(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105596
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16H 49/00 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
F16H49/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006522
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】507418692
【氏名又は名称】トヨフレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近野 一郎
(57)【要約】
【課題】所望の循環経路に沿って、循環経路の外側から転動体に力を直接入力したり、循環経路の外側へ転動体からの力を直接出力することが可能な力伝達装置の提供を目的とする。
【解決手段】力伝達装置1は、外周が球面形状または円筒面形状に形成された剛性を有する複数の転動体11と、複数の転動体11を一列かつ循環するように収納する無端の循環経路21と、循環経路21に沿うように転動体11の間に配置され、隣接する下流側の転動体11を循環経路21の下流に向かって押し出すことが可能な力入力部31と、循環経路21に沿うように転動体11の間に配置され、隣接する上流側の転動体11からの押圧を受けて循環経路21の下流に向かって押し出される力出力部41と、を備え、力入力部31および力出力部41のうちの少なくともいずれかは、循環経路21の外側に向かって突出する力伝達部312,412を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力伝達装置であって、
外周が球面形状または円筒面形状に形成された剛性を有する複数の転動体と、
前記複数の転動体を一列かつ循環するように収納する無端の循環経路と、
前記循環経路に沿うように前記転動体の間に配置され、隣接する下流側の転動体を前記循環経路の下流に向かって押し出すことが可能な力入力部と、
前記循環経路に沿うように前記転動体の間に配置され、隣接する上流側の転動体からの押圧を受けて前記循環経路の下流に向かって押し出される力出力部と、を備え、
前記力入力部および前記力出力部のうちの少なくともいずれかは、前記循環経路の外側に向かって突出する力伝達部を有していることを特徴とする力伝達装置。
【請求項2】
前記循環経路は湾曲部を有し、
前記力伝達部は、前記湾曲部を移動できるように設けられている請求項1に記載の力伝達装置。
【請求項3】
前記循環経路の内側にスプロケットを備え、
隣り合う前記転動体の間に嵌入された前記スプロケットの歯部が、前記力入力部または前記力出力部を構成する請求項1または請求項2に記載の力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的な力を伝達する手法の一つとして、例えば、ベアリング本体と軌道台との間に転動体を介在させ、転動体の押圧によりベアリング本体を軌道台に沿って移動させるベアリングが知られている。
【0003】
このようなベアリングにおいては、例えば、一対の長手方向溝と、長手方向溝の端部どうしをつなぐ方向転換路と、これらの中に充填されたボール(転動体)と、長手方向溝に没入するように配置されたブラケットを有するベアリング本体と、方向転換路の少なくとも一方に配置されたボール駆動手段とを設け、ボール駆動手段の回転駆動によりボールを循環させながらブラケットを介してベアリング本体を直線的に駆動する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術は、ボール駆動手段により入力された力を単にベアリング本体の直線運動に変換するものであり、複雑な動きをしながら外部に力を出力するものではない。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、所望の循環経路に沿って、循環経路の外側から転動体に力を直接入力したり、循環経路の外側へ転動体からの力を直接出力することが可能な力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの態様は下記の通りである。
(1)力伝達装置であって、
外周が球面形状または円筒面形状に形成された剛性を有する複数の転動体と、
前記複数の転動体を一列かつ循環するように収納する無端の循環経路と、
前記循環経路に沿うように前記転動体の間に配置され、隣接する下流側の転動体を前記循環経路の下流に向かって押し出すことが可能な力入力部と、
