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特開2023-105574集風器及びこれを用いる集風システム
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  • 特開-集風器及びこれを用いる集風システム 図1
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  • 特開-集風器及びこれを用いる集風システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105574
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】集風器及びこれを用いる集風システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/04 20060101AFI20230724BHJP
   F24F 7/00 20210101ALI20230724BHJP
【FI】
F24F7/04 A
F24F7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006487
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】522025802
【氏名又は名称】錦辰国際貿易株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】杜 淑霞
(72)【発明者】
【氏名】張 学東
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
【Fターム(参考)】
3L056BA03
3L056BF06
3L058BA01
3L058BB04
3L058BC08
(57)【要約】
【課題】電力供給が無い状態でも十分な換気を行うことができる集風器及びこれを用いる集風システムを提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る集風器は、風方向を変更させる風向変更具と風向変更具を囲い、放射線状に配置される複数の仕切板と、仕切板を挟むよう配置され、一方に前記風向変更具の風を通すための開口部が形成されている一対のフード板を有し、本発明の他の一観点にかかる集風システムは、屋外に設置され外風を取り込む集風器と、集風器に接続され前記外風を室内に導く風導管と、風導管に接続され室内において前記外風を室内に供給する通気口装置を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風方向を変更させる風向変更具と、
前記風向変更具を囲い、放射線状に配置される複数の仕切板と、
前記仕切板を挟むよう配置され、一方に前記風向変更具の風を通すための開口部が形成されている一対のフード板と、を有する集風器。
【請求項2】
前記風向変更具は、中央に向かうに従い盛り上がる曲面部材を備える請求項1記載の集風器。
【請求項3】
前記曲面部材は、四分円形状に沿った曲面である請求項1記載の集風器。
【請求項4】
前記フード板は複数の平板が組み合わされたものである請求項1記載の集風器。
【請求項5】
前記フード板の前記開口部に接続される風導管を備える請求項1記載の集風器。
【請求項6】
前記仕切板は、半径方向に沿って幅が広がる部分を有する請求項1記載の集風器。
【請求項7】
前記一対のフード板間の距離は、半径方向に沿って広がる部分を有する請求項1記載の集風器。
【請求項8】
屋外に設置され外風を取り込む集風器と、
前記集風器に接続され前記外風を室内に導く風導管と、
前記風導管に接続され室内において前記外風を室内に供給する通気口装置と、を備える集風システム。
【請求項9】
前記集風器は複数設けられ、
複数の前記集風器からの風を集合させる集合管を備える請求項8記載の集風システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集風器及びこれを用いる集風システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年建設される家屋やビル等は気密性が高く設計されており、室内の換気がしっかり行われていないと室内の温度が不必要に上昇し、二酸化炭素濃度等も上昇し不快な空間となるおそれがある。加えて、ほこり等が屋外に排出されず室内に滞留することにより、また、カビなどが発生しやすくなることにより、アレルギー発症の原因となる場合もある。すなわちしっかり換気を行わないと健康に悪影響が生じうる。
【0003】
上記の問題を解決すべく、近年建設される家屋やビル等には外気を取り込み換気を行うための換気口が設けられている。
【0004】
しかしながら、換気口のみでは多人数が室内に留まっている場合や、料理や暖房など火を使う場合等では換気が十分に行われないおそれがあるといった課題がある。
【0005】
