(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105675
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】遠隔表示システム及び遠隔表示方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20230724BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230724BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 N
E02F9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006651
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 玄
(72)【発明者】
【氏名】奥村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健
(72)【発明者】
【氏名】杉村 俊輔
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003BA06
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003FA02
2D015CA00
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】作業機械の動作が変わるような指示を行う表示を適切に制御すること。
【解決手段】遠隔表示システム1は、遠隔地に備えられ、作業機械を遠隔で操作するオペレータに対する作業機械に関する情報の表示を制御するリモートモニタコントローラ80を備える。リモートモニタコントローラ80は、作業機械の動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含まないように表示をさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地に備えられ、作業機械を遠隔で操作するオペレータに対する前記作業機械に関する情報の表示を制御する表示制御部、
を備え、
前記表示制御部は、前記作業機械の動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含まないように表示をさせる
遠隔表示システム。
【請求項2】
前記作業機械に備えられ、前記作業機械に乗り込むオペレータに対する前記作業機械に関する情報の表示を制御する第2表示制御部と、を備え、
前記第2表示制御部は、前記作業機械の動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含んだ表示をさせる
請求項1に記載の遠隔表示システム。
【請求項3】
前記出力制限は、前記作業機械の異常時におけるエンジン出力制限である、
請求項1または2に記載の遠隔表示システム。
【請求項4】
前記出力制限は、尿素水の残量が少ないときにおける前記エンジン出力制限である、
請求項3に記載の遠隔表示システム。
【請求項5】
前記出力制限は、尿素水の噴射異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項3に記載の遠隔表示システム。
【請求項6】
前記出力制限は、尿素水の品質異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項3に記載の遠隔表示システム。
【請求項7】
前記出力制限は、ディーゼル微粒子捕集フィルタ機器異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項3に記載の遠隔表示システム。
【請求項8】
前記出力制限は、排気再循環装置の異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項3に記載の遠隔表示システム。
【請求項9】
前記出力制限は、選択触媒還元装置の異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項3に記載の遠隔表示システム。
【請求項10】
遠隔地に備えられた表示部に、作業機械を遠隔で操作するオペレータに対する前記作業機械に関する情報を表示する遠隔表示方法であって、
前記作業機械の動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含まないように表示をさせること、
を含む遠隔表示方法。
【請求項11】
前記作業機械に備えられた第2表示部に、前記作業機械に乗り込むオペレータに対する前記作業機械に関する情報の表示であって、前記作業機械の動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含んだ表示をさせること、
