(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105771
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ゲーム用カードとそのゲーム方法
(51)【国際特許分類】
A63F 1/02 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
A63F1/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022016744
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】521236531
【氏名又は名称】川端 廣己
(72)【発明者】
【氏名】川端 廣己
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ゲームを通じて自然と暗算力が身に付き、同時に素数の存在とその特性に触れ、それにより算数、数学へ興味を誘うことができるゲーム用のカード、およびそのゲーム方法を提供する。
【解決手段】最小の素数である2から、カードゲームとして妥当な大きさの任意の素数までの連続する素数列の素数を、1枚のカードにひとつずつ記載したカードを1組としたカード群、あるいは素数に加えて組ごとに共通の識別方法を付与して同じ素数列で複数組としたカード群を構成する。このカード群から、連続する素数13個のカードを4組用いれば、トランプと同じ構成となり、トランプ遊戯の大半はこのカード群で遊戯できる。数字はすべて素数なので、自然と素数に触れることができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小の素数である2から、任意の素数Nまでの連続する素数(2、3、5、7、11、13、17、19、…、N)を1枚のカードにひとつずつ記載した、2からNまでの素数の個数と同じ枚数のカード組からなるゲーム用のカード。
【請求項2】
請求項1のカードに、素数だけでなく共通の識別方法を付与したカードを1組とし、複数種の識別方法により複数組のカード群を構成したゲーム用のカード。
【請求項3】
請求項1または2に記載したカードを用いるゲームであって、最初に1組または複数組のカードを手札として持つ。ランダムに与えられた妥当な大きさの自然数を、1枚または複数枚のカードの素数の和として示すことができる組み合わせを考える。組み合わせが成立した場合は、使用したカードは手札から場に出すことができる。これを繰り返してすべての手札を場に出すことを目的とするカードゲーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は素数の特性をカードゲームに昇華して、ゲームを楽しみながら頭を使い、暗算力を高め、素数の特性に触れ、それにより算数、数学へ興味を誘うことができるゲーム用のカードおよびそのゲーム方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
素数はその不思議で深淵な特性から人々を魅了してやまない。素数は数学という学問に留まらず、宇宙や原子を研究する物理学においても登場し、現在のインターネット時代においては暗号通信の核であり、我々の日常生活にも深く関わっている。その素数というものの存在、定義、特性を理解することは極めて重要である。
【0003】
しかしながら幼少期から素数に親しめるような手段は従来なかった。本発明により、子供でも大人でもゲームを通じて遊びながら素数に親しみ、素数を理解し、その特性と魅力に気づくことができる。またゲームを通じて素数の暗算を繰り返すことにより、計算力、暗算力も身に付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-155004
【特許文献2】特開2003-135649
【特許文献3】特開2010-17429
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「The on-line encyclopedia of integer sequences:A000040 The prime numbers」(https://oeis.org/A000040)
【非特許文献2】マイクロソフト社Excelサポート ウェブ公開資料(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/randbetween-%E9%96%A2%E6%95%B0-4cc7f0d1-87dc-4eb7-987f-a469ab381685
