(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105785
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】光学結像レンズ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20230724BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20230724BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G02B13/04
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167150
(22)【出願日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】111102117
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521343563
【氏名又は名称】佳凌科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐淑娟
(72)【発明者】
【氏名】林範儒
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA02
2H087LA01
2H087LA03
2H087PA06
2H087PA18
2H087PB07
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】優れた結像品質の利点を有した光学結像レンズ装置を提供する。
【解決手段】光学結像レンズ装置は、光軸に沿って物体側から像側に第一レンズ群、アパーチャー及び第二レンズ群を順に含む。当該第一レンズ群は、負屈折力を有した第一レンズ、負屈折力を有した第二レンズ及び正屈折力を有した第三レンズを含み、当該第二レンズ群は、正屈折力を有した第四レンズ、正屈折力を有した第五レンズ、負屈折力を有した第六レンズ及び正屈折力を有した第七レンズを含む。当該光学結像レンズ装置は、-0.5<F/fg1<-0.1という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、fg1が当該第一レンズ群の組み合わせ焦点距離である。そして、光学結像システムは、高い結像品質の利点を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学結像レンズ装置であって、
光軸に沿って物体側から像側まで順に、
当該物体側から当該像側に当該光軸に沿って並んだ第一レンズ、第二レンズ及び第三レンズを含む第一レンズ群と、
アパーチャーと、
当該物体側から当該像側に当該光軸に沿って並んだ第四レンズ、第五レンズ、第六レンズ及び第七レンズを含む第二レンズ群を含み、
当該第一レンズは、負屈折力を有し、物体側面が凸面であり、像側面が凹面であり、
当該第二レンズは、負屈折力を有した両凹面レンズであり、
当該第三レンズは、正屈折力を有した両凸面レンズであり、
当該第四レンズは、正屈折力を有した両凸面レンズであり、かつ、物体側面と像側面のうちの少なくとも一つが非球面であり、
当該第五レンズは、正屈折力を有した両凸面レンズであり、
当該第六レンズは、負屈折力を有した両凹面レンズであり、かつ、物体側面と当該第五レンズにおける像側面を粘着して、負屈折力を有した複合レンズを形成し、
当該第七レンズは、正屈折力を有した両凸面レンズであり、かつ、物体側面と像側面のうちの少なくとも一つが非球面であり、
-0.5<F/fg1<-0.1という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、fg1が当該第一レンズ群の組み合わせ焦点距離である、ことを特徴とする光学結像レンズ装置。
【請求項2】
当該光学結像レンズ装置は、-0.15<F/f1<-0.45という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f1が当該第一レンズの焦点距離である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項3】
当該光学結像レンズ装置は、-0.8<F/f2<-0.5という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f2が当該第二レンズの焦点距離である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項4】
当該光学結像レンズ装置は、0.4<F/f3<0.7という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f3が当該第三レンズの焦点距離である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項5】
