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特開2023-105582ディゲート装置、樹脂封止装置及びディゲート方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105582
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ディゲート装置、樹脂封止装置及びディゲート方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20230724BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20230724BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C45/02
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006504
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】小口 達司
【テーマコード(参考)】
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F206AA36
4F206AD07
4F206AH33
4F206AH37
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JL02
4F206JQ81
4F206JW23
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061DA11
5F061EA01
(57)【要約】
【課題】不要樹脂を安定して除去できるディゲート装置を提供する。
【解決手段】ディゲート装置5は、樹脂封止された封止品W´が載置される一対のディゲートパレット51L,51Rと、一対のディゲートパレット51L,51Rの上方に配置され、かつ一対のディゲートパレット51L,51Rとともに上下に移動可能である一対のディゲートハンド52L,52Rと、一対のディゲートパレット51L,51Rと一対のディゲートハンド52L,52Rとの間に封止品Wを挟み込んだ状態で、一対のディゲートパレット51L,51Rの間の空間51Cにおいて封止品Wの一部の下面に押し当てることによって封止品Wから不要樹脂Cを分離する受け部材53と、を備えている。受け部材53は、不要樹脂Cが落下可能な回収経路50の入口を開放するように一対のディゲートパレット51L,51Rの間の空間51Cから退避可能に構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂封止された封止品が載置される一対のディゲートパレットと、
前記一対のディゲートパレットの上方に配置され、かつ前記一対のディゲートパレットとともに上下に移動可能である一対のディゲートハンドと、
前記一対のディゲートパレットと前記一対のディゲートハンドとの間に前記封止品を挟み込んだ状態で、前記一対のディゲートパレットの間において前記封止品の一部の下面に押し当てることによって前記封止品から不要樹脂を分離する受け部材と、を備え、
前記受け部材は、前記不要樹脂が落下可能な回収経路の入口を開放するように前記一対のディゲートパレットの間から退避可能に構成されている、
ディゲート装置。
【請求項2】
前記受け部材は、第1部材と第2部材とに分割可能に構成され、
前記封止品から前記不要樹脂を分離するとき、前記第1部材及び前記第2部材が前記不要樹脂の下方において互いに近づき、
前記不要樹脂を分離した後に前記第1部材及び前記第2部材が前記不要樹脂の下方において互いに遠ざかり、前記第1部材と前記第2部材との間が前記回収経路になる、
請求項1に記載のディゲート装置。
【請求項3】
前記受け部材は、鉛直方向の移動を水平方向の移動に変換するカム機構により駆動されて前記入口を開放するように水平移動する、
請求項1又は2に記載のディゲート装置。
【請求項4】
前記受け部材が前記入口を開放した後、前記不要樹脂を下方に突き落とすプッシャを更に備えた、
請求項1又は2に記載のディゲート装置。
【請求項5】
前記プッシャの直下に前記不要樹脂を貯留可能な廃棄ボックスが配置されている、
請求項4に記載のディゲート装置。
【請求項6】
前記不要樹脂は、前記一対のディゲートパレットが並べられた方向において前記入口よりも大きく形成されたシリコーン系樹脂であり、前記プッシャに突かれることで撓み変形して前記入口を通過する、
請求項4に記載のディゲート装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のディゲート装置に加え、
液状の樹脂材料を供給可能な樹脂供給装置を更に備えた、
樹脂封止装置。
【請求項8】
樹脂封止された封止品を一対のディゲートパレットに載置すること、
前記一対のディゲートパレットと一対のディゲートハンドとの間に挟み込んで前記封止品を拘束すること、
前記一対のディゲートパレットの間から受け部材の上面に前記封止品の一部を押し当てることによって前記封止品から不要樹脂を分離すること、
