IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社西友エンジニアリングの特許一覧

<>
  • 特開-駆動機構 図1
  • 特開-駆動機構 図2
  • 特開-駆動機構 図3
  • 特開-駆動機構 図4
  • 特開-駆動機構 図5
  • 特開-駆動機構 図6
  • 特開-駆動機構 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105663
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】駆動機構
(51)【国際特許分類】
   F16D 1/093 20060101AFI20230724BHJP
   B65G 23/34 20060101ALI20230724BHJP
   H02K 7/00 20060101ALI20230724BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230724BHJP
   F16D 3/74 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
F16D1/093
B65G23/34
H02K7/00 A
H02K7/116
F16D3/74 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006632
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】521538136
【氏名又は名称】株式会社西友エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】西 公男
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB26
5H607CC01
5H607CC03
5H607CC09
5H607DD03
5H607DD19
5H607EE31
(57)【要約】
【課題】高価なモーター及び減速機を保護することができる駆動機構を提供する。
【解決手段】本駆動機構9は、ブレーキ付モーター10と、減速機43と、タイヤカップリング53と、を備え、タイヤカップリングは、テーパ孔61aが形成された第1ボス61と、テーパ孔62aが形成された第2ボス62と、を備え、第1ボスとモーターの駆動軸の間には第1アダプタ64が設けられ、第2ボスと減速機の入力軸の間には第2アダプタ65が設けられており、各アダプタは、スリーブ67と、スリーブの軸端側に形成されたネジ部に螺合されるナット68と、を備える。そして、スリーブに対するナットの螺合によりスリーブがテーパ孔とテーパ嵌合することで、第1ボスとモーターの駆動軸及び第2ボスと減速機の入力軸が連結されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ付モーターと、減速機と、前記モーターの駆動軸と前記減速機の入力軸とを繋ぐカップリングと、を備える駆動機構であって、
前記カップリングは、前記モーターの駆動軸が挿入可能なテーパ孔が形成された第1ボスと、前記減速機の入力軸が挿入可能なテーパ孔が形成された第2ボスと、を備え、
前記第1ボスと前記モーターの駆動軸の間には両者を結合する第1アダプタが設けられており、
前記第2ボスと前記減速機の入力軸の間には両者を結合する第2アダプタが設けられており、
前記第1アダプタ及び前記第2アダプタのそれぞれは、切割部を有し且つ外周面が前記テーパ孔に嵌合可能なテーパ状に形成されたスリーブと、前記スリーブの軸端側に形成されたネジ部に螺合されるナットと、を備え、
前記スリーブに対する前記ナットの螺合により前記スリーブが前記テーパ孔とテーパ嵌合することで、前記第1ボスと前記モーターの駆動軸及び前記第2ボスと前記減速機の入力軸が連結されていることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記第1ボスと前記モーターの駆動軸の間には、前記第1アダプタの前記切割部を介して両者を結合する第1キー結合部が設けられており、