を含む請求項10に記載の遠隔表示方法。
【請求項12】
前記出力制限は、前記作業機械の異常時におけるエンジン出力制限である、
請求項10または11に記載の遠隔表示方法。
【請求項13】
前記出力制限は、尿素水の残量が少ないときにおける前記エンジン出力制限である、
請求項12に記載の遠隔表示方法。
【請求項14】
前記出力制限は、尿素水の噴射異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項12に記載の遠隔表示方法。
【請求項15】
前記出力制限は、尿素水の品質異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項12に記載の遠隔表示方法。
【請求項16】
前記出力制限は、ディーゼル微粒子捕集フィルタ機器異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項12に記載の遠隔表示方法。
【請求項17】
前記出力制限は、排気再循環装置の異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項12に記載の遠隔表示方法。
【請求項18】
前記出力制限は、選択触媒還元装置の異常時における前記エンジン出力制限である、
請求項12に記載の遠隔表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔表示システム及び遠隔表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両を遠隔で操作する作業機械の遠隔操作に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械の遠隔制御を行う際には、通信の遅れが生じる可能性がある。そこで、例えば、エンジン出力制限の解除のような、作業機械の動作が変わるような指示を遠隔側で行えないようにすることが望まれる。
【0005】
本開示の態様は、作業機械の動作が変わるような指示を行う表示を適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に従えば、遠隔地に備えられ、作業機械を遠隔で操作するオペレータに対する前記作業機械に関する情報の表示を制御する表示制御部、を備え、前記表示制御部は、前記作業機械の動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含まないように表示をさせる遠隔表示システムが提供される。
【0007】
本開示の態様に従えば、遠隔地に備えられた表示部に、作業機械を遠隔で操作するオペレータに対する前記作業機械に関する情報を表示する遠隔表示方法であって、前記作業機械の動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含まないように表示をさせること、を含む遠隔表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様によれば、作業機械の動作が変わるような指示を行う表示を適切に制御することができる遠隔表示システム及び遠隔表示方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る遠隔表示システムの概略図である。
【
図2】
図2は、画面の映像の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、画面の映像の他の例を説明する図である。
【
図4】
図4は、画面の映像の他の例を説明する図である。
【
図5】
図5は、画面の映像の他の例を説明する図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る遠隔表示システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
作業機械は、作業機械の運転席からの操作に加えて、作業機械の作業現場から離れた遠隔地からの遠隔操作が可能である。本実施形態においては、作業機械は、例えば、油圧ショベル等であるものとして説明するが、特に限定されない。
【0012】
油圧ショベルは、排出ガスを清浄化するために、尿素水を使用する。尿素水の残量が少なくなると、清浄化されていない排気ガスが排出される。そこで、油圧ショベルは、尿素水の残量が少なくなると、エンジンの出力を制限する機能、言い換えると、パワーを下げる機能を有する。
【0013】
<遠隔表示システム>
図1は、本実施形態に係る遠隔表示システム1の概略図である。遠隔表示システム1は、遠隔地において油圧ショベルを制御するための表示を制御するシステムである。遠隔表示システム1は、コントローラ10と、マルチモニタ30と、データ転送装置50と、リモートマルチモニタ70とを備える。遠隔表示システム1は、油圧ショベルに搭載された第2表示部であるマルチモニタ30の表示、及び、遠隔地に配置された表示部であるリモートマルチモニタ70の表示を制御する。
【0014】