前記一対のディゲートパレットの間から前記受け部材が退避することによって前記不要樹脂が落下可能な回収経路の入口を開放すること、及び、
前記入口に前記不要樹脂を落下させること、を含む、
ディゲート方法。
【請求項9】
前記入口に前記不要樹脂を落下させることは、前記不要樹脂を下方に突いて撓み変形させることを含む、
請求項8に記載のディゲート方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディゲート装置、樹脂封止装置及びディゲート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームや半導体チップ等をトランスファ成形によって樹脂封止すると、封止品のうち、熱硬化性樹脂がキャビティで硬化した部位が製品となり、カル、ランナ等で硬化した部位が不要樹脂となる。不要樹脂は、ディゲート装置を用いて、キャビティとの境界であるゲートから除去される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ディゲート装置は、まず、ディゲートパレットとディゲートハンドとの間にキャビティで硬化した部位を挟んで、挟まれていない不要樹脂を引きちぎる。次いで、分離した不要樹脂を吸着パッドに吸着して持ち上げておき、吸着パッドの直下からディゲートパレットを退避させる。最後に、吸着パッドから落下させて不要樹脂を廃棄ボックスに回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-231030号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、従来の態様においては、樹脂材料をカルに向かって押し込むプランジャの先端にカルで硬化した部位が貼り付いて、引き剥がす際に不要樹脂に亀裂や欠損を生じることがあった。不要樹脂に亀裂等があると、吸着パッドの吸着力が低下するため、不要樹脂を持ち上げて除去できないことがある。装置を停止させ、金型の温度が下がってから作業者が手動で不要樹脂を除去することになり、作業者の負担が増えてしまう。特に、シリコーン系樹脂等の軟らかい樹脂材料においては不要樹脂の亀裂や欠損の発生が生じやすく、このような弊害への対策が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、不要樹脂を安定して除去できるディゲート装置、該装置を備えた樹脂封止装置、それらを用いたディゲート方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るディゲート装置は、樹脂封止された封止品が載置される一対のディゲートパレットと、一対のディゲートパレットの上方に配置され、かつ一対のディゲートパレットとともに上下に移動可能である一対のディゲートハンドと、一対のディゲートパレットと一対のディゲートハンドとの間に封止品を挟み込んだ状態で、一対のディゲートパレットの間において封止品の一部の下面に押し当てることによって封止品から不要樹脂を分離する受け部材と、を備えている。受け部材は、不要樹脂が落下可能な回収経路の入口を開放するように一対のディゲートパレットの間から退避可能に構成されている。
【0008】
この態様によれば、封止品から分離した不要樹脂を、受け部材の退避によって開放された回収経路の入口から落下させることができるため、不要樹脂を安定して除去できる。
【0009】
上記態様において、受け部材は、第1部材と第2部材とに分割可能に構成され、封止品から不要樹脂を分離するとき、第1部材及び第2部材が不要樹脂の下方において互いに近づき、不要樹脂を分離した後に第1部材及び第2部材が不要樹脂の下方において互いに遠ざかり、第1部材と第2部材との間が回収経路になってもよい。
【0010】
この態様によれば、落下する不要樹脂の回収経路から受け部材が退避するための移動を第1部材の移動と第2部材の移動とに分けることができるため、移動距離や移動時間を短縮できる。
【0011】
上記態様において、受け部材は、鉛直方向の移動を水平方向の移動に変換するカム機構により駆動されて入口を開放するように水平移動してもよい。
【0012】
この態様によれば、電気的な制御によらずに機械的な機構だけで受け部材を移動させることができる。
【0013】
上記態様において、受け部材が入口を開放した後、不要樹脂を下方に突き落とすプッシャを更に備えていてもよい。
【0014】
この態様によれば、プッシャを用いて不要樹脂を確実に落下させることができるため、不要樹脂を安定して回収できる。なお、プッシャを用いない場合、吸着パッドで不要樹脂を一時的に持ち上げて、回収経路の入口よりも平面視で小さくなるように不要樹脂を斜めに傾けてから回収経路に落下させてもよい。
【0015】
上記態様において、プッシャの直下に不要樹脂を貯留可能な廃棄ボックスが配置されていてもよい。
【0016】
この態様によれば、プッシャから廃棄ボックスまでの回収経路を最短距離にして不要樹脂を除去できる。なお、プッシャの直下からずらして廃棄ボックスを配置することもできる。その場合、受け部材等に不要樹脂を滑落させる傾斜面を設ければよい。
【0017】
