(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105764
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/46 20110101AFI20230724BHJP
F24F 1/50 20110101ALI20230724BHJP
【FI】
F24F1/46
F24F1/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006782
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 守信
(72)【発明者】
【氏名】金子 好章
(72)【発明者】
【氏名】小山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】阪元 恭太郎
(72)【発明者】
【氏名】松元 雄一
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA06
3L054BB03
(57)【要約】
【課題】より低いコストで筐体を補強できる室外機を提供する。
【解決手段】室外機1は、平面視矩形状の筐体10を備え、吊り具100を用いて筐体10が吊り上げられるときに、吊り具100を介して力が加わる側面の所定箇所に補強部材60が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の筐体を備え、
吊り具を用いて前記筐体が吊り上げられるときに、前記吊り具を介して力が加わる側面の所定箇所に補強部材が設けられる
ことを特徴とする室外機。
【請求項2】
前記筐体は、前記側面を形成する側面パネルを備え、
前記平面視で長辺に位置する一対の側面パネルのそれぞれに前記補強部材が設けられ、
前記補強部材は、前記筐体の高さ方向における上端の側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記筐体は、前記側面パネルを支持する枠体を備え、
前記補強部材は、前記枠体に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
前記補強部材には、複数の前記側面パネルが取り付けられる
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の室外機。
【請求項5】
前記補強部材は、前記側面の高さ方向に交差する方向の全体に亘って延びる線状の部材である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の室外機。
【請求項6】
前記補強部材は、架設部材によって互いに連結される
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の室外機。
【請求項7】
前記筐体の上部には、複数の送風機が収められ、
前記架設部材は、前記複数の送風機の間に配置され、
前記架設部材は、前記複数の送風機を覆うガード部材を支持する
ことを特徴とする請求項6に記載の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、製作コストが安価で、しかも重さが軽くて取り扱いやすいサービスパネルを備えた室外機を開示する。この室外機は、送風機室と機械室を含み、着脱可能なサービスパネルを有する直方体形状の筐体と、上記機械室の正面側に配置された電装品箱と、を備え、上記サービスパネルは、上記電装品箱を上記筐体の正面側から覆うように左右に並べて配置される第1サービスパネルと第2サービスパネルを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、より低いコストで筐体を補強できる室外機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における室外機は、平面視矩形状の筐体を備え、吊り具を用いて前記筐体が吊り上げられるときに、前記吊り具を介して力が加わる側面の所定箇所に補強部材が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、より低いコストで筐体を補強できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、2つのパネルを用いて上吹き室外機の側面を形成する技術があった。これにより、室外機は、製作コストが安価で、しかも重さが軽くて取り扱いやすい側面板を備えることができる。
【0009】