前記循環経路に沿うように前記転動体の間に配置され、隣接する上流側の転動体からの押圧を受けて前記循環経路の下流に向かって押し出される力出力部と、を備え、
前記力入力部および前記力出力部のうちの少なくともいずれかは、前記循環経路の外側に向かって突出する力伝達部を有していることを特徴とする力伝達装置。
(2)前記循環経路は湾曲部を有し、
前記力伝達部は、前記湾曲部を移動できるように設けられている前記(1)に記載の力伝達装置。
(3)前記循環経路の内側にスプロケットを備え、
隣り合う前記転動体の間に嵌入された前記スプロケットの歯部が、前記力入力部または前記力出力部を構成する前記(1)または(2)に記載の力伝達装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、所望の循環経路に沿って、循環経路の外側から転動体に力を直接入力したり、循環経路の外側へ転動体からの力を直接出力することが可能な力伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態を示す概略的斜視図であって、第2ケース体を装着した状態を示す図である。
【
図4】
図1の第2ケース体を外した状態を示す概略的斜視図である。
【
図5】
図4の一部を拡大して示す第2ケース体を外した状態の概略的斜視図であって、(a)は力入力部を、(b)は力出力部をそれぞれ示している。
【
図6】第2の実施形態を示す概略的斜視図であって、第2ケース体を装着した状態を示す図である。
【
図7】
図6の第2ケース体を外した状態を示す概略的斜視図である。
【
図8】第3の実施形態を示す概略図であって、(a)は斜視図を、(b)は平面図を、(c)は側面図をそれぞれ示している。
【
図9】第1の実施形態の変形例を示す概略的斜視図であって、第2ケース体を外した状態を示す図である。
【
図10】第3の実施形態の変形例を示す概略図であって、(a)は斜視図を、(b)は平面図を、(c)は側面図をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の力伝達装置は、外周が球面形状または円筒面形状に形成された剛性を有する複数の転動体と、上記複数の転動体を一列かつ循環するように収納する無端の循環経路と、
上記循環経路に沿うように上記転動体の間に配置され、隣接する下流側の転動体を上記循環経路の下流に向かって押し出すことが可能な力入力部と、上記循環経路に沿うように上記転動体の間に配置され、接する上流側の転動体からの押圧を受けて上記循環経路の下流に向かって押し出される力出力部とを備え、上記力入力部および上記力出力部のうちの少なくともいずれかは、上記循環経路の外側に向かって突出する力伝達部を有している。
【0011】
以下、本発明の第1~第3の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、図面に示した各部の寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、必ずしも実際の寸法に対応するものではない。
【0012】
[第1の実施形態]
図1~
図5は、第1の実施形態を示す概略図である。力伝達装置1は、
図1~
図5に示すように、概略的に、転動体11と、循環経路21と、力入力部31と、力出力部41とにより構成されている。
【0013】
転動体11は、外周が球面形状または円筒面形状に形成された剛性を有する部材である。転動体11は、後述する循環経路内にて他の転動体11に当接し、下流側の転動体11を押圧しながら循環経路21内を円滑に移動(循環)することができれば、その形状は特に限定されない。転動体11としては、例えば、外周が球面形状の鋼球、外周が円筒面形状の円盤やローラ等が挙げられる。本実施形態では、転動体11として鋼球が例示されている。
【0014】
循環経路21は、複数の転動体11を一列かつ循環するように収納する無端の経路(ループ状の経路)である。循環経路21は、例えば、ケース体211により形成することができる。具体的には、循環経路21は、例えば、ループ状の溝が形成された第1ケース体211Aと、上記ループ状の溝に対応する形状のループ状の溝が形成された第2ケース体211Bとを用い、ループ状の溝どうしを互いに対向配置することで形成したケース体211の内部におけるループ状の空間により構成することができる。
【0015】
ケース体211には、後述する力伝達部312,412が外部に向かって突出できるように、循環経路21に沿って開口211d,211eが設けられている。開口211d,211eは、循環経路21の全体に亘って設けられてもよく、力伝達部312,412が移動する部位にのみ設けられていてもよい。
【0016】
循環経路21の形状は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。循環経路21は、例えば、単一の平面内に形成されていてもよく(