前記第2ボスと前記減速機の入力軸の間には、前記第2アダプタの前記切割部を介して両者を結合する第2キー結合部が設けられている請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記カップリングはタイヤカップリングである請求項1又は2に記載の駆動機構。
【請求項4】
パン生地用リフターに用いられる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構に関し、更に詳しくは、ブレーキ付モーターの駆動軸と減速機の入力軸とがカップリングで繋がれた駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
中種法による仕込みエリアで分割機やミキサーにパン生地を搬送するためのパン生地用リフターが一般に用いられている(例えば、特許文献1等を参照)。このパン生地用リフターとしては、左右のコラム(主柱)と、左右のコラムの間に配置されて容器を保持する容器ホルダと、を備え、左右のコラムには、スクリューシャフト(主軸又は雄ネジ)が回転可能に設けられており、スクリューシャフトには、容器ホルダに連結されるスクリューナット(雌ネジ)が螺合されており、スクリューシャフトの回転により容器ホルダを昇降させるものが一般に知られている。
【0003】
この種のパン生地用リフターの駆動機構として、片側に1台の減速機を配置し、左右の主軸をチェーンで同時駆動するものが知られている。さらに、中央部に1台の減速機を配置し、左右の主軸をベベルギヤで駆動するものが知られている。しかしながら、チェーン式の駆動機構では、騒音や異物の撒き散らし等の問題があった。また、ベベルギヤ式の駆動機構では、ベベルギヤの破損が大事故に繋がる等の問題があった。
【0004】
そこで、上記問題を解決するパン生地用リフターの駆動機構として、ブレーキ付モーターと、一方の主軸に繋がる上流側の減速機と、他方の主軸に繋がる下流側の減速機と、両減速機の間に配置されるドライブシャフトと、を備え、モーターの駆動軸と上流側の減速機の入力軸とがキー結合部によりタイヤカップリングで連結されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-75478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、大手製パン工場で使用されるパン生地用リフターでは、約1トン程度の重量物であるパン生地を容器ホルダで持ち上げ、容器ホルダの1回の昇降で4回のモーターの駆動・停止が行われる。そして、24時間稼働の場合には1日で約400回のモーターの駆動・停止が行われることがある。すなわち、パン生地用リフターの駆動機構においては、重量物であるパン生地を収容した容器ホルダの昇降時にモーターの駆動・停止が頻繁に行われ、これに伴って大きな衝撃が付与される。したがって、上記の提案されたパン生地用リフターの駆動機構を用いても、カップリングのボスに対してモーター及び減速機の各軸が擦れて摩耗し易く、早ければ数年で高価なモーター及び減速機を交換する必要があった。
なお、上述の問題は、パン生地用リフターの駆動機構以外の各種装置においても、カップリングに対する回転軸の連結構造であれば同様に生じるものと考えられる。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高価なモーター及び減速機を保護することができる駆動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の通りである。
1.ブレーキ付モーターと、減速機と、前記モーターの駆動軸と前記減速機の入力軸とを繋ぐカップリングと、を備える駆動機構であって、
前記カップリングは、前記モーターの駆動軸が挿入可能なテーパ孔が形成された第1ボスと、前記減速機の入力軸が挿入可能なテーパ孔が形成された第2ボスと、を備え、
前記第1ボスと前記モーターの駆動軸の間には両者を結合する第1アダプタが設けられており、
前記第2ボスと前記減速機の入力軸の間には両者を結合する第2アダプタが設けられており、
前記第1アダプタ及び前記第2アダプタのそれぞれは、切割部(切断部)を有し且つ外周面が前記テーパ孔に嵌合可能なテーパ状に形成されたスリーブと、前記スリーブの軸端側に形成されたネジ部に螺合されるナットと、を備え、
