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特開2023-105623生体認証装置、生体認証方法および生体認証システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105623
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】生体認証装置、生体認証方法および生体認証システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230724BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G06T7/00 510F
G06T1/00 340A
G06T7/00 660A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006566
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤山 毅
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛
【テーマコード(参考)】
5B043
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA04
5B043DA05
5B043EA02
5B043EA04
5B043EA05
5B043GA02
5B057BA02
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE09
5B057CE12
5B057DA11
5B057DB02
5B057DC16
5B057DC36
5L096AA06
5L096CA02
5L096EA35
5L096EA43
5L096FA06
5L096HA07
(57)【要約】
【課題】生体認証に用いられる口唇紋をより容易に取得できる。
【解決手段】生体認証装置は、人物が撮像された撮像画像を取得する取得部と、撮像画像から人物の口唇紋を抽出する口唇紋抽出部と、抽出された口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合に基づいて、人物を特定する認証部と、を備え、認証部は、抽出された口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、口唇紋の人物であると特定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物が撮像された撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像から前記人物の口唇紋を抽出する口唇紋抽出部と、
抽出された前記口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合に基づいて、前記人物を特定する認証部と、を備え、
前記認証部は、抽出された前記口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、前記同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、前記口唇紋の前記人物であると特定する、
生体認証装置。
【請求項2】
前記口唇紋抽出部は、前記撮像画像から前記人物の唇を含む唇領域を抽出した唇画像を生成し、生成された前記唇画像から前記人物の口唇紋を抽出する、
請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記口唇紋抽出部は、前記唇画像を2値化し、2値化された唇画像から前記口唇紋を抽出する、
請求項2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記口唇紋抽出部は、前記唇画像のコントラストを補正し、コントラストが補正された唇画像から前記唇のエッジを抽出し、抽出された前記唇のエッジに基づいて、前記唇画像を2値化する、
請求項3に記載の生体認証装置。
【請求項5】
1以上のコンピュータが行う生体認証方法であって、
人物が撮像された撮像画像を取得し、
前記撮像画像から前記人物の口唇紋を抽出し、
抽出された前記口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合し、
抽出された前記口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、前記同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、前記口唇紋の前記人物であると特定する、
生体認証方法。
【請求項6】
カメラにより撮像された人物の撮像画像を取得する端末装置と、
前記端末装置との間で通信可能なサーバと、を備える生体認証システムであって、
前記端末装置は、
前記撮像画像に映る前記人物の唇の開口率を算出し、
算出された前記開口率が閾値以下であるか否かを判定し、
前記開口率が前記閾値以下であると判定した場合、前記撮像画像から前記唇が映る領域を切り出した唇画像を生成して、前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記唇画像から前記人物の口唇紋を抽出し、
抽出された前記口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合し、
抽出された前記口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、前記同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、前記口唇紋の前記人物であると特定する、
