(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105516
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】枕用芯材、及び枕用芯材の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
A47G9/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006388
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】森川 陽亮
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA02
3B102AB07
3B102AC01
(57)【要約】
【課題】より快適な寝心地を提供できる枕用芯材、及び枕用芯材の製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る枕用芯材1は、使用者の頭部が載せられる第1部分2と、使用者の首が載せられる第2部分3と、使用者の肩が載せられる第3部分4とを備える。第1部分2、第2部分3及び第3部分4は、第1方向D1に沿って並ぶと共に第1方向D1に交差する第2方向D2に延在している。第2部分3は、第2部分3の第2方向D2の中央に位置する中央部3bと、第2部分3の第2方向D2の両端のそれぞれに位置する両端部3cを有する。第3部分4に対する中央部3bの高さは、第3部分4から第1部分2に向かうに従って高くなっている。両端部3cは、第3部分4に向かって突出する突出部3gを有する。外力が付与されていない状態において突出部3gの下面と第3部分4の上面との間に隙間が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部が載せられる第1部分と、
前記使用者の首が載せられる第2部分と、
前記使用者の肩が載せられる第3部分と、
を備え、
前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分は、平面視において、第1方向に沿って並ぶと共に前記第1方向に交差する第2方向に延在しており、
前記第2部分は、前記第2部分の前記第2方向の中央に位置する中央部と、前記第2部分の前記第2方向の両端のそれぞれに位置する両端部と、を有し、
前記第3部分に対する前記中央部の高さは、前記第3部分から前記第1部分に向かうに従って高くなっており、
前記両端部は、前記第3部分に向かって突出する突出部を有し、
外力が付与されていない状態において前記突出部の下面と前記第3部分の上面との間に隙間が形成されている、
枕用芯材。
【請求項2】
前記第3部分の上面に対して前記突出部の下面は傾斜しており、
前記上面に対する前記下面の傾斜角度は0度より大きく且つ90度より小さい、
請求項1に記載の枕用芯材。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に前記第1部分を貫通する貫通孔を有する、
請求項1又は2に記載の枕用芯材。
【請求項4】
平面視において長方形状を呈する型を用いて請求項1~3のいずれか一項に記載の枕用芯材を製造する枕用芯材の製造方法であって、
前記型は平面視における前記型の短手方向の一方側に位置する凹部と、前記凹部の底面に対して鋭角を成す凸部とを有し、前記凸部は平面視における前記型の長手方向の一方側及び他方側のそれぞれに設けられており、前記凹部の底面と前記凸部の下面との間に隙間が形成されており、
前記凹部及び前記凸部に液状の発泡ウレタンを流し込む工程と、
前記型の内部において前記発泡ウレタンを発泡成形して、前記隙間に前記枕用芯材の前記突出部を形成する工程と、
前記型の内部において発泡成形された前記発泡ウレタンを前記型から取り出す工程と、
を備える枕用芯材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の頭部、首及び肩が載せられる枕用芯材、及び枕用芯材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
登録実用新案第3217333号公報には、マットと枕とが一体成形されたマット一体型枕が記載されている。枕には、仰臥時に使用者の頸部を支えるための凸部と、凸部を挟んでマットとは反対側に位置する凹部とが形成されている。マットの中央縦方向には、上側に高くなった盛り上がり部が形成されている。
【0003】