前記スリーブに対する前記ナットの螺合(ねじ込み)により前記スリーブが前記テーパ孔とテーパ嵌合することで、前記第1ボスと前記モーターの駆動軸及び前記第2ボスと前記減速機の入力軸が連結されていることを特徴とする駆動機構。
2.前記第1ボスと前記モーターの駆動軸の間には、前記第1アダプタの前記切割部を介して両者を結合する第1キー結合部が設けられており、
前記第2ボスと前記減速機の入力軸の間には、前記第2アダプタの前記切割部を介して両者を結合する第2キー結合部が設けられている上記1.に記載の駆動機構。
3.前記カップリングはタイヤカップリングである上記1.又は2.に記載の駆動機構。
4.パン生地用リフターに用いられる上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の駆動機構。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駆動機構によると、カップリングは、モーターの駆動軸が挿入可能なテーパ孔が形成された第1ボスと、減速機の入力軸が挿入可能なテーパ孔が形成された第2ボスと、を備え、第1ボスとモーターの駆動軸の間には両者を結合する第1アダプタが設けられており、第2ボスと減速機の入力軸の間には両者を結合する第2アダプタが設けられており、第1アダプタ及び第2アダプタのそれぞれは、切割部を有し且つ外周面がテーパ孔に嵌合可能なテーパ状に形成されたスリーブと、スリーブの軸端側に形成されたネジ部に螺合されるナットと、を備える。そして、スリーブに対するナットの螺合によりスリーブがテーパ孔とテーパ嵌合することで、第1ボスとモーターの駆動軸及び第2ボスと減速機の入力軸が連結されている。これにより、カップリングのボスに対してモーター及び減速機の各軸が擦れずに摩耗なく連結されるため、高価なモーター及び減速機を保護することができる。その結果、ブレーキディスク以外のモーター及び減速機の交換を極力なくして修理費用を大幅に抑えることができる。
また、前記第1ボスと前記モーターの駆動軸の間に、前記第1アダプタの前記切割部を介して両者を結合する第1キー結合部が設けられており、前記第2ボスと前記減速機の入力軸の間に、前記第2アダプタの前記切割部を介して両者を結合する第2キー結合部が設けられている場合は、カップリングのボスに対してモーター及び減速機の各軸がより強固に連結される。
さらに、前記カップリングがタイヤカップリングである場合は、衝撃吸収性に優れるタイヤカップリングのボスに対してモーター及び減速機の各軸が擦れずに摩耗なく連結される。
さらに、パン生地用リフターに用いられる場合は、重量物であるパン生地を収容した容器ホルダの昇降時にモーターの駆動・停止が頻繁に行われ、これに伴って大きな衝撃が付与される駆動機構において、高価なモーター及び減速機を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施形態に係るパン生地用リフターの分解斜視図である。
図2】パン生地用リフターの駆動機構の正面図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4図3のIV-IV線断面拡大図である。
図5】実施形態に係るタイヤカップリングの斜視図である。
図6】実施形態に係るアダプタの斜視図である。
図7】パン生地用リフターの作用説明図であり、(a)はドゥボックスを容器ホルダに向かって前進させる状態を示し、(b)はドゥボックスを容器ホルダに保持させた状態を示し、(c)は容器ホルダの上昇途中の状態を示し、(d)は容器ホルダを上昇端側で反転させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0012】
以下、図面を用いて実施形態により本発明を具体的に説明する。
【0013】
本実施形態に係るパン生地用リフター1は、図1に示すように、左右のコラム(主柱)2a、2bと、左右のコラム2a、2bの間に配置されてドゥボックス(容器)4を保持する容器ホルダ5と、を備えている。これら各コラム2a、2bには、上下方向に延びるスクリューシャフト7が回転可能に設けられている。このスクリューシャフト7には、容器ホルダ5に連結されるスクリューナット8が螺合されている。そして、駆動機構9によりスクリューシャフト7を回転させることで、スクリューナット8とともに容器ホルダ5が昇降される(図7参照)。
【0014】