図4参照)、立体的に形成されていてもよい(不図示)。また、循環経路21は、湾曲部21a,21bを有するように構成されていてもよい。
【0017】
なお、循環経路21は、転動体11が循環する方向に対して直交する方向に変形できるように構成されていてもよい。すなわち、転動体11が循環する方向には循環経路21が伸縮せず、転動体11が循環する方向に対して直交する方向にのみ偏向するように構成されていてもよい。
【0018】
上述のように変形可能な材料としては、例えば、硬質プラスチックなどの樹脂材料、金属材料等が挙げられる。このような材料を用いてケース体を作製することで、上記特性を有する循環経路21を形成することができる。
【0019】
このように、循環経路21が、転動体11が循環する方向に対して直交する方向に変形(偏向)可能であることで、力伝達装置の用途に応じて循環経路21を適宜調整することができる。
【0020】
力入力部31は、循環経路21に沿うように転動体11の間に配置され、隣接する下流側の転動体11を循環経路21の下流に向かって押し出すことが可能な部位である。力入力部31は、具体的には、
図5(a)に示すように、例えば、本体311Aと、上流側当接部311Bと、下流側当接部311Cとにより構成することができる。本体311A、上流側当接部311B、および下流側当接部311Cは、循環経路21に沿って移動(進退)できるように、循環経路21内に収まる形状に形成されている。
【0021】
本実施形態では、上流側当接部311Bおよび下流側当接部311Cが略半球状の鋼製の部材で形成され、上流側当接部311Bと下流側当接部311Cとが本体311Aを挟んで対向するように、本体に311Aの両端部に接合されている。上流側当接部311Bは上流側の転動体11Aに当接し、下流側当接部311Cは下流側の転動体11Bに当接する。
【0022】
力出力部41は、循環経路21に沿うように転動体11の間に配置され、隣接する上流側の転動体11からの押圧を受けて循環経路21の下流に向かって押し出される部位である。力出力部41は、具体的には、
図5(b)に示すように、例えば、本体411Aと、上流側当接部411Bと、下流側当接部411Cとにより構成することができる。本体411A、上流側当接部411B、および下流側当接部411Cは、循環経路21に沿って移動(進退)できるように、循環経路21内に収まる形状に形成されている。
【0023】
本実施形態では、上流側当接部411Bおよび下流側当接部411Cが略半球状の鋼製の部材で形成され、上流側当接部411Bと下流側当接部411Cとが本体411Aを挟んで対向するように、本体に411Aの両端部に接合されている。上流側当接部411Bは上流側の転動体11Cに当接し、下流側当接部411Cは下流側の転動体11Dに当接する。
【0024】
ここで、力入力部31および力出力部41のうちの少なくともいずれかは、循環経路21の外側に向かって突出する力伝達部を有している。力伝達部は、例えば、基端部が本体311Aまたは本体411Aに固定され、ケース体211の開口を介して先端部が循環経路21の外側に向かって突出するように設けることができる。
【0025】
本実施形態では、力入力部31に力伝達部312が設けられ、その先端部が開口211dから突出している。また、力出力部41に力伝達部412が設けられ、その先端部が開口211eから突出している。
【0026】
力伝達部312,412の形状は、本体311A,411Aと循環経路21の外部との間で力を直接伝達することができれば、特に限定されない。本実施形態では、力伝達部312,412として、ケース体211の開口211d,211eを介して循環経路21と同一平面内の直交方向に突出したレバー(以下、それぞれ「レバー312」,「レバー412」ともいう)が例示されている。
【0027】
なお、力伝達部312,412が突出する方向は、用途に応じて適宜設定することができる。突出方向は、例えば、循環経路21と同一平面内における直交方向または傾斜方向であってもよく、同一平面外に向かう直交方向または傾斜方向であってもよい。
【0028】
力伝達部312,412が移動可能な循環経路21の部位は特に限定されない。力伝達部312,412は、循環経路21の湾曲部21a,21bを移動できるように設けられていてもよく、循環経路21の直線部を移動できるように設けられていてもよい。湾曲部21a,21bを移動する際には、力伝達部312,412は、湾曲部21a,21bに沿って循環経路21の外側を旋回するように、非直線的に移動することができる。
【0029】
