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特開2023-105527動物用加圧ジャケット及び代謝測定方法
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  • 特開-動物用加圧ジャケット及び代謝測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105527
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】動物用加圧ジャケット及び代謝測定方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
A01K29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006409
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】390037291
【氏名又は名称】株式会社ダイアナ
(71)【出願人】
【識別番号】317006683
【氏名又は名称】地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆之
(72)【発明者】
【氏名】立田みどり
(72)【発明者】
【氏名】野原 正勝
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 耕育
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 文夏
(72)【発明者】
【氏名】亀井 飛鳥
(72)【発明者】
【氏名】阿部 啓子
(57)【要約】
【課題】動物の体に与える負荷を可変にし、動物の脂質代謝に影響を及ぼす遺伝子の発現を制御すると共に、動物の代謝を測定すること。
【解決手段】動物用加圧ジャケット1は、動物の首回りに装着される首部装着部10と、首部装着部10の後方に設けられて動物の胴体に装着され、少なくとも動物の胴回り方向に伸縮性を有して胴体を締め付ける加圧帯体20と、を有する。首部装着部10は、胴体に対して締め付ける圧力が可変となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の首回りに装着される首部装着部と、
前記首部装着部の後方に設けられて前記動物の胴体に装着され、少なくとも前記動物の胴回り方向に伸縮性を有して前記胴体を締め付ける加圧帯体と、
を有し、
前記加圧帯体は、
前記胴体に対して締め付ける圧力が可変となる、
ことを特徴とする動物用加圧ジャケット。
【請求項2】
前記首部装着部は、
前記動物の前肢の前で前記首回りに巻き付けられる第1部材と、
前記前肢の後ろで前記動物の胴回りに巻き付けられる第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを前記動物の腹側で連結するブリッジ部と、
からなるハーネスであることを特徴とする請求項1に記載の動物用加圧ジャケット。
【請求項3】
前記首部装着部は、
面ファスナーで構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の動物用加圧ジャケット。
【請求項4】
前記加圧帯体の前記動物の背中側に設けられると共に、前記加圧帯体の前記胴回り方向の両端部同士を着脱可能に接続する接続部を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の動物用加圧ジャケット。
【請求項5】
前記加圧帯体は、
前記接続部における前記両端部同士の接続位置を変更可能であり、前記接続位置の変更によって前記胴体に対して締め付ける圧力が可変となる、
ことを特徴とする請求項4に記載の動物用加圧ジャケット。
【請求項6】
前記加圧帯体は、
ニット素材により構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の動物用加圧ジャケット。
【請求項7】
前記加圧帯体の後方端部に設けられると共に前記動物の前記胴体の後肢の前方に装着されて前記加圧帯体を前記胴体に固定するベルト部を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の動物用加圧ジャケット。
【請求項8】
動物の首回りに装着される首部装着部と、
前記首部装着部の後方に設けられて前記動物の胴体に装着され、少なくとも前記動物の胴回り方向に伸縮性を有して前記胴体を締め付ける加圧帯体と、
を有し、
前記加圧帯体によって前記胴体に対して締め付ける圧力を可変とすることにより、前記動物の脂質代謝に影響を及ぼす遺伝子の発現を制御する、
ことを特徴とする動物用加圧ジャケット。
【請求項9】
動物の首回りに装着される首部装着部と、
