(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105619
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230724BHJP
H04L 43/103 20220101ALI20230724BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04Q9/00 331Z
H04L43/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006562
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】富久 大成
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048AA06
5K048BA01
5K048BA13
5K048EB02
5K048FA00
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】通信環境の悪化を抑制しながらも、応答性の良い安定した通信を実現できる。
【解決手段】リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高いか否かを判定する遠隔操作判定部R4と、遠隔操作判定部R4が、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定した場合に、リモコンRとサーバSの両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度切断しないロングポーリングを用いた第1通信とし、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定した場合に、両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度接続する第2通信とする通信状態切換部R5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各戸の夫々に設けられる住宅設備機器を操作可能なリモコンに対してネットワークを介して遠隔から操作指令を送信可能なサーバが設けられた遠隔操作システムであって、
前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いか否かを判定する遠隔操作判定部と、
前記遠隔操作判定部が、前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定した場合に、前記リモコンと前記サーバの両者の通信を、前記両者のコネクションが送受信の都度切断しないロングポーリングを用いた第1通信とし、前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定した場合に、前記両者の通信を、前記両者のコネクションが送受信の都度接続する第2通信とする通信状態切換部とを備える遠隔操作システム。
【請求項2】
前記遠隔操作判定部は、前記各戸に人が滞在していない場合に前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記各戸に人が滞在している場合に前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定する請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記遠隔操作判定部は、
前記リモコンとペアリング済みの携帯通信端末が、前記各戸に設けられるルータを介して無線通信による宅内通信が可能な宅内接続状態であるときに遠隔操作される可能性が高くないと判定し、前記リモコンと前記携帯通信端末が宅内接続状態にないときに遠隔操作される可能性が高いと判定する請求項1又は2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記各戸に人が滞在していない時間帯である非滞在時間帯を設定する非滞在時間帯設定部を備え、
前記遠隔操作判定部は、前記非滞在時間帯設定部にて設定された前記非滞在時間帯は前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記非滞在時間帯以外の時間帯は前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する請求項1~3の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
一日のうちで前記各戸から人が外出する時点である外出時点を設定する外出時点設定部を備え、