次に、力伝達装置1の動作について説明する。ここでは、力入力部31および力出力部41がそれぞれレバー312およびレバー412で構成され、オペレータがレバー312を操作することでレバー412に回転力を伝達する動作について例示する。なお、レバー312,412は、それぞれ循環経路21の湾曲部21a,21bに設けられているものとする。
【0030】
まず、オペレータは、湾曲部21aが設けられたケース体211の部位を把持し、湾曲部21aの湾曲形状に沿って指でレバー312を移動する。この際、レバー312の移動に伴って力入力部31の本体311Aが循環経路21に摺動し、本体311Aに取り付けられた下流側当接部311Cにより下流側の転動体11Bを循環経路21に沿って前方に押し出す。
【0031】
次に、押し出された転動体11Bは、下流側にて隣接する転動体11を循環経路21に沿って前方に押し出し、この動作を順次繰り返しながら下流側の転動体11に力を伝達していく。
【0032】
次に、循環経路21に沿って転動体11により伝達された力が力出力部41の上流側にて隣接する転動体11Cに伝わると、この転動体11Cが上流側当接部411Bを循環経路21に沿って前方に押し出す。この際、上流側当接部411Bを固定する本体411Aに設けられたレバー412が、湾曲部21bの湾曲形状に沿って循環経路21の外側を移動(旋回)する。すなわち、レバー312の操作に従いレバー412が従動することで、力が力入力部31から力出力部41に伝達される。
【0033】
以上のように、力伝達装置1は、上記構成であるので、所望の循環経路21に沿って、循環経路21の外側から転動体11に力を直接入力することができると共に、循環経路21の外側へ転動体11からの力を直接出力することができる。
【0034】
また、力伝達装置1では、力入力部31および力出力部41が移動する循環経路21が湾曲しているため、レバーを旋回させるための中心軸を設けることなく、レバー312,412の旋回動作を行うことができる。
【0035】
[第2の実施形態]
図6,
図7は、第2の実施形態を示す概略図である。力伝達装置2は、
図7に示すように、概略的に、転動体11と、循環経路22と、力入力部31と、力出力部42とにより構成されている。力伝達装置2は、循環経路22、および力出力部42の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、転動体11および力入力部31の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に示す循環経路22および力出力部42の構成以外の循環経路22および力出力部42の構成は、それぞれ第1の実施形態と同様である。
【0036】
循環経路22は、複数の転動体11を一列かつ循環するように収納する無端の経路(ループ状の経路)である。本実施形態の循環経路22は、手で掴み易い形状に成形されたケース体221の内部においてループ状の空間で構成され、力入力部31および力出力部42が位置する部位が湾曲部22a,22bで形成されている。ケース体221には、レバー312が突出した状態で湾曲部22aを移動できるように、開口221dが設けられている。また、ケース体221は、基台62に設けられた支持竿52に接続され、基台62に対して可動可能に取り付けられている。
【0037】
力出力部42は、循環経路22に沿うように転動体11の間に配置され、隣接する上流側の転動体からの押圧を受けて循環経路の下流に向かって押し出される部位である。本実施形態では、力伝達装置2が循環経路22の内側にスプロケット421を備え、力出力部42が、隣り合う転動体11の間に嵌入されたスプロケット421の歯部421aにより構成されている。
【0038】
スプロケット421は、具体的には、循環経路22の内側に配置され、隣り合う歯部421aの間に形成された凹部421bに転動体11が係合する。その際、歯部421aは、力出力部42の本体となって隣接する上流側の転動体11Cからの押圧を受け、循環経路22の下流に向かって押し出される。これにより、スプロケット421が回転し、軸421cに回転力が伝達される。
【0039】
軸421cには、例えば、エンコーダ(不図示)が接続されていてもよい。かかる場合、レバー312の操作により入力された力が、スプロケット421により回転力に変換され、エンコーダによりレバー312の移動量等が計測される。
【0040】
以上のように、力伝達装置2は、スプロケット421の歯部421aが力出力部42を構成し得るので、力入力部31で入力した力を軸421cの回転力として伝達することができる。
【0041】
[第3の実施形態]
図8は、第3の実施形態を示す概略図である。力伝達装置3は、