前記首部装着部の後方に設けられて前記動物の胴体に装着され、少なくとも前記動物の胴回り方向に伸縮性を有して前記胴体を締め付ける加圧帯体と、
を有する動物用加圧ジャケットを用いた代謝測定方法であって、
前記加圧帯体により前記胴体に対する締め付け圧力を可変にして前記動物の代謝を測定する、
ことを特徴とする代謝測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物に装着可能な動物用加圧ジャケット及びこれを用いた代謝測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、犬猫等のペット動物に着せる動物用衣服が知られている。従来の動物用衣服は、前足若しくは後ろ足、又は前後の四足を通す足通し孔が設けられ、この足通し孔に対象動物の足を通して着衣させるものであった。また、従来の動物用衣服は、着衣及び脱衣を容易にするために、スナップボタン、ホック又はマジックテープ(登録商標)等によって着脱自在に留める方式を採用している。
【0003】
特許文献1は、愛玩動物の胴を囲む筒状体の一端寄りに前肢の挿通穴を形成した愛玩動物用衣服を開示している。特許文献1によれば、衣服を構成する筒状体は、非伸縮性布材に周方向に結合した伸縮性布材によって、径が変化する方向に伸縮するため、愛玩動物の胴の太さの広い範囲に渡って適合させることができると共に、非伸縮性布材によって、胴を圧迫することを軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/090861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、動物に対して不必要な負荷を与えることのない衣服を提供するものである。
【0006】
本発明の目的は、動物の体に与える負荷を可変にすることができ、動物の脂質代謝に影響を及ぼす遺伝子の発現を制御することができると共に、動物の代謝を測定することができる動物用加圧ジャケット及び代謝測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る動物用加圧ジャケットは、動物の首回りに装着される首部装着部と、前記首部装着部の後方に設けられて前記動物の胴体に装着され、少なくとも前記動物の胴回り方向に伸縮性を有して前記胴体を締め付ける加圧帯体と、を有し、前記加圧帯体は、前記胴体に対して締め付ける圧力が可変となる。
【0008】
また、本発明に係る動物用加圧ジャケットは、動物の首回りに装着される首部装着部と、前記首部装着部の後方に設けられて前記動物の胴体に装着され、少なくとも前記動物の胴回り方向に伸縮性を有して前記胴体を締め付ける加圧帯体と、を有し、前記加圧帯体によって前記胴体に対して締め付ける圧力を可変とすることにより、前記動物の脂質代謝に影響を及ぼす遺伝子の発現を制御する。
【0009】
本発明に係る代謝測定方法は、動物の首回りに装着される首部装着部と、前記首部装着部の後方に設けられて前記動物の胴体に装着され、少なくとも前記動物の胴回り方向に伸縮性を有して前記胴体を締め付ける加圧帯体と、を有する動物用加圧ジャケットを用いた代謝測定方法であって、前記加圧帯体により前記胴体に対する締め付け圧力を可変にして前記動物の代謝を測定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動物の体に与える負荷を可変にすることができ、動物の脂質代謝に影響を及ぼす遺伝子の発現を制御することができると共に、動物の代謝を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケットの外面の展開図である。
図2】本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケットの内面の展開図である。
図3】本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケットの使用状態を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケットを着用した際の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケットにつき、詳細に説明する。
【0013】
<動物用加圧ジャケットの構成>
本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケット1の構成につき、図1から図3を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0014】
動物用加圧ジャケット1は、首部装着部10と、加圧帯体20と、係合部30と、係合部31と、ベルト部40と、を有している。
【0015】
