(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105486
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ソレノイド動作の弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/44 20060101AFI20230724BHJP
B60K 15/03 20060101ALI20230724BHJP
B60K 15/035 20060101ALI20230724BHJP
F16K 31/10 20060101ALN20230724BHJP
【FI】
F16K31/44 F
B60K15/03 Z
B60K15/035 A
F16K31/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006345
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮前 仁志
【テーマコード(参考)】
3D038
3H063
3H106
【Fターム(参考)】
3D038CA22
3D038CC00
3D038CC09
3H063AA05
3H063BB50
3H063DA14
3H063DB13
3H106DA07
3H106DA22
3H106DA32
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD14
3H106EE01
3H106EE29
3H106GC26
(57)【要約】
【課題】ソレノイドを利用して開口部の流路面積を変化させることが可能なソレノイド動作の弁装置を提供する。
【解決手段】この弁装置10は、ハウジング15と弁体80,81と駆動手段とを有し、駆動手段はロッド143を設けたソレノイド140,141を有し、回転部材110は、軸部112と基板113とボス116とを有し、ロッド143には押圧部163を有するプッシュ部材160が取付けられ、プッシュ部材160は、ソレノイドОNでロッド143が所定方向にスライドしたときに第1ボスを押圧して回転部材110を回転させ、ソレノイドOFFでロッド143が所定方向の反対方向にスライドしたときに押圧部163が第2ボス116を押圧可能な位置となるように移動する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切壁を介して、燃料タンク内に連通する第1空間、及び、燃料タンク外に連通する第2空間が設けられ、前記仕切壁に前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が設けられた、ハウジングと、
前記第2空間側に配置された回転部材と、
弁体と、
駆動手段とを有しており、
前記駆動手段が前記回転部材を回転させ、前記回転部材が回転することにより前記弁体が前記開口部に対して近接離反して、前記開口部の流路面積を可変させるように構成されており、
更に前記駆動手段は、スライド動作するロッドを設けたソレノイドを有しており、
前記回転部材は、前記ハウジングに回転可能に軸支される軸部と、該軸部に連結された基板と、該基板から軸方向に突設し、前記軸部の周方向に互いに隣接する第1ボス及び第2ボスとを有しており、
前記ロッドには、押圧部を有するプッシュ部材が取付けられており、
該プッシュ部材は、前記ソレノイドがОNとなり、前記ロッドが所定方向にスライドしたときに、前記押圧部が前記第1ボスを押圧して、前記回転部材を所定方向に回転させ、前記ソレノイドがOFFとなり、前記ロッドが前記所定方向とは反対方向にスライドしたときに、前記押圧部が、前記第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、前記ロッドに対して移動可能に設けられていることを特徴とする、ソレノイド動作の弁装置。
【請求項2】
仕切壁を介して、燃料タンク内に連通する第1空間、及び、燃料タンク外に連通する第2空間が設けられ、前記仕切壁に前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が設けられた、ハウジングと、
前記第2空間側に配置された回転部材と、
前記開口部を開閉可能な弁体と、
該弁体を前記開口部に向けて付勢する弁体付勢バネと、
該弁体付勢バネを押えるバネ押え部材と、
駆動手段とを有しており、
前記駆動手段が前記回転部材を回転させ、前記回転部材が回転することにより前記バネ押え部材が前記弁体に対して近接離反して、前記開口部に対する前記弁体の開弁圧を調整可能となるように構成されており、
更に前記駆動手段は、スライド動作するロッドを設けたソレノイドを有しており、
前記回転部材は、前記ハウジングに回転可能に軸支される軸部と、該軸部に連結された基板と、該基板から軸方向に突設し、前記軸部の周方向に互いに隣接する第1ボス及び第2ボスとを有しており、
前記ロッドには、押圧部を有するプッシュ部材が取付けられており、
該プッシュ部材は、前記ソレノイドがОNとなり、前記ロッドが所定方向にスライドしたときに、前記押圧部が前記第1ボスを押圧して、前記回転部材を所定方向に回転させ、前記ソレノイドがOFFとなり、前記ロッドが前記所定方向とは反対方向にスライドしたときに、前記押圧部が、前記第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、前記ロッドに対して移動可能に設けられていることを特徴とする、ソレノイド動作の弁装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、第1ソレノイドと第2ソレノイドとを有しており、
各ソレノイドの前記ロッドに、前記プッシュ部材がそれぞれ取付けられており、
前記第1ソレノイドの前記ロッド及び前記第2ソレノイドの前記ロッドが、並列して配置されている請求項1又は2記載のソレノイド動作の弁装置。
【請求項4】
前記ロッドは、前記基板に対して前記押圧部が近接する方向に、前記プッシュ部材を付勢するプッシュ部材付勢バネを有しており、
前記押圧部は、前記第1ボス及び第2ボスを押圧する押圧面と、該押圧面とは反対側の面に設けられた、傾斜面状をなした乗り越え面とを有しており、
前記ロッドが前記所定方向にスライドして前記押圧面が前記第1ボスを押圧し、前記ロッドが前記所定方向とは反対方向にスライドしたときに、前記第2ボスを、前記乗り越え面が乗り越えることにより、前記プッシュ部材付勢バネの付勢力に抗して前記プッシュ部材が前記ロッドに対して移動して、前記押圧面が、前記第2ボスを押圧可能な位置となる請求項1~3のいずれか1つに記載のソレノイド動作の弁装置。
【請求項5】
前記ロッドが前記所定方向にスライドすると、前記押圧部は前記ソレノイドに近接し、前記ロッドが前記所定方向とは反対方向にスライドすると、前記押圧部は前記ソレノイドから離間するように構成されている請求項1~4のいずれか1つに記載のソレノイド動作の弁装置。
【請求項6】
前記回転部材は、その回転を制動する制動部を有する請求項1~5のいずれか1つに記載のソレノイド動作の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部の流路面積を変化させたり、開口部に対する開弁圧を調整したりすることが可能な、ソレノイド動作の弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクには、弁圧力調整弁やカットバルブ等の、各種弁装置が取付けられている。これらの弁装置は、開口部を形成した仕切壁を有するハウジングと、開口部に接離する弁体とを備えている。このような弁装置において、開口部の流路面積を変化させたり、開口部に対する弁体の開弁圧を調整したりすることが望まれている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、下記特許文献1には、排出通路を有するハウジングと、排出通路を開放する第1位置と排出通路を閉鎖する第2位置との間を移動可能なシール部材と、コントローラによって制御可能なモーターと、モーターをシール部材に連結して、モーターにより排出通路を開放する第1方向と排出通路を閉鎖する第2方向との間で動作する歯車配列機構とを備えた、遮断弁が記載されている。
【0004】
歯車配列機構は、モーター軸に連結されたウォームギヤと、該ウォームギヤに歯合するウォームホイールと、該ウォームホイールの軸方向下端部から突設したネジ軸と、該ネジ軸外周に配置されると共に、内周にネジ溝が形成され、ネジ軸の回転に伴って軸方向移動する、略カップ状をなしたカップ部材とからなる。また、カップ部材の下方には、略ハット状をなしたシール部材が配置されている。更に、カップ部材の底部下面と、シール部材の底部上面との間には、コイルスプリングが介装されている。
【0005】
そして、モーターの駆動により、ウォームホイールが回転すると、ネジ軸が回転して、カップ部材やシール部材が昇降して、シール部材が、排出通路の開口に設けた弁座に対して開閉するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の遮断弁においては、ウォームホイールの回転に伴いネジ軸を回転させることで、シール部材を昇降させる構造、すなわち、所定部材の回転で、他の部材を回転させるにすぎない構造となっている。そのため、特許文献1の遮断弁において、駆動手段として、モーターではなく、往復直進動作をなすソレノイドアクチュエーターを利用しようとしても、適用させにくい。