左右のコラム2a、2bは、垂直方向に延びる中空柱状に形成されている。これら各コラム2a、2bは、水平方向に離間して立設されている。また、各コラム2a、2bは、スクリューシャフト7の上部を吊り下げ状態で軸支するベアリングケース11と、スクリューシャフト7の下部を軸支するフランジユニット12と、を備えている。このベアリングケース11は、各コラム2a、2bに固定されるブラケット13に取り付けられている。さらに、ベアリングケース11内には、2個のラジアル軸受と1個のスラスト軸受が設けられているとともに、オイルシールにより高粘度のグリスが封入されている。このグリスは、オイルシールが損傷したり劣化や熱で粘度が低下したりすることでベアリングケース11内から漏れ出ることがある。
【0015】
なお、図1において、左のコラム2aでは、右のコラム2bに記載したスクリューシャフト7、ベアリングケース11及びフランジユニット12等の記載を省略し、右のコアラム2bでは、左のコラム2aに記載したスクリューナット8及びガイド部21等の記載を省略する。さらに、図1中の符号「25」は、図示しない分割機やミキサーに向かってパン生地を移送するためのシュートを示す。
【0016】
容器ホルダ5は、開放された前方から容器を保持可能である。この容器ホルダ5は、左右の側板16と、左右の側板16の間にかけ渡される後板17と、各側板16の内側に設けられる略L字状の支持板18と、を備えている。これら各側板16の外側面には、アーム19が水平軸回りに揺動自在に支持されている。これら各アーム19の間には、容器ホルダ5上に移送されたドゥボックス4の前方への飛び出しを防止するための安全バー20が取り付けられている。
【0017】
各側板16の外側面には、容器ホルダ5の昇降をガイドするためのガイド部21が設けられている。このガイド部21は、ガイド軸22と、ガイド軸22に軸支されるガイドローラ23と、を備えている。このガイドローラ23は、容器ホルダ5の昇降に伴ってコラム2a、2bに備えられるガイド面(図示省略)に沿って転動される。これにより、容器ホルダ5は、昇降されるとともに、上昇端側で後述する支持軸37を支点として反転される(図7参照)。さらに、ガイドローラ23の外周面には、横ブレ防止のためにウレタン樹脂等のライニングが施されている。
【0018】
容器ホルダ5の側面(具体的に側板16の外側面)には、支持軸37が嵌入する中心孔を有するボス27が設けられている。このボス27は、その軸心が左右のコラム2a、2bの並び方向に沿うように配置されている。さらに、ボス27は、支持軸37よりも軟らかく耐摩耗性に優れた金属(例えば、砲金(BC、PBC)等)により形成されている。
【0019】
スクリューシャフト7は、2条の台形ネジ又は角ネジを備えている。この台形ネジ及び角ネジのリードとしては、26~30mm(好ましくは26~28mm)を採用できる。より具体的に、台形ネジ又は角ネジは、そのピッチが13mmであり、そのリードが26mmであり、その外径が60mmである。さらに、スクリューシャフト7及びスクリューナット8には、高粘度のグリスが塗布されている。このグリスは、劣化で粘度が低下したり塵埃が付着したりするため定期的に補給(再塗布)されることが望ましい。
【0020】
スクリューナット8には、該スクリューナット8の外周を覆うようにナットハウジング32が取り付けられている。このスクリューナット8は、スクリューシャフト7に応じたリードを有する2条の台形ネジ又は角ネジを備えている。また、ナットハウジング32は、スクリューナット8のグリスの飛散と塵埃の侵入を防ぐためのものである。さらに、ナットハウジング32上には、横ブレ防止のための馬蹄状プレート33及びナットガイド34がこの順で取り付けられている。
【0021】
ナットハウジング32の外周面には、ボス27の中心孔に嵌入されて軸支される支持軸37が設けられている。この支持軸37は、左右のコラム2a、2bの並び方向に沿って延びている。また、ボス27に対する支持軸37の嵌入長さとしては、80~120mm(好ましくは90~110mm)を採用できる。より具体的に、嵌入長さは94mmである。さらに、支持軸37は、スクリューシャフト7に対する横方向の衝撃を吸収するためのガイドホイール38に挿通されている。このガイドホイール38は、支持軸37よりも軟らかく耐摩耗性に優れた金属(例えば、砲金(BC、PBC)等)により形成されている。さらに、ボス27に嵌入された支持軸37の先端側には、容器ホルダ4の横方向への移動を吸収するための隙間が設けられている。