遠隔表示システム1は、マルチモニタ30とリモートマルチモニタ70とに、出力制限の解除に関する指示を受け付ける操作部を含む画面を除いて、同じ画面を表示する。遠隔表示システム1が表示する画面は、例えば、標準画面、ユーザメニュー画面及びサービスメニュー画面を含む。標準画面は、例えば、油圧ショベルの各種状態を示すインジケータ、ゲージ、故障及び発生中故障一覧などを表示する画面である。ユーザメニュー画面は、例えば、ペイロードメータ、後処理の再生、車体設定及び言語選択の画面である。サービスメニュー画面は、例えば、油圧ショベルのモニタリング及び故障履歴の画面である。
【0015】
コントローラ10とマルチモニタ30とデータ転送装置50とは、信号線を介して接続されている。コントローラ10とマルチモニタ30とデータ転送装置50とは、信号線を介してデータを通信可能である。コントローラ10とマルチモニタ30とデータ転送装置50とは、例えば、操作信号と、映像、音声および車体情報とを通信可能である。信号線は、例えば、CAN(Controller Area Network)のような車内信号線である。
【0016】
データ転送装置50とリモートマルチモニタ70とは、無線で接続されている。データ転送装置50とリモートマルチモニタ70とは、例えば、衛星通信網、携帯電話通信網またはインターネット回線を使用してデータを通信可能である。データ転送装置50とリモートマルチモニタ70とは、信号線を介して接続されてもよい。データ転送装置50とリモートマルチモニタ70とは、例えば、操作信号と、映像、音声および車体情報とを通信可能である。
【0017】
<コントローラ>
コントローラ10は、油圧ショベルに備えられる。コントローラ10は、信号線を介して、マルチモニタ30及びデータ転送装置50に接続される。コントローラ10は、油圧ショベルの各種機能の制御を行う作業機コントローラである。コントローラ10は、例えば、油圧ショベルの作業機、旋回体及び走行体を制御する制御信号を出力する。コントローラ10は、例えば、油圧ショベルにおいて検出した、油圧ショベルの各種状態を示す検出データをマルチモニタ30及びデータ転送装置50に送信する。コントローラ10は、例えば、油圧ショベルに発生した故障を検出して、故障を示す情報をマルチモニタ30及びデータ転送装置50に送信する。コントローラ10は、例えば、油圧ショベルに生じた異常を検出して、異常を示す情報をマルチモニタ30及びデータ転送装置50に送信する。
【0018】
異常を示す情報は、作業機械の動作に関する出力制限を行う必要がある異常である。異常を示す情報は、例えば、尿素水の残量が少ない、尿素水の噴射異常、尿素水の品質異常、ディーゼル微粒子捕集フィルタ機器の異常、排気再循環装置の異常、選択触媒還元装置の異常、その他の後処理系の故障などを示す。
【0019】
<マルチモニタ>
マルチモニタ30は、油圧ショベルに備えられる。マルチモニタ30は、油圧ショベルに乗り込むオペレータに対する油圧ショベルに関する情報を表示する。マルチモニタ30は、油圧ショベルの各種情報を表示する。マルチモニタ30は、例えば、油圧ショベルに関する各種情報の表示を行う。マルチモニタ30には、出力制限の解除に関する指示を受け付ける操作部を含む画面を除いて、リモートマルチモニタ70と同じ画面を表示する。マルチモニタ30は、エンジンの出力の制限を解除、言い換えると、パワーを元に戻すことを指示する機能を有する。マルチモニタ30は、第2表示制御部であるモニタコントローラ40を備える。
【0020】
マルチモニタ30は、例えば、油圧ショベルの運転席の前方に配置されている。マルチモニタ30は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro luminescence)ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含む。マルチモニタ30は、例えば、コントローラ10から送信された情報に基づいて画面の映像信号を生成して、画面の映像を表示する。
【0021】
マルチモニタ30は、例えば液晶ディスプレイ上に重ねて配置されたタッチパネル式の操作部を有する。操作部は、各種画面上に表示された、例えば、ボタン画像である。
【0022】
操作部は、エンジン出力制限の解除を指示する操作部を含む。操作部は、例えば、エンジン出力制限中であることを示す画面上に表示された、エンジン出力制限を解除する操作の入力画面に遷移する操作を受け付ける操作部を含む。操作部は、例えば、エンジン出力制限を解除する操作の入力画面上に表示された、エンジン出力制限を解除するか否かの選択操作を受け付ける操作部を含む。
【0023】
図2ないし
図4を用いて、マルチモニタ30が表示する画面の一例について説明する。
図2は、画面の映像の一例を説明する図である。
図3は、画面の映像の他の例を説明する図である。
図4は、画面の映像の他の例を説明する図である。
図2ないし
図4は、標準画面のうちのいくつかの画面及び画面遷移の一例であって限定されるものではない。