上記態様において、不要樹脂は、一対のディゲートパレットが並べられた方向において入口よりも大きく形成されたシリコーン系樹脂であり、プッシャに突かれることで撓み変形して入口を通過してもよい。
【0018】
この態様によれば、回収経路の入口が不要樹脂よりも小さくても不要樹脂を変形させて回収できる。
【0019】
上記態様に加え、液状の樹脂材料を供給可能な樹脂供給装置を更に備えた樹脂封止装置であってもよい。
【0020】
この態様によれば、不要樹脂を安定して除去できるため、軟らかい液状の樹脂材料を用いたトランスファ成形に好適である。
【0021】
本発明の一態様に係るディゲート方法は、樹脂封止された封止品を一対のディゲートパレットに載置すること、一対のディゲートパレットと一対のディゲートハンドとの間に挟み込んで封止品を拘束すること、一対のディゲートパレットの間から受け部材の上面に封止品の一部を押し当てることによって封止品から不要樹脂を分離すること、一対のディゲートパレットの間から受け部材が退避することによって不要樹脂が落下可能な回収経路の入口を開放すること、及び、入口に不要樹脂を落下させること、を含んでいる。
【0022】
この態様によれば、封止品から分離した不要樹脂を、受け部材の退避によって開放された回収経路の入口から落下させることができるため、不要樹脂を安定して除去できる。
【0023】
上記態様において、入口に不要樹脂を落下させることは、不要樹脂を下方に突いて撓み変形させることを含んでいてもよい。
【0024】
この態様によれば、不要樹脂を撓み変形させて確実に落下させることができるため、不要樹脂を安定して回収できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、不要樹脂を安定して除去できるディゲート装置、該装置を備えた樹脂封止装置、それらを用いたディゲート方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態のディゲート装置を備えた樹脂封止装置の構成を概略的に示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態のディゲート装置を示す正面図であって、パレットがディゲートヘッドの直下に移動し、ディゲートヘッドが下降した状態を示す図である。
図3図2に続く動作中のディゲート装置を示す正面図であって、一対のパレットに挟まれた空間に受け部材が進入した状態を示す図である。
図4図3に続く動作中のディゲート装置を示す正面図であって、ディゲートパレットとディゲートハンドとの間に封止品を挟んで、受け部材に封止品の一部を押し当てた状態を示す図である。
図5図4に続く動作中のディゲート装置を示す正面図であって、一対のディゲートパレットに挟まれた空間から受け部材が退避した状態を示す図である。
図6図5に続く動作中のディゲート装置を示す正面図であって、プッシャが不要樹脂を突き落とした状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態のディゲート装置を用いたディゲート方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、図1から図7を参照して各構成について詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態のディゲート装置5を備えた樹脂封止装置1の構成を概略的に示す平面図である。実施形態の説明の便宜上、図1に示すように「前」「後」「左」及び「右」を定義し、重力を基準に「上」及び「下」を定義する。
【0028】
樹脂封止装置1は、トランスファ成形機であり、ワーク供給装置2、樹脂供給装置3、プレス装置4、ディゲート装置5、ワーク収納装置6、搬送装置7等を備えている。図示した例では、樹脂封止装置1が二基のプレス装置4を備えている。プレス装置4の台数は図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。
【0029】
樹脂封止される前のワークWは、例えば、半導体素子が装着されたリードフレーム、半導体素子が装着されたインタポーザ基板、半導体素子が一時的に貼合された粘着シート付きキャリアプレート等であり、支持体と、該支持体に取り付けられた半導体素子、MEMSチップ、電子デバイス等の微小な部品とで構成されている。複数の部品を支持体に取り付けたワークWであってもよいし、異なる種類の部品を混在させて支持体に取り付けたワークWであってもよい。
【0030】
搬送装置7は、ガイドレール70に沿って移動可能なローダ71及びアンローダ72を備えている。ワーク供給装置2は、ワークWをローダ71に供給する。ローダ71は、供給されたワークWをプレス装置4の金型40内に搬入する。
【0031】
図示した例では、樹脂供給装置3が、金型40内に設けられた複数のポット43に熱硬化性かつ液状の樹脂材料を供給するように構成されている。樹脂供給装置3の構成は、図示した例に限定されず、固体の樹脂タブレットをローダ71に供給するように構成してもよい。液状の樹脂材料は、例えば、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂の組成物であり、トランスファ成形等により硬化させると優れた封止性を発揮する。
