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  • 特開-電磁アクチュエータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105495
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】電磁アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/16 20060101AFI20230724BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20230724BHJP
   H01F 7/121 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H01F7/16 D
H01F7/16 E
H01F7/16 M
F16K31/06 305A
H01F7/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006358
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】西谷 拓也
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴広
(72)【発明者】
【氏名】河原 寛之
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DD09
3H106EE04
3H106EE14
3H106EE24
3H106GA01
3H106GA11
3H106GA13
3H106GA15
5E048AA09
5E048AB10
5E048AD02
(57)【要約】
【課題】シャフト圧入およびボディを加締めた際のシャフトの同軸ずれを防ぎ、摩擦抵抗の増大およびそれに起因する吸引力低下やヒステリシス悪化を抑制することが可能な電磁アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明にかかる電磁アクチュエータの構成は、有底円筒のボディと、ボディの中に収納されたコイルと、ボディの開口に取り付けられたコアと、ボディおよびコアに圧入嵌合されるシャフトと、シャフトを軸として摺動するプランジャと、プランジャによって押されるプッシャと、を備え、コアは、固定鉄心の役割を果たす円筒部と、円筒部の開口端で容積変動室を構成する凹部と、円筒部の内部に配置されたプッシャガイドと、凹部とプッシャガイドとを仕切る隔壁と、隔壁の中央に形成されシャフトが圧入されるシャフト圧入穴と、シャフト圧入穴の周囲に形成されプッシャの足が挿通されるプッシャ挿通穴と、を有し、プッシャは、プッシャガイドの内壁を摺動する突起を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒のボディと、
前記ボディの中に収納されたコイルと、
前記ボディの開口に取り付けられたコアと、
前記ボディおよび前記コアに圧入嵌合されるシャフトと、
前記シャフトを軸として摺動するプランジャと、
前記プランジャによって押されるプッシャと、
を備え、
前記コアは、
固定鉄心の役割を果たす円筒部と、
前記円筒部の開口端で容積変動室を構成する凹部と、
前記円筒部の内部に配置されたプッシャガイドと、
前記凹部と前記プッシャガイドとを仕切る隔壁と、
前記隔壁の中央に形成され前記シャフトが圧入されるシャフト圧入穴と、
前記シャフト圧入穴の周囲に形成され前記プッシャの足が挿通されるプッシャ挿通穴と、
を有し、
前記プッシャは、前記プッシャガイドを摺動する突起を有することを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記シャフト圧入穴は、全周を有する円形であることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される電磁アクチュエータとしては、例えば特許文献1の電磁弁を挙げることができる。特許文献1の電磁弁は、「スリーブに摺動自在に嵌挿されたスプールにより油圧供給口を形成する調圧部と、前記調圧部に一体的に取り付けられた電磁部と」を有する。
【0003】
特許文献1の電磁部は、「電磁部は、調圧部のスプールに同軸上に位置する軸部材と、軸部材に摺動自在に嵌挿された移動体と、軸部材の一端に設けた圧入部により軸部材の一端に固定されたヨーク部と、移動体の他端に設けた圧入部により軸部材の他端に固定されたコア部材と、ヨーク部材及びコア部材の外周部に嵌挿されたソレノイド組立体と、ソレノイド組立体の外周部が嵌挿され一端がコア部材のフランジに加締められたボディ部材と、軸部材の他端を圧入したコア部材に該軸部材に隣接して設けられ移動体の吸引力を調圧部に付勢するプッシャ部材と」を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6094059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、プッシャ部材は、円周方向に均等に配置した少なくとも2個以上の脚部が基部に一体に形成されていて、脚部は、コア部材に設けられた溝部に嵌挿される。そしてプッシャ部材は軸部材(シャフト)にガイドされつつ、プッシャを介してプランジャの吸引力を調圧部に付加する。
【0006】
特許文献1のようにプッシャ部材がシャフトをガイドとする摺動構造であると、プッシャ部材の脚部を嵌挿する溝孔を、シャフトを圧入するコアの圧入孔の一部に重なるように配置する必要がある。このためコアの圧入穴は、内向きの複数の突起が放射状に配列された構造となる。すると、シャフトを圧入する際に、複数の突起のうち一部がシャフトと接するため、剛性が低く圧入の荷重によって塑性変形を生じてしまい、圧入後およびボディを加締め後にシャフトの同軸ずれが起こることがある。すると、移動体(プランジャ)が移動するときにラジアル荷重による摩擦抵抗の増大によって吸引力低下やヒステリシス悪化が生じる可能性があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、シャフト圧入、ボディ加締め後の同軸ずれを防ぎ、摩擦抵抗の増大およびそれに起因する吸引力低下やヒステリシス悪化を抑制することが可能な電磁アクチュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電磁アクチュエータの代表的な構成は、有底円筒のボディと、ボディの中に収納されたコイルと、ボディの開口に取り付けられたコアと、ボディおよびコアに圧入嵌合されるシャフトと、シャフトを軸として摺動するプランジャと、プランジャによって押されるプッシャと、を備え、コアは、固定鉄心の役割を果たす円筒部と、円筒部の開口端で容積変動室を構成する凹部と、円筒部の内部に配置されたプッシャガイドと、凹部とプッシャガイドとを仕切る隔壁と、隔壁の中央に形成されシャフトが圧入されるシャフト圧入穴と、シャフト圧入穴の周囲に形成されプッシャの足が挿通されるプッシャ挿通穴と、を有し、プッシャは、プッシャガイドの内壁を摺動する突起を有することを特徴とする。また上記シャフト圧入穴は、全周を有する円形であるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャフト圧入、ボディ加締め後のシャフトの同軸ずれを防ぎ、摩擦抵抗の増大およびそれに起因する吸引力低下やヒステリシス悪化を抑制することが可能な電磁アクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の電磁アクチュエータを説明する図である。