前記遠隔操作判定部は、一日のうちで前記外出時点設定部にて設定された前記外出時点より前は前記遠隔操作がされる可能性が高くないと判定し、一日のうちで前記外出時点の以降は前記遠隔操作される可能性が高いと判定する請求項1~4の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記各戸の現時点での電力使用量を測定可能な電力使用量測定部を備え、
前記遠隔操作判定部は、前記電力使用量測定部にて測定される前記電力使用量が前記各戸にて定められる基準の前記電力使用量である電力使用量閾値以下の場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記電力使用量測定部にて測定される前記電力使用量が前記電力使用量閾値を超える場合に、前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する請求項1~5の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記遠隔操作判定部は、前記各戸に設けられる電子錠が施錠状態である場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記電子錠が開錠状態である場合に、前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する請求項1~6の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記各戸に設けられるルータを介して前記リモコンと無線通信によりペアリング可能な携帯通信端末が、前記ペアリングした前記リモコンが設けられる前記各戸から外出していることを示す外出状態情報を前記サーバに送信する外出状態情報送信部を備え、
前記サーバは、受信した前記外出状態情報を前記携帯通信端末と過去に前記ペアリングした前記リモコンに紐付ける形態でデータベースに記憶すると共に、
前記リモコンは、所定期間毎の前記サーバとの定期通信により、前記データベースに記憶され自身に紐付く前記外出状態情報を受信可能に構成されており、
前記遠隔操作判定部は、前記リモコンが前記外出状態情報を受信した場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記リモコンが前記外出状態情報を受信しなかった場合に、前記遠隔操作される可能性は高くないと判定する請求項1~7の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記各戸に設けられるルータを介して前記リモコンと無線通信によりペアリング可能な携帯通信端末が、自身の位置情報を取得して前記サーバに送信する位置情報送信部を備え、
前記サーバは、受信した前記位置情報を前記携帯通信端末と過去に前記ペアリングした前記リモコンに紐付ける形態でデータベースに記憶すると共に、
前記リモコンは、所定期間毎の前記サーバとの定期通信により、前記データベースに記憶され自身に紐付く前記位置情報を受信可能に構成されており、
前記遠隔操作判定部は、前記リモコンが受信した前記位置情報が前記リモコンの設置位置に係る設置位置情報と一致しない場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記リモコンが受信した前記位置情報が前記設置位置情報と一致する場合に、前記遠隔操作される可能性は高くないと判定する請求項1~7の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信環境の悪化を抑制しながらも、応答性の良い安定した通信を実現する遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各戸に設けられる住宅設備機器と、当該住宅設備機器を操作可能なリモコンと、当該リモコンに対してネットワークを介して遠隔から操作指令を送信可能なサーバとが設けられた遠隔操作システムとして、特許文献1に開示の技術が知られている。
当該特許文献1に開示の技術は、住宅設備機器としてのプリンタ、当該プリンタの操作等を実行可能なリモコンとしての情報処理装置、プリンタの稼働情報を情報処理装置を介して収集するサーバ、当該サーバとの間で遠隔にて情報の送受信を行う携帯通信端末とを備えて構成されている。
上記特許文献1に開示の技術において、携帯通信端末から住宅設備機器の遠隔操作を実行しようとする場合、まず、サーバに住宅設備機器が遠隔操作の対象機器であることが登録され、サーバと通信可能に構成されたデータベースに遠隔操作フラグが立つことで、リモコンは、サーバと遠隔操作に関する通信を実行可能になる。このような通信は、HTTPに基づいて実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データベースに立っている遠隔操作フラグと紐付くリモコンは、サーバに対して所定時間毎(例えば、5分に1回)に指示要求取得通信を実行するのであるが、このような構成にあっては、携帯通信端末からサーバに対し、住宅設備機器の遠隔操作指令の送信があった場合、リモコンが当該遠隔操作指令を受信するまでに最大で5分の遅延が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信環境の悪化を抑制しながらも、応答性の良い安定した通信を実現する遠隔操作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための遠隔操作システムであって、各戸の夫々に設けられる住宅設備機器を操作可能なリモコンに対してネットワークを介して遠隔から操作指令を送信可能なサーバが設けられた遠隔操作システムの特徴構成は、
