(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105769
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】加熱用のランプ、およびそれを備える加熱装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/26 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
H01L21/26 G
H01L21/26 T
H01L21/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013291
(22)【出願日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2022006066
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】郷田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅章
(57)【要約】
【課題】ウエハを必要な温度まで短時間かつ均一に上昇させることのできる加熱用のランプ、およびそれを備える加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱用のランプ100を、金属製の放熱基板102と、放熱基板102上に配置された絶縁層104と、絶縁層104上に配置された複数の配線パターン106と、 複数の配線パターン106上にそれぞれ配置された複数の光源素子108と、配線パターン106と光源素子108とを電気的に接合する接合材109と、隣り合う光源素子108間を電気的に接続する金属配線110とで構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の放熱基板と、
前記放熱基板上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層上に配置された複数の配線パターンと、
複数の前記配線パターン上にそれぞれ配置された複数の光源素子と、
前記配線パターンと前記光源素子とを電気的に接合する接合材と、
隣り合う前記光源素子間を電気的に接続する金属配線とを備える
加熱用のランプ。
【請求項2】
セラミック製の絶縁材と、
前記絶縁材上に配置された複数の配線パターンと、
複数の前記配線パターン上にそれぞれ配置された複数の光源素子と、
前記配線パターンと前記光源素子とを電気的に接合する接合材と、
隣り合う前記光源素子間を電気的に接続する金属配線とを備える
加熱用のランプ。
【請求項3】
前記光源素子には、VCSEL素子が使用されている
請求項1または2に記載のランプ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の複数のランプと、
熱伝導性材を介して前記ランプが取り付けられる放熱部材と、
前記光源素子を駆動する電気ドライバとを備える
加熱装置。
【請求項5】
前記各ランプに配置された複数の前記光源素子は、複数のグループに分けられており、
前記電気ドライバは、前記光源素子を前記グループごとに別々に駆動する
請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記電気ドライバは、前記光源素子を前記グループごとにタイミングをずらしてコントロールする
請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記ランプの全周あるいは全周の一部において隣の前記ランプとの間に隙間ができるように前記放熱部材に取り付けられている
請求項4から6のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記隙間には、加熱中のウエハの温度を測定する温度センサおよび赤外線カメラの少なくとも一方が配置されている
請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記電気ドライバは、前記温度センサおよび前記赤外線カメラの少なくとも一方で検知された前記ウエハの温度に基づいて前記ランプに供給する電流値を調整する
請求項8に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記電気ドライバは、前記光源素子の経年劣化に応じて、前記光源素子に供給する電流値を増加させる
請求項4から6のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記電気ドライバは、前記各ランプにおける前記光源素子の経年劣化に応じて、前記各ランプに供給する電流値を個別に調整する
請求項4から6のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記ランプと前記ウエハとの間に配設された光学フィルターを更に備えており、
前記光学フィルターは、前記温度センサや前記赤外線カメラで検知する波長よりも長い波長の光を遮断する
請求項8または9に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばウエハ等の被加熱材料を加熱するためのランプ、およびそれを備える加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、半導体製造用のウエハをLEDランプで加熱する装置が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2)。
【0003】
加えて、半導体の製造工程において、初期不良品をスクリーニングする目的で、完成した半導体に最大定格以上の電圧や動作周波数で負荷をかけたうえでさらに加熱する「バーンイン」が実施されることがあり、このバーンインの加熱用にLEDランプを使用することも提案されている(例えば、特許文献3)。