生体認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体認証装置、生体認証方法および生体認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、訪問者の顔を撮像した顔画像を画像処理して特徴を抽出し、特徴によって登録済みの顔画像を検索照合して個人認証する顔認証システムが開示されている。顔認証システムは、顔画像の大きさを正規化して輪郭線を検出し、輪郭線が閉じた閉領域からなる一般特徴と、輪郭線が開端になる線分および孤立した点からなる固有特徴とを検出し、登録者の顔画像に一般特徴および固有特徴を重ね書きして登録する特徴処理済み顔画像ファイルと、特徴処理済み画像ファイルとを一般特徴および固有特徴でパターンマッチング照合して訪問者を認識する。ここで、一般特徴は、顔、頭髪、目、眉、鼻孔、口の輪郭線を指す。固有特徴は、顔の凹凸によって生じるしわ、疵、ほくろなどを指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-242432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、一般特徴と固有特徴とをそれぞれ用いて訪問者認証を実行しなければいけないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来の状況に鑑みてなされたものであり、生体認証に用いられる口唇紋をより容易に取得できる生体認証装置、生体認証方法および生体認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、人物が撮像された撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像から前記人物の口唇紋を抽出する口唇紋抽出部と、抽出された前記口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合に基づいて、前記人物を特定する認証部と、を備え、前記認証部は、抽出された前記口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、前記同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、前記口唇紋の前記人物であると特定する、生体認証装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、1以上のコンピュータが行う生体認証方法であって、人物が撮像された撮像画像を取得し、前記撮像画像から前記人物の口唇紋を抽出し、抽出された前記口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合し、抽出された前記口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、前記同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、前記口唇紋の前記人物であると特定する、生体認証方法を提供する。
【0008】
また、本開示は、カメラにより撮像された人物の撮像画像を取得する端末装置と、前記端末装置との間で通信可能なサーバと、を備える生体認証システムであって、前記端末装置は、前記撮像画像に映る前記人物の唇の開口率を算出し、算出された前記開口率が閾値以下であるか否かを判定し、前記開口率が前記閾値以下であると判定した場合、前記撮像画像から前記唇が映る領域を切り出した唇画像を生成して、前記サーバに送信し、前記サーバは、前記唇画像から前記人物の口唇紋を抽出し、抽出された前記口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合し、抽出された前記口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、前記同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、前記口唇紋の前記人物であると特定する、生体認証システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生体認証に用いられる口唇紋をより容易に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る生体認証装置の内部構成例を示す図
図2】実施の形態1に係る生体認証装置の動作手順例を示すフローチャート
図3】実施の形態1~3における画像処理例を説明する図
図4】実施の形態2に係る生体認証システムの全体構成例を示す図
図5】実施の形態2における端末装置の内部構成例を示すブロック図
図6】実施の形態2におけるサーバの内部構成例を示すブロック図
図7】実施の形態2における端末装置およびサーバの動作手順例を示すフローチャート
図8】開口率の算出処理例を説明する図
図9】実施の形態3における端末装置の内部構成例を示すブロック図
図10】実施の形態3における端末装置およびサーバの動作手順例を示すフローチャート
図11】唇画像の変形処理例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る生体認証装置、生体認証方法および生体認証システムを具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、実施の形態1に係る生体認証装置DV1の全体構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る生体認証装置DV1の内部構成例を示す図である。
【0013】
カメラC1は、生体認証装置DV1との間でデータ送受信可能に接続される。カメラC1は、生体認証装置DV1により制御されて認証対象である人物を撮像し、撮像された撮像画像を生体認証装置DV1に送信する。
【0014】
生体認証装置DV1は、例えば、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等を用いて実現され、カメラC1との間でデータ送受信可能に接続される。
【0015】
生体認証装置DV1は、カメラC1により撮像された認証対象である人物の撮像画像を取得する。生体認証装置DV1は、カメラC1から送信された撮像画像を取得し、取得された撮像画像から人物の顔が映る領域(以降、「顔領域」と表記)を抽出する。端末装置P1Aは、抽出された顔領域から、人物の唇が映る領域(以降、「唇領域」と表記)をさらに抽出した唇画像を生成し、生成された唇画像から人物の口唇紋を抽出する。生体認証装置DV1は、抽出された口唇紋と、データベースDBに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋とを照合することで、認証対象である人物がデータベースDBに登録された人物であるか否かを判定したりする。
【0016】
生体認証装置DV1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ28と、表示部29と、データベースDBと、を含んで構成される。なお、データベースDBは、生体認証装置DV1との間でデータ送受信可能な外部装置として構成されてもよい。
【0017】
取得部の一例としての通信部10は、カメラC1との間でデータ送受信可能に接続される。通信部10は、カメラC1から送信された撮像画像をプロセッサ11に出力する。また、通信部10は、プロセッサ11から出力された制御指令(例えば、撮像処理を実行させる制御指令等)をカメラC1に送信する。