図2図1の電磁アクチュエータのプランジャが容積変動室に移動した状態を示す図である。
図3】本実施形態のコアおよびプッシャの斜視図である。
図4】コアの全体図である。
図5】プッシャの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態の電磁アクチュエータ100を説明する図であり、電磁アクチュエータ100の中央近傍での縦断面を図示している。図2は、図1の電磁アクチュエータ100のプランジャ140が容積変動室106に移動した状態を示す図である。電磁アクチュエータ100は、例えば車両等に搭載される部品であり、図1および図2ではシャフト102およびロッド108が上下方向に延びるように縦配置されている。
【0013】
図1および図2に示すように電磁アクチュエータ100は、ボディ110、コイル120、コア130、シャフト102、プランジャ140およびプッシャ150を含んで構成される。ボディ110は有底円筒であり、その中にコイル120が収納されている。コイル120には、コネクタ104に接続された電源(不図示)から電力が供給される。
【0014】
ボディ110には、開口を封止するコア130(固定鉄心)が取り付けられる。ボディ110およびコア130にはシャフト102が圧入嵌合される。またボディ110の内側には、シャフト102を軸として摺動するプランジャ140(可動鉄心)が配置されている。コア130の内側には、プランジャ140によって押されて移動するプッシャ150が配置されている。
【0015】
図3は、本実施形態のコア130およびプッシャ150の斜視図である。図3(a)は、コア130およびプッシャ150を図1の斜め上方から観察した状態を示す斜視図であり、図3(b)は、コア130およびプッシャ150を図1の斜め下方から観察した状態を示す斜視図である。
【0016】
図4は、コア130の全体図である。図4(a)は、コア130の底面図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A断面図である。図5は、プッシャ150の全体図である。図5(a)は、プッシャ150の全体斜視図であり、図5(b)は、プッシャ150の平面図であり、図5(c)は、図5(a)のB-B断面図である。
【0017】
図3および図4に示すようにコア130は、筒状の円筒部130a、円筒部130aの縁から張り出すフランジ130bを備えている。円筒部130aは、主に固定鉄心の役割を有する。フランジ130bは、主にボディ110の蓋としての機能を有する。フランジ130bには、取付用切欠134が形成されている。および円筒部130aの内部に設けられた隔壁130cを含んで構成される。
【0018】
円筒部130aの内部空間において、開口端(図示下端)に、容積変動室106を構成する凹部132が配置されている。また円筒部130aの内部空間において、凹部132より上側はプッシャを案内するプッシャガイド131が配置されている。プッシャガイド131は、プッシャ150が移動する空間ということもできる。隔壁130cは、凹部132とプッシャガイド131とを仕切っている。
【0019】
シャフト圧入穴136は、隔壁130cの中央に形成され、シャフト102が圧入される。特に本実施形態では、シャフト圧入穴136は、全周を有する円形(欠けのない円形)である。プッシャ挿入穴138は、シャフト圧入穴136の周囲に形成され、後述するプッシャ150の足154が挿通される。
【0020】
また図3および図5に示すように本実施形態の電磁アクチュエータ100では、プッシャ150は、基部152、足154および突起156を有する。足154は、基部152からプランジャ140に向かって延び、コア130に形成されたプッシャ挿入穴138に挿入される。突起156は、基部152からプッシャガイド131の内壁に向かって突出し、プッシャ150がプッシャガイド131内を移動する際にその内壁に摺動する。すなわち、突起156の外接円(基部152の中心から突起156の先端までの距離)は、足154の外接円(基部152の中心から足154の外縁までの距離)よりも大きくなっている。
【0021】
本実施形態では、図5に示すように3つの足154および3つの突起156は、基部152の周囲において離間溝158を挟んで交互に配置されている。なお本実施形態では、プッシャ挿入穴138およびプッシャ150の足154はそれぞれ3つずつ設けられているが、これに限定するものではない。プッシャ挿入穴138およびプッシャ150の足154の数は必要に応じて適宜変更することが可能である。
【0022】
上述したプッシャ150をコア130のプッシャガイド131に挿入すると、図1に示すように、基部152がシャフト102とロッド108との間に配置され、プッシャ150の3つの足154がコア130のプッシャ挿入穴138に挿入されて突出した状態となる。そしてプッシャ150の足154がプランジャ140によって押されると、図2に示すようにプッシャ150がプッシャガイド131内を摺動してロッド108を移動させる。
【0023】
上述したように本実施形態の電磁アクチュエータ100では、プッシャ挿入穴138は、シャフト圧入穴136の周囲に形成されている。すなわちプッシャ挿入穴138は、シャフト圧入穴136と平面視において重なっておらず、シャフト圧入穴136は全周を有する欠けのない円形である。これにより、シャフト102を圧入する際に、シャフト圧入穴136の全周がシャフト102と接するため、シャフト圧入時およびボディ110を加締めした際のシャフト102の同軸ずれの発生を防ぐことができる。したがって、摩擦抵抗の増大およびそれに起因する吸引力低下やヒステリシス悪化を防止することが可能となる。
【0024】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、車両等に搭載される電磁アクチュエータとして利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
100…電磁アクチュエータ、102…シャフト、104…コネクタ、106…容積変動室、108…ロッド、110…ボディ、120…コイル、130…コア、130a…円筒部、130b…フランジ、130c…隔壁、131…プッシャガイド、132…凹部、134…取付用切欠、136…シャフト圧入穴、138…プッシャ挿入穴、140…プランジャ、150…プッシャ、152…基部、154…足、156…突起、158…離間溝
図1
図2
図3
図4
図5