平面視において、マットは台形状とされており、枕は棒状とされている凸部を有する。凸部は両側部と中央部とを有し、両側部の高さは中央部の高さよりも高い。このマット一体型枕では、中央部、及び中央部よりも高い両側部を有する凸部が形成された枕と、マットとが一体成形されている。マット一体型枕は、ジェルとウレタンの混合素材で形成されており、弾性によって、柔軟性と復元力を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したマット一体型枕は、ウレタン等の発泡樹脂素材を用いて一体成形によって製造される。マット一体型枕は、一体成形によって製造されるので、コストを抑えつつ効率よく生産可能である。マット一体型枕は、凸部以外の部分においては、目立つ凹凸がなく滑らかな形状とされている。このため、型に入れたウレタン素材を発泡させたときに、型からの取り外しが容易である。しかしながら、使用者の身体にフィットさせるためには、複雑な構造を形成することが必要となる場合がある。特に、使用者が横向き寝をしたときに、滑らかな形状の枕では、枕と使用者の首との間に隙間が形成されることがある。よって、横向き寝をしたときに使用者が首を痛める可能性があるので、横向き寝をしたときにおける快適性の点において改善の余地がある。
【0006】
本開示は、より快適な寝心地を提供できる枕用芯材、及び枕用芯材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る枕用芯材は、使用者の頭部が載せられる第1部分と、使用者の首が載せられる第2部分と、使用者の肩が載せられる第3部分と、を備える。第1部分、第2部分及び第3部分は、平面視において、第1方向に沿って並ぶと共に第1方向に交差する第2方向に延在している。第2部分は、第2部分の第2方向の中央に位置する中央部と、第2部分の第2方向の両端のそれぞれに位置する両端部と、を有する。第3部分に対する中央部の高さは、第3部分から第1部分に向かうに従って高くなっている。両端部は、第3部分に向かって突出する突出部を有する。外力が付与されていない状態において突出部の下面と第3部分の上面との間に隙間が形成されている。
【0008】
この枕用芯材は、頭部が載せられる第1部分、首が載せられる第2部分、及び肩が載せられる第3部分が平面視における第1方向に沿って並んでいる。第1部分、第2部分及び第3部分のそれぞれは、平面視において第1方向に交差する第2方向に延在している。首が載せられる第2部分は、第2方向の中央に位置する中央部と、第2方向の両端のそれぞれに位置する両端部とを有する。中央部の高さは、第3部分から第1部分に向かうに従って高くなっている。よって、使用者が仰向け寝をしているときには首の下に中央部が位置することになり、中央部の高さが背中から頭部に向かって高くなる。従って、中央部の高さが仰向けをしたときにおける使用者の首の形状に沿うように設定されているので、仰向き寝をしたときに中央部でやさしく首を支えることができる。その結果、仰向き寝をしたときにおける寝心地を快適にすることができる。第2部分の両端部は第3部分に向かって突出する突出部を有し、第3部分の上面と突出部の下面との間に隙間が形成されている。従って、使用者が横向き寝をしたときに首が両側部の突出部に載せられることとなり、このとき突出部が下がって上記の隙間が縮小されることなる。よって、横向き寝をした使用者の首が載せられると突出部が下がって柔軟に変形するので、突出部と首との間に隙間を生じにくくすることができる。従って、横向き寝をしたときにおける首の痛みを抑制できるので、横向き寝をしたときにおける寝心地をより快適にすることができる。
【0009】
第3部分の上面に対して突出部の下面は傾斜していてもよい。上面に対する下面の傾斜角度は0度より大きく且つ90度より小さくてもよい。この場合、第3部分の上面から突出部の下面が斜め上方に延在するので、首が載せられたときに突出部をより変形させやすくすることができる。従って、より快適な横向き寝を使用者に提供することができる。
【0010】
第1部分は、第1方向及び第2方向の双方に交差する第3方向に第1部分を貫通する貫通孔を有してもよい。この場合、頭部が載せられる第1部分が貫通孔を有するので、第1部分における通気性を良好にすることができる。従って、更に快適な寝心地を使用者に提供することができる。
【0011】