首部装着部10は、面ファスナーで構成されており、マウス100の首回りに装着される。首部装着部10は、マウス100の前肢の前で首回りに巻き付けられる第1部材11と、前肢の後ろでマウス100の胴回りに巻き付けられる第2部材12と、第1部材11と第2部材12とをマウス100の腹側で連結するブリッジ部13と、を備えているハーネスである。
【0016】
加圧帯体20は、マウス100の少なくとも胴回り方向(図2において左右方向)に伸縮性を有する材料によって構成されており、特にニット素材により構成されていることが好ましい。例えば、140デニールのナイロン糸を横糸とし、伸びのあるウレタン糸を縦糸としたニット素材が好適である。なお、伸縮性を有するものであれば、ポリエステルやナイロン等の合成樹脂製繊維を含む布帛や、不織布も採用することができる。加圧帯体20は、首部装着部10の後方に設けられると共に、マウス100の胴体に装着されてマウス100の胴体を締め付ける。
【0017】
係合部30、31は、図3に示すように、それぞれ輪(アイ)と鉤(ホック)とからなるカギホックにより構成され、加圧帯体20のマウス100の背中側に設けられると共に、加圧帯体20の胴回り方向の一端に設けられて係合部31と係合する。係合部30は、外側係合部30aと、中央係合部30bと、内側係合部30cと、から構成されている。外側係合部30a、中央係合部30b及び内側係合部30cは、胴回り方向に沿って配列されている。外側係合部30aは、胴回り方向において中央係合部30b及び内側係合部30cよりも外側に設けられている。中央係合部30bは、胴回り方向において外側係合部30aと内側係合部30cとの間に設けられている。内側係合部30cは、胴回り方向において外側係合部30a及び中央係合部30bよりも内側に設けられている。
【0018】
係合部31は、加圧帯体20のマウス100の背中側に設けられると共に、加圧帯体20の胴回り方向の他端に設けられて係合部30と着脱可能に係合する。
【0019】
係合部30と係合部31とは、係合位置を変更可能であり、係合位置の変更によって加圧帯体20によるマウス100の胴体に対して締め付ける圧力が可変となる。具体的には、外側係合部30aと係合部31とが係合した場合の加圧帯体20によるマウス100の胴体に対して締め付ける圧力は、中央係合部30bと係合部31とが係合した場合の加圧帯体20によるマウス100の胴体に対して締め付ける圧力よりも小さい。外側係合部30aと係合部31とが係合した場合の加圧帯体20によるマウス100の胴体に対して締め付ける圧力は、中央係合部30bと係合部31とが係合した場合の加圧帯体20によるマウス100の胴体に対して締め付ける圧力よりも小さい。
【0020】
週齢12週から24週の腹囲7cm~10cmの実験用マウスの場合、マウス100に負荷する着圧は、腹囲から1cmほど(10~15%)減じる程度に設定するのが好ましく、この場合、接触圧は20~25hPa程度となる。これよりも接触圧が小さければ後述する動物用加圧ジャケットの効果が得られにくく、大きければマウスの行動が制限され生命維持に支障がある。なお、イヌ・ネコなど他の動物に動物用加圧ジャケット1を採用する場合にも、腹囲が10%減じる程度に着圧を設定するとよい。
【0021】
ベルト部40は、加圧帯体20の後方端部に設けられると共に、マウス100の胴体の後肢の前方に装着されて加圧帯体20をマウス100の胴体に固定する。具体的には、ベルト部40は、係止片41と、挿通孔42と、を備えている。係止片41には、挿通孔42の内壁に係止される複数の凸部41aが胴回り方向(図1において左右方向)に沿って間隔を設けて形成されている。
【0022】
上記の構成を有する動物用ジャケット1をマウス100に装着させると共に、加圧帯体20によりマウス100の胴体に対する締め付け圧力を可変にしてマウス100の代謝を測定することができる。このようにして測定したマウス100の代謝の測定結果より、動物用ジャケット1について以下の効果が確認できた。
【0023】
<動物用加圧ジャケットの効果>
本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケット1の効果につき、図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0024】
動物用加圧ジャケット1の効果の確認は、動物用加圧ジャケット1をマウス100に装着させて加圧帯体20によるマウス100の胴体に対して締め付ける圧力を可変とすると共に、その際の代謝の変化を測定することにより行った。具体的には、動物用加圧ジャケット1によるマウス100の胴体に対する着圧無しの場合と着圧有りの場合との効果を比較した。
【0025】
ここで、着圧無しとは、特段の圧力負荷を与えることなく動物用加圧ジャケット1を着用している状態であって、マウス100の胴体に対する圧力値は「0」ではなく動物用加圧ジャケット1の体表への接触により発生する例えば3.9±0.24hPa程度の圧力によって負荷を与える状態である。また、着圧有りの場合のマウス100の胴体に対する圧力値は、例えば23.15±0.38hPaである。