なお、上記換気に関する課題を解決しようとする技術として、例えば下記特許文献1に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3232271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は供給ファンを用いる技術である。これら供給ファンは電力を用いて駆動するものであり、駆動する以上電力を消費する一方、電気の供給が無い状態では駆動せず換気を十分に行うことができないといった課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、電力供給が無い状態でも十分な換気を行うことができる集風器及びこれを用いる集風システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明の一観点に係る集風器は、風方向を変更させる風向変更具と、風向変更具を囲い、放射線状に配置される複数の仕切板と、仕切板を挟むよう配置され、一方に風向変更具の風を通すための開口部が形成されている一対のフード板と、を有する。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、風向変更具は、中央に向かうに従い盛り上がる曲面部材を備えることが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、曲面部材は、四分円形状に沿ったものであることが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、フード板は複数の平板が組み合わされたものであることが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、フード板の開口部に接続される風導管を備えることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、仕切板は、半径方向に沿って幅が広がる部分を有することが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、一対のフード板間の距離は、半径方向に沿って狭まる部分を有することが好ましい。
【0016】
また、本発明の他の一観点に係る集風システムは、屋外に設置され外風を取り込む集風器と、集風器に接続され外風を室内に導く風導管と、風導管に接続され室内において外風を室内に供給する通気口装置と、を備える。
【0017】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、集風器は複数設けられ、複数の集風器からの風を集合させる集合管を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上、本発明によって、電力供給が無い状態でも十分な換気を行うことができる集風器及びこれを用いる集風システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る集風システムの概略を示す図である。
図2】実施形態に係る集風システムの他の例の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る集風器の概略を示す図である。
図4】実施形態に係る集風器の分解概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態の具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る集風システム(以下「本システム」という。)Sの概略図である。本図で示すように、本システムSは、屋外に設置され外風を取り込む集風器1と、集風器1に接続され外風を室内に導く風導管Pと、風導管に接続され室内において外風を室内に供給する通気口装置2と、を備える。
【0022】
本図で示すように、本システムSは、一般的な家屋において適用することが可能である。具体的には、屋外と屋内を接続する風導管Pを家屋の壁を貫通するように設置し、屋外側の風導管Pの端部に集風器1を接続し、屋内側の風導管Pの端部に通気口装置2を配置し、屋外側の集風器1が採り込む風を風導管Pによって屋内側に導き、通気口装置2によって屋内に導く。これにより、動力を用いることなく常に新鮮な風を屋内に供給することが可能となる。なお、集風器1及び通気口装置2の詳細な構造については後述の記載から明らかとなる。
【0023】
なお、本システムSに関し、集風器1は、1台であってもよいが2台以上設けられていてもよい。この場合のイメージを図2に示しておく。なお、集風器を複数設ける場合、複数の集風器1からの風を集合させる集合管Cを備えていることが好ましい。
【0024】
また、図3は、本実施形態に係る上記集風器(以下「本集風器」という。)1の概略を示す図であり、図4は、その分解図である。
【0025】
これらの図で示すように、本集風器1は、風方向を変更させる風向変更具11と、風向変更具11を囲い、放射線状に配置される複数の仕切板12と、仕切板12を挟むよう配置され、一方に風向変更具11の風を通すための開口部が形成されている一対のフード板13と、を有する。
【0026】
また、本集風器1における風向変更具11は、風方向を変更させるためのものである。より具体的には、風の向きを略垂直方向に変更させることができるものであることが好ましい。ここで「略垂直」とは、風向変更具11の底面111を基準とする角度としている。これは、風向変更具11に入ってくる風の向きは一対のフード板13の開き角度分の幅があるためその基準として中心角度となる底面111を基準として採用することでその方向を明確にするものである。また「略垂直」とは、完全なる垂直であることを含むものではあるがこれは現実的に極めて困難であるため製造上の誤差を含む概念であり、フード板13の角度を考慮するとプラスマイナス20度位の誤差は許容するものであって、具体的には70度以上110度以下の範囲をいう。風向変更具11を用いることで、例えば水平面上360度いずれの方向の風であっても、この水平面に対して垂直な方向(垂直方向)に風の組を変更させることができるようになる。具体的な仕組みについては後述の記載から明らかになる。なお、底面111は、曲面部材112の形状を確実に保持する観点から底面部材として存在させておくことが好ましいが、場合によっては実存の存在としての底面部材としては省略し、曲面部材112の縁によってのみ構成される概念的な存在としておくことも可能ではある。