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ソレノイドを利用して、開口部の流路面積を変化させたり、開口部に対する開弁圧を調整したりすることが可能な、ソレノイド動作の弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一つは、仕切壁を介して、燃料タンク内に連通する第1空間、及び、燃料タンク外に連通する第2空間が設けられ、前記仕切壁に前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が設けられた、ハウジングと、前記第2空間側に配置された回転部材と、弁体と、駆動手段とを有しており、前記駆動手段が前記回転部材を回転させ、前記回転部材が回転することにより前記弁体が前記開口部に対して近接離反して、前記開口部の流路面積を可変させるように構成されており、更に前記駆動手段は、スライド動作するロッドを設けたソレノイドを有しており、前記回転部材は、前記ハウジングに回転可能に軸支される軸部と、該軸部に連結された基板と、該基板から軸方向に突設し、前記軸部の周方向に互いに隣接する第1ボス及び第2ボスとを有しており、前記ロッドには、押圧部を有するプッシュ部材が取付けられており、該プッシュ部材は、前記ソレノイドがОNとなり、前記ロッドが所定方向にスライドしたときに、前記押圧部が前記第1ボスを押圧して、前記回転部材を所定方向に回転させ、前記ソレノイドがOFFとなり、前記ロッドが前記所定方向とは反対方向にスライドしたときに、前記押圧部が、前記第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、前記ロッドに対して移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のもう一つは、仕切壁を介して、燃料タンク内に連通する第1空間、及び、燃料タンク外に連通する第2空間が設けられ、前記仕切壁に前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が設けられた、ハウジングと、前記第2空間側に配置された回転部材と、前記開口部を開閉可能な弁体と、該弁体を前記開口部に向けて付勢する弁体付勢バネと、該弁体付勢バネを押えるバネ押え部材と、駆動手段とを有しており、前記駆動手段が前記回転部材を回転させ、前記回転部材が回転することにより前記バネ押え部材が前記弁体に対して近接離反して、前記開口部に対する前記弁体の開弁圧を調整可能となるように構成されており、更に前記駆動手段は、スライド動作するロッドを設けたソレノイドを有しており、前記回転部材は、前記ハウジングに回転可能に軸支される軸部と、該軸部に連結された基板と、該基板から軸方向に突設し、前記軸部の周方向に互いに隣接する第1ボス及び第2ボスとを有しており、前記ロッドには、押圧部を有するプッシュ部材が取付けられており、該プッシュ部材は、前記ソレノイドがОNとなり、前記ロッドが所定方向にスライドしたときに、前記押圧部が前記第1ボスを押圧して、前記回転部材を所定方向に回転させ、前記ソレノイドがOFFとなり、前記ロッドが前記所定方向とは反対方向にスライドしたときに、前記押圧部が、前記第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、前記ロッドに対して移動可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一つによれば、駆動手段を構成するソレノイドがONとなり、ロッドが所定方向にスライドしたときに、プッシュ部材の押圧部が第1ボスを押圧して、回転部材を所定方向に回転させるので、弁体を開口部に対して近接離反させて、開口部の流路面積を変化させることができる。また、ソレノイドがOFFとなり、ロッドが所定方向とは反対方向にスライドしたときに、押圧部が、第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、ロッドに対して移動するので、ソレノイドが再度ONとなったときに、押圧部が第2ボスを押圧して、弁体を開口部に対して近接離反させて、開口部の流路面積を変化させることができる。このように、ソレノイドのON・OFFにより、開口部の流路面積を可変可能な弁装置を提供することができる。
【0012】
また、本発明のもう一つによれば、駆動手段を構成するソレノイドがONとなり、ロッドが所定方向にスライドしたときに、プッシュ部材の押圧部が第1ボスを押圧して、回転部材を所定方向に回転させるので、バネ押え部材を弁体に対して近接離反させて、弁体付勢バネのバネ長を変化させて、開口部に対する弁体の開弁圧を調整することができる。また、ソレノイドがOFFとなり、ロッドが所定方向とは反対方向にスライドしたときに、押圧部が、第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、ロッドに対して移動するので、ソレノイドが再度ONとなったときに、押圧部が第2ボスを押圧して、バネ押え部材を弁体に対して近接離反させて、弁体付勢バネのバネ長を変化させ、開口部に対する弁体の開弁圧を調整することができる。このように、ソレノイドのON・OFFにより、開弁圧を調整可能な弁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るソレノイド動作の弁装置の、一実施形態を示しており、その一部の構成部材の分解斜視図である。
【
図2】同弁装置の、他の構成部材の分解斜視図である。
【
図4】同弁装置において、一部を断面とした断面斜視図である。
【
図5】同弁装置において、弁体で開口部を閉じた状態の要部拡大断面図である。
【
図6】(а)は同弁装置を構成する回転部材の分解斜視図、(b)は回転部材を構成するカム部材の平面図である。
【
図7】同弁装置において、ソレノイドや、ロッド、プッシュブラケット、プッシュ部材等を、組付けていない状態の分解斜視図である。
【
図8】同弁装置において、リミットスイッチやバネ部材を、一対のホルダーを介して組付けた状態の斜視図である。
【
図9】同弁装置において、回転部材や、プッシュブラケット、プッシュ部材、リミットスイッチ等の関係を示す斜視図である。
【
図10】同弁装置において、ソレノイドがONとなり、プッシュ部材がボスを押圧するときの動作を示す、拡大斜視図である。
【
図12】同弁装置において、ソレノイドがOFFとなり、プッシュ部材が第2ボスを乗り越える際の動作を示す、拡大斜視図である。
【
図14】同弁装置において、プッシュ部材が、第1ボスに隣接する第2ボスを押圧可能な位置に、ロッドに対して移動した状態を示す、拡大斜視図である。
【
図16】開口部に対する弁体の動作を示しており、その第1状態を示す要部拡大断面図である。
【
図17】開口部に対する弁体の動作を示しており、その第2状態を示す要部拡大断面図である。
【
図18】開口部に対する弁体の動作を示しており、その第3状態を示す要部拡大断面図である。
【
図19】開口部に対する弁体の動作を示しており、その第4状態を示す要部拡大断面図である。
【
図20】開口部に対する弁体の動作を示しており、その第5状態を示す要部拡大断面図である。
【
図21】本発明に係るソレノイド動作の弁装置の、他の実施形態を示しており、その要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(ソレノイド動作の弁装置の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係るソレノイド動作の弁装置の、一実施形態について説明する。
【0015】
図3及び
図4に示すように、この実施形態におけるソレノイド動作の弁装置10(以下、単に「ソレノイド弁装置10」ともいう)は、主として、仕切壁22を介して、燃料タンク内に連通する第1空間R1、及び、燃料タンク外に連通する第2空間R2が設けられ、仕切壁22に第1空間R1と第2空間R2とを連通する第1開口部24及び第2開口部25を有するハウジング15と、第2空間R2側に配置され、回転部材110を介して、両開口部24,25の流路面積を変化させる弁体(第1弁体80,第2弁体81)と、回転部材110を回転させる駆動手段をなすソレノイド(第1ソレノイド140,第2ソレノイド141)とを有している。
【0016】
図1及び
図2に示すように、この実施形態におけるハウジング15は、略長尺箱状をなし仕切壁22及び両開口部24,25を設けた第1ボディ20と、該第1ボディ20の下方開口に装着されるポート部材30と、第1ボディ20の上方開口を覆うように配置される隔壁部材40と、略長尺筒状をなし、前記隔壁部材40の上方に配置され、第1ボディ20との間で隔壁部材40を挟持する第2ボディ50と、略長尺箱状をなし前記第2ボディ50の上方開口部に装着される第3ボディ60と、略長尺板状をなし前記第3ボディ60の上方開口に装着されるカバー部材70とから構成されている。
【0017】
なお、
図4及び
図5に示すように、第1ボディ20とポート部材30との間に、図示しない燃料タンクの内部に連通する第1室R1が形成され、第1ボディ20と隔壁部材40との間に、燃料タンクの外部に連通する第2空間R2が形成されるようになっている。また、隔壁部材40と、第2ボディ50及び第3ボディ60との間に、第3空間R3が形成されるようになっている(
図4参照)。
【0018】
また、
図1、
図2、及び
図4に示すように、ソレノイド弁装置10は、更に以下の部材を有している。
【0019】
すなわち、各弁体80,81が装着されると共に昇降動作する弁体ブラケット90,90と、各弁体80,81を、弁体ブラケット90を介して開口部24,25側に向けて付勢する弁体付勢バネS1,S1と、各弁体ブラケット90に対して、その昇降動作と直交する方向にスライド可能にそれぞれ収容されるカム突起部材100と、各カム突起部材100を付勢するカム突起付勢バネS2,S2とを有している。更に、ハウジング15に回転可能に支持される回転部材110は、軸部112、基板113、ボス116を有する本体111と、該本体111に連結されると共に、カム面124を形成したカム面形成部122を有するカム部材120とから構成されている。
【0020】
また、各ソレノイド140,141は、本体142とロッド143とをそれぞれ有しており、各ロッド143の先端部には、プッシュブラケット150がそれぞれ取付けられており、各プッシュブラケット150には、押圧部163を有するプッシュ部材160が回動可能にそれぞれ支持されている。更に、第3ボディ60と各プッシュブラケット150との間には、ロッド付勢バネS3がそれぞれ介装されており、各プッシュブラケット150と各プッシュ部材160との間には、プッシュ部材付勢バネS4がそれぞれ介装されている。
【0021】
また、回転部材110の側方には、第1ホルダー170及び第2ホルダー180を介して、リミットスイッチ190及びバネ部材200が配置されるようになっている。
【0022】
以下、各部材について詳述する。まず、第1ボディ20について説明する。
【0023】
図1に示すように、この第1ボディ20は、互いに平行に配置された一対の長辺及びこれらに直交する一対の短辺からなる、一方向に長く延びる細長筒状をなした周壁21を有している。この周壁21の内側であって、同周壁21の高さ方向所定位置に、略長板をなした仕切壁22が配置されている。
【0024】
仕切壁22の長手方向一端部側及び他端部側には、上方が開口した有底の略円筒状をなした弁体保持部23,23がそれぞれ設けられている。仕切壁22の長手方向一端部側の弁体保持部23の底部に、第1開口部24が形成され、仕切壁22の長手方向他端部側の弁体保持部23の底部に、第2開口部25が形成されている(