当該光学結像レンズ装置は、0.5<F/f4<0.7という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f4が当該第四レンズの焦点距離である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項6】
当該光学結像レンズ装置は、-0.25<F/f56<-0.1という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f5が当該第五レンズと第六レンズを粘着して形成された複合レンズの接着焦点距離である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項7】
当該光学結像レンズ装置は、0.7<F/f5<1.5という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f5が当該第五レンズの焦点距離である、ことを特徴とする請求項6に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項8】
当該光学結像レンズ装置は、-1.7<F/f6<-1という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f6が当該第六レンズの焦点距離である、ことを特徴とする請求項6に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項9】
当該光学結像レンズ装置は、0.2<F/f7<0.6という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、f7が当該第七レンズの焦点距離である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項10】
当該第四レンズにおける物体側面と像側面は、共に、非球面である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【請求項11】
当該第七レンズにおける物体側面と像側面は、共に、非球面である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像レンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像システムの適用分野に関し、特に、低いディストーション及び優れた結像品質を有した光学結像レンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影の機能を付けたポータブル電子製品が盛んになるにつれ、光学システムに対するニーズが日々高まっていく。一般的に、光学システムの感光素子は、電荷結合素子(Charge Coupled Device、CCD)と相補型金属酸化膜半導体素子(Complementary Metal-Oxide Semiconductor Sensor、CMOS Sensor)との二つ以外がないと共に、半導体を製造する技術が精進していくにつれ、感光素子の画素寸法が小さくなり、光学システムが次第に高画素の分野に発展している。なお、無人航空機や自動運転車が生々発展していくにつれ、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance system、ADAS)が極めて重要な役割を果たしており、各種のレンズ装置にセンサーを取り付けることにより環境の情報を集めて、運転者が安全に運転するように保証する。また、車用レンズ装置は、外部に適用される環境の温度変化に応じて、温度のニーズに対するレンズ装置の品質も高まるので、結像品質に対する要求も日々増えている。
【0003】
優れた結像レンズ装置は、低いディストーション(distortion)と高い解像度(resolution)などの利点を有したことが一般的である。しかも、実際の適用場面において、小さい寸法とコストについての問題も考えられるべきであることから、様々な制限条件があっても、優れた結像品質を有したレンズ装置を設計できるようにすることは、設計者にとって難しい問題の一つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このことに鑑み、本発明は、優れた結像品質の利点を有した光学結像レンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明が提供する光学結像レンズ装置は、光軸に沿って物体側から像側に第一レンズ群、アパーチャー及び第二レンズ群を順に含む。当該第一レンズ群は、当該物体側から当該像側に当該光軸に沿って並んだ第一レンズ、第二レンズ及び第三レンズを含む。ただし、当該第一レンズは、負屈折力を有し、物体側面が凸面であり、像側面が凹面である。当該第二レンズは、負屈折力を有した両凹面レンズである。当該第三レンズは、正屈折力を有した両凸面レンズである。当該第二レンズ群は、当該物体側から当該像側に当該光軸に沿って並んだ第四レンズ、第五レンズ、第六レンズ及び第七レンズを含む。ただし、当該第四レンズは、正屈折力を有した両凸面レンズであり、かつ、物体側面と像側面のうちの少なくとも一つが非球面である。