【0027】
また、本集風器1の風向変更具11は、中央Oに向かうに従い盛り上がる曲面部材112を備えている。このように曲面部材112を設けることで、一対のフード板13の間から供給される風は曲面に沿ってその方向を変え、中央Oにおいて底面111に対して略垂直方向に変えられる。また、この風向変更具11は、中央Oを通り底面111に対して垂直な軸を中心に回転対称となっているいわゆる錐体であることが好ましい。回転対称形の錐体とすることで、360度どの方向からの風であっても略垂直方向に変えることが可能となる。
【0028】
また、本観点において、限定されるわけではないが、曲面部材112は、四分円形状に沿ったものであることが好ましい。四分円形状とすることでなめらかに底面111から中心Oに沿った曲線を形成することが可能となる。
【0029】
風向変更具11の曲面部材112には、後述する仕切板12が延長された風向変更具11における仕切板113を設けておくことも好ましい。この仕切り板113は一対のフード板13間に設けられる仕切板12と接続されている。これにより入ってくる風の方向(底面111に沿った方向)を整え、中心Oに向かわせることが可能となる。この仕切り板112の数は特に限定されるわけでは無いが、4以上20以下であることが好ましく、より好ましくは16以下である。またこの仕切板113は中心Oを中心に回転対称に配置されていることが好ましい。このようにすることでいずれの角度から風が入ってきたとしても均等に風を導くことができるようになる。
【0030】
また、本集風器1における、仕切板12は、風向変更具11を放射線状に囲うよう複数配置されている。仕切板12を設けることで一対のフード板13を支持することができるとともに、入ってくる風の方向(底面111に沿った方向)を整え、中心Oに向かわせることが可能となる。また上記の風向変更具11の仕切板113と接続されている又は一体化していることが好ましい。また、仕切板12は、風向変更具11の仕切板113と接続していない仕切板12を備えていることも好ましい。例えば風向変更具11の仕切板113の数を8とする一方、外側の仕切板12の数は16とし、仕切板12の二つに一つが風向変更具11の仕切板113に接続し、二つに一つが風向変更具11の仕切板113に接続されていないものとなっていることが好ましい。これは中心Oから遠ざかるに従い仕切板12間の距離が広がっていくため外側の仕切板12の数を多くする一方、風向変更具11の仕切板113の数を少なくすることで仕切板自身による抵抗を少なくするための調整になる。
【0031】
また、本観点において、限定されるわけではないが、仕切板12は、半径方向に沿って幅が広がる部分を有することが好ましい。ここで「半径方向」とは、中心から遠ざかる方向をいう。仕切板12の幅が広がることによって、フード板13の距離が広がることとなり、より多くの風を取り入れることが可能になる。
【0032】
また、本集風器1における一対のフード板13は、上記の複数の仕切板12を挟むよう配置され、一方に風向変更具11の風を通すための開口部が形成されている。一対のフード板13は、上記の通り、半径方向に沿って(より具体的には中心Oから遠ざかるに従いその間の距離が)広がる形状となっているが、このフード板13の広がり角度としては、それぞれ風向変更具11の底面111に対して0度より大きく60度以下の角度であることが好ましく、より好ましくは30度以上である。一対のフード板13の距離を広げることでフード板13に当たった風を滑らかに風向変更部11に導入しやすくなるといった利点がある。
【0033】
また、本集風器1において、限定されるわけではないが、フード板13は複数の平板が組み合わされたものであることが好ましい。全体的に滑らかな漏斗状であってもよいが複数の平板を組み合わせることで製造が容易になるとともにフード板13の面と仕切板12の間が鋭角とならないよう配慮することができるようになる。
【0034】
以上、本集風器1は、電力供給が無い状態でも十分な換気を行うことができるようになる。
【0035】
また、本集風器1を用いた本システムSにおいては、本集風器1のフード板13の開口部に接続される風導管Pを備えることが好ましい。風導管Pを設けることで所望の方向及び位置に風を導くことが可能となる。特に風導管Pは室外に配置した本集風器1の風を屋内・室内に導くため建物内に接続するために有用である。
【0036】
また、本システムSには、風導管Pの端部に通気口装置2を設けておくことが好ましい。この通気口装置2は、限定されるわけでは無く、風導管Pを室内にも配設し別途排気させるための特別な構成を設けてもよいが、一般的な家庭等であれば、例えば建築基準法によって定められる通気口を例示することができる。通気口に風導管Pを接続することで屋内に風を確実に導入することが可能となる。
【0037】
以上、本システムによると電力供給が無い状態でも十分な換気を行うことができるようになるといった利点がある。より具体的に説明すると、従来は壁面等に設置される換気口のみによって室内に風を取り入れる構造となっており、この換気口に対して垂直な方向の成分を有する風しか取り入れることができないといった課題があったところ、本システムSによると、風導管Pにより建物の壁等の風に邪魔されることのない位置まで本集風器1を離すことができ、更に本集風器1、具体的にはこの内部に設けられる風向変換部材により、360度のいずれの向きからの風も確実に風導管Pに向かわせることが可能となる。この結果、電力供給が無い状態でも十分な換気を行うことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、集風器及びこれを用いる集風システムとして産業上の利用可能性がある。


図1
図2
図3
図4