【0022】
駆動機構9は、図1及び図2に示すように、1つのブレーキ付モーター10の動力を左右のコラム2a、2bの各スクリューシャフト7に伝達するものである。この駆動機構9は、左右のコラム2a、2bの上端部にかけ渡された支持部41上に配置されている。また、駆動機構9は、モーター10と、一方のスクリューシャフト7に繋げられる上流側のウォームギヤ式の減速機43と、他方のスクリューシャフト7に繋げられる下流側のウォームギヤ式の減速機44と、これら両減速機43、44の間に配置されるドライブシャフト45と、を備えている。
【0023】
モーター10の駆動軸10aと減速機43の入力軸43aとは、タイヤカップリング53で繋げられている。また、減速機43の出力軸43bは、チェーンカップリング47を介してスクリューシャフト7の上端部と繋げられている(図1参照)。このチェーンカップリング47には、グリスの飛散と塵埃の侵入を防ぐためのカップリングケース48が取り付けられている。さらに、減速機43の出力軸43cには、チェーン49が連結されるスプロケット50が取り付けられている。このチェーン49は、スクリューシャフト7の回転数(すなわち、容器ホルダ5の昇降位置)を検出するために用いられる。
【0024】
ドライブシャフト45は、複数(図中4つ)のピローユニット51により水平軸回りに回転自在に支持されている。このドライブシャフト45は、その一端側がタイヤカップリング46を介して減速機43の出力軸43dと繋げられており、その他端側がタイヤカップリング46を介して減速機44の入力軸44aと繋げられている。この減速機44の出力軸44bは、チェーンカップリング47を介してスクリューシャフト7の上端部と繋げられている。
【0025】
減速機43、44内には、2重のオイルシールにより低粘度の潤滑油が封入されている。この潤滑油は、オイルシールの損傷により減速機43、44内から漏れ出ることがある。また、減速機43、44には、潤滑油が熱くなったときにエアを抜くためのエア抜き弁が設けられている。さらに、減速機43、44は、その入力軸43a、44aがスラスト軸受及びラジアル軸受で軸支されており、その出力軸43b、44bがラジアル軸受で軸支されている。これに対して、減速機43、44の出力軸43b、44bがテーパローラー軸受で軸支される形態では、ガタが出やすく潤滑油漏れが生じやすい。
【0026】
なお、本パン生地用リフター1は、作業員の誤った位置取り等を検知するための人感センサー(図示省略)を備え、人感センサーの検知により、リフター1の作動を停止したり、音声や画面表示等で異常を報知したりする。さらに、本パン生地用リフター1は、作業者による動作手順が適正な手順と異なる場合(例えば、安全バー20のかけ忘れ等)、作業者による動作が適正な手順となるように音声や画面表示等で誘導(例えば、「安全バーをかけて下さい」等の誘導)する。
【0027】
本実施形態においては、図2及び図3に示すように、タイヤカップリング53(本発明に係る「カップリング」として例示する。)に対するモーター10の駆動軸10aの連結構造S1と、タイヤカップリング53に対する減速機43の入力軸43aの連結構造S2と、を含んでいる。
【0028】
タイヤカップリング53は、図3に示すように、左右一対のフランジ54、55と、各フランジ54、55にボルト56で取り付けられる圧力リング57、58と、各圧力リング57、58と各フランジ54、55の外周部の間に端部が挟持されるゴムタイヤ59と、を備えている(図5参照)。一方のフランジ54には、駆動軸10aが挿入可能なテーパ孔61aが形成された第1ボス(駆動側ボス)61が設けられている。さらに、他方のフランジ55には、入力軸43aが挿入可能なテーパ孔62aが形成された第2ボス(従動側ボス)62が設けられている。これら各テーパ孔61a、62aは、ボス61、62の外方に向かって縮径している。
【0029】
なお、タイヤカップリング46はモーター10の出力に応じて大きさを変えて選定される。例えば、モーター10の出力が2.2Kwであれば外径135mmのものが選定され、モーター10の出力が3.7Kwであれば外径155mmのものが選定される。これに対して、タイヤカップリング53はモーター10の出力にかかわらず、所定の大きさ(例えば外径155mm)のものが選定される。