【0018】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、各部の動作を制御する。プロセッサ11は、メモリ28と協働して、各種の処理および制御を統括的に行う。具体的には、プロセッサ11は、メモリ28に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、口唇紋抽出部12、照合部22、スコア判定部26等の各部の機能を実現する。
【0019】
口唇紋抽出部12は、カメラC1により撮像された撮像画像から顔領域,唇領域のそれぞれを抽出し、撮像画像から唇領域を切り出した(抽出した)唇画像を生成する領域抽出部13と、唇画像から口唇紋を検出するための画像処理を実行する画像補正部18との機能を実現する。
【0020】
領域抽出部13は、顔検出部14、パーツ検出部15、および唇領域抽出部17のそれぞれの機能を実現可能に構成される。
【0021】
顔検出部14は、通信部10を介して取得された認証対象である人物が撮像された撮像画像から人物の顔を検出し、検出された顔が映る顔領域を抽出する。顔検出部14は、抽出された顔領域の情報をパーツ検出部15に出力する。
【0022】
パーツ検出部15は、顔検出部14により出力された顔領域の情報に基づいて、顔領域から認証対象である人物の目,鼻,口(唇)等の顔を構成する各パーツ(部位)を検出する。パーツ検出部15は、検出された各パーツの位置情報を唇領域抽出部17に出力する。
【0023】
唇領域抽出部17は、パーツ検出部15から出力された唇領域の情報に基づいて、撮像画像から唇領域を切り出した(抽出した)唇画像を生成する。唇領域抽出部17は、生成された唇画像を画像補正部18のコントラスト補正部19に出力する。
【0024】
画像補正部18は、コントラスト補正部19と、エッジ抽出部20、および2値化処理部21のそれぞれの機能を実現可能に構成される。
【0025】
コントラスト補正部19は、領域抽出部13の唇領域抽出部17から出力された唇画像から唇の皺(エッジ)を検出しやすくするために、唇画像のコントラストを補正する。ここで、コントラスト補正部19は、例えば、唇の皺部分のコントラストと、唇の皺以外の部分とのコントラストとのコントラスト比、またはコントラスト差が所定値以上となるように唇画像のコントラストを補正する。コントラスト補正部19は、補正後の唇画像をエッジ抽出部20に出力する。
【0026】
エッジ抽出部20は、コントラスト補正部19から出力された補正後の唇画像から唇の皺(エッジ)を抽出する。エッジ抽出部20は、抽出された唇の皺(エッジ)の情報を2値化処理部21に出力する。
【0027】
2値化処理部21は、エッジ抽出部20から出力された唇の皺(エッジ)の情報に基づいて、唇画像に2値化処理を実行する。これにより、2値化処理部21は、唇画像から唇の皺に基づく口唇紋をより容易に取得可能な唇画像を生成できる。2値化処理部21は、2値化処理後の唇画像から口唇紋を抽出する。2値化処理部21は、抽出された口唇紋を照合部22に出力する。
【0028】
認証部の一例としての照合部22は、画像補正部18により生成された口唇紋から認証対象である人物の個人性を示す特徴量を抽出し、抽出された口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された人物の口唇紋の特徴量と、をそれぞれ照合する。照合部22は、抽出された口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された口唇紋の特徴量との照合の度合いを示す照合スコアを算出する。照合部22は、特徴量抽出部23、照合スコア計算部24、およびスコア選択部25のそれぞれの機能を実現可能に構成される。
【0029】
特徴量抽出部23は、2値化処理部21から出力された口唇紋から認証対象である人物の特徴量を抽出する。特徴量抽出部23は、抽出された特徴量を照合スコア計算部24に出力する。
【0030】
照合スコア計算部24は、特徴量抽出部23から出力された特徴量と、データベースDBに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋の特徴量とをそれぞれ照合し、照合スコアを算出する。照合スコア計算部24は、算出された照合スコアをスコア選択部25に出力する。
【0031】
なお、ここでいう照合スコアは、認証対象である人物の口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された人物の口唇紋の特徴量との間の距離が小さいほど(つまり、類似しているほど)高く算出されるスコアである。また、ここでいう距離は、特徴量の違いを示す距離であり、ユークリッド距離であってもよい。
【0032】
実施の形態2、実施の形態3のそれぞれで説明する照合スコアは、認証対象である人物の口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された人物の口唇紋の特徴量との距離,ユークリッド距離等であるが、単に類似度を示すスコアであってもよい。照合スコアは、認証対象である人物の口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された人物の口唇紋の特徴量との距離,ユークリッド距離が小さいほどスコアが高く算出され、距離,ユークリッド距離が大きいほどスコアが低く算出される。
【0033】
なお、照合スコアが単に認証対象である人物の口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された人物の口唇紋の特徴量との類似度を示すスコアである場合には、照合スコアは、類似度が高いほど照合スコアが高く、類似度が低いほど照合スコアが低く算出されてよい。
【0034】
スコア選択部25は、照合スコア計算部24から出力された照合スコアのうち最も高い照合スコアを選択する。スコア選択部25は、選択された照合スコアに対応する人物の人物情報をデータベースDBから抽出し、選択された照合スコアと抽出された人物情報とを対応付けてスコア判定部26に出力する。
【0035】
認証部の一例としてのスコア判定部26は、スコア選択部25から出力された照合スコアに基づいて、認証対象である人物と、この照合スコアに対応する人物とが同一人物であるか否かを判定する。スコア判定部26は、スコア選択部25から出力された照合スコアが所定の照合スコア以下であると判定した場合には、認証対象である人物がデータベースDBに登録されていない人物である(つまり、認証失敗である)と判定してもよい。スコア判定部26は、認証結果(例えば、認証成功または認証失敗を通知する画面、特定された人物情報等を含む画面)を生成して、表示部29に出力して表示させる。
【0036】