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術として、素数を含むゲーム用カードの提案として特許文献1は存在する。しかしながら、特許文献1ではカードには素数でない偶数も含む構成となっており、素数の概念を正しく理解できないおそれがある。またゲームの構成がひとつの偶数をふたつの素数の和として一意的に組み合わせを限定していることを特徴としている。これは本来、ある自然数を複数の素数の和として示す場合に、素数の組み合わせは複数組存在するにも関わらず、一意的にふたつの、しかも特定の素数の組み合わせに限定した恣意的なカード構成としている。
【0007】
そのため、本来素数が持っている特性を正しく理解できるものではない。ゲームを通じてある偶数がふたつの素数の和となる組み合わせを一種類だけ記憶できることはあっても、素数の特性を正しく理解することも、暗算能力が高まることもない。複数の可能性から最善を選択するというゲームとしての戦略や妙味もない。
【0008】
素数に拘らず、単に計算力や算数の論理思考を高めようとするカードゲームの提案は、例えば特許文献2、3のように、多数存在している。しかしながらいずれも根幹技術は素数とは何の関わりもなく、加減乗除の算数の練習問題の域を出ない。先行技術では、計算力、暗算力を養うための一助にはなり得るが、数学的な背景がないため、ゲームを通じて素数という深淵な学問対象に触れる機会を与えるものでも、興味を誘うものでもない。そのため自ら続けようとする動機や興味が長続きせず、大きな知育効果は期待できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が提供するゲーム用のカードは、請求項1または2に記載したように、最小の素数である2から任意の素数Nまでの連続する素数(2、3、5、7、11、13、17、19、…、N)を1枚にひとつずつ記載した一連のカードを1組とし、1組または複数組のカード群から構成されるゲーム用のカードである。
素数列の詳細は例えば非特許文献1などにて公知である。
【0010】
このように本発明が提供するカードは、記載された数字はすべて素数であり、最小の素数2からNまでの連続した素数列を構成するカード組からなるので、数学的に明快でかつ美しいカード構成であり、正しく素数列を理解することができる。
【0011】
本発明が提供するゲーム用のカードでいろいろな遊び方が工夫できる。請求項2に記載したように、複数の識別方法により、最小の素数2から任意の素数Nまでの素数列のカードを複数組構成すれば、さらに遊び方を増やすことができる。
【0012】
識別方法にはいろいろな方法が考えられる。例えば、数字の色や数字を記載したカード面の色を組ごとに異なる独自の色とする、あるいは1枚のカードに数字だけでなく、共通の記号や図柄を記載して、組ごとに異なる独自の記号や図柄とする、あるいはその両者を組み合わせることにより、複数組のカードを構成することができる。例としてトランプがスペード、ハート、ダイヤ、クラブの異なる4種の図柄を付けて各々の組を識別できるようにして4組のカードを構成しているのと同様である。
【0013】
実施例の一例として、トランプと同様に4組のカード構成として、多くのトランプ遊びを本発明のカードで同様に行うことができることを示す。
【0014】
具体的には、N=41として、2から41までの連続する素数13個(2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41)を用いる。数字以外に4種類の図柄を追記して各組13枚で4組のカード群(合計52枚)を作成する。各組を識別する記号としてトランプ同様にスペード、ハート、ダイヤ、クラブを用いても構わないし、その他の4種類の異なる図柄を用いて4組を構成しても構わない。あるいは数字の色や、数字を記載したカード面の色を組ごとに異なる独自の色として4組を構成しても構わない。後述する実施例の
図3~5では、スペード、ハート、ダイヤ、クラブの代わりに、ウシ、ゾウ、トリ、ネコの4種類の異なる図柄で4組を構成している。必要によりジョーカーに相当するカードを1枚追加してもよい。
【0015】
これでトランプと同じカード構成となるので、トランプで可能な遊戯の大半はこのカード群で行うことができる。
【0016】
例えばババ抜きなら、同じ素数が2枚揃えば場に出して、最後にジョーカーを持っている者が敗者となる。
【0017】
ジョーカーに相当するカードを新たに加えなくても、通称ジジ抜きとして知られている同様のゲームは可能である。すなわち、52枚のカードからどのプレーヤーにも内容がわからないように1枚除き、残った51枚をプレーヤーの手札として配り、ババ抜きと同じルールで進める。除かれたカードと同数字のカードは3枚しかないので、この余った1枚がジョーカーに相当し、最後に持っている者が敗者となる。