本開示に係る枕用芯材の製造方法は、平面視において長方形状を呈する型を用いて前述した枕用芯材を製造する枕用芯材の製造方法である。型は平面視における型の短手方向の一方側に位置する凹部と、凹部の底面に対して鋭角を成す凸部とを有する。凸部は平面視における型の長手方向の一方側及び他方側のそれぞれに設けられている。凹部の底面と凸部の下面との間に隙間が形成されている。枕用芯材の製造方法は、凹部及び凸部に液状の発泡ウレタンを流し込む工程と、型の内部において発泡ウレタンを発泡成形して、隙間に枕用芯材の突出部を形成する工程と、型の内部において発泡成形された発泡ウレタンを型から取り出す工程と、を備える。
【0012】
この枕用芯材の製造方法では、平面視における型の短手方向の一方側に位置する凹部と、凹部の底面に対して鋭角を成す凸部とを有する型を用いる。凸部は長手方向の一方側及び他方側のそれぞれに設けられ、凹部の底面と凸部の下面との間には隙間が形成されている。この製造方法では、型の凹部及び凸部に液状の発泡ウレタンを流し込むと、上記の隙間に当該発泡ウレタンが充填される。そして、型の内部において発泡ウレタンを発泡成形すると、当該隙間に枕用芯材の前述した突出部が形成される。従って、この製造方法では、前述した枕用芯材の突出部をウレタンモールド成形によって形成できるので、寝心地を良好にできる枕用芯材を発泡ウレタンから製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、より快適な寝心地を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る枕用芯材を上方から見た斜視図である。
【
図2】実施形態に係る枕用芯材を下方から見た斜視図である。
【
図3】
図1の枕用芯材の第1部分及び第2部分を示す斜視図である。
【
図4】
図1の枕用芯材の第2部分の両側部の突出部、及び中央部を示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係る枕用芯材の製造方法に用いられる型を示す斜視図である。
【
図7】
図6の型に液状の発泡ウレタンを流し込む状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8の型の内部において発泡成形した発泡ウレタンを示す斜視図である。
【
図10】
図9の発泡ウレタンを型から取り出す状態を示す斜視図である。
【
図11】
図9の発泡ウレタンを型から取り出す状態を示す斜視図である。
【
図12】実施形態に係る枕用芯材に使用者が仰向き寝をする状態を模式的に示す図である。
【
図13】実施形態に係る枕用芯材に使用者が横向き寝をする状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る枕用芯材、及び枕用芯材の製造方法の実施形態について説明する。図面の説明について同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いていることがあり、寸法比率及び角度等は図面に記載のものに限定されない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る枕用芯材1を上方から見た斜視図である。
図2は、枕用芯材1を下方から見た斜視図である。
図1及び
図2に示されるように、枕用芯材1は、使用者M(
図12及び
図13参照)の頭部M1が載せられる第1部分2と、使用者Mの首M2が載せられる第2部分3と、使用者Mの肩M3が載せられる第3部分4と、使用者Mの背中が載せられる第4部分5とを備える。
【0017】
枕用芯材1は、例えば、布製のカバーに収容されて使用される。例えば、枕用芯材1は、使用者Mの身体の頭部M1から背中までの部分が載せられる枕用芯材であり、通常の枕よりも身体が延びる方向への長さが長くなっている。枕用芯材1は、第1部分2、第2部分3、第3部分4及び第4部分5が設けられる面(上面)の反対側に下面1fを有する。下面1fは、例えば、平坦状とされている。
【0018】
平面視において、第1部分2、第2部分3、第3部分4及び第4部分5は、この順で第1方向D1に沿って並んでいる。第1部分2、第2部分3、第3部分4及び第4部分5のそれぞれは、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って延在している。一例として、第2方向D2は、第1方向D1に直交する方向である。
【0019】
枕用芯材1は、第1方向D1に延びると共に第2方向D2に沿って並ぶ一対の第1辺1bと、枕用芯材1の第1方向D1の一端において第2方向D2に沿って延在する第2辺1cと、枕用芯材1の第1方向D1の他端において第2方向D2に沿って延在する第3辺1dとを有する。一対の第1辺1bのそれぞれは、第3部分4及び第4部分5の第2方向D2の端部に位置する。第2辺1cは、第1部分2の第2部分3とは反対側の端部において第2方向D2に沿って延在している。第3辺1dは、第4部分5の第3部分4とは反対側の端部において第2方向D2に沿って延在している。