例えば、スコア判定部26は、照合スコア計算部24により照合スコアが「0(ゼロ)~100」の値で算出される場合、照合スコアが80以下であるか否かを判定する。スコア判定部26は、照合スコアが80以下でないと判定した場合には、認証対象である人物と、この照合スコアに対応する人物とが同一人物である(つまり、認証成功)と判定する。
【0037】
一方、スコア判定部26は、照合スコアが80以下であると判定した場合には、認証対象である人物と、この照合スコアに対応する人物とが同一人物でない(つまり、認証失敗)と判定する。これにより、スコア判定部26は、照合スコアが低い(つまり、認証対象である人物の口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された口唇紋の特徴量との類似度が低い)場合に発生しうる誤認証をより効果的に抑制できる。
【0038】
メモリ28は、例えばプロセッサ11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)と、を有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0039】
表示部29は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイを用いて構成される。表示部29は、プロセッサ11から出力された撮像支援画面(不図示),認証結果を通知する画面(不図示)等を表示する。
【0040】
データベースDBは、所謂ストレージであって、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を用いて構成される。データベースDBは、人物の人物情報(例えば、氏名、年齢、性別等)と、口唇紋あるいは口唇紋の特徴量とを対応付けて人物ごとに格納(登録)する。
【0041】
次に、図2および図3を参照して、実施の形態1における生体認証装置DV1の動作手順について説明する。図2は、実施の形態1における生体認証装置DV1の動作手順例を示すフローチャートである。図3は、実施の形態1における画像処理例を説明する図である。
【0042】
生体認証装置DV1は、カメラC1から送信された認証対象である人物の顔を含む撮像画像Pt11を取得する(St11)。生体認証装置DV1は、取得された撮像画像Pt11から人物の顔を含む顔領域Pt12を抽出し(St12)、顔領域Pt12から顔を構成する各パーツ(例えば、目,鼻,口等)を検出する。
【0043】
生体認証装置DV1は、各パーツの検出結果に基づいて、唇領域Pt13を抽出する(St13)。生体認証装置DV1は、抽出された唇領域Pt13を切り出した唇画像を生成し、生成された唇画像のコントラストを補正する(St14)。生体認証装置DV1は、コントラスト補正後の唇画像から唇の皺のエッジを抽出し、唇画像に2値化処理を実行する(St14)。生体認証装置DV1は、2値化処理後の唇画像Pt14から認証対象である人物の口唇紋を抽出して口唇紋を生成する。
【0044】
生体認証装置DV1は、生成された口唇紋に基づいて、この人物の個人性を示す特徴量を抽出する。生体認証装置DV1は、抽出された口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋の特徴量とを照合する(St15)。
【0045】
生体認証装置DV1は、抽出された口唇紋の特徴量と、データベースDBに登録された口唇紋の特徴量との照合スコアを算出する。生体認証装置DV1は、算出された照合スコアのうち最も高い照合スコアを選択し、選択された照合スコアに対応する人物を、認証対象である人物と同一人物であると判定(特定)する(St16)。生体認証装置DV1は、特定された人物に対応する人物情報を含む認証結果を生成して、表示部29に出力する。
【0046】
以上により、実施の形態1における生体認証装置DV1は、カメラC1により撮像された撮像画像を用いて生体認証に用いられる口唇紋を抽出し、抽出された口唇紋を用いた生体認証を実行できる。
【0047】
以上により、実施の形態1に係る生体認証装置DV1は、人物が撮像された撮像画像を取得する通信部10(取得部の一例)と、撮像画像から人物の口唇紋を抽出する口唇紋抽出部12と、抽出された口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の登録口唇紋とを照合に基づいて、人物を特定する照合部22およびスコア判定部26(認証部の一例)と、を備える。照合部22は、抽出された口唇紋に同一あるいは類似する口唇紋(登録口唇紋の一例)があると判定した場合、同一あるいは類似する口唇紋に対応する人物を、口唇紋の人物であると特定する。なお、ここでいう1以上のコンピュータは、例えば、生体認証装置DV1を含むコンピュータである。
【0048】
これにより、実施の形態1に係る生体認証装置DV1は、撮像画像から認証対象である人物の口唇紋を取得し、取得された口唇紋と、データベースDBに登録された人物の口唇紋との照合結果(つまり、照合スコア)に基づいて、認証対象である人物を特定できる。
【0049】
また、以上により、実施の形態1に係る生体認証装置DV1における口唇紋抽出部12は、撮像画像から人物の唇を含む唇領域を抽出した唇画像を生成し、唇画像から人物の口唇紋を抽出する。これにより、実施の形態1に係る生体認証装置DV1は、撮像画像全体のうち口唇紋を抽出する領域を限定できる。また、生体認証装置DV1は、口唇紋の抽出処理に要する処理負荷を低減できる。
【0050】
また、以上により、実施の形態1に係る生体認証装置DV1における口唇紋抽出部12は、唇画像を2値化し、2値化された唇画像から口唇紋を抽出する。これにより、実施の形態1に係る生体認証装置DV1は、より高精度に口唇紋の抽出できる。
【0051】
また、以上により、実施の形態1に係る生体認証装置DV1における口唇紋抽出部12は、唇画像のコントラストを補正し、コントラストが補正された唇画像から唇のエッジを抽出し、抽出された唇のエッジに基づいて、唇画像を2値化する。これにより、実施の形態1に係る生体認証装置DV1は、口唇紋の抽出により適した唇画像を生成できる。また、生体認証装置DV1は、口唇紋の抽出により適した唇画像を2値化することで、より高精度に口唇紋の抽出できる。
【0052】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1に係る生体認証装置DV1は、カメラC1により撮像された撮像画像から認証対象である人物の口唇紋を抽出する例について示した。実施の形態2における端末装置P1は、撮像画像に映る唇(口)の開口率VPHに基づいて、カメラC1により撮像された撮像画像が、生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像であると判定した場合に口唇紋を抽出する例について説明する。