ところで、このような室外機は、屋上等の屋外に設置される場合に、当該室外機の筐体の側面に巻き付けられるベルトやロープ等の線状の吊り具を介して、例えばクレーン等の重機によって吊り上げられることがあった。この場合、筐体の側面を形成する側面パネルには、当該側面パネルの表面に引き回された吊り具から所定の力を受ける。これによって、このような室外機では、吊り上げられた場合に、筐体が変形することがあった。このため、従来の室外機では、当該力による側面パネルの変形を抑制するために、より高い強度を備える側面パネルが設けられることがあった。
【0010】
しかしながら、より高い強度を備える側面パネルを室外機に設けた場合には、当該室外機の製造コストが上昇すると言う課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、より低いコストで筐体を補強できる室外機を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図4を用いて、実施の形態1を説明する。各図に示す符号FRは、設置面に設置されて通常使用される状態における室外機の前方を示し、符号UPは、当が室外ユニットの上方を示し、符号LHは、当該室外機の左方を示す。以下の説明において、各方向は、これらの室外機の方向に沿った方向である。
[1-1.構成]
[1-1-1.室外機の構成]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る室外機1の斜視図である。
図2は、筐体10の底板20と支柱30と枠状部材36と補強部材60とを示す斜視図である。
図1では、説明の便宜上、支柱30の一部、室外熱交換器18の一部、及び冷媒配管の一部を省略して示す。
本実施の形態の室外機1は、空気調和装置の冷凍回路を形成する機器を備えるものである。この空気調和装置は、室内機に収められる室内熱交換器と、室外機1に収められる圧縮機12や膨張弁、室外熱交換器18等で形成された冷凍回路を備える。空気調和装置は、この冷凍回路に冷媒を流通させることで、室内機が設けられる被調和空間の空調を行うものである。
【0013】
室外機1は、
図1に示すように、側面に配置された室外熱交換器18を通して内部に空気を取り込み、当該空気を冷媒と熱交換して上方から吹き出す、所謂トップフロー方式、あるいは上吹き型と呼ばれる室外ユニットである。
室外機1は、平面視で矩形状に形成され、長手方向が上下方向、換言すれば高さ方向に沿って延びる箱状の筐体10を備えている。
筐体10は、当該筐体10の側面を形成する側面パネルと、当該筐体10の骨組みを形成する枠体5とを備える。
【0014】
筐体10は、
図2に示すように、平面視で矩形の底板20と、当該底板20の4つの角部のそれぞれに起立して設けられる支柱30と、これらの支柱30に4つの角部が連結されている矩形の枠状部材36とを備える。
【0015】
底板20は、筐体10の底面を形成する板状部材である。本実施の形態では、筐体10の左右方向に沿って底板20の一対の長辺21が配置され、前後方向に沿って一対の短辺23が配置される。底板20の各辺には、上方に向かって所定の高さ寸法で起立するリブ22が設けられる。
この底板20の下面には、筐体10を支持する一対の脚部24が設けられる。各脚部24は、長手方向が長辺21と略同一の長さ寸法を有するレール状の部材である。これらの脚部24は、各長辺21に沿って取り付けられる。各脚部24の両端には、室外機1の短辺23が延びる方向に沿って貫通する貫通孔である、吊り上げ孔25が設けられる。
【0016】
室外機1の前方側に位置する一方の長辺21の略中央には、中央支柱32が起立して設けられる。この中央支柱32は、各支柱30と略同一の高さまで延びる。さらに、一方の長辺21において、一方の支柱30と、中央支柱32との間には、中間支柱34が起立して設けられる。
【0017】
枠状部材36は、各支柱30の長手方向、すなわち筐体10の高さ方向において、当該支柱30の下端側よりも上端側、換言すれば、筐体10の下端の側よりも上端の側に接近した位置に設けられる。枠状部材36は、長辺21と略同一の長さ寸法を備える長辺37と、短辺23と略同一の長さ寸法を備える短辺39とを備える。
枠状部材36において、各長辺21に沿って延びる一対の長辺37同士は、略中央で、はり部材である連結体38によって互いに連結される。
室外機1の前方側に位置する一方の長辺37には、略中央に中央支柱32が連結され、一方の支柱30と中央支柱32との間に中間支柱34の上端が連結される。
他方の長辺37の略中央には、上方に向かって延びる柱状の支持体31が設けられる。この支持体31の上端は、各支柱30、及び中央支柱32の上端と略同一の高さに位置する。
【0018】
筐体10の各側面のうち、一方の長辺21と、当該長辺21の一端に設けられる支柱30と、一方の長辺37と、中央支柱32とで形成される枠内は、第1下部パネル40によって覆われる。同様に、室外機1の前方側に位置する長辺21と、中間支柱34と、一方の長辺37と、中央支柱32とで形成される枠内は、第2下部パネル42によって覆われる。第1下部パネル40と、第2下部パネル42は、いずれも矩形の板状に形成され、筐体10の側面を形成する側面パネルとして機能する。