当該第五レンズは、正屈折力を有した両凸面レンズである。当該第六レンズは、負屈折力を有した両凹面レンズであり、物体側面と当該第五レンズにおける像側面を粘着して負屈折力を有した複合レンズを形成する。当該第七レンズは、正屈折力を有し、物体側面が凸面であり、かつ、物体側面と像側面のうちの少なくとも一つが非球面である。当該光学結像レンズ装置は、-0.5<F/fg1<-0.1という条件が満たされており、ただし、Fが当該光学結像レンズ装置の焦点距離であり、fg1が当該第一レンズ群の組み合わせ焦点距離である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、当該光学結像レンズ装置に七つのレンズを用いることにより、レンズ装置の色差を大幅に改良できると共に、収差の発生を抑制でき、しかも、当該光学結像レンズ装置における屈折力の配列と条件の特性により、優れた結像品質を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の第一実施例に係る光学結像レンズ装置の構成の模式図である。
【
図1B】本発明の第一実施例に係る光学結像レンズ装置の軸上色収差図である。
【
図1C】本発明の第一実施例に係る光学結像レンズ装置の倍率色収差図である。
【
図2A】本発明の第二実施例に係る光学結像レンズ装置の構成の模式図である。
【
図2B】本発明の第二実施例に係る光学結像レンズ装置の軸上色収差図である。
【
図2C】本発明の第二実施例に係る光学結像レンズ装置の倍率色収差図である。
【
図3A】本発明の第三実施例に係る光学結像レンズ装置の構成の模式図である。
【
図3B】本発明の第三実施例に係る光学結像レンズ装置の軸上色収差図である。
【
図3C】本発明の第三実施例に係る光学結像レンズ装置の倍率色収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明をより明確に説明するためには、好ましい実施例を例に挙げて、図面を参照しながら、以下に説明する。
図1Aを参照すると、本発明の第一実施例による光学結像レンズ装置100は、光軸Zに沿って物体側から像側に第一レンズ群G1、アパーチャーST及び第二レンズ群G2を順に含む。第一実施例では、当該第一レンズ群G1は、当該物体側から当該像側に当該光軸Zに沿って並んだ第一レンズL1、第二レンズL2及び第三レンズL3を含み、当該第二レンズ群G2は、当該物体側から当該像側に当該光軸Zに沿って並んだ第四レンズL4、第五レンズL5、第六レンズL6及び第七レンズL7を含む。
【0009】
当該第一レンズL1は、凹凸レンズである。ただし、当該第一レンズL1は、物体側面S1が当該物体側に円弧状に凸となる凸面であり、像側面S2が凹面である。第一実施例では、当該第一レンズL1は、当該像側に向かう面部分が窪んで当該像側面S2を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S1と当該像側面S2を通過する。
【0010】
当該第二レンズL2は、負屈折力を有した両凹面レンズであり、つまり、当該第二レンズL2における物体側面S3及び像側面S4が共に凹面である。
【0011】
当該第三レンズL3は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第三レンズL3における物体側面S5及び像側面S6が共に凸面である。
【0012】
当該第四レンズL4は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第四レンズL4における物体側面S7及び像側面S8が共に凸面であり、かつ、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8のうちの少なくとも一つが非球面である。第一実施例では、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8が共に非球面である。
【0013】
当該第五レンズL5は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第五レンズL5における物体側面S9及び像側面S10が共に凸面である。第一実施例では、当該第五レンズL5における該像側に向かう面部分が突起して当該像側面S10を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S9と当該像側面S10を通過する。
【0014】
当該第六レンズL6は、負屈折力を有した両凹面レンズであり、つまり、当該第六レンズL6における物体側面S11及び像側面S12が共に凹面である。第一実施例では、当該第六レンズL6における物体側面S11には、当該第五レンズL5の像側面S10が対応的に粘着され、当該第五レンズL5の像側面S10と当該第六レンズL6の物体側面S11とが同一の平面を形成すると共に、当該第五レンズL5と当該第六レンズL6とを結合して負屈折力を有した複合レンズを形成し、また、当該第六レンズL6における当該像側に向かう面部分が窪んで当該像側面S12を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S11と当該像側面S12を通過する。