【0053】
なお、実施の形態2における生体認証システム100の端末装置P1およびサーバS1のそれぞれの説明において、実施の形態1に係る生体認証装置DV1と同様の構成には同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0054】
まず、図4を参照して、実施の形態2に係る生体認証システム100の全体構成について説明する。図4は、実施の形態2に係る生体認証システム100の全体構成例を示す図である。なお、図4では図示を省略しているが、端末装置P1とサーバS1とは、1以上のネットワークを介してデータの送受信が可能であってよい。
【0055】
生体認証システム100は、カメラC1と、端末装置P1と、サーバS1とを含んで構成される。生体認証システム100は、カメラC1によって認証対象である人物を撮像する。生体認証システム100は、端末装置P1によって、撮像された撮像画像が認証対象である人物の口唇紋を取得可能な撮像画像であると判定した場合に、この撮像画像から人物の唇が映る唇領域を抽出した(切り出した)唇画像を生成し、生成された唇画像に基づいて、口唇紋を取得する。生体認証システム100は、サーバS1によって、端末装置P1により取得された口唇紋と、データベースDBAに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋とを照合することで、認証対象である人物を特定したり、認証対象である人物がデータベースDBAに登録された人物であるか否かを判定したりする。
【0056】
カメラC1は、端末装置P1との間でデータ送受信可能に接続される。カメラC1は、端末装置P1により制御されて認証対象である人物を撮像し、撮像された撮像画像を端末装置P1に送信する。
【0057】
端末装置P1は、例えば、PC、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等を用いて実現される。端末装置P1は、カメラC1とサーバS1との間でそれぞれデータ送受信可能に接続される。端末装置P1は、カメラC1から送信された撮像画像を取得し、取得された撮像画像から人物の顔が映る顔領域を抽出する。端末装置P1は、抽出された顔領域から、人物の唇が映る唇領域をさらに抽出して、人物の唇(口)の開口の程度を示す開口率VPHを算出する。端末装置P1は、算出された開口率VPHに基づいて、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋を取得可能な撮像画像であるか否かを判定する。
【0058】
端末装置P1は、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋を取得可能な撮像画像であると判定した場合には、撮像画像から唇領域を抽出した(切り出した)唇画像を生成する。端末装置P1は、生成された唇画像から認証対象である人物の口唇紋を抽出して口唇紋データを生成して、サーバS1に送信する。一方、端末装置P1は、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋を取得可能な撮像画像でないと判定した場合、表示部33を用いて人物に再撮像を要求する通知画面(不図示)を出力したり、カメラC1を制御して再度撮像処理を実行させたりする。
【0059】
サーバS1は、一般的なサーバあるいはクラウドサーバにより実現される。サーバS1は、端末装置P1から送信された口唇紋のデータを取得し、取得された口唇紋と、データベースDBAに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋とを照合して照合スコアを算出する。
【0060】
サーバS1は、算出された照合スコアに基づいて、認証対象である人物を特定し、特定された人物情報、認証成功または認証失敗を示す情報等を含む認証結果を生成して、端末装置P1に送信する。
【0061】
次に、図5を参照して、実施の形態2における端末装置P1の内部構成について説明する。図5は、実施の形態2における端末装置の内部構成例を示すブロック図である。端末装置P1は、通信部30と、プロセッサ31と、メモリ32と、表示部33とを含んで構成される。
【0062】
通信部30は、カメラC1とサーバS1の通信部40との間でデータ送受信可能に接続される。なお、サーバS1の通信部40との間は、所定のネットワーク(不図示)を介して無線通信可能に接続されていてもよいし、有線通信可能に接続されていてもよい。
【0063】
通信部30は、カメラC1から送信された撮像画像をプロセッサ31に出力したり、サーバS1から送信された照合結果をプロセッサ31に出力したりする。また、通信部30は、プロセッサ31から出力された制御指令(例えば、撮像処理を実行させる制御指令等)をカメラC1に送信したり、プロセッサ31から出力された口唇紋のデータをサーバS1に送信したりする。
【0064】
なお、ここでいう無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)を介した通信である。
【0065】
プロセッサ31は、例えばCPU、DSPまたはFPGAを用いて構成され、各部の動作を制御する。プロセッサ31は、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を統括的に行う。具体的には、プロセッサ31は、メモリ32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、口唇紋抽出部12A等の各部の機能を実現する。
【0066】
口唇紋抽出部12Aは、カメラC1により撮像された撮像画像から顔領域,唇領域のそれぞれを抽出し、撮像画像から唇領域を切り出した(抽出した)唇画像を生成する領域抽出部13Aと、唇画像から口唇紋を検出するための画像処理を実行する画像補正部18Aとの機能を実現する。
【0067】
領域抽出部13Aは、顔検出部14、パーツ検出部15A、開口率算出部16、および唇領域抽出部17Aのそれぞれの機能を実現可能に構成される。
【0068】
パーツ検出部15Aは、顔検出部14により出力された顔領域の情報に基づいて、顔領域から認証対象である人物の目,鼻,口(唇)等の顔を構成する各パーツ(部位)を検出する。パーツ検出部15Aは、検出された各パーツの位置情報を開口率算出部16に出力する。
【0069】
開口率算出部16は、パーツ検出部15Aから出力された各パーツの位置情報に基づいて、顔領域から唇領域を検出する。開口率算出部16は、検出された唇領域から、上口唇結節の人中溝,右口角,左口角,および上唇の人中溝に対向する下唇の下縁の4箇所のそれぞれの位置(座標)を計測し、計測された4箇所のそれぞれの位置に基づいて、唇の開口率VPHを算出する。