【0032】
樹脂供給装置3は、金型40のポット43と同数の供給口33、供給口33と同数のシリンジ31、各々のシリンジ31と対応する供給口33との間を接続するチューブ32等を備えている。シリンジ31には、液状の樹脂材料が充填されている。供給口33には、チューブ32を開閉するピンチバルブが設けられている。シリンジ31を圧縮し、ピンチバルブを緩めると、チューブ32を通って供給口33に液状の樹脂材料が供給される。
【0033】
樹脂供給装置3は、供給口33を旋回させて左右どちらのプレス装置4にも液状の樹脂材料を供給できる。また、樹脂供給装置3は、床面に敷設されたレールに沿って左右に移動し、プレス装置4の金型40内に供給口33を進入させることができる。供給口33は、金型40内に進入して対応するポット43の直上から液状の樹脂材料を滴下する。
【0034】
プレス装置4は、下型と上型との間にワークWを挟み込み加圧して樹脂封止(モールド成形)する。アンローダ72は、樹脂封止されたワークWである封止品W´を金型40から取り出し、前後に往復移動可能なパレット51に搬送する。封止品W´は、熱硬化性樹脂がキャビティで硬化した製品となる部位(以下、パッケージPと呼ぶことがある)と、熱硬化性樹脂がカル、ランナ等で硬化した製品とならない部位(以下、不要樹脂Cと呼ぶことがある)と、を含んでいる。
【0035】
図示した例では、二枚のパッケージPがポット43と同数の不要樹脂Cで接続されている。ディゲート装置5は、ガイドレール70とワーク収納装置6との間に設置されたディゲートヘッド52の直下にパレット51が移動したとき、封止品W´から不要樹脂Cを分離する。ワーク収納装置6は、不要樹脂Cが分離されたパッケージPをパレット51から受け取ってマガジンに収納する。
【0036】
以下、図2乃至図6を参照して本発明の一実施形態のディゲート装置5を説明する。図2は、パレット51がディゲートヘッド52の直下に移動し、ディゲートヘッドが下降した状態を示す正面図である。図2に示すように、ディゲート装置5は、一対のディゲートパレット51L,51R、一対のディゲートハンド52L,52R、受け部材53等を少なくとも備えている。図示した例では、プッシャ54、廃棄ボックス55、複数のエアブロー56を更に備えている。
【0037】
一対のディゲートパレット51L,51Rは、互いに間隔をあけて前述したパレット51の上面に配置されている。一対のディゲートハンド52L,52Rは、互いに間隔をあけて前述したディゲートヘッド52の下面に配置されている。
【0038】
一方のディゲートハンド52Lは、一方のディゲートパレット51Lに上方から対向し、ディゲートパレット51Lとともに上下に移動可能に構成されている。同様に、他方のディゲートハンド52Rは、他方のディゲートパレット51Rに上方から対向し、ディゲートパレット51Rとともに上下に移動可能に構成されている。
【0039】
プッシャ54は、一対のディゲートハンド52L,52Rの間に設けられ、一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cの直上に位置している。各々のエアブロー56は、ディゲートハンド52L,52Rの近傍に配置され、樹脂封止されて高温の封止品W´を冷却可能に構成されている。
【0040】
図示した例では、受け部材53が、第1部材53L(例えば、左半分)と第2部材53R(例えば、右半分)とに分割可能に構成されている。第1及び第2部材53L,53Rは、左右対称に形成され、支持板531、カム532、ばね533等をそれぞれ備えている。支持板531は、前後方向に延在している。カム532は、支持板531の端部に固定されている。ばね533は、カム532に固定されている。
【0041】
第1部材53Lを構成するカム532は、下方に向かうに従い左方に向かう傾斜面を有している。第1部材53Lを構成するばね533は、圧縮ばねであり、カム532を左方に向かって付勢している。同様に、第2部材53Rを構成するカム532は、下方に向かうに従い右方に向かう傾斜面を有し、ばね533は、カム532を右方に向かって付勢している。
【0042】
図3は、一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cに受け部材53の支持板531が進入した状態を示す正面図である。図3に示すように、受け部材53を上昇させてカム532の傾斜面をパレット51に付設されているローラ512に押し当てると、ばね533の付勢力に抗して第1及び第2部材53L,53Rが不要樹脂の下方において互いに近づく。図示した例では、第1及び第2部材53L,53Rが、不要樹脂Cの中心の直下に向かって互いに近づく。受け部材53の支持板531は、一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cに進入して不要樹脂Cに下方から対向する。
【0043】
図4は、一対のディゲートパレット51L,51Rと一対のディゲートハンド52L,52Rとの間に封止品W´を挟んで、受け部材53の支持板531に封止品W´の一部を押し当てた状態を示す正面図である。一対のディゲートパレット51L,51Rと一対のディゲートハンド52L,52Rとの間に封止品W´を挟み込んで拘束できる。