前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いか否かを判定する遠隔操作判定部と、
前記遠隔操作判定部が、前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定した場合に、前記リモコンと前記サーバの両者の通信を、前記両者のコネクションが送受信の都度切断しないロングポーリングを用いた第1通信とし、前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定した場合に、前記両者の通信を、前記両者のコネクションが送受信の都度接続する第2通信とする通信状態切換部とを備える点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、遠隔操作判定部が、リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定した場合、通信状態切換部は、リモコンとサーバの両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度切断しないロングポーリングを用いた第1通信とするから、例えば、リモコンはサーバに対し、通信の都度コネクションを張り直す必要がなくなるため、コネクションを張ることに伴う負荷を気にすることなく、リモコンからサーバーへ遠隔操作の有無を確認する時間間隔を、比較的短い時間間隔(例えば、1分以内の時間間隔)にして、ユーザが不便さを感じない程度の時間間隔で遠隔操作を実行できる。
更に、遠隔操作判定部が、リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定した場合、通信状態切換部は、両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度接続する第2通信とするから、第2通信にてサーバへの接続が維持されるリモコンの台数を制限でき、通信負荷を制限できるから、通信環境の悪化を防止できる。
以上より、通信環境の悪化を抑制しながらも、応答性の良い安定した通信を実現する遠隔操作システムを実現できる。
【0008】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、
前記遠隔操作判定部は、前記各戸に人が滞在していない場合に前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記各戸に人が滞在している場合に前記リモコンが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、遠隔操作判定部は、例えば、ホームセキュリティシステムとしての人感センサの検出結果等により、各戸に人が滞在していないと認められる場合にリモコンが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定し、各戸に人が滞在していると認められる場合にリモコンが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定し、それにより、通信状態切換部による第1通信と第2通信の切り換えを良好にできる。
【0010】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、前記遠隔操作判定部は、
前記リモコンとペアリング済みの携帯通信端末が、前記各戸に設けられるルータを介して無線通信による宅内通信が可能な宅内接続状態であるときに遠隔操作される可能性が高くないと判定し、前記リモコンと前記携帯通信端末が宅内接続状態にないときに遠隔操作される可能性が高いと判定する点にある。
【0011】
通常、リモコンとペアリング済みの携帯通信端末は、UDP(User Datagram Protocol)やTCP(Transmission Control Protocol)に基づいた各戸内の宅内通信により、例えば10秒間隔で軽量通信を実行している。ここで、宅内通信とは、各戸内に設けられるルータ経由での携帯通信端末とリモコンとの通信をいう。当該軽量通信では、携帯通信端末からリモコンへ所定の情報を送信すると、近くにリモコンが存在する場合にはリモコンから携帯通信端末へ応答が返信される。リモコンからの応答がない場合は携帯通信端末自身が宅内に存在しないと判断するが、リモコンも一定の期間以上携帯通信端末からの宅内通信が無い場合に携帯通信端末が宅内に存在しないと判断する。