【0070】
開口率算出部16は、算出された開口率VPHが閾値以下であると判定した場合、唇領域の情報を唇領域抽出部17Aに出力する。一方、開口率算出部16は、算出された開口率VPHが閾値以下でないと判定した場合、認証対象である人物をカメラC1に接近させるための撮像支援画面(不図示)を生成して表示部33に出力して表示させるとともに、カメラC1に人物を再撮像させる制御指令を生成し、通信部30を介してカメラC1に送信する。
【0071】
なお、閾値は、データベースDBAに登録されている口唇紋の開口率VPHに基づいて、決定されてよい。例えば、データベースDBAに登録されている口唇紋が、口が閉じている時(つまり、開口率VPH=0(ゼロ))の唇から取得された口唇紋である場合、閾値は、0(ゼロ)に設定されてよい。また、例えば、データベースDBAに登録されている口唇紋が、所定の母音を発話中であって半開き状態の唇から取得された口唇紋である場合、閾値は、この所定の母音に対応する開口率に設定されてよい。これにより、端末装置P1は、サーバS1により実行される認証処理により適した口唇紋の取得を実行できる。
【0072】
唇領域抽出部17Aは、開口率算出部16から出力された唇領域の情報に基づいて、撮像画像から唇領域を切り出した(抽出した)唇画像を生成する。唇領域抽出部17Aは、生成された唇画像を画像補正部18Aのコントラスト補正部19に出力する。
【0073】
画像補正部18Aは、コントラスト補正部19と、エッジ抽出部20、および2値化処理部21Aのそれぞれの機能を実現可能に構成される。
【0074】
2値化処理部21Aは、エッジ抽出部20から出力されたエッジ情報に基づいて、唇画像に2値化処理を実行する。これにより、2値化処理部21Aは、唇画像から唇の皺(口唇紋)をより容易に取得可能な唇画像を生成できる。2値化処理部21Aは、2値化処理後の唇画像から口唇紋を抽出する。2値化処理部21Aは、抽出された口唇紋に基づいて、口唇紋データを生成して、通信部30を介してサーバS1に送信する。
【0075】
メモリ32は、例えばプロセッサ31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMと、を有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0076】
表示部33は、例えばLCDまたは有機EL等のディスプレイを用いて構成される。表示部33は、プロセッサ31から出力された撮像支援画面(不図示),認証結果を通知する画面(不図示)等を表示する。
【0077】
次に、図6を参照して、実施の形態2におけるサーバS1の内部構成について説明する。図6は、実施の形態2におけるサーバS1の内部構成例を示すブロック図である。
【0078】
サーバS1は、通信部40と、プロセッサ41と、メモリ42と、データベースDBAとを含んで構成される。なお、図6に示す例におけるサーバS1は、データベースDBAを含んで構成される例を示すが、これに限定されない。例えば、データベースDBAは、サーバS1と別体で構成され、サーバS1との間で通信可能に接続された外部装置により実現されてよい。また、データベースDBAは、複数あってよい。
【0079】
通信部40は、端末装置P1の通信部30との間で無線通信あるいは有線通信可能に接続され、データの送受信を実行する。なお、ここでいう無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)などの無線LANを介した通信である。
【0080】
通信部40は、端末装置P1の通信部30から送信された口唇紋データをプロセッサ41に出力する。また、通信部40は、プロセッサ41から出力された認証結果の情報を端末装置P1の通信部30に送信する。
【0081】
プロセッサ41は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ42と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ41は、メモリ42に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより照合部22A,スコア判定部26等の各部の機能を実現する。
【0082】
照合部22Aは、端末装置P1から送信された口唇紋データから認証対象である人物の個人性を示す特徴量を抽出し、抽出された特徴量と、データベースDBに登録された口唇紋の特徴量との照合の度合いを示す照合スコアを算出する。照合部22Aは、特徴量抽出部23、照合スコア計算部24、およびスコア選択部25のそれぞれの機能を実現可能に構成される。
【0083】
特徴量抽出部23は、端末装置P1から送信された口唇紋データから認証対象である人物の特徴量を抽出する。特徴量抽出部23は、抽出された特徴量を照合スコア計算部24に出力する。
【0084】
照合スコア計算部24は、特徴量抽出部23から出力された特徴量と、データベースDBAに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋の特徴量とを照合し、照合スコアを算出する。照合スコア計算部24は、算出された照合スコアをスコア選択部25に出力する。
【0085】
スコア選択部25は、照合スコア計算部24から出力された照合スコアのうち最も高い照合スコアを選択する。スコア選択部25は、選択された照合スコアに対応する人物の人物情報をデータベースDBAから抽出し、選択された照合スコアと抽出された人物情報とを対応付けてスコア判定部26に出力する。
【0086】
スコア判定部26は、スコア選択部25から出力された照合スコアに基づいて、認証対象である人物と、この照合スコアに対応する人物とが同一人物であるか否かを判定する。スコア判定部26は、スコア選択部25から出力された照合スコアが所定の照合スコア以下であると判定した場合には、認証対象である人物がデータベースDBAに登録されていない人物である(つまり、認証失敗である)と判定してもよい。スコア判定部26は、認証対象である人物と、この照合スコアに対応する人物とが同一人物であるか否かを判定した判定結果に基づく認証結果を生成して、通信部40を介して端末装置P1に送信する。
【0087】
メモリ42は、例えばプロセッサ41の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ41の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ41により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ41の処理を規定するプログラムが書き込まれている。
【0088】