なお、
図1では、説明の便宜上、第1下部パネル40、及び第2下部パネル42を一点鎖線で示す。
【0019】
本実施の形態では、一方の長辺21と、当該長辺21の他端に設けられる支柱30と、一方の長辺37と、中間支柱34とで形成される枠内は、側面パネルが省略され、開口となる。同様に、他方の長辺21と、当該長辺21の両端の支柱30と、他方の長辺37とで囲まれる枠内、及び各短辺23と、各短辺23の両端の支柱30と、枠状部材36の各短辺39とで囲まれる一対の枠内は、側面パネルが省略され、開口となる。
【0020】
各長辺37の上方において、当該長辺37の両端に位置する一対の支柱30の間は、いずれも2つの第1上部パネル44によって覆われる。これら4つの第1上部パネル44は、いずれも矩形の板状に形成され、筐体10の高さ方向における上端の側に位置する側面を形成する側面パネルとして機能する。
【0021】
一方の長辺37の側に位置する2つの第1上部パネル44は、当該長辺37が延びる方向に沿って、中央支柱32を挟んで、並べて設けられる。他方の長辺37の側に位置する2つの第1上部パネル44は、当該長辺37が延びる方向に沿って、支持体31を挟んで、並べて設けられる。これらの第1上部パネル44は、下縁が各長辺37に重なる位置に配置され、上縁49が支柱30の上端と略同一の位置に配置される。
各第1上部パネル44の上縁49には、当該上縁の長手方向全体に亘って、第1上部パネル44の一方の平面から起立する上縁フランジ48が設けられる。
【0022】
各短辺39の上方において、当該短辺39の両端に位置する一対の支柱30の間は、いずれも第2上部パネル46によって覆われる。これら2つの第2上部パネル46は、いずれも矩形の板状に形成され、筐体10の側面を形成する側面パネルとして機能する。これらの第2上部パネル46は、下縁が各短辺39に重なる位置に配置され、上縁が支柱30の上端と略同一の位置に配置される。
【0023】
筐体10の天面には、各第1上部パネル44の上縁49と、各第2上部パネル46の上縁とによって、矩形の開口である排気口47が形成される。この排気口47は、2つのファンガード56によって覆われる。各ファンガード56は、矩形の格子状に形成されるガード部材である。
なお、室外機1は、2つのファンガード56に限らず、排気口47全体を覆う1つのガード部材が設けられていてもよい。
【0024】
筐体10の内部は、枠状部材36によって、筐体10の下方に位置する機械室11と、筐体10の上方に位置する送風機室13とに区切られる。すなわち、第1下部パネル40と第2下部パネル42は、機械室11を囲み、各第1上部パネル44と各第2上部パネル46とは、送風機室13を囲む。
【0025】
機械室11には、2つの圧縮機12や、アキュムレータ14、膨張弁として機能するキャピラリチューブ16、室外熱交換器18等の冷凍回路を形成する各種の機器やこれらを互いに接続する冷媒配管が収められる。
各圧縮機12と、アキュムレータ14は、底板20に載置される。なお、機械室11には、少なくとも各圧縮機12を収める箱体が設けられてもよい。
【0026】
室外熱交換器18は、室内機から供給される冷媒を蒸発させる蒸発器、あるいは冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する熱交換器である。本実施形態の室外熱交換器18は、所謂フィン・チューブ型の熱交換器である。当該室外熱交換器18は、銅製の冷媒配管に金属製の複数のフィンが接合され、全体として所定の幅を有する長尺に形成される。
【0027】
室外熱交換器18は、機械室11において、長手方向に直交する幅方向が筐体10の高さ方向に沿うように配置される。室外熱交換器18は、長手方向に直交する幅寸法が底板20から枠状部材36までの高さ寸法と略同一の寸法となるように形成される。このため、室外熱交換器18は、枠状部材36の下方に配置される。
【0028】
室外熱交換器18は、一方の長辺21における他方の支柱30に、長手方向の一端が固定される。この室外熱交換器18は、当該支柱30から、一方の短辺23、他方の長辺21、他方の短辺23、一方の長辺21の順に、各辺に沿って延びるように配置される。このため、室外熱交換器18は、平面視で略C字状となるように、底板20の各角部において、所定の曲げRで、長手方向に沿って折り曲げられる。この室外熱交換器18は、中間支柱34に、長手方向の他端が固定される。
このように配置される室外熱交換器18は、筐体10の各側面に設けられる各開口を介して、筐体10の外部に露出する。
なお、室外熱交換器18は、例えば扁平管とヘッダパイプとを備える熱交換器のような、他の形態の熱交換器であってもよい。
【0029】