【0030】
第1ボス61と駆動軸10aとの間には、両者61、10aを結合する第1アダプタ(駆動側アダプタ)64が設けられている。また、第2ボス62と入力軸43aとの間には、両者62、43aを結合する第2アダプタ(従動側アダプタ)65が設けられている。これら各アダプタ64、65は、切割部67aを有し且つ外周面がテーパ孔61a、62aに嵌合可能なテーパ状に形成されたスリーブ67と、スリーブ67の軸端部に形成されたネジ部67bに螺合されるナット68と、を備えている(図6参照)。このナット68とボス61、62の軸端面の間には、爪部69aを折り曲げてナット68の外周凹部68aに係止させることが可能なワッシャー69が設けられている。
【0031】
各アダプタ64、65においては、スリーブ67のネジ部67bにワッシャー69を介してナット68を螺合することで、スリーブ67がボス61、62の外方に引っ張られる。これにより、スリーブ67の外周面がテーパ孔61a、62aとテーパ嵌合するとともに、切割部67aの間隔が小さくなることでスリーブ67が縮径して、第1ボス61と駆動軸10a及び第2ボス62と入力軸43aが連結(一体化)される。
【0032】
なお、入力軸43a用のアダプタ65はモーター10の出力に応じて大きさを変えて選定される。例えば、モーター10の出力が2.2Kwであれば外径25mmのものが選定され、モーター10の出力が3.7Kwであれば外径30mmのものが選定される。これに対して、駆動軸10a用のアダプタ64はモーター10の出力にかかわらず、所定の大きさ(例えば外径28mm)のものが選定される。さらに、スリーブ67の厚さとしては例えば3~4mmを採用できる。
【0033】
第1ボス61と駆動軸10aとの間には、第1アダプタ64の切割部67aを介して両者61、10aを結合する第1キー結合部(駆動側キー結合部)71が設けられている(図4参照)。また、第2ボス62と入力軸43aとの間には、第2アダプタ65の切割部67aを介して両者62、43aを結合する第2キー結合部(従動側キー結合部)72が設けられている。これら各キー結合部71、72は、駆動軸10a及び入力軸43aの外周側に形成されたキー溝73と、各ボス61、62のテーパ孔61a、62aに形成されたキー溝74と、両キー溝73、74に圧入されるキー75と、を備えている。なお、キー溝74の幅としては例えば8mmを採用できる。
【0034】
次に、上記構成のパン生地用リフター1の作用効果について説明する。先ず、下降端に位置する容器ホルダ5に対してパン生地を収容したドゥボックス4を前進させる(図7(a)参照)。次に、安全バー20を下ろして容器ホルダ5にドゥボックス4を保持させる(図7(b)参照)。次いで、駆動機構9によるスクリューシャフト7の回転により容器ホルダ5を上昇させる(図7(c)参照)。この容器ホルダ5の上昇端側では、ガイド部21がガイド面(湾曲面部)を転動することで容器ホルダ5が反転され、ドゥボックス4内のパン生地がシュート25を介して分割機やミキサーに投入される(図7(d)参照)。その後、上記の作用と逆の手順で、容器ホルダ5を下降端まで下降させて安全バー20を外すことで、容器ホルダ5から空のドゥボックス4が取り出される。
【0035】
なお、本パン生地用リフター1では、安全対策として、容器ホルダ5は、その上昇時に反転手前で中間停止される。また、容器ホルダ5は、その下降時に中間停止され、それ以降の下降が手動スイッチで行われる。さらに、容器ホルダ5の下降時には警報装置が作動される。
【0036】
ここで、パン生地用リフター1の駆動機構9においては、重量物であるパン生地を収容した容器ホルダ5の昇降時にモーター10の駆動・停止が頻繁に行われ、これに伴って大きな衝撃が付与されることとなる。しかしながら、タイヤカップリング53の各ボス61、62のテーパ孔61a、62aにスリーブ67の外周面がテーパ嵌合されているとともに、ボス61と駆動軸10a及びボス62と入力軸43aがキー結合部71、72によりキー結合されているため、タイヤカップリング53の各ボス61、62に対する駆動軸10a及び入力軸43aの擦れが防止される。
【0037】