データベースDBAは、所謂ストレージであって、例えばフラッシュメモリ、HDDあるいはSSD等の記憶媒体を用いて構成される。データベースDBAは、人物ごとの人物情報(例えば、氏名、年齢、性別等)と、口唇紋あるいは口唇紋の特徴量とを対応付けて格納(登録)する。
【0089】
なお、データベースDBAは、異なる開口率の口唇紋のそれぞれを人物ごとに格納(登録)してもよい。例えば、データベースDBAに登録される口唇紋は、口を閉じている時(つまり、開口率VPH=0(ゼロ))の口唇紋、母音「あ」を発話中の口唇紋、母音「い」を発話中の口唇紋等が人物ごとに登録されていてよい。このような場合、データベースDBAは、人物情報と、口唇紋と、この口唇紋が取得された時の開口率、あるいは口唇紋が取得された時の発話母音の情報等とを対応付けて、人物ごとに格納(登録)する。
【0090】
次に、図7を参照して、実施の形態2における端末装置P1およびサーバS1の動作手順について説明する。図7は、実施の形態2における端末装置P1およびサーバS1の動作手順例を示すフローチャートである。
【0091】
端末装置P1は、カメラC1から送信された認証対象である人物の顔を含む撮像画像Pt11(図3参照)を取得する(St21)。端末装置P1は、取得された撮像画像Pt11から人物の顔を含む顔領域Pt12(図3参照)を抽出し(St22)、顔領域Pt12から顔を構成する各パーツ(例えば、目,鼻,口等)を検出する。
【0092】
端末装置P1は、各パーツの検出結果に基づいて、開口率VPHを算出する。
【0093】
ここで、図8を参照して、開口率VPHの算出処理について説明する。図8は、開口率VPHの算出処理例を説明する図である。
【0094】
端末装置P1における開口率算出部16は、パーツ検出部15Aから出力された各パーツの位置情報に基づいて、唇の右口角L0、左口角L1、人中溝L2、および下縁L3のそれぞれを検出する。開口率算出部16は、検出された右口角L0、左口角L1、人中溝L2、および下縁L3のそれぞれの位置を計測する。
【0095】
開口率算出部16は、計測された右口角L0の位置(L0x,L0y)と左口角L1の位置(L1x,L1y)との間の距離LHを算出する。また、開口率算出部16は、人中溝L2の位置(L2x,L2y)と下縁L3の位置(L3x,L3y)との間の距離LVを算出する。ここで、算出される距離LH,LVのそれぞれは、(数式1)を用いて算出される距離であってもよいし、(数式2)を用いて算出されるユークリッド距離であってもよい。
【0096】
【数1】
【0097】
【数2】
【0098】
開口率算出部16は、算出された距離LH,LVのそれぞれに基づいて、開口率VPH(=LV/LH)を算出する。
【0099】
端末装置P1は、算出された開口率VPHが閾値以下であるか否かを判定する(St23)。端末装置P1は、ステップSt23の処理において、算出された開口率VPHが閾値以下であると判定した場合(St23,YES)、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像であると判定し、唇領域Pt13(図3参照)を抽出する(St24)。
【0100】
一方、端末装置P1は、ステップSt23の処理において、算出された開口率VPHが閾値以下でないと判定した場合(St23,NO)、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像でないと判定し、認証対象である人物にカメラC1への接近を要求する撮像支援画面(不図示)を生成して、表示部33に出力して表示させる(St25)。端末装置P1は、カメラC1に再度撮像処理を実行させる制御指令を生成して、出力する。
【0101】
端末装置P1は、抽出された唇領域Pt13を切り出した唇画像を生成し、生成された唇画像のコントラストを補正する(St26)。端末装置P1は、コントラスト補正後の唇画像から唇の皺(エッジ)を抽出し、唇画像に2値化処理を実行する(St26)。端末装置P1は、2値化処理後の唇画像Pt14から認証対象である人物の口唇紋を抽出して口唇紋データを生成する。端末装置P1は、生成された口唇紋データを、通信部30を介してサーバS1に送信する。
【0102】
サーバS1は、端末装置P1から送信された口唇紋データに基づいて、この人物の個人性を示す特徴量を抽出する。サーバS1は、抽出された人物の口唇紋の特徴量と、データベースDBAに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋の特徴量とを照合する(St27)。
【0103】
サーバS1は、抽出された口唇紋の特徴量と、データベースDBAに登録された口唇紋の特徴量との照合スコアを算出する。サーバS1は、算出された照合スコアのうち最も高い照合スコアを選択し、選択された照合スコアに対応する人物を、認証対象である人物と同一人物であると判定(特定)する(St28)。サーバS1は、特定された人物に対応する人物情報を含む認証結果を生成して、端末装置P1に送信する。
【0104】
以上により、実施の形態2における端末装置P1は、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像であるか否かを判定できる。これにより、実施の形態2に係る生体認証システム100は、生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像を用いることで、生体認証精度をより向上させることができる。
【0105】
(実施の形態3)
上述した実施の形態2における端末装置P1は、撮像画像に映る唇の開口率VPHに基づいて、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像であるか否かを判定する例を示した。実施の形態3に係る端末装置P1Aは、カメラC1により撮像された撮像画像が生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像でないと判定した場合には、撮像された撮像画像を変形(編集)することで生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像を取得する例について説明する。
【0106】
図9を参照して、実施の形態3における端末装置P1Aの内部構成について説明する。図9は、実施の形態3における端末装置P1Aの内部構成例を示すブロック図である。なお、実施の形態3における端末装置P1Aの説明において、実施の形態1に係る生体認証装置DV1および実施の形態2に係る端末装置P1と同様の構成には同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0107】