【0018】
例えば七並べについては、カードの数字は自然数としては連続しないが、各組の素数を2から41まで、連続する素数列として大きさの順番に並べ、4組すべてを並べれば完成としてトランプ同様に遊戯できる。トランプの七並べに相当する真ん中の数字は、この素数カードの場合は17となる。(
図4参照)
【0019】
並べる数字は自然数としては連続しないが、素数列としては連続している。子供が七並べならぬ17並べゲームを通じて、並ぶ数字が不連続であることに疑問、興味を持てば、それが故に素数列の存在を知り、素数を学ぶ機会を得ることができる。
【0020】
例えば神経衰弱については、カードの裏面がすべて同じデザインであれば、同じ素数は組違いで4枚あるのでトランプ同様に遊戯することができる。(
図5参照)
【0021】
さらに本発明は請求項3に記載の如く、請求項1または2に記載したカードを用いて、トランプ遊びとは異なる全く新しいゲームを提供する。素数の特性を生かした、暗算能力と戦略性が要求されるカードゲームである。
【0022】
これよりゲームに必要なものについて説明する。請求項1または2に記載された、最小の素数である2から、カードゲームとして妥当な大きさの任意の素数Nまでの連続する素数(2、3、5、7、11、13、17、19、…、N)を1枚にひとつずつ記載した一連のカードを1組とし、1組または複数組のカードを準備する。
【0023】
次に、ある自然数をMとして、ランダムに最大値Mまでの自然数を出目として出せる電子サイコロを準備する。最大値も最小値も自由に決められ、その間の自然数をランダムに発生させることができる電子サイコロはインターネット上にソフトやアプリとして多数公開されている。あるいは、既に広汎に使用されている表計算ソフトには指定した範囲の整数をランダムに発生させる関数があらかじめ内蔵されているのでそれを用いてもよい。(例えば非特許文献2に記載されたMicrosoft社製表計算ソフトExcelにおけるRANDBETWEEN関数等)
【0024】
使うカードの最大素数Nに応じて、電子サイコロの最大値Mも事前に設定しておく必要がある。当然M≧Nでなければすべてのカードを場に出すことはできない。しかしながらMがNに等しいか近すぎると素数の和の組み合わせ数が限られるケースが増えてゲームの妙味が薄れる。またMが過剰にNより大きいと、多数の素数の和を暗算する必要が生じる、素数の和の組み合わせが存在しないケースが生じる等、同様にゲームの妙味が薄れてしまう。M≧Nであればゲームとして成立するが、ゲームの妙味を高く保つためにはM/N=1.2~2.0程度が望ましい。
【0025】
電子サイコロがなくても、市販されている0から9までの数字が書かれた10面体サイコロを用いてゲームは可能である。例えば、2個の10面体サイコロを振るか、ひとつの10面体サイコロを2回振って、1の位、10の位の数字を決めることにより、0から99までの自然数をランダムに発生させることができる。
サイコロの目が1の位も10の位も0である場合の出目は100と定義すれば、1から100までの自然数をランダムに発生させることができ、M=100のケースが実現できる。
【0026】
これよりゲームの進め方を説明する。
【0027】
最初に請求項1または2に記載したカードを1組または複数組、手札として持つ。
【0028】
次に、サイコロを振って出目を得る。
【0029】
次に、1枚または複数枚のカードの素数の和が、出目として与えられた自然数と等しくなるような組み合わせを考える。成立した組み合わせの手札は場に出すことができる。出目と同じ数のカードは1枚で場に出せる。複数の組み合わせが存在する場合は、できる限り早く手札を無くせるように戦略を考え、選んだ組み合わせの手札を場に出す。
【0030】
なお、すべて手札のみの組み合わせに限定するルールとすると難易度が大幅に上がるため、既に場に出ている札と手札を組み合わせて複数枚のカードの素数の和としても構わない、というルールにしてゲームの難易度を調整しても良い。またプレーヤーの暗算レベルに合わせて、複数枚カードの素数の和を、最大3枚までのカードの素数の和とするというように、組み合わせ枚数の最大値を限定したルールにしても構わない。これによりプレーヤーの暗算レベルに応じてゲームの難易度を調整することができる。
【0031】
ひとつのターンが終われば再度サイコロを振って出目を得て、同様に素数和の組み合わせとなる手札を場に出す。これを繰り返してすべての手札を場に出すことを目的とする。
【0032】
これは一人遊びでも複数のプレーヤーによる対戦ゲームとしても遊戯可能である。
【0033】