図4,5参照)。各開口部24,25は、第1室R1側の一端から第2室R2側に向けて、一定内径でもって仕切壁22の厚さ方向に沿って延びているが、第2室R2側の内周縁部は、第2室R2側に向けて次第に拡径するように傾斜したシール部24a,25aをなしている。第1開口部24に第1弁体80の弁頭85が挿脱され、第2開口部25に第2弁体81の弁頭85が挿脱されるようになっている(
図5及び
図16~20参照)。なお、第2開口部25の内径は、第1開口部24の内径よりも大きく形成されている。
【0025】
各弁体保持部23の内周には、複数の弁体ガイドリブ23a,23bが軸方向に延びており、弁体80,81の昇降動作をガイドする。なお、所定の弁体ガイドリブ23aの内面には、ガイド溝23cが形成されている。
【0026】
また、周壁21の下方開口部及び上方開口部の外周縁部からは、フランジ部26,27がそれぞれ張り出している。更に、周壁21の長手方向他端部側には、通口28aが形成されており(
図4,5参照)、この通口28aの表側周縁からは接続管28が突設されている。この接続管28には、燃料タンクの外部に配置されるキャニスターやフィラーチューブ等に連結された、図示しない配管が接続されており、燃料タンク外と連通するようになっている。
【0027】
次に、ポート部材30について説明する。
【0028】
図1に示すように、このポート部材30は、長尺箱状の第1ボディ20に適合するように、一方向に長く延びる略長板状をなした基部31を有している。この基部31の所定位置には、円形状の通口32aが形成されており、この通口32aの表側周縁から接続管32が突設されている。この接続管32には、燃料タンクの内部に連通する図示しない配管が接続されるようになっており、燃料タンク内と連通するようになっている。
【0029】
なお、基部31の内面側(第1ボディ20との対向面側)であって、第1ボディ20の両開口部24,25に整合する位置には、凹溝状をなした逃げ溝33,34が形成されている。これらの逃げ溝33,34を設けたことで、各弁体80,81の下降時に、弁頭85の延出方向先端部に位置する第3頭部88が干渉しないようになっている(
図5参照)。
【0030】
そして、ポート部材30の基部31の周縁部31aを、第1ボディ20のフランジ部26に当接させて、両部分を溶着や接着剤等で互いに固着することで、第1ボディ20の下方開口部にポート部材30が装着される。その結果、ポート部材30と、第1ボディ20の周壁21及び仕切壁22とで囲まれ、燃料タンクの内部に連通する前記第1空間R1が画成されるようになっている。
【0031】
次に、隔壁部材40について説明する。
【0032】
この隔壁部材40は、ゴムやラバー等の弾性材料から形成されたものであって、
図1に示すように、第1ボディ20や第2ボディ50に適合するように、一方向に長く延びる長尺形状をなした基部41を有している。この基部41の外周縁部からは、フランジ部42が張り出している。また、基部41の長手方向両端部であって、その天井面からは、上方が開口し下方が凹んだ凹部43,43が形成されている。各凹部43の底部には、鍵穴状をなした弁体係止孔44がそれぞれ形成されている。なお、隔壁部材40を構成する各部分は、全て一体形成されている。
【0033】
次に、第2ボディ50について説明する。
【0034】
図1に示すように、この第2ボディ50は、第1ボディ20の周壁21に適合するように、互いに平行に配置された一対の長辺及びこれらに直交する一対の短辺からなる、一方向に長く延びる細長筒状をなした周壁51を有している。この周壁51の、第1ボディ20側の外周縁部からは、第1ボディ20のフランジ部27に適合する形状をなしたフランジ部52が張り出している。
【0035】
そして、隔壁部材40のフランジ部42を、第1ボディ20のフランジ部27上に載置し、第2ボディ50のフランジ部52で挟持した状態で、両ボディ20,50のフランジ部27,52どうしを溶着や接着剤等で互いに固着することで、隔壁部材40が両ボディ20,50の間に挟み込まれた状態で、第1ボディ20の上方開口部に隔壁部材40を介して第2ボディ50が装着される(
図5参照)。その結果、隔壁部材40が仕切壁22に対向する位置に配置されて、隔壁部材40と、第1ボディ20の周壁21及び仕切壁22とで囲まれることによって、燃料タンクの外部に連通する前記第2空間R2が画成されるようになっている。
【0036】
また、
図4や
図5に示すように、周壁51の下方には底壁53が配置されており、この底壁53の内面側であって長手方向ほぼ中央部には、円形凹状をなし、回転部材110を回転可能に支持する回転部材支持部54が設けられている。更に、底壁53の、回転部材支持部54を挟んで、その長手方向両端部には、略長孔状をなした弁体ブラケット挿通孔55,55が形成されている。この弁体ブラケット挿通孔55は、弁体ブラケット90を挿通させる。また、周壁51の内側であって、一対の弁体ブラケット挿通孔55の周縁部からは、弁体ブラケット90を支持する、弁体ブラケット支持壁56が立設されている。
【0037】
更に、周壁51には、リミットスイッチ190やそれを挟持する第1ホルダー170及び第2ホルダー180を支持する部分が設けられている。すなわち、周壁51の上端部であって、長辺の長手方向一端部寄りの位置には、リミットスイッチ190の本体191が挿入配置される、切欠き51aが形成されており、周壁51の上端部であって、長手方向一端部に位置する短辺には、第1ホルダー170の嵌合部172が嵌合する、切欠き51bが形成されており、周壁51の上端部であって上記の切欠き51a,51bの間には、第2ホルダー180の基部181を載置する切欠き51cが形成されている。
【0038】
また、周壁51の両短辺には、コ字状のスリット57aを介して、撓み変形可能な係止爪57がそれぞれ形成されている。各係止爪57は、第3ボディ60の係止孔63aに係止する。
【0039】
次に、第3ボディ60について説明する。
【0040】
図2に示すように、この第3ボディ50は、互いに平行に配置された一対の長辺及びこれらに直交する一対の短辺からなる、一方向に長く延びる細長筒状をなした周壁61と、その下方に配置された底壁62と、この底壁62に連設されると共に、一方向に長く延びる細長筒状をなし、第2ボディ50の周壁51の外周に配置される筒状壁63とを有している。筒状壁63の長手方向両端部に位置する両短辺には、係止孔63a,63aが形成されている(
図5参照)。
【0041】
そして、
図5に示すように、第3ボディ60の筒状壁63の内側に、第2ボディ50の周壁51を挿入することで、第2ボディ50側の係止爪57,57が、第3ボディ60側の係止孔63a,63aにそれぞれ係止して、第2ボディ50の上方開口部に第3ボディ60が装着されるようになっている。
【0042】
また、周壁61の内側であって、長手方向一端部寄りの位置には、周壁61の長辺に対して平行に延びる隔壁64が配置されている。更に、底壁62には、隔壁64を介して、長孔状をなした一対のプッシュ移動孔65,65が並列して形成されている。各プッシュ移動孔65には、プッシュ部材160が回動可能に配置される。
【0043】
また、第3ボディ60の底壁62の裏面であって、周壁61の長手方向両端部側からは、略円柱状をなした一対のバネ支持突部62a,62aが突設されており(
図5参照)、弁体付勢バネS1の一端を支持している。更に、第3ボディ60の底壁62の裏面であって、一対のバネ支持突部62a,62aの間には、円形凹状をなした図示しない回転部材支持凹部が突設されている。
【0044】
更に、周壁61の、長手方向他端部側の短辺と長辺との角部には、ソレノイド支持突部66,66が設けられており、各ソレノイド140,141の本体142,142の長手方向他端部の幅方向一側の角部を支持する部分となっている。
【0045】
更に、隔壁64の、周壁61の長手方向他端部寄りの両側面からは、第1リブ67,67が張り出している。また、周壁61の一対の長辺の内面であって、一対の第1リブ67,67に整合する位置からは、第2リブ68がそれぞれ突出している。各第1リブ67の、周壁61の長手方向一端部側に向く面は、ロッド付勢バネS3の一端を支持する部分となっている。また、各第1リブ67の、周壁61の長手方向他端部側に向く面、及び、各第2リブ68は、ソレノイド140,141の本体142の長手方向一端部の幅方向両側の角部にそれぞれ当接して、同本体142の位置決めを図る部分となっている。
【0046】
次に、カバー部材70について説明する。
【0047】
図2に示すように、このカバー部材70は、第3ボディ50の一方向に長く延びる細長筒状をなした周壁61に適合して、一方向に長く延びる長板状をなした天井板71を有している。また、天井板71の裏面(第3ボディ60との対向面)の周縁部からは、複数の位置決め突部72が突設されている。
【0048】
そして、第3ボディ60の上方開口部に、位置決め突部72を介して天井板71を位置決め配置し、上方開口部をカバー部材70でカバーした状態で、図示しないボルト等の固定具で締付け固定することで、第3ボディ60の上方開口部にカバー部材70が装着されるようになっている(
図3参照)。それによって、隔壁部材40と第2ボディ50と第3ボディ60とカバー部材70との間に、第3空間R3が画成されるようになっている。
【0049】
次に、第1弁体80及び第2弁体81について説明する。
【0050】
各弁体80,81は、第1ボディ20と隔壁部材40との間に形成された第2空間R2の内部に昇降可能に配置されるものであって、略円柱状をなした本体82を有している。本体82の軸方向一端に位置する天井壁82aからは、弁体ブラケット90の弁体支持部92に係止させるための、係止部83が突設されている。また、本体82の外周からは、複数のガイドリブ82b,82cが軸方向に沿って延びている。所定のガイドリブ82bは、第1ボディ20に設けた弁体ガイドリブ23aのガイド溝23cに挿入されて、弁体80,81が回転規制されつつ昇降動作がガイドされる。また、他のガイドリブ82cは、第1ボディ20に設けた弁体ガイドリブ23bの内側に近接配置されて、弁体80,81の昇降動作のガイドをなす。
【0051】
上記本体82の軸方向他端部には、シール部84が設けられており、更にこのシール部84の先端に弁頭85が連設されている。前記シール部84は、ゴムやラバー等の樹脂材料からなり、その外周が弁体先端に向けて次第に縮径する傾斜面をなしている。そして、このシール部84は、第1開口部24のシール部24aや、第2開口部25のシール部25aに当接して、開口部24,25の第2室R2側の開口を閉塞するようになっている。
【0052】
一方、弁頭85は、