【0026】
図4は、マウス100に動物用加圧ジャケット1を着用させた後の体重の変化を示すものである。図4において、実線は動物用加圧ジャケット1による着圧無しの場合のマウス100の体重の推移を示しており、破線は動物用加圧ジャケット1による着圧有りの場合のマウス100の体重の推移を示している。
【0027】
図4より、着圧有りのマウス100は、加圧帯体20による胴体の締め付けにより、着圧無しのマウス100よりも体重の減少量が大きくなった。
【0028】
続いて、動物用加圧ジャケット1をマウス100に装着させてから1日経過時点と2日経過時点とにおける着圧有りの場合と着圧無しの場合との比較結果について説明する。
【0029】
動物用加圧ジャケット1の装着から1日経過時点おいては、表1に示す結果となった。
【0030】
【表1】
表1において、呼吸商は、トランスクリプトーム解析の結果を含む総合的な脂質利用の変化を捉えたものである。また、明期は、マウス100の非活動時間帯であり、具体的には8:00~20:00である。
【0031】
表1より、体重の変化量、総摂餌量、明期の呼吸商及び明期のエネルギー消費量の各々は、着圧無しと比較して、着圧有りの方が抑制された。また、着圧有りによる加圧負荷は、マウスにとって非活動期である明期での代謝機能、特に呼吸商の変化より脂質代謝に影響する結果となった。呼吸商の測定では、着圧無しと比較して、着圧有りの方が脂質利用の増加を招く結果となった。
【0032】
動物用加圧ジャケット1の装着から2日経過時点において、肝臓遺伝子発現解析の結果、コレステロール生合成に関係するhydroxymethylglutaryl-CoA synthase (Hmgcs)及び3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase (Hmgcr)の発現量と、脂肪酸β酸化に関係するcarnitine palmitoyltransferase Ia (Cpt1a)の発現量と、は着圧無しと比較して、着圧有りの方が増加した。
【0033】
また、動物用加圧ジャケット1の装着から2日経過時点において、肝臓遺伝子発現解析の結果、脂肪酸の生合成に関係するfatty acid synthase (Fasn)の発現量は、着圧無しと比較して、着圧有りの方が減少した。これより、着圧有りによる加圧負荷は、着圧無しと比較して、脂肪酸の生合成量が減ることより、中性脂肪生合成の材料が減る結果となった。
【0034】
また、動物用加圧ジャケット1の装着から2日経過時点において、肝臓遺伝子発現解析の結果、中性脂肪の分解に関係するpatatin-like phospholipase domain containing 2 (Pnpla2)及びabhydrolase domain containing 2 (Abdh2)の発現量は、着圧無しと比較して、着圧有りの方が増加した。これより、着圧有りによる加圧負荷は、着圧無しと比較して、より多くの中性脂肪が分解されて脂肪酸が産生され、産生された脂肪酸はβ酸化によるエネルギー産生に利用されたと考えられる。
【0035】
つまり、代謝臓器である肝臓での遺伝子発現量の変化より、着圧有りによる加圧負荷は、着圧無しと比較して、中性脂肪の分解を促進すると共に、脂肪酸を分解してエネルギーを産生する脂肪酸β酸化が活性化方向に変動したことからエネルギー産生を促進する結果となった。
【0036】
更に、動物用加圧ジャケット1の装着から2日経過時点において、中性脂肪量は、着圧無しと比較して、着圧有りの方が有意に低く、遊離コレステロール量は、着圧無しと比較して、着圧有りの方が有意に高かった。これより、動物用加圧ジャケット1による腹部への着圧有りによる加圧負荷は、肝臓中の中性脂肪の量を減らし、コレステロール量に影響する結果となった。
【0037】
上記より、着圧有りによる加圧負荷は、脂質代謝に影響を及ぼす遺伝子の発現を制御することができると考えられる。
【0038】
<動物用加圧ジャケットの使用方法>
本発明の実施の形態に係る動物用加圧ジャケット1の使用方法につき、以下に詳細に説明する。
【0039】
まず、図1及び図2に示す動物用加圧ジャケット1を展開した状態において、加圧帯体20をマウス100の腹側から胴回りに巻き付ける。
【0040】
次に、加圧帯体20によってマウス100の胴体を適度な締め付け圧力で締め付けることができるように、係合部31を外側係合部30a、中央係合部30b及び内側係合部30cのうちの何れか一つと係合させる。
【0041】
次に、第1部材11の首回り方向の両端を接続すると共に、首部装着部10の第2部材12の胴回り方向の両端を接続する。
【0042】
次に、ベルト部40の係止片41を挿通孔42に挿通して、挿通孔42の内壁に係止片41の凸部41aを係止させる。
【0043】