【0020】
枕用芯材1の高さ方向を第3方向D3とすると、例えば、第1部分2の第3方向D3の長さ(高さ)、及び第2部分3の第3方向D3の長さは、第3部分4の第3方向D3の長さ、及び第4部分5の第3方向D3の長さよりも長い。以降の説明では、第3方向D3の長さが長い状態を「高い」又は「厚い」と称する場合があり、第3方向D3の長さが短い場合を「低い」又は「薄い」と称する場合がある。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向を示しており、一例として、第1方向D1及び第2方向D2の双方に直交している。例えば、第3方向D3に沿って見た場合における(平面視における)枕用芯材1の形状は、長方形状を呈する。
【0021】
枕用芯材1は柔軟性素材によって構成されている。本開示において「柔軟性素材」とは、身体の載置によって変形する柔らかさを備えた素材を示している。「柔軟性素材」は、例えば、弾性発泡体、繊維系素材、可撓性素材及び軟質素材の少なくともいずれかを含んでいる。
【0022】
枕用芯材1は、例えば、弾性発泡体によって構成されており、一例として、枕用芯材1の全体が発泡ウレタンによって構成されている。この場合、枕用芯材1は、ウレタンモールド成形によって形成される。枕用芯材1が発泡ウレタンによって構成されウレタンモールド成形によって形成されている場合、柔軟性素材によって構成された枕用芯材1を容易に製造することができる。
【0023】
第1部分2は、枕用芯材1の第1方向D1の端部に位置する第1凸部2bと、第2部分3の隣接位置において第2方向D2に沿って延在する第2凸部2cと、第1凸部2b及び第2凸部2cの間に位置する凹部2dとを有する。
図3は、第1部分2を第2方向D2から見た斜視図である。
図1~
図3に示されるように、第1部分2は、第3方向D3に第1部分2を貫通する複数の貫通孔2fを有する。
【0024】
第1凸部2bは、第1部分2の凹部2dとは反対側に位置する第1傾斜部2gと、第1部分2の凹部2dから第1傾斜部2gに向かって延びる第2傾斜部2hと、第1傾斜部2g及び第2傾斜部2hの間において第2方向D2に延在する頂部2jとを有する。例えば、第1傾斜部2g、第2傾斜部2h及び頂部2jは、共に第2方向D2に沿って延在している。
【0025】
例えば、第2凸部2c及び凹部2dは、共に第2方向D2に沿って延在している。第2凸部2cは、凹部2dから第1方向D1に離れるに従って高くなる第3傾斜部2kを有する。第1部分2は、例えば、第2方向D2に沿って並ぶ一対の第2凸部2cを有し、一対の第2凸部2cの間には窪み2pが形成されている。第1凸部2b、凹部2d及び第2凸部2cは第1方向D1に延びると共に第3方向D3に蛇行する波形形状を呈する。第1傾斜部2g、頂部2j、第2傾斜部2h、凹部2d及び第3傾斜部2kは、この順で第1方向D1に沿って並んでいる。
【0026】
第1部分2は、例えば、第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに沿って並ぶ複数の貫通孔2fを有する。すなわち、第1部分2において貫通孔2fは格子状に配列されている。一例として、第1方向D1に沿って4個の貫通孔2fが並ぶと共に、第2方向D2に沿って7個の貫通孔2fが並んでいる。
【0027】
例えば、第1凸部2b、第2凸部2c及び凹部2dのそれぞれに貫通孔2fが形成されている。具体例として、第2傾斜部2h、凹部2d及び第2凸部2cのそれぞれにおいて第2方向D2に沿って並ぶように複数の貫通孔2fが形成されている。このように貫通孔2fが配置されていることにより、第1部分2の通気性が良好となるので第1部分2に載せられた頭部M1の蒸れを抑制することができる。
【0028】
第2部分3は、第2凸部2cの第1方向D1への延長上に設けられる。第2部分3は、第2部分3の第2方向D2の中央部に位置する中央部3bと、第2部分3の第2方向D2の両端のそれぞれに位置する両端部3cとを有する。
図4は、第2方向D2から見た第2部分3の斜視図である。
【0029】
図1、
図3及び
図4に示されるように、第3部分4に対する中央部3bの高さは、第3部分4から第1部分2に向かうに従って高くなっている。中央部3bは、第1部分2の窪み2pから第3部分4に向かって延びる第1湾曲面3dと、第1湾曲面3dから第3部分4まで延びる第2湾曲面3fとを有する。