上記特徴構成によれば、遠隔操作判定部は、リモコンとペアリング済みの携帯通信端末がリモコンと宅内接続状態にあるときに携帯通信端末が各戸内に存在しリモコンが遠隔操作される可能性が高くないと判定し、携帯通信端末がリモコンと宅内接続状態にないときに携帯通信端末が各戸外に存在しリモコンが遠隔操作される可能性が高いと判定する。これにより、特に、携帯通信端末がリモコンと宅内接続状態にないときで、各戸の居住者等が外出している可能性が高いときは、遠隔操作される可能性が高いとして、ロングポーリングを用いた第1通信として、各戸の居住者等の遠隔操作指令を比較的早期に実行できる。一方、携帯通信端末がリモコンと宅内接続状態にあるときで、各戸の居住者等が在宅している可能性が高いときには、第2通信によりリモコンとサーバとを接続して、過度な接続台数の増加や通信負荷の増加を抑制できる。
【0012】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、
前記各戸に人が滞在していない時間帯である非滞在時間帯を設定する非滞在時間帯設定部を備え、
前記遠隔操作判定部は、前記非滞在時間帯設定部にて設定された前記非滞在時間帯は前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記非滞在時間帯以外の時間帯は前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、例えばリモコンに対して非滞在時間設定部を設け、各戸の居住者に対し、各戸への非滞在時間帯を設定させることで、遠隔操作がされる可能性の判定に、各戸の居住者の意思を好適に反映できる。
【0014】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、
一日のうちで前記各戸から人が外出する時点である外出時点を設定する外出時点設定部を備え、
前記遠隔操作判定部は、一日のうちで前記外出時点設定部にて設定された前記外出時点より前は前記遠隔操作がされる可能性が高くないと判定し、一日のうちで前記外出時点の以降は前記遠隔操作される可能性が高いと判定する点にある。
【0015】
上記特徴構成の如く、外出時点が設定されている場合には、各戸の居住者等の外出時点以降に、居住者等が各戸の外部から遠隔操作する可能性が高いので、遠隔操作判定部は、一日のうちで外出時点の以降は遠隔操作される可能性が高いと判定することで、当該判定を比較的高い確度で実行できる。
【0016】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、
前記各戸の現時点での電力使用量を測定可能な電力使用量測定部を備え、
前記遠隔操作判定部は、前記電力使用量測定部にて測定される前記電力使用量が前記各戸にて定められる基準の前記電力使用量である電力使用量閾値以下の場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記電力使用量測定部にて測定される前記電力使用量が前記電力使用量閾値を超える場合に、前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、電力使用量が予め定められた電力使用量閾値以下の場合に、各戸で電力を使用する居住者が外出している可能性が高いため、遠隔操作判定部による遠隔操作される可能性が高いという判定を、比較的高い確度で実行できる。
【0018】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、
前記遠隔操作判定部は、前記各戸に設けられる電子錠が施錠状態である場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記電子錠が開錠状態である場合に、前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、各戸の電子錠が施錠状態である場合には、各戸の居住者が外出している可能性が高いため、遠隔操作判定部による遠隔操作される可能性が高いという判定を、比較的高い確度で実行できる。
尚、電子錠が施錠状態にある場合では、各戸の居住者が深夜に各戸内にて就寝している場合もあるため、遠隔操作判定部は、他の判定方法と組み合わせて、遠隔操作の判定を実行することが好ましい。
【0020】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、
前記各戸に設けられるルータを介して前記リモコンと無線通信によりペアリング可能な携帯通信端末が、前記ペアリングした前記リモコンが設けられる前記各戸から外出していることを示す外出状態情報を前記サーバに送信する外出状態情報送信部を備え、
前記サーバは、受信した前記外出状態情報を前記携帯通信端末と過去に前記ペアリングした前記リモコンに紐付ける形態でデータベースに記憶すると共に、