【0004】
また、LEDランプは応答速度が早く調光制御性に優れること等の利点を有していることから、従来ハロゲンランプが使用されていた他の加熱プロセスにもLEDランプを使用することが検討されている。この「他の加熱プロセス」とは、例えば、レジストキュア、酸化処理、フラッシュアニールの予備加熱、真空下あるいは圧力下でのアニール処理等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-178576号公報(ドーム型)
【特許文献2】特表2005-536045号公報(砲弾型)
【特許文献3】特開2002-208620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、完成品状態の半導体にバーンインを実施すると非常にコストがかかることから、近年では、このバーンイン工程を廃止するメーカーが現れている。また、バーンイン工程の廃止はしないものの、完成状態になってからではなく、未だウエハの状態で先にバーンインを行う「ウエハレベルバーンイン」も提案されている。完成した半導体であれば通常は数時間から数十時間のバーンインが実施されるところ、ウエハのバーンインであれば数十秒で済ますことができる場合もあり、半導体製造コストを大幅に低減することができる。
【0007】
しかし、ウエハのバーンインを実施しようとすると、ウエハを必要な温度まで短時間かつ均一に上昇させる必要があるものの、従来の加熱用LEDランプでは短時間でウエハを均一に加熱することができず、温度のばらつきが多くなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエハを必要な温度まで短時間かつ均一に上昇させることのできる加熱用のランプ、およびそれを備える加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、
金属製の放熱基板と、
前記放熱基板上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層上に配置された複数の配線パターンと、
複数の前記配線パターン上にそれぞれ配置された複数の光源素子と、
前記配線パターンと前記光源素子とを電気的に接合する接合材と、
隣り合う前記光源素子間を電気的に接続する金属配線とを備える
加熱用のランプが提供される。
【0010】
本発明の他の局面によれば、
セラミック製の絶縁材と、
前記絶縁材上に配置された複数の配線パターンと、
複数の前記配線パターン上にそれぞれ配置された複数の光源素子と、
前記配線パターンと前記光源素子とを電気的に接合する接合材と、
隣り合う前記光源素子間を電気的に接続する金属配線とを備える
加熱用のランプが提供される。
【0011】
好適には、
前記光源素子には、VCSEL素子が使用されている。
【0012】
本発明の別の局面によれば、
複数の上述したランプと、
熱伝導性材を介して前記ランプが取り付けられる放熱部材と、
前記光源素子を駆動する電気ドライバとを備える
加熱装置が提供される。
【0013】
好適には、
前記各ランプに配置された複数の前記光源素子は、複数のグループに分けられており、
前記電気ドライバは、前記光源素子を前記グループごとに別々に駆動する。
【0014】
好適には、
前記電気ドライバは、前記光源素子を前記グループごとにタイミングをずらしてコントロールする。
【0015】
好適には、
前記ランプの全周あるいは全周の一部において隣の前記ランプとの間に隙間ができるように前記放熱部材に取り付けられている。
【0016】
好適には、
前記隙間には、加熱中のウエハの温度を測定する温度センサおよび赤外線カメラの少なくとも一方が配置されている。
【0017】
好適には、
前記電気ドライバは、前記温度センサおよび前記赤外線カメラの少なくとも一方で検知された前記ウエハの温度に基づいて前記ランプに供給する電流値を調整する。
【0018】
好適には、
前記電気ドライバは、前記光源素子の経年劣化に応じて、前記光源素子に供給する電流値を増加させる。
【0019】
好適には、
前記電気ドライバは、前記各ランプにおける前記光源素子の経年劣化に応じて、前記各ランプに供給する電流値を個別に調整する。
【0020】
好適には、
前記ランプとウエハとの間に配設された光学フィルターを更に備えており、
前記光学フィルターは、前記温度センサや前記赤外線カメラで検知する波長よりも長い波長の光を遮断する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る加熱用のランプでは、接合材を介して光源素子が配線パターンに電気的に接合されており、光源素子自身の温度が過度に高くなるのを防止することができるので、ウエハを必要な温度まで短時間かつ均一に上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明が適用された実施形態に係るランプ100を示す断面図である。
【
図2】本発明が適用された実施形態に係る加熱装置150を示す断面図である。
【
図3】本発明が適用された実施形態に係る加熱装置150を示す平面図である。
【
図4】他の例に係る加熱装置150を示す平面図である。
【
図5】他の例に係る加熱装置150を示す平面図である。
【
図6】変形例1に係るランプ100を示す断面図である。
【
図7】変形例1に係る加熱装置150を示す平面図である。
【
図8】変形例5に係る加熱装置150を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(加熱用のランプ100の構造)
本発明が適用された加熱用のランプ100について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るランプ100を示す図である。
【0024】