【0015】
当該第七レンズL7は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第七レンズL7における物体側面S13及び像側面S14が共に凸面であり、かつ、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14のうちの少なくとも一つが非球面である。第一実施例では、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14が共に非球面である。
【0016】
なお、当該光学結像レンズ装置100は、赤外線フィルターL8及び保護ガラスL9をさらに含む。当該赤外線フィルターL8は、当該第七レンズL7における像側面S14の一方側に位置しており、当該第一レンズ群G1と当該第二レンズ群G2を通過した映像の光から余計な赤外線をフィルタリングするためのものである。当該保護ガラスL9は、当該赤外線フィルターL8の一方側に設置されると共に、当該赤外線フィルターL8と結像面Imとの間に位置しており、当該赤外線フィルターL8を保護するためのものである。
【0017】
本発明による光学結像レンズ装置100に、良い光学性能及び高い結像品質を維持させるために、当該光学結像レンズ装置100は、
(1) -0.5<F/fg1<-0.1
(2) -0.15<F/f1<-0.45、-0.8<F/f2<-0.5、0.4<F/f3<0.7
(3) 0.5<F/f4<0.7、0.7<F/f5<1.5、-1.7<F/f6<-1、0.2<F/f7<0.6
(4) -0.25<F/f56<-0.1
という条件がさらに満たされている。
【0018】
ただし、Fは、当該光学結像レンズ装置100の焦点距離であり、f1は当該第一レンズL1の焦点距離であり、f2は、当該第二レンズL2の焦点距離であり、f3は、当該第三レンズL3の焦点距離であり、f4は、当該第四レンズL4の焦点距離であり、f5は、当該第五レンズL5の焦点距離であり、f6は、当該第六レンズL6の焦点距離であり、f56は、当該第五レンズL5と第六レンズL6を粘着して形成された複合レンズの接着焦点距離であり、f7は、当該第七レンズL7の焦点距離であり、fg1は、当該第一レンズ群G1の組み合わせ焦点距離であり、fg2は、当該第二レンズ群G2の組み合わせ焦点距離である。
【0019】
下表一は、本発明の第一実施例による光学結像レンズ装置100のデータには、光学結像レンズ装置100の焦点距離F(又は、有効な焦点距離とも呼ばれる)、アパーチャー値Fno、視野角FOV、各レンズの曲率半径R、光軸Zにおける各表面から次の表面までの距離、各レンズの屈折率Nd、分散、各レンズの焦点距離、当該第五レンズL5と第六レンズL6の接着焦点距離が含まれる。ただし、焦点距離、曲率半径と距離は、それらの単位がmmである。以降に挙げるデータの情報は、本発明を限定するものではなく、当業者であればだれも、本発明を参照すると、パラメータや設定を適正に変更することが可能であり、それらが本発明の範囲に含まれる。
【表1】
【0020】
上記の表一から分かるように、第一実施例による光学結像レンズ装置100は、焦点距離F=8.16mm、アパーチャー値Fno=1.8、視野角FOV=61度となり、ただし、当該第一レンズL1の焦点距離f1=-22.8mm、当該第二レンズL2の焦点距離f2=-13.68mm、当該第三レンズL3の焦点距離f3=16.94mm、当該第四レンズL4の焦点距離f4=12.52mm、当該第五レンズL5の焦点距離f5=7.54mm、当該第六レンズL6の焦点距離f6=-5.32mm、当該第七レンズL7の焦点距離f7=21.33mm、当該第五レンズL5と第六レンズL6を粘着して形成された複合レンズの接着焦点距離f56=-52.1mm、当該第一レンズ群G1の組み合わせ焦点距離fg1=-23.83、当該第二レンズ群G2の組み合わせ焦点距離fg2=10.6mmとなる。
【0021】
そして、上記の詳しいパラメータによると、前記の条件式は、第一実施例において、詳しい数値が以下の通りである。
(1) F/fg1=-0.34;
(2) F/f1=-0.36、F/f2=-0.60、F/f3=0.48;
(3) F/f4=0.65、F/f5=1.08、F/f6=-1.53、F/f7=0.38;
(4) F/f56=-0.16。
【0022】
上記の表一のデータによると、当該第一レンズ群G1及び当該第二レンズ群G2が、前記当該光学結像レンズ装置100に設定された第(1)~(4)点の条件を満たしているということが分かる。
【0023】
なお、第一実施例による光学結像レンズ装置100には、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8、及び、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14について、非球面の表面の輪郭形状Zを以下の公により取得することができる。
ただし、
Zは、非球面の表面の輪郭形状であり、