以上より、本実施形態のパン生地用リフターの駆動機構9によると、タイヤカップリング53は、モーター10の駆動軸10aが挿入可能なテーパ孔61aが形成された第1ボス61と、減速機43の入力軸43aが挿入可能なテーパ孔62aが形成された第2ボス62と、を備え、第1ボス61とモーター10の駆動軸10aの間には両者61、10aを結合する第1アダプタ64が設けられており、第2ボス62と減速機43の入力軸43aの間には両者62、43aを結合する第2アダプタ65が設けられており、第1アダプタ64及び第2アダプタ65のそれぞれは、切割部67aを有し且つ外周面がテーパ孔61a、62aに嵌合可能なテーパ状に形成されたスリーブ67と、スリーブ67の軸端側に形成されたネジ部67bに螺合されるナット68と、を備える。そして、スリーブ67に対するナット68の螺合によりスリーブ67がテーパ孔61a、62aとテーパ嵌合することで、第1ボス61とモーター10の駆動軸10a及び第2ボス62と減速機43の入力軸43aが連結されている。これにより、重量物であるパン生地を収容した容器ホルダ5の昇降時にモーター10の駆動・停止が頻繁に行われ、これに伴って大きな衝撃が付与される駆動機構9において、衝撃吸収性に優れるタイヤカップリング53のボス61、62に対してモーター10及び減速機43の各軸10a、43aが擦れずに摩耗なく連結されるため、高価なモーター10及び減速機43を保護することができる。その結果、ブレーキディスク以外のモーター10及び減速機43の交換を極力なくして修理費用を大幅に抑えることができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、第1ボス61と駆動軸10aとの間には、第1アダプタ64の切割部67aを介して両者61、10aを結合する第1キー結合部71が設けられており、第2ボス62と入力軸43aとの間には、第2アダプタ65の切割部67aを介して両者62、43aを結合する第2キー結合部72が設けられている。これにより、タイヤカップリング53のボス61、62に対してモーター10及び減速機43の各軸10a、43がより強固に連結される。
【0039】
尚、本発明においては、上記実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。すなわち、上記実施形態では、アダプタ64、65によるテーパ嵌合とキー結合部71、72によるキー結合とを併用する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、キー結合部71、72を設けずにアダプタ64、65によるテーパ嵌合のみを用いる形態としてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、タイヤカップリング53を備える駆動機構9を例示したが、これに限定されず、例えば、板バネ式、コイルバネ式、ベローズ式等のカップリングを備える駆動機構9としてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、パン生地を次工程へ搬送するためのパン生地用リフター1の駆動機構9を例示したが、これに限定されず、例えば、パン生地以外のペースト状食品材料やゴム材料などを次工程へ搬送するためのペースト状材料用リフターの駆動機構9としてもよい。
さらに、例えば、各種装置(例えば、加工装置、搬送装置等)やロボットの駆動機構9としてもよい。
【0042】
さらに、上記実施形態では、車輪付きの容器(ドゥボックス)4を例示したが、これに限定されず、例えば、車輪を備えない容器としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、各種装置やロボットなどを駆動させるための技術として広く利用される。特に、パン生地用リフターを駆動させるための技術として好適に利用される。
【符号の説明】
【0044】
1;パン生地用リフター、9;駆動機構、10;ブレーキ付モーター、10a;駆動軸、43;減速機、43a;入力軸、53;タイヤカップリング、61,62;ボス、61a,62a;テーパ孔、64,65;アダプタ、67;スリーブ、67a;切割部、67b;ネジ部、68;ナット、71,72;キー結合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7