プレーヤー一人当たり1組のカードを手札とする場合、各素数はひとつずつしか存在しないため、複数の素数の組み合わせにおいてはすべての素数は異なる素数となる。プレーヤー一人当たり複数組のカードを手札とする場合は、同じ素数を複数含んで素数の和を構成することが可能になるため、可能な組み合わせは増加しゲームの難易度を下げることができる。これは請求項1で記載したカード組を複数組用いても、請求項2に記載した異なる識別方法が付与されたカード組を複数組用いても可能である。
【0034】
サイコロの出目が1である場合は場に出せる手札はない。出目が4や6の場合、手札が素数列1組であれば場に出せる手札はないが、手札が2組以上であればそれぞれ2+2、3+3の組み合わせで場に出すことができる。
【0035】
これより具体的な実施例を説明する。
【0036】
必要となる暗算の難易度、プレーヤーが扱いやすいカード枚数から、Mは100程度とするのが最もゲームとして面白く、知育効果も高いと考えられる。数々の試行結果を通じて、発明者がカードゲームとして妙味がある構成として推奨する一例は、N=73、M=100である。
【0037】
準備するカード群はN=73として、2から73までの素数21個(2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73)をそれぞれ記載した21枚のカードを1組として、1組を用いて一人遊びを行う。ここでは素数の和の組み合わせは最大カード3枚までとルールを規定しておく。
【0038】
この1組21枚のカードを手札として持つ。次にM=100として、1から100までの数字をランダムに発生させる。これはインターネットで入手できる電子サイコロのフリーソフトやアプリを用いてもよいし、表計算ソフトに内蔵されている乱数発生関数を用いてもよい。あるいは0から9までの数字を記載した10面体サイコロを実際に振って10の位、1の位の数字を決めることにしてもよい。0と0が出た場合は100とみなせば1から100までの数字をランダムに発生させることができる。
【0039】
このようにサイコロを振って出した数字を、最大3枚のカードの和で表すことを考える。それができればそのカードは場に出せる。
【0040】
例えばサイコロの出目が43だったとする。最大3枚のカードの和で43を作る方法は、1枚で43、あるいは2枚で2+41、3枚で3+11+29、11+13+19、…、と複数の組み合わせが存在する。例えば出目が76だったとすると、2枚で17+59、29+47、3枚で2+13+61、…、と複数の組み合わせが存在する。
【0041】
どの組み合わせを採用するかは、手札の状況と各自の戦略から決めればよい。
図6に示す例は、1投目のサイコロの出目が43となり、3と11と29の手札を選択して場に出した状況を示している。
【0042】
順次サイコロを振っては素数和の組み合わせを作って手札を場に出し、手札を減らして行く。最大3枚のカードの組み合わせであれば、既に場に出したカードと手札を組み合わせても構わないルールとする。これを繰り返して手札すべてが場に出せればゲームは終了である。手札がすべてなくなるまでにサイコロを振った回数や、掛かった時間で評価して一人遊びができる。
【0043】
複数プレーヤーによる対戦型で遊ぶ場合は、各プレーヤーに同じ構成の手札を渡す。上記の例では各プレーヤーが2から73までの素数カード21枚を持ってゲームを始める。
【0044】
振ったサイコロで決まった数字を、それぞれのプレーヤーが各自の判断で最大3枚の素数カードの和を組み合わせて場に出して行く。最初にすべての手札を場に出せたプレーヤーが勝者となる。同じサイコロの出目でも、その数字を最大3個の素数和にする組み合わせは複数存在するので、各プレーヤーの選択、戦略の違いで勝ち負けが分かれるというゲームの妙味がある。
【発明の効果】
【0045】
本発明のカードおよびそれを用いるゲームを通じて、楽しみながら自然と暗算を繰り返すため、単なる計算ドリルを何問も強制的に解かされるよりもはるかに大きな学習効果が得られる。しかも一人遊びでも複数のプレーヤーによる対戦型ゲームとしても楽しめ、飽きることなく続けていくことができる。
【0046】
さらに重要な発明の効果は、単に暗算力、計算力が涵養されるだけでなく、子供でも大人でもゲームを通じて楽しみながら素数の存在を知り、素数に親しみ、その深淵なる特性の端緒を理解することができるということである。
【0047】
素数は数学という学問に留まらず、最先端の物理学や現代のインターネット社会に必須の暗号通信にも登場する重要な概念である。本発明によりゲームを通じて子供から大人まで容易に素数に親しむことができ、その知育効果は極めて大きい。
【0048】