cは、曲率半径の逆数であり、
hは、表面における軸外れ高さの半分(half the off-axis height of the surface)であり、
kは、円錐係数であり、
A4、A6、A8、A10、A12、A14及A16は、表面における軸外れ高さの半分hについての各係数の次数である。
【0024】
この第一実施例による光学結像レンズ装置100には、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8、及び、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14について、円錐係数kとA4、A6、A8、A10、A12、A14及びA16の各係数の次数を下表二に示す。
【表2】
【0025】
以下、光学シミュレーションデータに基づいて当該光学結像レンズ装置100の結像品質を検証する。
図1Bは、本発明の第一実施例に係る軸上色収差図であり、
図1Cは、本発明の第一実施例に係る倍率色収差図である。
図1Bと
図1Cの結果に基づいて、本実施例に係る光学結像レンズ装置100について上記の設計によって、結像品質を効果的に高めることが検証できる。
【0026】
図2Aを参照すると、本発明の第二実施例による光学結像レンズ装置200は、光軸Zに沿って物体側から像側に、第一レンズ群G1、アパーチャーST及び第二レンズ群G2を順に含む。第二実施例では、当該第一レンズ群G1は、当該物体側から当該像側に当該光軸Zに沿って並んだ第一レンズL1、第二レンズL2及び第三レンズL3を含む。当該第二レンズ群G2は、当該物体側から当該像側に当該光軸Zに沿って並んだ第四レンズL4、第五レンズL5、第六レンズL6及び第七レンズL7を含む。
【0027】
当該第一レンズL1は、凹凸レンズである。ただし、当該第一レンズL1における物体側面S1は、当該物体側に向かって円弧状に凸となる凸面であり、当該第一レンズL1における像側面S2が凹面である。第二実施例では、当該第一レンズL1における当該像側に向かう面部分が窪んで当該像側面S2を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S1と当該像側面S2を通過する。
【0028】
当該第二レンズL2は、負屈折力を有した両凹面レンズであり、つまり、当該第二レンズL2における物体側面S3及び像側面S4が共に凹面である。
【0029】
当該第三レンズL3は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第三レンズL3における物体側面S5及び像側面S6が共に凸面である。
【0030】
当該第四レンズL4は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第四レンズL4における物体側面S7及び像側面S8が共に凸面であり、かつ、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8のうちの少なくとも一つが非球面である。第二実施例では、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8が共に非球面である。
【0031】
当該第五レンズL5は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第五レンズL5における物体側面S9及び像側面S10が共に凸面である。第二実施例では、当該第五レンズL5における当該像側に向かう面部分が突起して当該像側面S10を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S9と当該像側面S10を通過する。
【0032】
当該第六レンズL6は、負屈折力を有した両凹面レンズであり、つまり、当該第六レンズL6における物体側面S11及び像側面S12が共に凹面である。第二実施例では、当該第六レンズL6における物体側面S11には、当該第五レンズL5の像側面S10が対応的に粘着され、当該第五レンズL5における像側面S10と当該第六レンズL6における物体側面S11が同一の平面を形成し、かつ、当該第五レンズL5と当該第六レンズL6を結合して負屈折力を有した複合レンズを形成し、当該第六レンズL6における当該像側に向かう面部分が窪んで当該像側面S12を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S11と当該像側面S12を通過する。
【0033】
当該第七レンズL7は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第七レンズL7における物体側面S13及び像側面S14が共に凸面であり、かつ、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14のうちの少なくとも一つが非球面である。第二実施例では、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14が共に非球面である。
【0034】