図5に示すように、シール部84の延出方向先端部の端面から、太さが複数段で変化して、開口部24,25に挿脱される構成となっている。すなわち、弁頭85は、前記シール部84の先端面から、第1開口部23の内径よりもやや小さい一定外径で且つ所定高さ(ニードル弁の軸方向に沿った長さ)で突出した第1頭部86と、該第1頭部86の外径よりも小さい一定外径で、第1頭部86の先端面から突出した第2頭部87と、該第2頭部87の外径よりも小さい一定外径で、第2頭部87の先端面から突出した第3頭部88とからなる。なお、第1弁体80における弁頭85を構成する各頭部と、第2弁体81における弁頭85を構成する各頭部の、外径や突出高さは、それぞれ異なっている。
【0053】
上記のように、各弁体80,81の弁頭85,85は、基端側の外径(外周の最大寸法)が大きく、先端側に向かって段階的に外径が小さくなった、複数の頭部を有しており、太さが複数段で変化した形状となっている。また、弁頭85は、それぞれ太さが異なる複数の頭部が、同心状且つ軸方向に連設される構成となっている。なお、「太さ」とは、弁頭を軸方向から見たときの断面積の大きさを意味する。
【0054】
そして、第1弁体80側の弁頭85は、第1開口部24に挿脱され、第2弁体81側の弁頭85は、第2開口部25に挿脱されて、後述する駆動手段によって、第1開口部24や第2開口部25に対する挿入位置が変化するようになっている。その結果、第1開口部24や第2開口部25の流路面積に対する、弁頭85の占める割合が変動するので、第1開口部24や第2開口部25の流路面積を変化させることが可能となっている。
【0055】
すなわち、(1)第1頭部86が開口部24,25に位置したときに、開口部24,25の流路面積が最も小さくなり、(2)第2頭部87が開口部24,25に位置したときは、第1頭部86が開口部24,25に位置したときよりも、開口部24,25の流路面積が大きくなり、(3)第3頭部88が開口部24,25に位置したときに、第2頭部87が開口部24,25に位置したときよりも、開口部24,25の流路面積が大きくなり、(4)弁頭85全体が開口部24,25から抜け出たときに、開口部24,25の流路面積が最も大きくなる。
【0056】
なお、開口部24,25の流路面積は、開口部24,25の開口面積から、弁頭85の、開口部24,25に位置する部分における断面積を減算することで得られる。
【0057】
次に、弁体ブラケット90について説明する。
【0058】
図1に示すように、この弁体ブラケット90は、内部空間を有する略箱状をなした本体91と、該本体91の下方に連設され、隔壁部材40の凹部43内に挿入配置されると共に、弁体80,81を支持する弁体支持部92と、本体91の天井面91aの背面側から立設した略コ字枠状をなした枠状壁93とを有している。なお、この弁体ブラケット90は、ハウジング15の第3空間R3に配置される(
図4参照)。具体的には、弁体ブラケット90は、第2ボディ50の弁体ブラケット支持壁56の内側に配置されて、本体91や枠状壁93等によって昇降可能に支持されるようになっている。
【0059】
また、弁体支持部92には、側方にスロット状の開口部が設けられていると共に、その底部には、鍵穴状をなした係止孔92aが形成されている(
図1参照)。そして、隔壁部材40の凹部43内に弁体支持部92を挿入した状態で、弁体80,81の係止部83を、隔壁部材40の鍵穴状の弁体係止孔44及び弁体支持部92の係止孔92aに位置合わせして挿入すると共に、弁体支持部92の係止孔92aから挿出させた後、弁体80,81を回転させることで、係止部83が係止孔92aの表側周縁に係止するので、隔壁部材40の凹部43の底部43aが、弁体支持部92の底部と弁体80,81の天井壁82aとで挟まれた状態で、弁体ブラケット90に弁体80,81が装着されるようになっている。
【0060】
また、本体91の天井面91aからは、弁体付勢バネS1の他端を支持する、バネ支持突部94が突設されている。ところで、弁体付勢バネS1の一端は、上述したように、第3ボディ60の底壁62の裏面に突設したバネ支持突部62аに支持されているので、弁体付勢バネS1は、第3ボディ60と弁体ブラケット90との間に圧縮状態で介装される。その結果、弁体付勢バネS1によって、弁体ブラケット90が、第1ボディ20の仕切壁22に近接する方向に付勢されるので、弁体80,81は、弁体付勢バネS1及び弁体ブラケット90を介して、弁頭85が、開口部24,25に対して挿入量が多くなる方向に付勢されるようになっている(
図5の矢印F1参照)。更に、天井面91aの、バネ支持突部94に隣接した位置には、長孔状をなした係止孔91bが形成されている。
【0061】
更に、本体91の正面側には、正面開口95が形成されており、この正面開口95を通じて本体91の内部空間に、カム突起部材100がスライド可能に挿入配置されるようになっている。
【0062】
次に、カム突起部材100について説明する。
【0063】
図1に示すように、このカム突起部材100は、基端部側が開口し、その反対の先端部側が閉塞して、所定長さで延びる筒状をなしており、その内部に、カム突起付勢バネS2が収容されるようになっている。また、カム突起部材100の天井壁には、スリットを介して撓み可能な係止爪101が形成されている。なお、このカム突起部材100は、ハウジング15の第3空間R3に配置される(
図4参照)。
【0064】
そして、カム突起付勢バネS2を内部に収容したカム突起部材100を、弁体ブラケット90の正面開口95から挿入して、その係止爪101を、弁体ブラケット90の係止孔91bに挿入する。その結果、カム突起部材100と弁体ブラケット90との間に、カム突起付勢バネS2が圧縮状態で介装されるので、このカム突起付勢バネS2によって、カム突起部材100が、弁体ブラケット90の正面開口95から突出する方向に付勢されると共に、その突出量が変化するように弁体ブラケット90に対してスライド可能に抜け止め保持される。なお、カム突起部材100のスライド方向は、弁体80,81の昇降方向と直交する方向であって、且つ、ハウジング15の長手方向に沿った方向となっている(
図6の矢印F2参照)。
【0065】
更に、カム突起部材100の、第2ボディ50の底壁53側に向く底部側には、丸みを帯びた曲面状をなした頂部と、該頂部から天井壁側に向けて次第に広がる一対の傾斜面とからなるカム当接部102が設けられている。なお、カム突起部材100のカム当接部102は、弁体ブラケット90や弁体付勢バネS1を介して、カム部材120のカム面124(
図6参照)に向けて付勢されるようになっている。
【0066】
次に、回転部材110について説明する。
【0067】
図2及び
図6(a)に示すように、この回転部材110は、本体111と、該本体111に連結されたカム部材120とから構成されている。また、回転部材110は、ハウジング15に回転可能に軸支される軸部112と、該軸部112に連結された基板113と、該基板113から軸方向に突設し、軸部112の周方向に互いに隣接する第1ボス及び第2ボスとを有している。
【0068】
図6(а)に示すように、この実施形態の場合、10個のボス116を有しており、基板113から突設した所定のボス116が第1ボスをなし(便宜上、第1ボス116аとする)、この第1ボスに対して、回転部材110の所定の回転方向F3とは反対方向に隣接配置された他のボス116が第2ボスをなしている(便宜上、第2ボス116bとする)。なお、この第2ボス116bは、回転部材110の回転方向F3の反対方向に隣接するボス116に対しては、相対的には第1ボスとなる。更に、相対的に第1ボスとなった所定のボスに対して、回転部材110の回転方向F3の反対方向に隣接するボスが、第2ボスとなる。
【0069】
より詳しく説明すると、回転部材110は、弁体80,81の昇降方向と同一方向に延びる軸部112と、該軸部112の一端に連設された円形板状をなした基板113と、軸部112の他端から同心状に延出した連結軸114とを有している。連結軸114は、その軸方向断面が略十字形状をなしている。
【0070】
基板113の表面側であって径方向中央からは、略円柱状の支持突部115が突設されている。この支持突部115は、第3ボディ60の底壁62の裏面に設けた、図示しない回転部材支持凹部に挿入されて支持される。また、基板113の表面側であって、その外周縁部には、外周面が円形状をなした略円柱状のボス116が、基板113の周方向に沿って均等な間隔を空けて、軸部112の軸方向に沿って複数突設されており(ここでは10個)、このボス116が第1ボス及び第2ボスをなしている。これらの第1ボス及び第2ボスが、プッシュ部材160の押圧部163により押圧されることで、回転部材110が所定方向に回転するようになっている。
【0071】
また、軸部112の外周には、所定深さの凹溝状をなし且つ軸方向に沿って延びるバネ係止溝117が、周方向に沿って複数設けられている。このバネ係止溝117には、バネ部材200の係止部202が弾性的に係止して、回転部材110の回転が制動されるようになっている。
【0072】
更に
図4や
図5に示すように、軸部112の一端部外周からは、周方向に所定範囲に亘って突出した、スイッチ接触部118が突設されている。このスイッチ接触部118には、リミットスイッチ190の接触端子192が接触して、回転部材110の回転位置が感知されるようになっている。
【0073】
カム部材120は、連結筒部121と、該連結筒部121の外周に連設されたカム面形成部122とを有している。
【0074】
連結筒部121は、その外周が略円形とされた略円筒状をなしていると共に、その内側に、略十字形状の嵌合溝121aが形成されている。そして、連結筒部121の嵌合溝121aに、本体111の連結軸114が挿入されて嵌合することで、本体111とカム部材120とが回転規制された状態で連結されて一体化し、
図2に示すような回転部材110が構成されるようになっている。
【0075】
また、連結筒部121の底面(第2ボディ50の底壁53に向く面)の径方向中央からは、略円柱状の支持突部123が突設されている(
図4,5参照)。この支持突部123が、第2ボディ50に設けた円形凹状の回転部材支持部54に挿入されて支持される。この支持突部123と前記支持突部115とにより、回転部材110は、ハウジング15に対して所定方向に回転可能に支持されるようになっている。この実施形態における回転部材110は、第1ソレノイド140の駆動及びそれに伴うプッシュ部材160の押し込み動作によって、
図4の矢印F3に示す方向に回転する一方、第2ソレノイド141の駆動及びそれに伴うプッシュ部材160の押し込み動作によって、矢印F3に示す方向とは反対方向に回転するようになっている。
【0076】
カム面形成部122は、連結筒部121の外周の所定位置から所定範囲に至るまで、連結筒部121の周方向に沿って張り出しながら階段状に隆起した形状をなしている。そして、このカム面形成部122の、カム突起部材100との対向面に、階段状をなしたカム面124が形成されている。