送風機室13には、一対の送風機50が収められる。これらの送風機50は、所謂軸流ファンである。各送風機50は、羽根車52と、ベルマウス54と、羽根車52を駆動させる駆動部であるファンモータとを備える。一対の送風機50は、長辺37に沿って、所定の間隔を空けて並べて配置される。一対の送風機50の間には、連結体38が位置する。各送風機50は、軸流方向が排気口47に向かうようにいずれも配置される。各送風機50は、一対のファンガード56のそれぞれによって、それぞれの上方が覆われる。
【0030】
[1-1-2.補強部材の構成]
図3は、室外機1の上部の構造を示す分解斜視図である。
図3に示すように、各支柱30のそれぞれと、中央支柱32との上端には、各第1上部パネル44を補強する一対の補強部材60が設けられる。これらの補強部材60は、各長辺21と略同一の長さ寸法を備える線状の部材である。各補強部材60は、長尺の板状部材が当該補強部材60の長手方向に直交する平面で切断した断面視で、略C字状となるように折り曲げられることで形成される。このため、各補強部材60の長手方向に直交する方向に位置する各縁部には、当該補強部材60の一方の平面から起立する補強フランジ62が設けられる。これらの補強フランジ62が設けられることによって、室外機1では、各補強部材60の強度の向上を図ることが可能である。
【0031】
各補強部材60は、各長辺21、及び各長辺37が延びる方向に沿って、長手方向が延びるように配置される。これらの補強部材60は、それぞれの両端が各支柱30の上端のそれぞれに連結される。すなわち、各補強部材60は、一対の第1上部パネル44の高さ方向に交差する方向の全体に亘って延びる。
筐体10の前面側に位置する一方の補強部材60の略中央には、中央支柱32の上端が連結される。
これに対して、他方の補強部材60の長手方向における略中央には、支持体31の上端が連結される。
【0032】
このように、室外機1では、各補強部材60が各支柱30、及び中央支柱32に連結されることで、各補強部材60の強度の向上を図ることができる。加えて、各補強部材60は、長辺21の延びる方向に沿って各支柱30、及び中央支柱32を補強する。これによって、室外機1では、筐体10の強度の向上を図ることができる。
【0033】
各第1上部パネル44は、各補強部材60に固定されることで、筐体10に設けられる。具体的には、一方の補強部材60の長手方向に沿って、2つの第1上部パネル44が並べて配置される。この状態で、補強フランジ62に上縁フランジ48が上方から重ねられ、ねじ部材等の固定部材によって補強フランジ62と上縁フランジ48とが互いに固定される。他方の補強部材60と、他の2つの第1上部パネル44とについても同様である。
これによって、各補強部材60が各第1上部パネル44に取り付けられる。このため、各第1上部パネル44は、各補強部材60を介して、筐体10に固定されると共に、各補強部材60によって補強される。
【0034】
各補強部材60は、架設部材64によって、互いに連結される。架設部材64は、線状のはり部材である。この架設部材64は、両端が各補強部材60の長手方向における略中央に連結される。この架設部材64と、補強部材60との接続箇所は、当該接続箇所を補強するブラケット66が設けられる。
各補強部材60に連結された架設部材64は、筐体10の前後方向、換言すれば長辺21が並ぶ方向に沿って延びる。室外機1では、この架設部材64によって各補強部材60が連結されることで、各補強部材60の強度の向上を図ることができる。
【0035】
架設部材64は、筐体10の平面視で、一対の送風機50の間に配置される。この架設部材64は、2つのファンガード56を支持する。この架設部材64には各ファンガード56がそれぞれ備える一辺が載置され、ねじ部材等の固定部材によって、当該一辺が架設部材64に固定される。
このように、室外機1では、各ファンガード56が架設部材64に支持されることで、当該ファンガード56の変形や脱落が抑制される。
【0036】
筐体10では、各支柱30と、中央支柱32と、中間支柱34と、枠状部材36と、連結体38と、支持体31と、各補強部材60と、架設部材64とで枠体5が形成される。
【0037】
[1-2.動作]
[1-2-1.空気調和装置の動作]
以上のように構成された室外機1について、その動作を以下説明する。
空気調和装置の暖房運転の場合、室外機1が作動を開始すると、圧縮機12が駆動される。圧縮機12は、冷凍回路に封入された冷媒を圧縮し、各冷媒配管を経由してガス冷媒を送り出す。このガス冷媒は、室内熱交換器で熱を放出して凝縮された後、冷媒配管を通って膨張弁に流入し、当該膨張弁によって減圧され、室外熱交換器18に流入する。
【0038】