【0030】
図5は、中央部3bを拡大した斜視図である。
図4及び
図5に示されるように、例えば、第1湾曲面3dは中央部3bの外側(上側)に膨らむように湾曲しており、第2湾曲面3fは中央部3bの内側(下側)に窪むように湾曲している。一例として、第2方向D2から見た場合における第1湾曲面3d及び第2湾曲面3fの形状は円弧状を呈する。しかしながら、中央部3bの形状は上記の例に限定されない。
【0031】
両端部3cは、第3部分4に向かって突出する突出部3gを有する。例えば、突出部3gは、鉛直上方に向けられる上面3kと、枕用芯材1に横たわる使用者の脚部側を向く側面3hと、側面3hから斜め下方に延びる下面3jとを有する。側面3hは、例えば、平坦状とされている。しかしながら、側面3hは、平坦状でなくてもよく、枕用芯材1に横たわる使用者の脚部側に突出する湾曲面であってもよい。
【0032】
突出部3gの下面3jと、第3部分4の上面4bとの間には隙間Sが形成されている。下面3jは、上面4bの第1部分2側の端部から第4部分5側に斜め上方に延在している。上面4bに対する下面3jの傾斜角度θは、例えば、0°より大きく且つ90°より小さい。すなわち、傾斜角度θは鋭角である。また、傾斜角度θは、10°以上且つ80°以下、20°以上且つ70°以下、又は30°以上且つ60°以下であってもよい。側面3hは下面3jの上端から上方に延在し、上面3kは側面3hの上端から第1部分2に向かって延在している。
【0033】
第2方向D2に沿って見た場合において突出部3g(下面3j)と第3部分4はZ字状とされている。すなわち、第2方向D2に沿って見た場合において、突出部3gの上面3k、側面3h、下面3j、及び第3部分4の上面4bはZ字状を呈する。少なくとも突出部3gに外力が付与されていない状態において突出部3gの下面3jと第3部分4の上面4bとの間には隙間Sが形成されている。
【0034】
第3部分4は、中央部3bの第2方向D2の両側において第1方向D1及び第2方向D2に延在する両側部4cを有する。両側部4cは、横向き寝をした使用者Mの肩M3が載せられる部分である。第4部分5は、第3部分4から見て第2部分3とは反対側に位置しており、第1方向D1及び第2方向D2に延在している。
【0035】
例えば、第3部分4及び第4部分5は第1方向D1及び第2方向D2に延びると共に第3方向D3に厚みを有するシート状を呈する。一例として、第3部分4の厚さは第4部分5から第2部分3に向かうに従って厚くなっており、第4部分5の厚さは第3部分4に向かうに従って厚くなっている。
【0036】
次に、本実施形態に係る枕用芯材の製造方法について説明する。以下では、前述した枕用芯材1を製造する製造方法の工程の例について説明する。
図6に示されるように、枕用芯材1は、例えば、型10を用いて製造される。まず、枕用芯材1を製造するときに用いられる型10の構成について説明する。
【0037】
型10は、平面視において長方形状を呈する。型10は、例えば、凹状を呈する樹脂注入部11を有する本体部15と、樹脂注入部11を塞ぐ蓋部12とを備える。更に、型10は、本体部15に対して蓋部12を開閉させるヒンジ機構13と、本体部15の樹脂注入部11を塞いだ蓋部12を本体部15に固定する固定部14とを備える。ヒンジ機構13は、平面視における本体部15の短手方向A2の端部において長手方向A1に沿って延在している。蓋部12は、長手方向A1に沿って延びるヒンジ機構13を中心軸として回転可能とされている。
【0038】
本体部15は、例えば、型10の長手方向A1、短手方向A2及び高さ方向A3に延びる矩形箱状を呈する。樹脂注入部11は、例えば、本体部15の上面15bから窪んでいる。樹脂注入部11は、平面視における短手方向A2の一方側に位置する凹部11bと、凹部11bの底面11cに対して鋭角を成す凸部11dとを有する。凸部11dは、凹部11bにおける短手方向A2の端部において凹部11b側に突出している。平面視において、凹部11bは長手方向A1及び短手方向A2の双方に延在している。
【0039】
樹脂注入部11は、例えば、凹部11bから突出すると共に長手方向A1に沿って延在する突出部11fを有する。突出部11fは、第1部分2の凹部2dを形成する部分に相当する。凸部11dは、突出部3gと第3部分4との間の隙間Sを形成する部分に相当する。
【0040】
凸部11dは、平面視における型10の長手方向A1の一方側及び他方側のそれぞれに設けられている。凸部11dの下面11gと凹部11bの底面11cとの間には隙間11hが形成されている。隙間11hは、突出部3gを形成する部分に相当する。樹脂注入部11は、一対の凸部11dの間において窪む傾斜部11jを有する。