【0077】
この実施形態のカム面124は、カム部材120の底面120a側から、回転部材110の回転方向F3(
図4参照)とは反対方向に向けて、階段状に高くなる形状をなしている。
【0078】
図6(b)を併せて参照すると、このカム面124は、
(1)カム部材120の底面120aから、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第1傾斜面125と、
(3)第1傾斜面126の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、一定高さの平坦面状をなすように延びる第1平坦面126と、
(4)第1平坦面126の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第2傾斜面127と、
(5)第2傾斜面127の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、一定高さの平坦面状をなすように延びる第2平坦面128と、
(6)第2平坦面128の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第3傾斜面129と、
(7)第3傾斜面129の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、一定高さの平坦面状をなすように延びる第3平坦面130と、
(8)第3平坦面130の周方向先端から、回転方向F3とは反対方向に向けて、次第に高くなるように傾斜しつつ延びる第4傾斜面131と、
(9)第4傾斜面131の周方向終端(基端)が連結され、カム面形成部122の天井面をなす第4平坦面132とから構成されている。
【0079】
以上のように、この実施形態のカム面124は、回転部材110の回転方向F3とは反対方向に向いた周方向に沿って、第1傾斜面125、第1平坦面126、第2傾斜面127、第2平坦面128、第3傾斜面129、第3平坦面130、第4傾斜面131、第4平坦面132が順番に形成されており、傾斜面と平坦面とが周方向に交互に連続して形成された階段状をなしている。
【0080】
次に、駆動手段をなす第1ソレノイド140及び第2ソレノイド141について説明する。
【0081】
図2や
図7に示すように、各ソレノイド140,141は、いわゆるソレノイドアクチュエーターであり、略長方形の箱状をなした本体142と、該本体142の長手方向一端部から突出又は本体142の長手方向一端部から引き込まれるようにスライド動作する、略円柱状をなしたロッド143とを有している。
【0082】
図2や
図4に示すように、各ソレノイド140,141の本体142,142は、第3ボディ60内に配置されて、底壁62に載置されると共に、本体142の長手方向一端部の幅方向両側の角部が、第3ボディ60の第1リブ67や第2リブ68に支持され、本体142の長手方向他端部の幅方向一側の角部が、第3ボディ60のソレノイド支持突部66に支持される。それによって、第3ボディ60の長手方向に対して、本体142,142やロッド143,143の長手方向が揃えられた状態で、第3ボディ60内に第1ソレノイド140及び第2ソレノイド141が並列して配置されるようになっている。また、第1ソレノイド140のロッド143、及び、第2ソレノイド141のロッド143は、互いに平行となるように並列して配置される。
【0083】
本体142には、図示しない電線等を介して、ソレノイド弁装置10の外部からの電気信号が入力されるか、又は、その入力が切断されるようになっており、それによりロッド143をスライドさせる。この実施形態では、ソレノイド駆動信号がОNとなったときに、ロッド143が本体142内に引き込まれる方向にスライド動作する一方、ソレノイド駆動信号がOFFとなったときには、ロッド143は、ロッド付勢バネS3の付勢力によって、本体142内から押し出される方向(突出する方向)にスライド動作する。なお、ロッド143は、上記のように本体142に対して突出する方向又は引き込まれる方向にスライドするが、この実施形態のロッド143の場合、引き込まれる方向にスライドしたときに、ボス116を押圧するように、プッシュ部材160をロッド143に対して移動させるようになっている。また、ロッド143が本体142内に引き込まれる際のスライド方向を「F5」で示し、ロッド143が本体142から突出する際のスライド方向を「F6」で示す(
図9参照)。
【0084】
ロッド143の、延出方向の先端部側には、環状のフランジ部144が広がっており、このフランジ部144よりも更に先端部からは、一対の突片145,145が所定隙間を空けて突出している。各突片145は、その外周面が曲面状をなしていると共に、軸方向所定位置に円形孔状の挿通孔145aが形成されている。
【0085】
次に、各ソレノイド140,141のロッド143の先端部に取付けられる、プッシュブラケット150について説明する。
【0086】
このプッシュブラケット150は、略円筒状をなした筒体151と、この筒体151の背面側(軸方向の一端部側)に設けられた第1バネ支持部152と、筒体151の底面側の外周面から互いに平行に延出した一対のプッシュ支持片153,153と、筒体151の底面側であって一対のプッシュ支持片153,153に隣接した位置から、一対のプッシュ支持片153,153に対して直交する向きで張り出した第2バネ支持部154とを有している。なお、第1ソレノイド140用のプッシュブラケット150と、第2ソレノイド141用のプッシュブラケット150とは、左右互い違いの構造となっている(第1バネ支持部152や第2バネ支持部154の、筒体151に対する形成位置が異なっている)。
【0087】
筒体151の、径方向に対抗する2箇所(天井面及び底面)からは、一対のプッシュ支持片153,153の延出方向と同じ向きで、円形孔状をなした挿通孔151aが形成されている。
【0088】
この挿通孔151aには、ロッド143の先端部にプッシュブラケット150を取付けるための、ブラケット取付部材146が挿入されるようになっている。このブラケット取付部材146は、頭部147と、該頭部147の裏面から延出した軸部148とを有している。軸部148の軸方向途中には、撓み変形用の空隙148aが形成されており、軸部148の外周であって空隙148aに整合する位置に、係合突部148bが突設されている。
【0089】
そして、プッシュブラケット150の筒体151内に、ロッド143の一対の突片145,145を挿入し、筒体151の挿通孔151а,151аと、突片145,145の挿通孔145а,145аとを位置合わせする。その後、ブラケット取付部材146の軸部148を、挿通孔151а,145аにそれぞれ挿通することで、一方の突片145(
図7中、上方に位置する突片145)の挿通孔145аの裏側周縁に、係合突部148bが係合して、ブラケット取付部材146を介して、ロッド143の先端部にプッシュブラケット150が取付けられるようになっている。
【0090】
再び、プッシュブラケット150の説明に戻ると、第1バネ支持部152の、ソレノイド140,141側に向く面からは、ロッド付勢バネS3の他端を支持する、略円柱状のバネ支持突部152аが突設されている。ところで、上述したように、ロッド付勢バネS3の一端は、第3ボディ60の第1リブ67に支持されているので、ロッド付勢バネS3は、第3ボディ60とプッシュブラケット150との間に圧縮状態で介装されることとなる。その結果、ロッド143は、ロッド付勢バネS3によって、各ソレノイド140,141の本体142の長手方向一端部から、常時突出する方向に付勢されるようになっている。
【0091】
また、第2バネ支持部154の裏面(プッシュ部材160側に向く面)からは、プッシュ部材付勢バネS4の一端を支持する、略円柱状のバネ支持突部154аが突設されている。更に、一対のプッシュ支持片153,153との間には、プッシュ部材160を回動可能に支持する、プッシュ支持軸153аが架設されている。
【0092】
次に、プッシュブラケット150に回動可能に支持される、プッシュ部材160について説明する。
【0093】
このプッシュ部材160は、各ソレノイド140,141のロッド143に対して、プッシュブラケット150を介して回動可能に取付けられている。この実施形態のプッシュ部材160は、基部161と、該基部161から延出した延出部162と、該延出部162の先端部に設けられた押圧部163とを有している。基部161には、背面側の間口が幅狭とされた、軸支持溝161аが形成されている。この軸支持溝161аに、プッシュブラケット150の一対のプッシュ支持片153,153間に設けたプッシュ支持軸153аが抜け止め状態で挿入されることで、
図9の矢印F4に示すように、プッシュブラケット150に対してプッシュ部材160が回動可能に支持されるようになっている。
【0094】
また、延出部162の延出方向先端には、延出部162の延出方向に対して、回転部材110を構成する本体111の基板113に向けて屈曲した部分を有しており、この屈曲した部分が、押圧部163をなしている。この押圧部163は、その先端面が、回転部材110のボス116(第1ボス及び第2ボス)を押圧する押圧面164となっている。
【0095】
この実施形態の場合、両ソレノイド140,141がOFFとされ、ロッド143がF6に示す方向にスライドした状態では、
図4や
図9に示すように、押圧部163の押圧面164は、ボス116から所定長さ離れて、ボス116(
図4,
図9では便宜上、ボス116аとする)を押圧しない状態となる。一方、両ソレノイド140,141がONとされ、ロッド143がF5に示す方向にスライドしたときには、
図10や
図11に示すように、押圧部163の押圧面164が第1ボス(ここでは第1ボス116а)の外周面を押圧して、回転部材110を所定のF3に示す方向に回転させるようになっている。なお、この際の、ボス116に対するプッシュ部材160の押圧部163からの押圧力は、回転部材110の係止溝117とバネ部材200の係止部202との係止力よりも大きくなるように設定されている。
【0096】
更に、押圧部163の、押圧面164とは反対側の基端面(延出部162の延出方向における反対側の面)は、回転部材110側に向けて押圧部163を次第に肉薄とする傾斜面状の乗り越え面165となっている。この乗り越え面165は、押圧部163が所定の第1ボス(ここでは第1ボス116а)を押圧した後、周方向に隣接する他のボス、すなわち第2ボス(ここでは第2ボス116b)を乗り越えやすくするためのものである。
【0097】