本実施形態に係るランプ100は、大略、放熱基板102と、絶縁層104と、配線パターン106と、光源素子としてのVCSEL素子108と、接合材109と、金属配線110とで構成されている。
【0025】
放熱基板102は、金属製の板材であり、後述するように、放熱部材152に取り付けられるようになっている。放熱基板102の材質は、銅やアルミニウム、あるいはそれらの合金等が一般的である。なお、この放熱基板102を形成する金属は特に限定されるものではなく、導電性の有無も関係ないが、熱伝導性の高い材料を選択するのが好適である。
【0026】
絶縁層104は、放熱基板102上に配置されており、アルミナや窒化アルミニウム、シリコンカーバイト等のセラミック材や、ダイヤモンドライクカーボンや熱伝導性が良好かつ絶縁性が高い樹脂等を使用することができる。また、この絶縁層104の形成には、溶射成膜法やCVD成膜法、印刷成膜法等を用いることができる。いずれにしても、絶縁層104は、配線パターン106と放熱基板102との間で不所望な導電性が生じるのを防止できれば、特に限定されるものではない。
【0027】
配線パターン106は、VCSEL素子108に給電する役割を有しており、絶縁層104の表面に実装されるVCSEL素子108の数に合わせて形成されている。また、互いに隣り合う配線パターン106は、両配線パターン106間の電気絶縁性を確保するため、離間して配置されている。
【0028】
配線パターン106の材質としては、例えば、銅、タングステン、タンタル、モリブデン、ニオブ、ニッケル、パラジウム、金、銀等が考えらえる。
【0029】
光源素子としてのVCSEL素子108は、複数の配線パターン106上にそれぞれ配置された面発光型半導体レーザーアレイ素子であり、基板面に対して垂直方向に光を放射することができる。このVCSEL素子108から放射される光の波長は、600nm以上1,200nm以下が好適である。600nm以上が好適である理由は、これよりも波長が短くなるとシリコンウエハの波長吸収特性が低下してしまうからである。また、1,200nm以下が好適である理由は、シリコンウエハの波長吸収特性が1,200nmでピークとなり、これよりも波長が長くなると急激にその波長吸収特性が低下してしまうからである。
【0030】
接合材109は、配線パターン106とVCSEL素子108とを電気的に接合するための材料であり、例えば、ダイアタッチ剤を挙げることができる。もちろん、接合材109としてダイアタッチ剤以外を使用してもよいし、接合材109の性状としても固形状のものやペースト状のものを使用できる。
【0031】
金属配線110は、隣り合うVCSEL素子108間を電気的に接続する部材である。金属配線110には、例えば、ワイヤーボンディング等の方法が用いられる。
【0032】
(加熱装置150の構造)
次に、上述した加熱用のランプ100を備える加熱装置150の構造について説明する。この加熱装置150は、例えばウエハ等の被加熱材料をバーンインや他の加熱プロセスで加熱するためのものであり、
図2および
図3に示すように、大略、複数のランプ100と、放熱部材152と、電気ドライバ154とを備えている。なお、加熱装置150を用いてワークを100℃以上に加熱するのが好適である。例えば、乾燥工程では100℃を少し越えるまでウエハを昇温し、アニール等の工程ではウエハを600℃以上まで昇温する。
【0033】
放熱部材152は上述した複数のランプ100が取り付けられる部材である。具体的には、各ランプ100における放熱基板102が、熱伝導性材(熱伝導率の高いグリスやシート材)155を介して、放熱部材152の表面に取り付けられる。
【0034】
この放熱部材152は、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導率が高い材料で形成されており、空冷あるいは水冷されることによって、熱伝導性材155を介してVCSEL素子108で生じた熱を受けるようになっている。
【0035】
なお、放熱部材152に対して複数のランプ100を取り付ける際、あるランプ100の全周あるいは全周の一部において隣のランプ100との間に隙間Sができるように各ランプ100が配置されている。なお、「全周の一部」とは、例えば、
図4に示すように、隣り合うランプ100同士の外周辺の一部が離間して隙間Sが形成されるようなものであってもよいし、
図5に示すように、ランプ100の外周に沿って欠き部K(図示例では長孔)を作成し、ランプ100の外周縁は隣のランプ100における外周縁と接しているが、ランプ100における一部のVCSEL素子108と、隣のランプ100における一部のVCSEL素子108との間に欠き部Kが存在しているような場合も「全周の一部に隙間Sがある」ことになる。
【0036】
電気ドライバ154は、各ランプ100に配置された複数のVCSEL素子108に発光用の電力を供給する役割を有する部材である。本実施形態に係る加熱装置150の場合、一つのランプ100に配置された複数のVCSEL素子108は、複数(本実施形態では3つ)のグループ156a,156b,156cに分けられており、電気ドライバ154は、これら複数のグループ156a,156b,156cに属するVCSEL素子108をグループ156a,156b,156cごとに別々に駆動することができるようになっている。
【0037】
例えば、電気ドライバ154は、各VCSEL素子108をグループ156a,156b,156cごとにタイミングをずらしてコントロールするのが好適である。各VCSEL素子108のグループ156a,156b,156cを同時にオンにすると、電源(電気ドライバ154)やVCSEL素子108のばらつきにより均一な昇温が得られないからである。「タイミングをずらす」ことの例としては、放熱が大きい箇所(ウエハ支持ピン付近等)に近いグループ156a,156b,156cを先に点灯させることが挙げられる。
【0038】