なお、当該光学結像レンズ装置200は、赤外線フィルターL8及び保護ガラスL9をさらに含む。当該赤外線フィルターL8は、当該第七レンズL7における像側面S14の一方側に位置しており、当該第一レンズ群G1と当該第二レンズ群G2を通過した映像の光から余計な赤外線をフィルタリングするためのものである。当該保護ガラスL9は、当該赤外線フィルターL8における一方側に設置されると共に、当該赤外線フィルターL8と結像面Imとの間に位置しており、当該赤外線フィルターL8を保護するためのものである。
【0035】
本発明による光学結像レンズ装置200に、良い光学性能及び高い結像品質を維持させるために、当該光学結像レンズ装置200は、
(1) -0.5<F/fg1<-0.1
(2) -0.15<F/f1<-0.45、-0.8<F/f2<-0.5、0.4<F/f3<0.7
(3) 0.5<F/f4<0.7、0.7<F/f5<1.5、-1.7<F/f6<-1、0.2<F/f7<0.6
(4) -0.25<F/f56<-0.1
という条件がさらに満たされている。
【0036】
ただし、Fは、当該光学結像レンズ装置200の焦点距離であり、f1は、当該第一レンズL1の焦点距離であり、f2は、当該第二レンズL2の焦点距離であり、f3は、当該第三レンズL3の焦点距離であり、f4は、当該第四レンズL4の焦点距離であり、f5は、当該第五レンズL5の焦点距離であり、f6は、当該第六レンズL6の焦点距離であり、f56は、当該第五レンズL5と第六レンズL6を粘着して形成された複合レンズの接着焦点距離であり、f7は、当該第七レンズL7の焦点距離であり、fg1は、当該第一レンズ群G1の組み合わせ焦点距離であり、fg2は、当該第二レンズ群G2の組み合わせ焦点距離である。
【0037】
下表三は、本発明の第二実施例による光学結像レンズ装置200のデータには、光学結像レンズ装置200の焦点距離F(又は、有効な焦点距離とも呼ばれる)、アパーチャー値Fno、視野角FOV、各レンズの曲率半径R、光軸Zにおける各表面から次の表面までの距離、各レンズの屈折率Nd、分散、各レンズの焦点距離、当該第五レンズL5と第六レンズL6の接着焦点距離が含まれる。ただし、焦点距離、曲率半径と距離は、それらの単位がmmである。以降に挙げるデータの情報は、本発明を限定するものではなく、当業者であればだれも、本発明を参照すると、パラメータや設定を適正に変更することが可能であり、それらが本発明の範囲に含まれる。
【表3】
【0038】
上記の表三から分かるように、第二実施例による光学結像レンズ装置200は、焦点距離F=6.96mm、アパーチャー値Fno=1.7、視野角FOV=65度となり、ただし、当該第一レンズL1の焦点距離f1=-28.855mm、当該第二レンズL2の焦点距離f2=-9.028mm、当該第三レンズL3の焦点距離f3=10.932mm、当該第四レンズL4の焦点距離f4=11.905mm、当該第五レンズL5の焦点距離f5=8.766mm、当該第六レンズL6の焦点距離f6=-5.714mm、当該第七レンズL7の焦点距離f7=18.253mm、当該第五レンズL5と第六レンズL6を粘着して形成された複合レンズの接着焦点距離f56=-36.9mm、当該第一レンズ群G1の組み合わせ焦点距離fg1=-48.86、当該第二レンズ群G2の組み合わせ焦点距離fg2=10.34mmとなる。
【0039】
そして、上記の詳しいパラメータによると、前記の条件式は、第二実施例において、詳しい数値が以下の通りである。
(1) F/fg1=-0.14
(2) F/f1=-0.24、F/f2=-0.77、F/f3=0.64
(3) F/f4=0.58、F/f5=0.79、F/f6=-1.22、F/f7=0.38
(4) F/f56=-0.19。
【0040】
上記の表三のデータによると、当該第一レンズ群G1及び当該第二レンズ群G2が、前記当該光学結像レンズ装置200に設定された第(1)~(4)点の条件を満たしているということが分かる。
【0041】
なお、第二実施例による光学結像レンズ装置200には、第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8、及び、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14について、非球面表面の輪郭の形状Zを以下の式により取得することができる。
ただし、
Zは、非球面の表面の輪郭形状であり、
cは、曲率半径の逆数であり、
hは、表面における軸外れ高さの半分であり、
kは、円錐係数であり、
A4、A6、A8、A10、A12、A14及びA16は、表面における軸外れ高さの半分hについての各係数の次数である。
【0042】
この第二実施例による光学結像レンズ装置200には、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8、及び、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14について、円錐係数kとA4、A6、A8、A10、A12、A14及びA16の各係数の次数を下表四に示す。
【表4】
【0043】