図2は、尿素水の残量の表示を含む画面である。
図2には、尿素水の残量が少なくなっており、エンジンの出力が制限されていることが表示されている。
図3は、
図2から遷移した画面である。
図2と
図3とは、所定時間間隔で、自動で画面が切り替わる。
図3では、尿素水の残量が少なく、補給を要することと、エンジンの出力が制限されていることが表示されている。この状態で、例えば、所定時間が経過すると
図4の画面に遷移する。
図3に所定のボタン画像を表示させ、該ボタン画像の操作により、
図4の画面に遷移させるようにしてもよい。言い換えると、
図3は、油圧ショベルの動作に関する出力制限の解除の指示を行う画面に遷移する操作部が表示されるようにしてもよい。
図4は、
図3から遷移した画面である。
図4は、エンジン出力制限を解除するか否かを選択する画面である。「はい」のボタン画像が選択操作されると、エンジン出力制限が一時的に解除される。言い換えると、
図4は、油圧ショベルの動作に関する出力制限の解除の指示を行う操作部が表示されている。
【0024】
<モニタコントローラ>
モニタコントローラ40は、油圧ショベルに備えられる。モニタコントローラ40は、油圧ショベルに乗り込むオペレータに対する油圧ショベルに関する情報の表示を制御する。モニタコントローラ40は、信号線を介して、コントローラ10及びデータ転送装置50に接続される。モニタコントローラ40は、マルチモニタ30における表示を制御する。モニタコントローラ40は、マルチモニタ30のコントローラである。
【0025】
本実施形態では、モニタコントローラ40は、油圧ショベルの各種情報をコントローラ10から受信する。モニタコントローラ40は、コントローラ10から受信した油圧ショベルの各種情報から、画面を表示する映像信号を生成する。モニタコントローラ40は、生成した映像信号に基づいて、マルチモニタ30に各種画面を表示させる。マルチモニタ30に各種画面を表示させる方法はこれに限定されず、公知の方法を用いてもよい。
【0026】
モニタコントローラ40は、油圧ショベルの動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含んだ表示を制御する。
【0027】
モニタコントローラ40は、マルチモニタ30の操作部の操作を受け付ける、図示しない操作受付部を有する。操作受付部は、例えば、エンジン出力制限を停止するか否かの選択操作を受け付け可能である。
【0028】
モニタコントローラ40は、操作受付部が取得した操作信号に基づいて、画面の表示を更新する。モニタコントローラ40は、操作受付部が取得した操作信号をコントローラ10及びデータ転送装置50へ送信する。
【0029】
<データ転送装置>
データ転送装置50は、油圧ショベルに備えられる。データ転送装置50は、油圧ショベルから外部の装置へデータを転送する装置である。データ転送装置50は、信号線を介して、コントローラ10及びマルチモニタ30に接続される。データ転送装置50は、リモートマルチモニタ70と通信可能である。データ転送装置50は、例えば、インターネット(internet)、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、携帯電話通信網、及び衛星通信網の少なくとも一つを用いて、リモートマルチモニタ70へデータを転送する。データ転送装置50は、コントローラ10から送信された油圧ショベルの各種状態を示す検出データや異常情報をリモートマルチモニタ70へ転送する。データ転送装置50は、リモートモニタコントローラ80から送信された操作信号をコントローラ10及びマルチモニタ30へ転送する。
【0030】
<リモートマルチモニタ>
リモートマルチモニタ70は、油圧ショベルの作業現場から離れた遠隔地に備えられる。リモートマルチモニタ70は、油圧ショベルを遠隔で操作するオペレータに対する油圧ショベルに関する情報を表示する。リモートマルチモニタ70は、例えば、油圧ショベルに関する各種情報の表示を行う。リモートマルチモニタ70には、出力制限の解除に関する操作部を含む画面を除いて、マルチモニタ30と同じ画面を表示する。リモートマルチモニタ70は、表示制御部であるリモートモニタコントローラ80を備える。
【0031】
リモートマルチモニタ70は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含む。リモートマルチモニタ70は、例えば、コントローラ10から送信されて、データ転送装置50を介して受信された情報に基づいて画面の映像信号を生成して、画面の映像を表示する。
【0032】
リモートマルチモニタ70は、例えば液晶ディスプレイ上に重ねて配置されたタッチパネル式の操作部を有する。操作部は、各種画面上に表示された、例えば、ボタン画像である。
【0033】
図5を用いて、リモートマルチモニタ70が表示する画面の一例について説明する。
図5は、画面の映像の他の例を説明する図である。