なお、電気ドライバ154の数は、一つの加熱装置150において一つだけであってもよいし、ランプ100ごとに一つの電気ドライバ154を対応させてもよい。また、加熱装置150に配置されたうちの一部である複数のランプ100を一つの電気ドライバ154に対応させてもよい。
【0039】
(加熱用のランプ100および加熱装置150の特徴)
本実施形態に係る加熱用のランプ100および加熱装置150によれば、加熱用の熱源(光源)としてVCSEL素子108が使用されている。VCSEL素子108から放射される光の波長は、LEDから放射される光よりも比較的長波長側にあることから、ウエハの温度を効率よく高めることができる。
【0040】
(変形例1)
上述したランプ100では、金属製の放熱基板102上に絶縁層104を形成して、その上面に配線パターン106を配置していたが、これに変えて、
図6に示すように、セラミック製の絶縁材210と、この絶縁材210上に配置された複数の配線パターン106と、複数の配線パターン106上にそれぞれ配置された複数のVCSEL素子108と、隣り合うVCSEL素子108間を電気的に接続する金属配線110とでランプ100を構成してもよい。
【0041】
(変形例2)
また、上述した加熱装置150では、放熱部材152に対して複数のランプ100を取り付ける際、ランプ100の全周あるいは全周の一部において隣のランプ100との間に隙間Sができるように各ランプ100が配置されているが、
図7に示すように、この隙間Sに、加熱中のウエハの温度を測定する温度センサ160および赤外線カメラ162の少なくとも一方を配置してもよい(
図5には、温度センサ160および赤外線カメラ162の両方が配置されている)。
【0042】
例えば、温度センサ160としてフォトダイオード等の光起電力素子を使用することができる。このとき、温度検知のために測定する(赤外線)波長は、VCSEL素子108から放射される光の波長よりも長く設定される。具体的には、温度検知に使用する光起電力素子の感度波長は1.0μm以上3.0μm以下に設定される。また、低温を測定するために、感度波長が3.0μm以上8.0μm以下の光起電力素子を追加で使用してもよい。
【0043】
これにより、加熱装置150で加熱しつつ、ウエハの温度を知ることができるので、ウエハの加熱温度を適切に管理することが容易になる。
【0044】
なお、温度センサおよび赤外線カメラの少なくとも一方で検知されたウエハの温度に基づいて、電気ドライバ154がランプ100に供給する電流値を調整するように設定してもよい。これにより、ウエハの加熱温度をさらに適切に管理できる。
【0045】
「電気ドライバ154がランプ100に供給する電流値を調整する」ことの一例としては、ランプ100から放射される光の照度を測定する照度センサからの出力信号を、反転増幅回路を介して電気ドライバ154への調光信号として直接入力し、この出力信号(調光信号)に基づいて電流値を調整することが挙げられる。これにより、従来のようにマイコンやシーケンサで照度センサ信号を受けてから電流値を調整する処理に比べて高速に処理できる。
【0046】
(変形例3)
さらに、上述した実施形態では、一つの放熱部材152に対して複数のランプ100を配置していたが、これに変えて、放熱部材152をランプ100の数だけ用意して、一つの放熱部材152に対して一つのランプ100を取り付けてもよい。これにより、個々の放熱部材152に供給する水量(水冷の場合)や風量(空冷の場合)を調整することで、個々の放熱部材152からの放熱量を調整して対応するランプ100におけるVCSEL素子108の温度を調整することができる。
【0047】
(変形例4)
また、VCSEL素子108の経年劣化に応じて、当該VCSEL素子108に供給する電流値を増加させるように電気ドライバ154を制御してもよい。経年劣化によってVCSEL素子108の光出力が低下するので、これに対応するように当該VCSEL素子108に供給する電流値を増加することで、VCSEL素子108が放射する光出力を一定に保ち、定照度運転を行うことができる。
【0048】
なお、電気ドライバ154による制御は、各ランプ100におけるVCSEL素子108の経年劣化に応じて、ランプ100ごとに供給する電流値を個別に調整してもよい。
【0049】
(変形例5)
また、
図8に示すように、ランプ100とウエハWとの間に光学フィルター200を配設してもよい。この光学フィルター200は、上述した温度センサや赤外線カメラで検知する波長よりも長い波長の光を遮断する役割を有している。
【0050】
これにより、ランプ100からの光Lによって加熱されたウエハWから放射される輻射熱H(赤外線光)がランプ100まで届かないように光学フィルター200でカットできるので、ランプ100、とりわけVCSEL素子108が不所望に高温になるのを回避できる。
【0051】
(変形例6)
ここまで、光源素子としてVCSEL素子108を用いる例について説明してきたが、VCSEL素子108に変えて、光源素子としてLED素子を使用してもよい。
【0052】
なお、同じ光量の光エネルギーをシリコンウエハ(ウエハ)に照射した場合、LED素子から放射される可視光領域の波長の光よりも、VCSEL素子108から放射される、より赤外光に近い(波長の長い)光の方がウエハへの吸収率が高く、当該ウエハの温度を高めるのに有利であることから、光源素子としてVCSEL素子108を用いるのが好適である。
【0053】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
100…加熱用のランプ、102…放熱基板、104…絶縁層、106…配線パターン、108…VCSEL素子、109…接合材、110…金属配線
150…加熱装置、152…放熱部材、154…電気ドライバ、155…熱伝導性材、156…(VCSEL素子108の)グループ
160…温度センサ、162…赤外線カメラ
200…光学フィルター、210…絶縁材
L…光、S…(隣り合うランプ100同士の間の)隙間、W…ウエハ、K…欠き部、H…輻射熱