以下、光学シミュレーションデータに基づいて当該光学結像レンズ装置200の結像品質を検証する。
図2Bは、本発明の第二実施例に係る軸上色収差図であり、
図2Cは、本発明の第二実施例に係る倍率色収差図である。
図2Bと
図2Cの結果に基づいて、本実施例に係る光学結像レンズ装置200について上記の設計によって、結像品質を効果的に高めることが検証できる。
【0044】
図3Aを参照すると、本発明の第三実施例による光学結像レンズ装置300は、光軸Zに沿って物体側から像側に第一レンズ群G1、アパーチャーST及び第二レンズ群G2を順に含む。第三実施例では、当該第一レンズ群G1は、当該物体側から当該像側に当該光軸Zに沿って並んだ第一レンズL1、第二レンズL2及び第三レンズL3を含み、当該第二レンズ群G2は、当該物体側から当該像側に当該光軸Zに沿って並んだ第四レンズL4、第五レンズL5、第六レンズL6及び第七レンズL7を含む。
【0045】
当該第一レンズL1は、凹凸レンズである。ただし、当該第一レンズL1における物体側面S1は、当該物体側に向かって円弧状に凸となる凸面であり、当該第一レンズL1における像側面S2が凹面である。第三実施例では、当該第一レンズL1における当該像側に向かう面部分が窪んで当該像側面S2を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S1と当該像側面S2を通過する。
【0046】
当該第二レンズL2は、負屈折力を有した両凹面レンズであり、つまり、当該第二レンズL2における物体側面S3及び像側面S4が共に凹面である。
【0047】
当該第三レンズL3は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第三レンズL3における物体側面S5及び像側面S6が共に凸面である。
【0048】
当該第四レンズL4は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第四レンズL4における物体側面S7及び像側面S8が共に凸面であり、かつ、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8のうちの少なくとも一つが非球面である。第三実施例では、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8が共に非球面である。
【0049】
当該第五レンズL5は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第五レンズL5における物体側面S9及び像側面S10が共に凸面である。第三実施例では、当該第五レンズL5における当該像側に向かう面部分が突起して当該像側面S10を形成し、当該光軸Zが当該物体側面S9と当該像側面S10を通過する。
【0050】
当該第六レンズL6は、負屈折力を有した両凹面レンズであり、つまり、当該第六レンズL6における物体側面S11及び像側面S12が共に凹面である。第三実施例では、当該第六レンズL6における物体側面S11には、当該第五レンズL5の像側面S10が対応的に粘着され、当該第五レンズL5における像側面S10と当該第六レンズL6における物体側面S11が同一の平面を形成し、かつ、当該第五レンズL5と当該第六レンズL6を結合して負屈折力を有した複合レンズを形成する。
【0051】
当該第七レンズL7は、正屈折力を有した両凸面レンズであり、つまり、当該第七レンズL7における物体側面S13及び像側面S14が共に凸面であり、かつ、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14のうちの少なくとも一つが非球面である。第三実施例では、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14が共に非球面である。
【0052】
なお、当該光学結像レンズ装置300は、赤外線フィルターL8及び保護ガラスL9をさらに含む。当該赤外線フィルターL8は、当該第七レンズL7における像側面S14の一方側に位置しており、当該第一レンズ群G1と当該第二レンズ群G2を通過した映像の光に余計な赤外線をフィルタリングするためのものである。当該保護ガラスL9は、当該赤外線フィルターL8における一方側に設置されると共に、当該赤外線フィルターL8と結像面Imとの間に位置しており、当該赤外線フィルターL8を保護するためのものである。
【0053】
本発明による光学結像レンズ装置300に、良い光学性能及び高い結像品質を維持ために、当該光学結像レンズ装置300は、
(1) -0.5<F/fg1<-0.1
(2) -0.15<F/f1<-0.45、-0.8<F/f2<-0.5、0.4<F/f3<0.7
(3) 0.5<F/f4<0.7、0.7<F/f5<1.5、-1.7<F/f6<-1、0.2<F/f7<0.6
(4) -0.25<F/f56<-0.1
という条件がさらに満たされている。
【0054】