図8に示すように、概略的に、図示せぬ転動体11および循環経路23と、力入力部31と、力出力部41とにより構成されている。力伝達装置3は、循環経路23の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、転動体11、力入力部31、および力出力部41の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に示す循環経路23の構成以外の循環経路23の構成は、それぞれ第1の実施形態と同様である。
【0042】
循環経路23は、複数の転動体11を一列かつ循環するように収納する無端の経路(ループ状の経路)である。本実施形態の循環経路23は、手で掴み易い形状に成形されたケース体231の内部において、
図8(a),(c)に示すように、一部が同一平面内にない湾曲部23aを有する立体的な形状に形成されている。また、力入力部31および力出力部41は、湾曲部23aを移動できるように、ケース体231の開口231dから突出したレバー312,412で構成されている。
【0043】
以上のように、力伝達装置3は、力入力部31および力出力部41の循環経路23が立体的に湾曲しているため、同一平面外の異なる方向に力を伝達することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態の構成のうちの一部を削除したり、他の構成に置換してもよく、上述した実施形態の構成に他の構成を追加等してもよい。
【0045】
例えば、上述した実施形態では、転動体11が鋼球で構成された力伝達装置1,2,3について説明した。しかしながら、外周が球面形状または円筒面形状に形成された剛性を有し、循環経路内を円滑に移動しながら力を下流側に向かって伝達できれば、いずれの形態の転動体であってもよい。転動体としては、例えば、外周が円筒面形状に形成された円盤、ローラ等であってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、力入力部31および力出力部41,42が循環経路21,22,23の湾曲部を移動可能な力伝達装置1,2,3について説明した。しかしながら、力入力部および/または力出力部は、循環経路の直線部を移動できるように配置されてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、循環経路21,22,23内の力を伝達する手段として、転動体11のみを用いた力伝達装置1,2,3について説明した。しかしながら、力を伝達する手段として、
図9に示すように、進退可能な長手形状のシャフト74を循環経路24内の隣り合う転動体11の間に配置してもよい。かかる場合、シャフト74の上流側で隣接する転動体11Eがシャフト74を前方に押し出すと共に、シャフト74がシャフト74の下流側で隣接する転動体11Fを前方に押し出すことで、力を下流側に伝達することができる。なお、上述のようなシャフトは、同一の循環経路内に1本のみ設けられていてもよく、2本以上設けられていてもよい。
【0048】
また、上述した第2の実施形態では、力出力部42がスプロケット421の歯部421aにより構成され得る力伝達装置2について説明した。しかしながら、力出力部42に代えて、力入力部がスプロケットの歯部により構成され得るようにしてもよい。かかる場合、例えば、モータをスプロケットの軸に接続することで、モータの回転力を力入力部に入力し、この力を力出力部に伝達することができる。
【0049】
また、上述した第3の実施形態では、レバー312(力伝達部312)の突出方向とレバー412(力伝達部412)の突出方向とが、互いに平行な面内に位置する力伝達装置3について説明した。しかしながら、力伝達部の突出する方向は、循環経路の外側に向かう限り限定されない。レバー352(力伝達部352)の突出方向とレバー452(力伝達部452)の突出方向とは、
図10に示すように、互いに非平行な面内に位置するように構成されていてもよい(
図10(a)中の矢印参照)。このようなレバー352,452は、例えば、ケース体251の開口251dの方向を調整することで形成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1,2,3 力伝達装置
11,11A,11B,11C,11D,11E,11F 転動体
21,22,23,24,25 循環経路
211,221,231,251 ケース体
211A 第1ケース体
211B 第2ケース体
211a,211b,221a,221b,231a,231b,251a 湾曲部
211d,211e,221d,231d,251d 開口
31,35 力入力部
311A 本体
311B 上流側当接部
311C 下流側当接部
312,352 力伝達部(レバー)
41,42 力出力部
411A 本体
411B 上流側当接部
411C 下流側当接部
412 力伝達部(レバー)
421 スプロケット
421a 歯部
421b 凹部
421c 軸
52 支持竿
62 基台
74 シャフト