前記リモコンは、所定期間毎の前記サーバとの定期通信により、前記データベースに記憶され自身に紐付く前記外出状態情報を受信可能に構成されており、
前記遠隔操作判定部は、前記リモコンが前記外出状態情報を受信した場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記リモコンが前記外出状態情報を受信しなかった場合に、前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、携帯通信端末の外出状態情報送信部が、自身が各戸の外部に存在していることを示す情報としての外出状態情報をサーバに送信し、遠隔操作判定部は、リモコンが当該外出状態情報を受信した場合、携帯通信端末の所有者である居住者が各戸から外出している可能性が高いとして、遠隔操作がされる可能性が高いと判定し、リモコンが外出状態情報を受信しなかった場合に、遠隔操作される可能性が高くないと判定するので、居住者が何らリモコンを操作することなく、遠隔操作される可能性の判定を実行でき、居住者の利便性を向上できる。
【0022】
遠隔操作システムの更なる特徴構成は、
前記各戸に設けられるルータを介して前記リモコンと無線通信によりペアリング可能な携帯通信端末が、自身の位置情報を取得して前記サーバに送信する位置情報送信部を備え、
前記サーバは、受信した前記位置情報を前記携帯通信端末と過去に前記ペアリングした前記リモコンに紐付ける形態でデータベースに記憶すると共に、
前記リモコンは、所定期間毎の前記サーバとの定期通信により、前記データベースに記憶され自身に紐付く前記位置情報を受信可能に構成されており、
前記遠隔操作判定部は、前記リモコンが受信した前記位置情報が前記リモコンの設置位置に係る設置位置情報と一致しない場合に、前記遠隔操作される可能性が高いと判定し、前記リモコンが受信した前記位置情報が前記設置位置情報と一致する場合に、前記遠隔操作される可能性が高くないと判定する点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、遠隔操作判定部は、携帯通信端末の現在の位置情報がリモコンの設置位置情報と一致しない場合に、遠隔操作がされる可能性が高いと判定し、携帯通信端末の現在の位置情報がリモコンの設置位置情報と一致する場合に、遠隔操作される可能性が高くないと判定するので、居住者が何らリモコンを操作することなく、遠隔操作される可能性の判定を実行でき、居住者の利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係る遠隔操作システムの概略構成図である。
【
図2】実施形態に係る遠隔操作システムにおいて携帯通信端末を用いた第1通信状態と第2通信状態との切り換えを説明する図である。
【0025】
当該実施形態に係る遠隔操作システム100は、通信環境の悪化を抑制しながらも、応答性の良い安定した通信を実現できるものに関する。以下、当該遠隔操作システム100について
図1、2に基づいて説明する。
【0026】
遠隔操作システム100は、各戸K(K1,K2・・・)の夫々に設けられる当該住宅設備機器Hを操作可能なリモコンRに対してネットワークとしてのインターネット回線Nを介して遠隔から操作指令を送信可能なサーバSと、当該サーバSを介して各種情報を記憶するデータベースDが設けられている。
【0027】
ここで、住宅設備機器Hは、住宅などの各戸Kの外部からの遠隔操作が可能な設備であり、風呂設備、床暖房設備、浴室暖房乾燥機、給湯器、コンロ、及びエアコン、ファンヒータ等の電気機器及びガス機器等の住宅設備が挙げられ、これ以外の住宅設備であっても構わない。これらの住宅設備機器Hは、リモコンRからの操作指令に従って制御部H1により各種運転等を実行可能に構成されている。
リモコンRは、住宅設備機器Hの操作機器であり、住宅設備機器Hと通信ケーブルTを介して接続されている。
【0028】
各戸Kには、インターネット回線Nに回線終端装置(図示せず)等を介して接続されているルータRUが設けられている。リモコンRには外部との間でデータの送受信が可能な第1通信部R1が設けられると共に、サーバSには外部との間でデータの送受信が可能な第3通信部S1が設けられており、当該構成により、リモコンRは、当該ルータRUとの間で例えば無線LANにて通信可能であると共に、インターネット回線NによりサーバSと通信可能に構成されている。
【0029】
スマートフォン等の携帯通信端末Mは、上記各戸Kの内部又はその近傍に位置する場合で、且つ上記リモコンRとペアリングしているペアリング状態にある場合、携帯通信端末Mの第2通信部M1とリモコンRの第1通信部R1とが、ルータRUによる無線LANにより宅内通信可能に構成されている。
上記宅内通信に関し、説明を加えると、リモコンRとペアリング済みの携帯通信端末Mは、UDP(User Datagram Protocol)やTCP(Transmission Control Protocol)に基づいた各戸K内の宅内通信により、例えば10秒間隔で軽量通信を実行している。