ここで、室外機1が作動を開始すると、圧縮機12に先行して送風機50が回転駆動を開始する。回転駆動する送風機50は、空気を室外機1の外部から、主に各側面に設けられる開口を介して、筐体10の内部、すなわち機械室11に流入させる。機械室11に流入する空気は、室外熱交換器18の長手方向と、上下方向に直交する方向、換言すればフィンの幅方向に沿って、各冷媒配管、及び各フィンとの間を通過する。
室外熱交換器18を流れる冷媒は、当該室外熱交換器18が備える冷媒配管において、送風機50により送り出された空気と熱交換をすることで吸熱して蒸発する。
【0039】
これによって、室外熱交換器18の内部を流れる冷媒と、複数のフィンとの間を流れる空気との熱交換が促進される。
室外熱交換器18で蒸発した冷媒は、冷媒配管を介して圧縮機12に戻る。冷媒と熱交換された空気は、送風機50によって、排気口47から筐体10の外部に排出される。
【0040】
上述した動作を繰り返すことで、室外機1は、室外の空気から冷凍回路に熱を吸収し、室内に送り出す。
なお、空気調和装置が冷房運転を行う場合、冷凍回路の冷媒の循環方向は、暖房運転の場合の逆向きとなり、室外熱交換器18は、蒸発器として機能する。
【0041】
[1-2-2.室外機の設置作業]
次いで、室外機1の設置作業について説明する。
図4は、吊り具100が取り付けられた室外機1を示す斜視図である。
図4では、説明の便宜上、所定箇所Aを破線で示し、荷重Fと力Pとを2点鎖線で示す。
室外機1は、例えば屋上等の高所に設置される場合、例えば
図4に示すように、ベルト等の帯状の部材である一対の吊り具100を介して、クレーン等の重機によって吊り上げられることがある。一方の吊り具100は、各脚部24の一方の端部に位置する吊り上げ孔25のそれぞれに挿通され、他方の吊り具100は、各脚部24の他方の端部に位置する吊り上げ孔25のそれぞれに挿通される。これによって、各吊り具100は、底板20の下面、且つ短辺23に沿って延びるように配置される。このように配置された各吊り具100は、室外機1が釣り上げられた場合の安定性を確保するため、より大きい側面である、各長辺21に位置する筐体10の各側面に沿って、当該筐体10の上方に向かって引き回される。この後、各吊り具100は、室外機1の上方、且つ平面視で筐体10の略中央に配置されるクレーンが備えるフック101に掛けられる。
【0042】
上述のように一対の吊り具100が引き回された状態で、室外機1が吊り上げられると、
図4に示すように、各吊り具100に掛かる荷重Fに伴って、筐体10の上端と各吊り具100との当接箇所である所定箇所Aに、各吊り具100を介して筐体10に大きな力Pが加わる。
【0043】
本実施の形態では、筐体10の上端に位置する各第1上部パネル44の上端に、補強部材60が設けられる。この補強部材60は、所定箇所Aを通過するように配置される。これによって、室外機1では、室外機1が吊り上げられた場合に、各吊り具100を介して筐体10に大きな力Pが加わる各第1上部パネル44の上端が補強される。このため、室外機1では、各第1上部パネル44の厚さを厚くする等といった、各第1上部パネル44自体の強度を高めることなく、低コストで当該第1上部パネル44の強度、及び筐体10の強度を高めることができる。
【0044】
なお、吊り具100は、ベルトに限らず、例えばロープ等、筐体10の表面に引き回し可能、且つ室外機1を吊り下げ可能であれば、どのような部材であってもよい。また、各吊り具100は、例えば、底板20の下面で交差するように引き回される、あるいは、各短辺23に位置する筐体10の各側面に沿って引き回される等、室外機1を吊り下げ可能であれば、筐体10にどのように引き回されていてもよい。
【0045】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、室外機1は、平面視矩形状の筐体10を備え、吊り具100を用いて筐体10が吊り上げられるときに、吊り具100を介して力Pが加わる側面の所定箇所Aに補強部材60が設けられる。
これにより、室外機1では、筐体10において、室外機1が吊り上げられた場合に、各吊り具100を介して大きな力Pが加わる所定箇所Aが補強される。そのため、室外機1では、各第1上部パネル44の厚さを厚くする等といった、側面パネル自体の強度を高めることなく、低コストで所定箇所Aの強度を高めることができる。
【0046】
本実施の形態のように、室外機1は、平面視で長辺21に位置する各第1上部パネル44のそれぞれに補強部材60が設けられ、補強部材60は、筐体10の高さ方向における上端の側に設けられるようにしてもよい。
これにより、室外機1では、室外機1が吊り上げられた場合に、各吊り具100を介して筐体10に大きな力Pが加わる筐体10の上端が補強される。そのため、室外機1では、各第1上部パネル44の厚さを厚くする等といった、側面パネル自体の強度を高めることなく、低コストで側面パネルの強度、及び筐体10の強度を高めることができる。
【0047】