【0041】
傾斜部11jは、中央部3bの第1湾曲面3d及び第2湾曲面3fを形成する面に相当する。樹脂注入部11は、平面視における短手方向A2の他方側(凹部11bとは反対側)に上面部11kを有する。上面部11kの高さは、凹部11bに向かうに従って低くなっている。上面部11kは、第3部分4及び第4部分5を形成する部分に相当する。
【0042】
続いて、枕用芯材1を製造する工程の例について説明する。まず、樹脂注入部11の凹部11b、凸部11d、突出部11f、下面11g、傾斜部11j及び上面部11kに離型剤を塗布する。これにより、発泡成形後に発泡ウレタンHを型10から剥がしやすくすることができる。そして、型10の樹脂注入部11の凹部11bに枕用芯材1の基となる液状の発泡ウレタンHを流し込む。
【0043】
このとき、
図6及び
図7に示されるように、樹脂注入部11の凹部11b及び凸部11dに発泡ウレタンHを流し込む(発泡ウレタンを流し込む工程)。そして、底面11c、突出部11f、下面11g、隙間11h、傾斜部11j及び上面部11kに発泡ウレタンHを流し込む。
【0044】
以上のように樹脂注入部11に発泡ウレタンHを流し込んだ後には、
図8に示されるように、ヒンジ機構13を介して蓋部12を回転させて樹脂注入部11を蓋部12によって封止する(樹脂注入部を封止する工程)。そして、本体部15及び蓋部12の内部において発泡ウレタンHを発泡させる。このとき、型10の内部において発泡ウレタンHが発泡成形して、型10の隙間11hに枕用芯材1の突出部3gが形成される(突出部を形成する工程)。
【0045】
発泡ウレタンHの発泡成形の後には、
図9に示されるように、本体部15から蓋部12を開けて樹脂注入部11から成形された発泡ウレタンHを外す(成形された発泡ウレタンを外す工程)。このとき、
図10及び
図11に示されるように、例えば、型10の短手方向A2の凹部11bとは反対側から発泡ウレタンHを持ち上げ、その後、型10の短手方向A2の凹部11b側から発泡ウレタンHを持ち上げて発泡ウレタンHを外す。この場合、隙間11hにおける突出部3gの引っ掛かりを抑制できるので型10からスムーズに発泡ウレタンHを外すことができる。そして、型10から外された発泡ウレタンHに複数の貫通孔2fを形成した後に(貫通孔を形成する工程)、枕用芯材1の製造方法の一連の工程が完了する。
【0046】
次に、本実施形態に係る枕用芯材1、及び枕用芯材1の製造方法から得られる作用効果について説明する。
図1に示されるように、枕用芯材1は、頭部M1が載せられる第1部分2、首M2が載せられる第2部分3、及び肩M3が載せられる第3部分4が平面視における第1方向D1に沿って並んでいる。第1部分2、第2部分3及び第3部分4のそれぞれは、平面視において第1方向D1に交差する第2方向D2に延在している。首M2が載せられる第2部分3は、第2方向D2の中央に位置する中央部3bと、第2方向D2の両端のそれぞれに位置する両端部3cとを有する。中央部3bの高さは、第3部分4から第1部分2に向かうに従って高くなっている。
【0047】
図12及び
図13は、枕用芯材1を使用者Mが使用している状態を模式的に示す図である。本実施形態に係る枕用芯材1では、
図1及び
図12に示されるように、使用者Mが仰向け寝をしているときには首M2の下に中央部3bが位置することになり、中央部3bの高さが背中から頭部M1に向かって高くなる。よって、中央部3bの高さが仰向けをしたときにおける使用者Mの首M2の形状に沿うように設定されているので、仰向き寝をしたときに中央部3bでやさしく首M2を支えることができる。その結果、仰向き寝をしたときにおける使用者Mの寝心地を快適にすることができる。
【0048】
図1、
図4及び
図5に示されるように、第2部分3の両端部3cは第3部分4に向かって突出する突出部3gを有し、第3部分4の上面4bと突出部3gの下面3jとの間に隙間Sが形成されている。従って、使用者Mが横向き寝をしたときに首M2が両端部3cの突出部3gに載せられることとなり、このとき突出部3gが下がって上記の隙間Sが縮小されることなる。よって、
図13に示されるように、横向き寝をした使用者Mの首M2が載せられると突出部3gが下がって柔軟に変形するので、突出部3gと首M2との間に隙間を生じにくくすることができる。従って、横向き寝をしたときにおける首M2の痛みを抑制できるので、横向き寝をしたときにおける使用者Mの寝心地をより快適にすることができる。