ただし、Fは、当該光学結像レンズ装置300の焦点距離であり、f1は、当該第一レンズL1の焦点距離であり、f2は、当該第二レンズL2の焦点距離であり、f3は、当該第三レンズL3の焦点距離であり、f4は、当該第四レンズL4の焦点距離であり、f5は、当該第五レンズL5の焦点距離であり、f6は、当該第六レンズL6の焦点距離であり、f56は、当該第五レンズL5と第六レンズL6を粘着して形成された複合レンズの接着焦点距離であり、zf7は、当該第七レンズL7の焦点距離であり、fg1は、当該第一レンズ群G1の組み合わせ焦点距離であり、fg2は、当該第二レンズ群G2の組み合わせ焦点距離である。
【0055】
下表五は、本発明の第三実施例による光学結像レンズ装置300のデータには、光学結像レンズ装置300の焦点距離F(又は、有効な焦点距離とも呼ばれる)、アパーチャー値Fno、視野角FOV、各レンズの曲率半径R、光軸Zにおける各表面から次の表面までの距離、各レンズの屈折率Nd、分散、各レンズの焦点距離、当該第五レンズL5と第六レンズL6の接着焦点距離が含まれる。ただし、焦点距離、曲率半径及び距離は、それらの単位がmmである。以降に挙げるデータの情報は、本発明を限定するものではなく、当業者であればだれも、本発明を参照すると、パラメータや設定を適正に変更することが可能であり、それらが本発明の範囲に含まれる。
【表5】
【0056】
上記の表五から分かるように、第三実施例による光学結像レンズ装置300は、焦点距離F=7.73mm、アパーチャー値Fno=1.8;視野角FOV=60度となる。ただし、当該第一レンズL1の焦点距離f1=-23.15mm、当該第二レンズL2の焦点距離f2=-11.69mm、当該第三レンズL3の焦点距離f3=13.34mm、当該第四レンズL4の焦点距離f4=13.87mm、当該第五レンズL5の焦点距離f5=8.32mm、当該第六レンズL6の焦点距離f6=-5.54mm、当該第七レンズL7の焦点距離f7=16.63mm、当該第五レンズL5と第六レンズL6を粘着して形成された複合レンズの接着焦点距離f56=-43.64mm、当該第一レンズ群G1の組み合わせ焦点距離fg1=-40.18、当該第二レンズ群G2の組み合わせ焦点距離fg2=11.91mmとなる。
【0057】
そして、上記の詳しいパラメータによると、前記の条件式は、第三実施例において、詳しい数値が以下の通りである。
(1) F/fg1=-0.19
(2) F/f1=-0.33、F/f2=-0.66、F/f3=0.58
(3) F/f4=0.56、F/f5=0.93、F/f6=-1.4、F/f7=0.46
(4) F/f56=-0.18。
【0058】
上記の表五のデータによると、当該第一レンズ群G1及び第二レンズ群G2が、前記当該光学結像レンズ装置300に設定された第(1)~(4)点の条件を満たしているということが分かる。
【0059】
なお、第三実施例による光学結像レンズ装置300には、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8、及び、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14について、非球面の表面の輪郭形状Zを以下の式により取得することができる。
ただし、
Zは、非球面表面輪郭形状であり、
cは、曲率半径の逆数であり、
hは、表面における軸外れ高さの半分であり、
kは、円錐係数であり、
A4、A6、A8、A10、A12、A14及びA16は、表面における軸外れ高さの半分hについての各係数の次数である。
【0060】
この第三実施例による光学結像レンズ装置300には、当該第四レンズL4における物体側面S7と像側面S8、及び、当該第七レンズL7における物体側面S13と像側面S14について、円錐係数kとA4、A6、A8、A10、A12、A14及A16の各係数の次数を下表六に示す。
【表6】
【0061】
以下、光学シミュレーションデータに基づいて当該光学結像レンズ装置300の結像品質を検証する。
図3Bは、本発明の第三実施例に係る軸上色収差図であり、
図3Cは、本発明の第三実施例に係る倍率色収差図である。
図3Bと
図3Cの結果に基づいて本実施例に係る光学結像レンズ装置300について上記の設計によって、結像品質を効果的に高めることが検証できる。
【0062】
以上は、本発明における好ましい実施可能な実施例に過ぎず、注意すべきことは、上記の表に記載したデータの資料が本発明を限定するものではなく、如何なる当業者が本願を参照すると、本願の範囲を逸脱しない限り、これらのパラメータや設定を適正に変更することが可能である。本発明の明細書や特許請求の範囲に基づいてなされる均等置換は、いずれも、本発明の特許範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
100 光学結像レンズ装置
200 光学結像レンズ装置
300 光学結像レンズ装置
G1 第一レンズ群
G2 第二レンズ群
L1 第一レンズ
L2 第二レンズ
L3 第三レンズ
L4 第四レンズ
L5 第五レンズ
L6 第六レンズ
L7 第七レンズ
L8 赤外線フィルター
L9 保護ガラス
Im 結像面
ST アパーチャー
Z 光軸
S1、S3、S5、S7、S9、S11、S13 物体側面
S2、S4、S6、S8、S10、S12、S14 像側面