図5は、画面の一例であって限定されるものではない。
図5は、リモートマルチモニタ70において、
図2から遷移した画面である。
図5では、尿素水の残量が少なく、補給を要することと、エンジンの出力が制限されていることが表示されている。
図5は、
図3及び
図4と異なり、画面の下部の最も右側の操作部が表示されていない。言い換えると、
図5は、
図3及び
図4と異なり、油圧ショベルの動作に関する出力制限の解除の指示を行う操作部が表示されていない。
【0034】
<リモートモニタコントローラ>
リモートモニタコントローラ80は、油圧ショベルの作業現場から離れた遠隔地に備えられる。リモートモニタコントローラ80は、油圧ショベルを遠隔で操作するオペレータに対する油圧ショベルに関する情報の表示を制御する。リモートモニタコントローラ80は、データ転送装置50と通信可能である。リモートモニタコントローラ80は、リモートマルチモニタ70における表示を制御する。リモートモニタコントローラ80は、リモートマルチモニタ70のコントローラである。
【0035】
本実施形態では、リモートモニタコントローラ80は、油圧ショベルの各種情報をコントローラ10から受信する。リモートモニタコントローラ80は、コントローラ10から送信されて、データ転送装置50から受信した油圧ショベルの各種情報から、画面を表示する映像信号を生成する。リモートモニタコントローラ80は、生成した映像信号に基づいて、リモートマルチモニタ70に各種画面を表示させる。リモートマルチモニタ70に各種画面を表示させる方法はこれに限定されず、公知の方法を用いてもよい。
【0036】
リモートモニタコントローラ80は、少なくとも油圧ショベルの動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示以外の表示を制御する。リモートモニタコントローラ80は、油圧ショベルの動作に関する出力制限の解除の指示を行う表示を含まないように表示をさせる。
【0037】
出力制限は、例えば、油圧ショベルの異常時におけるエンジン出力制限である。出力制限は、例えば、尿素水の残量が少ないときにおけるエンジン出力制限である。出力制限は、例えば、尿素水の噴射異常時におけるエンジン出力制限である。出力制限は、例えば、尿素水の品質異常時におけるエンジン出力制限である。出力制限は、例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルタ機器異常時におけるエンジン出力制限である。出力制限は、例えば、排気再循環装置の異常時におけるエンジン出力制限である。出力制限は、例えば、選択触媒還元装置の異常時におけるエンジン出力制限である。
【0038】
リモートモニタコントローラ80は、リモートマルチモニタ70の操作部の操作を受け付ける、図示しない操作受付部を有する。
【0039】
リモートモニタコントローラ80は、操作受付部が取得した操作信号に基づいて、画面の表示を更新する。リモートモニタコントローラ80は、操作受付部が取得した操作信号をデータ転送装置50へ送信する。
【0040】
<コンピュータシステム>
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。コントローラ10、モニタコントローラ40及びリモートモニタコントローラ80は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROMのような不揮発性メモリ及びRAMのような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。コントローラ10、モニタコントローラ40及びリモートモニタコントローラ80は、CPUのような数値演算装置(プロセッサ)である。コントローラ10、モニタコントローラ40及びリモートモニタコントローラ80の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0041】
<遠隔表示システムの処理>
次に、遠隔表示システム1の表示方法について説明する。まず、油圧ショベルの起動時、コントローラ10は、油圧ショベルの異常情報を含む各種情報をマルチモニタ30とデータ転送装置50へ送信するよう制御する。
【0042】
図7は、本実施形態に係る遠隔表示システム1の処理の一例を示すフローチャートである。油圧ショベルが起動している時、コントローラ10は、常時、各種情報を取得する。コントローラ10は、取得した各種情報を送信する(ステップST11)。コントローラ10は、取得した各種情報をモニタコントローラ40へ送信する。コントローラ10は、取得した各種情報をデータ転送装置50を介してリモートモニタコントローラ80へ送信する。
【0043】
モニタコントローラ40では、取得した各種情報を基に画面を生成する(ステップST21。)より詳しくは、モニタコントローラ40は、取得した各種情報から、画面を表示する映像信号を生成する。モニタコントローラ40は、ステップST22へ進む。
【0044】