これにより、動物用加圧ジャケット1をマウス100に着用させることができる。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、マウス100の首回りに装着される首部装着部10と、首部装着部10の後方に設けられてマウス100の胴体に装着され、少なくともマウス100の胴回り方向に伸縮性を有して胴体を締め付ける加圧帯体20と、を有し、加圧帯体20は、マウス100の胴体に対して締め付ける圧力が可変となることにより、マウス100の体に与える負荷を可変にすることができ、マウス100の脂質代謝を測定することができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、首部装着部10は、マウス100の前肢の前で首回りに巻き付けられる第1部材11と、マウス100の前肢の後ろで胴回りに巻き付けられる第2部材12と、第1部材11と第2部材12とをマウス100の腹側で連結するブリッジ部13と、からなることにより、マウス100の足を挿通させることなくマウス100に動物用加圧ジャケット1を着用させることができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、首部装着部10を面ファスナーで構成することにより、マウス100に対して首部装着部10を容易に着脱することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、加圧帯体20のマウス100の背中側に設けられると共に、加圧帯体20のマウス100の胴回り方向の両端部同士を着脱可能に係合する係合部30及び係合部31を有することにより、マウス100に対して加圧帯体20を容易に着脱することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、加圧帯体20は、係合部30及び係合部31における加圧帯体20の両端部同士の係合位置を変更可能であり、係合位置の変更によって胴体に対して締め付ける圧力が可変となることにより、マウス100に対する加圧帯体20の締め付ける圧力を調整することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、加圧帯体20をニット素材により構成することにより、加圧帯体20に容易に伸縮性を持たせることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、加圧帯体20の後方端部に設けられると共にマウス100の胴体の後肢の前方に装着されて加圧帯体20を胴体に固定するベルト部40を有することにより、マウス100に着用させた加圧帯体20がマウス100の行動等によって脱げてしまうことを防ぐことができる。
【0051】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0052】
本実施の形態によれば、係合部30、31をカギホックにより構成したが、他にスナップボタンや面ファスナー、その他、加圧帯体20の両端を係合、分離可能とする部材であれば多様なものを選択することができる。
【0053】
具体的には、上記実施の形態において、動物用加圧ジャケット1をマウス100に着用させたが、これに限らず、マウス100よりも大型のラット、犬又は猫等のマウス100以外の動物に動物用加圧ジャケット1を着用させることができる。
【0054】
また、上記実施の形態において、マウス100に動物用加圧ジャケット1を着用させてマウス100の代謝を測定したが、これに限らず、マウス100以外のラット、犬又は猫等の動物に動物用加圧ジャケットを着用させて、マウス100以外のラット、犬又は猫等の代謝を測定することができる。
【0055】
また、上記実施の形態において、首部装着部10をハーネスとしたが、これに限らず、マウス100の頭を挿通可能な孔を設けた首部装着部であってもよい。
【0056】
また、上記実施の形態において、マウス100の前肢と後ろ肢との間の胴体に加圧帯体20を巻き付けたが、これに限らず、加圧帯体にマウス100の前肢と後ろ肢を挿通可能な孔を設け、この孔に前肢と後ろ肢とを挿通させた状態で加圧帯体をマウス100の胴体に巻き付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、動物の体に与える負荷を可変にすることができ、動物の脂質代謝に影響を及ぼす遺伝子の発現を制御することができると共に、動物の代謝を測定することができる動物用加圧ジャケット及び代謝測定方法に好適である。
【符号の説明】
【0058】
1 動物用加圧ジャケット
10 首部装着部
11 第1部材
12 第2部材
13 ブリッジ部
20 加圧帯体
30 係合部
30a 外側係合部
30b 中央係合部
30c 内側係合部
40 ベルト部
41 係止片
42 挿通孔
100 マウス
図1
図2
図3
図4