また、延出部162の表面(回転部材110の基板113とは離間した面)には、プッシュ部材付勢バネS4の他端を支持する、略円柱状のバネ支持突部166が突設されている。ところで、プッシュ部材付勢バネS4の一端は、プッシュブラケット150のバネ支持突部154аに支持されているので、プッシュ部材付勢バネS4は、プッシュブラケット150とプッシュ部材160との間に圧縮状態で介装される。その結果、プッシュ部材付勢バネS4によって、本体111の基板113に対して押圧部163を近接する方向に、プッシュ部材160が常時付勢されるようになっている。
【0098】
更に、延出部162の延出方向基端部であって、その幅方向両側からは、回動規制突部167,167が突設されている。
図9に示すように、一対の回動規制突部167,167は、常時は、プッシュブラケット150の一対のプッシュ支持片153,153の一側面に当接するように配置されている。そのため、プッシュ部材付勢バネS4による付勢力が作用した状態において、プッシュ部材160の過度の回動が規制されるので、押圧部163の押圧面164を、ボス116の外周面に対して傾くことを規制して、安定した姿勢に維持できるようになっている。
【0099】
次に、回転部材110の側方に、第1ホルダー170及び第2ホルダー180を介して配置される、リミットスイッチ190及びバネ部材200について説明する。
【0100】
図2や
図8に示すように、第1ホルダー170は、略長板状をなした基板171と、該基板171の基端部に設けられたブロック状の嵌合部172とを有している。嵌合部172が、第2ボディ50の切欠き51bに嵌合して、第2ボディ50に第1ホルダー170が支持される。また、基板171の表面所定位置からは、第2ホルダー180を支持する、柱状の支持部173が立設している。
【0101】
第2ホルダー180は、段状部を有する長尺状の基部181と、その長手方向一端部に設けられた固定部182とを有している。また、基部181の長手方向他端部であって、その幅方向一側部には、一対の挿通孔181а,181аが形成されている。更に、基部181の長手方向他端部であって、幅方向他側部には、正面側が開口した薄肉箱状をなしたバネ装着部183が設けられている。
【0102】
リミットスイッチ190は、本体191と、本体191の先端面から突出した接触端子192とを有している。接触端子192は、常時は、回転部材110を構成するカム部材120のスイッチ接触部118の外周面に接触して、回転部材110の回転角度を感知する。また、本体191の表面の所定位置からは、第2ホルダー180の一対の挿通孔181а,181аに挿通される、一対の突部191а,191аが突設されている。
【0103】
そして、リミットスイッチ190の本体191を、第1ホルダー170の基板171に載置した状態で、第1ホルダー170の支持部173及び嵌合部172に、第2ホルダー180の基部181及び固定部182を載置し、リミットスイッチ190の一対の突部191а,191аを、第2ホルダー180の一対の挿通孔181аに挿通して位置決めした後、嵌合部172と固定部182とをボルト等で締め付け固定することで、リミットスイッチ190が一対のホルダー170,180に挟持されて保持される(
図8参照)。
【0104】
バネ部材200は、金属板材から形成されたものであって、第2ホルダー180のバネ装着部183に挿入されて保持される、基部201と、バネ装着部183の正面開口から突出して、回転部材110の本体111のバネ係止溝117に弾性的に係止して、回転部材110の回転動作を制動する、係止部202とを有している。なお、
図8に示すように、バネ部材200の、バネ装着部183の正面開口からの、係止部202の突出方向と、リミットスイッチ190の接触端子192の突出方向は、略同一方向となっている。
【0105】
そして、バネ部材200は、次のような動作をなす。すなわち、
図9に示すように、係止部202が、回転部材110の所定のバネ係止溝117に弾性的に係止した状態で、回転部材110が所定方向(F3参照)に回転すると、係止部202が弾性変形しつつバネ係止溝117から外れて、バネ係止溝117との係止状態が解除される。その後、回転部材110が回転して、係止部202が、係止解除されたバネ係止溝117に対して周方向に隣接した次のバネ係止溝117に位置すると、係止部202が弾性復帰して、そのバネ係止溝117に係止し、回転部材110の回転動作が制動される。このような係止部202の動作が、回転部材110の回転動作に伴って繰り返されるようになっている。なお、このバネ部材200が、本発明における「制動部」をなしている。
【0106】
そして、このソレノイド弁装置10は、以下のような動作をなすように構成されている。
【0107】
すなわち、ソレノイド弁装置10を構成するプッシュ部材160は、ソレノイド140,141がОNとなり、ロッド143が所定方向(ここではF5に示す方向)にスライドしたときに、押圧部163が第1ボス(ここでは第1ボス116а)を押圧して、回転部材110を所定方向に回転させ(
図10及び
図11参照)、その後、ソレノイド140,141がOFFとなり、ロッド143が前記所定方向とは反対方向(ここではF6に示す方向)にスライドしたときに、押圧部163が、第2ボス(ここでは第2ボス116b)を押圧可能な位置までスライドできるように、ロッド143に対して移動可能に設けられている(
図14及び
図15参照)。また、ソレノイド140,141のON・OFFにより、ロッド143が往復スライド動作することで、ロッド143に対してプッシュ部材160を適宜移動させて、それによって第1ボス及び第2ボスを順次押圧して、回転部材110を回転させることができるようになっている。
【0108】
更に、この実施形態においては、ロッド143が所定方向(ここではF5に示す方向)にスライドして押圧面164が第1ボス116аを押圧し、ロッド143が前記所定方向とは反対方向(ここではF6に示す方向)にスライドしたときに、第2ボス116bを、乗り越え面165が乗り越えることにより、プッシュ部材付勢バネS4の付勢力に抗してプッシュ部材160がロッド143に対して移動して、押圧面164が、第2ボス116bを押圧可能な位置となる構成となっている。
【0109】
また、この実施形態においては、ロッド143が所定方向(ここではF5に示す方向)にスライドすると、押圧部163はソレノイド140,141に近接し、ロッド143が前記所定方向とは反対方向(ここではF6に示す方向)にスライドすると、押圧部163はソレノイド140,141から離間するように構成されている。
【0110】
以下、上記動作について詳述する。
【0111】
図4、
図5、及び
図9に示すように、両ソレノイド140,141がOFF時においては、ロッド143は、ロッド付勢バネS3によって付勢されて本体142から突出しており、この状態では、回転部材110の所定のボス116аに対して、第1ソレノイド140側のプッシュ部材160の押圧部163の押圧面164が、所定長さ離れた位置に退避して、第1ボス116аを押圧してない状態となっている。また、この状態では、バネ部材200の係止部202が、回転部材110のバネ係止溝117に係止して、回転部材110が回転しないように制動される(回転が規制される、とも言える)。
【0112】
上記状態から、第1ソレノイド140がONとなると、
図10や
図11に示すように、ロッド付勢バネS3の付勢力に抗して、ロッド143がF5方向にスライドして、ロッド143の先端部に取付けられたプッシュブラケット150を介して、プッシュ部材160がロッド143と同方向にスライドして、押圧部163の押圧面164が、第1ボス116аを押圧する。その結果、バネ部材200の係止部202が、バネ係止溝117から外れて係止状態が解除されると共に、回転部材110を矢印F3に示す方向に所定角度回転させる。なお、バネ部材200の係止部202は、係止解除されたバネ係止溝117に隣接した次のバネ係止溝117に係止して、回転部材110の回転動作が制動される(以下の動作においても同様であるので、この説明については省略する)。
【0113】
上記状態から、第1ソレノイド140がOFFとなると、
図12や
図13に示すように、ロッド付勢バネS3の付勢力によって、ロッド143がF6方向にスライドする。すると、プッシュブラケット150を介して、プッシュ部材160がロッド143と同方向にスライドし、第1ボス116аに対して、基板113の周方向に隣接する第2ボス116b(第1ボス116аに対して、回転部材110の回転方向F3とは反対方向に隣接する第2ボス116b)が、プッシュ部材160の、傾斜面状をなした乗り越え面165を押圧する。すると、第2ボス116bからの押圧力が、傾斜面状の乗り越え面165によって上向きの力に変換されるので、プッシュ部材付勢バネS4の付勢力に抗して、プッシュ部材160を、押圧部163が基板113から離反する方向に回動させる(
図12参照)。そして、プッシュ部材160の押圧部163が、第2ボス116bを乗り越えると、
図14や
図15に示すように、プッシュ部材付勢バネS4の付勢力によって、押圧部163が基板113に近接する方向に、プッシュ部材160が再び付勢されて、その押圧部163の押圧面164が、第2ボス116bに対して所定長さ離れ、且つ、押圧部163が、第2ボス116bを押圧可能な位置までスライドできるように、ロッド143に対してプッシュ部材160が移動する。
【0114】
以下、第1ソレノイド140のON・OFFが繰り返されて、ロッド143が往復スライド動作することで(F5方向へのスライド及びF6方向へのスライド)、上記の動作、すなわち、(1)ソレノイドONによる、プッシュ部材160での第1ボスの押圧、(2)ソレノイドOFFによる、第2ボスを押圧可能とする位置への、プッシュ部材160の移動、(3)ソレノイドONによる、プッシュ部材160での第2ボスの押圧、(4)ソレノイドOFFによる、相対的に第1ボスとなったボスに隣接する第2ボスを、押圧可能とする位置への、プッシュ部材160の移動(なお、上記(3)での第2ボスの押圧は、相対的には第1ボスへの押圧ともいえる)、(5)ソレノイドONによる、プッシュ部材160での第2ボスの押圧、が繰り返し行われるので、回転部材110を矢印F3に示す方向に所定角度ずつ回転させることが可能となっている。
【0115】
一方、第2ソレノイド141では、回転部材110を、矢印F3に示す方向とは反対方向に回転させることができるようになっている。
【0116】