【0049】
図1、
図4及び
図5に示されるように、本実施形態において、第3部分4の上面4bに対して突出部3gの下面3jは傾斜している。上面4bに対する下面3jの傾斜角度θは0度より大きく且つ90度より小さい。よって、第3部分4の上面4bから突出部3gの下面3jが斜め上方に延在するので、首M2が載せられたときに突出部3gをより変形させやすくすることができる。従って、より快適な横向き寝を使用者Mに提供することができる。
【0050】
本実施形態において、第1部分2は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に第1部分2を貫通する貫通孔2fを有する。よって、頭部M1が載せられる第1部分2が貫通孔2fを有するので、第1部分2における通気性を良好にすることができる。従って、更に快適な寝心地を使用者Mに提供することができる。
【0051】
本実施形態に係る枕用芯材1の製造方法では、
図6に示されるように、平面視における型10の短手方向A2の一方側に位置する凹部11bと、凹部11bの底面11cに対して鋭角を成す凸部11dとを有する型10を用いる。凸部11dは長手方向A1の一方側及び他方側のそれぞれに設けられ、凹部11bの底面11cと凸部11dの下面11gとの間には隙間11hが形成されている。
【0052】
本実施形態に係る枕用芯材1の製造方法では、型10の凹部11b及び凸部11dに液状の発泡ウレタンHを流し込むと、隙間11hに発泡ウレタンHが充填される。そして、型10の内部において発泡ウレタンHを発泡成形すると、隙間11hに枕用芯材1の前述した突出部3gが形成される。従って、この製造方法では、前述した枕用芯材1の突出部3gをウレタンモールド成形によって形成できるので、寝心地を良好にできる枕用芯材1を発泡ウレタンHから製造することができる。
【0053】
以上、本開示に係る枕用芯材、及び枕用芯材の製造方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、枕用芯材の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様、並びに、枕用芯材の製造方法の工程の内容及び順序は、前述した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0054】
例えば、前述の実施形態では、第1方向D1に沿って4個の貫通孔2fが並ぶと共に、第2方向D2に沿って7個の貫通孔2fが並んでいる例について説明した。しかしながら、第1部分の貫通孔の数、大きさ及び配置態様は上記の例に限定されない。更に、貫通孔を有しない第1部分を備えた枕用芯材であってもよい。前述の実施形態では、第1部分2、第2部分3、第3部分4及び第4部分5を備える枕用芯材1について説明した。しかしながら、本開示に係る枕用芯材は、使用者の背中が載せられる第4部分5を有しない枕用芯材であってもよい。
【0055】
前述の実施形態では、平面視において長方形状を呈する型10を用いて枕用芯材1を製造する例について説明した。しかしながら、枕用芯材1を製造する型の形状及び大きさは、前述した実施形態の内容に限定されず、型の構成については適宜変更可能である。また、前述の実施形態では、第2方向D2に沿って見た場合においてZ字状を呈する突出部3gを有する第2部分3を備える枕用芯材1について説明した。しかしながら、第2方向に沿って見たときの突出部の形状は、Z字状以外の形状であってもよく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…枕用芯材、1b…第1辺、1c…第2辺、1d…第3辺、2…第1部分、2b…第1凸部、2c…第2凸部、2d…凹部、2f…貫通孔、2g…第1傾斜部、2h…第2傾斜部、2j…頂部、2k…第3傾斜部、2p…窪み、3…第2部分、3b…中央部、3c…両端部、3d…第1湾曲面、3f…第2湾曲面、3g…突出部、3h…側面、3j…下面、3k…上面、4…第3部分、4b…上面、4c…両側部、5…第4部分、10…型、11…樹脂注入部、11b…凹部、11c…底面、11d…凸部、11f…突出部、11g…下面、11h…隙間、11j…傾斜部、11k…上面部、12…蓋部、13…ヒンジ機構、14…固定部、15…本体部、15b…上面、A1…長手方向、A2…短手方向、A3…高さ方向、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、H…発泡ウレタン、M…使用者、M1…頭部、M2…首、M3…肩、S…隙間、θ…傾斜角度。