61の電圧V1が所定値Vthを下回った場合には、ワイヤレス給電の実行を指示する指示情報を無線通信部53から給電装置20へ送信させる。給電装置20は、制御部52から指示情報を受信した場合に、施解錠装置30に対してワイヤレス給電を開始してもよい。
【0029】
制御装置40は、通信ネットワークNWに接続されている。制御装置40は、コンピュータであってもよい。制御装置40は、サーバ装置であってもよい。制御装置40は、インターネット上やクラウド上に配置されてもよい。制御装置40は、少なくとも一つの物理サーバを備えてもよい。制御装置40として構成される複数の物理サーバは、通信ネットワークNWを介して互いに接続されていることによって、互いに通信可能である。物理サーバは、少なくとも一つの仮想サーバを備えてもよい。仮想サーバは、クラウドシステム上のサーバ(クラウドサーバ)であってもよい。
【0030】
制御装置40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0031】
制御装置40は、施解錠装置30から状態情報を施解錠装置30ごとに受信する。制御装置40は、施解錠装置30ごとの状態情報を、通信端末300に対して提供可能である。
【0032】
制御システム1の動作の流れを、
図5を用いて説明する。給電装置20が1つ以上の施解錠装置30に対するワイヤレス給電を開始する(ステップS101)。施解錠装置30は、受電部60にて給電装置20からのワイヤレス給電による電力を受電する(ステップS102)。施解錠装置30は、受電部60にて受電した電力を蓄電部61にて蓄える(ステップS103)。施解錠装置30は、蓄電部61からの電圧V1からDCDCコンバータ62にて所定の電圧V2を生成する(ステップS104)。DCDCコンバータ62で生成された電圧V2は、少なくとも施解錠センサ50及び制御部52に供給される(ステップS105)。施解錠センサ50及び制御部52は、電圧V2を電源電圧として動作を開始する(ステップS106)。
【0033】
給電装置20からのワイヤレス給電は、蓄電部61が満充電になった場合には停止されてもよい。例えば、制御部52は、蓄電部61の電圧V1を常時モニターしている。制御部52は、電圧V1が、蓄電部61が満充電の電圧レベルに達した場合には、ワイヤレス給電を停止させる停止指令を給電装置20に送信してもよい。
【0034】
施解錠装置30は、施解錠センサ50、電源部51、及び制御部52を備える。施解錠センサ50は、建物100の開口部に設けられる建具110の施解錠を検知する。電源部51は、給電装置20からのワイヤレス給電によって電力を受電する。制御部52は、電源部51で受電した電力に基づいて動作し、施解錠センサ50の検知結果に応じた処理を実行する。施解錠装置30は、乾電池の電力を用いずに動作可能であるため、乾電池を交換する作業が不要となる。
【0035】
施解錠装置30は、例えば制御装置40又は通信端末300である外部装置と無線通信する無線通信部53をさらに備えてもよい。その際、制御部52は、電源部51で受電した電力を用いて、施解錠センサ50の検知結果を無線通信部53から外部装置へ送信させてもよい。施解錠装置30は、建具110が施解状態と解錠状態のいずれかであるかを外部装置に通知することができる。
【0036】
電源部51は、受電部60、蓄電部61、及びDCDCコンバータ62を備える。受電部60は、ワイヤレス給電によって電力を受電する。蓄電部61は、受電部60で受電した電力を蓄電する。DCDCコンバータ62は、蓄電部61から出力される電圧V1を昇圧又は降圧することによって所定の直流電圧V2を生成する。DCDCコンバータ62は、生成した直流電圧V2を、少なくとも施解錠センサ50及び制御部52に供給する。施解錠装置30は、より安定した電圧を施解錠センサ50及び制御部52に供給可能である。
【0037】
制御部52は、蓄電部61の電圧V1をモニターしている。制御部52は、モニターの結果、蓄電部61の電圧V1が所定値Vthを下回った場合には、ワイヤレス給電の実行を指示する指示情報を無線通信部から給電装置20へ送信させてもよい。施解錠装置30は、より安定した電源電圧を施解錠センサ50及び制御部52に供給可能である。
【0038】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0039】
電源部51は、乾電池型の筐体内に収容されてもよい。施解錠装置30のサイズを大きく変更することなく、ワイヤレス給電による受電を行うことができる。ただし、これに限定されず、例えば、受電部60が乾電池型の筐体内に収容されてもよい。
【0040】
施解錠装置30は、クレセント錠に限定されず、サムターン、グレモンハンドル又はカムラッチであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
20…給電装置、30…施解錠装置、50…施解錠センサ50…電源部、52…制御部、53…無線通信部、60…受電部、61…蓄電部、62…DCDCコンバータ