すなわち、第2ソレノイド141がONとなると、ロッド付勢バネS3の付勢力に抗して、ロッド143が矢印F5方向にスライドして、プッシュ部材160の押圧部163の押圧面164が、第1ボス116аを押圧して、回転部材110を矢印F3に示す方向とは反対方向に所定角度回転させる。この状態からソレノイド140がOFFとなると、ロッド付勢バネS3の付勢力によって、ロッド143が矢印F6方向にスライドして、第1ボスに隣接する第2ボス(回転部材110の回転方向F3に隣接するボス)が、乗り越え面165を押圧して、プッシュ部材付勢バネS4の付勢力に抗して、プッシュ部材160を回動させて、押圧部163が、第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、ロッド143に対してプッシュ部材160が移動する。したがって、第2ソレノイド141のON・OFFを繰り返すことで、回転部材110を矢印F3に示す方向とは反対方向に所定角度ずつ回転させることが可能となっている。
【0117】
(作用効果)
次に、上記構造からなるソレノイド弁装置10の動作及び作用効果について説明する。
【0118】
上述したように、ソレノイド140,141のON・OFF動作によって回転する回転部材110の回転動作は、次のようにして弁体80,81を昇降動作させるようになっている。これについて
図5及び
図16~20を併せて参照して説明する。この実施形態では、基板113の周方向に10個のボス116を設けた関係上、回転部材110は、駆動手段をなすソレノイド140,141によって、36°ごとに回転するようになっており、それに伴って弁体80,81が昇降動作する。
【0119】
図5には、第1開口部24に対する第1弁体80の弁頭85の挿入量が最大で、且つ、第2開口部25に対する第2弁体81の弁頭85の挿入量も最大の場合が示されている。この場合、第1開口部24のシール部24aに、第1弁体80のシール部84が当接して、第1開口部24が閉塞されていると共に、第2開口部25のシール部25aに、第2弁81のシール部84が当接して、第2開口部25が閉塞されている(両開口部24,25の全閉状態)。この状態では、第1弁体80側のカム突起部材100のカム当接部102が、回転部材110のカム面124の第1傾斜面125に圧接されると共に、第2弁体81側のカム突起部材100の先端部が、回転部材110のカム面形成部122の外周に圧接されている。
【0120】
この状態で回転部材110がF3方向に36°回転すると、第1弁体80側のカム当接部102が、カム面124の第1傾斜面125、第1平坦面126、第2傾斜面127に順次押圧されて、弁体付勢バネS1の付勢力に抗して、弁体ブラケット90を介して第1弁体80が上昇する。その後、
図16に示すように、第1弁体80側のカム当接部102が、カム面124の第2平坦面128に至ると、第1弁体80の上昇が停止する。その結果、第1弁体80のシール部84が、第1開口部24のシール部24aから離れて、第1開口部24が開口すると共に、第1開口部24に第2頭部87が位置して、第1開口部24の流路面積が
図5に比べて小さくなる。
【0121】
その後、更に回転部材110がF3方向に36°回転すると、第1弁体80側のカム当接部102が、カム面124の第3傾斜面129、第3平坦面130、第4傾斜面131に順次押圧されて、弁体付勢バネS1の付勢力に抗して、弁体ブラケット90を介して第1弁体80が上昇する。その後、
図17に示すように、第1弁体80側のカム当接部102が、カム面124の第4平坦面132に至ると、第1弁体80の上昇が停止する。その結果、第1開口部24から弁頭85が完全に抜け出て(第1開口部24の全開状態)、第1開口部24の流路面積が最大となる。
【0122】
その後、回転部材110がF3方向に回転して、
図5に示す状態から180°回転すると、第4平坦面132に乗り上がった第1弁体80側のカム当接部102が、第4平坦面132から落ち込む。すると、弁体付勢バネS1の付勢力によって、第1弁体80が付勢されて、
図18に示すように、第1開口部24のシール部24аに、第1弁体80のシール部84が当接して、第1開口部24が再び閉塞される。なお、この状態では、第2弁体81側のカム突起部材100のカム当接部102が、回転部材110のカム面124の第1傾斜面125に圧接されると共に、第1弁体81側のカム突起部材100の先端部が、回転部材110のカム面形成部122の外周に圧接される。
【0123】
上記の
図18に示す状態から、回転部材110がF3方向に36°回転すると、第2弁体80側のカム当接部102が、カム面124の第1傾斜面125、第1平坦面126、第2傾斜面127に順次押圧されて、弁体付勢バネS1の付勢力に抗して、弁体ブラケット90を介して第2弁体80が上昇する。その後、
図19に示すように、第2弁体81側のカム当接部102が、カム面124の第2平坦面128に至ると、第2弁体81の上昇が停止する。その結果、第2弁体80のシール部84が、第2開口部25のシール部25aから離れて、第2開口部25が開口すると共に、第2開口部25に第2頭部87が位置して、第2開口部25の流路面積が
図18に比べて小さくなる。
【0124】
その後、更に回転部材110がF3方向に36°回転すると、第2弁体81側のカム当接部102が、カム面124の第3傾斜面129、第3平坦面130、第4傾斜面131に順次押圧されて、弁体付勢バネS1の付勢力に抗して、弁体ブラケット90を介して第2弁体81が上昇する。その後、
図20に示すように、第2弁体81側のカム当接部102が、カム面124の第4平坦面132に至ると、第2弁体81の上昇が停止する。その結果、第2開口部25から弁頭85が完全に抜け出て(第2開口部25の全開状態)、第2開口部25の流路面積が最大となる。
【0125】
以上のように、この実施形態においては、上述した階段状のカム面124を設け、このカム面124によって、一対の弁体ブラケット90,90を介して、一対の弁体80,81を昇降動作させることで、両開口部24,25の流路面積を、複数段階で制御することができるようになっている。
【0126】
すなわち、このソレノイド弁装置10においては、
図10~15に示すような、ソレノイド140,141のON・OFF動作による、プッシュ部材160での第1ボスの押圧動作、隣接する第2ボスの押圧可能位置へのプッシュ部材160の移動、プッシュ部材160での第2ボスの押圧動作によって、回転部材110を所定方向に回転させることができると共に、このような回転部材110の回転動作によって、
図16~20に示すように、一対の弁体80,81を昇降動作させて、開口部24,25に対する弁頭85,85の挿入位置を変化させることができる。その結果、両開口部24,25の流路面積を、弁頭外周の段の数に応じて適宜変化させて、両開口部24,25の流路面積を複数段階で制御することができる。
【0127】
そして、このソレノイド弁装置10においては、駆動手段を構成するソレノイド140,141がONとなり、ロッド143が所定方向にスライドしたときに、
図10や
図11に示すように、プッシュ部材160の押圧部163が第1ボス(ここでは第1ボス116a)を押圧して、回転部材110を所定方向に回転させる。そのため、
図16~20に示すように、弁体80,81を開口部24,25に対して近接離反させて、開口部24,25の流路面積を変化させることができる。
【0128】
また、ソレノイド140,141がOFFとなり、ロッド143がソレノイドON時とは反対方向にスライドしたときに、
図14や
図15に示すように、押圧部163が、ソレノイドON時に押圧した第1ボス(ここではボス116a)に対して、基板113の周方向に隣接する第2ボス(ここでは第2ボス116b)を押圧可能な位置までスライドできるように、ロッド143に対してプッシュ部材160が移動する。そのため、ソレノイド140,141が再度ONとなったときに、プッシュ部材160の押圧部163が第2ボス(ここではボス116b)を押圧して、弁体80,81を開口部24,25に対して近接離反させて、開口部24,25の流路面積を変化させることができる(
図16~20参照)。
【0129】
このように、ソレノイド140,141のON・OFFにより、開口部24,25の流路面積を可変可能な、ソレノイド弁装置10を提供することができる。
【0130】
また、この実施形態においては、
図2に示すように、駆動手段は、第1ソレノイド140と第2ソレノイド141とを有しており、各ソレノイド140,141のロッド143に、プッシュ部材160がそれぞれ取付けられており、
図11に示すように、第1ソレノイド140のロッド143及び第2ソレノイド141のロッド143が、並列して配置されている。
【0131】
上記態様によれば、両ソレノイド140,141のロッド143,143が並列して配置されているので、そのON・OFFによって、2個の弁体80,81を制御することができる。
【0132】
また、例えば、第1ソレノイド140で、回転部材110を所定方向に回転させ(ここでは矢印F3に示す方向に回転)、第2ソレノイド141で、回転部材110を、第1ソレノイド140による回転方向とは逆方向に回転させるといった構成とすることで、回転部材110を迅速に回転させることができるので、開口部24,25の流路面積の可変動作の応答性を高めることができる。
【0133】
更に、この実施形態においては、ロッド143は、基板113に対して押圧部163が近接する方向に、プッシュ部材160を付勢するプッシュ部材付勢バネS4を有しており、押圧部163は、第1ボス及び第2ボスを押圧する押圧面164と、該押圧面164とは反対側の面に設けられた、傾斜面状をなした乗り越え面165とを有しており、ロッド143が所定方向にスライドして押圧面164が第1ボスを押圧し、ロッド14が前記所定方向とは反対方向にスライドしたときに、第2ボスを、乗り越え面165が乗り越えることにより、プッシュ部材付勢バネS4の付勢力に抗してプッシュ部材160がロッド143に対して移動して、押圧面164が、第2ボスを押圧可能な位置となる構成となっている。
【0134】
上記態様によれば、プッシュ部材付勢バネS4によって、基板113に向けて押圧部163を常に付勢することができる。また、押圧部163は、第1ボス及び第2ボスを押圧する押圧面164と、該押圧面164とは反対側の面に設けられた、傾斜面状をなした乗り越え面165とを有しているので、回転部材110の回転時に、第2ボスが乗り越え面165を押圧すると、プッシュ部材付勢バネS4の付勢力に抗して、押圧部163が基板113から離反する方向に、プッシュ部材160を移動させて、押圧部163が第2ボスを乗り越えやすくすることができ、押圧面164が、第2ボスを押圧可能な位置となるように、ロッド143に対してプッシュ部材160を迅速に移動させることができる。すなわち、プッシュ部材付勢バネS4を有すると共に、押圧部163に押圧面164及び乗り越え面165を設ける、という比較的な簡単な構造によって、プッシュ部材160の上記移動構造(第2ボスを押圧可能な位置に移動させる)を容易に実現することができる。