本実施の形態のように、筐体10は、側面パネルを支持する枠体5を備え、補強部材60は、枠体5に連結されるようにしてもよい。
これにより、各補強部材60は、支柱30等から成る枠体5によって補強されると共に、筐体10を補強する。そのため、室外機1では、側面パネル、及び筐体10全体の強度の向上を図ることができる。
【0048】
本実施の形態のように、補強部材60には、各長辺21に沿って設けられる第1上部パネル44が複数取り付けられるようにしてもよい。
これにより、室外機1では、各補強部材60を各側面パネルの連結部材として機能させることができる。そのため、室外機1では、部品点数の増加を抑制しつつ、筐体10の補強ができる。
【0049】
本実施の形態のように、補強部材60は、側面パネルの高さ方向に交差する方向の全体に亘って延びる線状の部材であるようにしてもよい。
これにより、室外機1では、吊り上げられた場合に、筐体10に大きな力Pが加わる箇所のみに各補強部材60を配置できる。そのため、室外機1では、より低コストで筐体10の補強ができる。
【0050】
本実施の形態のように、補強部材60は、架設部材64によって互いに連結されるようにしてもよい。
これにより、各補強部材60は、架設部材64によって補強される。そのため、室外機1では、側面パネルの強度、及び筐体10の強度の向上図ることができる。
【0051】
本実施の形態のように、筐体10の上部には、複数の送風機50が収められ、架設部材64は、複数の送風機50の間に配置され、架設部材64は、複数の送風機50を覆うファンガード56を支持するようにしてもよい。
これにより、各補強部材60は、架設部材64によって補強される。そのため、室外機1では、架設部材64を送風機50のガード部材を支持する支持部材として機能させると共に、補強部材として機能させることができる。
【0052】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0053】
上述した実施の形態では、室外機1は、第1下部パネル40や、第2下部パネル42、一対の第1上部パネル44等の複数の側面パネルを備えるとしたが、これに限らず、筐体10の側面を形成するパネルの大きさや、配置位置、形状は任意に形成されてもよい。例えば、室外機1は、一方の長辺21に位置する側面全体を形成する側面パネル、あるいは第1上部パネル44よりも小さく、筐体10の上端に配置される側面パネルを備えていてもよい。
【0054】
上述した実施の形態では、各補強部材60に各第1上部パネル44が取り付けられるとしたが、これに限らず、支柱30に取り付けられた側面パネルに補強部材60が取り付けられるとしてもよい。
【0055】
上述した実施の形態では、補強部材60は、長辺21と略同一の長さ寸法を備えるとしたが、これに限らず、補強部材60は、より短い長さ寸法で形成され、筐体10の上端において、長辺21に沿って複数が並べられてもよい。この場合、補強部材60は、それぞれが側面パネルに取り付けられてもよい。また例えば、所定の連結部材や架設部材64によって互いに連結されていてもよい。
【0056】
上述した実施の形態では、補強部材60は、長辺21に位置する側面パネルに設けられるとしたが、これに限らず、短辺23に位置する側面パネルに設けられていてもよい。
【0057】
上述した実施の形態では、室外機1は、一対の送風機50を備えるとしたが、これに限らず、1つ、あるいは3つ以上の送風機を備えていてもよい。室外機1が3つ以上の送風機50を備える場合、各送風機50の間に、いずれも架設部材64が設けられていてもよい。
【0058】
上述した実施の形態では、室外機1は、トップフロー方式の室外機であるとしたが、これに限らず、サイドフロー方式、あるいは横吹き型と呼ばれる室外機であってもよい。
【0059】
上述した実施の形態では、筐体10は、平面視において、矩形状であるとしたが、完全な矩形状である必要はなく、多少の凹凸や曲線を含んでもよい。例えば、第1上部パネル44の少なくともいずれかの上縁49は、完全な直線状である必要はなく、凹凸部や、湾曲形状が設けられていてもよい。
【0060】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示は、設置時に吊り具によって吊り上げられる室外機に適用可能である。具体的には、トップフロー方式の室外機等に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 室外機
5 枠体
10 筐体
20 底板
21 長辺
23 短辺
30 支柱
32 中央支柱(支柱)
34 中間支柱(支柱)
40 第1下部パネル(側面パネル)
42 第2下部パネル(側面パネル)
44 第1上部パネル(側面パネル)
46 第2上部パネル(側面パネル)
50 送風機
60 補強部材
64 架設部材
100 吊り具
A 所定箇所