実施の形態3における口唇紋抽出部12Aは、領域抽出部13Bおよび画像補正部18Aのそれぞれの機能を実現可能に構成される。領域抽出部13Bは、顔検出部14、パーツ検出部15A、開口率算出部16、および唇画像変形部17Bのそれぞれの機能を実現可能に構成される。
【0108】
唇画像変形部17Bは、開口率算出部16から出力された唇領域の情報に基づいて、撮像画像から唇領域を切り出した(抽出した)唇画像を生成する。また、唇画像変形部17Bは、開口率算出部16により算出された開口率VPHが0(ゼロ)となるように(つまり、撮像画像に映る唇が閉口するように)唇画像PCT1(図11参照)を変形する。唇画像変形部17Bは、変形後の唇画像PCT2(図11参照)を画像補正部18Aに出力する。
【0109】
次に、図10および図11のそれぞれを参照して、実施の形態3における端末装置P1AおよびサーバS1の動作手順について説明する。図10は、実施の形態3における端末装置P1AおよびサーバS1の動作手順例を示すフローチャートである。図11は、唇画像PCT1の変形処理例を説明する図である。
【0110】
端末装置P1Aは、カメラC1から送信された認証対象である人物の顔を含む撮像画像Pt11(図3参照)を取得する(St31)。端末装置P1Aは、取得された撮像画像Pt11から人物の顔を含む顔領域Pt12(図3参照)を抽出し(St32)、顔領域Pt12から顔を構成する各パーツ(例えば、目,鼻,口等)を検出する。端末装置P1Aは、各パーツの検出結果に基づいて、開口率VPHを算出する(St33)。
【0111】
端末装置P1Aは、算出された開口率VPHが0(ゼロ)であるか否かを判定する。端末装置P1Aは、算出された開口率VPHが0(ゼロ)であると判定した場合、唇領域Pt13(図3参照)を抽出する(St34)。
【0112】
端末装置P1Aは、唇画像PCT1に映る唇の開口率VPH=0(ゼロ)である唇画像PCT2を生成するための幾何学的変換式fを算出する(St35)。端末装置P1Aは、算出された幾何学的変換式fを用いて唇画像PCT1を変形し、唇画像PCT2を生成する(St35)。
【0113】
具体的に、端末装置P1Aは、上唇,下唇の輪郭(リップライン)を検出し、この輪郭上の複数の特徴点Pt21,Pt22,Pt23,Pt24,Pt25,Pt26,Pt27,Pt28,Pt29,Pt30,Pt31,Pt32,Pt33,Pt34のそれぞれを計測する。なお、ここで計測される輪郭上の複数の特徴点のそれぞれは、開口率VPHの算出に用いられた4箇所(つまり、唇の右口角L0、左口角L1、人中溝L2、および下縁L3のそれぞれ)を少なくとも含む。端末装置P1Aは、計測された複数の特徴点Pt21~Pt34のそれぞれに基づいて、唇の開口率VPH=0(ゼロ)にした時の複数の特徴点Pt21~Pt44のそれぞれに対応する複数の特徴点Pt41,Pt42,Pt43,Pt44,Pt45,Pt46,Pt47,Pt48,Pt49,Pt50,Pt51,Pt52,Pt53,Pt54のそれぞれを算出する。端末装置P1Aは、複数の特徴点Pt21~Pt34のそれぞれの位置を、複数の特徴点Pt41~Pt54のそれぞれの位置に変換するための幾何学的変換式fを算出する。
【0114】
端末装置P1Aは、変形された唇画像PCT2のコントラストを補正する(St36)。端末装置P1Aは、コントラスト補正後の唇画像PCT2から唇の皺(エッジ)を抽出し、唇画像PCT2に2値化処理を実行する(St36)。端末装置P1Aは、2値化処理後の唇画像Pt14(図3参照)から認証対象である人物の口唇紋を抽出して口唇紋データを生成し、生成された口唇紋データを、通信部10を介してサーバS1に送信する。
【0115】
サーバS1は、端末装置P1Aから送信された口唇紋データに基づいて、この人物の個人性を示す特徴量を抽出する。サーバS1は、抽出された認証対象である人物の口唇紋の特徴量と、データベースDBAに登録された少なくとも1人の人物の口唇紋の特徴量とを照合する(St37)。
【0116】
サーバS1は、抽出された口唇紋の特徴量と、データベースDBAに登録された口唇紋の特徴量との照合スコアを算出する(St38)。サーバS1は、算出された照合スコアのうち最も高い照合スコアを選択し、選択された照合スコアに対応する人物を、認証対象である人物と同一人物であると判定(特定)する(St38)。サーバS1は、特定された人物に対応する人物情報を含む認証結果を生成して、端末装置P1Aに送信する。
【0117】
以上により、実施の形態3における端末装置P1Aは、カメラC1による再撮像処理を行わずに、生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像を取得できる。これにより、実施の形態3に係る生体認証システム100は、生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像を用いることで、生体認証精度をより向上させることができる。
【0118】
以上により、実施の形態2および実施の形態3に係る生体認証システム100は、カメラC1により撮像された人物の撮像画像を取得する端末装置P1,P1Aと、端末装置P1,P1Aとの間で通信可能なサーバS1と、を備える。端末装置P1,P1Aは、撮像画像に映る人物の唇の開口率を算出し、算出された開口率が閾値以下であるか否かを判定し、開口率が閾値以下であると判定した場合、撮像画像から唇が映る領域を切り出した唇画像を生成して、サーバS1に送信する。サーバS1は、唇画像から人物の口唇紋を抽出し、抽出された口唇紋と、登録された少なくとも1人の人物の口唇紋(登録口唇紋の一例)とを照合し、抽出された口唇紋に同一あるいは類似する登録口唇紋があると判定した場合、同一あるいは類似する登録口唇紋に対応する人物を、口唇紋の人物であると特定する。
【0119】
これにより、実施の形態2および実施の形態3に係る生体認証システム100は、生体認証に用いられる口唇紋の抽出により適した撮像画像を取得できる。したがって、生体認証システム100は、生体認証精度をより向上させることができる。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、生体認証に用いられる口唇紋をより容易に取得できる生体認証装置、生体認証方法および生体認証システムとして有用である。
【符号の説明】
【0122】
10,30,40 通信部
11,31,41 プロセッサ
12,12A 口唇紋抽出部
13,13A,13B 領域抽出部
18,18A 画像補正部
22,22A 照合部
26 スコア判定部
28,32,42 メモリ
100 生体認証システム
C1 カメラ
DB,DBA データベース
DV1 生体認証装置
P1,P1A 端末装置
S1 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11