またこのカードに記載されている数字は、自然数としては連続しないものの、素数列としては連続した数字である。複数組の識別方法を組み合わせてトランプ同様の4組構成とすれば、トランプゲームの大半はトランプ同様に遊戯できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】最小の素数2から73までの連続する素数列のカード1組の例である。
【
図3】組を識別する図柄を4種類記載して4組の素数カード群を構成した例である。
【
図4】本発明のカードを用いてトランプの七並べを遊戯している例である。
【
図5】本発明のカードを用いてトランプの神経衰弱を遊戯している例である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は本発明のカードの一例であり、最小の素数2から73までの連続する素数列を1組のカードとしている。カード1枚にひとつの素数が記載されている。
カード中央に数字を記載するだけでなく、カードの左右上下端に同じ数字を小さく記載すれば、トランプのように手札として重ねて持ってもカードの数字が読み取れるため扱いやすいという利点がある。
【0051】
図2は、本発明のカードの例を示す。カードの表面にはひとつの素数を中央に記載している。複数のカードを手札として手持ちする際に見やすいように左端上部に同じ素数を小さく追記している。また複数組のカードを構成するために必要な識別図柄を入れている。カードの中心を対称中心として点対称に素数、識別図柄を記載すれば、カードの上下が無くなり、遊戯する上でカードをより扱いやすくできる。カードの裏面はトランプ同様にすべてのカード共通のデザインとし、カードの表面の内容が窺い知れないようにしている。
【0052】
図3は、組を識別する図柄を4種類記載して、4組の素数カード群を構成した例である。この例ではウシ、ゾウ、トリ、ネコの4種類の図柄を用いて4組のカード群を構成したが、その他の絵柄、文字、記号などを用いても構わない。トランプ同様にスペード、ハート、ダイヤ、クラブの公知の4種類の図柄を用いても構わない。
【0053】
図4は、トランプ同様に各組13枚、すなわち最小素数2から41までの連続する13個の素数カード、からなる4組の素数カード群、計52枚のカードを用いてトランプ同様に七並べゲームを行っている例である。トランプにおける七並べは最初に各組の真ん中の数字である7のカードを場に出すが、素数カードにおいては最小の素数2から数えて7番目の素数17がそれに相当するため、最初に各組の17のカードを場に出してゲームを始めている。トランプの七並べ同様に場に出た素数の隣の素数のカードを順次各プレーヤーが場に出してゲームは進行する。
【0054】
図5は、本発明のカードを用いてトランプの神経衰弱を遊戯している例である。神経衰弱とは、プレーヤーが2枚一組で裏返されたカードを開け、数字が合致すれば自分のカードにできるが、一致しなければまた裏返して次のプレーヤーにターンが移る、というゲームである。本発明のカードでも、偶数組で構成したカード群を用いれば全く同様に神経衰弱のゲームができる。
図5ではめくった2枚のカードが両方とも同じ素数13のカードであり、数字が一致したためプレーヤーのカードとして場から取り込める場面を示している。
【0055】
図6は、請求項3に記載した本発明のゲームを遊戯している例である。最小素数の2から73までの連続する素数列のカード21枚1組を手札として持ち、0から9までの数字を各面に記載した10面体サイコロ2個を振って出目43が出た場面である。プレーヤーは合計が43となる素数の和の組み合わせとして、3+11+29=43の組み合わせを選択し、3、11、29の素数カードを場に出している。同じ出目でも複数の素数和の組み合わせがあり、どの組み合わせを選択するかはプレーヤーの自由である。
【0056】
一人遊びとしてもゲームはできるが複数プレーヤーで競技することも可能である。複数のプレーヤーに同じ素数カードで構成される手札を渡し、出目を共通としてそれぞれのプレーヤーが素数和の組み合わせを考え、選択して場に出していく。プレーヤーの選択次第で手札すべてを場に出せる早さが異なり勝敗が明確となるため、競技としてのゲームも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 1枚のカードに記載されたひとつの素数
2 素数カードの表面
3 素数カードの裏面
4 複数組を構成する際に組を識別する図柄
5 4組の素数カード群を構成するための4種類の異なる識別図柄の例
6 めくった素数カードの表面
7 伏せられたままの素数カードの裏面
8 10の位の数字を示す10面体サイコロ
9 1の位の数字を示す10面体サイコロ
10 プレーヤーの手札
11 サイコロの出目に一致する素数和の組み合わせとして、手札から場に出されたカード