【0030】
更に、各戸Kには、玄関扉Gに対して施錠状態と開錠状態とを電気的に切り換える電子錠Jが設けられており、当該電子錠Jは、ルータRUを介して無線LAN及びインターネット回線Nにより、施錠状態及び開錠状態に関する状態を、サーバSに送信可能に構成されている。
【0031】
当該実施形態に係る遠隔操作システム100では、各戸Kから外出した使用者が、携帯通信端末Mを用いて各戸Kの外部からペアリングされたリモコンRを遠隔操作できることが好ましい。
ただし、リモコンRのIPアドレスは通常グローバルIPアドレスではないため、リモコンRと各戸Kの外部に位置する携帯通信端末Mとは、直接通信することができない。
このため、当該実施形態に係る遠隔操作システム100では、サーバSを介して遠隔操作に係る通信を実行する。
具体的には、住宅設備機器Hの使用者がリモコンRにて遠隔操作を有効設定にすると、リモコンRがサーバSに対し自身が遠隔操作の対象機器である情報を送信し、サーバSは、データベースDに当該リモコンRが遠隔操作対象であることを示す遠隔操作フラグを登録する。当該データベースDには、リモコンRにペアリングされている携帯通信端末Mの個別識別情報も、リモコンRに紐付ける形態で登録される。
遠隔操作を有効設定にされたリモコンRは、サーバSに対して遠隔操作に係る通信を開始するが、携帯通信端末Mからの遠隔操作指令は、以下のように住宅設備機器Hに送信される。具体的には、各戸Kの外部に位置する携帯通信端末Mにて、使用者が遠隔操作アプリ等としての遠隔操作指示部M4を操作することで、携帯通信端末MからサーバSに遠隔操作に係る遠隔操作情報(住宅設備機器Hの遠隔操作指令に加え、携帯通信端末の個別識別情報を含む情報)が送信される。
ちなみに、遠隔操作フラグが立っていないリモコンRは、例えば、60分に1度程度の間隔で、住宅設備機器Hが持っている全情報をサーバSに送信する。
ここで、サーバSは、HTTPに基づいてリモコンRと通信しているため、リモコンRから何らかのリクエスト通信がない限り、サーバSからリモコンRへ情報を送信することはできない。そこで、サーバSは、当該遠隔操作情報を送信した携帯通信端末Mと紐付くリモコンRをデータベースDにて検索し、当該リモコンRに紐付ける形で遠隔操作情報を記憶する。
そして、所定の待機時間間隔(例えば、5分間隔)又は住宅設備機器Hの状態変化時にリモコンRからリクエスト通信としての指示要求取得通信を受けたときに、サーバSは、当該指示要求取得通信を実行したリモコンRに紐付く遠隔操作情報があるか否かをデータベースDに問い合わせ、当該遠隔操作情報がある場合に、当該遠隔操作情報をリモコンRに返信する。
以上の如く、遠隔操作通信をする場合、携帯通信端末Mが遠隔操作情報を送信した時点からリモコンRが遠隔操作情報を取得するまでに、所定の待機時間間隔のタイムラグが生じることになる。
そこで、当該実施形態に係る遠隔操作システム100は、以下の構成を備えている。
【0032】
即ち、遠隔操作システム100では、リモコンRが、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高いか否かを判定する遠隔操作判定部R4と、遠隔操作判定部R4が、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定した場合に、リモコンRとサーバSの両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度切断しないロングポーリングを用いた第1通信(
図2のC1に示す通信状態)とし、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定した場合に、両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度接続する第2通信(
図2のC2に示す通信状態)とする通信状態切換部R5とを備える。ちなみに、第2通信では都度接続される以外は、通信が切断されている。
当該構成により、遠隔操作判定部R4が、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定した場合、通信状態切換部R5は、リモコンRとサーバSの両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度切断しないロングポーリングを用いた第1通信とするから、例えば、リモコンRはサーバSに対し、通信の都度コネクションを張り直す必要がなくなるため、コネクションを張ることに伴う負荷(接続と切断に伴う通信負荷)を気にすることなく、リモコンRが指示要求取得通信を実行する時間間隔としての遠隔操作の反映の時間間隔を、比較的短い時間間隔(例えば、1分以内の時間間隔)にして、ユーザが不便さを感じない程度の時間間隔で遠隔操作を実行できる。更に、遠隔操作判定部R4が、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定した場合、通信状態切換部R5は、両者の通信を、両者のコネクションが送受信の都度接続する第2通信とするから、第2通信にてサーバSへの接続が維持されるリモコンRの台数を制限して通信負荷を制限でき、通信環境の悪化を防止できる。ちなみに、第2通信では、リモコンRが遠隔操作情報をサーバから受信する時間間隔としての所定の待機時間間隔は、上述した通り、5分、又は5分より長い時間に設定される。