モニタコントローラ40は、画面を表示する(ステップST22)。より詳しくは、モニタコントローラ40は、生成された映像信号に基づいて、マルチモニタ30に画面を表示する。モニタコントローラ40は、出力制限の解除に関する操作部を含む画面を含む各種画面を表示させる。
【0045】
リモートモニタコントローラ80では、取得した各種情報を基に画面を生成する(ステップST31。)より詳しくは、リモートモニタコントローラ80は、取得した各種情報から、画面を表示する映像信号を生成する。リモートモニタコントローラ80は、ステップST32へ進む。
【0046】
リモートモニタコントローラ80は、画面を表示する(ステップST32)。より詳しくは、リモートモニタコントローラ80は、生成された映像信号に基づいて、リモートマルチモニタ70に画面を表示する。リモートモニタコントローラ80は、出力制限の解除に関する操作部を含む画面以外の各種画面を表示させる。
【0047】
このようにして、マルチモニタ30では、エンジン出力制限の解除のような、油圧ショベルの動作が変わるような指示が可能である。リモートマルチモニタ70では、エンジン出力制限の解除のような、油圧ショベルの動作が変わるような指示が行えない。リモートマルチモニタ70に送信される信号のうち、出力制限の解除に関する操作部を含む画面の生成に必要な信号をデータ転送装置50がマスクすることで、リモートマルチモニタ70においてエンジン出力制限の解除の指示を行えないようにしてもよい。また、データ転送装置50から送信される信号のうち、出力制限の解除に関する操作部を含む画面の生成に必要な信号をリモートモニタコントローラ80がマスクすることで、リモートマルチモニタ70においてエンジン出力制限の解除の指示を行えないようにしてもよい。
【0048】
<効果>
以上説明したように、本実施形態では、遠隔地に備えられたリモートマルチモニタ70では、エンジン出力制限の解除のような、油圧ショベルの動作が変わるような指示を行う表示をしないように制御することができる。本実施形態は、エンジン出力制限の解除のような、油圧ショベルの動作が変わるような指示を行う表示を適切に制御することができる。本実施形態によれば、通信の遅れが生じて、オペレータの指示と油圧ショベルの実際の動作とに不整合が生じないようにできる。本実施形態によれば、油圧ショベルをより安全に遠隔操作することができる。
【0049】
本実施形態では、油圧ショベルに備えられたマルチモニタ30では、エンジン出力制限の解除のような、油圧ショベルの動作が変わるような指示を行う表示もすることができる。本実施形態では、モニタコントローラ40とコントローラ10と間では通信の遅れが生じにくいので、油圧ショベルを適切に制御することができる。
【0050】
本実施形態では、例えば、油圧ショベルの異常時におけるエンジン出力制限の解除の指示を、リモートマルチモニタ70では表示しないように制御することができる。本実施形態では、例えば、尿素水の残量が少ないとき、尿素水の噴射異常時、尿素水の品質異常時、ディーゼル微粒子捕集フィルタ機器異常時、排気再循環装置の異常時、または、選択触媒還元装置の異常時に、エンジン出力制限の解除の指示を、リモートマルチモニタ70では表示しないように制御することができる。
【0051】
<変形例>
上記では、モニタコントローラ40及びリモートモニタコントローラ80において、画面を表示する映像信号を生成するものとして説明したが、これに限定されない。コントローラ10において、各種情報に基づいて画面を表示する映像信号を生成して、生成した映像信号をモニタコントローラ40及びリモートモニタコントローラ80へ送信してもよい。この場合、マルチモニタ30とリモートマルチモニタ70とに送信される映像信号は、出力制限の解除に関する指示を受け付ける操作部を含む画面の映像信号を除いて、同じ映像信号である。また、モニタコントローラ40が各種情報に基づいて画面を表示する映像信号を、データ転送装置50を介してリモートモニタコントローラ80へ送信するようにしてもよい。
【0052】
上記では、マルチモニタ30とリモートマルチモニタ70とに、出力制限の解除に関する指示を受け付ける操作部を含む画面を除いて、同じ画面を表示するものとして説明したが、これに限定されない。リモートマルチモニタ70は、出力制限の解除に関する操作部を含む画面以外の他の画面を除いて、表示するものであってもよい。
【0053】
上記では、リモートモニタコントローラ80は、出力制限の解除に関する操作部を含む画面以外の各種画面を表示させることとした。データ転送装置50は、出力制限の解除に関する操作部を含む画面の生成に必要な信号を、リモートモニタコントローラ80へ送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…遠隔表示システム、10…コントローラ、30…マルチモニタ、40…モニタコントローラ(第2表示制御部)、50…データ転送装置、70…リモートマルチモニタ、80…リモートモニタコントローラ(表示制御部)。