【0044】
図5は、一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cから受け部材53が退避した状態を示す図である。受け部材は、鉛直方向の移動を水平方向の移動に変換するカム機構により駆動されて入口を開放するように水平移動する。受け部材53が下降すると、回収経路50の入口である一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cから受け部材53の支持板531が退避する。
【0045】
さらに、ばね533の付勢力によって第1部材53Lが左方へ移動し、第2部材53Rが右方へ移動するため、第1及び第2部材53L,53Rが不要樹脂Cの下方において互いに遠ざかり、左右の支持板531の間に不要樹脂Cが落下可能な回収経路50が区画される。第1及び第2部材53L,53Rを移動させる手段はカム機構に限定されない。例えば、モータ等の駆動力で第1及び第2部材53L,53Rを移動させてもよい。
【0046】
図6は、プッシャが不要樹脂Cを突き落とした状態を示す正面図である。図6に示すように、プッシャ54は、受け部材53が回収経路50の入口である一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cを開放した後、不要樹脂Cを下方に突き落とすことができる。
【0047】
回収経路50に落下させた不要樹脂Cは、廃棄ボックス55に回収される。廃棄ボックス55は、不要樹脂Cを貯留できる。廃棄ボックス55は、例えば、プッシャ54の直下に配置されている。受け部材53に不要樹脂Cを滑落させる傾斜面を設けて、プッシャ54の直下からずらして廃棄ボックス55を配置してもよい。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態のディゲート装置5を用いたディゲート方法を説明するフローチャートである。この方法では、まず、図1及び図2に示すように、パレット51がガイドレール70に臨む待機位置に移動し、アンローダ72が一対のディゲートパレット51L,51Rに封止品W´を載置する(手順S1)。
【0049】
次いで、図4に示すように、一対のディゲートパレット51L,51Rと一対のディゲートハンド52L,52Rとの間に挟み込んで封止品W´を拘束する(手順S2)。ディゲートパレット51L,51Rとともにディゲートハンド52L,52Rを下降させ、受け部材53の支持板531の上端面に封止品W´の一部の下面を押し当て、これにより封止品W´から不要樹脂Cを引きちぎるように分離する(手順S3)。例えば、封止品W´のパッケージPを拘束した状態で不要樹脂Cを受け部材53に押し当てるようにして引きちぎる。
【0050】
分離後、図5に示すように、一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cから受け部材53を退避させて回収経路50の入口を開放する(手順S4)。最後に、プッシャ54で下方に突いて不要樹脂Cを廃棄ボックス55に落下させる(手順S5)。
【0051】
不要樹脂Cは、図5に示すように、一対のディゲートパレット51L,51Rが並べられた左右方向において、回収経路50の入口である一対のディゲートパレット51L,51Rに挟まれた空間51Cよりも大きく形成されていてもよい。プッシャ54に突かれることにより、シリコーン系樹脂等で形成された不要樹脂Cが撓み変形して回収経路50の入口を通過する。プッシャ54を用いない場合、吸着パッドで不要樹脂Cを一時的に持ち上げて、回収経路50の入口よりも平面視で小さくなるように不要樹脂Cを斜めに傾けてから回収経路50に落下させてもよい。
【0052】
以上のように構成された本実施形態のディゲート装置5及び該ディゲート装置5を備えたディゲート方法によれば、受け部材53の退避によって開放された回収経路50の入口から落下させることができるため、不要樹脂Cを安定して除去できる。軟らかい液状の樹脂材料を用いても不要樹脂を安定して除去できるため、液状の樹脂材料でワークWを樹脂封止する樹脂封止装置1に好適である。
【0053】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…樹脂封止装置、2…ワーク供給装置、3…樹脂供給装置、4…プレス装置、5…ディゲート装置、6…ワーク収納装置、7…搬送装置、31…シリンジ、32…チューブ、33…供給口、40…金型、43…ポット、50…回収経路、51…パレット、51L,51R…ディゲートパレット、51C…一対のディゲートパレットに挟まれた空間、52…ディゲートヘッド、52L,52R…ディゲートハンド、53…受け部材、53L…第1部材、53R…第2部材、54…プッシャ、55…廃棄ボックス、56…エアブロー、70…ガイドレール、71…ローダ、72…アンローダ、512…ローラ、531…支持板、532…カム、533…ばね、C…不要樹脂、P…パッケージ、W…ワーク、W´…封止品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7