尚、当該実施形態においては、遠隔操作判定部R4は、例えば、ホームセキュリティシステムとしての人感センサ(図示せず)の検出結果により、各戸Kに人が滞在していないと認められる場合に、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高いと判定し、各戸Kに人が滞在していると認められる場合に、リモコンRが外部から遠隔操作される可能性が高くないと判定する。
【0033】
当該実施形態では、遠隔操作の判定として、携帯通信端末Mを用いた判定を好適に用いることができる。
説明を追加すると、遠隔操作判定部R4は、リモコンRとペアリング済みの携帯通信端末Mが、各戸Kに設けられるルータRUを介して無線通信による宅内通信が可能な宅内接続状態であるときに遠隔操作される可能性が高くないと判定し、リモコンRと携帯通信端末Mが宅内接続状態にないときに遠隔操作される可能性が高いと判定する。
換言すると、遠隔操作判定部R4は、リモコンRとペアリング済みの携帯通信端末MがリモコンRと宅内接続状態にあるときに携帯通信端末Mが各戸K内に存在しリモコンRが遠隔操作される可能性が高くないと判定し、携帯通信端末MがリモコンRと宅内接続状態にないときに携帯通信端末Mが各戸K外に存在しリモコンRが遠隔操作される可能性が高いと判定する。
【0034】
尚、携帯通信端末MからリモコンRへ所定の情報を送信すると、近くにリモコンRが存在する場合には、リモコンRから携帯通信端末Mへ応答が返信される。遠隔操作判定部R4は、リモコンRからの応答がない場合は、携帯通信端末Mが宅内に存在しないと判断するが、リモコンRも一定の期間以上携帯通信端末Mからの宅内通信が無い場合に携帯通信端末Mが宅内に存在しないと判断する。
【0035】
また、遠隔操作判定部R4は、上記宅内接続状態に基づく遠隔操作の可能性の判定に替えて、携帯通信端末Mの位置情報に基づいた判定を行うこともできる。
つまり、携帯通信端末Mの位置情報に基づいた判定を行う場合、携帯通信端末Mが、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)に基づいて自身の位置情報を取得する位置情報取得部M3と、当該位置情報取得部M3にて取得した自身の位置情報をサーバSに送信する位置情報送信部M2とを備えている。
サーバSは、受信した位置情報を、位置情報を送信した携帯通信端末Mと過去にペアリングして紐付いているリモコンRに紐付ける形態でデータベースDに記憶する。
リモコンRは、所定期間(例えば、5分)毎のサーバSとの指示要求取得通信により、データベースDに記憶され自身に紐付く携帯通信端末Mの位置情報を受信可能に構成されていると共に、リモコンRの設置位置に係る設置位置情報(自身の設置位置情報)が記憶される第1記憶部R2が設けられる。
そして、リモコンRに設けられる遠隔操作判定部R4は、受信した携帯通信端末Mの位置情報がリモコンRの設置位置情報と一致する場合(例えば、
図2のC2に示すようにリモコンRの設置位置から所定距離Lの範囲内にある場合)に、遠隔操作される可能性が高いと判定し、一致しない場合(例えば、
図2のC1に示すようにリモコンRの設置位置から所定距離Lの範囲外にある場合)に、遠隔操作される可能性が高くないと判定する。
【0036】
尚、遠隔操作判定部R4は、上記宅内接続状態に基づく遠隔操作の可能性の判定と、携帯通信端末Mの位置情報に基づいた遠隔操作の可能性の判定との何れか一方にて、携帯通信端末M及び使用者が各戸Kの外部に位置するとされた場合に、遠隔操作される可能性が高いと判定し、両方にて携帯通信端末M及び使用者が各戸Kの内部に位置するとされた場合に、遠隔操作の可能性が高くないと判定する構成を採用しても構わない。
【0037】
更に、当該実施形態に係る遠隔操作システム100にあっては、遠隔操作の可能性の判定を、各戸Kの使用者により設定される情報や、各戸Kに設けられる電子錠Jの施錠・開錠状態に基づいて実行する。
具体的には、リモコンRが、各戸Kに人が滞在していない時間帯である非滞在時間帯を設定する非滞在時間帯設定部R3を備え、各戸Kの居住者(携帯通信端末Mの使用者)が、例えば、自身のスケジュールに対応した非滞在時間帯を設定する。尚、当該非滞在時間帯設定部R3は、居住者が使用する別途のWEBスケジューリングアプリと連携する形で、自動的に非滞在時間帯(非滞在予定時間帯)を設定する構成とすることもできる。