【0135】
また、この実施形態においては、ロッド143が所定方向にスライドすると、押圧部163はソレノイド140,141に近接し、ロッド143が前記所定方向とは反対方向にスライドすると、押圧部163はソレノイド140,141から離間するように構成されている。
【0136】
この態様によれば、ソレノイド140,141の所定方向へのスライド量(ここではF5に示すように、本体142からロッド143が突出する方向)を小さく抑えることができるので、ソレノイド弁装置10を全体としてコンパクトにすることができる。
【0137】
更に、この実施形態においては、回転部材110は、その回転を制動する制動部(ここではバネ部材200)を有する構成となっている。
【0138】
この態様によれば、ソレノイド140,141のOFFで、押圧部163が、ソレノイドON時に押圧した第1ボスに対して、基板113の周方向に隣接する第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、プッシュ部材160がロッド143に対して移動するときに、回転部材110が回転することを、制動部によって制動することができる。その結果、押圧部163が、第2ボスを押圧可能な位置までスライドできるように、プッシュ部材160をロッド143に対して移動させやすくすることができる。
【0139】
特にこの実施形態の場合、
図12や
図13に示すように、プッシュ部材160が、所定のボス116bを乗り越えるときに、乗り越え面165によりボス116bが押圧されて、回転部材110がF3方向とは逆方向に回転する可能性があるところ、制動部であるバネ部材200の係止部202が、回転部材110のバネ係止溝117に係止して、回転部材110が所定の押し込み力以上でなければ回転しないように回転規制されるので、
図14や
図15に示すように、押圧部163がボス116bを押圧可能な位置となるように、プッシュ部材160をロッド143に対して確実に移動することができる。
【0140】
また、この実施形態においては、一対のホルダー170,180を介して、リミットスイッチ190がハウジング15に配置されており、回転部材110が回転していない初期状態又は360°回転した状態で、回転部材110に設けたスイッチ接触部118の外周面に、リミットスイッチ190の接触端子192が接触するように構成されている。
【0141】
この態様によれば、リミットスイッチ190の接触端子192が、スイッチ接触部118の外周面に接触していれば、回転部材110が回転してない初期状態又は360°回転した状態であると感知できる。また、この実施形態では、回転部材110が回転していない初期状態又は360°回転した状態では、
図5に示すように、開口部24,25が弁体80,81によって弁閉されるようになっている。そのため、例えば、車両の運転終了時等において、リミットスイッチ190によって上記状態が感知できない場合には、ソレノイド140,141を適宜駆動させて、開口部24,25を弁体80,81で完全に閉じた状態にすることができ、燃料タンク外への燃料漏れ等を規制することができる。
【0142】
(変形例)
本発明を構成するハウジング、該ハウジング本体を構成する第1ボディ、ポート部材、隔壁部材、第2ボディ、第3ボディ、カバー部材、更には、弁体、弁体ブラケット、カム突起部材、回転部材、回転部材を構成する本体、カム部材、ソレノイド、プッシュブラケット、プッシュ部材、第1ホルダー、第2ホルダー、リミットスイッチ、バネ部材等の、形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
【0143】
また、上記実施形態におけるハウジング15は、第1ボディ20、ポート部材30、隔壁部材40、第2ボディ50、第3ボディ60、カバー部材70から構成されているが、ハウジングとしては、少なくとも、第1空間、第2空間、仕切壁、開口部を有する構造であればよい。
【0144】
更に、この実施形態では、開口部24,25は円形孔状をなしているが、開口部としては、角孔や楕円形孔等であってもよい。また、開口部は、1個でも、3個以上であってもよい。更に、弁体の弁頭も、開口部の形状に対応して、角柱状等であってもよく、更には、3段の弁頭ではなく、2段や4段等であってもよい。
【0145】
また、この実施形態における回転部材110は、別体の本体111とカム部材120とからなるが、一体であってもよい。更に、この実施形態の回転部材110は、階段状のカム面124が、カム突起部材100が押圧することで回転する構造となっているが、回転部材としては、ソレノイドの駆動により回転可能な構造であれば、カム面を採用しなくともよい。また、回転部材110に設けたボス116は、外周面が円形の円柱状をなしているが、ボスとしては、例えば、角柱状や、円筒状、角筒状、半球突起状、板状等であってもよく、プッシュ部材により押圧可能であればよい。
【0146】
更に、この実施形態では、2個のソレノイド140,141を有しているが、ソレノイドは1個でも3個以上であってもよい。また、両ソレノイド140,141は、その本体142,142が、ハウジング15の長手方向に対して同じ位置に配置されているが、例えば、本体どうしを位置ずれして配置してもよい。更に、両ソレノイド140,141のロッド143,143は、互いに平行に並列配置されているが、回転動作の回転動作に支障がない程度に傾いていてもよい。
【0147】
また、この実施形態では、ロッド143の先端部に、プッシュブラケット150を介してプッシュ部材160が回動可能に取付けられている(移動可能に取付けられている、ともいえる)が、例えば、ロッドの先端部に直接、プッシュ部材を回動可能に取付けてもよい。更に、プッシュ部材は、ロッドの先端部に、プッシュブラケット等を介して間接的に昇降可能に取付けたり、又は、ロッドの先端部に直接的に昇降可能に取付けたりしてもよく、ソレノイドOFF時に、所定のボスに隣接するボスを押圧可能な位置となるように、プッシュ部材がロッドに対して移動することができればよい。
【0148】
また、この実施形態の場合、プッシュ部材160の押圧部163には、押圧面164とは反対方向に傾斜面状の乗り越え面165を設け、回転部材110側のボス116には、傾斜面を設けていないが、ボスをプッシュ部材が乗り越える構造としては、例えば、ボス側の、押圧部に対向する面に、傾斜面を設けてもよい(特にソレノイドが1個の場合に好適である)。
【0149】
更に、この実施形態のリミットスイッチ190は、接触端子192を有する接触式であるが、リミットスイッチとしては、例えば、非接触式のものを採用してもよい。
【0150】
また、この実施形態の制動部は、バネ部材200となっているが、制動部としては、例えば、回転部材の外周に配置されたゴムローラとし、その摩擦力で制動するようにしたり、或いは、回転部材外周に設けたラチェット溝と、これに係止するラチェット爪とからなる逆回転防止構造を、制動部として利用したりしてもよく回転部材を制動可能であればよい。
【0151】
(ソレノイド動作の弁装置の他の実施形態)
図21には、本発明に係るソレノイド動作の弁装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0152】
この実施形態におけるソレノイド動作の弁装置10A(以下、単に「ソレノイド弁装置10A」ともいう)は、基本的には前記実施形態のソレノイド弁装置10と同様の構造をなしているが、開口部24,25を開閉可能な弁体80A,81Aと、開口部24,25を閉じる方向に向けて弁体80A,81Aを付勢する弁体付勢バネS5と、この弁体付勢バネS5を押えるバネ押え部材210とを有している。また、駆動手段が回転部材110を回転させ、回転部材110が回転することによりバネ押え部材210が弁体80A,81Aに対して近接離反して、開口部24,25に対する弁体80A,81Aの開弁圧を調整可能となるように構成されている。
【0153】
バネ押え部材210は、弁体ブラケット90の底面に固設されている。また、このバネ押え部材210と、弁体80A,81Aの天井面82d,82dとの間には、互いにスライド可能とされた図示しない筒部及び軸部が配置されており、バネ押え部材210と、弁体80A,81Aの天井面82d,82dとが、近接離反可能となっている。なお、弁体付勢バネS5は、その一端がバネ押え部材210に支持されていると共に、他端が弁体80A,81Aの天井面82d,82dに支持されている。
【0154】
そして、このソレノイド弁装置10Aにおいては、駆動手段を構成するソレノイド140,141がONとなり、ロッド143が所定方向にスライドしたときに、プッシュ部材160の押圧部163が第1ボスを押圧して、回転部材110を所定方向に回転させるので、バネ押え部材210を弁体80A,81Aに対して近接離反させて、弁体付勢バネS5のバネ長を変化させて、開口部24,25に対する弁体80A,81Aの開弁圧を調整することができる。
【0155】
また、ソレノイドが140,141OFFとなり、ロッド143がソレノイドON時とは反対方向にスライドしたときに、押圧部163が、第2ボス116を押圧可能な位置までスライドできるように、ロッド143に対してプッシュ部材160が移動するので、ソレノイド140,141が再度ONとなったときに、押圧部163が第2ボスを押圧して、バネ押え部材210を弁体80A,81Aに対して近接離反させて、弁体付勢バネS5のバネ長を変化させ、開口部24,25に対する弁体80A,81Aの開弁圧を調整することができる。
【0156】
このように、ソレノイド140,141のON・OFFにより、開弁圧を調整可能な、ソレノイド弁装置10Aを提供することができる。
【0157】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0158】
10,10A ソレノイド動作の弁装置(ソレノイド弁装置)
15 ハウジング
20 第1ボディ
22 仕切壁
24 第1開口部
25 第2開口部
30 ポート部材
40 隔壁部材
50 第2ボディ
60 第3ボディ
70 カバー部材
80,80A 第1弁体
81,81A 第2弁体
90 弁体ブラケット
100 カム突起部材
110 回転部材
111 本体
112 軸部
113 基板
116 ボス
120 カム部材
140 第1ソレノイド
141 第2ソレノイド
143 ロッド
146 ブラケット取付部材
150 プッシュブラケット
160 プッシュ部材
163 押圧部
164 押圧面
165 乗り越え面
170 第1ホルダー
180 第2ホルダー
190 リミットスイッチ
200 バネ部材