遠隔操作判定部R4は、非滞在時間帯設定部R3にて設定された非滞在時間帯は遠隔操作される可能性が高いと判定し、非滞在時間帯以外の時間帯は遠隔操作される可能性が高くないと判定する。尚、当該構成において、非滞在時間帯に替えて滞在時間帯を設定する構成を採用しても構わない。
【0038】
また、遠隔操作判定部R4は、各戸Kに設けられる電子錠Jが施錠状態である場合に、遠隔操作される可能性が高いと判定し、電子錠Jが開錠状態である場合に、遠隔操作される可能性が高くないと判定する。
【0039】
これまで、説明してきた遠隔操作判定部R4による遠隔操作の可能性の判定は、複数を合わせて用いることができる。一例を挙げると、通信状態切換部R5は、遠隔操作判定部R4の複数の判定にて何れか一つ以上にて遠隔操作される可能性が高いと判定される場合に、第1通信に切り換え、遠隔操作判定部R4の複数の判定のすべてにて遠隔操作される可能性が高くないと判定される場合に、第2通信に切り替える制御としても良い。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、各戸Kにおいて、電子錠Jが設けられる構成について説明したが、遠隔操作判定部R4が、電子錠Jの施錠状態及び開錠状態を遠隔操作される可能性の判定情報として用いない場合、電子錠Jを設けない構成を採用しても構わない。
【0040】
(2)上記実施形態では、遠隔操作判定部R4及び通信状態切換部R5は、リモコンRに設けられる構成例を示したが、両者は、サーバSに設けられる構成であっても構わない。
【0041】
(3)上記実施形態では、遠隔操作判定部R4は、携帯通信端末Mの位置情報に基づく判定を実施する構成例を示したが、以下の構成を実施しても構わない。
即ち、携帯通信端末Mは、ペアリングしたリモコンRが設けられる各戸Kから外出していることを示す外出状態情報をサーバSに送信する外出状態情報送信部(図示せず)を備える。
ここで、外出状態情報送信部は、携帯通信端末Mが有する位置情報取得部M3の位置が、携帯通信端末Mが紐付くリモコンRの設置位置と一致しない場合に、外出状態をサーバSに送信する。
サーバSは、受信した外出状態情報を携帯通信端末Mと過去にペアリングしたリモコンRに紐付ける形態でデータベースDに記憶する。
リモコンRは、所定期間(例えば、5分)毎のサーバSとの定期通信により、データベースDに記憶され自身に紐付く外出状態情報を受信可能に構成されている。
リモコンRに設けられる遠隔操作判定部R4は、リモコンRが外出状態情報を受信した場合に、遠隔操作される可能性が高いと判定し、リモコンRが外出状態情報を受信しなかった場合に、遠隔操作される可能性が高くないと判定する。
【0042】
(4)上記実施形態の非滞在時間帯設定部R3に替えて、外出時点のみを設定する構成であっても構わない。
例えば、一日のうちで各戸Kから人が外出する時点である外出時点を設定する外出時点設定部(図示せず)を備え、居住者が当該外出時点設定部にて、外出する時点を設定する構成を採用することができる。
遠隔操作判定部R4は、一日のうちで外出時点設定部にて設定された外出時点より前は遠隔操作がされる可能性が高くないと判定し、一日のうちで外出時点の以降は遠隔操作される可能性が高いと判定する。
因みに、外出時点設定部についても、非滞在時間帯設定部R3と同様に、居住者が使用する別途のWEBスケジューリングアプリと連携する形で、自動的に外出時点(外出予定時点)を設定する構成とすることもできる。
【0043】
(5)また、電力使用量を用いて遠隔操作の可能性の判定を行うこともできる。
すなわち、各戸Kの現時点での電力使用量を測定可能な電力使用量測定部(図示せず)を備え、遠隔操作判定部R4は、電力使用量測定部にて測定される電力使用量が各戸Kにて定められる基準の電力使用量である電力使用量閾値以下の場合に、遠隔操作される可能性が高いと判定し、電力使用量測定部にて測定される電力使用量が電力使用量閾値を超える場合に、遠隔操作される可能性が高くないと判定することができる。
当該判定については、居住者の非活動時間帯(例えば、夜間)については、遠隔操作がされる可能性が高くないにもかかわらず、高いと判定されることが想定されるので、夜間の時間帯を除いた判定とする構成を採用しても良い。
【0044】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の遠隔操作システム100は、通信環境の悪化を抑制しながらも、応答性の良い安定した通信を実現できる遠隔操作システムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
100 :遠隔操作システム
D :データベース
H :住宅設備機器
J :電子錠
K :戸
M :携帯通信端末
M2 :位置情報送信部
R :リモコン
R3 :非滞在時間帯設定部
R4 :遠隔操作判定部
R5 :通信状態切換部
RU :ルータ
S :サーバ
S2 :遠隔操作判定部